【実施例】
【0022】
本発明の好ましい実施例に係る駆動方法はビジョンインタフェースシステムに応用される。
図1は本実施例に係るビジョンインタフェースシステム1を示したブロック図である。ビジョンインタフェースシステム1は、操作デバイス11及びマトリックス表示装置12を備える。操作デバイス11とマトリックス表示装置12は、例えば、コンデンサカップリングによって相互にカップリングされる。操作デバイス11とマトリックス表示装置12はコンデンサカップリングによって信号を転送する。また、操作デバイス11は、有線、無線、電気、または光学などの出力方式によって、ビジョンインタフェースシステムのその他のユニットに接続される。
【0023】
図2は、マトリックス表示装置12の側面図である。
図2に示したとおり、マトリックス表示装置12は、表示面121及びマトリックス基板122を備える。マトリックス基板122は、基板123及びマトリックス124を有する。マトリックス124は、基板123の一側に設置され、表示面121は基板123の他側に設置される。通常、周知の液晶表示装置におけるマトリックス基板と比べて、本発明のマトリックス基板122は反転設置である。つまり、フィルター基板と比べて、マトリックス基板122の基板123は、ユーザから近い表示面121とすることができる。本実施例において、表示面121は、ユーザがマトリックス表示装置12の表示画像を見る時、マトリックス表示装置12の最もユーザに近い表面を指す。ここでは、マトリックス表示装置12は、保護ガラス125を更に備える。保護ガラス125は、基板123においてマトリックス124と反対側に設置され、表示面121は保護ガラス125におけるユーザから近い側の表面である。また、基板123と保護ガラス125との間にはその他の構成素子、例えば、偏光板を更に備える。
【0024】
本実施例において、マトリックス基板122は、画素マトリックスを有し、画像を表示する基板またはパネルとして用いられる。マトリックス基板122は、例えば、液晶表示パネルの薄膜トランジスタ基板、有機発光ダイオードパネル、無機発光ダイオードパネル、電気泳動表示マトリックスパネル、またはMEMS表示パネル等である。マトリックス124は、複数の
列電極、複数の
行電極、及び複数の画素電極を備える。複数の
列電極と複数の
行電極は交差して設置される。また、マトリックス124は、アクティブマトリックス(active matrix)またはパッシブマトリックス(passive matrix)である。ここでは、マトリックス124がアクティブマトリックス(active matrix)である場合を例とする。マトリックス124は、さらに複数のトランジスタを備え、複数のトランジスタは、それぞれ複数の
列電極、複数の
行電極、及び複数の画素電極に電気的に接続される。
【0025】
図3は本実施例に係るマトリックス基板として薄膜トランジスタ基板を例とした概略図である。マトリックス124は、複数の
列電極S
1〜S
Mと、複数の
行電極D
1〜D
Nと、複数の画素電極E
11〜E
MNを備える。前記複数の
列電極S
1〜S
Mと前記複数の
行電極D
1〜D
Nは交差して設置され、且つ実質上は、相互に垂直、または角度を挟んで設置される。また、マトリックス124は、複数のトランジスタT
11〜T
MNを更に備え、複数のトランジスタT
11〜T
MNは、それぞれ、複数の
列電極S
1〜S
Mと、複数の
行電極D
1〜D
Nと、複数の画素電極E
11〜E
MNに電気的に接続される。ここでは、
列電極S
1〜S
Mは、即ち、走査線であり、
行電極D
1〜D
Nは、即ち、データ線である。また、基板123は駆動モジュールに更に設置することができ、駆動モージュルは、データ駆動回路と、走査駆動回路と、タイミング制御回路(図示せず)と、ガンマ補正回路(図示せず)とを備える。駆動モジュールの駆動によって、液晶表示パネルに画像を表示させることができる。駆動モジュールにおける画像に対する駆動に関する内容は周知の技術であるため、ここでは説明しない。また、このような実施形態におけるマトリックス基板122は単に例示的な説明で、本発明を限定するためのものではない。
【0026】
図4は本発明の好ましい実施例に係るビジョンインタフェースシステム1の駆動方法のステップ流れ図である。駆動方法はステップS01とS02を含む。以下、
図1から
図4を参照してビジョンインタフェースシステム1の駆動方法を説明する。
【0027】
ステップS01は、マトリックス基板122において、マトリックス表示装置12によって複数のエンコーダ信号と複数の表示信号を転送するステップである。表示信号はマトリックス表示装置12に画像を表示させるために用いられ、表示信号は、例えば、走査信号、データ信号の両方またはいずれかを含み、それぞれ前記複数の
列電極S
1〜S
Mと前記複数の
行電極D
1〜D
Nによって転送される。
【0028】
エンコーダ信号は、マトリックス基板122の独立電極(即ち、表示と無関係の電極である)、複数の
列電極S
1〜S
M、複数の
行電極D
1〜D
N、または
列電極S
1〜S
M及び
行電極D
1〜D
Nにより転送される。エンコーダ信号は、周波数変調、振幅変調、位相変調、符号分割多元接続(code division multiple access, CDMA)、または時分割変調によってエンコードされる。エンコーダ信号は、タッチコントロール情報、指令情報、識別情報、取引情報、ファイル情報、またはその他の情報を含む。即ち、操作デバイス11とマトリックス表示装置12との間に確立しようとする機能に基づき、この機能を目的として、関連する情報を特定の方式によってエンコードしてエンコーダ信号に形成される。例えば、タッチコントロール情報は、操作デバイス11とマトリックス表示装置12にタッチコントロール機能を達成させることができる。識別情報は、操作デバイス11とマトリックス表示装置12にユーザ識別機能を達成させることができ、このユーザ識別機能は例えば、アクセスカードに応用することができる。取引情報は、操作デバイス11とマトリックス表示装置12との間の取引行為として用いられることができ、この行為は、それぞれ操作デバイス11とマトリックス表示装置12を有する二人のユーザにより発生される。ファイル情報は、写真や音楽などのファイルをマトリックス表示装置12から操作デバイス11に転送することができる。この点については、後の実施例において更に開示する。
【0029】
エンコーダ信号は、順に、マトリックス基板122における複数の
列電極または複数の
行電極より転送され、または、マトリックス基板122における複数の
列電極または複数の
行電極により同時に転送される。
列電極と
行電極により転送されるエンコーダ信号を識別するため、複数の
列電極により転送されるエンコーダ信号と複数の
行電極により転送されるエンコーダ信号は異なるエンコーダシステムに属する。エンコーダ信号は、例えば、周波数変調、振幅変調、位相変調、または時分割変調、または符号分割多元接続によってエンコードされる。例を挙げると、
列電極と
行電極により転送されるエンコーダ信号の時間位置が異なり、または、
列電極により転送されるエンコーダ信号が周波数の変化によってエンコードされ、
行電極により転送されるエンコーダ信号が振幅の強弱によってエンコードされる。また、複数の
行電極または複数の
列電極の一部は、同一のエンコーダ信号を同時に転送することができる。即ち、複数の
行電極または
列電極を一組にして、同一のエンコーダ信号を転送することができ、
列電極や
行電極の幅が小さい場合に応用されることができる。
【0030】
また、エンコーダ信号は表示画面の間(例えば、複数の表示フレームの時間を占有)、または複数の表示信号を転送する際の帰線期間(blanking time)、または各表示信号の間の帰線期間において表示信号と混ぜ合わせて転送される。帰線期間は二つの画像フレームの間にある。注意すべきことは、エンコーダ信号の転送が表示画面にもたらす影響に対する許容度は、エンコーダ信号の応用によって決められる。例えば、エンコーダ信号がタッチコントロール用途に応用された場合は、画面の点滅を考慮する必要があるため、帰線期間または各表示信号の間に転送しなければならない。短時間通信の用途に応用された場合は、表示を一時停止し、エンコーダ信号のみを転送することができる。エンコーダ信号は、より高い周波数で、直接に表示信号に重ねて搬送波を形成することができ、そのエンコーダ信号の周波数が表示信号より高いため、表示品質に対する影響を下げることができる。また、エンコーダ信号は、直流成分が含まれていない信号を採用することにより、表示品質への影響を最小にすることができる。
【0031】
ステップS02は、操作デバイス11が表示面121において操作されることによって、複数のエンコーダ信号のうちの少なくとも一つを受信するステップである。エンコーダ信号は、例えば、コンデンサカップリングの方式によって、マトリックス基板122から操作デバイス11にカップリングされる。操作デバイス11は、タッチペン、人の手、または受信装置であり、受信装置は、例えば、カードリーダなどのものである。表示面121において、操作デバイス11が操作される場合(操作デバイス11は表示面121に接触しても、しなくても良い、距離さえ近ければ良い)、操作デバイス11に近い
列電極または
行電極により転送されるエンコーダ信号は、マトリックス基板122からコンデンサカップリングによって操作デバイス11にカップリングされることができる。
【0032】
操作デバイス11がエンコーダ信号を受信した後、多種類の方式を介して、エンコーダ信号を処理し、エンコーダ信号に含まれる情報を、例えば、タッチコントロール情報、またはユーザ識別情報を得ることができる。エンコーダ信号からは、操作デバイス11の処理によって、最終情報を得ることができる。この最終情報は、有線または無線の方式で、さらにその他のシステム装置に転送し、反応を行わせることができる。または、エンコーダ信号は、直接にマトリックス表示装置12にフィードバックし、マトリックス表示装置12によって処理して最終情報を得て、更にマトリックス表示装置12によって、最終情報に対して反応を行わせ、またはその他のシステム装置に転送することができる。また、エンコーダ信号は、操作デバイス11の中継処理、例えば、増幅処理やフィルター処理などの方式によって、その他のシステム装置またはマトリックス表示装置12に転送し、処理を行って最終情報を得ることもできる。またあるいは、上記すべての場合において、ビジョンインタフェースシステム1に少なくとも一つの他のユニット(このユニットは、例えば、操作デバイス11とマトリックス表示装置12との間にある)を加え、このユニットは操作デバイス11の出力の処理に用いられ、且つその結果をその他のシステム装置またはマトリックス表示装置12に転送させる。また、前記ユニットはエンコーダ信号の処理作業に関与することもできる。
【0033】
駆動方法は、更に、エンコーダ信号に基づいて情報を得るステップを備える。この情報は、タッチコントロール情報、指令情報、識別情報、取引情報、ファイル情報、またはその他の情報を含む。仮に、エンコーダ信号にタッチコントロール情報が含まれている場合、エンコーダ信号が処理された後にタッチコントロール情報を得て、マトリックス表示装置12をタッチコントロール情報に基づいて作動させることができる。
【0034】
以下、例を挙げてエンコーダ信号の幾つかの実施形態を説明する。
【0035】
図5Aはシーケンスの方式によって、エンコーダ信号を転送する概略図であり、隣接する二つの
列電極(S
M-1、S
M)と、隣接する二つの
行電極(D
N-1、D
N)の信号を示している。
列電極S
1〜S
Mはそれぞれ走査信号SSを転送し、順に各列のトランジスタをオンにする。各列のトランジスタをオンにした場合、各
行電極D
1〜D
Nは、それぞれエンコーダ信号MSと表示信号DSを転送する。本実施例において、
図5Aに示すように、一つの
列電極がその走査信号を転送した時、一つの
行電極のみが表示信号DSとはレベルが異なるエンコーダ信号MSを転送する。つまり、
列電極S
M-1がその走査信号SSを転送する時間範囲内には、
行電極D
N-1のみが表示信号DS、及びレベルが表示信号DSとは異なるエンコーダ信号MS
N-1を転送する。
列電極S
Mがその走査信号SSを転送する時間範囲内には、
行電極D
Nのみが表示信号DS、及びレベルが表示信号DSとは異なるエンコーダ信号MS
Nを転送する。
【0036】
図5Aは一つの
列電極が一つの
行電極に対応するものを例としたが、本方法はこれに制限されるものではない。信号の幅を適切に定義すれば、一対複数または複数対一の方式を採用することもできる。例えば、一つの
列電極が導通した時、全ての
行電極がそのエンコーダ信号を送信するようにできる。また、
図5Aにおけるエンコーダ信号(MS
N-1、MS
N)は、
列電極の導通順に基づいて、(1、1)、(0、1)、(1、0)、または(0、0)の信号を転送したと見なすことができる。仮に、表示品質に対する影響を下げる可能性を考慮した場合は、
図5Bに示す信号を出力することもでき、即ち、単位時間内に出力されたエンコーダ信号が平均的に直流成分を有しておらず、液晶表示器内の液晶分子が分極されることを避けることができる。通信の技術分野から見れば、このシーケンス走査は、実際、時分割多重化(time division multiplexing, TDM)の通信構造であり、ある一定の期間において、通信チャンネル(communication channel。送信端と受信端との間に存在し、即ち、マトリックス表示装置と操作デバイスの間に存在している)を特定の送信源(例えば
行電極D
N)へ分類して使われ、且つ異なる期間に異なる送信源への使用を指定する。逆に、もし受信端が、信号がどの送信源から送信されたかを識別することができれば、即ち例えば、時分割変調で信号をエンコードすることによって送信源を識別することができれば、タッチコントロールに応用することができる。次に、
図5Aに示したものがタッチコントロールに応用された場合を例として説明する。説明を分かりやすくするため、パルスを有する場合を'1'で示し、パルスを有しない場合を'0'で示す。
【0037】
図5Aに基づいて類推すると、各
行電極D
1〜D
Nにより転送されるエンコーダ信号のシーケンス図は、
図6に示した通り(表示用の表示信号DSを省略する)である。
行電極D
1〜D
Nは、
列電極S
1〜S
Mが高レベルの走査信号を転送する時に対応して、それぞれエンコーダ信号MS
1〜MS
Nを転送する。
行電極D
1〜D
Nは、時間ごとに順次エンコーダ信号MS
1〜MS
Nを転送するので、上記のコンデンサカップリングによって得られたエンコーダ信号(エンコーダ信号は、MS
1〜MS
Nのうちのいずれか一つである)により、どの
行電極がタッチコントロールされたか分かる。即ち、タッチコントロール座標におけるX座標を知ることができる。そして、タッチコントロール座標におけるY座標は
列電極S
1〜S
Mから知ることができる。
列電極S
1〜S
Mにより転送される走査信号SSは順に発生されるので、その本質は、即ち、エンコーダ信号であるため、走査信号SSを本発明のエンコーダ信号と見なし、且つマトリックス基板から操作デバイスにカップリングされることによりデコードを行い、更に、
列電極S
1〜
列電極S
Mが交替に起動する時間に合わせれば、どの
列電極がタッチコントロールされたかを知ることができる。また、タッチコントロールに応用された場合、表示画面に対して妨害を起こさないように、本実施例に係る各エンコーダ信号MS
1〜MS
Nのデューティサイクル(duty cycle)は各表示信号のデューティサイクルより小さい。このようにして、表示品質が維持される。
【0038】
図7Aは時分割による時間差方式で情報エンコードを行う場合(ここでは、タッチコントロールを例とするので、情報は、例えば、電極番号であることができる)のエンコーダ信号を示した図(表示用の表示信号DSを省略する)である。エンコーダ信号MS
1〜MS
3はそれぞれ一つのスタートコードSCを有し、スタートコードSCの時間位置は同一であり、それを始動参考点とする。各エンコーダ信号MS
1〜MS
3はスタートコードSCとの時間差によってエンコードされる。検知された時間差を利用すれば、信号がどの電極から転送されたかを推知することができるので、どの電極に対応した位置がタッチされたのかを知ることができる。上記方法は、スタートコードを時間の始動参考点とした。また、その他の実施例において、このスタートコードをデータ転送の始動点とすることもでき、エンコーダ信号はさらにエンドコードを有し、データ転送または時間の終了参考点とすることができる。更にまた、エンドコードを次の周期が開始する時のスタートコードとし、またあるいは、前の信号を時間の参考点とすることができる。
【0039】
図7Bも
図7Aに示したものと同じく、時分割多重化の通信構造に属するが、
図7Bに示したものは、対応する参考点の時間差によって情報エンコードを行うものではなく、直接に電極の番号によってエンコードを行うものである。例えば、図面におけるMS
1〜MS
3はそれぞれ
行電極D
1〜D
3に対応し、2進法のエンコーダによって、それぞれ(01)、(10)、及び(11)とすることにより、異なる
行電極からのエンコーダ信号を示している。よって、カップリングされたエンコーダ信号を介して、エンコーダ信号がどの
行電極から転送されたかを直接に判読することができる。この方式は時間差を基礎としたものでないので、順に転送する必要がなく、送信信号の順序を変えることができる。また、複数の信号を一つの
列電極の走査時間内に転送することにより、全ての
行電極がエンコーダ信号を転送する時間を減少させることもできる。
【0040】
図8は、グループ化によってエンコードを行うエンコーダ信号を示した図(表示信号DSは省略する)である。この方式は、
行電極D
1〜D
3を第一組とし、
行電極D
4〜D
6を第二組とし、その他もこれに基づいて類推する(三本毎に一組とする)。各
行電極D
1〜D
6により転送される一つ目のエンコーダ信号の時間は同じであるため、スタートコードとすることができる。各
行電極D
1〜D
6により転送される二つ目のエンコーダ信号と一つ目のエンコーダ信号の時間差を利用すれば、カップリングされたエンコーダ信号がどのグループの
行電極からかを識別することができる。そのうち、
行電極D
1〜D
3により転送されるエンコーダ信号MS
1は同一のものであり、
行電極D
4〜D
6により転送されるエンコーダ信号MS
2も同一のものである。よって、タッチコントロールに応用された時、操作デバイス11で得られたエンコーダ信号の実際数量を減少させることで、エンコーダ信号処理の速度を更に高めることができる。
【0041】
図9は、表示信号DSに付加されたエンコーダ信号を示した図である。
行電極D
N-1、D
Nにより表示信号DSが転送されると同時に、エンコーダ信号MS
N-1、MS
Nは高周波信号として表示信号DSに付加されている。本実施例において、エンコーダ信号MS
N-1、MS
Nは、時分割多重化の技術により表示信号DSに付加されることを例としたが、当然、エンコーダ信号は周波数分割多重化(frequency−division multiplexing, FDM)、符号分割多重化(code−division multiplexing, CDM)、または位相偏移変調(phase shift keying)の技術を利用して表示信号DSに付加されることもできる。
【0042】
複数のエンコーダ信号MSは、複数の表示信号DSの間に混ぜ合わせて転送されることもできる。以下、
図10の(a)から
図10の(c)を例として、前記複数のエンコーダ信号MSが前記複数の表示信号DSに混ぜ合わせて転送された実施形態を説明する。垂直同期信号Vsyncは表示画面の間の同期信号を示す。垂直同期信号Vsyncの一周期は一つのフレーム時間(frame time)を示す。
図10の(a)の場合、エンコーダ信号MSが少なくとも一つのフレーム時間を使用して転送されることができ、且つこの時間内では表示信号DSを転送せず、エンコーダ信号MSの転送が完了してから表示信号DSを転送する。
図10の(b)の場合、同一のフレーム時間内にそれぞれエンコーダ信号MSと表示信号DSを転送し、表示信号DSの転送時間を圧縮した後に、表示信号DSの前または後にエンコーダ信号MSを転送する。ここでは、表示信号DSの前にも後にもエンコーダ信号MSの転送を行うことを例とする。
図10の(c)に示した水平同期信号Hsyncは表示画面における各水平線の同期信号を示し、水平同期信号Hsyncの一周期は画面における一本の水平線の有効時間を示す。
図10の(c)は、一つの水平線の有効時間内に、エンコーダ信号MSと表示信号DSが交替に転送されることを示す。例えば、表示画面に影響を起こさないように、エンコーダ信号MSを転送してから表示信号DSを転送する。以上から分かるように、
図10の(a)から
図10の(c)では、前記複数のエンコーダ信号MSと前記複数の表示信号DSが混ぜ合わせて転送されることを示した。注意すべきことは、Hsyncは単に同期用途のみを示し、有効となる
列電極は、配列(従来の表示方式のように)または非配列の方式によって転送することができる。
【0043】
図11は交流信号の概略図である。上記いずれかのエンコーダ方式は、それぞれ信号を'0'と'1'として示し、
図11の(a)に示すように、例えば、一つのパルスが発生した信号を'1'で示し、パルスがなかった信号を'0'で示す。信号がマトリクス表示装置に印加された時、
図11の(a)に示した信号はネット直流成分(単位時間内における信号の平均値)を引き起こし、この成分は表示画面に、特に液晶表示パネルに影響をもたらす。所定の正バイアスまたは負バイアスによって長時間駆動された場合において、液晶は分極現象を生じて、回転しにくくなる。よって、本実施例は、エンコーダ信号を交流信号または交流駆動で駆動させることにより、液晶の分極を避けることができる。このうち、より好ましいのは、同じ
行電極により転送されるエンコーダ信号の平均値がゼロの場合である。表示品質が影響を受けることを避けるため、
図11の(b)、(c)に示すように、直流成分が含まれていない交流信号を用いて、'0'と'1'を表すことができる。直流成分が含まれていない交流信号を用いる以外に、交流駆動の方法によって達成することもでき、例えば、
図11の(d)に示すように、エンコーダ信号を転送した後、一定の時間を経てから、このエンコーダ信号とは反転する波形を転送する。
図11の(e)に示すように、この反転波形は、数本の電極を合わせた後に、同一の時間に転送されることができる。
図11は説明のために幾つかの例を挙げたが、原則的に、エンコーダ信号は、交流信号または交流駆動の技術特徴を用いて、上記全てのエンコーダ方式に応用されることができる。
【0044】
図12は本発明の好ましい実施例に係るビジョンインタフェースシステムにおけるマトリックス表示装置12の外観を示した図である。
図12に示すように、マトリックス表示装置12は転送モードスイッチ127を更に備える。駆動方法は、転送モードスイッチ127を触発することにより、マトリックス表示装置12を起動して転送モードに入らせ、複数のエンコーダ信号を転送するステップをさらに備える。転送モードスイッチ127は機械スイッチであり、ユーザまたは操作デバイスは転送モードスイッチ127を触発することにより、マトリックス表示装置12を起動して転送モードに入らせることができる。転送モードに入っている時、マトリックス表示装置12の
行電極は表示信号とエンコーダ信号を同時に転送しなければならないので、ユーザがタッチコントロール機能を使用しない場合は、転送モードを閉じて、電力を節約することができると同時に、誤触を防止するためのスクリーンセーバ機能として使用することができる。ユーザがタッチコントロール機能を使用しなければならない時に、スイッチ127を触発することにより、マトリックス表示装置12を起動して転送モードに入らせる。そして、この場合、
列電極または
行電極はエンコーダ信号を転送することにより電力の浪費を避けることができる。注意すべきことは、スイッチ127は操作デバイスに設置されることができ、この場合、スイッチが触発された後、操作デバイスは触発信号をマトリックス表示装置12に転送して、マトリックス表示装置12を転送モードに入らせる。さらに注意すべきことは、ここにおける転送モードスイッチ127を触発する機能は、一度触発することによってタッチコントロールモードに切り替えさせるためのものであり、または、ユーザが接触を保持する方式によりタッチコントロールモードに切り替えさせるためのものである。
【0045】
上述をまとめると、本発明は、マトリックス表示装置によって、マトリックス基板において複数のエンコーダ信号と複数の表示信号を転送する。このうち、表示信号はマトリックス基板に画面を表示させるために用いられ、エンコーダ信号はマトリックス基板にタッチ機能、データ転送機能、またはその他の機能(例えば、ユーザ識別)を達成させるために用いられる。表示面において操作デバイスが操作されると、エンコーダ信号はマトリックス基板から操作デバイスにカップリングされ、このエンコーダ信号が処理された後、タッチコントロール情報、指令情報、識別情報、取引情報、またはファイル情報を得ることができる。上述の内容から分かるように、本発明のビジョンインタフェースシステムは、直接に、例えば、液晶表示パネルにおける薄膜トランジスタ基板、有機発光ダイオードパネル、発光ダイオードパネル、電気泳動表示パネル、またはMEMS表示パネル等のマトリックス基板に応用されて、製品の軽量化、薄型化を図り、コストを削減して製品の競争力を高めることが明らかである。また、本発明は、エンコーダ信号を外部の操作デバイスにカップリングし、マトリックス基板が直接にエンコーダ信号を読み取るわけではないため、マトリックス基板に対してレイアウトの変更をする必要がない。例えば、表示パネル内に静電容量感知素子を追加して外界の静電容量の変化を測定する必要がなく、コストの削減と製造工程の短縮を可能にする。
【0046】
上記実施例は例示的なものであって、限定するためのものではない。本発明の技術的思想および範囲から逸脱することなく、行われる等価の修正または変更は、いずれも別紙の特許請求の範囲に含まれる。