(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
最初に
図1を参照すると、血管内温度管理カテーテル10は、患者の中核体温フィードバック信号に応答する治療パラダイムに従ってカテーテル10を通って循環する作用流体の温度を制御するために本明細書に参照されている特許の1つ以上に記載されている論理を実行するプロセッサを備えるカテーテル体温制御システム12と流体連結している。本発明の原理によれば、カテーテル10は、そのカテーテルを使用して患者14における治療低体温を誘導するために使用され得、限定されないが、生理食塩水などの冷却剤が、身体内に入らないように、冷却剤は閉ループ内で循環する。このような治療は、脳卒中、心不全(蘇生後)、急性心筋梗塞、脊髄損傷、および外傷性脳損傷のために示されてもよい。カテーテル10はまた、例えば、バイパス手術または熱傷処置後、患者を加温するため、および例えば、くも膜下出血または脳内出血を患っている患者における異常高熱に対処するために使用されてもよい。
【0012】
示されるように、作用流体は、示されるカテーテル10の近位端に接続される供給ライン16および戻りライン18を介して熱交換システム12とカテーテル10との間を循環できる。カテーテルの遠位領域におけるカテーテルを担持する温度センサから患者体温信号が、電線路20を介して、または所望の場合、無線でシステム12に提供され得る。あるいは、患者体温信号は、患者14の体温を測定する別の食道プローブまたは直腸プローブまたは鼓膜センサまたは膀胱プローブまたは他の体温プローブからシステム12に提供されてもよい。本明細書で使用される場合、カテーテルについての「近位」および「遠位」はシステム12に対してであることが留意されるべきである。
【0013】
作用流体が循環する内側供給管腔および戻り管腔に加えて、カテーテル10はまた、患者に薬剤を注入するための注射器またはIVバッグなどのIVコンポーネント22、あるいは患者のパラメータをモニタリングするための酸素または圧力モニタなどの機器に接続可能である1つ以上の注入管腔を有してもよい。
【0014】
カテーテル10は、典型的に、患者14の血管系、より好ましくは鼠径部挿入点を通る下大静脈または首(頸部または鎖骨下部)挿入点を通る上大静脈などの患者14の静脈系に配置されてもよい。
【0015】
次に、
図2〜9を参照すると、
図1を参照して記載されている例示的なカテーテルの特定の態様および/またはコンポーネントは明確さのために
図2〜9において省略されていることは理解され、これらの態様および/またはコンポーネントは依然として、非限定的な実施形態において
図2〜9に参照して記載されているカテーテル内に存在してもよい。例えば、
図1に参照して記載されているIVコンポーネント、温度センサ、および電線路は
図2〜9に示されていないが、これらの図に示される非限定的な実施形態において依然として含まれてもよい。
【0016】
さらに、本明細書に記載されるカテーテルの遠位熱交換領域は、限定されないが、非限定的な実施形態においてニチノールなどの形状記憶材料から作製されてもよいことが理解される。また、非限定的な実施形態において、本明細書に開示される形状記憶材料は、本発明の原理に従って拡張および縮小できる。しかしながら、本明細書に開示されている熱交換領域は、
図2〜6のカテーテルの遠位領域が患者と熱交換するために患者内に柔軟に配置され得るように非限定的な実施形態においてフレキシブルおよび/または柔軟であってもよいことはさらに理解される。例えば、本明細書に記載されているカテーテルは、カテーテルが配置される患者の部分の表面領域に対して一定の角度で患者に柔軟に侵入できる。それにも関らず、他の非限定的な実施形態において、熱交換領域32は所望の場合、剛性であってもよい。
【0017】
ここで特に
図2を参照して、本発明の原理に従って軸方向に互いに離間しているコイルを有する、患者内に配置されていな状態の血管内温度管理カテーテルの概略図が示される。このように、カテーテル24は、本発明の原理に従って熱交換システム30と流体連結している作用流体供給管腔26および作用流体戻り管腔28を有する。限定されないが、生理食塩水などの作用流体は、カテーテル24が配置される患者38と熱交換するために管腔26および28を通して循環できる。
【0018】
図2から見られ得るように、管腔26および28の少なくとも1つは軸方向に互いに離間している複数のコイル32により規定され、ここで、少なくとも1つの大きなコイル34は、カテーテルが配置される血管(血管は
図2には示していない)の壁に接触するように作用流体で膨張できる。
図2はまた、少なくとも1つの小さなコイル36を示し、その小さなコイル36のサイズは大きなコイル34に対してである。小さなコイル36は、患者38に配置され、示した非限定的な実施形態において作用流体で膨張する場合、血管の壁と接触しなくてもよい。
【0019】
しかしながら、カテーテル24が、小さなコイル36の少なくとも1つにより互いに離間している複数の大きなコイル34を有し得ることは
図2の非限定的な実施形態から理解され得る。したがって、一部の実施形態において、1つの大きなコイル34および1つの小さなコイル36のみであってもよいが、
図2は、作用流体がコイル32を通して連続的に流れることができるように複数の大きなコイル34および複数の小さなコイル36を示す。さらに、小さなコイル36は、全ての小さなコイル36が大きなコイル34より依然として小さければ、様々なサイズであってもよいことが
図2から理解される。
【0020】
さらに
図2を参照して、カテーテル24はまた、非限定的な実施形態においてコイル32と同軸で、コイル32と流体連結していてもよい直線状の管40を有してもよい。
図2に示されるように、大きなコイル34および小さなコイル36は作用流体供給経路26内にあるが、直線状の管40は作用流体戻り経路28の少なくとも一部を規定する。しかしながら、他の非限定的な実施形態において、直線状の管が本発明の原理に係る作用流体供給経路の少なくとも一部を規定し得る状態で、大きなコイルおよび小さなコイルが作用流体戻り経路内にあってもよいことは理解される。
【0021】
図3に移って、
図2を参照して記載した血管内温度管理カテーテル24の概略図が示され、ここで、カテーテル24は患者38の血管42内に配置される。したがって、カテーテル24は依然として、熱交換システム30と流体連結する供給管腔26および戻り管腔28(および示した非限定的な実施形態における管腔28により規定される直線状の管40)を有する。カテーテル24はまた、複数のコイル32が互いに軸方向に離間するように大きなコイル34および小さなコイル36を有する。
【0022】
血管42の壁44に大きなコイル34が接触するように、コイル32が作用流体で膨張し、カテーテル24が血管42内の小さなコイル36を中心にするように配置されることは
図3から理解され得る。
図3からさらに理解され得るように、小さなコイル36は、血管42内に配置され、作用流体で膨張している状態で、血管42の壁44と接触しなくてもよい。したがって、血液は、血流矢印46により示されるようにコイル32を通して連続的に流れて、患者38と熱交換することができる。コイル32は、それらが、患者38と熱交換する最適なコイル表面積を依然として提供しながら、血管42を通る血液の流れを遮断しないように種々のサイズであってもよいこともまた理解され得る。
【0023】
ここで
図4を参照すると、本発明の原理に係るカテーテルの別の実施形態が示される。具体的には、
図4は、血管の壁に対して拡張可能な少なくとも1つのワイヤを有する、患者に配置されていない状態の血管内温度管理カテーテルの概略図であり、カテーテルは、患者と熱交換するカテーテルの熱交換領域を中心にするように配置される。
【0024】
このように、
図4に示されるように、カテーテル48は、本発明の原理に係る熱交換システム54と流体連結する作用流体供給管腔50および作用流体戻り管腔52を有する。限定されないが、生理食塩水などの作用流体は、カテーテル48が配置される患者56と熱交換するように管腔50および52を通して循環できる。カテーテル48はまた、カテーテル48に沿って長手方向に配置され、カテーテル48と係合する少なくとも1つの拡張可能なワイヤ58を備える。血管(図示せず)内にカテーテル48の熱交換領域60を中心にするように、ワイヤ58が患者56に配置される場合、ワイヤ58が患者56の血管の壁に対して拡張可能であることは理解される。複数のワイヤ58を
図4に示し、その複数のワイヤ58は熱交換領域60の同じ長手方向部分に沿って係合することは留意すべきである。
【0025】
本明細書で理解されるように、ワイヤ58は、限定されないが、ニチノールなどの形状記憶物質から作製されてもよい。さらに、ワイヤ58が血管の壁に対して拡張される場合、熱交換領域60は実質的にワイヤ58と同軸であり得ることは理解され、これは以下に記載する
図5においてさらに理解され得る。しかしながら、他の非限定的な実施形態において、ワイヤ58の一部が患者の血管の壁に対して拡張できる限り、ワイヤ58は熱交換領域60と実質的に同軸であることを必要としない。
【0026】
このように、
図5は、
図4を参照して記載される血管内温度管理カテーテル48の概略図を示し、ここで、カテーテル48は患者56の血管62内に配置される。カテーテル48は依然として、熱交換システム54と流体連結する管腔50および52を有する。カテーテル48はまた、カテーテル48に沿ってほぼ長手方向に配置され、カテーテル48と係合し得るワイヤ58を有する。
【0027】
ワイヤ58の一部は、血管62内に熱交換領域60を中心にするように患者の血管62の壁64に対して拡張することは
図5から理解され得る。このように、血液は、血流矢印66により示されるように、熱交換領域60を通過するときに、その熱交換領域60と接触できる。
【0028】
ここで
図6を参照すると、
図4および5を参照して記載されているものと同様のカテーテルの代替の非限定的な実施形態が示される。
図6はまた、カテーテルの熱交換領域を中心にするように、カテーテルが配置される血管の壁に対して拡張可能な少なくとも1つのワイヤを有する血管内温度管理カテーテルを示す。しかしながら、
図6に示したカテーテルは、熱交換領域に交互に長手方向に沿った複数のワイヤを備え、1つのワイヤのみが熱交換領域の1つの長手方向部分のみと係合する。
【0029】
このように、
図6に示すように、カテーテル68は、本発明の原理に係る熱交換システム74と流体連結する作用流体供給管腔70および作用流体戻り管腔72を有する。限定されないが、生理食塩水などの作用流体は、カテーテル68が配置される患者76と熱交換するように管腔70および72を通って循環できる。カテーテル68はまた、カテーテル68に沿って長手方向に配置され、カテーテル68と係合する拡張可能なワイヤ78を備える。ワイヤ78が、血管(図示せず)内にカテーテル68の熱交換領域80を中心にするように患者76に配置される場合、ワイヤ78は患者76の血管の壁に対して拡張可能であることは理解される。
【0030】
本明細書中で理解されるように、ワイヤ78は本発明の原理に従って形状記憶物質から作製されてもよい。さらに、ワイヤ78が血管の壁に対して拡張する場合、熱交換領域80はワイヤ78と実質的に同軸であってもよいことは理解され、これは以下に記載するように
図7を参照してさらに理解され得る。しかしながら、他の非限定的な実施形態において、ワイヤ78の一部が患者の血管の壁に対して拡張できる限り、ワイヤ78は熱交換領域80と実質的に同軸であることを必要としないことが理解される。
【0031】
図4および5を参照して記載した実施形態と対照的に、ここで、ワイヤ78は、熱交換領域80に長手方向に沿って交互にあり、1つのワイヤのみが熱交換領域80の1つの長手方向部分のみに含まれることは
図6から理解され得る。長手方向に交互のワイヤ78はまた、
図7を参照して見られることができ、この
図7は、患者76の血管に配置されている状態のカテーテル68の概略図である。
【0032】
したがって、
図7に示したカテーテル68は依然として、熱交換システム74と流体連結する管腔70および72を有する。カテーテル68はまた、カテーテル68に沿ってほぼ長手方向に配置され、カテーテル68と係合するワイヤ78を有し、1つのワイヤ78のみが熱交換領域80の特定の長手方向部分に沿って係合する。
【0033】
図5と同様に、ワイヤ78の一部が、患者の血管82の壁84に対して拡張できることは
図7から理解され得る。したがって、血液は、患者76と熱交換するために、血流矢印86により示すように、熱交換領域80を通過するときに、その熱交換領域80と接触できる。しかしながら、
図5の実施形態と対照的に、
図7に示した非限定的な実施形態は、熱交換領域80に長手方向に交互に沿ったワイヤ78を有し、血管82内に熱交換領域80を依然として中心にしながら、1つのワイヤのみが熱交換領域80の一部のみと係合する。
【0034】
図8に移り、本発明の原理に係る方法の工程がフローチャートとして示される。ブロック88で開始し、本明細書に開示される少なくとも1つの自己中心的な管腔を有するカテーテルは患者に配置され、それにより患者は加温または冷却され得る。次いで、ブロック90において、カテーテルに流体接続される熱交換システムが、管腔を通る作用流体を循環するように作動され、カテーテルが配置される血管の壁に対して管腔の1つにより規定される少なくとも1つの大きなコイルを接触するように管腔は膨張する。管腔の少なくとも1つにより規定される少なくとも1つの小さなコイルもまた、血管内で中心にされる。したがって、血液は本発明の原理に従ってコイルを流れることができ、熱が管腔と血液との間で移動する。
【0035】
図9は、カテーテルの近位部分におけるカテーテルハブ106に配置される作用流体供給ポート102および戻りポート104を有するカテーテル100を示す。ガイドワイヤポートおよび1つ以上の注入ポートを備える、さらなる貫通ポート108が設けられてもよい。ポート102、104、108は、本体110を通して延びるカテーテル本体110内で結合する管腔を有する。貫通ポート108と結合する管腔の場合、結合する管腔は、患者の血流内に薬剤を注入するため、または患者の血流から流体を取り除くためのカテーテルの遠位部分112における出口ポートで終端する。遠位部分112は、血液と、供給ポート102に侵入する作用流体との間の熱を交換するための1つ以上の熱交換素子114を備えてもよく、作用流体は供給管腔および熱交換素子を通って循環し、戻りポート104から出て行く。限定されないが、熱交換素子114は膨張可能なバルーン、交互金属ベローズおよび波形部分などであってもよい。
【0036】
図9に示すように、編組線、例えば鋼線、ポリマー鎖、ニチノールなどから作製された管状メッシュ116が、遠位部分112およびその上の熱交換素子114を囲む。メッシュ116は
図9に示した半径方向に拡張する構造の間で動いてもよく、メッシュ116は遠位部分112が配置される血管118の内壁と接し、血管を通って流れる血液が熱交換素子114を通ってメッシュ116内に流れるのを著しく妨げず、メッシュ116は半径方向に折り畳まれる構造であり(
図10)、メッシュ116は、患者からのカテーテル100の進入および後退を容易にするように熱交換素子114に対して配置されるか、または熱交換素子114から狭い間隔で離間している。
【0037】
この目的を達成するために、メッシュ116の遠位端部120は、示したようにカテーテル100の遠位端にしっかりと固定される。この固定は、限定されないが、溶剤結合、rf封止、超音波溶接などによりなされ得る。所望の場合、マーカーバンド122が、例えば蛍光透視を使用してカテーテルの位置を可視化するためにカテーテルの遠位部に沿って配置されてもよい。
【0038】
一方で、メッシュ116の近位端部124は、オペレータ128の近位で終端する、カテーテル100の本体を囲み得る軸方向に移動可能なシース126にしっかりと固定される。オペレータ128は、遠位部120から離れたメッシュ116の近位部124を引っ張るようにして人により近位に移動され得、
図10の半径方向に折り畳まれた構造へメッシュ116を動かす。さらに再び、オペレータ128は、遠位部120の方へメッシュ116の近位部124を押すことで人により遠位に移動されてもよく、
図9に示した半径方向に拡張した構造へメッシュ116を動かす。この構造において、メッシュ116を画定する編組線は、血管の壁に対して再び開き、血液が流れ、同時に血管内のカテーテルシステムを中心にする。所望の場合、マーカーバンド130は、例えば蛍光透視を使用してカテーテルの位置を可視化するためにメッシュの近位部124に沿って配置されてもよい。
【0039】
特定の自己中心的な患者体温制御カテーテルを本明細書に詳細に示し、記載したが、本発明に含まれる主題は特許請求の範囲のみにより制限されることは理解される。