(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6033338
(24)【登録日】2016年11月4日
(45)【発行日】2016年11月30日
(54)【発明の名称】電子/デジタル銀行券を生成するための方法及び前記方法を実行するための機械
(51)【国際特許分類】
G06Q 40/02 20120101AFI20161121BHJP
【FI】
G06Q40/02
【請求項の数】22
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-560258(P2014-560258)
(86)(22)【出願日】2012年3月6日
(65)【公表番号】特表2015-509636(P2015-509636A)
(43)【公表日】2015年3月30日
(86)【国際出願番号】EP2012053822
(87)【国際公開番号】WO2013131560
(87)【国際公開日】20130912
【審査請求日】2014年10月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】514222547
【氏名又は名称】ジオリ、ロベルト
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジオリ、ロベルト
【審査官】
貝塚 涼
(56)【参考文献】
【文献】
特開平10−240848(JP,A)
【文献】
特開2008−071338(JP,A)
【文献】
特表2007−534074(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 − 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)第1のコンピュータ手段が、既存の銀行券の物理的及び/又は数値パラメータを収集するステップと、
b)第1のコンピュータ手段が、前記第1のコンピュータ手段のファイル記憶装置に保存された第1のアルゴリズムを使用して、前記収集されたパラメータの少なくとも一部に基づき第1のコードを生成するステップと、
c)第1のコンピュータ手段が、第2のコンピュータ手段のファイル記憶装置に保存された番号付けアルゴリズムを使用して、一意のコード番号を生成するステップと、
d)第1のコンピュータ手段が、前記第1のコードを前記コード番号と組み合わせ、前記収集された物理的及び/又は数値パラメータのデータを統合するハッシュされた一意の第2のコードを生成するステップと、
e)第1のコンピュータ手段が、前記第2のコードを電子/デジタル銀行券の一意の識別子として電子/デジタル銀行券の属性とするステップと
を含む電子/デジタル銀行券を生成するための方法。
【請求項2】
第1のコンピュータ手段が、前記収集された物理的及び/又は数値パラメータのハッシュされた及び/又は変換されたデータに基づきランダム・コードを生成する第1のアルゴリズムを使用するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
第1のコンピュータ手段が、前記第1のコードに組み合わされる一意のランダム・コード番号を生成する番号付けアルゴリズムを使用するステップを含む、請求項1又は2までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項4】
第1のコンピュータ手段が、安全で保証された環境内で可読支持体に前記第2のコードを記憶するステップを含む、請求項1から3までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
第1のコンピュータ手段が、電子/デジタル銀行券の識別のために、及び電子/デジタル銀行券の数値転送の認証のために前記第2のコードを使用するステップを含む、請求項1から4までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
第1のコンピュータ手段が、実物の銀行券シートを番号付けするステップ(500)に先立って、従来の銀行券の生産ラインで生産された前記実物の銀行券シートの検知された物理的パラメータを使用するステップを含む、請求項1から5までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
第1のコンピュータ手段が、前記収集された物理的パラメータの少なくとも一部を構成するために、実物の銀行券シート(紙の銀行券)の従来の製作中に生じる構造的及び/又は印刷パラメータのランダムな揺らぎを使用するステップから成る、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
第1のコンピュータ手段が、前記パラメータが収集された後、前記銀行券シートを破棄するステップを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
第1のコンピュータ手段が、既存の銀行券の物理的な銀行券見本の検知された物理的パラメータを使用するステップを含む、請求項1から5までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
第1のコンピュータ手段が、CAD手段によって生成され、従来の銀行券の生産ラインで生産される実物の銀行券シートを規定する数値パラメータを使用するステップを含む、請求項1から5までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
第1のコンピュータ手段が、既存の銀行券シートの物理的な銀行券見本の検知された物理的パラメータを使用するステップ、及び従来の銀行券の生産ラインで生産される前記既存の銀行券シートを規定するCAD手段によって生成された数値パラメータを使用する前記ステップを含む、請求項1から5までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
第1のコンピュータ手段が、前記一意のコード番号を生成するために従来の銀行券の生産ラインの番号付け手段を使用するステップを含む、請求項1から11までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
特に請求項1から12までのいずれか一項に記載の方法を実行することによって電子/デジタル銀行券を生成するための機械(1a、1b)であって、
既存の銀行券の物理的及び/又は数値パラメータを収集するための手段と、
収集されたパラメータの少なくとも一部に基づいて第1のコードを生成するための第1のアルゴリズムが保存されるファイル記憶装置を備える第1のコンピュータ手段と、
一意のコード番号を生成するための番号付けアルゴリズムが保存されるファイル記憶装置を備える第2のコンピュータ手段と、
ハッシュされた一意の第2のコードを生成するために、及び前記第2のコードを電子/デジタル銀行券の属性とするために前記第1のコードを前記コード番号と組み合わせるためのソフトウェア手段と
を備える機械(1a、1b)。
【請求項14】
前記ソフトウェア手段が前記第1のコンピュータ手段にロードされることを特徴とする、請求項13に記載の機械(1a、1b)。
【請求項15】
前記第1のコンピュータ手段が改竄防止ブラックボックスに統合されることを特徴とする、請求項13又は14に記載の機械(1a、1b)。
【請求項16】
パラメータを収集するための前記手段が既存の銀行券の物理的パラメータを認識するための光学及び/又は電磁センサ手段を備えることを特徴とする、請求項13から15までのいずれか一項に記載の機械(1b)。
【請求項17】
銀行券シートのための入力システムと、
前記シートを分析し、且つ前記シートの物理的パラメータを収集するために、前記センサ手段の検知領域内に前記シートを輸送するための透明シリンダーと、
分析された後に前記透明シリンダーから前記シートを拾い上げるための、及び前記分析されたシートを排出システムに送り込むための抽出シリンダーと
を備えることを特徴とする、請求項16に記載の機械(1b)。
【請求項18】
前記シートの第1の面の前記分析の後に前記シートを裏返すための、及び補足的な分析のために前記シートのもう一方の面を前記透明シリンダー上に配置するための、前記抽出シリンダーと協働する追加のシリンダーを備えることを特徴とする、請求項17に記載の機械(1b)。
【請求項19】
前記センサ手段が前記透明シリンダーの外側に配置された一次元カメラ及び可視光反射照明器を備えることを特徴とする、請求項17又は18に記載の機械(1b)。
【請求項20】
前記センサ手段が、送出される光ビームを前記一次元カメラの方向に放射させることができる位置に、前記透明シリンダー内に配置された赤外又は紫外光送出照明器を備えることを特徴とする、請求項19に記載の機械(1b)。
【請求項21】
前記排出システムが前記分析されたシートを破棄するために前記シートを切断ユニットに運ぶための移動テーブルを備えることを特徴とする、請求項17から20までのいずれか一項に記載の機械(1b)。
【請求項22】
遠隔のCAD装置と前記第1のコンピュータ手段との間でデータ伝送を確立するための接続及び通信手段を備え、前記データが前記CAD装置に記憶されている既存の銀行券の前記数値パラメータに相当することを特徴とする、請求項13又は14に記載の機械(1a、1b)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子又はデジタル・マネーを生成する技術分野に関する。そうした電子マネーの目的は、従来の銀行券の使用を部分的に及び漸次置き換えることである。電子/デジタル・マネーを生成し、世界的な財務フロー及び取引の機構においてますます大きくなる役割を担う可能性がある効率的で保証されたシステムが実際に必要であるように思われる。
【0002】
本発明は、より詳細には電子/デジタル・マネー、具体的には電子/デジタル銀行券を生成するための新奇な方法に関する。
【0003】
本発明は、電子/デジタル銀行券の「誕生」又は作成から始まる、コード化の新しい電子的方法を必然的に伴い、この銀行券が、多くの要素の中でも、政府機関/中央銀行が世界的にお金の流れを制御するための不可欠なコードを含む。本システムのアーキテクチャは、これらの機関への莫大な情報の流れの管理、並びにこれらの金融取引及び金融の流れに関する統計値の確定を著しく容易にする。
【0004】
「オープンなループ」において流れる従来の銀行券と同様、本発明において、ジオリ・マネー(Giori−Money)と呼ばれる電子/デジタル銀行券の利点は、この銀行券も同じ原理で運用されるということである。ジオリ・マネーは、銀行券と同様に国際的に認められており、銀行券が現在「オープンなシステム」において当事者間で流れるように、流れる。しかし、ジオリ・マネーは、唯一の世界標準の傘の下で中央銀行によって余剰の銀行券として管理することができる、有効で追跡可能な金融手段となるように、技術の最新の進歩が活用されるというさらなる利点を有する。
【0005】
また、本発明は、上記の方法を実行し、それにより保証された電子/デジタル銀行券を生成するための機械に関係する。
【0006】
日常生活において通信を行うための電子機器のますます大きくなる役割が、そうした電子/デジタル・マネーが金融取引をどれくらい容易にすることができるかを理解する手助けとなる。
【背景技術】
【0007】
電子マネーを生成するための多くの試みがなされている。これらの電子マネーが基づくシステムは、特に偽造に関して、又はこれらの電子マネーの取引のセキュリティ、流通及び追跡可能性に関しても極めて多くの欠点を有する。
【0008】
大多数のこれらのシステムは、閉じたループのシステムで動作し、それによって特定のネットワーク内のみでしか取引を遂行することができず、したがってこれらの電子マネーの全体的な持続性、有用性及び相互運用性が制限される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
それゆえ、本発明の目的は、上記の欠点を示さず、実施するのが特に簡単な、電子/デジタル銀行券を生成する新しく安全な方法を提案することである。
【0010】
本発明の別の目的は、贋造又は偽造することができない電子/デジタル銀行券を生成する新奇な方法を提案することである。
【0011】
したがって、本発明の目的は、実行するのが簡単であり、また非常に低い運用コストを含む、電子/デジタル銀行券を生成する新しい方法を提案することである。
【0012】
本発明の別の目的は、前記方法を実行するための新奇な機械を提案することである。
【0013】
本発明の別の目的は、信頼性があり、適応性があり、コスト効率が良い、電子/デジタル銀行券を生成するための新奇な機械を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明に与えられた目的は、以下のステップを含む、電子/デジタル銀行券を生成する方法の助けを借りて実現される。すなわち、
a)既存の銀行券の物理的及び/又は数値パラメータを収集するステップ、
b)収集されたパラメータの少なくとも一部に基づいて第1のコードを生成するために、第1のコンピュータ手段のファイル記憶装置に保存された第1のアルゴリズムを使用するステップ、
c)一意のコード番号を生成するために、第2のコンピュータ手段のファイル記憶装置に保存された番号付けアルゴリズムを使用するステップ、
d)第1のコードをコード番号と組み合わせて、収集された物理的及び/又は数値パラメータのデータを統合するハッシュされた一意の第2のコードを生成するステップ、及び
e)第2のコードを電子/デジタル銀行券の属性とするステップである。
【0015】
中央銀行のレベルで生成された電子/デジタル銀行券は、したがって漸次既存の銀行券(若しくは紙幣)の代用物又は代替物になるであろう。
【0016】
本発明による実施態様において、本方法は、ステップd)及びe)を実行するために第1のコンピュータ手段を使用するステップから成る。
【0017】
本発明による実施態様において、本方法は、収集された物理的及び/又は数値パラメータのハッシュされた及び/又は変換されたデータに基づいて、ランダムなコードを生成する第1のアルゴリズムを使用するステップを含む。
【0018】
本発明による実施態様において、本方法は、第1のコードに組み合わせられる一意のランダムなコード番号を生成する番号付けアルゴリズムを使用するステップを含む。
【0019】
本発明による実施態様において、本方法は、安全で保証された環境内で可読支持体に第2のコードを記憶するステップを含む。
【0020】
本発明による実施態様において、本方法は、電子/デジタル銀行券の識別、及び電子/デジタル銀行券の数値転送の認証のために第2のコードを使用するステップを含む。
【0021】
本発明による実施態様において、本方法は、前記銀行券を番号付けするステップに先立って、従来の銀行券の生産ラインで生産される実物の銀行券シートの検知された物理的パラメータを使用するステップを含む。
【0022】
本発明による実施態様において、本方法は、収集された物理的パラメータの少なくとも一部を構成するために、実物の銀行券の従来の製作中に生じる構造的及び/又は印刷パラメータのランダムな揺らぎを使用するステップから成る。
【0023】
本発明による実施態様において、本方法は、パラメータが収集された後、銀行券シートを破棄するステップから成る。
【0024】
本発明による別の実施態様において、本方法は、既存の銀行券の物理的な銀行券見本からの検知された物理的パラメータを使用するステップを含む。
【0025】
本発明による別の実施態様において、本方法は、従来の銀行券の生産ラインで生産される実物の銀行券シートを規定する、CAD手段によって生成される、数値パラメータを使用するステップを含む。
【0026】
本発明による別の実施態様において、本方法は、既存の銀行券シートの物理的な銀行券見本からの検知された物理的パラメータを使用するステップ、及び従来の銀行券の生産ラインで生産される既存の銀行券シートを規定する、CAD手段によって生成される、数値パラメータを使用するステップを含む。
【0027】
本発明による実施態様において、本方法は、一意のコード番号を生成するために従来の銀行券の生産ラインの番号付け手段を使用するステップを含む。
【0028】
本発明に与えられた目的は、以下を含む、特に請求項1から13までのいずれか一項に記載された方法を実行することによって、電子/デジタル銀行券を生成するための機械の助けを借りて実現される。すなわち、
【0029】
既存の銀行券の物理的及び/又は数値パラメータを収集するための手段、
【0030】
収集されたパラメータの少なくとも一部に基づいて第1のコードを生成するための第1のアルゴリズムが保存されるファイル記憶装置を備える第1のコンピュータ手段、
【0031】
一意のコード番号を生成するための番号付けアルゴリズムが保存されるファイル記憶装置を含む第2のコンピュータ手段、及び
【0032】
ハッシュされた一意の第2のコードを生成するために、及び前記第2のコードを電子/デジタル銀行券の属性とするために第1のコードをコード番号と組み合わせるためのソフトウェア手段を含む。
【0033】
本発明による機械の実施例において、ソフトウェア手段が第1のコンピュータ手段にロードされる。
【0034】
本発明による機械の実施例において、第1のコンピュータ手段は、改竄防止ブラックボックスに統合される。
【0035】
本発明による機械の実施例において、パラメータを収集するための手段は、既存の銀行券の物理的パラメータを認識するための光学及び/又は電磁センサ手段を備える。
【0036】
本発明による実施例において、本機械は、以下を備える。すなわち、
【0037】
銀行券シートのための入力システム、
【0038】
前記シートを分析し、且つ前記シートの物理的パラメータを収集するためにセンサ手段の検知領域内にシートを輸送するための透明シリンダー、及び
【0039】
分析された後に透明シリンダーからシートを拾い上げるための、及び分析されたシートを排出システムに送り込むための抽出シリンダーである。
【0040】
本発明による機械の実施例において、本機械は、シートの第1の面の分析の後にシートを裏返すための、及び補足的な分析のために前記シートのもう一方の面を透明シリンダー上に配置するための、抽出シリンダーと協働する追加のシリンダーを備える。
【0041】
本発明による機械の実施例において、センサ手段は、一次元カメラ及び透明シリンダーの外側に配置された可視光線反射照明器を備える。
【0042】
本発明による機械の実施例において、センサ手段は、送出される光ビームを一次元カメラの方向に放射させることができる位置に、透明シリンダー内に配置された赤外又は紫外光送出照明器を備える。
【0043】
本発明による機械の実施例において、排出システムは、分析されたシートを破棄するためにシートを切断ユニットに運ぶための移動テーブルを備える。
【0044】
本発明による機械の実施例において、本機械は、遠隔のCAD装置と第1のコンピュータ手段との間で、CAD装置に記憶されている既存の銀行券の数値パラメータに相当するデータの伝送を確立するための接続及び通信手段を備える。
【0045】
本発明による方法並びに本発明による機械の利点は、それらを、従来の銀行券の既存の生産ラインにおいて、したがって前記既存の生産ラインの形を全く変えることなく、組み合わせ、又は統合することができるという事実にある。
【0046】
本発明による機械の別の利点は、中央銀行又は別の官庁の全監督及び管理の下でその運用が行われるという事実にある。
【0047】
本発明による方法及び機械の別の利点は、電子/デジタル銀行券を規定する第2のコードを生成するのに必要なすべての手段(第1のアルゴリズム)に対するアクセス権を中央銀行が有さないという事実により、前記中央銀行が認定されていない電子/デジタル銀行券を生成することができないという点にある。中央銀行でさえ、既に存在するデジタル銀行券を、その第2のコードが一意であり、登録されているため、複写又は複製することができない。さらに、古い銀行券シートの回収は、デジタル銀行券についてはもはや必要ではない。
【0048】
本発明による機械の別の利点は、その技術的特徴があらゆる種類の既存の従来の銀行券に適応可能であり、したがって、世界のすべての中央銀行に対して最適化されうるという点にある。
【0049】
また、本発明及びその利点は、例示によって与えられる実施例についての以下の説明から、及び添付図面を参照するとより詳細に見えてくる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【
図1】
図1は、本発明による方法を説明する流れ図である。
【
図2a】
図2aは、現在の銀行券の従来の生産ラインに統合される本発明による機械の第1の実施例を使用して、本発明による方法を説明する流れ図である。
【
図2b】
図2bは、現在の銀行券の従来の生産ラインに統合される本発明による機械の第2の実施例を使用して、本発明による方法を説明する流れ図である。
【
図2c】
図2cは、現在の銀行券の従来の生産ラインに統合される本発明による機械の第3の実施例を使用して、本発明による方法を説明する流れ図である。
【
図3】
図3は、
図2cの本発明による機械の第3の実施例の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0051】
構造上及び機能的に同一で、2つ以上の別個の図又は説明図に存在する要素は、それらの図又は説明図のそれぞれにおいて同じ数値又は英数字の参照記号が与えられる。
【0052】
図1は、本発明による方法を説明する流れ図である。本発明による方法は、機械1の助けを借りて実行される。
【0053】
電子/デジタル銀行券を生成することができるこの方法は、既存の銀行券の物理的及び/又は数値パラメータを収集するステップa)を含む。
【0054】
また、本方法は、収集されたパラメータの少なくとも一部に基づいて第1のコードFCを生成するために第1のコンピュータ手段のファイル記憶装置に保存された第1のアルゴリズムFAを使用するステップb)を含む。この第1のコードFCは、「DNAコード」とも呼ばれる。第1のコンピュータ手段は、機械1に統合される、又は機械1に関連付けられるのが有利である。
【0055】
次いで、本方法は、一意のコード番号を生成するために第2のコンピュータ手段のファイル記憶装置に保存された、番号付けアルゴリズムNAを使用するステップc)を含む。そうした番号付けアルゴリズムは、例えば一意のコード番号を生成するために従来の銀行券の生産ラインの番号付け手段に記憶されている。そうした番号付け操作は、よく知られている。
【0056】
次いで、本方法は、第1のコードをコード番号と組み合わせて、収集されたパラメータのデータを統合するハッシュされた一意の第2のコードSCを生成するのが有利であるステップd)を含む。
【0057】
次いで、本方法は、第2のコードSCを電子/デジタル銀行券2の属性とするステップe)を含む。
【0058】
本発明による実施態様において、本方法は、ステップd)及びe)も実行するために第1のコンピュータ手段を使用するステップから成る。
【0059】
第1のアルゴリズムFAは、例えば収集されたパラメータのハッシュされた及び/又は変換されたデータに基づいてランダムな第1のコードFCを生成する。
【0060】
本発明による実施態様において、本方法は、番号付けアルゴリズムNAを使用して、第1のコードFCに組み合わされる一意のランダムなコード番号を生成するステップを含む。コード番号は、現在の及び既存の印刷された銀行券に対して中央銀行によって生成された種類の番号である。中央銀行の既に存在する番号付けアルゴリズムは、第1のコードFCと組み合わされるコード番号の生成に使用することができる。
【0061】
本発明による実施態様において、本方法は、安全で保証された環境内で可読支持体に第2のコードSCを記憶するステップを含む。そうした支持体は、好ましくは中央銀行内部の安全な場所に置かれる。
【0062】
本発明による実施態様において、本方法は、電子/デジタル銀行券2の識別のために、及び電子/デジタル銀行券2の数値転送の認証のために第2のコードSCを使用するステップを含む。そうしたステップは、対応する暗号化された通信手段の助けを借りて行われるのは明らかである。
【0063】
本発明による実施態様において、本方法は、前記銀行券の番号付けステップに先立って、従来の銀行券の生産ラインで生産された実物の銀行券の検知された物理的パラメータを使用するステップを含む。これらの物理的パラメータは、例えば、透かし若しくは写像パラメータ、色パラメータ、番号付けパラメータ、深堀りパラメータ、又はその他のパラメータ、或はそうしたパラメータの任意の組み合わせを含む。
【0064】
本発明による実施態様において、本方法は、収集されたパラメータの少なくとも一部を構成するために、実物の銀行券(紙の銀行券)の従来の製作中に生じる構造的及び/又は印刷パラメータのランダムな揺らぎを使用するステップを含む。そうした揺らぎは、例えば、色、くぼみ、デザイン、パターン、若しくはその他のパラメータ、又はパラメータの組み合わせに関することがある。
【0065】
本発明による実施態様において、本方法は、パラメータが収集された後、銀行券シートを破棄するステップを含む。銀行券シートが対応する一意の製作揺らぎを有する銀行券シートは、別の、したがって違法な電子/デジタル銀行券2の生成に再び使用することができない。
【0066】
本発明による別の実施態様において、本方法は、CAD手段(コンピュータ援用設計手段)によって生成され、従来の銀行券の生産ラインで生産される実物の銀行券シートを規定する数値パラメータを使用するステップを含む。これらの数値パラメータは、例えば、透かし若しくは写像パラメータ、色パラメータ、番号付けパラメータ、深彫りパラメータ、又はその他のパラメータ、或はそうしたパラメータの任意の組み合わせを含む。
【0067】
図2は、現在の銀行券の従来の生産ライン3に統合された、本発明による機械1a又は1bの実施例の概略の機能図である。機械1a又は1bは、一意の第2のコードSCが生成されるデジタル銀行券2を規定することができる。
【0068】
従来の生産ライン3は、例えば、標準的な銀行券の印刷処理に対応する連続した操作又は製作ステップを請け負うための手段を備える。
【0069】
そうした標準的な処理は、例えば以下のステップを含む。すなわち、
100)銀行券シートを、その構造、色、及び他の印刷パラメータで設計するステップから成るコンピュータ援用設計ステップ(CAD)、
200)オフセット印刷ステップ、
300)シルクスクリーン印刷ステップ、
400)凹刻印刷ステップ、
500)コード番号を銀行券の属性とすることから成る番号付けステップ、
600)及び700)銀行券の生産における他のセキュリティ要素から成る他のステップである。
上記のステップ100)から700)は、現在の銀行券の生産においてよく知られている。
【0070】
図2aに示す実施態様による機械1aは、本発明による方法のステップa)を請け負うために、標準的な銀行券印刷処理によって、具体的にはCAD手段によって、ステップ100)の直後に既存の銀行券の数値パラメータを取得する。
【0071】
図2aの実施例において、数値パラメータに相当するデータを収集するための手段は、第1のコンピュータ手段のCAD手段及び特定のソフトウェア手段への接続手段を含む。
【0072】
図2bに示す実施態様による機械1aは、本発明による方法のステップa)を請け負うために、前記見本を製作することから成る標準的な銀行券印刷処理によって、ステップ110)の直後に既存の銀行券見本の物理的パラメータを取得する。そうした見本製作は、例えばCAD手段によって推進される。銀行券見本は、実物の銀行券シートのパラメータすべてを有する。
【0073】
図2bの実施例において、見本の物理的パラメータに対応するデータを収集するための手段は、第1のコンピュータ手段に接続された走査手段を備える。パラメータを収集するための手段は、見本の物理的パラメータを認識するための光学及び/又は電磁センサ手段を含む。
【0074】
図2cに示す実施態様による機械1bは、標準的な銀行券印刷処理の番号付け操作に先立って、ステップ400の直後に既存の銀行券シート4の物理的パラメータを取得する。ステップc)の結果として生じるコード番号は、ステップ400において標準的な銀行券印刷処理の番号付けアルゴリズムによって発行される。
【0075】
図2cの実施例において、紙の銀行券シート(既存の銀行券)の物理的パラメータに対応するデータを収集するための手段は、第1のコンピュータ手段に接続された走査手段を備える。パラメータを収集するための手段は、例えば、既存の銀行券の物理的パラメータを認識するための光学及び/又は電磁センサ手段を備える。
【0076】
図3は、本発明による機械1bの別の実施例の概略図である。
【0077】
特に上記のような方法を実行することによって、電子/デジタル銀行券2を生成するための機械1bは、既存の銀行券シート4の物理的及び/又は数値パラメータを収集するための手段を備える。パラメータを収集するための手段は、既存の銀行券シート4の物理的及び/又は構造パラメータを認識するための光学及び/又は電磁センサ手段を備えるのが有利である。
【0078】
本発明による実施例において、機械1bは、銀行券シート4のための、コンベヤーなどの入力システム5を備える。
【0079】
また、機械1bは、前記シート4を分析し、且つ前記シート4の物理的パラメータの少なくとも一部を収集するために、センサ手段の検知領域7又は取得領域内にシート4を輸送するための輸送シリンダー、例えば透明シリンダー6を含む。
【0080】
透明シリンダー6は、真空が加えられる貫通開口又はスルーホールを提供する。真空クリッピング方式などの真空を生成するための対応する手段は、そうした用途では既に知られている。
【0081】
実施例において、センサ手段は、透明シリンダー6の外側に配置された一次元カメラ6a及び可視光線反射照明器6bを備える。可視光のビームは、透明シリンダー6の外側表面上の検知領域7の範囲を定める。
【0082】
実施例において、センサ手段は、透明シリンダー6内に、より精密には送出される光ビームを一次元カメラ6aの方向に放射させることができる位置に配置された赤外又は紫外光送出照明器6cを含む。
【0083】
実施例において、センサ手段は、異なる波長又は特定の波長を使用することができる。
【0084】
また、機械1bは、分析された後に、及び分析されたシート4を排出システム9に送り込むために、シート4を透明シリンダー6から拾い上げるための抽出シリンダー8を含む。
【0085】
抽出シリンダー8は、例えば、透明シリンダー6よりも小さな径を有し、前記透明シリンダー6に対する位置調整を行うために垂直方向Vに移動することができる。
【0086】
本発明による実施例において、機械1bは、シート4の第1の面の分析の後にシート4を裏返すための、及びシート4の第2の面の分析のためにシート4の第1の面を透明シリンダー6上に配置するための、抽出シリンダー8と協働する追加のシリンダー10を備える。追加のシリンダー10は、遠隔位置と、シート4を拾い上げるために抽出シリンダー8に接触する第1の位置と、シート4のもう一方の面を前記透明シリンダー6上に配置するために透明シリンダー6に接触する第2の位置との間で駆動されるのが有利である。銀行券シート4の両面をそのようにして分析することができる。
【0087】
追加のシリンダー10は、例えば、透明シリンダー6よりも小さな径を有し、例えば、前記透明シリンダー6に対する位置調整を行うために、及び抽出シリンダー8に対する位置調整を行うために少なくとも1つの方向Dに移動することができる。
【0088】
また、真空手段は、シート4を抽出シリンダー8及び追加のシリンダー10の外側表面に固定するために使用される。
【0089】
排出システム9は、シート4を短冊状に小さくするためにシート4を切断ブレード9bに運ぶための、そうして分析されたシート4を破棄するための移動テーブル9aを備える。切断ブレード9bは、短冊を寸法が3mm未満の細片へと小さくするグラインダー12に短冊を運ぶためのコンベヤー・ベルト11に関連付けられるのが有利である。
【0090】
また、実施例における機械1bは、グラインダー12から来る小さくなった細片の重さを量るための精密な計量システム13を備える。分析されたシート4がすべて破棄され、再び使用することができないということを確かなものとすることができる。
【0091】
分析されたシート4は、透明シリンダー6から放出され、そこで抽出シリンダー8が真空クリッピング・システムによって前記シート4を引き取り、前記シート4を移動テーブル9aに輸送する。次いで、シート4の短冊は、重力によって、グラインダー12に送り込むコンベヤー・ベルト11上に落下する。次いで、シート4は、現在の銀行券破壊の規制を順守するために十分に小さな寸法の細片にされる。最終的な細片は、ステンレス・スチール容器14に収集される。次いで、精密な計量システム13によって、デジタル銀行券2を作成するために使用されたシート4が破壊されたことの妥当性検証が行われる。シート4の実際の重さの初期データ及び抽出された細片の重さが一致している場合に限り、この妥当性検証が行われる。次いで、機械1bは、パラメータの取得の妥当性検証を行い、続けて暗号化の次の段階に進むことを許可する。
【0092】
また、機械1bは、透明シリンダー6、抽出シリンダー8、追加のシリンダー10、一次元カメラ6a並びに真空手段の動作を制御するための駆動手段を備える。
【0093】
また、機械1bは、収集されたパラメータの少なくとも一部に基づいて第1のコードFCを生成するための第1のアルゴリズムFAが保存されるファイル記憶装置を有する第1のコンピュータ手段を備える。
【0094】
また、機械1bは、一意のコード番号を生成するための番号付けアルゴリズムNAが保存されるファイル記憶装置を有する第2のコンピュータ手段を備える。また、第2のコンピュータ手段は、機械1a又は1bに関連付けられてもよく、遠隔地、例えば、中央銀行内に位置してもよい。
【0095】
また、機械1bは、ハッシュされた一意の第2のコードSCを生成するために、及び前記第2のコードSCを電子/デジタル銀行券2の属性とするために第1のコードFCをコード番号と組み合わせるためのソフトウェア手段を備える。このソフトウェア手段は、例えば第1のコンピュータ手段にロードされている。
【0096】
第1のコンピュータ手段は、改竄防止ブラックボックスに統合されるのが有利である。そのため機械1b又は1aの製造業者のみが、前記ブラックボックスに収容されているものについての、特に第1のアルゴリズムFAを構成する詳細な命令についての知識を有する。
【0097】
機械1aは、遠隔のCAD装置と第1のコンピュータ手段との間のデータ伝送を確立するための接続及び通信手段を備える実施例であり、このデータがCAD装置に記憶されている既存の銀行券の数値パラメータに相当する。そのため数値パラメータのうちのいくつかは、第1のコードFCを生成するために使用されてもよい。
【0098】
本発明による実施態様において、デジタル銀行券2を生成する方法は、下記の通り実行される。
【0099】
番号付け段階の前であるが印刷が完了し、ステップ400で生産ラインから抽出されたシート4は、入力ユニット5に置かれる。
【0100】
シート4は、シート4のブロッキングを保証する真空クリッピング・システムの助けを借りて透明シリンダー6から取り去られる。次いで、シート4は、透明シリンダー6から移動し、その結果シート4は、センサ手段によって全シート4が高精細(RGB、IR)で走査された画像のマルチ・スペクトルのグループが提供されるデータ収集領域又は検知領域7を通過する。このグループは、反射可視光で及び/又は透過赤外光で取得されたカラー画像(若しくはRGB)を含む。
【0101】
取得又は検知領域7と並んで、「擬似ランダムな」方法で変更されるシート4の速度は、一定の周波数において一次元走査によって生じているマルチ・スペクトルの取得である。
【0102】
擬似ランダムな変更成分を含む取得画像それぞれについてのこの取得技法は、一意で、再現することができない。後続の取得画像もすべてさまざまなランダムな動き特性を有し、シート4の位置とさまざまに同期する。
【0103】
画像が高解像度であるため、取得データは、考慮対象にあるシート4の一意の構造的特性に関する情報を含む。物理的パラメータとも呼ばれるこれらの特性は、シート4の生産工程のランダムな揺らぎから生成される。そうした揺らぎは、例えば、基板の組成におけるランダムなばらつき、及び印刷処理の間に生成されるランダムなばらつき又は擬似ランダムなばらつきを含む。また、これらの揺らぎのサイズ、複雑さ、及び不規則性は、シート4のデジタル指紋のように使用されてもよい。
【0104】
次いで、本発明により取得された情報は、一意の方法で特徴づけられており、シート4の動きに関するランダムなばらつきの影響を含むので、複製することができない。
【0105】
次いで、紙又はシート4のマルチ・スペクトル画像が、データ処理システム又は第1のコンピュータ手段に送られ、そこで紙又はシート4が分析され、大容量記憶装置バックアップ・システムに永久記憶される。したがって、一意の画像が第2のコードSCに関連付けられた唯一の要素として残る。
【0106】
本発明による実施態様において、情報の分析を通して、規定された一定の要素は、除去されるのが好ましく、基板又はシート4の印刷された構造のランダムなばらつきに関連付けられた本質的なデータが抽出される。
【0107】
当然ながら、本発明は、その実施態様について数多くの変形がなされてもよい。いくつかの実施例及び実施態様について上で説明したが、あらゆる可能性のある変形形態を余す所なく確認することは、考えられないことを理解されたい。当然ながら、本発明の範囲を逸脱せずに、記載した手段のいずれも、又は記載したステップのいずれも等価な手段、又は等価なステップと置き換えることを想像することができる。