(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
スクイズ変形可能なプラスチックからなる容器本体の口首部に取り付けて用いられ、該容器本体の胴部のスクイズ変形により先端の吐出口から内容液を吐出させるスクイズ容器用キャップであって、
当該キャップの前記吐出口への流出開口が形成された天面部の下面の下方に近接させて、又は天面部の下面に密着させて、装着部材が重ねて取り付けられることで、前記天面部の下面に沿って延設する延長流路が形成されており、該延長流路は、前記天面部の流出開口と連通すると共に、前記装着部材に形成された流入口を介して前記容器本体の口首部と連通しており、
前記延長流路は、絞り部を介して連続する、前記流出開口側の端部分の液吐出流路と、該液吐出流路よりも前記流入口側の部分の液保留流路とを備えており、該液保留流路の容積は、前記液吐出流路の容積よりも大きくなっており、前記絞り部を挟んだ前記液吐出流路側の断面積は、前記液保留流路側の断面積よりも小さくなっており、
前記液保留流路には、前記液保留流路を分割する少なくとも1枚の仕切壁が、前記液保留流路の延設方向に延設して設けられており、
前記延長流路は、前記天面部の下面に沿って渦巻状に延設する渦巻流路となっているスクイズ容器用キャップ。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の好ましい第1実施形態に係るスクイズ容器用キャップ10を取り付けたスクイズ容器11である。
図1に示すように、スクイズ容器用キャップ10は、スクイズ変形可能なプラスチックからなる容器本体12の口首部12aに取り付けて用いられる。スクイズ容器用キャップ10は、先端に吐出口13aが開口形成されたノズル部19を有しており、使用者が容器本体12の胴部12bを把持してスクイズ容器11を傾倒又は倒立させることでノズル部19の先端の吐出口13aを吐出箇所に向けた後に、容器本体12の胴部12bをスクイズ(圧搾)し容器本体12を変形させることにより、内容液を胴部12bから口首部12aを介してスクイズ容器用キャップ10のノズル部19に送り出して、吐出口13aから所定量吐出させることができるようになっている。さらに、スクイズ容器用キャップ10は、ノズル部19の吐出口13aを吐出箇所に向けた後、容器本体12の胴部12bをスクイズするまでの間に、内容液が容器本体12の内圧や内容液の自重によって吐出口13aから漏出したり液垂れしたりするのを回避できる機能を備えると共に、胴部12bをスクイズした際には、内容液をスムーズに吐出させることができる機能を備える。
【0013】
すなわち、本実施形態に係るスクイズ容器用キャップ10は、スクイズ変形可能なプラスチックからなる容器本体12の口首部12aに取り付けて用いられ、容器本体12の胴部12bのスクイズ変形により先端の吐出口13aから内容液を吐出させるキャップである。スクイズ容器用キャップ10には、当該キャップ10の吐出口13aへの流出開口15が形成された天面部10aの下面に密着させて、装着部材17が重ねて取り付けられることで、天面部10aの下面に沿って延設する延長流路14が形成されている。この延長流路14は、
図2及び
図3にも示すように、天面部10aの流出開口15と連通すると共に、装着部材17に形成された流入口18を介して容器本体12の口首部12aと連通している。延長流路14は、
図3に示すように、絞り部としての段差壁部22を介して連続する、流出開口15側の端部分の液吐出流路14aと、この液吐出流路14aよりも流入口18側の部分の液保留流路14bとを備えており、この液保留流路14bの容積は、液吐出流路14aの容積よりも大きくなっている。また、絞り部(段差壁部)22を挟んだ液吐出流路14側の断面積は、液保留流路14b側の断面積よりも小さくなっている。
【0014】
また、本第1実施形態では、
図3に示すように、流出開口15と接続する天面凹溝20が天面部10aの下面に形成されていると共に、流入口18と接続する装着凹溝21が装着部材17の上面に天面凹溝20と合致する形状に形成されている。天面凹溝20と装着凹溝21とが重なり合うように装着部材17が取り付けられていることにより、重なり合った天面凹溝20及び装着凹溝21によって、流入口18から流出開口15に至る延長流路14が形成されるようになっている。 また、本第1実施形態では、
図3に示すように、流出開口15と接続する天面凹溝20が天面部10aの下面に形成されていると共に、流入口18と接続する装着凹溝21が装着部材17の上面に天面凹溝20と合致する形状に形成されている。天面凹溝20と装着凹溝21とが重なり合うように装着部材17が取り付けられていることにより、重なり合った天面凹溝20及び装着凹溝21によって、流入口18から流出開口15に至る延長流路14が形成されるようになっている。
【0015】
さらに、本第1実施形態では、延長流路14は、天面部10aの下面に沿って渦巻状に延設する渦巻流路となっており、液吐出流路14aと液保留流路14bとの間の絞り部は、段差壁部22となっている。
【0016】
なお、容器本体12に収容可能な内容液としては、計量して使用する液状組成物が含まれ、例えば衣料用液体洗浄剤、柔軟剤、漂白剤、液体入浴剤等が挙げられる。また、食油、調味料等の液状の食品であっても良い。
【0017】
本第1実施形態では、容器本体12は、スクイズ変形可能な可撓性を有するボトル形状のプラスチック容器であって、
図1に示すように、内容液が収容される胴部12bと、胴部12bの上端部から上方に突出して形成された、上端が開口面となった口首部12aとからなる。口首部12aには、スクイズ容器用キャップ10が、公知の各種の螺合手段や嵌合手段を介して着脱可能に装着される。また、容器本体12は、公知の各種の合成樹脂を用いて、例えばブロー成形によって容易に形成することができる。
【0018】
スクイズ容器用キャップ10は、例えばプラスチック製の成形品であって、円形の天面部10aと、天面部10aの周縁部分から一体として下方に延設する、円環スカート形状の周壁部10bとを含んで構成される。天面部10aには、これの中央部分の流出開口15の外周部分から上方に突出して、ノズル部19が設けられている。ノズル部19は、天面部10aから立設する筒状中間部19bと、筒状中間部19bの先端部分に固着されたノズル本体19aとからなる。またノズル部19の筒状中間部19b及びノズル本体19aを上下方向に貫通して、流出開口15から吐出口13aに至る吐出流路13が形成されている。ノズル部19には、ノズル本体19aの先端の吐出口13aを開閉可能に覆う蓋体23が接合されており、スクイズ容器11の保管時には吐出口13aを密封しておくことができる。
【0019】
また、円環スカート形状の周壁部10bには、例えば略下半部分の内側面に雌ネジが設けられており、この雌ネジが、例えば容器本体12の口首部12aの外周面に設けられた雄ネジに締着されることにより、キャップ10が着脱可能に口首部12aに装着される。さらに、周壁部10bの内側には、天面部10aの下面から下方に向かって突出する環状装着突起16が設けられている。この環状装着突起16の内側に装着部材17を上方に向けて嵌め込むようにして取り付け、例えば装着部材17の下面の周縁角部を環状装着突起16の下端内側面に設けた係止リブ16aに係止することで、装着部材17が、その上面を天面部10aの下面に重ねて密着させた状態で、キャップ10の内部に固着されることになる。
【0020】
さらに、本実施形態では、キャップ10の天面部10aの下面における周囲が環状装着突起16によって囲まれる部分には、後述するように、装着部材17の上面に形成された渦巻状の装着凹溝21の平面形状と合致する平面形状を備える渦巻状の天面凹溝20が、中央部分において流出開口15と接続した状態で形成されている(
図3参照)。
【0021】
装着部材17は、例えばプラスチック製の成形品であって、
図3に示すように、円形ドラム形状を有している。また装着部材17には、これの上面に所定の平面形状及び深さの溝を形成することで、吐出部装着凹溝21aと、保留部装着凹溝21bとからなる、渦巻状の装着凹溝21が設けられている。さらに、保留部装着凹溝21bの始端部である、吐出部装着凹溝21aとは反対側の保留部装着凹溝21bの端部には、装着部材17の底面部を貫通して流入口18が開口形成されている。
【0022】
ここで、本第1実施形態では、装着凹溝21を構成する保留部装着凹溝21bは、矩形断面形状を有する溝として、装着部材17の周縁部分に沿って平面形状が略半円を描くように延設して設けられている。また、吐出部装着凹溝21aは、装着部材17の底面と垂直な段差壁部22を介在させて、保留部装着凹溝21bの底部よりも一段高い位置に設けられる。吐出部装着凹溝21aは、半円断面形状を有する溝として、保留部装着凹溝21bの終端部と連続して平面形状が保留部装着凹溝21bよりも曲率半径の小さな円弧を描くように保留部装着凹溝21bの内側に向って延設し、その終端部が装着部材17の中心部分に配置されるように設けられている。吐出部装着凹溝21a及び保留部装着凹溝21bによって、装着凹溝21は、全体として渦巻状に延設する渦巻溝を形成することになる。
【0023】
さらに、本第1実施形態では、保留部装着凹溝21bには、当該保留部装着凹溝21bを左右に仕切って2分割する1枚の装着凹溝仕切壁25が、保留部装着凹溝21bの底部から垂直に立設すると共に、保留部装着凹溝21bの延設方向に延設して、流入口18の部分を除いた当該保留部装着凹溝21bの略全域に亘って設けられている。
【0024】
一方、装着部材17の装着凹溝21と重なり合って延長流路14を形成する天面凹溝20は、
図3に示すように、キャップ10の天面部10aの下面に所定の深さの溝を形成することで、装着凹溝21の渦巻状の平面形状と合致する平面形状を有するように設けられる。すなわち、天面凹溝20は、キャップ10の天面部10aの下面と装着部材17の上面との密着面27(
図1、
図2参照)を挟んで吐出部装着凹溝21aと対向配置される吐出部天面凹溝20aと、保留部装着凹溝21bと対向配置される保留部天面凹溝20bとからなる。
【0025】
ここで、天面凹溝20を構成する保留部天面凹溝20bは、保留部装着凹溝21bと同様に、矩形断面形状を有する溝として、キャップ10の天面部10aの環状装着突起16(
図1参照)によって囲まれる部分の周縁部分に沿って、平面形状が略半円を描くように延設して設けられている。また、吐出部天面凹溝20aは、キャップ10の天面部10aと垂直な段差壁部22を介在させて、保留部天面凹溝20bの底部よりも一段低い位置に設けられている。吐出部天面凹溝20aは、半円断面形状を有する溝として、保留部天面凹溝20bの終端部と連続して平面形状が保留部天面凹溝20bよりも曲率半径の小さな円弧を描くように保留部天面凹溝20bの内側に向って延設し、その終端部がキャップ10の天面部10aの中央部分に配置されるように設けられている。また吐出部天面凹溝20aは、天面部10aの中央部分に配置される終端部において、天面部10aに設けられた流出開口15と連通するようになっている。吐出部天面凹溝20a及び保留部天面凹溝20bによって、天面凹溝20は、装着凹溝21と同様に、全体として渦巻状に延設する渦巻溝を形成することになる。
【0026】
さらに、本第1実施形態では、保留部天面凹溝20bには、保留部装着凹溝21bと同様に、当該保留部天面凹溝20bを左右に仕切って2分割する1枚の天面凹溝仕切壁26が、保留部天面凹溝20bの底部から垂直に立設すると共に、保留部天面凹溝20bの延設方向に延設して、当該保留部天面凹溝20bの略全域に亘って、保留部装着凹溝21bの装着凹溝仕切壁25と合致する位置に設けられている。
【0027】
そして、本第1実施形態では、環状装着突起16(
図1参照)の内側に装着部材17を嵌め込むようにして取り付けて、天面凹溝20と装着凹溝21とを重ね合わせると共に、キャップ10の天面部10aの下面に装着部材17の上面を密着させることで、液吐出流路14aと液保留流路14bとからなる延長流路14が形成される。すなわち、天面部10aの下面と装着部材17の上面との密着面27に沿って対向配置された半円断面形状を有する吐出部天面凹溝20aと吐出部装着凹溝21aとによって、円形断面形状の液吐出流路14aが形成されると共に、密着面27に沿って対向配置された矩形断面形状を有する保留部天面凹溝20bと保留部装着凹溝21bとによって、矩形断面形状の液保留流路14bが形成される。
【0028】
また、円形断面形状を有する液吐出流路14aと矩形断面形状を有する液保留流路14bは、段差壁部22による絞り部を挟んで連続することで、全体として、キャップ10の天面部10aの下面に沿って渦巻状に延設する延長流路14を形成する。形成された延長流路14は、液吐出流路14aの終端部において、キャップ10の天面部10aの中央部分に設けられた流出開口15と連通すると共に、液保留流路14bの始端部において、装着部材17の周縁部分に設けられられた流入口18と連通することになる。
【0029】
さらに、本第1実施形態では、装着部材17が取り付けられて天面凹溝20と装着凹溝21とが重ね合わされた際に、
図2に示すように、保留部天面凹溝20bを仕切る天面凹溝仕切壁26の下端と、これと合致する形状を有する、保留部装着凹溝21bを仕切る装着凹溝仕切壁25の上端とが互いに密着当接して、これらが上下方向に連続一体化することで、液保留流路14bには、当該液保留流路14bを左右に仕切って2分割する仕切壁25,26が、液保留流路14bの延設方向に延設して設けられることになる。
【0030】
そして、本第1実施形態では、段差壁部22を介して連続する液吐出流路14aと液保留流路14bとは、液保留流路14bの容積が、液吐出流路14aの容積よりも大きくなっており、且つ段差壁部22を挟んだ液吐出流路14側の断面積は、液保留流路14b側の断面積よりも小さくなっている。
【0031】
ここで、液吐出流路14aの容積は、液保留流路14bの容積の10〜80%の容積となっていることが好ましく、10〜60%の容積となっていることがさらに好ましく、10〜40%の容積となっていることが特に好ましい。液吐出流路14aと液保留流路14bとの容積比がこの範囲になっていることにより、液保留流路14bによって液ダレを防止しつつ、小容量の液吐出流路14aによって短時間で内容液を吐出でき、吐出性が向上するという利点が得られる。なお、液吐出流路14aや液保留流路14bの容積は、流出開口15や流入口18との接続部分を除いた全体の容積である。
【0032】
また、段差壁部22を挟んだ液吐出流路14側の断面積は、液保留流路14b側の断面積の10〜80%の断面積となっていることが好ましく、10〜60%の断面積となっていることがさらに好ましく、10〜40%の断面積となっていることが特に好ましい。段差壁部22を挟んだ液吐出流路14側の断面積と液保留流路14b側の断面積との断面積比がこの範囲となっていることにより、容器を傾けたときや吐出後の液ダレを効果的に防止できるという利点が得られる。さらに、液吐出流路14aと液保留流路14bとを段差壁部22による絞り部を挟んで連続させることにより、流動抵抗が生じて液ダレの防止効果が高くなる。
【0033】
さらに、本第1実施形態では、延長流路14は、円形断面形状の液吐出流路14aと矩形断面形状の液保留流路14bとが段差壁部22を挟んで連続することで、段差壁部22よりも流出開口15側の液吐出流路14aは、上下方向のみならず左右方向においても、矩形断面形状の液保留流路14bから絞られた断面形状を有するように形成されている。
【0034】
そして、上述の構成を備える本第1実施形態のスクイズ容器用キャップ10によれば、簡易な構成によって、スクイズする前の内容液の漏出や液垂れを効果的に回避できると共に、吐出量の安定化と良好な液切れを得ること等の内容液を吐出する際の吐出性をさらに向上させることが可能になる。
【0035】
すなわち、本第1実施形態のスクイズ容器用キャップ10によれば、当該キャップ10の天面部10aの下面に密着させて装着部材17を重ねて取り付けるだけの簡易な構成によって、容器本体12の口首部12aからノズル部19の先端の吐出口13aに至る流路を延長するための延長流路14を、天面凹溝20と装着凹溝21とによって、垂直方向には流路を重ねることなくキャップ10の内部にコンパクトに形成することが可能になる。
【0036】
また、液吐出流路14aと液保留流路14bとからなる延長流路14が形成されることにより、内容液を吐出させるためにスクイズ容器11を傾倒又は倒立させた際に、内容液は、曲折延長された延長流路14のうち、特に液保留流路14bを通過するのにある程度の時間を要し、また内容液が延長流路14を通過して吐出されている間は、内容液は延長流路14の壁面全体に接触していることにより、延長流路14内における空気置換を回避しつつ、内容液を延長流路14に長時間保留させることが可能になる。これによって、スクイズ容器11を傾倒又は倒立させて吐出口13aを吐出箇所に向けた後に、容器本体12の胴部12bをスクイズするまでの間に、内容液が容器本体12の内圧や自重によって吐出口13aから漏出したり液垂れしたりするのを効果的に回避することが可能になると共に、吐出量の安定化を図ることが可能になる。
【0037】
さらに、上述のように胴部12bをスクイズする前の内容液の漏出や液垂れを効果的に回避できることから、スクイズした状態を開放した際の内容液のバックサクションによる良好な液切れを得ることが可能になる。このようなバックサクションによる液切れは、渦巻状に曲折延長された延長流路14の容積を、スクイズ容器11をスクイズした際の、容器本体12の変形による胴部12bの容積の減少量よりも小さくしておくことにより、さらに良好な液切れ効果を得ることが可能になる。本実施形態では、延長流路14は、流出開口15側の端部分の液吐出流路14aが、上下方向のみならず左右方向においても、液保留流路14bから絞られた断面形状を有するように形成されているので、バックサクションによる液切れ効果を一層向上させることが可能になる。
【0038】
さらにまた、本第1実施形態では、延長流路14は、容積が小さく且つ断面積が小さな流出開口15側の端部分の液吐出流路14aと、容積が大きく且つ断面積が大きな液吐出流路14aよりも流入口18側の部分の液保留流路14bとからなるので、容器11を傾けたときに、液保留流路14bに内容液を保留することで液だれを防止できることに加えて、吐出時には内容液は摩擦抵抗が小さい液吐出流路14aを通過することになるため、内容液を吐出する際の吐出性をさらに向上させることが可能になる。
【0039】
また、本第1実施形態では、延長流路14が水平方向の渦巻流路となっているので、良好な液ダレ防止効果を有すると共に、流路を長くすることができ、かつ流路をコンパクトにできるため、キャップを小さくして樹脂量を少なくできるという作用効果が得られる。さらに、液保留流路14bを左右に仕切って分割する仕切壁25,26が設けられているので、仕切壁25,26によって接触面が増えるために、内容液と仕切壁25,26との間で摩擦抵抗が生じて、液ダレ防止効果をさらに向上させることが可能になる。
【0040】
図4は、本発明の好ましい第2実施形態に係るスクイズ容器用キャップ30を示している。本第2実施形態に係るスクイズ容器用キャップ30は、円形の天面部30aと、天面部30aの周縁部分から一体として下方に延設する、円環スカート形状の周壁部30bとを含んで構成されており、上記第1実施形態のスクイズ容器用キャップ10と同様に、スクイズ容器11の容器本体12の口首部12aに取り付けて用いられる。また、天面部30aには、これの中央部分に流出開口31が形成されおり、流出開口31の外周部分から上方に突出して、先端に吐出口32aを備えるノズル部32が設けられている。
【0041】
本第2実施形態では、キャップ30の天面部30aの下面には天面凹溝は設けられておらず、環状装着突起33によって囲まれる部分の天面部30aの下面は、平坦な面となっている。そして、本第2実施形態では、環状装着突起33によって囲まれる部分の天面部30aの平坦な下面に密着させて、吐出部凹溝34aと保留部凹溝34bとからなる凹溝34が上面に形成された、
図5(a)、(b)に示すような装着部材35が重ねて取り付けられる。これによって、天面部の下面に沿って延設する延長流路36が形成される。
【0042】
すなわち、装着部材35は、上記第1実施形態の装着部材17と同様に、相当の厚さを有する円形ドラム形状を有するプラスチック製の成形品であって、これの上面に所定の平面形状及び深さの溝を形成することで、吐出部凹溝34aと、保留部凹溝34bとからなる、渦巻状の凹溝34が設けられている。さらに、保留部凹溝34bの始端部である、吐出部凹溝34aとは反対側の保留部凹溝34bの端部には、装着部材35の底面部を貫通して流入口37が開口形成されている。
【0043】
また、本第2実施形態では、凹溝34を構成する保留部凹溝34bは、矩形断面形状を有する溝として、装着部材35の周縁部分に沿って平面形状が略半円を描くように延設して設けられている。吐出部凹溝34aは、装着部材35の底面と垂直な段差壁部38を絞り部として介在させて、保留部凹溝34bの底部よりも一段高い位置に設けられる。吐出部凹溝34aは、半円断面形状を有する溝として、保留部凹溝34bの終端部と連続して平面形状が保留部凹溝34bよりも曲率半径の小さな円弧を描くように保留部凹溝34bの内側に向って延設し、その終端部が装着部材35の中心部分に配置されるように設けられている。吐出部凹溝34a及び保留部凹溝34bによって、凹溝34は、全体として渦巻状に延設する渦巻溝を形成することになる。
【0044】
さらに、本第2実施形態では、天面部30aの下面に突出する環状装着突起33の内側に装着部材35を下方から嵌め込むようにして取り付けて(
図4参照)、装着部材35を天面部30aに重ね合わせると共に、キャップ30の天面部30aの平坦な下面に装着部材35の上面を密着させることで、液吐出流路36aと液保留流路36bとからなる延長流路36が形成される。すなわち、天面部30aの下面との密着面39に沿って配置された装着部材35の上面の半円断面形状を有する吐出部凹溝34aによって、半円形断面形状の液吐出流路36aが形成されると共に、密着面39に沿って配置された装着部材35の上面の矩形断面形状を有する保留部凹溝34bによって、矩形断面形状の液保留流路36bが形成される。
【0045】
そして、本第2実施形態のスクイズ容器用キャップ30によっても、容積が小さく且つ断面積が小さな流出開口31側の端部分の液吐出流路36aと、容積が大きく且つ断面積が大きな液吐出流路36aよりも流入口37側の部分の液保留流路36bとからなる延長流路36を備えているので、上記第1実施形態のスクイズ容器用キャップ10と略同様の作用効果が奏される。
【0046】
本発明は上記各実施形態に限定されることなく種々の変更が可能である。例えば、天面部の下面に沿って延設する延長流路は、キャップの天面部の下面に設けられた凹溝や装着部材の上面に設けられた凹溝によって形成されるものである必要は必ずしも無く、内部に液吐出流路と液保留流路とからなる延長流路が予め形成された装着部材を、天面部の下面に重ねて嵌め込むことで、天面部の下面に沿って延長流路を形成することもできる。
【0047】
例えば、
図6に示すように、隙間部80を介在させて流出開口81と接続されることになる上側凹溝82が下面に形成された上側装着部材83と、流入口84と接続する下側凹溝85が上側凹溝82と合致する形状となるように上面に形成された下側装着部材86とを、重ね合わせて一体化することで、内部に液吐出流路87aと液保留流路87bとからなる延長流路87が予め形成された装着部材88を形成することができる。この装着部材88を、上端部内側に嵌合部89aが設けられた環状装着突起89に嵌め込むことによって、キャップ90の天面部90aの下面に沿って延長流路87を形成することができる。この場合に、吐出口90bへの流出開口81が形成されたキャップ90の天面部90aの下面の下方に近接させて、当該下面との間に隙間部80を介在させた状態で装着部材88が重ねて取り付けられることになる。また延長流路87は、天面部90aの流出開口81と、隙間部80を挟んで連通することになると共に、装着部材88に形成された流入口84を介して容器本体の口首部と連通することになる。
図6に示すスクイズ容器用キャップ90によっても、上記第1実施形態のスクイズ容器用キャップ10と略同様の作用効果が奏される。
【0048】
また、液吐出流路は、円形断面形状以外の、楕円断面形状、矩形形状等のその他の種々の断面形状を備えていても良く、液保留流路は、矩形断面形状以外の、円形断面形状、三角形断面形状等のその他の種々の断面形状を備えていても良い。
【0049】
さらに、本発明の効果を奏する範囲であれば、液吐出流路と液保留流路との間の絞り部は、段差壁部となっている必要は必ずしも無く、例えば
図7に示すように、液保留流路41から液吐出流路42に向けて断面積を滑らかに縮小させるテーパー状の絞り部40であっても良い。延長流路は、渦巻状に延設する渦巻流路となっている必要は必ずしも無い。また液保留流路を横断方向に分割する仕切壁を設ける必要は必ずしも無く、仕切壁は、液保留流路に2枚以上設けても良い。
【0050】
さらにまた、延長流路の底面部を、スクイズ容器の正立状態で容器本体の胴部に向けた下り勾配となるように傾斜させて形成することもできる。延長流路の底面部を容器本体の胴部に向けた下り勾配とすることにより、例えばスクイズ容器の使用後に、スクイズ容器を正立状態で置いておけば、延長流路に内容液が残っている場合でも、残った内容液は底面部の下り勾配に沿って自重により流下して、容器本体の胴部にスムーズに回収されることになる。これによって、次のスクイズ容器の使用時に容器本体を把持して胴部をスクイズする際には、延長流路に内容液が残されていない状態とすることが可能になるので、例えば内容液のエア噛みによって内容液が飛び散るのをさらに効果的に回避することが可能になる。