(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
吸込み口の形成された吸込み本体部と、該吸込み本体部を挟むように配置され、該吸込み本体部に結合された第1フロート体及び第2フロート体とを有し、前記第1フロート体及び前記第2フロート体の浮力によって液中に前記吸込み本体部が維持された状態で前記吸込み口から液面部分に浮遊する物を吸い込むようにした吸込み浮き具と、
前記吸込み本体部に連結され、第1フロート体側に延びるように設置されるとともに、前記吸込み口に吸引力を作用させるためのホースと、を備え、
前記第1フロート体及び前記第2フロート体の配列方向において、前記吸込み口の縁辺は前記第2フロート体側から前記第1フロート体側に向けて上がるように傾斜するように形成され、
前記吸込み口の縁辺の傾斜角度は、前記浮遊物回収装置を前記液に投入したとき、水平となる角度であることを特徴とする浮遊物回収装置。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
【0019】
本発明の第1の実施の形態に係る吸込み浮き具20は、
図1及び
図2に示すように構成される。
【0020】
図1及び
図2において、吸込み浮き具20は、吸込み本体部23が直線状の支持プレート27の中央部に固定され、支持プレート27の一方の端部に第1フロート21(第1フロート体)が留め具271によって固定されるとともに、支持プレート27の他方の端部に第2フロート22(第2フロート体)が留め具272によって固定された構造となっている。吸込み本体部23は、吸込み部25及びそれに連結する略L字状の吸込み管24を有し、吸込み管24が支持プレート27を貫通した状態でその支持プレート27に固定されている。吸込み部25には、特に
図2に示すように、上方に向けて開放する吸込み口25aが形成され、その吸込み口25aを囲んで環状に吸込み受け部25bが広がっている。また、第1フロート21と第2フロート22との間を渡るようにカバープレート28が設けられ、カバープレート28の一端部が第1フロート21の上端部に留め具281によって固定されるとともに、カバープレート28の他端部が第2フロート22の上端部に留め具282によって固定されている。
【0021】
第1フロート21及び第2フロート22は、樹脂等で形成され、空気の納められた中空の構造となっている。吸込み本体部23を挟んで配置された第1フロート21と第2フロート22とにおいて、第1フロート21と吸込み本体部23(吸込み口25a)との間の距離と、第2フロート22と吸込み本体部23(吸込み口25a)との間の距離は略等しい。また、第1フロート21の体積(中空の容積)は、第2フロート22の体積(中空の容積)よりも大きい。
【0022】
上述したような構造の吸込み浮き具20を備える浮遊物回収装置は、従来のもの(
図8参照)と同様に、ホース12及び吸引ポンプ11(例えば、ダイヤフラムポンプ)を有している。そして、ホース12は、その一端部が接続具26によって吸込み管24に接続され、第1フロート21側に延びてその第1フロート21の下方を通っている。このように延びたホース12の他端部は従来のものと同様に吸引ポンプ11に接続されている。
【0023】
貯液槽に貯められた加工機械等での使用済み処理液L(例えば、クーラント液、冷却油)に投入された吸込み浮き具20は、
図2に示すように、一対のフロート21、22の浮力によって処理液Lに浮いて吸込み本体部23が処理液L中に維持された状態となる。この状態において、吸込み本体部23の一方側に配置される第1フロート21の体積(中空の容積)が吸込み本体部23の他方側に第1フロート21と対称的に配置される第2フロート22の体積(中空の容積)より大きいので、第1フロート21側にホース12の重さが作用しても、第1フロート21にて発生する、より大きい浮力がホース12の重さに抗するように吸込み本体部23に作用する。その結果、
図2に示すように、ホース12の重さによる吸込み本体部23の傾きが緩和され、吸込み部25(吸込み口25a、吸込み受け部25b)が処理液Lの液面より僅かに下がった位置で、略水平に維持され得るようになる。
【0024】
このように、本発明の第1の実施の形態に係る吸込み浮き具20によれば、ホース12が延びる側の第1フロート21の体積を第2のフロート22の体積より大きくして、第1フロート21によって第2フロート22の浮力より大きい浮力が発生し得るようにしているので、第1フロート21の側に延びるようにホース12が吸込み本体部23(吸込み管24)に連結された状態でより安定した姿勢を維持することができるようになる。
【0025】
上述したような状態で処理液Lに浮く吸込み浮き具20を備えた浮遊物回収装置では、吸引ポンプ11(
図1参照)を動作させることにより、処理液Lの液面に浮遊するスラッジ等のゴミを含む浮上油Dが、吸込み本体部23の吸込み受け部25bの表面に沿いつつ吸込み口25a(
図1参照)から吸い込まれ、その浮上油Dが吸込み管24、ホース12及び吸引ポンプ11を介して回収タンク(図示略)に回収される。
【0026】
この浮遊物回収装置によれば、上述したように、ホース12が吸込み本体部23(吸込み管24)に接続された状態で吸込み浮き具20の姿勢がより安定的に維持され、吸込み部25に形成された吸込み口25aの処理液Lの液面に対する傾きが比較的小さい状態(略水平)に維持されるようになるので、その吸込み口25aから処理液Lの表面に浮遊する浮上油Dをどの方向からも回収することができ、浮上油Dの効率的な吸込み回収が可能になる。
【0027】
なお、上述した浮遊物回収装置における吸引ポンプ11としてダイヤフラムポンプが使用される場合、ダイヤフラムの振動によって吸引口25aから吸引された浮上油Dが吸引口25aから吐き出される場合があるが、両端部が第1フロート21及び第2フロート22の上端部に固定されて吸引口25aの上方に配置されるカバープレート28によってその吐き出された浮上油Dの飛散を防止することができる。
【0028】
本発明の第2の実施の形態に係る吸込み浮き具30は、
図3及び
図4に示すように構成される。
図3は、吸込み浮き具30の側面図であり、
図4は、吸込み浮き具30の平面図である。なお、
図3及び
図4において、
図2に示される部分と同じ部分には、同じ参照番号が付されている。
【0029】
図3及び
図4に示す吸込み浮き具30では、吸込み管24及び吸込み部25を有する吸込み本体部23が支持プレート37の所定の位置に固定されている。支持プレート37の吸込み本体部23の一方側に、第1フロート体31を構成する2つのフロート31a、31bが並んで留め具371a、371bによって固定されている。また、吸込み本体部23の他方側の支持プレート37の端部には第2フロート体を構成する単一のフロート(第2フロートという)32が留め具372によって固定されている。フロート31a、31b(第1フロート体31)、吸込み本体部23の吸込み部25及び第2フロート32は、支持プレート37上に略直線状に配置されている(
図4参照)。
【0030】
第1フロート体31を構成する各フロート31a、31b及び第2フロート32は、第1の実施の形態と同様に樹脂等で形成されており、各フロート31a、31b(第1フロート体31)の体積(中空の容積)は、第2フロート32の体積(中空)と同じである。従って、第1フロート体31を構成する2つのフロート31a、31bの総体積は、第2フロート32(第2フロート体を構成する全フロート)の体積より大きい。なお、第1フロート体31を構成する2つのフロート31a、31bの総体積が、第2フロート32(第2フロート体)の体積より大きいものであれば、第1フロート体31を構成する各フロート31a、32b及び第2フロート32は、すべてが同じ体積でなくてもよい。吸込み本体部23の吸込み管24に接続具26によって接続されるホース12は、第1の実施の形態の場合(
図2参照)と同様に、第1フロート体31側に延びてフロート31a、31bの下方を通っている。
【0031】
なお、この吸込み浮き具30においても、第1の実施の形態の場合(
図1、
図2参照)と同様に、支持プレート37の一端部に固定されたフロート31a(第1フロート体31)と第2フロート32(第2フロート体)との間を渡るようにカバープレート38が設けられ、このカバープレート38は、フロート31aの上端部に留め具381aによって、フロート31bの上端部に留め具381bによって、更に、第2フロート32の上端部に留め具382によって固定されている。
【0032】
このような構造の吸込み浮き具30は、
図3に示すように、3つのフロート31a、31b、32の浮力によって処理液Lに浮いて吸込み本体部23が処理液L中に維持された状態となる。この状態において、吸込み本体部23の一方側に配置される第1フロート体31を構成する2つのフロート31a、31bの全体積(中空の容積の総量)が吸込み本体部23の他方側に配置される第2フロート32の体積(中空の容積)より大きいので、第1フロート体31(フロート31a、31b)側にホース12の重さが作用しても、第1フロート体31を構成する2つのフロート31a、31bにて発生する、第2フロート32の有する浮力より大きい浮力がホース12の重さに抗するように吸込み本体部23に作用する。このため、
図3に示すように、ホース12の重さによる吸込み本体部23の傾きが緩和され、吸込み部25(吸込み口25a、吸込み受け部25b)が処理液Lの液面より僅かに下がった位置で、略水平に維持され得るようになる。
【0033】
このように、本発明の第2の実施の形態に係る吸込み浮き具30によれば、第1の実施の形態の場合(
図1、
図2参照)と同様に、ホース12が延びる側の第1フロート体31の体積(2つのフロート31a、31bの総体積)を第2フロート32(第2フロート体)の総体積より大きくして第1フロート体31によって第2フロート32(第2フロート体)の浮力より大きい浮力が発生し得るようにしているので、第1フロート体31の側に延びるようにホース12が吸込み本体部23(吸込み管24)に連結された状態でより安定した姿勢を維持することができるようになる。
【0034】
このように処理液Lに安定した姿勢で浮く上述した吸込み浮き具30とともに吸引ポンプ11及びホース12を有する浮遊物回収装置によれば、第1の実施の形態の場合と同様に、その吸込み浮き具30における吸込み本体部23(吸込み部25)の吸込み口25aから処理液Lの表面に浮遊する浮上油Dをどの方向からも回収することができ、浮上液Dの効率手的な吸込み回収が可能となる。
【0035】
なお、前述した吸込み浮き具30では、第1フロート体31が2つのフロート31a、31bで構成され、第2フロート体が単一のフロート32で構成されていたが、これに限らず、第2フロート体(32)も複数のフロートで構成することもできる。その場合、第1フロート体31を構成する全フロートの総体積が、第2フロート体(32)を構成する全フロートの総体積より大きくなるように、それらフロートの数及び各フロートの体積(大きさ)が設定される。第1フロート体31を構成する全フロートの総体積が第2フロート体(32)を構成する全フロートの総体積より大きければ、第1フロート31を構成するフロートの数が第2フロート体(32)を構成するフロートの数より少なくてもよい。
【0036】
また、第1フロート体31を構成する2つのフロート31a、31b、吸込み本体部23の吸込み部25、及び第2フロート32が、支持プレート37とカバープレート38に挟まれるように略直線状に配置されているが(
図4参照)、これら複数のフロート及び吸込み部25の配列は、吸込み浮き具30全体の姿勢が処理液L中で浮上油Dの回収に支障をきたさない程度の姿勢が維持できる範囲で、例えば、
図5に示すように、直線からずれるものであってもよい。なお、フロート31a、31b(第1フロート体31)、吸込み本体部23の吸込み部25及び第2フロート32は、その各フロートの位置によって吸込み浮き具30自体が横転することなく、吸込み部25から浮上油を回収できる姿勢を保てる範囲の略一定の方向に配置されていればよく、好ましくは直線状に配置される。
【0037】
本発明の第3の実施の形態に係る吸込み浮き具60は、
図6に示すように構成される。なお、
図6において、
図2に示す部分と同じ部分には同じ参照番号が付されている。
【0038】
図6に示す吸込み浮き具60では、第1の実施の形態の場合(
図2参照)と同様に、支持プレート27の中央に吸込み本体部23が固定され、支持プレート27の一端部に樹脂等により形成された第1フロート61(第1フロート体)が留め具271で固定され、支持プレート27の他端部に樹脂等に形成された第2フロート62(第2フロート体)が留め具272で固定されている。第1フロート61の体積(中空の容積)と第2フロート62の体積(中空の容積)とは同じである。このような構造により、ホース12を吸込み本体部23(吸込み管24)に接続しない状態で、この吸込み浮き具60は、第1フロート61側と第2フロート62側とが略バランスされた状態にある。
【0039】
支持プレート27の中央に固定される吸込み本体部23の吸込み部25は、第2フロート62側から第1フロート61側に向けて上がるように、所定角度αにて傾斜している。その結果、吸込み部25に形成された吸込み口25a(
図1参照)の縁辺もまた第2フロート62側から第1フロート61側に向けて上がるように傾斜している。
【0040】
なお、前述した各実施の形態の場合と同様に、ホース12の一端部を接続具26によって吸込み本体部23の吸込み管24に接続するとともに、そのホース12の他端部を吸引ポンプ11に接続することによって浮遊物回収装置が構成される。
【0041】
貯液槽に貯められた処理液Lに前述したような構造の吸込み浮き具60が投入されると、その吸込み浮き具60は、
図7に示すように、一対のフロート61、62の浮力によって処理液Lに浮いて吸込み本体部23が処理液L中に維持された状態となる。この状態で、第1フロート61の体積と第2フロート62の体積が同じなので、
図7に示すように、第1フロート61側に延びたホース12の重さに抗するための浮力を発生するために第1フロート61が処理液L中により大きく沈み込む。その結果、吸込み浮き具60は、全体的に、第2フロート62側から第1フロート61側に向けて下がるように傾斜する。この状態で、吸込み本体部23の吸込み部25が、吸込み浮き具60全体の傾斜を相殺するように、第2フロート62側から第1フロート61側に向けて上がるように傾斜しているので、吸込み部25(吸込み口25aの縁辺)の処理液Lの液面に対する傾きがより小さくなって、例えば、
図7に示すように、吸込み部25の吸込み受け部25bとともに吸込み口25aの縁辺が略水平に維持されるようになる。
【0042】
このように、本発明の第3の実施の形態に係る吸込み浮き具60によれば、吸込み本体部23に形成される吸込み部25(吸込み口25aの縁辺)が第2フロート62側から第1フロート61側に向けて上がるように傾斜しているので、吸込み本体部23に連結されるホース12を第1フロート61側に延ばして当該ホース12の重さで当該吸込み浮き具60が第1フロート61側に傾いたとしても、その傾きと前記吸込み部25の傾斜が相殺される関係になるので、吸込み部25(吸込み口25aの縁辺)の液面に対する傾きをより小さくすること、例えば、吸込み部25を略水平に維持することができる。
【0043】
このようにホース12が接続された状態で処理液L中において吸込み部25が液面に対して適正に配される姿勢が安定的に維持される上述した吸込み浮き具60を有する浮遊物回収装置(吸引ポンプ11及びホース12を含む)によれば、前述した各実施の形態の場合と同様に、吸込み本体部23(吸込み部25)の吸込み口25aから処理液Lの表面に浮遊する浮上油Dをどの方向からも回収することができ、浮上油Dの効率的な吸込み回収が可能となる。
【0044】
なお、前述した吸込み浮き具60では、第1フロート61の体積と第2フロート62の体積とが同じであったが、これに限定されない。第1フロート61の体積は、第2フロート62の体積と異なっていてもよい。この場合、ホース12を接続した状態での吸込み浮き具60の傾きを相殺する関係にて吸込み部25(吸込み口25aの縁辺)を傾ければよい。