特許第6033380号(P6033380)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6033380
(24)【登録日】2016年11月4日
(45)【発行日】2016年11月30日
(54)【発明の名称】石炭ガス化複合発電設備
(51)【国際特許分類】
   F02C 3/28 20060101AFI20161121BHJP
   F02C 3/30 20060101ALI20161121BHJP
   F02C 6/10 20060101ALI20161121BHJP
【FI】
   F02C3/28
   F02C3/30 D
   F02C3/30 Z
   F02C6/10
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-186676(P2015-186676)
(22)【出願日】2015年9月24日
(62)【分割の表示】特願2012-255395(P2012-255395)の分割
【原出願日】2012年11月21日
(65)【公開番号】特開2016-6328(P2016-6328A)
(43)【公開日】2016年1月14日
【審査請求日】2015年9月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】514030104
【氏名又は名称】三菱日立パワーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100118913
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 邦生
(72)【発明者】
【氏名】堤 孝則
(72)【発明者】
【氏名】小山 智規
(72)【発明者】
【氏名】石井 弘実
(72)【発明者】
【氏名】藤井 貴
(72)【発明者】
【氏名】田村 憲
【審査官】 瀬戸 康平
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−173461(JP,A)
【文献】 国際公開第2008/149731(WO,A1)
【文献】 特開平05−248260(JP,A)
【文献】 特開平05−018265(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C10J 3/00
C10K 1/00, 3/00
F02C 3/00, 6/00, 7/22, 9/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスタービンに接続されたガスタービン空気圧縮機とガス化炉とを結び、前記ガス化炉に空気を供給する空気供給路と、
前記空気供給路に設けられ、前記ガス化炉に供給する空気を昇圧する昇圧機と、
前記空気供給路から分岐して、前記空気供給路と前記ガスタービンに接続されたガスタービン燃焼器とを結び、前記昇圧機によって昇圧された空気を前記ガスタービン燃焼器に供給する空気分岐路と、
前記ガスタービン空気圧縮機と前記ガスタービン燃焼器とを直接結ぶ第2空気供給路と、
を備え、
通常運転時は、前記空気分岐路を介さずに前記第2空気供給路を介して前記ガスタービン空気圧縮機から前記ガスタービン燃焼器に空気を供給し、
前記通常運転時よりも設備負荷が低負荷時は、前記第2空気供給路を介して前記ガスタービン空気圧縮機から前記ガスタービン燃焼器に空気を供給しつつ、前記空気分岐路を介して前記昇圧機によって昇圧された空気を前記ガスタービン燃焼器に供給し、前記第2空気供給路を介して前記ガスタービン空気圧縮機から前記ガスタービン燃焼器に供給される空気の流量を前記通常運転時に比べ減少させる石炭ガス化複合発電設備。
【請求項2】
空気分離装置とガス化炉を結び、前記空気分離装置で生成された酸素を前記ガス化炉に供給する酸素供給路と、
前記酸素供給路から分岐して、前記酸素供給路とガスタービンに接続されたガスタービン燃焼器とを結び、前記空気分離装置で生成された酸素を前記ガスタービン燃焼器に供給する酸素分岐路と、
前記ガスタービンに接続されたガスタービン空気圧縮機と前記ガス化炉とを結び、前記ガス化炉に空気を供給する空気供給路と、
前記空気供給路に設けられ、前記ガス化炉に供給する空気を昇圧する昇圧機と、
前記空気供給路から分岐して、前記空気供給路と前記ガスタービン燃焼器とを結び、前記昇圧機によって昇圧された空気を前記ガスタービン燃焼器に供給する空気分岐路と、
前記ガスタービン空気圧縮機と前記ガスタービン燃焼器とを直接結ぶ第2空気供給路と、
を備え、
設備負荷に応じて、前記酸素分岐路を介して前記ガスタービン燃焼器に供給される酸素の流量が調整され、
通常運転時は、前記空気分岐路を介さずに前記第2空気供給路を介して前記ガスタービン空気圧縮機から前記ガスタービン燃焼器に空気を供給し、
前記通常運転時よりも設備負荷が低負荷時は、前記第2空気供給路を介して前記ガスタービン空気圧縮機から前記ガスタービン燃焼器に空気を供給しつつ、前記空気分岐路を介して前記昇圧機によって昇圧された空気を前記ガスタービン燃焼器に供給し、前記第2空気供給路を介して前記ガスタービン空気圧縮機から前記ガスタービン燃焼器に供給される空気の流量を前記通常運転時に比べ減少させる石炭ガス化複合発電設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、石炭ガス化複合発電設備に関するものである。
【背景技術】
【0002】
石炭ガス化複合発電設備(IGCC:Integrated coal Gasification Combined Cycle)は、炭化水素起源燃料(例えば、石炭、バイオマス、又は石油残渣油)をガス化して生成された可燃性ガスを燃焼して得られるガスタービンの駆動力と、ガスタービンの排熱を回収して得られる蒸気タービンの駆動力によって発電する。
【0003】
IGCCでは、ガス化炉が、炭化水素起源燃料をガス化して可燃性ガスを生成する。ガス化炉では、炭化水素起源燃料のガス化のため、酸化剤として、空気及び酸素富加空気が用いられる。ガス化炉へ供給される炭化水素起源燃料は、発電設備の運転負荷により変動する。したがって、ガス化のための酸化剤の必要流量も変動する。
【0004】
IGCCの場合、ガスタービン燃焼器(以下「GT燃焼器」という。)へ空気を供給するガスタービン空気圧縮機(以下「GT空気圧縮機」という。)は、ガス化炉へ酸化剤としての空気を供給する空気供給系統の機能を合わせ持つため、空気が抽気される。したがって、酸化剤の必要流量に応じて、空気圧縮機からの抽気空気量が変動し、一方で、GT燃焼器を介してガスタービンへ供給される空気量も変動する。その結果、ガスタービンの出力が変動して、ガスタービンに接続された発電機の発電量に影響を及ぼす。
【0005】
IGCCでは、ガス化炉生成可燃性ガス系統のガス圧力は、ガスタービンが許容する圧力条件に設定される必要がある。ガス化炉生成可燃性ガス系統のガス圧力は、ガス化炉におけるガス化炉運転圧力に応じて変化する。そのため、ガス化炉に投入される炭化水素起源燃料や酸化剤が適正に調整されなければならない。
ガス化炉へ酸化剤としての空気を供給する空気供給系統では、GT空気圧縮機とガス化炉の間に設置された昇圧圧縮機によって、空気が昇圧される。
【0006】
特許文献1は、ガス化炉の空気流量制御装置に関する発明であって、ガス化炉に空気を供給する昇圧圧縮機とガス化炉との間に設けられる空気流量調整弁による損失を極力減少させると共に、低負荷時にも安定した空気流量を確保する技術が開示されている。特許文献2は、石炭ガス化ガスタービン抽気昇圧圧縮機構に関する発明であって、抽気昇圧圧縮機の入口弁、入口案内翼、出口弁などの圧力抵抗体の絞り量をできる限り少なくし、効率低下を最小限とするため、抽気昇圧圧縮機を2台又は3台で構成する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平2−308924号公報
【特許文献2】特公平4−59451号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
発電設備が低負荷時の場合、GT燃焼器に空気を供給するGT空気圧縮機の吐出圧が低下する一方、ガス化炉におけるガス化炉運転圧力もガスタービン運転圧力に連動して下げて運転される。負荷変化に伴ってガス化炉運転圧力を下げた場合、ガス化炉の追従性が悪くなることから、ガス化炉は、できるだけ一定圧力で運転されることが好ましい。
【0009】
そこで、図4に示すように、ガス化炉2へ空気を供給する空気供給路31に設置される昇圧圧縮機15の前後に接続される再循環路41を設ける。再循環路41における再循環流量は、再循環路41に設けられたダンパ42によって調整される。これにより、低負荷時に空気圧縮機10の吐出圧が下がった場合にも、昇圧圧縮機15によって、ガス化炉2側を高圧にすることができる。しかし、補機動力が増加することによって、プラント効率が低下するという問題があった。なお、図4中のその他の構成は、図1を用いて、本発明の一実施形態に係る石炭ガス化複合発電設備と重複することから、後述する。
【0010】
また、ASU(Air Separation Unit:深冷空気分離装置)などの空気分離装置は、極力一定負荷での運転が推奨されている。したがって、発電設備が低負荷時の場合、過剰な酸素を大気に放出する(放風する)ことによって、必要酸素量を調整する。しかし、生成された酸素が無駄になり、プラント効率が低下していた。
【0011】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、低負荷運転時においても、プラント所内動力(補機動力)を低減でき、プラント効率を向上させることが可能な石炭ガス化複合発電設備を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、本発明の石炭ガス化複合発電設備は以下の手段を採用する。
すなわち、本発明に係る石炭ガス化複合発電設備は、空気分離装置とガス化炉を結び、前記空気分離装置で生成された酸素を前記ガス化炉に供給する酸素供給路と、前記酸素供給路から分岐して、前記酸素供給路とガスタービンに接続されたガスタービン燃焼器とを結び、前記空気分離装置で生成された酸素を前記ガスタービン燃焼器に供給する酸素分岐路とを備える。
【0013】
この構成によれば、空気分離装置によって生成された酸素の一部(余剰酸素)がガスタービン燃焼器に供給されることによって、生成された酸素は、ガスタービン燃焼器における燃焼に寄与する。例えば、プラント負荷が変化し、低負荷になると、ガスタービンに接続された圧縮機の吐出圧が下がる。従来、この場合、ガスタービン燃焼器に供給される空気も減少するが、燃焼特性によって燃焼器温度が低下して、ガスタービンの効率が低下した。本発明では、空気分離装置によって生成された酸素の一部がガスタービン燃焼器に供給されることによって、ガスタービン燃焼器の燃焼温度を上昇させることができ、ガスタービン入口温度が高くなって、ガスタービン効率を上げることができる。
【0014】
空気分離装置によって生成された酸素の一部がガスタービン燃焼器に供給されることによって、ガスタービン燃焼器に導入される大気の量を低減できる。その結果、大気から導入される窒素は、ガスタービン燃焼器の燃焼において不要であることから、大気から導入されて新たに加熱される窒素の量を減らすことができるため、結果として、ガスタービン燃焼器の燃焼温度を上昇させることができる。
【0015】
空気分離装置は、一般に負荷変動に追従する運転は行われず、常に定格近傍で運転する。したがって、プラント負荷が変化し、低負荷になると、空気分離装置からガス化炉に供給される酸素は過剰になり、余剰酸素が発生するが、空気分離装置によって生成された酸素の一部がガスタービン燃焼器に供給されることによって、余剰酸素を有効活用できる。
【0016】
上記発明において、設備負荷に応じて、前記酸素分岐路を介して前記ガスタービン燃焼器に供給される酸素の流量が調整されてもよい。
【0017】
この構成によれば、例えば、低負荷時に、空気分離装置によって生成された酸素の一部がガスタービン燃焼器に供給されるようにすることによって、ガスタービン燃焼器の燃焼温度を上昇させることができる。その結果、ガスタービン入口温度が高くなって、ガスタービン効率を上げることができる。
【0018】
上記発明において、前記ガスタービンに接続されたガスタービン空気圧縮機と前記ガス化炉とを結び、前記ガス化炉に空気を供給する空気供給路と、前記空気供給路に設けられ、前記ガス化炉に供給する空気を昇圧する昇圧機と、前記空気供給路から分岐して、前記空気供給路と前記ガスタービン燃焼器とを結び、前記昇圧機によって昇圧された空気を前記ガスタービン燃焼器に供給する空気分岐路とを更に備えてもよい。
【0019】
また、本発明に係る石炭ガス化複合発電設備は、ガスタービンに接続されたガスタービン空気圧縮機とガス化炉とを結び、前記空気分離装置で生成された空気を前記ガス化炉に供給する空気供給路と、前記空気供給路に設けられ、前記ガス化炉に供給する空気を昇圧する昇圧機と、前記空気供給路から分岐して、前記空気供給路と前記ガスタービンに接続されたガスタービン燃焼器とを結び、前記昇圧機によって昇圧された空気を前記ガスタービン燃焼器に供給する空気分岐路とを備える。
【0020】
この構成によれば、ガスタービン空気圧縮機からガス化炉に供給される空気は、昇圧機によって昇圧されることから、ガス化炉は、ガスタービン空気圧縮機の出口の空気よりも高い圧力で保たれる。また、昇圧機によって昇圧された空気の一部がガスタービン燃焼器に供給されることによって、昇圧された空気は、ガスタービン燃焼器における燃焼に寄与する。
【0021】
従来、プラント負荷が変化し、低負荷になったとき、昇圧機を循環運転にする場合、循環空気は、ガスタービン空気圧縮機の下流側かつ昇圧機の上流側に導入されていた。この場合、循環空気は、昇圧機に導入される前に冷却しなければならず、冷却水や冷却動力が必要となっていた。
本発明では、プラント負荷が変化し、低負荷になったとき、昇圧機によって昇圧された空気の一部がガスタービン燃焼器に供給されることによって、昇圧機に導入される前に必要な冷却水や冷却動力が不要となる。その結果、必要プラント所内動力(補機動力)を低減でき、プラント効率を上げることができる。
【0022】
上記発明において、設備負荷に応じて、前記空気分岐路を介して前記ガスタービン燃焼器に供給される空気の流量が調整されてもよい。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、低負荷運転時においても、プラント所内動力(補機動力)を低減でき、プラント効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の一実施形態に係る石炭ガス化複合発電設備を示す概略構成図である。
図2】ガスタービン空気圧縮機のインレットガイドベーン開度の設定を示す制御ブロック図である。
図3】ガスタービン燃焼器に空気分離装置から酸素を供給する場合におけるガスタービン空気圧縮機のインレットガイドベーン開度の設定を示す制御ブロック図である。
図4】従来の石炭ガス化複合発電設備を示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の一実施形態に係る石炭ガス化複合発電設備を図面に基づいて説明する。
図1に示す本実施形態の石炭ガス化複合発電設備は、空気及び空気分離装置18からの余剰酸素を酸化剤としてガス化炉2で可燃性ガスを生成する空気吹きガス化方式を採用し、生成された可燃性ガスをガスタービン9へ供給する。すなわち、図1に示す石炭ガス化複合発電設備は、空気吹きガス化方式の石炭ガス化複合発電設備(以下「空気吹きIGCC」という。)である。以下では、炭化水素起源燃料として石炭を用いる場合について説明する。なお、炭化水素起源燃料は、石炭以外に、バイオマス又は石油残渣油などでもよい。
【0026】
この空気吹きIGCCは、乾燥用ガスとともに原料となる石炭を微粉炭機1に供給する。微粉炭機1では、乾燥用ガスにより供給された石炭を加熱し、石炭中の水分を除去しながら細かい粒子状に粉砕して微粉炭を製造する。
こうして製造された微粉炭は、乾燥用ガスによりサイクロン22へ搬送される。サイクロン22の内部では、乾燥用ガス等のガス成分と微粉炭(粒子成分)とが分離され、ガス成分は排気される。一方、粒子成分の微粉炭は、重力により落下してホッパ23に回収される。
【0027】
ホッパ23内に回収された微粉炭は、空気分離装置18から供給される加圧搬送用の窒素ガスにより、ガス化炉2内へ搬送される。空気分離装置18は、大気から空気を導入して窒素及び酸素のガスに分離する装置であり、例えば、ASU(Air Separation Unit:深冷空気分離装置)である。また、空気分離装置18は、PSA(圧力変動吸着)方式でもよい。
【0028】
空気分離装置18の内部は、空気圧縮機17によって昇圧される。空気分離装置18で生成された窒素は、圧縮機20によって昇圧されて、微粉炭やチャーの搬送ガスとして使用されたり、チャー回収装置4へ供給されたりする。空気分離装置18で生成された酸素は、圧縮機19によって昇圧されてガス化炉2へ供給される。空気分離装置18からガス化炉2まで至る酸素は、酸素供給路32を介して供給される。
【0029】
ガス化炉2では、可燃性ガスの原料としての微粉炭と、ガスタービン空気圧縮機(以下「GT空気圧縮機」という。)10からの圧縮空気や空気分離装置18からの酸素によって、微粉炭がガス化されて、可燃性ガスが生成される。GT空気圧縮機10からの圧縮空気は、昇圧機15によって昇圧され、空気供給路31を経由して、ガス化炉2へ供給される。
【0030】
ガス化炉2で生成された可燃性ガスは、ガス化炉2の上部からガス冷却器3へ導かれて冷却される。この可燃性ガスは、ガス冷却器3で冷却された後にチャー回収装置4へ供給される。
チャー回収装置4では、ガス化炉2で可燃性ガスとともに生成されたチャーが分離される。チャー回収装置4には、チャーの流動化及びチャーの搬送のため、空気分離装置18から窒素が供給される。可燃性ガスは、チャー回収装置4の上部から流出し、ガス精製設備5へ供給される。分離されたチャーは、空気分離装置18から供給される加圧搬送用の窒素ガスにより、ガス化炉2内へ搬送される。
ガス精製設備5は、例えば、脱硫装置や二酸化炭素回収装置などから構成され、可燃性ガスから硫黄又は硫黄化合物や二酸化炭素等を除去する。
【0031】
精製された可燃性ガスは、ガスタービン燃焼器(以下「GT燃焼器」という。)8の燃料ガスとして使用される。この燃料ガスをGT燃焼器8に供給して燃焼させることにより、高温高圧の燃焼排ガスが生成される。可燃性ガスは、圧力調整弁6及び燃料流量調整弁7によって、圧力及び流量が調整されて、GT燃焼器8へ供給される。GT燃焼器8には、大気を吸引して昇圧するGT空気圧縮機10から空気が供給される。また、低負荷時には、昇圧機15で昇圧された空気が空気分岐路33を経由して、また、空気分離装置18で生成された酸素が酸素分岐路34を経由して、GT燃焼器8に供給される。
【0032】
すなわち、空気供給路31から分岐した空気分岐路33がGT燃焼器8に接続されていることから、GT空気圧縮機10からの圧縮空気が、空気供給路31及び空気分岐路33を介して、GT燃焼器8へ供給される。GT燃焼器8へ供給される空気は、空気分岐路33に設けられたダンパ16によって、流量が調整される。
また、酸素供給路32から分岐した酸素分岐路34がGT燃焼器8に接続されていることから、空気分離装置18で生成された酸素が、酸素供給路32及び酸素分岐路34を介して、GT燃焼器8へ供給される。GT燃焼器8へ供給される酸素は、酸素分岐路34に設けられたダンパ21によって、流量が調整される。
【0033】
GT燃焼器8で生成された燃焼排ガスは、ガスタービン9を駆動した後、高温の排ガスとして排出される。こうして駆動されたガスタービン9は、回転する主軸が発電機12と連結されているので、発電機12を駆動して発電を行うことができる。
【0034】
ガスタービン9から排出された高温の排ガスは、排熱回収ボイラ13に供給されて蒸気を生成する熱源として使用される。排熱回収ボイラ13から排出される排ガスは、必要な処理を施した後に煙突14から大気へ排気される。
排熱回収ボイラ13で生成された蒸気は、発電用の蒸気タービン11等に供給される。本実施形態では、蒸気タービン11は、ガスタービン9と連結され、発電機12を駆動して発電を行う。
なお、石炭ガス化複合発電設備の起動時、ガス化炉2にて生成した可燃性ガスは、フレアスタック24で焼却処理される。
【0035】
次に、図2及び図3を参照して、本実施形態に係る石炭ガス化複合発電設備の低負荷時におけるGT燃焼器8への空気又は酸素供給動作について説明する。
GT空気圧縮機10からGT燃焼器8に供給される空気の流量は、GT空気圧縮機10に設けられたIGV(インレットガイドベーン)によって調整される。通常運転時、図2示すように、ベーン開度は、ガスタービン燃料流量指令に基づく空気流量とガス化炉入力指令(GID)に基づく空気流量とを合算した値に基づく開度、及びGT空気圧縮機10の吸気温度T1に基づく開度のいずれか小さい方に決定される。
なお、ガスタービン燃料流量指令に基づく空気流量とガス化炉入力指令に基づく空気流量とを合算した値は、大気圧力やGT空気圧縮機10の吸気温度を考慮して換算される。
【0036】
ガスタービン燃料流量指令と空気流量の関係、ガス化炉入力指令(GID)と空気流量の関係、空気流量とベーン開度の関係、及び吸気温度T1とベーン開度の関係は、石炭ガス化複合発電設備の特性、試運転の結果等に基づいて、予め決められている。
【0037】
一方、低負荷時には、図3に示すように、空気分離装置18で生成された酸素が、GT燃焼器8に供給される。GT燃焼器8に供給される酸素量は、ガス化炉入力指令(GID)に基づいて決定される。そして、低負荷時に、空気分離装置18から酸素を供給可能とすることによって、GT空気圧縮機10からGT燃焼器8に供給される空気量を減少させる。これにより、GT燃焼器8の温度が低下して、ガスタービン9の効率が低下することを防止できる。つまり、空気分離装置18によって生成された酸素の一部がGT燃焼器8に供給されることによって、GT燃焼器8の燃焼温度を上げることができ、ガスタービン9の入口温度が高くなって、タービン効率を上げることができる。
【0038】
具体的には、低負荷時、GT空気圧縮機10のベーン開度は、ガスタービン燃料流量指令に基づく空気流量とガス化炉入力指令(GID)に基づく空気流量とを合算した値から、空気分離装置18からGT燃焼器8へ供給される酸素量を空気流量に換算した値を減算した値に基づく開度、及び、GT空気圧縮機10の吸気温度T1に基づく開度のいずれか小さい方に決定される。
【0039】
ガス化炉入力指令(GID)とGT燃焼器8に供給される酸素量の関係は、石炭ガス化複合発電設備の特性、試運転の結果等に基づいて、予め決められている。
【0040】
なお、上述した例では、GT燃焼器8には空気分離装置18から酸素が供給される場合について説明したが、上述の石炭ガス化複合発電設備の構成で説明したとおり、GT燃焼器8には、空気分岐路33を介して昇圧機15で昇圧された空気を供給することも可能である。空気分岐路33を介して昇圧機15によってGT燃焼器8へ供給される空気量も、空気分離装置18から酸素を供給する場合と同様に、ガス化炉入力指令(GID)に基づいて決定される。そして、低負荷時に、空気分岐路33を介して昇圧機15によってGT燃焼器8へ空気を供給可能とすることによって、GT空気圧縮機10からGT燃焼器8に供給される空気量を所定の量に保つことができる。
【0041】
この場合、低負荷時、GT空気圧縮機10のベーン開度は、ガスタービン燃料流量指令に基づく空気流量とガス化炉入力指令(GID)に基づく空気流量とを合算した値、及び、GT空気圧縮機10の吸気温度T1に基づく開度のいずれか小さい方に決定される。つまり、空気分岐路33を介して昇圧機15から再循環する空気流量は、ガスタービン燃料流量に基づく空気流量に含まれたものであり、図2に示した図で対応可能である。
【0042】
なお、空気分離装置18からの酸素の供給と昇圧機15による空気の供給を組み合わせて、低負荷時に、GT燃焼器8には、空気分離装置18からGT燃焼器8へ酸素を供給すると同時に、昇圧機15によってGT燃焼器8へ空気を供給してもよい。
【0043】
以上、本実施形態によれば、本実施形態によれば、空気分離装置18によって生成された酸素の一部(余剰酸素)がGT燃焼器8に供給されることによって、生成された酸素は、GT燃焼器8における燃焼に寄与する。従来、プラント負荷が変化し、低負荷になると、GT空気圧縮機10の吐出圧が下がる。この場合、GT燃焼器8に供給される空気も減少するが、燃焼特性によってGT燃焼器8の温度が低下して、ガスタービン9の効率が低下した。また、従来、プラント負荷が変化し、低負荷になったとき、図4に示すように、昇圧機15を循環運転にする場合、循環空気は、GT空気圧縮機10の下流側かつ昇圧機15の上流側に導入されていた。この場合、循環空気は、昇圧機15に導入される前に冷却しなければならず、冷却水や冷却動力が必要となっていた。
【0044】
本実施形態では、空気分離装置18によって生成された酸素の一部がGT燃焼器8に供給されることによって、GT燃焼器8の燃焼温度を上げることができ、ガスタービン9の入口温度が高くなって、タービン効率を上げることができる。
図1に示すように、空気分離装置18によって生成された酸素の一部がGT燃焼器8に供給されることによって、GT燃焼器8に導入される大気の量を低減できる。その結果、大気から導入される窒素は、GT燃焼器8の燃焼において不要であることから、大気から導入されて新たに加熱される窒素の量を減らすことができるため、結果として、GT燃焼器8の燃焼温度を上昇させることができる。
【0045】
空気分離装置18は、一般に負荷変動に追従する運転は行われず、常に定格近傍で運転する。したがって、プラント負荷が変化し、低負荷になると、空気分離装置18からガス化炉に供給される酸素は過剰になり、余剰酸素が発生するが、空気分離装置18によって生成された酸素の一部がGT燃焼器8に供給されることによって、余剰酸素を有効活用できる。
【0046】
また、図1に示すように、昇圧機15によって昇圧された空気の一部がGT燃焼器8に供給されることによって、昇圧された空気は、GT燃焼器8における燃焼に寄与する。本実施形態では、昇圧機15によって昇圧された空気の一部がGT燃焼器8に供給されることによって、昇圧機15の入口に戻して循環させる場合(図4参照)に比べて、昇圧機15による再循環時の冷却水や冷却動力が不要となり、結果として、必要プラント所内動力(補機動力)を低減でき、プラント効率を上げることができる。
【符号の説明】
【0047】
1 微粉炭機
2 ガス化炉
3 ガス冷却機
4 チャー回収装置
5 ガス精製設備
8 ガスタービン(GT)燃焼器
9 ガスタービン
10 ガスタービン(GT)空気圧縮機
11 蒸気タービン
12 発電機
13 排熱回収ボイラ
15 昇圧機
16,21 ダンパ
18 空気分離装置
31 空気供給路
32 酸素供給路
33 空気分岐路
34 酸素分岐路
図1
図2
図3
図4