特許第6033422号(P6033422)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6033422電子転流式電気機械を有する位置検出システムのアクチュエータの位置を妥当性検査するための方法および装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6033422
(24)【登録日】2016年11月4日
(45)【発行日】2016年11月30日
(54)【発明の名称】電子転流式電気機械を有する位置検出システムのアクチュエータの位置を妥当性検査するための方法および装置
(51)【国際特許分類】
   H02P 6/16 20160101AFI20161121BHJP
【FI】
   H02P6/16
【請求項の数】11
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-518916(P2015-518916)
(86)(22)【出願日】2013年5月8日
(65)【公表番号】特表2015-521836(P2015-521836A)
(43)【公表日】2015年7月30日
(86)【国際出願番号】EP2013059660
(87)【国際公開番号】WO2014000934
(87)【国際公開日】20140103
【審査請求日】2014年12月24日
(31)【優先権主張番号】102012210729.0
(32)【優先日】2012年6月25日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】390023711
【氏名又は名称】ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(72)【発明者】
【氏名】アレックス グロスマン
(72)【発明者】
【氏名】ライナー シュヴァインフアト
(72)【発明者】
【氏名】ウド ジーバー
(72)【発明者】
【氏名】ラルフ ビューアレ
【審査官】 マキロイ 寛済
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−214198(JP,A)
【文献】 特開2008−253088(JP,A)
【文献】 特開2009−036108(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02P 6/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
位置検出システム(1)を動作させる方法において、
回転型の電子転流式モータを含むアクチュエータ駆動部(2)を介してアクチュエータ(3)を位置調整可能であり、
前記アクチュエータ駆動部(2)のロータの電気的なロータ位置は、前記アクチュエータ(3)の複数の位置に対応付けることができ、
前記方法は、
− 前記アクチュエータ(3)の位置について検出した位置データ(S)に基づいて位置閉ループ制御を行い、位置操作量(L)を形成するステップを有しており、この位置操作量(L)には、前記アクチュエータ駆動部(2)を駆動制御するための、大きさ及び方向を有する電圧ベクトルとしての空間ベクトルが対応付けられ、
前記方法はさらに、
− 前記形成した位置操作量(L)に対応付けられる前記空間ベクトルにより、前記位置データ(S)の妥当性を検査するかまたは当該位置データ(S)を補正するステップを有する、
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、
前記空間ベクトルに対応付けられる前記ロータ位置に最も近い位置データによって、前記位置閉ループ制御に使用される前記位置データ(S)を置き換えることにより、前記位置データ(S)を補正する、
ことを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法において、
前記位置閉ループ制御に使用した前記位置データ(S)に、前記空間ベクトルに対応付けられる前記ロータ位置に最も近い位置データを供給することによって前記位置データ(S)を補正する、
ことを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法において、
前記空間ベクトルに対応付けられる前記ロータ位置に最も近い位置データにより、前記位置閉ループ制御に使用する前記位置データ(S)を検査する、
ことを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項1から4までのいずれか1項に記載の方法において、
検出した前記位置データを補正機能にしたがって補正し、
前記空間ベクトルに対応する前記ロータ位置に最も近い位置データ(S)に対応して、検出して補正した前記位置データをさらに補正する、
ことを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項1から5までのいずれか1項に記載の方法において、
前記アクチュエータ(3)の前記位置の前記位置データ(S)を前記アクチュエータ(3)の位置検出器(8)によって供給し、
前記位置閉ループ制御を、前記アクチュエータ駆動部(2)に直接配置された位置センサなしに行う、
ことを特徴とする方法。
【請求項7】
位置検出システム(1)を動作させるための装置において、
回転型の電子転流式モータを含むアクチュエータ駆動部(2)を介してアクチュエータ(3)が位置調整可能であり、
前記アクチュエータ駆動部(2)のロータの電気的なロータ位置を前記アクチュエータ(3)の複数の位置に対応付けることができ、
前記装置は、
− 前記アクチュエータ(3)の位置について検出した位置データ(S)に基づいて位置閉ループ制御を行うために構成されており、位置操作量(L)が形成され、当該位置操作量(L)には、前記アクチュエータ駆動部を駆動制御するための、大きさ及び方向を有する電圧ベクトルとしての空間ベクトルが対応付けられ、
前記装置はさらに、
− 前記形成した位置操作量(L)に対応付けられる前記空間ベクトルにより、前記位置データ(S)の妥当性を検査するかまたは当該位置データ(S)を補正するように構成されている、
ことを特徴とする装置。
【請求項8】
請求項7に記載の装置において、
前記装置は、
前記アクチュエータ(3)の前記位置の前記位置データ(S)を前記アクチュエータ(3)の位置検出器(8)によって供給するように構成されており、
前記位置閉ループ制御は、前記アクチュエータ駆動部(2)に直接配置された位置センサなしに行われる、
ことを特徴とする装置。
【請求項9】
位置検出システム(1)において、
− 回転型の電子転流式モータを含むアクチュエータ駆動部(2)と、
− アクチュエータ(3)とを有しており、
該アクチュエータ(3)は、前記アクチュエータ駆動部(2)を介して位置調整可能であり、かつ、前記アクチュエータ(3)の複数の位置に前記アクチュエータ駆動部(2)のロータの電気的なロータ位置を対応付けることができるように前記アクチュエータ駆動部(2)に連結されており、
前記位置検出システム(1)はさらに
− 請求項7または8に記載の装置を有する、
ことを特徴とする位置検出システム(1)。
【請求項10】
コンピュータまたは請求項7または8に記載した装置上でコンピュータプログラムが実行される場合に、請求項1からまでのいずれか1項に記載の方法のすべてのステップを実行するためのプログラムコード手段を有するコンピュータプログラム。
【請求項11】
プログラムコードがデータ処理装置上で実行される場合に請求項1からまでのいずれか1項に記載の方法を実行するためのプログラムコードであって、コンピュータ読み出し可能データ担体に記憶されているプログラムコードを含む、
ことを特徴とするコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般的には位置検出システムに関しており、殊にアクチュエータ駆動部と、アクチュエータとの間に変速部が設けられており、上記のアクチュエータの位置検出器に基づいて位置閉ループ制御を行う位置検出システムに関する。
【0002】
従来の技術
内燃機関を有するエンジンシステムにおいて使用される位置検出システムは、例えばスロットル位置検出システムは、アクチュエータの位置、すなわちスロットルの位置を検出し、これによってこのアクチュエータの位置を冗長に検査できるようにするため、位置検出器を有する。このような位置検出システムでは、アクチュエータ駆動部とアクチュエータとの間に変速部が設けられることが多く、この変速部により、アクチュエータ駆動部の複数の回転によってアクチュエータの位置が調整される。上記の変速部は、アクチュエータに大きな調整トルクないしは調整力を加えることによってこの調整を可能にしている。
【0003】
アクチュエータ駆動部として、電子転流式モータを設けることができる。このようなアクチュエータには、最適な転流のため、上記のモータのロータのロータ位置についてのデータが必要である。上記のアクチュエータの位置を閉ループ制御し、かつ、アクチュエータの位置から逆算されるロータ位置を使用してモータを駆動制御する位置閉ループ制御において不利であるのは、上記の変速部に起因して、アクチュエータ駆動部の最適な転流には不十分な精度でしか上記のロータ位置についてのデータを供給できないことである。
【0004】
本発明の課題は、位置検出システムにおけるアクチュエータの位置データの妥当性を検査するため、または、これを補正するための方法であって、アクチュエータ駆動部に直接配置される位置センサがなくても間に合わせることの可能な方法を提供することである。
【0005】
発明の開示
この課題は、位置検出システムのアクチュエータの測定した位置データの妥当性を検査するまたはこれを補正する、請求項1に記載した方法によって解決され、また請求項1と並列な請求項に記載された装置、位置検出システム、コンピュータプログラムおよびコンピュータプログラム製品によって解決される。
【0006】
本発明の別の有利な実施形態は、従属請求項に記載されている。
【0007】
本発明の第1の態様によれば、位置検出システムを駆動する方法が設けられ、ここではロータ式電子転流式モータを含むアクチュエータ駆動部を介して、アクチュエータを位置調整可能であり、アクチュエータ駆動部のロータの電気的なロータ位置が、アクチュエータの複数の位置に対応付けることができる。この方法は、
− 上記のアクチュエータの位置について検出した位置データに基づいて位置閉ループ制御を行い、位置調整量を形成するステップを有しており、この位置調整量は、アクチュエータ駆動部を駆動制御するための空間ベクトルに対応付けられ、
上記の方法はさらに
− 形成したこの位置調整量に対応付けられている位置ベクトルにより、上記の位置データの妥当性を検査するまたはこれを補正するステップを有する。
【0008】
上記の方法のアイデアは、位置閉ループ制御される位置検出システムにおいて、電子転流式アクチュエータ駆動部を駆動制御するため、このアクチュエータ駆動部のロータ位置に対するデータとして、上記の位置閉ループ制御ないしは転流方式によって設定される空間ベクトルを使用し、またここから、与えられた変速比を考慮して、上記のアクチュエータの発生し得る複数の位置を求めることにある。これにより、上記の位置検出システムに連結された位置検出器によって得られる、上記のアクチュエータの位置に対する位置データは、アクチュエータの上記の位置によって妥当性を検出するかないしは補正することができ、ここでは、上記の駆動制御したロータ位置に最も早く対応する位置データが、有効な位置データとして選択される。これは、このロータ位置と、上記のアクチュエータの実際の位置とを固定に対応付けることによって可能になる。
【0009】
これにより、アクチュエータの位置についての位置データを求めるための精度の低い位置検出器であっても、ロータ位置をアクチュエータの位置に固定に対応付けることにより、アクチュエータの求めた位置の妥当性を検査するかこれを補正することができる。
【0010】
さらに上記の空間ベクトルに対応付けられるロータ位置に最も近い位置データによって上記の位置閉ループ制御に使用される位置データを置き換えることにより、上記の位置データを補正することができる。
【0011】
1つの実施形態によれば、前記位置閉ループ制御に使用した位置データに、上記の空間ベクトルに対応付けられるロータ位置に最も近い位置データを供給することによって前記位置データを補正する。
【0012】
本発明では、上記の空間ベクトルに対応付けられるロータ位置に最も近い位置データにより、上記の位置閉ループ制御に使用する位置データを検査することができる。
【0013】
さらに検出した上記の位置データを補正機能にしたがって補正することができ、ここでは、上記の空間ベクトルに対応するロータ位置に最も近い位置データに対応して、検出して補正した上記の位置データをさらに補正する。
【0014】
本発明の別の態様によれば、位置検出システムを動作させるための装置が設けられ、ここでは、回転型の電子転流式モータを含むアクチュエータ駆動部を介してアクチュエータを位置調整可能であり、上記のアクチュエータ駆動部のロータの電気的なロータ位置を上記のアクチュエータの複数の位置に対応付けることができ、この装置は、
− 上記のアクチュエータの位置を介して検出した位置データに基づいて位置閉ループ制御を行うために構成されており、位置操作量が形成され、この位置操作量には、上記のアクチュエータ駆動部を駆動制御するための空間ベクトルが対応付けられ、
上記の装置はさらに、
− 形成した上記の位置操作量に対応付けられる空間ベクトルにより、上記の位置データの妥当性を検査するかまたはこの位置データを補正するように構成されている。
【0015】
本発明の別の態様によれば、位置検出システムが設けられ、この位置検出システムには、
− 回転型の電子転流式モータを含むアクチュエータ駆動部と、
− アクチュエータとを有しており、このアクチュエータは、アクチュエータ駆動部を介して位置調整可能であり、かつ、アクチュエータの複数の位置にアクチュエータ駆動部のロータの電気的なロータ位置を対応付けることができるようにアクチュエータ駆動部に連結されており、
位置検出システムにはさらに、
− 上記の装置とが含まれている。
【0016】
本発明の別の態様によれば、コンピュータまたは上記の装置上でコンピュータプログラムが実行される場合に、上記の方法のすべてのステップを実行するためのプログラムコード手段を有するプログラムが設けられる。
【0017】
本発明の別の態様によれば、プログラムコードがデータ処理装置上で実行される場合に上記の方法を実行するプログラムコードであって、コンピュータ読み出し可能データ担体に記憶されるプログラムコードを含むプログラム製品が設けられる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】変速器を介して、位置調整すべきアクチュエータに接続されている電子転流式アクチュエータ駆動部を有する位置検出システムを概略的に示す図である。
図2】ロータ位置についての位置情報の妥当性を検査するためないしは補正するための方法を説明する流れ図である。
【0019】
以下では添付の図面に基づき、本発明の有利な実施形態を詳しく説明する。
【0020】
実施形態の説明
図1には、位置検出システム1が略示されており、殊に内燃機関を有するエンジンシステムの新鮮空気吸気システム用のスロットルバルブ位置検出器の位置検出システム1が略示されている。位置検出システム1には、回転型の電子転流式電気モータとして構成することが可能なアクチュエータ駆動部2が含まれている。アクチュエータ駆動部2は、アクチュエータ3を調整するために使用され、このアクチュエータは、図示の実施例において、吸気管4におけるスロットルとして構成されている。
【0021】
アクチュエータ3は、回転、旋回ないしはその他の仕方で調整することができる。アクチュエータ3がスロットルである場合、旋回による位置設定により、吸気管4における開口断面積が変化する。アクチュエータ駆動部2はこのために、変速比を有する変速器5を介してアクチュエータ3に結合されている。この実施例において上記のスロットルは、90°の旋回運動用のアクチュエータ3として設けられている。アクチュエータ3のこの旋回運動は、(図示しない)アクチュエータ駆動部2のロータが複数回回転するかによって得られる。すなわち、アクチュエータ駆動部2のロータの1回転は、変速器5の変速比によって生じる所定の角度だけアクチュエータ3を位置設定することに相当するのである。
【0022】
アクチュエータ駆動部2には、電子転流式電気モータが、殊にドライバ回路6によって駆動制御される3相電気機械が含まれている。ドライバ回路6は、アクチュエータ駆動部2用の相電圧を形成して、アクチュエータ駆動部2に電圧ベクトル(空間ベクトル)を設定する。この電圧ベクトルにより、少なくとも静止時には、上記の設定した空間ベクトルに相応して(これに平行な)ロータの配向が得られる。上記の電圧ベクトルにより、上記の空間ベクトルに平行な磁場が形成され、一般的にロータ極によって形成される上記の励起磁場はこの磁場の方向を向こうとする。
【0023】
上記の電圧ベクトルは、振幅(電圧の大きさ)と、空間ベクトル方向とによって定められる。上記の相電圧によって設定される空間ベクトルは、位置調整量Lに基づいて制御ユニット7によって形成される。ドライバ回路6にはこのために、転流方式を実現することができ、この方式により、転流パターンに相応して相電圧を加えることによって上記の空間ベクトルが得られる。
【0024】
制御ユニット7は、位置検出器8に接続されており、この位置検出器は、アクチュエータ3の近くに配置されており、アクチュエータ3の位置についての位置データSを供給する。位置検出器8の機能は、光学式、磁気式または類似の測定方式に基づくものとすることが可能である。位置検出器8は一般的に、アクチュエータ3に連結されたセンサホイールと、このセンサホイールの運動を検出して対応する位置変化信号を出力するセンサとを有する。この位置変化信号はつぎに位置検出器8において、例えば、累算によって位置データSに変換することができる。
【0025】
アクチュエータ3の位置についての位置データに基づき、制御ユニット7は、位置閉ループ制御を実行し、この位置閉ループ制御により、操作量としてドライバ回路6に伝えられる位置操作量Lが得られる。この位置閉ループ制御は、従来の位置閉ループ制御に相応して、外部から設定される目標位置SSに基づいて構成することができ、また比例部分および/または微分部分および/または積分部分を含み得る。この位置閉ループ制御により、操作量として空間ベクトルを求めることができ、この空間ベクトルは、複数の相電圧に変換され、これによって相応に配向された磁場が形成される。アクチュエータ駆動部2のロータは、この配向された磁場に対応して配向される。
【0026】
しかしながら択一的な実施形態では、上記の空間ベクトルの絶対な位置を設定する操作量を求めることなく、上記の位置閉ループ制御により、隣の空間ベクトルの振幅および/または方向をインクリメント方式に変更することも可能である。この場合には、ドライバ回路6に加えられている相電圧から位置を逆算することができる。
【0027】
制御装置7はさらに、適当な適合化方法により、上記の位置閉ループ制御に使用される位置データSの精度を改善する補正機能を含むことができる。例えば、1つの補正方式は、補正量を用いて実行することができる。この補正量は、アクチュエータ駆動部2を駆動制御する位置操作量Lに加えて、上記の空間ベクトルを変化させることによって得られる。この補正量は、積分値に相応し、この積分値は、制御装置7において実行される位置閉ループ制御部から得られる補助信号および操作量に依存する量を積分することによって得られる。
【0028】
本発明では、得られた位置データSの妥当性を検査するかないしはこの位置データSを補正するため、以下に図2の流れ図に関連して説明する方法が設けられている。
【0029】
図2の方法では、ステップS1においてまず位置検出器8から位置データSを受け取る。つぎのステップS2では、オプションの適切な補正機能により、位置データSが補正される。
【0030】
補正されたこの位置データSはつぎのステップS3において、ドライバ回路6に実際に伝えられた位置操作量Lに基づいて再度補正されるかまたは妥当性が検査される。ここで位置操作量Lにより、アクチュエータ駆動部2を駆動制御するための実際の空間ベクトルが求められる。上記の補正または妥当性検査は、上記の空間ベクトルを決定しかつアクチュエータ駆動部2の電気的なロータ位置に結び付く位置操作量Lに、アクチュエータ3の考えられ得る複数の位置を対応付けることによって実行される。これは、アクチュエータ駆動部2の電気機械の極数および変速器5の変速比に依存する。
【0031】
例えば、アクチュエータを約90°位置設定でき、かつ、アクチュエータ3の20°の位置調整と、アクチュエータ駆動部2の1回転とを対応付ける変速器5を有する上記の位置検出システムでは、位置操作量Lによって設定される空間ベクトルに、10°±1°,30°±1°,50°±1°,70°±1°,90°±1°のアクチュエータ3の考えられ得る位置を対応付けることができる。アクチュエータ3の求めた位置データSが29.5°±1.5°に等しい場合、上記の対応付けられた位置操作量により、30°±1°のアクチュエータ3の位置を想定することができる。なぜならば、上記のロータ位置と、アクチュエータ3の位置との対応付けは、固定の変速器5によって一意的に行うことができるからである。
【0032】
ステップS3には位置データSもしくは補正機能によって補正された位置データSによって示されている値の妥当性検査が含まれているか、または、ここでは、位置データSが、上記の位置閉ループ制御によって供給される位置操作量Lに相応して対応付けられる、アクチュエータ3の上記の位置に適合されるもしくは補正されるかのいずれかであり、ここでこの位置は、位置検出器8の位置データSに最も早く対応するものである。
【0033】
このようにして得られる補正したないしは妥当性を検査した位置データSは、ステップS4における上記の位置閉ループ制御用の入力量として使用することができ、この入力量から、アクチュエータ駆動部2を駆動制御するための新たな位置操作量Lが、ドライバ回路6を介して得られる。この方法は繰り返して実行され、これにより、第1には独立した補正方法によって位置データSが持続的に補正され、また第2には先行する閉ループサイクルの位置操作量Lないしは実際に加わられている上記の空間ベクトルにより、妥当性検査ないしは補正が行われる。
図1
図2