特許第6033449号(P6033449)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6033449ファン駆動ギアシステムの可撓性支持特徴部
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6033449
(24)【登録日】2016年11月4日
(45)【発行日】2016年11月30日
(54)【発明の名称】ファン駆動ギアシステムの可撓性支持特徴部
(51)【国際特許分類】
   F02C 3/107 20060101AFI20161121BHJP
   F02C 3/06 20060101ALI20161121BHJP
   F02C 3/073 20060101ALI20161121BHJP
   F02K 3/06 20060101ALI20161121BHJP
   F02C 7/00 20060101ALI20161121BHJP
   F01D 25/24 20060101ALI20161121BHJP
   F16H 57/023 20120101ALI20161121BHJP
【FI】
   F02C3/107
   F02C3/06
   F02C3/073
   F02K3/06
   F02C7/00 F
   F01D25/24 D
   F16H57/023
【請求項の数】14
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-534692(P2015-534692)
(86)(22)【出願日】2013年9月27日
(65)【公表番号】特表2015-532379(P2015-532379A)
(43)【公表日】2015年11月9日
(86)【国際出願番号】US2013062092
(87)【国際公開番号】WO2014099084
(87)【国際公開日】20140626
【審査請求日】2015年5月20日
(31)【優先権主張番号】61/708,132
(32)【優先日】2012年10月1日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】13/653,548
(32)【優先日】2012年10月17日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590005449
【氏名又は名称】ユナイテッド テクノロジーズ コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】UNITED TECHNOLOGIES CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100086232
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 博通
(74)【代理人】
【識別番号】100092613
【弁理士】
【氏名又は名称】富岡 潔
(72)【発明者】
【氏名】オットー,ジョン アール.
(72)【発明者】
【氏名】シャルマ,スニル
【審査官】 橋本 敏行
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−014489(JP,A)
【文献】 特開2001−208146(JP,A)
【文献】 特開2013−096413(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0260669(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0081039(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0105516(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0130246(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02C1/00−9/58
F02K1/00−99/00
F16H57/00−57/12
F23R3/00−7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスタービンエンジン用のギアアセンブリ支持体であって、
前記ガスタービンエンジンのケースに取り付けるように構成された第1の部分と、
ギアアセンブリを支持するように構成された第2の部分と、
前記ケースとの嵌合を画定するスナップ部分であって、前記ケースとの前記嵌合を調節するための調整可能な特徴部を含む、スナップ部分と、
前記スナップ部分から独立して、前記第2の部分から前記第1の部分にトルクを伝達するためのトルク反作用部分と、を備え、
前記スナップ部分が、前記ケースとの前記嵌合を画定する外径を含み、前記調整可能な特徴部が、アンダーカットと前記外径との間の厚さを含む、ギアアセンブリ支持体。
【請求項2】
前記外径が、完全な連続した外径を含み、前記アンダーカットが、前記外径に近接して円周方向に離間した複数のアンダーカットを含む、請求項に記載のギアアセンブリ支持体。
【請求項3】
前記複数のアンダーカットが、前記ケースとの前記嵌合を調整するために調節可能な軸方向の幅および半径方向の幅を含む、請求項に記載のギアアセンブリ支持体。
【請求項4】
前記トルク反作用部分が、前記調整可能な特徴部と前記ギアアセンブリ支持体の内表面との間の幅を含む、請求項1に記載のギアアセンブリ支持体。
【請求項5】
前記第2の部分と前記トルク反作用部分との間に配置された可撓性部分を含む、請求項1に記載のギアアセンブリ支持体
【請求項6】
前記スナップ部分が、前記ケースに嵌合する半径方向外表面に環状溝を含む、請求項1に記載のギアアセンブリ支持体
【請求項7】
前記第1の部分が、前記外表面から半径方向外側に延びる複数のフランジを備える、請求項に記載のギアアセンブリ支持体
【請求項8】
ガスタービンエンジンであって、
軸Aを中心に回転可能な複数のファンブレードを含むファンと、
圧縮機部と、
前記圧縮機部と流体連通している燃焼器と、
前記燃焼器と流体連通しているタービン部と、
前記軸Aを中心に前記ファンを回転させるように前記タービン部によって駆動されるギア構造部と、
前記ギア構造部を支持する支持部材であって、ケースに取り付けるように構成された第1の部分と、前記ギア構造部を支持するように構成された第2の部分と、前記ケースとの嵌合を調節するための調整可能な特徴部を含むスナップ部分と、前記スナップ部分から独立して、前記第2の部分から前記第1の部分にトルクを伝達するためのトルク反作用部分と、を含む、支持部材と、を備え、
前記スナップ部分が、前記ケースの内径との締り嵌めを画定する外径を含み、前記調整可能な特徴部が、アンダーカットと前記外径との間の厚さを含む、ガスタービンエンジン。
【請求項9】
前記外径が、完全な連続した外径を含み、前記アンダーカットが、前記外径に近接する円周方向に離間した複数のアンダーカットを含む、請求項に記載のガスタービンエンジン。
【請求項10】
前記トルク反作用部分が、軸方向の幅を含む、請求項に記載のガスタービンエンジン。
【請求項11】
前記スナップ部分が、前記ケースに嵌合する半径方向外表面に環状溝を含む、請求項に記載のガスタービンエンジン。
【請求項12】
ガスタービンエンジン内でギアアセンブリを支持する方法であって、
スナップ部分を用いて前記ガスタービンエンジン内で支持部材と静的構造との間に嵌合を画定することと、
前記スナップ部分から独立して、前記静的構造に取り付けるように構成された第1の部分と前記ギアアセンブリに取り付けるように構成された第2の部分との間にトルク伝達経路を画定することと、
前記ギアアセンブリを前記第2の部分に取り付けることと、
前記スナップ部分が前記静的構造に対して前記支持部材を位置付けるように、前記支持部材を前記静的構造に取り付けることと、を含み、
前記支持部材と前記静的構造との間に前記嵌合を画定することが、前記スナップ部分の外径と前記外径に近接するアンダーカットとの間の厚さを画定することを含む、方法。
【請求項13】
複数のアンダーカットを画定することと、前記複数のアンダーカットを円周方向に離間させることと、前記複数のアンダーカットの間に少なくとも部分的に前記トルク伝達経路を画定することと、を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記トルク伝達経路を画定することが、前記トルク伝達経路の軸方向厚さを画定することを含む、請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスタービンエンジンに関し、特に、ファン駆動ギアシステムの可撓性支持特徴部に関する。
【背景技術】
【0002】
本出願は、2012年10月1日に出願された米国仮特許出願第61/708,132号の優先権を主張する。ガスタービンエンジンは、典型的には、ファン部、圧縮機部、燃焼器部、およびタービン部を含む。圧縮機部に入る空気は、圧縮されて、燃焼部内に送出され、そこで、空気は、燃料と混合され、点火され、高速排気ガス流を生成する。高速排気ガス流は、タービン部を通して膨張し、圧縮機およびファン部を駆動する。圧縮機部は、典型的には、低圧および高圧圧縮機を含み、タービン部は、低圧および高圧タービンを含む。
【0003】
ファン部がタービン部とは異なる速度で回転して、エンジンの全体の推進効率を増大させることができるように、エピサイクリックギアアセンブリ等の減速装置は、ファン部を駆動するために利用される場合がある。そのようなエンジン構造部では、タービン部のうちのいずれかによって駆動されるシャフトは、タービン部とファン部との両方が最適速度のより近い速度で回転することができるように、低減された速度でファン部を駆動するエピサイクリックギアアセンブリへの入力を提供する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ギアアセンブリは、可撓性支持体を通して静的構造に取り付けられる。可撓性支持体は、ギアアセンブリをエンジン内で配向させ、また、運転中に発生したトルクに対応する。支持体の機能は、静的構造との所望の嵌合を含み、トルク伝達機能に対して平衡をとる。可撓性支持体の構成は、したがって、コストおよび重量を減少させる要求と個々の機能との平衡をとる。したがって、エンジン製造業者は、コストおよび重量と機能的要求との平衡をとる支持構造体における改善を求め続ける。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の例示的な実施形態に係るガスタービンエンジン用のギアアセンブリ支持体は、他の可能なものの中でもとりわけ、ガスタービンエンジンのケースに取り付けるように構成された第1の部分と、ギアアセンブリを支持するように構成された第2の部分と、ケースとの嵌合を画定するスナップ部分と、を含む。スナップ部分は、ケースとの嵌合を調節するための調整可能な特徴部を含む。トルク反作用部分は、スナップ部分から独立して、第2の部分から第1の部分にトルクを伝達する。
【0006】
上記ギアアセンブリ支持体のさらなる実施形態では、スナップ部分は、ケースとの嵌合を画定する外径を含み、調整可能な特徴部は、アンダーカットと外径との間の厚さを含む。
【0007】
いずれかの上記ギアアセンブリ支持体のさらなる実施形態では、外径は、完全な連続した外径を含み、アンダーカットは、外径に近接して円周方向に離間した複数のアンダーカットを含む。
【0008】
いずれかの上記ギアアセンブリ支持体のさらなる実施形態では、複数のアンダーカットは、ケースとの嵌合を調整するための調節可能な軸方向の幅および半径方向の幅を含む。
【0009】
いずれかの上記ギアアセンブリ支持体のさらなる実施形態では、トルク反作用部分は、調整可能な特徴部とギアアセンブリ支持体の内表面との間の幅を含む。
【0010】
いずれかの上記ギアアセンブリ支持体のさらなる実施形態では、第2の部分とトルク反作用部分との間に配置された可撓性部分を含む。
【0011】
いずれかの上記ギアアセンブリ支持体のさらなる実施形態では、スナップ部分は、ケースに嵌合する半径方向外表面に環状溝を含む。
【0012】
いずれかの上記ギアアセンブリ支持体のさらなる実施形態では、第1の部分は、外表面から半径方向外側に延びる複数のフランジを備える。
【0013】
本開示の例示的な実施形態に係る別のガスタービンエンジンは、他の可能なもののなかでもとりわけ、軸Aを中心に回転可能な複数のファンブレードを含むファンと、圧縮機部と、圧縮機部と流体連通している燃焼器と、燃焼器と流体連通しているタービン部と、軸Aを中心にファンを回転させるようにタービン部によって駆動されるギア構造部と、ギア構造部を支持する支持部材と、を含む。支持部材は、ケースに取り付けるように構成された第1の部分を含む。第2の部分が、ギア構造部を支持するように構成される。スナップ部分が、ケースとの嵌合を調節するための調整可能な特徴部を含む。トルク反作用部分は、第2の部分から第1の部分にスナップ部とは独立してトルクを伝達する。
【0014】
上記ガスタービンエンジンのさらなる実施形態では、スナップ部分は、ケースの内径との締り嵌めを画定する外径を含み、調整可能な特徴部は、アンダーカットと外径との間の厚さを含む。
【0015】
いずれかのガスタービンエンジンのさらなる実施形態では、外径は、完全な連続した外径を含み、アンダーカットは外径に近接して円周方向に離間した複数のアンダーカットを含む。
【0016】
いずれかのガスタービンエンジンのさらなる実施形態では、トルク反作用部分は軸方向の幅を含む。
【0017】
いずれかのガスタービンエンジンのさらなる実施形態では、スナップ部分は、ケースに嵌合する半径方向外表面に環状溝を含む。
【0018】
本開示の例示的な実施形態に係るガスタービンエンジン内でギアアセンブリを支持する方法は、他の可能なものの中でもとりわけ、スナップ部分を用いてガスタービンエンジン内で支持部材と静的構造との間の嵌合を画定することと、スナップ部分とは独立して、静的構造に取り付けるように構成された第1の部分とギアアセンブリに取り付けるように構成された第2の部分との間にトルク伝達経路を画定することと、ギアアセンブリを第2の部分に取り付けることと、スナップ部分が静的構造に対して支持部材を位置付けるように、支持部材を静的構造に取り付けることと、を含む。
【0019】
上記方法のさらなる実施形態では、支持部材と静的構造との間の嵌合を画定することは、スナップ部分の外径と外径に近接するアンダーカットとの間の厚さを画定することを含む。
【0020】
いずれかの方法のさらなる実施形態では、複数のアンダーカットを画定することと、複数のアンダーカットを円周方向に離間させることと、複数のアンダーカットの間に少なくとも部分的にトルク伝達経路を画定することと、を含む。
【0021】
いずれかの方法の実施形態のさらなる実施形態では、トルク伝達経路を画定することは、トルク伝達経路の軸方向厚さを画定することを含む。
【0022】
異なる例は図解に示された特定の構成要素を有するが、本発明の実施形態は、それらの特定の組み合わせに限定されるものではない。例のうちの1つからの構成要素または特徴のうちのいくつかを、例のうちの別の1つからの構成要素または特徴と組み合わせて用いることができる。
【0023】
本明細書に開示されるこれらおよび他の特徴は、以下の明細書および図面から最も良く理解することができ、これに続くのは簡単な説明である。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】ガスタービンエンジンの例の概略図である。
図2】ガスタービンエンジンの部分の断面図である。
図3】可撓性支持体の例の後方図である。
図4】スナップ嵌合部分を通しての可撓性支持体の例の断面図である。
図5】可撓性支持体の例のアンダーカットの例の拡大図である。
図6】可撓性支持体の例のトルク部分の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1は、ファン部22、圧縮機部24、燃焼器部26、およびタービン部28を含むガスタービンエンジン20の例を概略的に図解する。代替のエンジンは、他のシステムまたは特徴の中でもとりわけオーグメンタ部(図示せず)を含む場合がある。ファン部22が、空気をバイパス流路Bに沿って駆動する一方、圧縮機部24は、空気をコア流路Cに沿って中に吸い込み、空気が圧縮され、燃焼器部26に伝えられる。燃焼器部26では、空気は燃料と混合され、点火され、タービン部28を通って膨張する高圧排気ガス流を生成し、エネルギーは抽出され、ファン部22および圧縮機部24を駆動するために利用される。
【0026】
開示された非限定的な実施形態はターボファンガスタービンエンジンを描写するが、本明細書に記載された概念がターボファンとの使用に限定されないことを理解するべきである。この教示は、他の種類のタービンエンジン、例えば、共通の軸を中心に3つのスプールが同心円状に回転し、低スプールは低圧タービンにギアボックスを介してファンを駆動することを可能にさせ、中間スプールは中圧タービンに圧縮機部の第1の圧縮機を駆動することを可能にさせ、かつ高スプールは高圧タービンに圧縮機部の高圧圧縮機を駆動することを可能にさせる、3スプール構造体を含むタービンエンジンに適用されてもよい。
【0027】
エンジン20の例は、概して、いくつかの軸受けシステム38を介して、エンジンの静的構造36に対してエンジンの長手方向中心軸Aを中心にした回転のために取り付けられた、低速スプール30および高速スプール32を含む。様々な位置における様々な軸受けシステム38が、代替的または追加的に提供されてもよいことを理解するべきである。
【0028】
低速スプール30は、概して、ファン42と低圧(または第1の)圧縮機部44とを低圧(または第1の)タービン部46に接続する内側シャフト40を含む。内側シャフト40は、ギア構造部48等の変速装置を介してファン42を駆動し、低速スプール30よりも遅い速度でファン42を駆動する。高速スプール32は、高圧(または第2の)圧縮機部52と高圧(または第2の)タービン部54とを相互に接続する外側シャフト50を含む。内側シャフト40と外側シャフト50は、同心であり、エンジンの長手方向中心軸Aを中心に軸受けシステム38を介して回転する。
【0029】
燃焼器56は、高圧圧縮機52と高圧タービン54との間に配置される。一例では、高圧タービン54は、二段高圧タービン54を提供するための少なくとも2つの段階を含む。別の例では、高圧タービン54は、単一の段階のみを含む。本明細書で用いられる場合、「高圧」圧縮機またはタービンは、対応する「低圧」圧縮機またはタービンよりも高い圧力を経験する。
【0030】
低圧タービン46の例は、約5よりも大きい圧力比を有する。低圧タービン46の例の圧力比は、排気ノズルより前で低圧タービン46の出口において測定された圧力に関連して低圧タービン46の入口より前で測定される。
【0031】
エンジンの静的構造36の中間タービンフレーム58は、概して、高圧タービン54と低圧タービン46との間に配置される。中間タービンフレーム58は、低圧タービン46に入る空気流を設定するとともに、タービン部28内で軸受けシステム38をさらに支持する。
【0032】
コア空気流Cは、低圧圧縮機44によって、次に高圧圧縮機52によって圧縮され、燃料と混合され、燃焼器56内で点火され、その後高圧タービン54および低圧タービン46を通って膨張する高速排気ガスを生成する。中間タービンフレーム58は、コア空気流路内にあり、かつ低圧タービン46のための入口ガイドベーンとして機能するベーン60を含む。低圧タービン46のための入口ガイドベーンとして、中間タービンフレーム58のベーン60を利用することは、中間タービンフレーム58の軸方向長さを増大させることなく、低圧タービン46の長さを減少する。低圧タービン46内のベーンの数を削減または除去することは、タービン部28の軸方向の長さを短くする。したがって、ガスタービンエンジン20がより小型になり、より高い出力密度が達成され得る。
【0033】
一例で開示されたガスタービンエンジン20は、高バイパスギヤード航空機エンジンである。さらなる例では、ガスタービンエンジン20は、約6よりも大きいバイパス比を含み、実施形態例では約10よりも大きい。ギア構造部の例48は、約2.3よりも大きいギア減速比を有する、遊星ギアシステム、スターギアシステム、または他の公知のギアシステム等のエピサイクリックギア列である。
【0034】
開示された一実施形態では、ガスタービンエンジン20は、約10(10:1)を超えるバイパス比を含み、ファン直径は、低圧圧縮機44の外径よりもかなり大きい。しかしながら、上記のパラメータが、ギア構造部を含むガスタービンエンジンの一実施形態の単なる例示であり、かつ本開示が、他のガスタービンエンジンに適用可能であることを理解するべきである。
【0035】
かなりの量のスラストが、高バイパス比に起因するバイパス流Bによって提供される。エンジン20のファン部22は、特定の飛行条件、典型的には、約マッハ0.8および約35,000フィートの巡航に対して設計される。エンジンがその最良の燃料消費になる、「バケット巡航推力当たり燃料消費率(「TSFC」)」としても知られる、マッハ0.8および35,000フィートの飛行条件は、燃焼される1時間あたりの燃料のポンド質量(lbm)をエンジンがその最小点で生産するスラストのポンド力(lbf)で割った、産業標準パラメータである。
【0036】
「低ファン圧力比」は、ファン出口ガイドベーン(「FEGV」)システムなしの、ファンブレードのみの前後の圧力比である。非限定的な一実施形態に従って本明細書に開示されるような低ファン圧力比は、約1.50未満である。別の非限定的な実施形態では、低ファン圧力比は約1.45未満である。
【0037】
「低修正ファン先端速度」は、フィート/秒で示す実際のファン先端速度を[(トラム°R)/(518.7)0.5]の産業標準温度修正値で割ったものである。非限定的な一実施形態に従って本明細書に開示される、「低修正ファン先端速度」は、約1150フィート/秒未満である。
【0038】
ガスタービンエンジンの例としては、非限定的な一実施形態において約26未満のファンブレードを含むファン42が挙げられる。別の非限定的な実施形態では、ファン部22は、約20未満のファンブレードを含む。また、開示される一実施形態では、低圧タービン46は、概略的に34で示される、約6つ以下のタービンローターを含む。別の非限定的な例の実施形態では、低圧タービン46は、約3つのタービンローターを含む。ファンブレード42の数と低圧タービンローターの数との比は、約3.3〜約8.6である。低圧タービン46の例は、ファン部22を回転させるための駆動力を提供し、したがって低圧タービン46内のタービンローター34の数とファン部22内のブレード42の数との関係は、動力伝達効率が増大したガスタービンエンジン20の例を開示する。
【0039】
本開示において可撓性支持体62と称される支持部材は、ギア構造部48をガスタービンエンジン20の静的構造またはケース64に取り付けるために提供される。可撓性支持体62は、運転トルクを補償するための可撓性を提供する様式で、ギア構造部48を支持する。
【0040】
図1を引き続き参照しながら図2を参照すると、可撓性支持体62の例は、可撓性支持体62の外径78を受容する内径66を含むケース64内に嵌合する。ケース64の内径66と可撓性支持体62の外径78との間の嵌合は、締り嵌めであり、ケース64に対する可撓性支持体62の配向を提供する。したがって、ケース64に対する可撓性支持体62の配向は、固定されたケース構造体64に対するギア構造部48の配向も提供することになる。
【0041】
可撓性支持体62は、ギア構造部48によって発生したトルクを固定されたケース構造体64に繋ぐ。可撓性支持体62は、ケース64の内径66に対応するスナップ嵌合部分72を含む。スナップ嵌合部分72は、ケース64と可撓性支持体62との間の締り嵌めを画定する。
【0042】
可撓性支持体62は、トルク部分74とも称されるトルク反作用部分、および可撓性部分76をさらに含む。可撓性部分76、トルク部分74、およびスナップ嵌合部分72は、ケース64に取り付けられる第1の取り付け部分またはフランジ68と、ギア構造部48に取り付けられる第2の取り付け部分またはフランジ70との間に配置される。留め具80および82は、可撓性支持体62およびギア構造部48と、ケース64との間の接続を提供する。留め具80および82に加えて、ケース64とスナップ嵌合部分72との間に画定された締り嵌めは、可撓性支持体62をガスタービンエンジン20内でさらに配向させる。
【0043】
図2を引き続き参照しながら図3を参照すると、可撓性支持体62は、ギア構造部48とケース64との間で矢印100によって表示される方向にトルクを繋ぐ。可撓性支持体62によって加わるトルクは、ギア構造部48に取り付けられた内フランジ70から、接続部分75から延びる第1のフランジ68および外表面78に伝えられる。接続部分75は、フランジ68のそれぞれの位置に対応する。接続部分75は、可撓性支持体62の周りで連続的な表面ではないが、フランジ68のそれぞれの位置において、スナップ嵌合部分72とフランジ68との間に延在して位置付けられる。
【0044】
可撓性支持体62は、ケース64の内径66に対して適切な大きさの外径78を提供することによって、ケース64との所望の締り嵌めを提供する。トルク100は、外フランジ68と内フランジ70との間で伝達される。矢印100によって表示されるトルクは反対方向とすることもでき、かつ本開示の企図の範囲内にとどまることができることを理解するべきである。この例において、外フランジ68は、留め具82によってケース構造体64に取り付け可能な複数の分離して配置されたフランジ68から成る。トルク100の伝達は、可撓性部分76とトルク部分74を通して行われ、フランジ68を通して、ケース64に繋げられる。外径78は、スナップ嵌合を提供し、可撓性支持体62をケース64内に位置付ける。
【0045】
トルクはトルク部分74を通して伝達され、フランジ68を通してケース64に繋げられる。材料の厚さを適合させて、ケース64との所望の締り嵌めを提供し、一方でギアアセンブリ48によって発生したトルクを伝え、かつ繋ぐことは、難しい場合がある。可撓性支持体62の例は、トルク伝達経路74をスナップ嵌合特徴部72から分離し、これによって、スナップ嵌合特徴部72およびトルク経路74のそれぞれが個別に適合され、かつ調整されて、用途に固有の要求に応じることができる。
【0046】
図3を引き続き参照しながら図4、5、および6を参照すると、可撓性支持体62の例は、スナップ部分72およびアンダーカット86を含む。アンダーカット86は、外径78に近接して配置され、ケース64に対して発生したスナップ嵌合負荷を画定する助けとなる。環状溝84は、ケース64内に嵌合する外径78上に配置される。環状溝84が、リップ102の上方の外径78の周りに連続的に延びる。外径78の例は、フランジ68まで外に延びる接続部分75の後方に締り嵌めを提供するようにケース64に係合する完全な連続した表面である。
【0047】
アンダーカット86は、可撓性支持体62の直径の周りに円周方向に離間した特定の間隔で配置される。アンダーカット86どうしの間には、アンダーカット86を含まない変形制限部分92がある。変形制限部分92は、スナップ嵌合部分72においてアンダーカット86によって画定される厚さ部分104(図5)とは異なる厚さ部分98(図6)を含む。厚さ104は、可撓性支持体62のアンダーカット86と内表面105との間である。
【0048】
可撓性支持体62の例は、アンダーカット86の下の矢印94によって表示されるトルク経路を通してトルクを伝達する。アンダーカット86の下のトルク経路94を通した厚さ104は、スナップ嵌合部分72を通していくらかのトルクの伝達を提供する。しかしながら、変形制限部分92を通る厚さ98の寸法が、スナップ嵌合部分72の下を通ってフランジ68まで延びる厚さ104の寸法とは異なるように、アンダーカット86は、可撓性支持体62の周りで円周方向に離間する。
【0049】
厚さ104は、材料の完全な環であり、フランジ70と68との間でトルクを伝達する。アンダーカット86の間の変形制限部分92で提供される追加の厚さは、ギア構造部からのトルクに反作用するときにケース64の支柱によって引き起こされる半径方向の変形および追加の応力を制限する。したがって、可撓性支持体62の周りの全体の厚さ104が、トルクを伝達する。符号98で示されるいかなるアンダーカット86も存在しない追加の厚さは、フランジ70と68との間のトルクの伝達に貢献する以上に、ケース64の支柱による半径方向の変形を制限する。
【0050】
この例では、アンダーカット86は、半径方向の幅88および軸方向の幅90を含む。幅88および90は、別々に調節されて、リップ102の幅96を生じさせる。リップ102は、ケース64と可撓性支持体62との間の締り嵌めを画定する。リップ102は、したがって、ケース内の可撓性支持体62の嵌合を画定するために修正され得る調整可能な特徴部を画定する。リップ102は、可撓性支持体62の周りで円周方向に離間したアンダーカット86に配置される幅96を含む。幅88および90は、厚さ102の寸法を生じさせるように調節することができる。幅90は、トルク伝達部分74を通して画定される厚さ104の寸法を提供する。
【0051】
したがって、可撓性支持体62の例は、ギアアセンブリ48の支持体、およびトルク経路94から独立しているケース64との締り嵌めの調節も提供する。スナップ部分72とトルク部分74との分離は、可撓性支持体62を通した材料の厚さの独立した適合を提供し、相互から独立してリップ102の厚さの調節を通してケース64との締り嵌めを調節し、かつ厚さ104の調節を通してトルク伝達経路94を調節する。独立した調節は、より軽量、かつより経済的に頑強な可撓性支持体62を可能にする。
【0052】
本発明の実施形態の例が開示されてきたが、当業者は、ある一定の修正が本開示の範囲内に入ることになることを認識するであろう。そのため、以下の特許請求の範囲を、本開示の範囲および内容を決定するために、検討するべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6