【実施例】
【0046】
実施例1:抗体発現と精製
抗体IおよびIIの重鎖と軽鎖の可変領域のポリペプチド、完全長重鎖アミノ酸配列と軽鎖アミノ酸配列、並びにそれらをコードするヌクレオチド配列を、「アミノ酸およびヌクレオチド配列」と題する章に以下列挙する。また、軽鎖および重鎖CDRポリペプチドを表1に示す。
【0047】
限定はされないが抗体IおよびIIを含む本発明の抗体またはその抗原結合断片を、基本的には以下のようにして作製および精製することができる。適切な宿主細胞(例、HEK293 EBNA若しくはCHO)は、最適な所定のHC:LCベクター比を使用する抗体分泌のための発現系もしくはHCとLCの両者をコードする単一ベクター系を用いて一過的または安定的のいずれかでトランスフェクト可能である。抗体が分泌された浄化培地を、多数の一般的に使用される技術のいずれかを使用して精製してもよい。例えば、適合する緩衝液(例、リン酸緩衝生理食塩水(pH7.4))で平衡化した、Fab断片用MabSelectカラム(GEヘルスケア)またはKappaSelectカラム(GEヘルスケア)に、培地を簡便に添加してもよい。カラムを洗浄して、非特異的結合成分を除去することができる。結合した抗体は、例えば、pH勾配(例、20mMのTris緩衝液pH7〜10mMのクエン酸ナトリウム緩衝液pH3.0またはリン酸緩衝生理食塩水pH7.4〜100mMのグリシン緩衝液pH3.0)によって溶出可能である。抗体画分を、例えばSDS−PAGEによって検出してもよく、その後、プールしてもよい。さらなる精製は、使用目的に依存して、オプションとなる。抗体を、一般的技術を使用して濃縮および/または滅菌濾過してもよい。可溶性凝縮物および多量体は、一般的技術(サイズ排除クロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、多様式クロマトグラフィー、またはハイドロキシアパタイトクロマトグラフィー)により効果的に除去可能である。これらのクロマトグラフィー工程後の抗体純度は、95%よりも大きい。精製物は、−70℃で即座に凍結してもよいし、凍結乾燥してもよい。
【0048】
【表1】
【0049】
実施例2:抗BMP6抗体の結合動力学、親和力、および特異性
本発明の抗体またはその抗原結合断片の結合動力学、親和力、ならびにヒトBMP−6とともにヒトBMP−5およびヒトBMP−7に対する選択性は、当該技術分野で既知の方法に従って、表面プラズモン共鳴(SPR)バイオセンサ(例、BIAcore(登録商標)2000、BIAcore(登録商標)3000、またはBIAcore(登録商標)T100(GEヘルスケア))を使用して決定可能である。
【0050】
ヒトBMP−5、ヒトBMP−6、ヒトBMP−7およびMAB507を、R&Dシステムズ(ミネアポリス、MN)から購入することができる。MAB507は、BMP−6に特異的であると称する商業的な抗体である。カニクイザルBMP−6およびラットBMP−6は、標準的方法を使用して作製可能である。CM4チップ(BIAcore#BR−1005−34)上へのリガンドの固定は、EDC/NHSアミンカップリング法(BIAcore#BR−1000−50)を使用して準備可能である。手短にいうと、4つのフローセルの全ての表面を、EDC/NHSの1:1混合物を10μL/分で7分間注入することで活性化することができる。ヒトBMP−5、BMP−6、およびBMP−7を、10mMの酢酸緩衝液(pH4.5)中で1〜2μg/mLに希釈し、そして、流速10μL/分でフローセル(Fc)2、3、または4上に約200共鳴単位(RU)で固定する。Fc1はブランクのままでよい。未反応部位は、10μL/分でエタノールアミンを7分間注入してブロック可能である。30μL/分でグリシン(pH1.5)を3×30秒注入して、任意の非共有結合タンパク質を除去することができる。全ての測定を25および37℃で実施してもよい。ランニングバッファーを、HBS−EP+(BIAcore#BR−1006−69)としてもよい。BIAcoreT100評価ソフトウェアバージョン2.0.3を、解析に使用することができる。
【0051】
抗体IとMAB507の様々なBMPファミリーメンバー間の特異性を決定するために、それら抗体を終濃度1000、100、10、1、0.1、0.01、0.001、および0(ブランク)nMでランニングバッファーHBS−EP+中に調製してもよい。各サイクルは、全てのフローセル上に50μL/分で300秒間希釈抗体を注入し、その後、50μL/分で1200秒間解離させることからなる場合がある。チップ表面を、50μL/分で10mMのグリシン(pH1.5)を60秒間および30μL/分でHBS−EP緩衝液を30秒間注入することで再生することができる。参照値を差し引いたデータを回収してもよい。そして、各リガンドに対するオンレート(k
on)およびオフレート(k
off)を、BIAevaluation解析ソフトウェアの1:1結合モデルを使用して評価する場合がある。親和力(K
D)は、関係式K
D=k
off/k
onに従う結合動力学から計算可能である。
【0052】
この実施例2中に基本的に記載されるように実施される実験では、抗体IはヒトBMP−6に0.020nMの親和力で結合する。37℃ではヒトBMP−5とヒトBMP−7への結合を検出できないので、抗体IはBMP−6に配列が最も近似するBMPファミリーメンバーであるその2つに対して選択性を示す。
【0053】
R&Dの抗体MAB507はヒトBMP−6に1nMの親和力で結合するが、抗体Iと違って、MAB507はヒトBMP−7に対して23nMの親和力を有する(表2)。MAB507は、37℃ではヒトBMP−5への結合が検出できない(表2)。
【0054】
抗体Iおよび抗体IIのFabは、37℃で0.08〜0.09nMの範囲の同様の親和力でヒトBMP−6に結合する(表3)。MAB507のFab、つまりFab507、は、37℃で12.2nMの親和力でヒトBMP−6に結合する(表3)。
【0055】
抗体IおよびIIのFabは、MAB507のFabよりも135〜150倍高いヒトBMP−6に対する親和力を示す。抗体Iは、MAB507に比較すると、50倍高いヒトBMP−6に対する親和力を示す。
【0056】
抗体IのFabは、37℃で79.6〜88.0pMの範囲の同様の親和力でヒト、カニクイザル、およびラットのBMP−6に結合する(表4)。抗体IはカニクイザルBMP−6およびラットBMP−6への親和力が高いので、抗体Iを代理の抗体を用いる必要もなくカニクイザルおよびラット動物モデル中で直接使用することができる。
【0057】
【表2】
【0058】
【表3】
【0059】
【表4】
【0060】
実施例3:BMP6抗体はBMP−6誘導性ヘプシジン発現を阻害する。
本発明の抗体またはその抗原結合断片によるヒトBMP−6のインビトロ細胞ベースの阻害は、BMP−6がヘプシジン発現を誘導する細胞ベースアッセイにて測定可能である。このインビトロ細胞ベースアッセイをまた使用して、他のBMP(例、BMP−2、BMP−4、BMP−5、BMP−7、BMP−9、およびBMP−10)によるヘプシジン誘導に対するBMP−6抗体の選択性を評価することができる。前記インビトロ細胞ベースアッセイにおいて、ヘプシジンプロモーター上のBMP応答エレメントへのリガンドBMPの結合は、HepProm_Luc細胞のルシフェラーゼリポーター活性を誘導する。このアッセイは非常に感度が高く、この様なものはBMPファミリーメンバーのどれが鉄恒常性に関与するのかを示すことには不適である。しかしながら、このアッセイは、細胞環境にて様々なBMPファミリーメンバーに対する阻害剤の選択性を示すことには有効である。
【0061】
前記HepProm_Luc細胞株は、Hep3B2.1−7細胞(ATCC、Manassas、VA、#HB−8064)にクローン化したヘプシジンプロモーターDNA配列(HepProm0.3+1.0kb)を含むルシフェラーゼリポーターベクターを安定的トランスフェクションすることにより作製することができる。HepProm_Luc細胞は、DMEM/高グルコース(Hyclone、Logan、UT、#SH30243.01)プラス5%熱不活化FBS(インビトロジェン、GrandIsland、NY、#10082−147)と1×MEM NEAA(インビトロジェン、Carlsbad、CA)および200μg/mlのG418硫酸塩(インビトロジェン、GrandIsland、NY、#30−234−CI)からなる完全培地中で維持可能である。
【0062】
このアッセイのために、HepProm_Luc細胞を抗生物質不含有完全培地に150,000細胞/mLで再懸濁する場合がある。0.1mLの再懸濁HepProm_Luc細胞を、15,000細胞/ウエルで96穴マイクロタイタープレート(コーニング、Lowell、MA、#3917)に加え、その細胞をその後、5%(v/v)CO
2にて37℃で24時間インキュベートしてもよい。培養培地をその後除去して、細胞を、0.1%(w/v)BSA(インビトロジェン、GrandIsland、NY、#15260)を有する80μLのOptiMEM I(インビトロジェン、GrandIsland、NY、#31985)中で5時間37℃で5%(v/v)CO
2下で飢餓状態にする場合がある。
【0063】
0.1%(w/v)BSAを有するOptiMEM I中の10μLの抗BMP6抗体(終濃度の10×)を、BMP−6誘導に関しては0.2nM〜20nMの最終投与量範囲、BMP−5およびBMP−7誘導に関しては7.8nM〜1000nMの最終投与量範囲、BMP−2、BMP−4、BMP−9、およびBMP−10誘導に関しては1000nMまでの単一点投薬量で細胞に加える場合がある。10μLのリガンドBMP(終濃度の10×)を、終濃度BMP−2(3.8nM)、BMP−4(3.8nM)、BMP−5、(12.8nM)、BMP−6(3.4nM)、BMP−7(3.2nM)、BMP−9(0.8nM)、またはBMP−10(4.1nM)で各ウエルに加えて、細胞を22〜24時間37℃で5%(v/v)CO
2下でインキュベートする場合がある。培養培地をその細胞から除去して、50μLのGlo溶解バッファー(プロメガ、Madison、WI、#E2661)を細胞に加えて、2分間振とうした後、室温で5分間インキュベートしてもよい。50μLのBright Glo(商標)ルシフェラーゼ試薬(プロメガ、Madison、WI、#E2620)をその後細胞に加えて、30秒間振とうした後、室温で5分間インキュベートする場合がある。発光をWallac Victor装置上で1秒/ウエルで測定してもよい。
【0064】
BMP−6抗体による阻害率を計算するために、0%阻害をBMP−6抗体非添加のリガンドBMP処理の平均発光として設定する場合がある。そして、100%阻害をBMP−6抗体非添加のリガンドBMP非処理の平均発光として設定する場合がある。3または4パラメータ曲線適用解析を、GraphPad Prismソフトウェア(サンディエゴ、CA)を使用して実施してもよい。
【0065】
この実施例3に基本的に記載されるように実施される実験において、抗体IおよびIIは、HepProm_Luc細胞のBMP−6誘導性ヘプシジンプロモータールシフェラーゼ活性を強く阻害する(表5)。この阻害はMAB507よりも約22倍以上強い。
【0066】
表6のデータが示すのは、ヒトIgGPAA4コントロールと比較して1000nMの単一点濃度で試験した場合、BMP−2、BMP−4、BMP−5、BMP−7、BMP−9、およびBMP−10誘導によるヘプシジンプロモータールシフェラーゼ活性を、抗体IおよびIIが優位に阻害しないことである。このアッセイでの抗体IおよびIIは、試験した複数のBMPに対して選択性を示す。MAB507は、しかしながら、BMP−6に対する選択性を示さず、1000nM(N=6)で平均−1.7%阻害を有するヒトIgGPAA4に比較して、BMP−7に対して1000nM(N=2)で平均54.2%阻害を示す。
【0067】
【表5】
【0068】
【表6】
【0069】
実施例4:雄カニクイザルへの単一静脈内投薬後のBMP−6抗体の薬物動態/薬動力学試験
本発明の抗体または抗原結合断片の血清薬物動態/薬動力学(PK/PD)を、正常雄カニクイザルへの単一静脈内投薬後に試験する場合がある。雄カニクイザルは、抗体の単一静脈内(IV)ボーラス投薬を投薬量1mL/kgで注射して行ってもよい。様々な時点で採取する血清サンプルから、血清鉄濃度、BMP−6抗体レベル、およびヘプシジンレベルを測定してもよい。
【0070】
薬物動態、血清ヘプシジン、およびBMP−6の定量のために、約1.5mLの血液を複数の時点で各動物から抗凝固薬が入っていないチューブに回収する場合がある。サンプルは遠心分離の前に外気条件下で凝固させて、血清を得ることができる。サンプルは、約−70℃での保存前に、湿った氷上で維持する場合がある。臨床病理解析のために、約0.5mLの血液を複数の時点で各動物から大腿静脈を介して回収し、抗凝固薬が入っていないチューブに入れてもよい。その血液を使用し、標準的方法を用いて、血清鉄測定、不飽和鉄結合能測定、総鉄結合能測定、パーセント鉄飽和測定、標準的血液学測定を実施する場合がある。ヘプシジン濃度を、Murphyら、Blood、110(3):1048(2007)に記載されるように測定してもよい。
【0071】
トータルヒトIgGのELISAを使用して、血清サンプルをBMP−6抗体の濃度に関して解析する場合がある。血清中のBMP−6抗体は、96穴マイクロタイタープレート(Nunc Immobilizer Aminoカタログ#436006)の抗ヒトκ軽鎖抗体でコートされたウエルに結合し、そして、抗ヒトIgG4−HRP結合抗体(Southern Biotech、#9200−05)を用いて検出可能である。このアッセイの検出上限と下限は、それぞれ200と10ng/mLである場合がある。免疫反応性BMP−6抗体の濃度は、4/5パラメータアルゴリズム(StatLIA、バージョン3.2)を使用して、ラット血清中の化合物の既知の量から作成される検量線により決定してもよい。薬物動態パラメータを、Watson(バージョン7.4、生体解析LIMS)ソフトウェアパッケージ(ThermoScientific)を使用して計算する場合がある。計算されたパラメータは、曲線下面積(AUC
0−∞)、見かけクリアランス(Cl)、および排泄半減期を含む場合がある。
【0072】
この実施例4中で基本的に記載されるように実施される実験において、試験Iでは、単一静脈内ボーラスとして投与される抗体Iの投薬量は、0.3、1.0、3.0、および10mg/kgである。コントロールのヒトIgG4は、10mg/kgで投薬される。試験Iのビヒクルはリン酸緩衝生理食塩水(pH7.4)である。薬物動態、血清ヘプシジン、およびBMP−6の定量のために、抗体I投与後の薬物動態、血清鉄、および血清ヘプシジン応答に関するデータを、各動物から投薬前(Day−1)、投薬後1、6、12、24、48、72、120、168、240、336、432、528、および672時間、ならびに試験Day36、43、50、および57に測定する。
【0073】
この実施例4中で基本的に記載されるように実施される実験において、試験IIでは、単一静脈内ボーラスとして投与される抗体Iの投薬量は、0.05、0.3、および3.0mg/kgである。コントロールのヒトIgG4は、3mg/kgで投薬された。試験IIのビヒクルはリン酸緩衝生理食塩水(pH7.4)プラス0.02%のTween80である。抗体I投与後の薬物動態、血清鉄、および血清ヘプシジン応答に関するデータを、各動物から投薬前(Day−1)ならびに投薬後1、6、12、24、48、72、120、168、240、336、432、528、672、840、1008、1176、1344、1512、1680、および1848時間に測定する。
【0074】
試験I及びIIでは、抗体Iの最大血清濃度(C
max)は、おおよそ投薬量に比例して増加し、0.05〜10mg/kgに渡って検討される。検討される投薬量範囲に渡って、抗体Iは、投薬量が増えるとクリアランスが減少しおよび排泄半減期が増加するような非線形薬物動態を示す。検討される投薬量範囲に渡って、クリアランスは〜0.57から〜0.17mL/hr/kgに減少する。試験されるタイムフレームと投薬量範囲に渡って、半減期は〜58から〜295時間の範囲である。
【0075】
表8および9の薬動力学データが示すのは、抗体Iの投与が、投薬後120〜240時間にほぼベースライン(投薬前)レベルに戻る前に24時間でピークがある血清鉄の初期即時増加と関連があることである。3および10mg/kg投薬群では、血清鉄は投薬量により依存して240時間後に再び上昇する。そして、この試験の終了時に向けて血清鉄の上昇が延長されるのが観察される。
【0076】
抗体Iの投与はまた、投薬後早くて6〜12時間で起こるカニクイザル血清ヘプシジンの急性減少とも関連する。試験IIでは、血清ヘプシジンは投薬量に依存してベースラインに戻る。しかし、ベースラインへのヘプシジン回帰のこの投薬量依存性は、試験Iほどは明らかでない。試験IでのヒトIgG4コントロール抗体は血清ヘプシジンの減少を示すが、試験IIでは再現されない。両方の試験はまた、観察される低血清ヘプシジンレベルと相関しない抗体Iの存在下で血清鉄レベルの有意な変化を示す。
【0077】
【表7】
【0078】
【表8】
【0079】
雄カニクイザルへの単一静脈内投薬後のHuA507の薬物動態/薬動力学試験
この実施例4中で基本的に記載されるように実施される実験において、正常雄カニクイザルへの単一静脈内投薬後に、HuA507の血清PK/PDを試験する。HuA507は、R&DシステムズのMAB507抗体のマウス定常領域をヒトIgG4PAA骨格で置換して作製されるキメラ抗体である。HuA507抗体またはコントロールヒトIgG4の投薬量10mg/kgの単一静脈内ボーラスを、1mL/kgの容量で投与する。この試験のビヒクルはリン酸緩衝生理食塩水(pH7.4)である。解析のために、血液を各動物から投薬前(Day1)ならびに投薬後1、6、12、24、48、72、96、168、264、336、432、528、および624時間で採取する。HuA507抗体の投薬量が10mg/kgの場合、平均血清鉄濃度は、投薬前の約150μg/mlから投薬後12時間での約210μg/mlへと増加するが、その後、48時間までにはベースラインへと降下回帰する。この実施例4で示される抗体Iの長期薬動力学効果とは違って、HuA507を用いた治療は48時間までの血清鉄濃度の短い初期増加を示すのみであり、抗体Iで見られるような長期応答は示さない。
【0080】
実施例5:ラットACDモデルにおける効力
本発明の抗体またはその抗原結合断片の効力をラットACDモデルにて測定することができる。8〜10週齢の雌ルイスラットにおいて、Day0でグラム陽性大腸菌細胞壁抽出物(LeeLabs、#PG−PS 10S)5mg/kgの一回の腹腔内投薬により、炎症を誘導してもよい。さらなる治療が全くなかった場合、細胞壁抽出物を用いた10日間の処置中に、ヘモグロビン濃度の減少がこのモデル中で見られる場合がある。本発明の抗体を10mg/kg用いる治療を、Day8でIV投薬により開始し、この抗体の週単位のIV投薬を継続してもよい。ホモグロビン、血清鉄、およびヘプシジンの濃度を測定し、HuIgG4コントロールによる治療で見られる数値と比較してもよい。
【0081】
臨床病理解析のために、約0.2mLの血液を複数の時点で各動物からテールクリップを介して回収し、EDTAが入っているチューブに入れてもよい。その血液を使用し、標準的方法を用いて、血清鉄測定、不飽和鉄結合能測定、総鉄結合能測定、パーセント鉄飽和測定、標準的血液学測定を実施する場合がある。全ての他の解析のために、約0.75mLの血液を複数の時点で各動物からテールクリップを介して回収し、抗凝血薬が入っていないチューブに入れてもよい。
【0082】
この実施例5中で基本的に記載されるように実施される実験において、抗体Iは、Day60での試験の終了までのほとんどの日で、hIgG4アイソタイプコントロールよりも統計学的に優位に高いヘモグロビンと鉄の長期薬動力学的応答を示す。コントロールと比較した場合、ヘモグロビン濃度の増加は約0.82〜1.5g/dLである。一旦抗体I治療が開始されると、治療群の赤血球は小球性の程度が少なくなり且つ低色素の程度も少なくなる。赤血球の特性の変化に基づいて、この試験で観察されるヘモグロビン増加は、赤血球の生産が増加したというよりはむしろ赤血球のサイズと細胞ヘモグロビンレベルの規格が増加することから生じると結論することができる。
【0083】
アミノ酸およびヌクレオチド配列
配列番号:1 (ヒトBMP−6)
PPPLRPPLPAAAAAAAGGQLLGDGGSPGRTEQPPPSPQSSSGFLYRRLKTQEKREMQKEILSVLGLPHRPRPLHGLQQPQPPALRQQEEQQQQQQLPRGEPPPGRLKSAPLFMLDLYNALSADNDEDGASEGERQQSWPHEAASSSQRRQPPPGAAHPLNRKSLLAPGSGSGGASPLTSAQDSAFLNDADMVMSFVNLVEYDKEFSPRQRHHKEFKFNLSQIPEGEVVTAAEFRIYKDCVMGSFKNQTFLISIYQVLQEHQHRDSDLFLLDTRVVWASEEGWLEFDITATSNLWVVTPQHNMGLQLSVVTRDGVHVHPRAAGLVGRDGPYDKQPFMVAFFKVSEVHVRTTRSASSRRRQQSRNRSTQSQDVARVSSASDYNSSELKTACRKHELYVSFQDLGWQDWIIAPKGYAANYCDGECSFPLNAHMNATNHAIVQTLVHLMNPEYVPKPCCAPTKLNAISVLYFDDNSNVILKKYRNMVVRACGCH
配列番号:2 (LCDR1−抗体Iおよび抗体II)
RSSENIYRNLA
配列番号:3 (LCDR2−抗体Iおよび抗体II)
AATNLAD
配列番号:4 (LCDR3−抗体Iおよび抗体II)
QGIWGTPLT
配列番号:5 (HCDR1−抗体Iおよび抗体II)
GYTFTSYAMH
配列番号:6 (HCDR2−抗体I)
YINPYNDGTKYNENFKG
配列番号:7 (HCDR2−抗体II)
YINPYNRGTKYNENFKG
配列番号:8 (HCDR3−抗体Iおよび抗体II)
RPFGNAMDI
配列番号:9 (LCVR−抗体Iおよび抗体II)
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRSSENIYRNLAWYQQKPGKAPKLLIYAATNLADGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQGIWGTPLTFGGGTKVEIK
配列番号:10 (HCVR−抗体I)
QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGYTFTSYAMHWVRQAPGQGLEWMGYINPYNDGTKYNENFKGRVTITADESTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCARRPFGNAMDIWGQGTLVTVSS
配列番号:11 (HCVR−抗体II)
QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGYTFTSYAMHWVRQAPGQGLEWMGYINPYNRGTKYNENFKGRVTITADESTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCARRPFGNAMDIWGQGTLVTVSS
配列番号:12 (LC−抗体Iおよび抗体II)
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRSSENIYRNLAWYQQKPGKAPKLLIYAATNLADGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQGIWGTPLTFGGGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC
配列番号:13 (HC−抗体I)
QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGYTFTSYAMHWVRQAPGQGLEWMGYINPYNDGTKYNENFKGRVTITADESTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCARRPFGNAMDIWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPCSRSTSESTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTKTYTCNVDHKPSNTKVDKRVESKYGPPCPPCPAPEAAGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLG
配列番号:14 (HC−抗体II)
QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGYTFTSYAMHWVRQAPGQGLEWMGYINPYNRGTKYNENFKGRVTITADESTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCARRPFGNAMDIWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPCSRSTSESTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTKTYTCNVDHKPSNTKVDKRVESKYGPPCPPCPAPEAAGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLG
配列番号:15 (LC DNA−抗体Iおよび抗体II)
GACATCCAGATGACCCAGTCTCCATCCTCCCTGTCTGCATCTGTAGGAGACAGAGTCACCATCACTTGCCGATCTTCCGAAAATATTTACCGTAATTTAGCATGGTATCAGCAGAAACCAGGGAAAGCCCCTAAGCTCCTGATCTATGCTGCAACAAACTTAGCAGATGGGGTCCCATCAAGGTTCAGTGGCAGTGGATCTGGGACAGATTTCACTCTCACCATCAGCAGTCTGCAACCTGAAGATTTTGCAACTTACTACTGTCAAGGCATTTGGGGTACTCCGCTCACTTTCGGCGGAGGGACCAAGGTGGAGATCAAACGAACTGTGGCTGCACCATCTGTCTTCATCTTCCCGCCATCTGATGAGCAGTTGAAATCTGGAACTGCCTCTGTTGTGTGCCTGCTGAATAACTTCTATCCCAGAGAGGCCAAAGTACAGTGGAAGGTGGATAACGCCCTCCAATCGGGTAACTCCCAGGAGAGTGTCACAGAGCAGGACAGCAAGGACAGCACCTACAGCCTCAGCAGCACCCTGACGCTGAGCAAAGCAGACTACGAGAAACACAAAGTCTACGCCTGCGAAGTCACCCATCAGGGCCTGAGCTCGCCCGTCACAAAGAGCTTCAACAGGGGAGAGTGC
配列番号:16 (HC DNA−抗体I)
CAGGTGCAGCTGGTGCAGTCTGGGGCTGAGGTGAAGAAGCCTGGGTCCTCGGTGAAGGTCTCCTGCAAGGCTTCTGGATATACATTCACTAGCTATGCTATGCACTGGGTGCGACAGGCCCCTGGACAAGGGCTTGAGTGGATGGGATATATTAATCCTTATAATGATGGTACTAAGTACAATGAGAACTTCAAAGGCAGAGTCACGATTACCGCGGACGAATCCACGAGCACAGCCTACATGGAGCTGAGCAGCCTGAGATCTGAGGACACGGCCGTGTATTACTGTGCGAGAAGGCCCTTTGGTAACGCTATGGACATTTGGGGCCAGGGCACCCTGGTCACCGTCTCCTCAGCCTCCACCAAGGGCCCATCGGTCTTCCCGCTAGCGCCCTGCTCCAGGAGCACCTCCGAGAGCACAGCCGCCCTGGGCTGCCTGGTCAAGGACTACTTCCCCGAACCGGTGACGGTGTCGTGGAACTCAGGCGCCCTGACCAGCGGCGTGCACACCTTCCCGGCTGTCCTACAGTCCTCAGGACTCTACTCCCTCAGCAGCGTGGTGACCGTGCCCTCCAGCAGCTTGGGCACGAAGACCTACACCTGCAACGTAGATCACAAGCCCAGCAACACCAAGGTGGACAAGAGAGTTGAGTCCAAATATGGTCCCCCATGCCCACCCTGCCCAGCACCTGAGGCCGCCGGGGGACCATCAGTCTTCCTGTTCCCCCCAAAACCCAAGGACACTCTCATGATCTCCCGGACCCCTGAGGTCACGTGCGTGGTGGTGGACGTGAGCCAGGAAGACCCCGAGGTCCAGTTCAACTGGTACGTGGATGGCGTGGAGGTGCATAATGCCAAGACAAAGCCGCGGGAGGAGCAGTTCAACAGCACGTACCGTGTGGTCAGCGTCCTCACCGTCCTGCACCAGGACTGGCTGAACGGCAAGGAGTACAAGTGCAAGGTCTCCAACAAAGGCCTCCCGTCCTCCATCGAGAAAACCATCTCCAAAGCCAAAGGGCAGCCCCGAGAGCCACAGGTGTACACCCTGCCCCCATCCCAGGAGGAGATGACCAAGAACCAGGTCAGCCTGACCTGCCTGGTCAAAGGCTTCTACCCCAGCGACATCGCCGTGGAGTGGGAAAGCAATGGGCAGCCGGAGAACAACTACAAGACCACGCCTCCCGTGCTGGACTCCGACGGCTCCTTCTTCCTCTACAGCAGGCTAACCGTGGACAAGAGCAGGTGGCAGGAGGGGAATGTCTTCTCATGCTCCGTGATGCATGAGGCTCTGCACAACCACTACACACAGAAGAGCCTCTCCCTGTCTCTGGGT
配列番号:17 (HC DNA−抗体II)
CAGGTGCAGCTGGTGCAGTCTGGGGCTGAGGTGAAGAAGCCTGGGTCCTCGGTGAAGGTCTCCTGCAAGGCTTCTGGATATACATTCACTAGCTATGCTATGCACTGGGTGCGACAGGCCCCTGGACAAGGGCTTGAGTGGATGGGATATATTAATCCTTATAATCGTGGTACTAAGTACAATGAGAACTTCAAAGGCAGAGTCACGATTACCGCGGACGAATCCACGAGCACAGCCTACATGGAGCTGAGCAGCCTGAGATCTGAGGACACGGCCGTGTATTACTGTGCGAGAAGGCCCTTTGGTAACGCTATGGACATTTGGGGCCAGGGCACCCTGGTCACCGTCTCCTCAGCCTCCACCAAGGGCCCATCGGTCTTCCCGCTAGCGCCCTGCTCCAGGAGCACCTCCGAGAGCACAGCCGCCCTGGGCTGCCTGGTCAAGGACTACTTCCCCGAACCGGTGACGGTGTCGTGGAACTCAGGCGCCCTGACCAGCGGCGTGCACACCTTCCCGGCTGTCCTACAGTCCTCAGGACTCTACTCCCTCAGCAGCGTGGTGACCGTGCCCTCCAGCAGCTTGGGCACGAAGACCTACACCTGCAACGTAGATCACAAGCCCAGCAACACCAAGGTGGACAAGAGAGTTGAGTCCAAATATGGTCCCCCATGCCCACCCTGCCCAGCACCTGAGGCCGCCGGGGGACCATCAGTCTTCCTGTTCCCCCCAAAACCCAAGGACACTCTCATGATCTCCCGGACCCCTGAGGTCACGTGCGTGGTGGTGGACGTGAGCCAGGAAGACCCCGAGGTCCAGTTCAACTGGTACGTGGATGGCGTGGAGGTGCATAATGCCAAGACAAAGCCGCGGGAGGAGCAGTTCAACAGCACGTACCGTGTGGTCAGCGTCCTCACCGTCCTGCACCAGGACTGGCTGAACGGCAAGGAGTACAAGTGCAAGGTCTCCAACAAAGGCCTCCCGTCCTCCATCGAGAAAACCATCTCCAAAGCCAAAGGGCAGCCCCGAGAGCCACAGGTGTACACCCTGCCCCCATCCCAGGAGGAGATGACCAAGAACCAGGTCAGCCTGACCTGCCTGGTCAAAGGCTTCTACCCCAGCGACATCGCCGTGGAGTGGGAAAGCAATGGGCAGCCGGAGAACAACTACAAGACCACGCCTCCCGTGCTGGACTCCGACGGCTCCTTCTTCCTCTACAGCAGGCTAACCGTGGACAAGAGCAGGTGGCAGGAGGGGAATGTCTTCTCATGCTCCGTGATGCATGAGGCTCTGCACAACCACTACACACAGAAGAGCCTCTCCCTGTCTCTGGGT