特許第6033459号(P6033459)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6033459
(24)【登録日】2016年11月4日
(45)【発行日】2016年11月30日
(54)【発明の名称】BMP−6抗体
(51)【国際特許分類】
   C07K 16/24 20060101AFI20161121BHJP
   C07K 16/46 20060101ALI20161121BHJP
   C12N 15/09 20060101ALI20161121BHJP
   A61P 13/12 20060101ALI20161121BHJP
   A61P 7/06 20060101ALI20161121BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20161121BHJP
   C12P 21/08 20060101ALN20161121BHJP
【FI】
   C07K16/24ZNA
   C07K16/46
   C12N15/00 A
   A61P13/12
   A61P7/06
   A61K39/395 N
   !C12P21/08
【請求項の数】16
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2015-547414(P2015-547414)
(86)(22)【出願日】2013年12月5日
(65)【公表番号】特表2016-501273(P2016-501273A)
(43)【公表日】2016年1月18日
(86)【国際出願番号】US2013073239
(87)【国際公開番号】WO2014099391
(87)【国際公開日】20140626
【審査請求日】2015年6月12日
(31)【優先権主張番号】61/737,859
(32)【優先日】2012年12月17日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】594197872
【氏名又は名称】イーライ リリー アンド カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100147131
【弁理士】
【氏名又は名称】今里 崇之
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】スルーラー,ステファニー マリー イートン
(72)【発明者】
【氏名】セオ,ヌンソン
【審査官】 坂崎 恵美子
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2010/056981(WO,A1)
【文献】 Nat. Genet.,2009年 4月,Vol.41, No.4,p.482-487
【文献】 Annu. Rev. Med.,2011年,Vol.62,p.347-360
【文献】 Blood,2011年 7月21日,Vol.118, No.3,p.747-756
【文献】 J. Cell Sci. ,2005年11月15日,Vol.118, No.22,p.5257-5268
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07K 16/24
A61K 39/395
A61P 7/06
A61P 13/12
C07K 16/46
C12N 15/09
C12P 21/08
WPIDS/WPIX(STN)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
UniProt/GeneSeq
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒトBMP−6(配列番号:1)に結合する抗体またはその抗原結合断片であって、軽鎖可変領域(LCVR)および重鎖可変領域(HCVR)を含み、前記LCVRは相補性決定領域(CDR)であるLCDR1、LCDR2、およびLCDR3を含み、ならびに前記HCVRはCDRであるHCDR1、HCDR2、およびHCDR3を含み、前記LCDR1はRSSENIYRNLA(配列番号:2)のポリペプチドであり、前記LCDR2はAATNLAD(配列番号:3)のポリペプチドであり、前記LCDR3はQGIWGTPLT(配列番号:4)のポリペプチドであり、前記HCDR1はGYTFTSYAMH(配列番号:5)のポリペプチドであり、前記HCDR2はYINPYNDGTKYNENFKG(配列番号:6)またはYINPYNRGTKYNENFKG(配列番号:7)のポリペプチドであり、および前記HCDR3はRPFGNAMDI(配列番号:8)のポリペプチドである、抗体またはその抗原結合断片。
【請求項2】
前記LCDR1がRSSENIYRNLA(配列番号:2)のポリペプチドであり、前記LCDR2がAATNLAD(配列番号:3)のポリペプチドであり、前記LCDR3がQGIWGTPLT(配列番号:4)のポリペプチドであり、前記HCDR1がGYTFTSYAMH(配列番号:5)のポリペプチドであり、前記HCDR2がYINPYNDGTKYNENFKG(配列番号:6)のポリペプチドであり、および前記HCDR3がRPFGNAMDI(配列番号:8)のポリペプチドである、請求項1に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項3】
前記LCDR1がRSSENIYRNLA(配列番号:2)のポリペプチドであり、前記LCDR2がAATNLAD(配列番号:3)のポリペプチドであり、前記LCDR3がQGIWGTPLT(配列番号:4)のポリペプチドであり、前記HCDR1がGYTFTSYAMH(配列番号:5)のポリペプチドであり、前記HCDR2がYINPYNRGTKYNENFKG(配列番号:7)のポリペプチドであり、および前記HCDR3がRPFGNAMDI(配列番号:8)のポリペプチドである、請求項1に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項4】
LCVRおよびHCVRを含み、前記LCVRは配列番号:9のポリペプチドであり、および前記HCVRは配列番号:10または配列番号:11のポリペプチドである、請求項1に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項5】
前記LCVRが配列番号:9のポリペプチドであり、および前記HCVRが配列番号:10のポリペプチドである、請求項4に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項6】
前記LCVRが配列番号:9のポリペプチドであり、および前記HCVRが配列番号:11のポリペプチドである、請求項4に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項7】
軽鎖(LC)および重鎖(HC)を含み、前記LCは配列番号:12のポリペプチドであり、および前記HCは配列番号:13または配列番号:14のポリペプチドである、請求項1または4に記載の抗体。
【請求項8】
前記LCが配列番号:12のポリペプチドであり、および前記HCが配列番号:13のポリペプチドである、請求項7に記載の抗体。
【請求項9】
前記LCが配列番号:12のポリペプチドであり、および前記HCが配列番号:14のポリペプチドである、請求項7に記載の抗体。
【請求項10】
2個の軽鎖および2個の重鎖を含み、各軽鎖は配列番号:12のポリペプチドであり、および各重鎖は配列番号:13のポリペプチドである、請求項1、4、および7のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項11】
2個の軽鎖および2個の重鎖を含み、各軽鎖は配列番号:12のポリペプチドであり、および各重鎖は配列番号:14のポリペプチドである、請求項1、4、および7のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか一項に記載の抗体またはその抗原結合断片および許容可能な担体、希釈剤、または賦形剤を含む、医薬組成物。
【請求項13】
治療に使用するための、請求項1〜11のいずれか一項に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項14】
貧血の治療に使用するための、請求項1〜11のいずれか一項に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項15】
前記貧血が慢性疾患の貧血である、請求項14に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項16】
前記慢性疾患の貧血が癌性貧血および慢性腎疾患の貧血からなる群より選択される、請求項15に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は医学分野に関する。より特には、本発明はヒトBMP−6に結合する抗体またはその抗原結合断片に関し、慢性疾患の貧血(ACD)(例、癌性貧血)または慢性腎疾患(CKD)の貧血を治療するために有用である場合がある。
【背景技術】
【0002】
BMP−6は骨形成タンパク質(BMP)ファミリーのメンバーであり、BMPファミリーには20より多くのメンバーがある。BMPファミリーメンバーは、細胞の転写調節へとつながるSMAD経路で情報伝達を開始するリガンドである。BMP−6ノックアウトマウスは生存可能且つ生殖能力があり、正常な骨及び軟骨発生を示すことが報告されている。一方で、近縁種であるBMP−7のノックアウトマウスは、腎臓、眼、および骨の欠損があり出生後に死亡する。BMP−6またはBMP−7のいずれかの個々のノックアウトは心臓発生に変化を生じないことが示されているが、BMP−6とBMP−7のダブルノックアウトは心臓にいくつかの欠損と遅延を示し、胎仔は心不全のため死亡した。BMP−7の存在は、マウスモデルにおいて、線維症と関連する慢性心疾患の進行を阻害するのに重要であることも示されている。従って、BMP−6抗体を用いてヒトBMP−6を阻害する場合、BMP−7に対する交差反応性はおそらく望ましくない。
【0003】
過剰な炎症性サイトカインが鉄恒常性の制御不全、赤血球形成の減少、および赤血球寿命の低下を引き起こす場合、ある種の慢性疾患(例、がん、腎臓病、および自己免疫疾患)はACDを導き得る。ヘプシジンは鉄恒常性に関与する重要なホルモンとして同定された。高濃度のヘプシジンはACD中で見られる鉄制限赤血球形成と関連している。BMP−6はヘプシジン発現を上昇させることが示されている。
【0004】
特許文献1はヒトBMP−6に対して作製されたマウス抗体のマウスへの投与を開示した。R&Dシステムズから市販されたマウス抗体MAB507を用いた3日間の治療法後のある時点で、ヘプシジンの減少と鉄の増加が報告された。複数のBMPに対する選択性もまた開示され、BMP−6抗体MAB507の投与がBMP−7をある投薬量で阻害することが示された。しかしながら、現状では、BMP−6をターゲットとする抗体が治療用途に承認されたものはない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2010/056981号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
別のBMP−6抗体を提供する必要性がまだ残っている。特に、BMP−7を含む他のBMPファミリーメンバーに対してBMP−6に選択的な、効き目のあるBMP−6抗体を提供する必要性がまだ残っている。BMP−7を含む他のBMPファミリーメンバーに対してBMP−6に選択的で、長期薬動力学的応答を生み出す効き目のあるBMP−6抗体を提供する必要性もまだ残っている。ACDの治療のために、BMP−7を含む他のBMPファミリーメンバーに対してBMP−6に選択的な、効き目のあるBMP−6抗体を提供する必要性もまだ残っている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
従って、本発明が提供するのは、ヒトBMP−6(配列番号:1)に結合する抗体またはその抗原結合断片であって、軽鎖可変領域(LCVR)および重鎖可変領域(HCVR)を含み、前記LCVRは相補性決定領域(CDR)であるLCDR1、LCDR2、およびLCDR3を含み、前記HCVRはCDRであるHCDR1、HCDR2、およびHCDR3を含み、前記LCDR1はRSSENIYRNLA(配列番号:2)のポリペプチドであり、前記LCDR2はAATNLAD(配列番号:3)のポリペプチドであり、前記LCDR3はQGIWGTPLT(配列番号:4)のポリペプチドであり、前記HCDR1はGYTFTSYAMH(配列番号:5)のポリペプチドであり、前記HCDR2はYINPYNDGTKYNENFKG(配列番号:6)またはYINPYNRGTKYNENFKG(配列番号:7)のポリペプチドであり、および前記HCDR3はRPFGNAMDI(配列番号:8)のポリペプチドである。
【0008】
ある実施形態で、本発明が提供するのは、ヒトBMP−6(配列番号:1)に結合する抗体またはその抗原結合断片であって、軽鎖可変領域(LCVR)および重鎖可変領域(HCVR)を含み、前記LCVRは相補性決定領域(CDR)であるLCDR1、LCDR2、およびLCDR3を含み、前記HCVRはCDRであるHCDR1、HCDR2、およびHCDR3を含み、前記LCDR1はRSSENIYRNLA(配列番号:2)のポリペプチドであり、前記LCDR2はAATNLAD(配列番号:3)のポリペプチドであり、前記LCDR3はQGIWGTPLT(配列番号:4)のポリペプチドであり、前記HCDR1はGYTFTSYAMH(配列番号:5)のポリペプチドであり、前記HCDR2はYINPYNDGTKYNENFKG(配列番号:6)のポリペプチドであり、および前記HCDR3はRPFGNAMDI(配列番号:8)のポリペプチドである。
【0009】
ある実施形態で、本発明が提供するのは、ヒトBMP−6(配列番号:1)に結合する抗体またはその抗原結合断片であって、軽鎖可変領域(LCVR)および重鎖可変領域(HCVR)を含み、前記LCVRは相補性決定領域(CDR)であるLCDR1、LCDR2、およびLCDR3を含み、前記HCVRはCDRであるHCDR1、HCDR2、およびHCDR3を含み、前記LCDR1はRSSENIYRNLA(配列番号:2)のポリペプチドであり、前記LCDR2はAATNLAD(配列番号:3)のポリペプチドであり、前記LCDR3はQGIWGTPLT(配列番号:4)のポリペプチドであり、前記HCDR1はGYTFTSYAMH(配列番号:5)のポリペプチドであり、前記HCDR2はYINPYNRGTKYNENFKG(配列番号:7)のポリペプチドであり、および前記HCDR3はRPFGNAMDI(配列番号:8)のポリペプチドである。
【0010】
ある実施形態で、本発明が提供するのは、ヒトBMP−6(配列番号:1)に結合する抗体またはその抗原結合断片であって、LCVRおよびHCVRを含み、前記LCVRは配列番号:9のポリペプチドであり、および前記HCVRは配列番号:10または配列番号:11のポリペプチドである。さらなる実施形態で、本発明が提供するのは、ヒトBMP−6(配列番号:1)に結合する抗体またはその抗原結合断片であって、LCVRおよびHCVRを含み、前記LCVRは配列番号:9のポリペプチドであり、および前記HCVRは配列番号:10のポリペプチドである。別の実施形態で、本発明が提供するのは、ヒトBMP−6(配列番号:1)に結合する抗体またはその抗原結合断片であって、LCVRおよびHCVRを含み、前記LCVRは配列番号:9のポリペプチドであり、および前記HCVRは配列番号:11のポリペプチドである。
【0011】
ある実施形態で、本発明が提供するのは、ヒトBMP−6(配列番号:1)に結合する抗体であって、LCVRおよびHCVRを含み、前記LCVRは配列番号:9のポリペプチドであり、および前記HCVRは配列番号:10または配列番号:11のポリペプチドである。さらなる施形態で、本発明が提供するのは、ヒトBMP−6(配列番号:1)に結合する抗体であって、LCVRおよびHCVRを含み、前記LCVRは配列番号:9のポリペプチドであり、および前記HCVRは配列番号:10のポリペプチドである。別の実施形態で、本発明が提供するのは、ヒトBMP−6(配列番号:1)に結合する抗体であって、LCVRおよびHCVRを含み、前記LCVRは配列番号:9のポリペプチドであり、および前記HCVRは配列番号:11のポリペプチドである。
【0012】
ある実施形態で、本発明が提供するのは、ヒトBMP−6(配列番号:1)に結合する抗体であって、軽鎖(LC)および重鎖(HC)を含み、前記LCは配列番号:12のポリペプチドであり、および前記HCは配列番号:13または配列番号:14のポリペプチドである。さらなる実施形態で、本発明が提供するのは、ヒトBMP−6(配列番号:1)に結合する抗体であって、LCおよびHCを含み、前記LCは配列番号:12のポリペプチドであり、および前記HCは配列番号:13のポリペプチドである。別の実施形態で、本発明が提供するのは、ヒトBMP−6(配列番号:1)に結合する抗体であって、LCおよびHCを含み、前記LCは配列番号:12のポリペプチドであり、および前記HCは配列番号:14のポリペプチドである。
【0013】
ある実施形態で、本発明が提供するのは、ヒトBMP−6(配列番号:1)に結合する抗体であって、2個の軽鎖および2個の重鎖を含み、各軽鎖は配列番号:12のポリペプチドであり、および各重鎖は配列番号:13のポリペプチドである。ある実施形態で、本発明が提供するのは、ヒトBMP−6(配列番号:1)に結合する抗体であって、2個の軽鎖および2個の重鎖を含み、各軽鎖は配列番号:12のポリペプチドであり、および各重鎖は配列番号:14のポリペプチドである。
【0014】
本発明はまた、RNAの形態または(cDNAを含むDNAである)DNAおよび合成DNAの形態であってもよい、本発明の上記抗体またはその抗原結合断片をコードするポリヌクレオチドに関する。前記DNAは二本鎖または一本鎖であってもよい。本発明の抗体またはその抗原結合断片をコードするコーディング配列は、遺伝コードの重複または縮重の結果、異なる場合がある。
【0015】
ある実施形態で、本発明が提供するのは、配列番号:13のアミノ酸配列または配列番号:14のアミノ酸配列を有する重鎖ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列を含むDNA分子である。ある実施形態で、本発明が提供するのは、配列番号:12のアミノ酸配列を有する軽鎖ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列を含むDNA分子である。
【0016】
ある実施形態で、本発明が提供するのは、配列番号:13のアミノ酸配列を有する重鎖ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列を含み、および配列番号:12のアミノ酸配列を有する軽鎖ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列を含むDNA分子である。ある実施形態で、本発明が提供するのは、配列番号:14のアミノ酸配列を有する重鎖ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列を含み、および配列番号:12のアミノ酸配列を有する軽鎖ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列を含むDNA分子である。
【0017】
本発明のポリヌクレオチドは、前記配列が発現制御配列に機能的に連結された後に宿主細胞中で発現される。発現ベクターは、典型的には、エピソームまたは宿主染色体DNAに組み込まれた一部としてのいずれかで宿主生物中で複製可能である。一般的には、所望のDNA配列で形質転換された細胞の検出を可能にするために、発現ベクターは選択マーカー(例、テトラサイクリン、ネオマイシン、およびジヒドロ葉酸還元酵素)を含む。
【0018】
本発明の抗体またはその抗原結合断片は、哺乳類細胞(例、CHO、NS0、HEK293若しくはCOS細胞)、大腸菌細胞(E.coli、Bacillus subtilis、若しくはPseudomonas fluorescence)、または真菌もしくは酵母細胞中で容易に生産可能である。宿主細胞を、当該技術分野で周知の技術を使って培養する。
【0019】
目的のポリヌクレオチド配列(例、抗体またはその抗原結合断片のポリペプチドおよび発現コントロール配列)を含むベクターは、細胞宿主の種類に依存して異なる周知の方法により宿主細胞に移行可能である。例えば、塩化カルシウム形質転換が原核細胞に一般的に利用されるが、リン酸カルシウム処理またはエレクトロポレーションが他の細胞宿主に対して使用可能である。
【0020】
ある実施形態で、本発明が提供するのは、本発明の一又は複数のDNA分子を含む哺乳類細胞であって、前記細胞は配列番号:13のアミノ酸配列を有する重鎖および配列番号:12のアミノ酸配列を有する軽鎖を含む抗体を発現することができる。ある実施形態で、本発明が提供するのは、本発明の複数のDNA分子を含む哺乳類細胞であって、前記細胞は配列番号:14のアミノ酸配列を有する重鎖および配列番号:12のアミノ酸配列を有する軽鎖を含む抗体を発現することができる。
【0021】
ある実施形態で、本発明が提供するのは、アミノ酸配列が配列番号:13である重鎖およびアミノ酸配列が配列番号:12である軽鎖を含む本発明の抗体を生産する方法であって、本発明の哺乳類細胞を前記抗体が発現されるような条件下で培養する工程、および前記発現抗体を回収する工程を含む、方法である。ある実施形態で、本発明が提供するのは、アミノ酸配列が配列番号:14である重鎖およびアミノ酸配列が配列番号:12である軽鎖を含む本発明の抗体を生産する方法であって、本発明の哺乳類細胞を前記抗体が発現されるような条件下で培養する工程、および前記発現抗体を回収する工程を含む、方法である。さらなる実施形態では、本発明は、本発明の方法により生産される抗体を提供する。
【0022】
ある実施形態では、本発明は、本発明の抗体またはその抗原結合断片および許容可能な担体、希釈剤、または賦形剤を含む医薬組成物を提供する。より特には、本発明の前記組成物は、一又は複数の追加的治療剤をさらに含む。
【0023】
ある実施形態では、本発明は、貧血を治療する方法であって、治療の必要がある患者に有効量の本発明の抗体またはその抗原結合断片を投与する工程を含む、方法を提供する。さらなる実施形態では、本発明は、貧血を治療する方法であって、有効量の本発明の抗体またはその抗原結合断片を投与する工程を含み、前記貧血が慢性疾患の貧血である、方法を提供する。別の実施形態では、本発明は、貧血を治療する方法であって、有効量の本発明の抗体またはその抗原結合断片を投与する工程を含み、前記慢性疾患の貧血が癌性貧血および慢性腎疾患の貧血からなる群より選択される、方法を提供する。
【0024】
ある実施形態では、本発明は、ヘプシジン関連鉄制限貧血を治療する方法であって、治療の必要がある患者に有効量の本発明の抗体またはその抗原結合断片を投与する工程を含む、方法を提供する。さらなる実施形態では、本発明は、ヘプシジン関連鉄制限貧血を治療する方法であって、有効量の本発明の抗体またはその抗原結合断片を投与する工程を含み、前記ヘプシジン関連鉄制限貧血が癌性貧血および慢性腎疾患の貧血からなる群より選択される、方法を提供する。
【0025】
ある実施形態では、本発明は、鉄剤不応性鉄欠乏性貧血(IRIDA)を治療する方法であって、治療の必要がある患者に有効量の本発明の抗体またはその抗原結合断片を投与する工程を含む、方法を提供する。さらなる実施形態では、本発明は、IRIDAを治療する方法であって、治療の必要がある患者に有効量の本発明の抗体またはその抗原結合断片を投与する工程を含み、IRIDAがTMPRSS6遺伝子中の欠損により引き起こされる、方法を提供する。
【0026】
ある実施形態では、本発明は、シェーグレン症候群を治療する方法であって、治療の必要がある患者に有効量の本発明の抗体またはその抗原結合断片を投与する工程を含む、方法を提供する。
【0027】
ある実施形態では、本発明は、血清鉄レベル、網状赤血球数、赤血球数、ヘモグロビン、および/またはヘマトクリットを増加させる方法であって、その増加の必要がある患者に有効量の本発明の抗体またはその抗原結合断片を投与する工程を含む、方法を提供する。別の実施形態では、本発明は、血清鉄レベルを増加させる方法であって、その増加の必要がある患者に有効量の本発明の抗体またはその抗原結合断片を投与する工程を含む、方法を提供する。別の実施形態では、本発明は、網状赤血球数を増加させる方法であって、その増加の必要がある患者に有効量の本発明の抗体またはその抗原結合断片を投与する工程を含む、方法を提供する。別の実施形態では、本発明は、赤血球数を増加させる方法であって、その増加の必要がある患者に有効量の本発明の抗体またはその抗原結合断片を投与する工程を含む、方法を提供する。別の実施形態では、本発明は、ヘモグロビンを増加させる方法であって、その増加の必要がある患者に有効量の本発明の抗体またはその抗原結合断片を投与する工程を含む、方法を提供する。別の実施形態では、本発明は、ヘマトクリットを増加させる方法であって、その増加の必要がある患者に有効量の本発明の抗体またはその抗原結合断片を投与する工程を含む、方法を提供する。
【0028】
ある実施形態では、本発明は、治療に使用するための、本発明の抗体またはその抗原結合断片を提供する。さらなる実施形態では、本発明は、貧血の治療に使用するための、本発明の抗体またはその抗原結合断片を提供する。別の実施形態では、本発明は、慢性疾患の貧血の治療に使用するための、本発明の抗体またはその抗原結合断片を提供する。別の実施形態では、本発明は、慢性腎疾患の貧血または癌性貧血の治療に使用するための、本発明の抗体またはその抗原結合断片を提供する。
【0029】
ある実施形態では、本発明は、ヘプシジン関連鉄制限貧血の治療に使用するための、本発明の抗体またはその抗原結合断片を提供する。別の実施形態では、本発明は、癌のヘプシジン関連鉄制限貧血の治療に使用するための、本発明の抗体またはその抗原結合断片を提供する。別の実施形態では、本発明は、慢性腎疾患のヘプシジン関連鉄制限貧血の治療に使用するための、本発明の抗体またはその抗原結合断片を提供する。
【0030】
ある実施形態では、本発明は、IRIDAの治療に使用するための、本発明の抗体またはその抗原結合断片を提供する。さらなる実施形態では、本発明は、IRIDAがTMPRSS6遺伝子中の欠損により引き起こされる、IRIDAの治療に使用するための、本発明の抗体またはその抗原結合断片を提供する。
【0031】
ある実施形態では、本発明は、シェーグレン症候群の治療に使用するための、本発明の抗体またはその抗原結合断片を提供する。
【0032】
ある実施形態では、本発明は、医薬品の製造のための、本発明の抗体またはその抗原結合断片の使用を提供する。さらなる実施形態では、本発明は、貧血治療用の医薬品の製造のための、本発明の抗体またはその抗原結合断片の使用を提供する。別の実施形態では、本発明は、慢性疾患の貧血治療用の医薬品の製造のための、本発明の抗体またはその抗原結合断片の使用を提供する。別の実施形態では、本発明は、慢性腎疾患の貧血治療用の医薬品の製造のための、本発明の抗体またはその抗原結合断片の使用を提供する。別の実施形態では、本発明は、癌性貧血治療用の医薬品の製造のための、本発明の抗体またはその抗原結合断片の使用を提供する。
【0033】
ある実施形態では、本発明は、IRIDA治療用の医薬品の製造のための、本発明の抗体またはその抗原結合断片の使用を提供する。さらなる実施形態では、本発明は、IRIDAがTMPRSS6遺伝子中の欠損により引き起こされる、IRIDA治療用の医薬品の製造のための、本発明の抗体またはその抗原結合断片の使用を提供する。
【0034】
ある実施形態では、本発明は、シェーグレン症候群治療用の医薬品の製造のための、本発明の抗体またはその抗原結合断片の使用を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0035】
「抗体」の一般的構造は当該技術分野でとりわけ周知である。IgG型の抗体については、鎖内および鎖間ジスルフィド結合を介して架橋される4本のアミノ酸鎖(2本の「重」鎖および2本の「軽」鎖)がある。抗体については、重鎖の一つが軽鎖の一つと鎖間ジスルフィド結合を形成し、他の重鎖は他の軽鎖と鎖間ジスルフィド結合を形成し、そして、重鎖の一つが他の重鎖と2個の鎖間ジスルフィド結合を形成する。抗原結合断片は、抗体の断片(例、Fab、Fab’、F(ab’)、一本鎖可変断片(scFv)、またはdi−scFv)である。
【0036】
ある種の生物系で発現されると、Fc領域に糖鎖付加されるヒトFc配列を有する抗体がある。抗体は他の位置でも糖鎖付加される場合がある。当業者は、本発明の抗体がそのような糖鎖付加を含む可能性があることを理解する。典型的には、糖鎖付加は抗体のFc領域のよく保存されたN−グリコシル化部位で起こる。N−グリカンは一般的にはアスパラギンに結合する。配列番号決定法によるアスパラギン295が、本発明の抗体のグリコシル化部位であると予想される。
【0037】
本発明の抗体は、ヒトゲノム配列由来のフレームワークと定常領域と同一または実質的に同一な、ヒトを起源とするフレームワーク、ヒンジ領域、および定常領域を有するように設計された人工抗体である。完全ヒトフレームワーク、ヒンジ領域、および定常領域は、ヒト生殖系列配列ならびに自然発生する体細胞突然変異を有する配列および/または人工的な変異を有する配列である。本発明の抗体は、一若しくは複数のアミノ酸置換、欠失、または付加をその中に含む完全ヒトフレームワーク、ヒンジ領域、または定常領域由来のフレームワーク、ヒンジ領域、または定常領域を含んでもよい。さらに、本発明の抗体は、ヒトにおいて実質的に非免疫原性である。
【0038】
抗体Iは二本の軽鎖と二本の重鎖を含み、各軽鎖は配列番号:12のポリペプチドからなり、そして、各重鎖は配列番号:13のポリペプチドからなる。抗体IIは二本の軽鎖と二本の重鎖を含み、各軽鎖は配列番号:12のポリペプチドからなり、そして、各重鎖は配列番号:14のポリペプチドからなる。抗体Iの各重鎖をコードする特定のDNA分子は配列番号:16であり、そして、抗体Iの各軽鎖をコードする特定のDNA分子は配列番号:15である。抗体IIの各重鎖をコードする特定のDNA分子は配列番号:17であり、そして、抗体IIの各軽鎖をコードする特定のDNA分子は配列番号:15である。
【0039】
本発明の抗体またはその抗原結合断片は、当該技術分野で周知の技術(例、組換え技術、ファージディスプレイ技術、合成技術、そのような技術の組み合わせ、または当該技術分野でよく知られた他の技術)を使用して生産することができる。抗体の生産および精製方法は当該技術分野で周知であり、例えば、HarlowおよびLane(1988)、Antibodies(抗体)、A Laboratory Manual(ラボマニュアル)、Cold SpringHarbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、New York、第5〜8および15章、ISBN0−87969−314−2に見出すことができる。
【0040】
CKDの貧血は、CKDに罹患する患者の初期および共通の合併症である貧血である。癌性貧血は血液悪性腫瘍およびいくつかの固形腫瘍が原因の貧血である。一方、化学療法誘導性貧血は、化学療法剤でがん患者を治療することが原因の貧血である。CKD貧血は、他の症状の中で、糖尿病性神経障害、心血管疾患、および網膜症を悪化させる。がん関連貧血は、相対的死亡リスクが増加することと相関する。がん関連貧血に対する現状の治療選択肢が輸血に限定されているのは、赤血球産生促進剤が化学療法誘導性貧血にのみ適用があるからである。
【0041】
本明細書中でヒトBMP−6に対するBMP−6抗体またはその抗原結合断片の親和力に言及するのに用いられる「結合」は、特に他に指摘がない場合、約1×10−8M未満、好ましくは約1×10−9M未満の(本明細書中に基本的に記載される表面プラズモン共鳴(SPR)バイオセンサを37℃で使用することを含む、当該技術分野で既知の一般的方法により決定される)Kを意味することを意図している。
【0042】
本発明の抗体に言及して本明細書中で使用される用語「選択的」は、(限定はされないが、ヒトBMP−5若しくはヒトBMP−7を含む)BMPファミリーの少なくとも一つのメンバーに結合する抗体よりも、ヒトBMP−6に約1000、500、200、100、50、10、または約5倍低いK(37℃での表面プラズモン共鳴により測定されるもの)で結合する抗体を指す。追加的にまたは代替的に、本明細書中の以下の実施例2〜3に記載される方法で測定する場合、本発明のBMP−6選択的抗体またはその抗原結合断片はヒトBMP−6に結合するが、(限定はされないが、ヒトBMP−5若しくはヒトBMP−7を含む)ヒトBMPファミリーの少なくとも一つのメンバーに結合しないか又は最小限だけ結合する。
【0043】
「有効量」は、研究者、医者、若しくは医療従事者が対象としてる組織、システム、動物、哺乳類若しくはヒトへの所望の治療効果または生物学的若しくは医学的応答を示す本発明の抗体あるいは本発明の抗体を含む医薬組成物の量を意味する。抗体の有効量は、個体の疾患状態、年齢、性別、および体重、ならびに個体において所望の応答を誘発する抗体の能力のような因子に従って変わりうる。有効量はまた、治療的有益な効果が、抗体の任意の毒性または有害作用をも上回るものである。
【0044】
用語「治療」、「治療する」および「治療すること」等は、疾患の進行を減速または逆転させることを含むような意味である。これらの用語はまた、疾患若しくは状態が実際には除去されなくても及び疾患若しくは状態の進行がそれ自体減速若しくは逆転されないとしても、前記疾患若しくは状態の一又は複数の症状を緩和し、改善し、減弱し、除去し、あるいは軽減することを含む。患者は、BMP−6活性の阻害により利益を得るであろう病気、疾患、または状態を有する哺乳類、好ましくはヒトのことを指す。
【0045】
本発明の抗体若しくはその抗原結合断片またはそれを含む医薬組成物は、非経口経路(例、皮下、静脈内、腹腔内、筋中、または経皮)で投与してもよい。本発明の抗体またはその抗原結合断片は、単回若しくは複数回投薬で、単独または医薬的に許容可能な担体及び/若しくは希釈剤と組み合わせて投与してもよい。本発明の医薬組成物は、当該技術分野で周知の方法(例、Remington:The Science and Practice of Pharmacy(調剤の科学と実務)、第19版(1995)、A.Gennaroら、Mack Publishing Co.)により調製可能であり、そして、本明細書中に開示される抗体および一若しくは複数の医薬的に許容可能な担体、希釈剤、または賦形剤を含む。
【実施例】
【0046】
実施例1:抗体発現と精製
抗体IおよびIIの重鎖と軽鎖の可変領域のポリペプチド、完全長重鎖アミノ酸配列と軽鎖アミノ酸配列、並びにそれらをコードするヌクレオチド配列を、「アミノ酸およびヌクレオチド配列」と題する章に以下列挙する。また、軽鎖および重鎖CDRポリペプチドを表1に示す。
【0047】
限定はされないが抗体IおよびIIを含む本発明の抗体またはその抗原結合断片を、基本的には以下のようにして作製および精製することができる。適切な宿主細胞(例、HEK293 EBNA若しくはCHO)は、最適な所定のHC:LCベクター比を使用する抗体分泌のための発現系もしくはHCとLCの両者をコードする単一ベクター系を用いて一過的または安定的のいずれかでトランスフェクト可能である。抗体が分泌された浄化培地を、多数の一般的に使用される技術のいずれかを使用して精製してもよい。例えば、適合する緩衝液(例、リン酸緩衝生理食塩水(pH7.4))で平衡化した、Fab断片用MabSelectカラム(GEヘルスケア)またはKappaSelectカラム(GEヘルスケア)に、培地を簡便に添加してもよい。カラムを洗浄して、非特異的結合成分を除去することができる。結合した抗体は、例えば、pH勾配(例、20mMのTris緩衝液pH7〜10mMのクエン酸ナトリウム緩衝液pH3.0またはリン酸緩衝生理食塩水pH7.4〜100mMのグリシン緩衝液pH3.0)によって溶出可能である。抗体画分を、例えばSDS−PAGEによって検出してもよく、その後、プールしてもよい。さらなる精製は、使用目的に依存して、オプションとなる。抗体を、一般的技術を使用して濃縮および/または滅菌濾過してもよい。可溶性凝縮物および多量体は、一般的技術(サイズ排除クロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、多様式クロマトグラフィー、またはハイドロキシアパタイトクロマトグラフィー)により効果的に除去可能である。これらのクロマトグラフィー工程後の抗体純度は、95%よりも大きい。精製物は、−70℃で即座に凍結してもよいし、凍結乾燥してもよい。
【0048】
【表1】
【0049】
実施例2:抗BMP6抗体の結合動力学、親和力、および特異性
本発明の抗体またはその抗原結合断片の結合動力学、親和力、ならびにヒトBMP−6とともにヒトBMP−5およびヒトBMP−7に対する選択性は、当該技術分野で既知の方法に従って、表面プラズモン共鳴(SPR)バイオセンサ(例、BIAcore(登録商標)2000、BIAcore(登録商標)3000、またはBIAcore(登録商標)T100(GEヘルスケア))を使用して決定可能である。
【0050】
ヒトBMP−5、ヒトBMP−6、ヒトBMP−7およびMAB507を、R&Dシステムズ(ミネアポリス、MN)から購入することができる。MAB507は、BMP−6に特異的であると称する商業的な抗体である。カニクイザルBMP−6およびラットBMP−6は、標準的方法を使用して作製可能である。CM4チップ(BIAcore#BR−1005−34)上へのリガンドの固定は、EDC/NHSアミンカップリング法(BIAcore#BR−1000−50)を使用して準備可能である。手短にいうと、4つのフローセルの全ての表面を、EDC/NHSの1:1混合物を10μL/分で7分間注入することで活性化することができる。ヒトBMP−5、BMP−6、およびBMP−7を、10mMの酢酸緩衝液(pH4.5)中で1〜2μg/mLに希釈し、そして、流速10μL/分でフローセル(Fc)2、3、または4上に約200共鳴単位(RU)で固定する。Fc1はブランクのままでよい。未反応部位は、10μL/分でエタノールアミンを7分間注入してブロック可能である。30μL/分でグリシン(pH1.5)を3×30秒注入して、任意の非共有結合タンパク質を除去することができる。全ての測定を25および37℃で実施してもよい。ランニングバッファーを、HBS−EP+(BIAcore#BR−1006−69)としてもよい。BIAcoreT100評価ソフトウェアバージョン2.0.3を、解析に使用することができる。
【0051】
抗体IとMAB507の様々なBMPファミリーメンバー間の特異性を決定するために、それら抗体を終濃度1000、100、10、1、0.1、0.01、0.001、および0(ブランク)nMでランニングバッファーHBS−EP+中に調製してもよい。各サイクルは、全てのフローセル上に50μL/分で300秒間希釈抗体を注入し、その後、50μL/分で1200秒間解離させることからなる場合がある。チップ表面を、50μL/分で10mMのグリシン(pH1.5)を60秒間および30μL/分でHBS−EP緩衝液を30秒間注入することで再生することができる。参照値を差し引いたデータを回収してもよい。そして、各リガンドに対するオンレート(kon)およびオフレート(koff)を、BIAevaluation解析ソフトウェアの1:1結合モデルを使用して評価する場合がある。親和力(K)は、関係式K=koff/konに従う結合動力学から計算可能である。
【0052】
この実施例2中に基本的に記載されるように実施される実験では、抗体IはヒトBMP−6に0.020nMの親和力で結合する。37℃ではヒトBMP−5とヒトBMP−7への結合を検出できないので、抗体IはBMP−6に配列が最も近似するBMPファミリーメンバーであるその2つに対して選択性を示す。
【0053】
R&Dの抗体MAB507はヒトBMP−6に1nMの親和力で結合するが、抗体Iと違って、MAB507はヒトBMP−7に対して23nMの親和力を有する(表2)。MAB507は、37℃ではヒトBMP−5への結合が検出できない(表2)。
【0054】
抗体Iおよび抗体IIのFabは、37℃で0.08〜0.09nMの範囲の同様の親和力でヒトBMP−6に結合する(表3)。MAB507のFab、つまりFab507、は、37℃で12.2nMの親和力でヒトBMP−6に結合する(表3)。
【0055】
抗体IおよびIIのFabは、MAB507のFabよりも135〜150倍高いヒトBMP−6に対する親和力を示す。抗体Iは、MAB507に比較すると、50倍高いヒトBMP−6に対する親和力を示す。
【0056】
抗体IのFabは、37℃で79.6〜88.0pMの範囲の同様の親和力でヒト、カニクイザル、およびラットのBMP−6に結合する(表4)。抗体IはカニクイザルBMP−6およびラットBMP−6への親和力が高いので、抗体Iを代理の抗体を用いる必要もなくカニクイザルおよびラット動物モデル中で直接使用することができる。
【0057】
【表2】
【0058】
【表3】
【0059】
【表4】
【0060】
実施例3:BMP6抗体はBMP−6誘導性ヘプシジン発現を阻害する。
本発明の抗体またはその抗原結合断片によるヒトBMP−6のインビトロ細胞ベースの阻害は、BMP−6がヘプシジン発現を誘導する細胞ベースアッセイにて測定可能である。このインビトロ細胞ベースアッセイをまた使用して、他のBMP(例、BMP−2、BMP−4、BMP−5、BMP−7、BMP−9、およびBMP−10)によるヘプシジン誘導に対するBMP−6抗体の選択性を評価することができる。前記インビトロ細胞ベースアッセイにおいて、ヘプシジンプロモーター上のBMP応答エレメントへのリガンドBMPの結合は、HepProm_Luc細胞のルシフェラーゼリポーター活性を誘導する。このアッセイは非常に感度が高く、この様なものはBMPファミリーメンバーのどれが鉄恒常性に関与するのかを示すことには不適である。しかしながら、このアッセイは、細胞環境にて様々なBMPファミリーメンバーに対する阻害剤の選択性を示すことには有効である。
【0061】
前記HepProm_Luc細胞株は、Hep3B2.1−7細胞(ATCC、Manassas、VA、#HB−8064)にクローン化したヘプシジンプロモーターDNA配列(HepProm0.3+1.0kb)を含むルシフェラーゼリポーターベクターを安定的トランスフェクションすることにより作製することができる。HepProm_Luc細胞は、DMEM/高グルコース(Hyclone、Logan、UT、#SH30243.01)プラス5%熱不活化FBS(インビトロジェン、GrandIsland、NY、#10082−147)と1×MEM NEAA(インビトロジェン、Carlsbad、CA)および200μg/mlのG418硫酸塩(インビトロジェン、GrandIsland、NY、#30−234−CI)からなる完全培地中で維持可能である。
【0062】
このアッセイのために、HepProm_Luc細胞を抗生物質不含有完全培地に150,000細胞/mLで再懸濁する場合がある。0.1mLの再懸濁HepProm_Luc細胞を、15,000細胞/ウエルで96穴マイクロタイタープレート(コーニング、Lowell、MA、#3917)に加え、その細胞をその後、5%(v/v)COにて37℃で24時間インキュベートしてもよい。培養培地をその後除去して、細胞を、0.1%(w/v)BSA(インビトロジェン、GrandIsland、NY、#15260)を有する80μLのOptiMEM I(インビトロジェン、GrandIsland、NY、#31985)中で5時間37℃で5%(v/v)CO下で飢餓状態にする場合がある。
【0063】
0.1%(w/v)BSAを有するOptiMEM I中の10μLの抗BMP6抗体(終濃度の10×)を、BMP−6誘導に関しては0.2nM〜20nMの最終投与量範囲、BMP−5およびBMP−7誘導に関しては7.8nM〜1000nMの最終投与量範囲、BMP−2、BMP−4、BMP−9、およびBMP−10誘導に関しては1000nMまでの単一点投薬量で細胞に加える場合がある。10μLのリガンドBMP(終濃度の10×)を、終濃度BMP−2(3.8nM)、BMP−4(3.8nM)、BMP−5、(12.8nM)、BMP−6(3.4nM)、BMP−7(3.2nM)、BMP−9(0.8nM)、またはBMP−10(4.1nM)で各ウエルに加えて、細胞を22〜24時間37℃で5%(v/v)CO下でインキュベートする場合がある。培養培地をその細胞から除去して、50μLのGlo溶解バッファー(プロメガ、Madison、WI、#E2661)を細胞に加えて、2分間振とうした後、室温で5分間インキュベートしてもよい。50μLのBright Glo(商標)ルシフェラーゼ試薬(プロメガ、Madison、WI、#E2620)をその後細胞に加えて、30秒間振とうした後、室温で5分間インキュベートする場合がある。発光をWallac Victor装置上で1秒/ウエルで測定してもよい。
【0064】
BMP−6抗体による阻害率を計算するために、0%阻害をBMP−6抗体非添加のリガンドBMP処理の平均発光として設定する場合がある。そして、100%阻害をBMP−6抗体非添加のリガンドBMP非処理の平均発光として設定する場合がある。3または4パラメータ曲線適用解析を、GraphPad Prismソフトウェア(サンディエゴ、CA)を使用して実施してもよい。
【0065】
この実施例3に基本的に記載されるように実施される実験において、抗体IおよびIIは、HepProm_Luc細胞のBMP−6誘導性ヘプシジンプロモータールシフェラーゼ活性を強く阻害する(表5)。この阻害はMAB507よりも約22倍以上強い。
【0066】
表6のデータが示すのは、ヒトIgGPAA4コントロールと比較して1000nMの単一点濃度で試験した場合、BMP−2、BMP−4、BMP−5、BMP−7、BMP−9、およびBMP−10誘導によるヘプシジンプロモータールシフェラーゼ活性を、抗体IおよびIIが優位に阻害しないことである。このアッセイでの抗体IおよびIIは、試験した複数のBMPに対して選択性を示す。MAB507は、しかしながら、BMP−6に対する選択性を示さず、1000nM(N=6)で平均−1.7%阻害を有するヒトIgGPAA4に比較して、BMP−7に対して1000nM(N=2)で平均54.2%阻害を示す。
【0067】
【表5】
【0068】
【表6】
【0069】
実施例4:雄カニクイザルへの単一静脈内投薬後のBMP−6抗体の薬物動態/薬動力学試験
本発明の抗体または抗原結合断片の血清薬物動態/薬動力学(PK/PD)を、正常雄カニクイザルへの単一静脈内投薬後に試験する場合がある。雄カニクイザルは、抗体の単一静脈内(IV)ボーラス投薬を投薬量1mL/kgで注射して行ってもよい。様々な時点で採取する血清サンプルから、血清鉄濃度、BMP−6抗体レベル、およびヘプシジンレベルを測定してもよい。
【0070】
薬物動態、血清ヘプシジン、およびBMP−6の定量のために、約1.5mLの血液を複数の時点で各動物から抗凝固薬が入っていないチューブに回収する場合がある。サンプルは遠心分離の前に外気条件下で凝固させて、血清を得ることができる。サンプルは、約−70℃での保存前に、湿った氷上で維持する場合がある。臨床病理解析のために、約0.5mLの血液を複数の時点で各動物から大腿静脈を介して回収し、抗凝固薬が入っていないチューブに入れてもよい。その血液を使用し、標準的方法を用いて、血清鉄測定、不飽和鉄結合能測定、総鉄結合能測定、パーセント鉄飽和測定、標準的血液学測定を実施する場合がある。ヘプシジン濃度を、Murphyら、Blood、110(3):1048(2007)に記載されるように測定してもよい。
【0071】
トータルヒトIgGのELISAを使用して、血清サンプルをBMP−6抗体の濃度に関して解析する場合がある。血清中のBMP−6抗体は、96穴マイクロタイタープレート(Nunc Immobilizer Aminoカタログ#436006)の抗ヒトκ軽鎖抗体でコートされたウエルに結合し、そして、抗ヒトIgG4−HRP結合抗体(Southern Biotech、#9200−05)を用いて検出可能である。このアッセイの検出上限と下限は、それぞれ200と10ng/mLである場合がある。免疫反応性BMP−6抗体の濃度は、4/5パラメータアルゴリズム(StatLIA、バージョン3.2)を使用して、ラット血清中の化合物の既知の量から作成される検量線により決定してもよい。薬物動態パラメータを、Watson(バージョン7.4、生体解析LIMS)ソフトウェアパッケージ(ThermoScientific)を使用して計算する場合がある。計算されたパラメータは、曲線下面積(AUC0−∞)、見かけクリアランス(Cl)、および排泄半減期を含む場合がある。
【0072】
この実施例4中で基本的に記載されるように実施される実験において、試験Iでは、単一静脈内ボーラスとして投与される抗体Iの投薬量は、0.3、1.0、3.0、および10mg/kgである。コントロールのヒトIgG4は、10mg/kgで投薬される。試験Iのビヒクルはリン酸緩衝生理食塩水(pH7.4)である。薬物動態、血清ヘプシジン、およびBMP−6の定量のために、抗体I投与後の薬物動態、血清鉄、および血清ヘプシジン応答に関するデータを、各動物から投薬前(Day−1)、投薬後1、6、12、24、48、72、120、168、240、336、432、528、および672時間、ならびに試験Day36、43、50、および57に測定する。
【0073】
この実施例4中で基本的に記載されるように実施される実験において、試験IIでは、単一静脈内ボーラスとして投与される抗体Iの投薬量は、0.05、0.3、および3.0mg/kgである。コントロールのヒトIgG4は、3mg/kgで投薬された。試験IIのビヒクルはリン酸緩衝生理食塩水(pH7.4)プラス0.02%のTween80である。抗体I投与後の薬物動態、血清鉄、および血清ヘプシジン応答に関するデータを、各動物から投薬前(Day−1)ならびに投薬後1、6、12、24、48、72、120、168、240、336、432、528、672、840、1008、1176、1344、1512、1680、および1848時間に測定する。
【0074】
試験I及びIIでは、抗体Iの最大血清濃度(Cmax)は、おおよそ投薬量に比例して増加し、0.05〜10mg/kgに渡って検討される。検討される投薬量範囲に渡って、抗体Iは、投薬量が増えるとクリアランスが減少しおよび排泄半減期が増加するような非線形薬物動態を示す。検討される投薬量範囲に渡って、クリアランスは〜0.57から〜0.17mL/hr/kgに減少する。試験されるタイムフレームと投薬量範囲に渡って、半減期は〜58から〜295時間の範囲である。
【0075】
表8および9の薬動力学データが示すのは、抗体Iの投与が、投薬後120〜240時間にほぼベースライン(投薬前)レベルに戻る前に24時間でピークがある血清鉄の初期即時増加と関連があることである。3および10mg/kg投薬群では、血清鉄は投薬量により依存して240時間後に再び上昇する。そして、この試験の終了時に向けて血清鉄の上昇が延長されるのが観察される。
【0076】
抗体Iの投与はまた、投薬後早くて6〜12時間で起こるカニクイザル血清ヘプシジンの急性減少とも関連する。試験IIでは、血清ヘプシジンは投薬量に依存してベースラインに戻る。しかし、ベースラインへのヘプシジン回帰のこの投薬量依存性は、試験Iほどは明らかでない。試験IでのヒトIgG4コントロール抗体は血清ヘプシジンの減少を示すが、試験IIでは再現されない。両方の試験はまた、観察される低血清ヘプシジンレベルと相関しない抗体Iの存在下で血清鉄レベルの有意な変化を示す。
【0077】
【表7】
【0078】
【表8】
【0079】
雄カニクイザルへの単一静脈内投薬後のHuA507の薬物動態/薬動力学試験
この実施例4中で基本的に記載されるように実施される実験において、正常雄カニクイザルへの単一静脈内投薬後に、HuA507の血清PK/PDを試験する。HuA507は、R&DシステムズのMAB507抗体のマウス定常領域をヒトIgG4PAA骨格で置換して作製されるキメラ抗体である。HuA507抗体またはコントロールヒトIgG4の投薬量10mg/kgの単一静脈内ボーラスを、1mL/kgの容量で投与する。この試験のビヒクルはリン酸緩衝生理食塩水(pH7.4)である。解析のために、血液を各動物から投薬前(Day1)ならびに投薬後1、6、12、24、48、72、96、168、264、336、432、528、および624時間で採取する。HuA507抗体の投薬量が10mg/kgの場合、平均血清鉄濃度は、投薬前の約150μg/mlから投薬後12時間での約210μg/mlへと増加するが、その後、48時間までにはベースラインへと降下回帰する。この実施例4で示される抗体Iの長期薬動力学効果とは違って、HuA507を用いた治療は48時間までの血清鉄濃度の短い初期増加を示すのみであり、抗体Iで見られるような長期応答は示さない。
【0080】
実施例5:ラットACDモデルにおける効力
本発明の抗体またはその抗原結合断片の効力をラットACDモデルにて測定することができる。8〜10週齢の雌ルイスラットにおいて、Day0でグラム陽性大腸菌細胞壁抽出物(LeeLabs、#PG−PS 10S)5mg/kgの一回の腹腔内投薬により、炎症を誘導してもよい。さらなる治療が全くなかった場合、細胞壁抽出物を用いた10日間の処置中に、ヘモグロビン濃度の減少がこのモデル中で見られる場合がある。本発明の抗体を10mg/kg用いる治療を、Day8でIV投薬により開始し、この抗体の週単位のIV投薬を継続してもよい。ホモグロビン、血清鉄、およびヘプシジンの濃度を測定し、HuIgG4コントロールによる治療で見られる数値と比較してもよい。
【0081】
臨床病理解析のために、約0.2mLの血液を複数の時点で各動物からテールクリップを介して回収し、EDTAが入っているチューブに入れてもよい。その血液を使用し、標準的方法を用いて、血清鉄測定、不飽和鉄結合能測定、総鉄結合能測定、パーセント鉄飽和測定、標準的血液学測定を実施する場合がある。全ての他の解析のために、約0.75mLの血液を複数の時点で各動物からテールクリップを介して回収し、抗凝血薬が入っていないチューブに入れてもよい。
【0082】
この実施例5中で基本的に記載されるように実施される実験において、抗体Iは、Day60での試験の終了までのほとんどの日で、hIgG4アイソタイプコントロールよりも統計学的に優位に高いヘモグロビンと鉄の長期薬動力学的応答を示す。コントロールと比較した場合、ヘモグロビン濃度の増加は約0.82〜1.5g/dLである。一旦抗体I治療が開始されると、治療群の赤血球は小球性の程度が少なくなり且つ低色素の程度も少なくなる。赤血球の特性の変化に基づいて、この試験で観察されるヘモグロビン増加は、赤血球の生産が増加したというよりはむしろ赤血球のサイズと細胞ヘモグロビンレベルの規格が増加することから生じると結論することができる。
【0083】
アミノ酸およびヌクレオチド配列
配列番号:1 (ヒトBMP−6)
PPPLRPPLPAAAAAAAGGQLLGDGGSPGRTEQPPPSPQSSSGFLYRRLKTQEKREMQKEILSVLGLPHRPRPLHGLQQPQPPALRQQEEQQQQQQLPRGEPPPGRLKSAPLFMLDLYNALSADNDEDGASEGERQQSWPHEAASSSQRRQPPPGAAHPLNRKSLLAPGSGSGGASPLTSAQDSAFLNDADMVMSFVNLVEYDKEFSPRQRHHKEFKFNLSQIPEGEVVTAAEFRIYKDCVMGSFKNQTFLISIYQVLQEHQHRDSDLFLLDTRVVWASEEGWLEFDITATSNLWVVTPQHNMGLQLSVVTRDGVHVHPRAAGLVGRDGPYDKQPFMVAFFKVSEVHVRTTRSASSRRRQQSRNRSTQSQDVARVSSASDYNSSELKTACRKHELYVSFQDLGWQDWIIAPKGYAANYCDGECSFPLNAHMNATNHAIVQTLVHLMNPEYVPKPCCAPTKLNAISVLYFDDNSNVILKKYRNMVVRACGCH

配列番号:2 (LCDR1−抗体Iおよび抗体II)
RSSENIYRNLA

配列番号:3 (LCDR2−抗体Iおよび抗体II)
AATNLAD

配列番号:4 (LCDR3−抗体Iおよび抗体II)
QGIWGTPLT

配列番号:5 (HCDR1−抗体Iおよび抗体II)
GYTFTSYAMH

配列番号:6 (HCDR2−抗体I)
YINPYNDGTKYNENFKG

配列番号:7 (HCDR2−抗体II)
YINPYNRGTKYNENFKG

配列番号:8 (HCDR3−抗体Iおよび抗体II)
RPFGNAMDI

配列番号:9 (LCVR−抗体Iおよび抗体II)
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRSSENIYRNLAWYQQKPGKAPKLLIYAATNLADGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQGIWGTPLTFGGGTKVEIK

配列番号:10 (HCVR−抗体I)
QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGYTFTSYAMHWVRQAPGQGLEWMGYINPYNDGTKYNENFKGRVTITADESTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCARRPFGNAMDIWGQGTLVTVSS

配列番号:11 (HCVR−抗体II)
QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGYTFTSYAMHWVRQAPGQGLEWMGYINPYNRGTKYNENFKGRVTITADESTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCARRPFGNAMDIWGQGTLVTVSS

配列番号:12 (LC−抗体Iおよび抗体II)
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRSSENIYRNLAWYQQKPGKAPKLLIYAATNLADGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQGIWGTPLTFGGGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC

配列番号:13 (HC−抗体I)
QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGYTFTSYAMHWVRQAPGQGLEWMGYINPYNDGTKYNENFKGRVTITADESTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCARRPFGNAMDIWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPCSRSTSESTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTKTYTCNVDHKPSNTKVDKRVESKYGPPCPPCPAPEAAGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLG

配列番号:14 (HC−抗体II)
QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGYTFTSYAMHWVRQAPGQGLEWMGYINPYNRGTKYNENFKGRVTITADESTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCARRPFGNAMDIWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPCSRSTSESTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTKTYTCNVDHKPSNTKVDKRVESKYGPPCPPCPAPEAAGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLG

配列番号:15 (LC DNA−抗体Iおよび抗体II)
GACATCCAGATGACCCAGTCTCCATCCTCCCTGTCTGCATCTGTAGGAGACAGAGTCACCATCACTTGCCGATCTTCCGAAAATATTTACCGTAATTTAGCATGGTATCAGCAGAAACCAGGGAAAGCCCCTAAGCTCCTGATCTATGCTGCAACAAACTTAGCAGATGGGGTCCCATCAAGGTTCAGTGGCAGTGGATCTGGGACAGATTTCACTCTCACCATCAGCAGTCTGCAACCTGAAGATTTTGCAACTTACTACTGTCAAGGCATTTGGGGTACTCCGCTCACTTTCGGCGGAGGGACCAAGGTGGAGATCAAACGAACTGTGGCTGCACCATCTGTCTTCATCTTCCCGCCATCTGATGAGCAGTTGAAATCTGGAACTGCCTCTGTTGTGTGCCTGCTGAATAACTTCTATCCCAGAGAGGCCAAAGTACAGTGGAAGGTGGATAACGCCCTCCAATCGGGTAACTCCCAGGAGAGTGTCACAGAGCAGGACAGCAAGGACAGCACCTACAGCCTCAGCAGCACCCTGACGCTGAGCAAAGCAGACTACGAGAAACACAAAGTCTACGCCTGCGAAGTCACCCATCAGGGCCTGAGCTCGCCCGTCACAAAGAGCTTCAACAGGGGAGAGTGC

配列番号:16 (HC DNA−抗体I)
CAGGTGCAGCTGGTGCAGTCTGGGGCTGAGGTGAAGAAGCCTGGGTCCTCGGTGAAGGTCTCCTGCAAGGCTTCTGGATATACATTCACTAGCTATGCTATGCACTGGGTGCGACAGGCCCCTGGACAAGGGCTTGAGTGGATGGGATATATTAATCCTTATAATGATGGTACTAAGTACAATGAGAACTTCAAAGGCAGAGTCACGATTACCGCGGACGAATCCACGAGCACAGCCTACATGGAGCTGAGCAGCCTGAGATCTGAGGACACGGCCGTGTATTACTGTGCGAGAAGGCCCTTTGGTAACGCTATGGACATTTGGGGCCAGGGCACCCTGGTCACCGTCTCCTCAGCCTCCACCAAGGGCCCATCGGTCTTCCCGCTAGCGCCCTGCTCCAGGAGCACCTCCGAGAGCACAGCCGCCCTGGGCTGCCTGGTCAAGGACTACTTCCCCGAACCGGTGACGGTGTCGTGGAACTCAGGCGCCCTGACCAGCGGCGTGCACACCTTCCCGGCTGTCCTACAGTCCTCAGGACTCTACTCCCTCAGCAGCGTGGTGACCGTGCCCTCCAGCAGCTTGGGCACGAAGACCTACACCTGCAACGTAGATCACAAGCCCAGCAACACCAAGGTGGACAAGAGAGTTGAGTCCAAATATGGTCCCCCATGCCCACCCTGCCCAGCACCTGAGGCCGCCGGGGGACCATCAGTCTTCCTGTTCCCCCCAAAACCCAAGGACACTCTCATGATCTCCCGGACCCCTGAGGTCACGTGCGTGGTGGTGGACGTGAGCCAGGAAGACCCCGAGGTCCAGTTCAACTGGTACGTGGATGGCGTGGAGGTGCATAATGCCAAGACAAAGCCGCGGGAGGAGCAGTTCAACAGCACGTACCGTGTGGTCAGCGTCCTCACCGTCCTGCACCAGGACTGGCTGAACGGCAAGGAGTACAAGTGCAAGGTCTCCAACAAAGGCCTCCCGTCCTCCATCGAGAAAACCATCTCCAAAGCCAAAGGGCAGCCCCGAGAGCCACAGGTGTACACCCTGCCCCCATCCCAGGAGGAGATGACCAAGAACCAGGTCAGCCTGACCTGCCTGGTCAAAGGCTTCTACCCCAGCGACATCGCCGTGGAGTGGGAAAGCAATGGGCAGCCGGAGAACAACTACAAGACCACGCCTCCCGTGCTGGACTCCGACGGCTCCTTCTTCCTCTACAGCAGGCTAACCGTGGACAAGAGCAGGTGGCAGGAGGGGAATGTCTTCTCATGCTCCGTGATGCATGAGGCTCTGCACAACCACTACACACAGAAGAGCCTCTCCCTGTCTCTGGGT

配列番号:17 (HC DNA−抗体II)
CAGGTGCAGCTGGTGCAGTCTGGGGCTGAGGTGAAGAAGCCTGGGTCCTCGGTGAAGGTCTCCTGCAAGGCTTCTGGATATACATTCACTAGCTATGCTATGCACTGGGTGCGACAGGCCCCTGGACAAGGGCTTGAGTGGATGGGATATATTAATCCTTATAATCGTGGTACTAAGTACAATGAGAACTTCAAAGGCAGAGTCACGATTACCGCGGACGAATCCACGAGCACAGCCTACATGGAGCTGAGCAGCCTGAGATCTGAGGACACGGCCGTGTATTACTGTGCGAGAAGGCCCTTTGGTAACGCTATGGACATTTGGGGCCAGGGCACCCTGGTCACCGTCTCCTCAGCCTCCACCAAGGGCCCATCGGTCTTCCCGCTAGCGCCCTGCTCCAGGAGCACCTCCGAGAGCACAGCCGCCCTGGGCTGCCTGGTCAAGGACTACTTCCCCGAACCGGTGACGGTGTCGTGGAACTCAGGCGCCCTGACCAGCGGCGTGCACACCTTCCCGGCTGTCCTACAGTCCTCAGGACTCTACTCCCTCAGCAGCGTGGTGACCGTGCCCTCCAGCAGCTTGGGCACGAAGACCTACACCTGCAACGTAGATCACAAGCCCAGCAACACCAAGGTGGACAAGAGAGTTGAGTCCAAATATGGTCCCCCATGCCCACCCTGCCCAGCACCTGAGGCCGCCGGGGGACCATCAGTCTTCCTGTTCCCCCCAAAACCCAAGGACACTCTCATGATCTCCCGGACCCCTGAGGTCACGTGCGTGGTGGTGGACGTGAGCCAGGAAGACCCCGAGGTCCAGTTCAACTGGTACGTGGATGGCGTGGAGGTGCATAATGCCAAGACAAAGCCGCGGGAGGAGCAGTTCAACAGCACGTACCGTGTGGTCAGCGTCCTCACCGTCCTGCACCAGGACTGGCTGAACGGCAAGGAGTACAAGTGCAAGGTCTCCAACAAAGGCCTCCCGTCCTCCATCGAGAAAACCATCTCCAAAGCCAAAGGGCAGCCCCGAGAGCCACAGGTGTACACCCTGCCCCCATCCCAGGAGGAGATGACCAAGAACCAGGTCAGCCTGACCTGCCTGGTCAAAGGCTTCTACCCCAGCGACATCGCCGTGGAGTGGGAAAGCAATGGGCAGCCGGAGAACAACTACAAGACCACGCCTCCCGTGCTGGACTCCGACGGCTCCTTCTTCCTCTACAGCAGGCTAACCGTGGACAAGAGCAGGTGGCAGGAGGGGAATGTCTTCTCATGCTCCGTGATGCATGAGGCTCTGCACAACCACTACACACAGAAGAGCCTCTCCCTGTCTCTGGGT
【配列表】
[この文献には参照ファイルがあります.J-PlatPatにて入手可能です(IP Forceでは現在のところ参照ファイルは掲載していません)]