特許第6033501号(P6033501)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6033501
(24)【登録日】2016年11月4日
(45)【発行日】2016年11月30日
(54)【発明の名称】走査型内視鏡
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/00 20060101AFI20161121BHJP
   G02B 23/26 20060101ALI20161121BHJP
【FI】
   A61B1/00 300T
   G02B23/26 A
【請求項の数】3
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-520127(P2016-520127)
(86)(22)【出願日】2015年8月31日
(86)【国際出願番号】JP2015074726
【審査請求日】2016年4月4日
(31)【優先権主張番号】特願2014-263190(P2014-263190)
(32)【優先日】2014年12月25日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000000376
【氏名又は名称】オリンパス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076233
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 進
(74)【代理人】
【識別番号】100101661
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 靖
(74)【代理人】
【識別番号】100135932
【弁理士】
【氏名又は名称】篠浦 治
(72)【発明者】
【氏名】酒井 悠次
(72)【発明者】
【氏名】瀧澤 宏行
(72)【発明者】
【氏名】有吉 大記
(72)【発明者】
【氏名】小鹿 聡一郎
【審査官】 原 俊文
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2014/196258(WO,A1)
【文献】 特開2002−146498(JP,A)
【文献】 特開2013−244045(JP,A)
【文献】 特開2011−139781(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00−1/32
G02B 23/24−23/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源部が発生する照明光を導光し、被写体に照射する導光部と、
前記導光部に沿って設けられるフェルールと、
前記導光部から導光された前記照明光を前記被写体上で走査するために、前記フェルールを振動させることで前記導光部の先端を駆動するアクチュエータと、
前記アクチュエータにより前記先端が駆動された前記導光部からの前記照明光が入射されることにより前記被写体上で走査するための前記照明光を出射する光学部材を保持し、前記導光部、前記フェルールおよび前記アクチュエータを内包する空間を有し、前記導光部に沿って設けられる筒状部材と、
前記筒状部材に対して前記フェルールを固定し、少なくとも前記筒状部材に接する部分において前記フェルールの振動を吸収する制振部と、
を有し、
前記制振部は、前記フェルールの基端となる固定端を保持するフェルール保持部材と、前記筒状部材に対して前記フェルール保持部材を固定し、前記筒状部材における少なくとも前記フェルール保持部材と接続される接続部付近に配置され前記フェルールの振動を吸収する材質からなるリング状部材とにより形成されることを特徴とする走査型内視鏡。
【請求項2】
前記制振部は、双晶型制振合金を用いて形成されることを特徴とする請求項に記載の走査型内視鏡。
【請求項3】
前記筒状部材の先端は、前記光学部材を保持し、
前記筒状部材の後端は、前記リング状部材を介して、前記フェルール保持部材の段差面に固定される、
ことを特徴とする請求項1に記載の走査型内視鏡。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明光を走査して内視鏡画像を取得する走査型内視鏡に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、医療分野等において照明光を走査する内視鏡が広く用いられるようになっている。また、導光部によって導光した光を観察部位等の被写体上を2次元的に走査させ、その反射光を受光して画像化する走査型内視鏡も提案されている。
従来例となる走査型内視鏡として例えば、日本国特開2011−139781号公報は、共焦点光学ユニットを開示し、共焦点光学ユニットにおける導光部を形成する光ファイバの先端部に、珪素鋼等の磁性材から形成された磁性駆動板を接着により取り付け、ゴム等の柔軟支持体により磁性駆動板のY軸方向の変形による光ファイバ先端のY軸方向への変位を阻害しないように磁性駆動板と光ファイバを柔軟に支持する構造を開示している。
【0003】
しかしながら、上記従来例は、導光部の先端を駆動するアクチュエータと導光部との間に設けられたフェルールの基端側を保持する部分と、光学部材を保持する筒状部材とを接続(連結)する部分において発生し易い振動を吸収する内容を開示していない。
本発明は上述した点に鑑みてなされたもので、フェルールの基端側を保持する部分と光学部材を保持する筒状部材とを接続する部分周辺の振動を吸収することができる走査型内視鏡を提供することを目的とする。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の一態様の走査型内視鏡は、光源部が発生する照明光を導光し、被写体に照射する導光部と、前記導光部に沿って設けられるフェルールと、前記導光部から導光された前記照明光を前記被写体上で走査するために、前記フェルールを振動させることで前記導光部の先端を駆動するアクチュエータと、前記アクチュエータにより前記先端が駆動された前記導光部からの前記照明光が入射されることにより前記被写体上で走査するための前記照明光を出射する光学部材を保持し、前記導光部、前記フェルールおよび前記アクチュエータを内包する空間を有し、前記導光部に沿って設けられる筒状部材と、
前記筒状部材に対して前記フェルールを固定し、少なくとも前記筒状部材に接する部分において前記フェルールの振動を吸収する制振部と、を有し、前記制振部は、前記フェルールの基端となる固定端を保持するフェルール保持部材と、前記筒状部材に対して前記フェルール保持部材を固定し、前記筒状部材における少なくとも前記フェルール保持部材と接続される接続部付近に配置され前記フェルールの振動を吸収する材質からなるリング状部材とにより形成される
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1図1は本発明の第1の実施形態を備えた走査型内視鏡装置の全体構成を示す図。
図2図2は第1の実施形態の走査型内視鏡における先端部付近の構造を示す縦断面図。
図3A図3A図2におけるA−A線断面図。
図3B図3B図2におけるB−B線断面図。
図4図4はアクチュエータ素子に印加される駆動信号の電圧波形を示す図。
図5図5図4の駆動信号を印加した場合における光ファイバの先端が走査する渦巻き形状の軌跡を示す図。
図6図6は第1の実施形態の第1変形例の走査型内視鏡における先端部付近の構造を示す縦断面図。
図7図7図6におけるC−C線断面図。
図8図8は第1の実施形態の第2変形例の走査型内視鏡における先端部付近の構造を示す縦断面図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
(第1の実施形態)
図1に示すように走査型内視鏡装置1は、本発明の第1の実施形態の走査型内視鏡2と、走査型内視鏡2が着脱自在に接続される本体装置(又は走査型内視鏡制御装置)3と、本体装置3に接続される表示装置としてのモニタ4と、を有する。
走査型内視鏡2は、被検体5の体内又は体腔内に挿入可能な細長の形状及び可撓性を備えて形成された挿入部6を有し、挿入部6の基端(後端)には、走査型内視鏡2を本体装置3に着脱自在に接続するためのコネクタ7が設けられている。
また、挿入部6は、硬質の先端部11と、その後端からコネクタ7に延びる、可撓性を有する可撓管部12と、を有する。なお、先端部11と可撓管部12との間に、湾曲自在の湾曲部を設け、可撓管部12とコネクタ7との間に湾曲部を湾曲する操作ノブ等を設けた操作部を設けるようにしても良い。
先端部11は、硬質の筒状部材としての円筒部材13を有し、この円筒部材13の後端はフェルール保持部材20に連結されている。
【0007】
挿入部6内には、照明光を導光する導光部を形成する光ファイバ15が挿通され、この光ファイバ15の基端(後端)は、本体装置3内部の光ファイバ15bと(コネクタ7の光接続部15aにおいて)接続される。そして、本体装置3内部の光源ユニット31で発生した照明光が、光ファイバ15bを経て光ファイバ15の基端に入射される。光ファイバ15により導光された照明光は、光ファイバ15の先端面から、該先端面に対向して円筒部材13の先端に取り付けられた集光する光学部材を形成する照明レンズ16を経て、被検体5内の検査部位等の被写体に向けて照明光が出射される。
なお、図1においては、円筒部材13の先端に光学部材を形成する照明レンズ16を直接取り付けた構造を示しているが、図2に示すように照明レンズ16を構成するレンズ16a,16bを取り付けたレンズ筒21を円筒部材13の先端に取り付ける構造にしても良い。レンズ筒21は、レンズ16a,16bをそれぞれ取り付けた2つのレンズ筒体を嵌合して光軸方向に移動自在な構成にし、照明レンズ16の焦点距離を調整できるようにしている。
【0008】
先端部11を形成する円筒部材13の内側には、光ファイバ15の先端側を、該光ファイバ15の長手方向と直交する方向に揺動する如くに走査する走査部を形成するアクチュエータ17(図2においては、アクチュエータ17を構成するアクチュエータ素子17a,17b,17dを用いて示している)が配置されている。アクチュエータ17は、挿入部6内を挿通された駆動線18を介して本体装置3内部の駆動ユニット32から駆動信号(又は駆動電圧)が印加されることにより伸縮し、伸縮に応じて光ファイバ15の先端側を、振動させる。
上記アクチュエータ17は、光ファイバ15とアクチュエータ17との間に介在され、接合部材又は支持部材としてのフェルール19の側面に接合される。そして、このフェルール19は、アクチュエータ17の伸縮に応じた力を光ファイバ15に伝達する。換言すると、アクチュエータ17は、フェルール19を振動させることにより、導光部を形成する光ファイバ15の先端側を振動させる。
また、フェルール19の基端(後端)側は、このフェルール19を保持するフェルール保持部を形成するフェルール保持部材20により保持される。フェルール保持部材20により後端が保持された状態でアクチュエータ17を駆動するため、フェルール保持部材20は、アクチュエータ17による振動における固定端(付近)の位置となる。
【0009】
フェルール保持部材20の前端付近の外周面に、円筒部材13の後端が、例えば嵌合し、接着剤等により両部材は固定される。
円筒部材13及びフェルール保持部材20の外側には、被写体に照射された照明光の反射光を受光するための受光用光ファイバ束(受光用光ファイバと略記)23が円環状に配置されている。
受光用光ファイバ23により受光された(被写体からの戻り光又は反射)光は、コネクタ7の光接続部23aを経て本体装置3内部の受光用光ファイバ23bに導光される。この受光用光ファイバ23bに導光された光は、検出ユニット33に入射され、電気信号に変換される。
円環状に配置された受光用光ファイバ23は、可撓性を有する外装部材24により覆われ、保護されている。
【0010】
また、各走査型内視鏡2には、アクチュエータ17により、光ファイバ15の先端を所定の走査パターンに沿って駆動させるための駆動データ及び駆動した場合の照射位置に対応する座標位置データ等の情報を格納したメモリ25を有する。このメモリ25に格納された情報は、コネクタ7の接点、信号線を経て本体装置3内部のコントローラ34に入力される。
図2は、図1における先端部11付近の詳細な構造を示す。また、図3A図2におけるA−A線断面図、図3B図2におけるB−B線断面図を示す。
図2及び図3Aに示すように円筒部材13の内側に、その中心軸Oに沿って配置されるフェルール19は、例えば直方体形状の硬質の部材であり、例えば、ジルコニア(セラミック)またはニッケル等により形成されている。
フェルール19は、図3Bの横断面に示すように、正方形の四角柱の形状を有するように形成されており、中心軸Oに沿った孔に通した光ファイバ15が固定され、Y軸方向(紙面の上下方向)の両側面と、X軸方向(紙面の左右方向)の両側面とにアクチュエータ17を形成するアクチュエータ素子17a、17bと17c、17dが取り付けられている。
【0011】
各アクチュエータ素子は、例えばPZT(チタン酸ジルコン酸鉛)等の圧電素子により構成され、駆動信号の印加により、長手方向(図3AにおいてZ軸方向)に伸縮する。従って、基端が保持又は固定された状態で、例えばアクチュエータ素子17a,17bに(一方を伸張、他方を収縮させる)逆位相の駆動信号を印加することにより、図1において点線で示すように光ファイバ15の先端側を上下方向に振動させることができる。
実際には、図4に示すようにアクチュエータ素子17a、17bと17c、17dに印加する駆動信号として、位相差が90°の2つの駆動信号が用いられる。位相差が90°の2つの駆動信号を印加することにより、光ファイバ15の先端側は円形に走査し、駆動電圧の値(振幅)を連続的に大きくするように変化させることにより光ファイバ15の先端側は図5に示すように中央の走査開始点となる位置Aから渦巻き状(螺旋状)に位置Bまで走査する軌跡を描く。位置Bまで走査した後は、駆動電圧を連続的に小さくすることにより走査開始点の位置Aに戻る(図5では位置Bから位置Aに戻る渦巻き状の軌跡は図示していない)。
【0012】
図2において点線で示すようにフェルール19の後端はフェルール保持部材20の(横断面が正方形の)孔内に嵌入されて接着剤等でフェルール保持部材20に固定されている。フェルール保持部材20は、上記のようにフェルール19を固定する孔を中心側部分に設けた円柱形状の硬質の部材により形成される。
また、フェルール保持部材20における前端側に、円筒部材13の肉厚分に相当する値だけ小さい半径を有する段差部を設け、この段差部を円筒部材13の後端に嵌入して、接着剤等で(フェルール保持部材20と円筒部材13との)両部材を固定している。
本実施形態においては、円筒状部材13とフェルール保持部材20とを接続する接続部付近に少なくとも配置され、フェルール19の振動を吸収する材質からなる制振部を、振動を吸収する特性又は機能を有する双晶型制振合金を材質とした制振部材26を用いて形成したフェルール保持部材20により形成している。
上記双晶型制振合金は、双晶の結晶構造の集合体により構成され、外部から振動エネルギーを形成する振動が加わると、双晶と双晶間の間において摩擦が発生し、振動エネルギーを摩擦による熱エネルギーに変換する。換言すると、制振部材26により形成されたフェルール保持部材20は、振動が加えられると、その振動を効率良く吸収し、その振動を効率良く減衰させる。
【0013】
本実施形態においては、アクチュエータ17を駆動して導光部を形成する光ファイバ15の先端を振動させる場合、フェルール19を振動させることにより、その振動を光ファイバ15に伝達させる構造であるため、(フェルール19の固定端となる)フェルール19の基端を保持し、円筒部材13に(接続して)固定するフェルール保持部材20自体を制振部材26を用いて形成することにより、フェルール19の固定端での振動を効率良く吸収することができる構成にしている。
図1に示すように本体装置3は、光源ユニット31と、駆動ユニット32と、検出ユニット33と、本体装置3の各ユニットを制御するコントローラ34と、コントローラ34と接続され、各種の情報を格納するメモリ35と、コントローラ34等に直流の電源を供給する電源(回路)36とを有する。
光源ユニット31は、赤色の波長帯域の光(R光とも言う)を発生するR光源31aと、緑色の波長帯域の光(G光とも言う)を発生するG光源31bと、青色の波長帯域の光(B光とも言う)を発生するB光源31cと、R光、G光及びB光を合波(混合)する合波器31dと、を有する。
【0014】
R光源31a、G光源31b及びB光源31cは、例えばレーザ光源等を用いて構成され、コントローラ34の制御によりオンされた際に、それぞれR光、G光、B光を合波器31dへ出射する。コントローラ34は、R光源31a、G光源31b及びB光源31cの離散的な発光を制御する中央演算装置(CPUと略記)などから構成される光源制御部34aを有する。
コントローラ34の光源制御部34aは、R光源31a、G光源31b及びB光源31cに対して同時にパルス的に発光させる制御信号を送り、R光源31a、G光源31b及びB光源31cは同時にR光、G光、B光を発生し、合波器31dへ出射する。
合波器31dは、R光源31aからのR光と、光源31bからのG光と、光源31cからのB光と、を合波して光ファイバ15bの光入射面に供給し、光ファイバ15bは、合波されたR光、G光、B光を照明光として光ファイバ15に供給する。
駆動ユニット32は、信号発生器32aと、D/A変換器32b及び32cと、アンプ32d及び32eと、を有する。
【0015】
信号発生器32aは、コントローラ34の走査制御部(又は駆動制御部)34bの制御に基づき、光ファイバ15の先端の光出射端部を渦巻き状の軌跡を描くように振動させるための信号を生成してD/A変換器32b及び32cに出力する。D/A変換器32b及び32cは、信号発生器32aから出力されたデジタルの信号をアナログの信号に変換してそれぞれアンプ32d及び32eへ出力する。
アンプ32d及び32eは、D/A変換器32b及び32cから出力された信号をそれぞれ増幅して図4に示した波形の駆動信号をアクチュエータ17へ出力する。
そして、光ファイバ15の先端は、図5に示すように渦巻き形状の走査軌跡を形成するように振動される。
検出ユニット33は、分波器33aと、検出器33b、33c及び33dと、A/D変換器33e、33f及び33gと、を有する。
分波器33aは、ダイクロイックミラー等を有し、受光用光ファイバ23bの光出射端面から出射された戻り光をR(赤)、G(緑)及びB(青)の色成分毎の光に分離して検出器33b、33c及び33dへ出射する。
【0016】
検出器33b、33c及び33dは、フォトダイオード等の光検出器により構成され、分波器33aから出力されるR光の強度、G光の強度、及びB光の強度をそれぞれ検出し、当該検出したR光、G光及びB光の強度にそれぞれ応じたアナログのR,G,B検出信号を生成し、A/D変換器33e、33f、及び33gへ出力する。
A/D変換器33e、33f、及び33gは、検出器33b、33c及び33dからそれぞれ出力されたアナログのR、G及びB検出信号を、それぞれデジタルのR、G及びB検出信号に変換してコントローラ34内の画像を生成する画像生成部34cへ出力する。
メモリ35は、本体装置3の制御を行うための制御プログラム等を予め格納している。また、メモリ35は、本体装置3のコントローラ34により、メモリ25から読み込まれた座標位置の情報が格納される。
コントローラ34は、中央処理装置(CPUと略記)等を用いて構成され、メモリ35に格納された制御プログラムを読み出し、当該読み出した制御プログラムに基づいて光源ユニット31及び駆動ユニット32の制御を行う。
【0017】
本実施形態の走査型内視鏡2は、光源部を形成する光源ユニット31が発生する照明光を導光し、被写体に照射する導光部を形成する光ファイバ15と、前記導光部に沿って設けられるフェルール19と、前記導光部から導光された前記照明光を前記被写体上で走査するために、前記フェルール19を振動させることで前記導光部の先端を駆動するアクチュエータ17と、前記アクチュエータ17により前記先端が駆動された前記導光部からの前記照明光が入射されることにより前記被写体上で走査するための前記照明光を出射する光学部材を形成する照明レンズ16を保持し、前記導光部、前記フェルール19および前記アクチュエータ17を内包する空間を有し、前記導光部に沿って設けられる筒状部材を形成する円筒部材13(及びレンズ筒21)と、前記筒状部材に対して前記フェルール19を固定し、かつ前記フェルール19の振動を吸収する制振部を形成する双晶型制振合金等からなる制振部材26と、を有することを特徴とする。
【0018】
次に本実施形態の動作を説明する。
図1に示すように走査型内視鏡2を本体装置3に接続し、本体装置3の図示しない電源スイッチをONして、走査型内視鏡装置1を動作状態にする。動作状態になると、コントローラ34は、メモリ25の情報を読み出し、メモリ35に格納する。また、コントローラ34の走査制御部34bは、駆動ユニット32からアクチュエータ17に駆動信号を印加するように制御する。アクチュエータ17は、駆動信号の印加により、光ファイバ15の先端側を図5に示す走査開始の位置Aから走査終了の位置Bまで渦巻き状に走査(揺動)する。
また、コントローラ34の光源制御部34aは、予め設定された所定の座標位置において光源ユニット31が離散的に順次パルス発光させるように制御する。また、検出ユニット33は、離散的にパルス発光された際の被検体5側からの戻り光を順次サンプリングして検出信号を取得する。検出ユニット33は、取得した検出信号を画像生成部34cに送り、画像生成部34cは、入力された検出信号を例えばメモリ35に一時格納する。
【0019】
コントローラ34の画像生成部34cは、メモリ35に格納された検出信号と、当該検出信号を取得した際のパルス発光の位置情報とからなる画像情報を、ラスタスキャンした場合の標準の画像信号に変換して、モニタ4に出力する。そして、モニタ4には渦巻き状に走査した際の戻り光による画像を内視鏡画像として表示する。
モニタ4に表示される内視鏡画像は、円筒部材13の中心軸Oに沿って配置される導光部を形成する光ファイバ15をフェルール19により保持し、その上下、左右の側面にアクチュエータ17が取り付けられ、その基端部分をフェルール保持部材20により保持した状態において、光ファイバ15の先端をアクチュエータ17により、中心軸Oと直交する方向となるX軸及びY軸方向に揺動させた際に取得された画像となる。
上記のようにアクチュエータ17により光ファイバ15の先端を渦巻き状に走査(揺動)した場合、フェルール19の基端部分を保持するフェルール保持部材20や円筒部材13の先端側に保持(固定)された照明レンズ16が、1フレーム分の画像を生成する期間(つまり位置Aから位置Bまで走査する期間)中において振動しないように保持することが画質の良い画像を取得するために望まれる。
【0020】
アクチュエータ17による光ファイバ15の先端の揺動(走査)させた場合、アクチュエータ17が取り付けたフェルール19の基端側をフェルール保持部材20により円筒部材13の後端に固定しているため、フェルール保持部材20にもアクチュエータ17による揺動の際の振動が固定した部分を介して伝わり、この振動は、更に円筒部材13の基端からその先端側の照明レンズ16を保持する部分に伝達し、照明レンズ16を振動させることが起こり得る。
本実施形態においては、フェルール保持部材20自体を制振部材26により形成しているため、仮にアクチュエータ17を駆動信号により大きく振動させた場合においてフェルール保持部材20を振動させるように影響してしまうような使用環境においても、制振部材26により、その振動を吸収することができるため、画質の低下を防止することができる。
また、フェルール保持部材20は、光学部材としての照明レンズ16を先端側で直接又はレンズ筒21を介して保持する筒状部材としての円筒部材13の基端と連結(又は接続)して固定する構造になっているので、仮に円筒部材13側に振動が発生した場合においても、フェルール保持部材20を形成する制振部材26により、その振動を吸収し、画質の低下を防止することができる。
従って、本実施形態によれば、フェルール19の基端側を保持する部分を形成するフェルール保持部材20と、光学部材としての照明レンズ16を先端側で直接又はレンズ筒21を介して保持する筒状部材としての円筒部材13とを接続(連結)する部分周辺で発生し易い振動を吸収することができる。
【0021】
次に第1の実施形態の変形例を説明する。図6は、第1の実施形態の変形例における先端部付近の構造を示す。第1の実施形態においては、アクチュエータ17が設けられたフェルール19を保持し、先端側において照明レンズ16を、レンズ筒21を介して(又はレンズ筒21を介することなく)保持する円筒部材13の後端と固定するフェルール保持部材20自体を制振部材26により形成した。
これに対して、本変形例においては、図6に示すようにフェルール保持部材20と円筒部材13とを固定する部分に、双晶型制振合金等からなる制振部材26により構成されたリング状部材としての接続部材41を設けるようにしている。そして、本変形例においては、(フェルール19の基端を保持し、)該フェルール19を円筒部材13に固定するためのフェルール保持部材20と、該フェルール保持部材20に対して円筒部材13を固定する接続部付近に配置され、制振部材26により形成され、フェルール19の振動を吸収するリング状部材としての接続部材41と、により、制振部42を形成している。図6のC−C線断面図としての図7に示すように円環形状の接続部材41を介挿した状態において外側の円筒部材13の後端とフェルール保持部材20の段差面とを固定する構成にしている。なお、図6におけるA−A線断面は、図3Aと同じである。
本変形例においては、フェルール保持部材20は、ステンレススチールやアルミニウム(合金)等の硬質の部材で形成される。なお、本変形例のさらなる変形例として、フェルール保持部材20も制振部材26で形成した構成にしても良い。
【0022】
その他の構成は、第1の実施形態と同様の構成である。本変形例においても、先端部11において走査型内視鏡2における走査により画像を取得する場合において、画像における画質を低下させる原因となる振動が発生したような場合、その振動を制振部42を実質的に構成する制振部材26で形成された接続部材41(の該制振部材26)により吸収ないしは低減することができる。
例えば、円筒部材13側において振動が発生すると、その振動は接続部材41を経てフェルール保持部材20に伝播するが、その際、接続部材41を形成する制振部材26により吸収ないしは低減することができる。また、フェルール保持部材20側において振動が発生した場合においても、その振動が接続部材41を経て接続部材41に伝播する場合においても、同様に制振部材26により吸収ないしは低減することができる。本変形例は、第1の実施形態とほぼ同様の効果を揺すると共に、寸法が小さい接続部材41のみを制振部材26で形成できるために低コスト化することができる。
次に、第1の実施形態の第2の変形例を説明する。図8は、第2変形例における走査型内視鏡の先端部付近の構造を示す。
【0023】
本変形例は、図8に示すように円筒部材13を、制振部材26を用いて構成したものである。図8に示す構成は、例えば第1の実施形態における図2に示すフェルール保持部材20を制振部材26で構成しないで、円筒部材13を制振部材26で構成している。この場合は、図2におけるフェルール保持部材20を形成する制振部材26を円筒部材13に置換する構成となる。その他の構成は、第1の実施形態において説明した場合と同様である。このように、本変形例においては、フェルール19の基端を保持するフェルール保持部材20と、フェルール19等での振動を吸収する双晶型制振合金等から形成される制振部材26により形成される円筒部材13と、により制振部43を形成している。
本変形例における効果は、第1の実施形態とほぼ同様の効果となる。また、本変形例においては、円筒部材13の先端側において振動が発生した場合、該円筒部材13を形成する制振部材26の先端側部分により、その振動を(該振動の発生源付近において)吸収ないしは低減することができる。
また、本変形例においては、先端部11におけるその長手方向のほぼ全長を制振部材26により形成した円筒部材13で形成しているので、先端部11の内部に配置した光ファイバ15及びアクチュエータ17に対して、先端部11の外部から先端部11を振動させるような外乱が加えられた場合にも、その影響を低減することができる。上記第2変形例において、フェルール保持部材20も制振部材26を用いて構成しても良い。
なお、上述した変形例等と第1の実施形態を組み合わせるようにしても良い。例えば、第1の実施形態と第2変形例とを組み合わせるようにしても良い。また、第1変形例に類似した構成として、例えばフェルール保持部材20における円筒部材13の基端に固定される部分周辺部を制振部材26で形成した構造にしたり、円筒部材13における基端側となる一部の部分を制振部材26で形成し、この制振部材26で形成された部分をフェルール保持部材20に固定する構造にしても良い。
【0024】
本出願は、2014年12月25日に日本国に出願された特願2014−263190号を優先権主張の基礎として出願するものであり、上記の開示内容は、本願明細書、請求の範囲、図面に引用されたものとする。
【要約】
走査型内視鏡は、光源部が発生する照明光を導光し、被写体に照射する導光部と、導光部に沿って設けられるフェルールと、導光部から導光された照明光を被写体上で走査するために、フェルールを振動させることで導光部の先端を駆動するアクチュエータと、アクチュエータにより先端が駆動された導光部からの照明光が入射されることにより被写体上で走査するための照明光を出射する光学部材を保持し、導光部、フェルールおよびアクチュエータを内包する空間を有し、導光部に沿って設けられる筒状部材と、筒状部材に対してフェルールを固定し、かつフェルールの振動を吸収する制振部と、を有する。
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8