(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記特徴検出部は、前記電力の信号である第1の信号と、前記電力の信号に対して前記第2の周波数よりも低い周波数を有する信号を通過させるローパスフィルタを通過した第2の信号とを比較して、前記第1の信号の信号値が前記第2の信号の信号値よりも大きくなったときに、前記特徴信号を検出したと判定する、請求項1に記載の電源装置。
前記特徴検出部は、前記第2の信号に正のバイアスをかけた第3の信号と、前記第1の信号とを比較して、前記第1の信号の信号値が前記第3の信号の信号値よりも大きくなったときに、前記特徴信号を検出したと判定する、請求項2に記載の電源装置。
前記特徴検出部は、前記第2の信号に負のバイアスをかけた第4の信号と、前記第1の信号とを比較して、前記第1の信号の信号値が前記第4の信号の信号値よりも小さくなったときに、前記特徴信号を検出したと判定する、請求項2に記載の電源装置。
前記特徴検出部は、前記第1の信号に負のバイアスをかけた第5の信号と、前記第2の信号とを比較して、前記第5の信号の信号値が前記第2の信号の信号値よりも大きくなったときに、前記特徴信号を検出したと判定する、請求項2に記載の電源装置。
前記特徴検出部は、前記第1の信号に正のバイアスをかけた第6の信号と、前記第2の信号とを比較して、前記第6の信号の信号値が前記第2の信号の信号値よりも小さくなったときに、前記特徴信号を検出したと判定する、請求項2に記載の電源装置。
前記特徴検出部は、前記電力の信号に対して前記第2の周波数の信号を通過させるバンドパスフィルタを通過した信号に基づいて、前記特徴信号の検出を行う、請求項1に記載の電源装置。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[第1の実施形態]
本発明の第1の実施形態について図面を参照して説明する。本実施形態に係る高周波処置システム1の構成例の概略を示すブロック図を
図1に示す。
図1に示すように、高周波処置システム1は、処置の対象となる生体組織90に高周波の電力を印加するための第1の電極40と第2の電極50とを備える。高周波処置システム1は、第1の電極40及び第2の電極50に電力を供給する電源装置10と、電源装置10から第1の電極40及び第2の電極50への電力の供給のオン又はオフを切り替えるために術者が操作するスイッチ60とを備える。
【0012】
電源装置10は、Central Processing Unit(CPU)104と、制御部108と、出力部112と、電気パラメータ検出部116と、過剰出力抑制部120とを備える。
【0013】
制御部108は、第1の電極40及び第2の電極50への電力の供給を制御する。制御部108は、例えばCPU、又はApplication Specific Integrated Circuit(ASIC)等を含む。制御部108は、出力のオン又はオフに係る情報や、出力すべき電流又は電圧に係る情報を、出力部112へと出力する。
【0014】
出力部112は、制御部108の制御下で、電力を出力する。すなわち、出力部112は、制御部108が指定した電圧を第1の電極40及び第2の電極50を含む回路に印加したり、制御部108が指定した電流を当該回路に流したりする。出力された電力は、電気パラメータ検出部116を介して第1の電極40及び第2の電極50へと供給される。
【0015】
電気パラメータ検出部116は、出力部112からの出力を検出する。電気パラメータ検出部116は、第1の電極40及び第2の電極50に印加される電圧や、第1の電極40及び第2の電極50を流れる電流に係る信号を出力情報として取り出す。
【0016】
CPU104は、電源装置10の各部の動作を制御する。例えば、CPU104は、出力を行うべき旨の指示がスイッチ60へ入力されたことを検出し、電源装置10が出力を行うべき旨及び出力強度等の情報を制御部108に出力する。電源装置10は、出力についてフィードバック制御を行う。このため、CPU104は、電気パラメータ検出部116から現在の出力に係る情報を取得し、その情報等に基づいて、その後に行われるべき出力を決定する。
【0017】
過剰出力抑制部120は、電源装置10からの出力が過剰になることを防止する。過剰出力抑制部120は、出力をモニタリングして過剰な出力が生じる兆候を検出し、その兆候が検出されたときは出力部112に電力の供給を停止させる。過剰出力抑制部120は、特徴検出部130と停止信号生成部170とを備える。
【0018】
特徴検出部130は、電気パラメータ検出部116から出力情報を取得し、その情報から過剰な出力がされる前に生じる特徴的な電流又は電圧の変化を検出する。特徴検出部130は、特徴的な電流又は電圧の変化を検出したら、その旨を停止信号生成部170へと出力する。
【0019】
停止信号生成部170は、タイマ回路171を有する。停止信号生成部170は、特徴検出部130から特徴的な電流又は電圧の変化を検出した旨を取得したら、出力部112へと出力を停止すべき旨の出力停止信号を出力する。ここで、停止信号生成部170は、タイマ回路171で計測された期間だけ、出力部112に出力停止信号を出力する。
【0020】
図1に示した高周波処置システム1の一例として、モノポーラ型の高周波処置具を含む高周波処置システム1の外観の一例を
図2に示す。
図2に示すように、高周波処置システム1は、生体組織90を凝固又は切開するための高周波処置具41を備える。高周波処置具41は、第1の電極40として機能する電極42を有する。また、高周波処置具41は、スイッチ60として機能する出力スイッチ43を有する。出力スイッチ43は、切開モードにおける出力をオン又はオフに切り替えるスイッチと、凝固モードにおける出力をオン又はオフに切り替えるスイッチとを含む。また、高周波処置システム1は、第2の電極50として機能する対極板52を備える。また、高周波処置システム1は、出力スイッチ43と同様の機能を有するフットスイッチ62を備える。高周波処置具41と対極板52とフットスイッチ62とは、電源装置10に接続されている。
【0021】
処置においては、被処置者の体に対極板52が貼付される。術者は、高周波処置具41を保持し、切開又は凝固の対象となる部分に電極42を接触させながら出力スイッチ43又はフットスイッチ62を用いて電力の供給をオンにする。その結果、処置対象となる部分において、組織の切開又は凝固が行われる。
【0022】
ここでは、モノポーラ型の高周波処置具を例に挙げて説明したが、本実施形態に係る技術は、バイポーラ型の高周波処置具にも同様に適用され得る。バイポーラ型の高周波処置具の場合、例えば鉗子型をした処置具の一組の把持部材のうち、一方が第1の電極40として機能し、他方が第2の電極50として機能するように構成される。
【0023】
次に、
図1を参照して説明した電気パラメータ検出部116と特徴検出部130との具体的な構成の一例について
図3を参照して説明する。
【0024】
電気パラメータ検出部116は、
図3に示すように、出力部112から出力された交流の電流の一部を、トランスと抵抗とを用いた回路を利用して、検出用電流として取り出す。この検出用電流は、特徴検出部130に入力される。
【0025】
特徴検出部130には、第1のローパスフィルタ(LPF)132と、コンパレータ131とが設けられている。特徴検出部130に入力された検出用電流は、2つに分岐される。分岐された検出用電流の一方を第1の高周波電流IHF−1とし、他方を第2の高周波電流IHF−2とする。第1の高周波電流IHF−1は、コンパレータ131の反転入力端子に入力される。第2の高周波電流IHF−2は、第1のLPF132に入力される。
【0026】
第1のLPF132は、例えば抵抗とコンデンサによって構成されるローパスフィルタや、オペアンプを用いて構成されるローパスフィルタ等、電子素子によって構成される一般的なローパスフィルタである。第2の高周波電流IHF−2は、第1のLPF132によって所定の周波数以上の高周波成分が遮断される。第1のLPF132を通過した第2の高周波電流IHF−2は、コンパレータ131の非反転入力端子に入力される。
【0027】
コンパレータ131の出力端子からは、第1の高周波電流IHF−1と第2の高周波電流IHF−2との比較結果に応じた比較信号が出力される。この比較信号は、停止信号生成部170へと入力される。
【0028】
次に本実施形態に係る電源装置10の動作について、
図4に示すフローチャートを参照して説明する。
図4に示す処理は、例えば電源装置10の電源が投入されたときに開始する。
【0029】
ステップS101において、電源装置10は、出力を開始するか否かを判定する。すなわち、例えばCPU104は、スイッチ60がオンになったか否かを判定する。出力を開始しないとき、処理はステップS108に進み、後述するように電源がオフにならない限りステップS101を繰り返して待機する。出力を開始するとき、処理はステップS102に進む。
【0030】
ステップS102において、電源装置10は、出力を開始する。すなわち、CPU104は、出力すべき旨と出力電流に係る情報とを制御部108へと出力する。制御部108は、CPU104から取得した情報に基づいて、出力部112の動作を制御する。出力部112は、制御部108の制御下で指定された高周波電流を出力する。出力された高周波電流は、電気パラメータ検出部116を介して第1の電極40及び第2の電極50と、第1の電極40と第2の電極50との間に配置された生体組織90とを流れる。この電流によって、生体組織90は、例えば第1の電極40との接触部分において発熱する。この熱によって生体組織は例えば焼灼される。
【0031】
このとき流れる電流について、
図5乃至
図7に示す模式図を参照して説明する。
図5は、処置中における時間に対する電流の大きさを模式的に示す図である。
図5の(a)に示す期間のように、第1の電極40及び第2の電極50が生体組織90に接触しているとき、電流値はある一定の範囲で維持される。しかしながら、例えば第1の電極40等が生体組織90を把持する鉗子等の金属等に接触したとき、
図5の(b)に示す期間のように、電流値が非常に大きくなることがある。すなわち、過剰電流が流れることがある。この過剰電流は、金属等の接触状態が終了するとやがて低下し、
図5の(c)に示す期間のように、当初と同様に一定電流となる。
図5の(b)に示す期間のように過剰電流が流れることは、実際の電流値が制御の目標値と異なる状態にあることを意味し、好ましくない。本実施形態では、このような過剰電流の出力を抑制する。
【0032】
図5の(d)で示した期間について、時間軸を拡大して表した時間と電流との関係を
図6に示す。
図6に示すように、本実施形態ではf1で示される周期に係る基本周波数を有する交流電流が連続的に出力、又はf2で示される周期に係る繰り返し周波数ごとに間歇的に出力される。なお、基本周波数は、例えば400乃至500kHzといった周波数である。
図6に示した期間において電流値は徐々に大きくなり始めている。
【0033】
図6の(e)で示した期間について、時間軸を拡大して表した時間と電流との関係を
図7に示す。
図7に示すように、(f)で示された期間において、基本周波数よりも高い周波数を有する特徴的な波形が認められる。以降、このような特徴的な波形を特徴電流と称することにする。特徴電流の周波数は、例えば6MHz程度である。本実施形態では、過剰電流の出力を抑制するために、特徴電流の検出が行われる。
【0034】
図4に戻って説明を続ける。ステップS103において、電源装置10は、特徴電流が検出されたか否かを判定する。すなわち、特徴検出部130において、出力電流に係る第1の高周波電流IHF−1が、コンパレータ131の反転入力端子に入力される。第1の高周波電流IHF−1と同様の電流であって第1のLPF132によって高周波成分がカットされた第2の高周波電流IHF−2が、コンパレータ131の非反転入力端子に入力される。ここで、第1のLPF132の遮断周波数は、特徴電流の周波数よりも低く、基本周波数よりも高い周波数に設定されている。したがって、特徴電流が含まれない出力電流においては、コンパレータ131の反転入力端子に入力される信号と、コンパレータ131の非反転入力端子に入力される信号とには差異がない。一方、
図7に示すような特徴電流が含まれる出力電流においては、コンパレータ131の反転入力端子に入力される信号は、
図7に示すようなものであるが、非反転入力端子に入力される信号は、
図8に示すようなものになる。すなわち、反転入力端子に入力される信号と非反転入力端子に入力される信号とには差異がある。以上のことから、特徴電流が存在しないときと存在するときとで、コンパレータ131の出力端子から出力される比較信号は異なるものとなる。停止信号生成部170は、この比較信号の変化に基づいて、特徴電流が存在するか存在しないかを判定する。特徴電流が検出されていないとき、処理はステップS106に進む。一方、特徴電流が検出されたとき、処理はステップS104に進む。
【0035】
このように、第1の信号に相当する出力電流に係る第1の高周波電流IHF−1と、第2の信号に相当する第1のLPF132によって高周波成分がカットされた第2の高周波電流IHF−2とが比較され、第1の信号の信号値が第2の信号の信号値よりも大きくなったときに、特徴信号が検出されたと判定される。
【0036】
ステップS104において、電源装置10は、所定期間だけ出力を停止する。すなわち、停止信号生成部170は、停止信号を生成し、この停止信号を出力部112へと出力する。停止信号が出力される期間は、タイマ回路171でカウントされる所定期間である。この所定期間は、これに限らないが、例えば50ミリ秒から100ミリ秒程度の短期間である。停止信号を受信した出力部112は、停止信号を受信している期間だけ、出力を停止する。
【0037】
ステップS105において、電源装置10は、出力を再開する。すなわち、停止信号生成部170は、上述の所定期間だけ停止信号を出力した後、停止信号の出力を止める。その結果、出力部112は、所定期間出力を停止した後、再び出力を開始する。したがって、電源装置10の出力の概略は、
図9のようになる。すなわち、
図9に示す時刻t1において出力が停止し、所定の期間P1が経過した時刻t2において出力が再開する。
【0038】
ステップS106において、電源装置10は、出力を終了させるか否かを判定する。すなわち、CPU104は、スイッチ60がオフになったか否かを判定する。出力を終了させないとき、処理はステップS103に戻る。すなわち、電源装置10は、上述のステップS103乃至ステップS106の処理を繰り返す。一方、出力を終了させるとき、処理はステップS107に進む。
【0039】
ステップS107において、電源装置10は、出力を停止する。すなわち、CPU104は、出力を停止すべき旨の情報を制御部108へと出力する。制御部108は、CPU104から取得した情報に基づいて、出力部112の動作を制御して、出力を停止させる。
【0040】
ステップS108において、電源装置10は、電源装置10の処理を終了するか否かを判定する。例えば電源装置10の電源が切られたとき、電源装置10の処理は終了する。終了しないとき、処理はステップS101に戻る。すなわち、電源装置10は、上述のステップS101乃至ステップS108の処理を繰り返す。一方、終了するとき、当該処理は終了する。
【0041】
本実施形態によれば、電源装置10は、過剰電流が流れる兆候を検知し、この兆候を検知したときは過剰電流が流れる前に出力を短期間だけ停止する。その結果、過剰電流が流れることが防止される。すなわち、
図5の(b)の期間に示すような過剰電流は発生せず、
図5の(a)の期間に示すように、安定した電流が維持される。このように、本実施形態に係る電源装置10は、高い精度で電流の制御を行うことができる。なお、短期間の出力停止の後に出力は再開されるので、この出力停止が処置に与える影響は極わずかでありながら、有効に過剰電流の発生を抑制できる。
【0042】
また、本実施形態に係る特徴検出部130は、例えばオペアンプ、抵抗、コンデンサ等といったハードウェアのみよって構成される。このため、特徴電流が発生したとき、特徴検出部130のコンパレータ131の出力端子から出力される比較信号は、数ナノ秒程度で変化する。この信号変化は、例えばCPUを用いた演算が数ミリ秒を要することと比較して、桁違いに速い。
【0043】
また、本実施形態のようにローパスフィルタを通過させる前後の信号の差異に基づいて特徴電流を検出する方法も、特徴電流の検出の精度を高めている。すなわち、
図7に示すような特徴電流を検出する場合、ピーク検出回路を用いて特徴電流を検出することも可能である。しかしながら、例えば
図10に示すように、特徴電流の極大値が、電流波形の最大値よりも小さいとき、ピーク検出回路によっては、特徴電流を検出できない。これに対して本実施形態に係る特徴検出部130は、
図10に示すような特徴電流であっても検出することが可能である。
【0044】
なお、ここでは、電源装置10の出力制御は電流値制御で行われる場合を示した。しかしながらこれは一例であり、電圧値制御が行われても、電力値制御が行われてもよい。また、電極が鉗子等に接触したときに発生する制御の乱れを、電流値をモニタリングすることで検出する例を説明した。しかしながらこれに限らない。電圧値又は電力値をモニタリングすることで、出力が過剰となる前に発生する兆候を特徴信号として検出してもよい。
【0045】
[第1の実施形態の第1の変形例]
第1の実施形態の第1の変形例について説明する。ここでは、第1の実施形態との相違点について説明し、同一の部分については、同一の符号を付してその説明を省略する。本変形例では、第1の実施形態とは特徴検出部130の構成が異なる。本変形例に係る特徴検出部130の構成例の概略を
図11に示す。
【0046】
図11に示すように、本変形例の特徴検出部130では、電気パラメータ検出部116から入力された検出用電流が第1の高周波電流IHF−1と第2の高周波電流IHF−2とに分岐する前にローパスフィルタを通過するように、当該分岐の前段に第2のローパスフィルタ(LPF)133が設けられている。第2のLPF133は、誤検出防止のためにノイズを除去する目的で設けられている。ここで、第2のLPF133の遮断周波数は、特徴電流の周波数よりも高い。その他の構成は、第1の実施形態の場合と同様である。
【0047】
本変形例によれば、第2のLPF133によって高周波成分を有するノイズが除去されるため、第1の実施形態の場合よりも検出精度が向上する。その他、第1の実施形態の場合と同様の効果が得られる。
【0048】
[第1の実施形態の第2の変形例]
第1の実施形態の第2の変形例について説明する。ここでは、第1の実施形態との相違点について説明し、同一の部分については、同一の符号を付してその説明を省略する。本変形例では、第1の実施形態とは特徴検出部130の構成が異なる。本変形例に係る特徴検出部130の構成例の概略を
図12に示す。
【0049】
図12に示すように、本変形例の特徴検出部130では、電気パラメータ検出部116から入力された検出用電流が第1の高周波電流IHF−1と第2の高周波電流IHF−2とに分岐する。当該分岐と第1のLPF132との間に、電流値に正のバイアスをかける第1のバイアス部134が設けられている。したがって、第2の高周波電流IHF−2は、正のバイアスがかけられた後、第1のLPF132を通過する。その他の構成は、第1の実施形態の場合と同様である。
【0050】
本変形例に係る電流値及びコンパレータ131の出力について、
図13に示す模式図を参照して説明する。
図13の上段は、時間に対してコンパレータ131に入力される電流の変化を示している。この図において、実線は第1の高周波電流IHF−1の変化を模式的に示し、破線は第2の高周波電流IHF−2の変化を模式的に示す。この図に示すように、破線で示した第2の高周波電流IHF−2は、第1のバイアス部134によって正のバイアスがかけられている。また、第2の高周波電流IHF−2は、第1のLPF132によって、高周波成分である特徴電流が遮断されている。
【0051】
実線で示した第1の高周波電流IHF−1は、コンパレータ131の反転入力端子に入力される。一方、破線で示した正のバイアスがかけられて特徴電流が遮断された第2の高周波電流IHF−2は、コンパレータ131の非反転入力端子に入力される。しがたって、第2の高周波電流IHF−2の値の方が第1の高周波電流IHF−1の値よりも大きいとき、コンパレータ131の出力である比較信号はハイレベルとなる。一方、第1の高周波電流IHF−1の値の方が第2の高周波電流IHF−2の値よりも大きいとき、コンパレータ131の出力である比較信号はローレベルとなる。ここで、特徴電流の振幅が第1のバイアス部134によってかけられるバイアス値よりも大きいとき、
図13の下段に示すように、特徴電流が生じているときにおいてコンパレータ131の出力はローレベルとなる。
【0052】
本実施形態では、停止信号生成部170は、コンパレータ131の出力である比較信号がローレベルとなったとき、停止信号を出力する。
【0053】
このように、第3の信号に相当する正のバイアスがかけられて特徴電流が遮断された第2の高周波電流IHF−2と、第1の信号に相当する第1の高周波電流IHF−1とが比較され、第1の信号の信号値が第3の信号の信号値よりも大きくなったときに、特徴信号が検出されたと判定され得る。
【0054】
本変形例によれば、特徴検出部130は、第1の実施形態の場合と比較して、より高精度に特徴電流の検出を行うことができる。その他、第1の実施形態の場合と同様の効果が得られる。
【0055】
本変形例では、第2の高周波電流IHF−2に正のバイアスをかけているが、これに代えて、第1の高周波電流IHF−1に負のバイアスをかけても同様である。また、本変形例においても、第1の変形例のように、ノイズ除去のためのローパスフィルタが設けられてもよい。また、第1のLPF132と第1のバイアス部134との順序は、逆でもよい。
【0056】
このように、第1の高周波電流IHF−1に負のバイアスをかけられた第5の信号に相当する信号と、第2の信号に相当する正のバイアスがかけられていない第2の高周波電流IHF−2とが比較され、第5の信号の信号値が第2の信号の信号値よりも大きくなったときに、特徴信号が検出されたと判定され得る。
【0057】
[第1の実施形態の第3の変形例]
第1の実施形態の第3の変形例について説明する。ここでは、第1の実施形態の第2の変形例との相違点について説明し、同一の部分については、同一の符号を付してその説明を省略する。本変形例では、第1の実施形態の第2の変形例とは特徴検出部130の構成が異なる。第1の実施形態の第2の変形例では、特徴検出部130は、正の特徴電流を検出するために、第2の高周波電流IHF−2に正のバイアスをかけている。これに対して本変形例では、特徴検出部130は、第2の高周波電流IHF−2に負のバイアスもかけて、負の特徴電流を検出することができるように構成されている。本変形例に係る特徴検出部130の構成例の概略を
図14に示す。
【0058】
図14に示すように、本変形例の特徴検出部130では、電気パラメータ検出部116から入力された検出用電流は、第1の高周波電流IHF−1と第2の高周波電流IHF−2と第3の高周波電流IHF−3と第4の高周波電流IHF−4とに分岐する。
【0059】
特徴検出部130は、第1のコンパレータ141と第2のコンパレータ144とを備える。第1の高周波電流IHF−1は、第1のコンパレータ141の反転入力端子に入力される。特徴検出部130は、第2の高周波電流IHF−2に正のバイアスをかけるための第1のバイアス部143と、バイアスがかけられた第2の高周波電流IHF−2の特徴電流等の高周波成分を遮断するための第1のLPF142とを備える。第2の高周波電流IHF−2は、第1のバイアス部143によって正のバイアスをかけられ、その後、第1のLPF142を通過して、第1のコンパレータ141の非反転入力端子に入力される。
【0060】
第3の高周波電流IHF−3は、第2のコンパレータ144の非反転入力端子に入力される。特徴検出部130は、第4の高周波電流IHF−4に負のバイアスをかけるための第2のバイアス部146と、バイアスがかけられた第4の高周波電流IHF−4の特徴電流等の高周波成分を遮断するための第2のLPF145とを備える。第4の高周波電流IHF−4は、第2のバイアス部146によって負のバイアスをかけられ、その後、第2のLPF145を通過して、第2のコンパレータ144の反転入力端子に入力される。
【0061】
本変形例に係る電流値及び第1のコンパレータ141及び第2のコンパレータ144の出力について、
図15に示す模式図を参照して説明する。
図15の上段は、時間に対する第1のコンパレータ141及び第2のコンパレータ144に入力される電流の変化を示している。この図において、実線は第1の高周波電流IHF−1及び第3の高周波電流IHF−3の変化を模式的に示し、破線は第2の高周波電流IHF−2の変化を模式的に示し、一点鎖線は第4の高周波電流IHF−4の変化を模式的に示す。第1の高周波電流IHF−1及び第3の高周波電流IHF−3には、負の特徴電流が発生している。
【0062】
図15に示すように、破線で示した第2の高周波電流IHF−2は、第1のバイアス部143によって正のバイアスがかけられている。また、第2の高周波電流IHF−2は、第1のLPF142によって、高周波成分である特徴電流が遮断されている。また、一点鎖線で示した第4の高周波電流IHF−4は、第2のバイアス部146によって負のバイアスがかけられている。また、第4の高周波電流IHF−4は、第2のLPF145によって、高周波成分である特徴電流が遮断されている。
【0063】
図15の中段は、第1のコンパレータ141の出力を模式的に示し、
図15の下段は、第2のコンパレータ144の出力を模式的に示す。第2の高周波電流IHF−2は、常に第1の高周波電流よりも大きいので、第1のコンパレータ141の出力は、常にハイレベルとなっている。一方、第3の高周波電流IHF−3は、基本的に第4の高周波電流IHF−4よりも大きいので、そのときは、第2のコンパレータ144の出力は、ハイレベルとなっている。ここで、負の特徴電流が発生しているとき、第4の高周波電流IHF−4が第3の高周波電流IHF−3よりも大きくなるので、このとき、第2のコンパレータ144の出力は、ローレベルとなる。
【0064】
図15に示す例は、特徴電流が負である場合である。特徴電流が正である場合には、第2の変形例の場合と同様に、第1のコンパレータ141の出力が、特徴電流が発生しているときにハイレベルからローレベルに切り替わる。
【0065】
このように、第4の信号に相当する、第2のバイアス部146によって負のバイアスをかけられて、第2のLPF145を通過した第4の高周波電流IHF−4と、第1の信号に相当する第3の高周波電流IHF−3とが比較され、第1の信号の信号値が第4の信号の信号値よりも小さくなったときに、特徴信号が検出されたと判定され得る。
【0066】
本実施形態によれば、特徴検出部130は、第1の実施形態の場合と比較して、より高精度に特徴電流の検出を行うことができ、さらに、正の特徴電流も負の特徴電流も検出することができる。
【0067】
本変形例では、第2の高周波電流IHF−2に正のバイアスをかけ、第4の高周波電流IHF−4に負のバイアスをかけているが、これに代えて、第1の高周波電流IHF−1に負のバイアスをかけ、第3の高周波電流IHF−3に正のバイアスをかけても同様である。また、本変形例においても、第1の変形例のように、ノイズ除去のためのローパスフィルタが設けられてもよい。
【0068】
このように、第3の高周波電流IHF−3に正のバイアスをかけられた第6の信号に相当する信号と、第2の信号に相当する負のバイアスをかけられていない第4の高周波電流IHF−4とが比較され、第6の信号の信号値が第2の信号の信号値よりも小さくなったときに、特徴信号が検出されたと判定され得る。
【0069】
[第1の実施形態の第4の変形例]
第1の実施形態の第4の変形例について説明する。ここでは、第1の実施形態との相違点について説明し、同一の部分については、同一の符号を付してその説明を省略する。本変形例では、第1の実施形態とステップS104において行われる出力の停止に係る動作が異なる。すなわち、第1の実施形態では、特徴電流が検出されたとき、
図9に示すように所定の期間P1の間出力が停止される。これに対して本変形例では、
図16に示すように、特徴電流が検出されたとき、所定の期間P1の間だけ、出力が半分(電流値が半分)に低減させられる。
【0070】
本変形例によれば、特徴電流が計測されたときも、一定程度の出力が維持されるので、過剰電流が抑制されつつ、高周波処置具としての機能もある程度維持される。なお、所定期間P1における出力は、通常時の半分に限らずどのような値でもよい。ただし、過剰電流が抑制される程度に低い電流値であることが必要である。
【0071】
なお、本変形例は、第1の実施形態のみならず、その第1乃至第3の変形例に対しても適用され得ることはもちろんである。また、電流値を下げる代わりに、所定期間P1の間出力のオン及びオフを繰り返し切り替えて、出力を間歇的とするように構成されてもよい。
【0072】
[第1の実施形態の第5の変形例]
第1の実施形態の第5の変形例について説明する。ここでは、第1の実施形態との相違点について説明し、同一の部分については、同一の符号を付してその説明を省略する。本変形例では、第1の実施形態とステップS105において行われる出力の再開に係る動作が異なる。すなわち、第1の実施形態では、
図9に示すように、所定の期間P1だけ出力が停止された後、直ちに当初の出力まで出力電流が戻る。これに対して、本変形例では、
図17に示すように、所定の期間P1だけ出力が停止された後、出力が徐々に増加していき、時間をかけて当初の出力まで戻る。
【0073】
第1の実施形態のように出力が停止された後、直ちに出力が当初のレベルまで戻ると、出力再開時に過剰電流の出力が生じる恐れがある。これに対して、本変形例によれば、出力レベルが徐々に増加していくので、過剰電流の出力が生じる恐れがあるときには、過剰電流の出力が生じる前に再び特徴電流が検出されて出力が抑制される。その結果、確実に過剰電流の出力が抑制される。
【0074】
なお、本変形例は、第1の実施形態のみならず、その第1乃至第4の変形例に対しても適用され得ることはもちろんである。
【0075】
[第1の実施形態の第6の変形例]
第1の実施形態の第6の変形例について説明する。ここでは、第1の実施形態との相違点について説明し、同一の部分については、同一の符号を付してその説明を省略する。本変形例に係る高周波処置システム1は、高周波電力を用いた処置に加えて、超音波エネルギーによる処置も行えるように構成されている。
【0076】
本変形例に係る高周波処置システム1の構成例の概略を
図18に示す。
図18に示すように、本変形例に係る電源装置10及びスイッチ60の構成は、第1の実施形態の電源装置10及びスイッチ60と同様である。本変形例に係る高周波処置システム1には、超音波−高周波処置具48が設けられている。超音波−高周波処置具48は、第1の実施形態に係る第1の電極40に相当する第1の電極44を備える。さらに、超音波−高周波処置具48は、第1の電極44を超音波振動させるための振動源である超音波振動子46を備える。高周波処置システム1には、さらに、超音波振動子の動作を制御するための超音波処置制御装置30が設けられている。超音波処置制御装置30は、超音波信号生成部32を備える。超音波信号生成部32は、超音波振動子46を駆動するための信号を生成する。また、本変形例に係る高周波処置システム1は、第1の実施形態に係る第2の電極50に相当する第2の電極54を備える。第2の電極54は、対極板として機能する。
【0077】
本変形例に係る超音波−高周波処置具48は、処置対象である生体組織に接触して、高周波電力を供給することにより発生する熱と、超音波振動により発生する熱とによって、処置を行う。
【0078】
本変形例における、高周波処置装置としての動作は、第1の実施形態の場合と同様であり、同様の効果が得られる。さらに、本変形例では、超音波処置制御装置30の制御下で、超音波振動子46が超音波振動し、この振動が第1の電極44に伝達される。その結果、第1の電極44の振動によっても生体組織が処置される。なお、電源装置10の動作と超音波処置制御装置30の動作とが連動してもよいことはもちろんである。このため、電源装置10と超音波処置制御装置30とは、情報を交換し合うように構成され得る。
【0079】
なお、本変形例は、第1の実施形態のみならず、その第1乃至第5の変形例に対しても適用され得ることはもちろんである。
【0080】
なお、超音波−高周波処置具48は、例えば鉗子型の形状をしており、一対の把持部材が第1の電極44及び第2の電極54であって一対のバイポーラ電極として機能するように構成されていてもよい。この場合、一対の把持部材のうち一方は、超音波の周波数で振動する。この場合、超音波−高周波処置具48は、処置対象である組織を把持し、高周波電力を供給することにより発生する熱と、超音波振動により発生する熱、機械適応力とによって、例えば凝固・切開などの処置を行う。
【0081】
[第2の実施形態]
第2の実施形態について説明する。ここでは、第1の実施形態との相違点について説明し、同一の部分については、同一の符号を付してその説明を省略する。第2の実施形態に係る高周波処置システム1は、第1の実施形態に係る高周波処置システム1とは特徴検出部130の構成が異なる。すなわち、第1の実施形態に係る高周波処置システム1では、特徴検出部130には入力された検出用電流を2つに分岐させ、一方の検出用電流はローパスフィルタを通過させ、その電流を他方のローパスフィルタを通過していない検出用電流と比較するコンパレータを設けることで、特徴電流を検出している。これに対して、本実施形態に係る特徴検出部130は、バンドパスフィルタを備える。
【0082】
本実施形態に係る特徴検出部130の構成例の概略を
図19に示す。
図19に示すように、特徴検出部130は、バンドパスフィルタ152を備える。このバンドパスフィルタ152は、特徴電流の周波数に相当する周波数の信号を通過させるバンドパスフィルタである。
【0083】
電気パラメータ検出部116で取り出された検出用電流としての第5の高周波電流IHF−5は、特徴検出部130に入力される。この第5の高周波電流IHF−5は、例えば
図6及び
図7に示すような波形を有する。バンドパスフィルタ152は、特徴電流に相当する周波数の信号を通過させるので、例えば
図7に示すような第5の高周波電流IHF−5がバンドパスフィルタ152に入力されると、バンドパスフィルタ152を通過した第6の高周波電流IHF−6は、
図20に示すような波形を有することになる。
【0084】
バンドパスフィルタ152を通過した第6の高周波電流IHF−6は、停止信号生成部170に入力される。停止信号生成部170は、入力された第6の高周波電流IHF−6について
図20に示すようにピークを含む信号が認められたとき、停止信号を生成して、この停止信号を出力する。電源装置10のその他の構成及び動作は、第1の実施形態の場合と同様である。
【0085】
本実施形態によれば、第1の実施形態と同様に、電源装置10は、過剰電流が流れる兆候を検知し、過剰電流が流れる前に出力を短期間だけ停止する。その結果、過剰電流が流れることが防止される。その結果、本実施形態に係る電源装置10は、高い精度で電流の制御を行うことができる。本実施形態の構成によっても、高速で正確な特徴電流の検出が行われ得る。
【0086】
なお、本実施形態は、第1の実施形態の第4乃至第6の変形例に対しても適用され得ることはもちろんである。
【0087】
[第3の実施形態]
第3の実施形態について説明する。ここでは、第1の実施形態との相違点について説明し、同一の部分については、同一の符号を付してその説明を省略する。第1の実施形態では、特徴検出部130は、過剰な電力投入の兆候を検出するために電流値をモニタリングしている。これに対して、本実施形態に係る特徴検出部130は、電流値と電圧値とのうち高い精度が得られる方を用いて過剰な電力投入の兆候を検出する。
【0088】
電源装置10が出力する高周波電流が流れる回路のインピーダンスが低いとき、出力は大電流、低電圧となる。このような場合、特徴検出部130は、電流をモニタリングする。一方、電源装置10が出力する高周波電流が流れる回路のインピーダンスが高いとき、出力は小電流、高電圧となる。このような場合、特徴検出部130は、電圧をモニタリングする。
【0089】
本実施形態に係る高周波処置システム1の構成例の概略を
図21に示す。
図21に示すように、本実施形態の高周波処置システム1は、第1の実施形態に係る高周波処置システム1とは特徴検出部130の構成が異なる。本実施形態に係る特徴検出部130は、インピーダンス算出回路161と切替回路162と特徴電流検出部163と特徴電圧検出部164とを備える。
【0090】
インピーダンス算出回路161は、電源装置10が出力する高周波電流が流れる回路のインピーダンスを算出する。インピーダンス算出回路161は、得られたインピーダンスの値を切替回路162へと出力する。切替回路162は、インピーダンス算出回路161が算出したインピーダンスの値に応じて、電流によるモニタリングをするか電圧によるモニタリングをするかを決定する。電流によるモニタリングを行うとき、切替回路162は、特徴電流検出部163に特徴電流の検出を行わせる。一方、電圧によるモニタリングを行うとき、切替回路162は、特徴電圧検出部164に特徴電圧の検出を行わせる。
【0091】
特徴電流検出部163は、第1の実施形態又はその変形例に係る特徴検出部130と同様の構成を有しており、特徴電流の検出を行う。特徴電流検出部163は、特徴電流の有無に係る信号を停止信号生成部170へと出力する。
【0092】
特徴電圧検出部164は、電圧値をモニタリングする。
図5乃至
図7には電気パラメータ検出部116で取り出される電流値の波形を示したが、電気パラメータ検出部116で取り出される電圧値の波形も
図5乃至
図7と同様の形状を示す。特徴電圧検出部164は、特徴電流検出部163と同様に、電圧値の波形に基づいて、基本周波数よりも高い周波数を有する特徴電圧を検出する。特徴電圧検出部164は、特徴電圧の有無に係る信号を停止信号生成部170へと出力する。その他の構成は、第1の実施形態の場合と同様である。
【0093】
本実施形態に係る電源装置10の動作について、
図22に示すフローチャートを参照して説明する。
図22に示す処理は、例えば電源装置10の電源が投入されたときに開始する。
【0094】
ステップS201において、電源装置10は、出力を開始するか否かを判定する。すなわち、例えばCPU104は、スイッチ60がオンになったか否かを判定する。出力を開始しないとき、処理はステップS210に進み、後述するように電源がオフにならない限りステップS201を繰り返して待機する。出力を開始するとき、処理はステップS202に進む。
【0095】
ステップS202において、電源装置10は、出力を開始する。すなわち、CPU104は、出力すべき旨と出力電流に係る情報とを制御部108へと出力する。制御部108は、CPU104から取得した情報に基づいて、出力部112の動作を制御する。出力部112は、制御部108の制御下で指定された高周波電流を出力する。出力された高周波電流は、電気パラメータ検出部116を介して第1の電極40と第2の電極50とを流れる。
【0096】
ステップS203において、電源装置10は、インピーダンスは所定の閾値よりも低いか否かを判定する。すなわち、特徴検出部130のインピーダンス算出回路161は、回路のインピーダンスを算出する。特徴検出部130の切替回路162は、算出されたインピーダンスが所定の閾値よりも低いか否かを判定する。所定の閾値は、例えば1000Ω等である。インピーダンスが閾値よりも低いとき、処理はステップS204に進む。
【0097】
ステップS204において、電源装置10は、特徴電流が検出されたか否かを判定する。すなわち、検出用電流は、特徴電流検出部163を流れて、特徴電流検出部163で処理された信号が停止信号生成部170へと入力される。停止信号生成部170は、入力された信号に基づいて、特徴電流が検出されたか否かを判定する。特徴電流が検出されていないとき、処理はステップS207に進む。一方、特徴電流が検出されたとき、処理はステップS205に進む。
【0098】
ステップS205において、電源装置10は、所定期間出力を停止する。すなわち、停止信号生成部170は、停止信号を生成し、この停止信号を出力部112へと出力する。停止信号が出力される期間は、タイマ回路171でカウントされる所定期間である。停止信号を受信した出力部112は、停止信号を受信している期間だけ、出力を停止する。
【0099】
ステップS206において、電源装置10は、出力を再開する。すなわち、停止信号生成部170は、上述の所定期間だけ停止信号を出力した後、停止信号の出力を止める。その結果、出力部112は、再び出力を開始する。
【0100】
ステップS207において、電源装置10は、出力終了させるか否かを判定する。すなわち、CPU104は、スイッチ60がオフになったか否かを判定する。出力を終了させないとき、処理はステップS203に戻る。すなわち、電源装置10は、上述のステップS203乃至ステップS207の処理を繰り返す。一方、出力を終了させるとき、処理はステップS209に進む。
【0101】
ステップS203の判定において、インピーダンスが所定の閾値より低くないと判定されたとき、処理はステップS208に進む。ステップS208において、電源装置10は、特徴電圧が検出されたか否かを判定する。すなわち、検出用の電圧信号は、特徴電圧検出部164へと入力されて、特徴電圧検出部164で処理された信号が停止信号生成部170へと入力される。停止信号生成部170は、入力された信号に基づいて、特徴電圧が検出されたか否かを判定する。特徴電圧が検出されていないとき、処理はステップS207に進む。一方、特徴電圧が検出されたとき、処理はステップS205に進み、出力が所定期間停止される。
【0102】
ステップS209において、電源装置10は、出力を停止する。ステップS210において、電源装置10は、電源装置10の処理を終了するか否かを判定する。例えば電源が切られたとき、電源装置10の処理は終了する。終了しないとき、処理はステップS201に戻る。すなわち、電源装置10は、上述のステップS201乃至ステップS210の処理を繰り返す。一方、終了するとき、当該処理は終了する。
【0103】
本実施形態によれば、第1の実施形態と同様に、電源装置10は、過剰電流が流れる兆候を検知し、過剰電流が流れる前に出力を短期間だけ停止する。その結果、過剰電流が流れることが防止される。この過剰電流が流れる兆候を検出するにあたって、回路のインピーダンスに基づいて、電流値をモニタリングするか電圧値をモニタリングするかが切替えられる。この切替えによって、第1の実施形態のように電流値のみをモニタリングする場合と比較して、当該兆候の検出精度が向上する。その他、第1の実施形態と同様の効果が得られる。
【0104】
なお、本実施形態は、第1の実施形態の変形例並びに第2の実施形態に対しても適用され得ることはもちろんである。
【0105】
このように、電源装置10から過剰な電力が出力される際には、出力電力の基本周波数(第1の周波数)よりも高い第2の周波数を有する特徴電力が発生する。この特徴電力は、電流値と電圧値と電力値とのうち何れの信号値に基づいて特徴信号として検出されてもよい。すなわち、第1の実施形態及び第2の実施形態においても、特徴電力の検出のために、電流値がモニタリングされても電圧値がモニタリングされても電力値がモニタリングされてもよい。また、電源装置10の出力については、電流値に基づく制御、電圧値に基づく制御、及び電力値に基づく制御のうち、何れの方式が用いられてもよい。
生体組織に対して高周波処置を施す高周波処置具のための電源装置(10)は、出力部(112)と、特徴検出部(130)と、停止信号生成部(170)とを備える。出力部(112)は、高周波処置具に供給する第1の周波数を有する電力を出力する。特徴検出部(130)は、出力部112から出力される電力が過剰となる前に発生する特徴信号であって、前記電力に含まれている第1の周波数よりも高い第2の周波数を有する特徴信号を検出する。停止信号生成部(170)は、特徴信号が検出されたときに、出力部(112)による電力の出力を、停止又は低減させるための停止信号を出力する。