(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、例えば、エンドルミナル治療デバイス等のように、処置具を体内に挿入した後で、処置具と駆動部の係合を行う構造の場合、係合後に駆動部が駆動すると体内で処置具が作動してしまい、体内組織に干渉するおそれがあった。
【0006】
本発明は上記課題に着目してなされたものであり、処置具を体内に挿入した後で、処置具と駆動部の係合を行う場合であっても、周囲への影響を減らし、処置具と駆動部を的確に係合することが可能なマニピュレータシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態に係るマニピュレータシステムは、
駆動力を発生する複数の駆動部材を有する駆動部と、
前記駆動部によって駆動される処置具と、
前記駆動部と前記処置具を着脱する着脱機構と、
前記駆動部を制御する制御部と、
を備え、
前記着脱機構は、
前記処置具に取り付けられ、前記複数の駆動部材からそれぞれ駆動力が伝達される複数の第1駆動力伝達部材と、
前記駆動部材に取り付けられ、前記複数の第1駆動力伝達部材にそれぞれ駆動力を伝達する複数の第2駆動力伝達部材と、
前記複数の第1駆動力伝達部材にそれぞれ形成された第1係合部と前記複数の第2駆動力伝達部材にそれぞれ形成された第2係合部のそれぞれの着脱を別々に検知する係合検知部と、
を有し、
前記制御部は、
前記係合検知部が前記第1係合部と前記第2係合部の係合を検知した場合、前記複数の第2駆動力伝達部材のうち検知された前記第2係合部が形成された前記第2駆動力伝達部材を駆動する前記駆動部材の駆動を停止させる
ことを特徴とする。
【0008】
本発明の一実施形態に係るマニピュレータシステムは、
前記駆動部を保持する本体と、
前記処置具を保持するケースと、
前記本体に前記ケースの装着を検知する装着検知部と、
を備え、
前記制御部は、
前記装着検知部が前記本体への前記ケースの装着を検知した場合に、前記駆動部を作動する。
【0009】
本発明の一実施形態に係るマニピュレータシステムでは、
前記着脱機構は、前記第1係合部に係合する中間第1係合部と、前記第2係合部に係合する中間第2係合部と、を有し、前記第1駆動力伝達部材と前記第2駆動力伝達部材の間に着脱可能に配設される中間部材を有する。
【0010】
本発明の一実施形態に係るマニピュレータシステムでは、
前記係合検知部は、
前記第1係合部に配設された第1導電部と、
前記第2係合部に配設された第2導電部と、
前記第1導電部と前記第2導電部の通電を検知する通電検知部と、
を有する。
【0011】
本発明の一実施形態に係るマニピュレータシステムでは、
前記第1導電部にヒューズを挿入する。
【0012】
本発明の一実施形態に係るマニピュレータシステムでは、
前記中間部材は、前記中間第1係合部と前記中間第2係合部間に配設された第3導電部を有し、
前記第1係合部が中間第1係合部に係合し、前記第2係合部が中間第2係合部に係合すると、
前記第3導電部は、前記第1導電部と前記第2導電部を接続する。
【0013】
本発明の一実施形態に係るマニピュレータシステムでは、
前記中間部材は、少なくとも2つの前記中間第1係合部と前記中間第2係合部間に配設された2つの第3導電部間に抵抗を挿入し、
前記第2導電部の前記通電検知部側の一方は電圧を印加し、他方はA/Dコンバーターの正端子と負端子に接続され、前記正端子と前記負端子の間に検知抵抗Raを挿入する。
【0014】
本発明の一実施形態に係るマニピュレータシステムでは、
前記係合検知部は、
前記第2係合部内に配設された移動部材と、
前記第2駆動力伝達部材に対して前記移動部材を支持する弾性部材と、
前記移動部材に配設された第1導電部と、
前記第2係合部に配設された第2導電部と、
前記第1導電部と前記第2導電部の通電を検知する通電検知部と、
を有する。
【0015】
さらに、本発明の一実施形態に係る医療システムは、
マスターアームを有し、操作指令を発するためのマスタ入力部と、
スレーブアーム及び前記マニピュレータシステムを有するスレーブマニピュレータと、
を備え、
前記マスターアームの操作に追従させるようにして前記スレーブアームを遠隔制御する
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
この態様に係るマニピュレータシステムによれば、処置具と駆動部を的確に係合することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は、本実施形態のマニピュレータシステムを示す。
【0020】
本実施形態のマニピュレータシステム1は、駆動力を発生する複数の駆動部材21を有する駆動部2と、駆動部2によって駆動される処置具3と、駆動部2と処置具3を着脱する着脱機構4と、駆動部2を制御する制御部7と、を備える。
【0021】
駆動部2は、本体5に保持される駆動部材21と、駆動部材21の駆動力を出力する出力軸22と、を有する。本実施形態の駆動部2は、4つの駆動部材21及び出力軸22を有するが、少なくとも2つずつあればよい。それぞれの駆動部材21は、制御部7に別々に制御される。
【0022】
処置具3はケース6に保持される。処置具3は、先端で作動する把持部31と、屈曲可能な複数の関節32と、を有する。把持部31及び複数の関節32は、それぞれ異なる駆動部材21によってワイヤ等を介して駆動される。
【0023】
着脱機構4は、処置具3に取り付けられ、複数の駆動部材21からそれぞれ駆動力が伝達される複数の第1駆動力伝達部材41と、駆動部材21の出力軸22に取り付けられ、複数の第1駆動力伝達部材41にそれぞれ駆動力を伝達する複数の第2駆動力伝達部材42と、複数の第1駆動力伝達部材41にそれぞれ形成された第1係合部41aと複数の第2駆動力伝達部材42にそれぞれ形成された第2係合部42aのそれぞれの着脱を別々に検知する係合検知部43と、を有する。
【0024】
図2は、本実施形態のマニピュレータシステムの第1係合部を示す。
図3は、本実施形態のマニピュレータシステムの第2係合部を示す。
【0025】
本実施形態では、第1係合部41aが凸状、第2係合部42aが凹状に形成され、第1係合部41aが第2係合部42aに嵌る構造となっている。なお、第1係合部41aが凹状、第2係合部42aが凸状でもよい。また、第1係合部41aと第2係合部42aは、係合時に共に回転する構造であれば、他の構造でもよい。
【0026】
係合検知部43は、第1駆動力伝達部材41に配設された第1導電部44と、第2駆動力伝達部材42に配設された第2導電部45と、第1導電部44と第2導電部45の通電を検知する通電検知部46と、を有する。第1導電部44と第2導電部45は、第1係合部41aと第2係合部42aが係合されることに伴って接続される。通電検知部46は、第1導電部44と第2導電部45が接続された結果、通電されたことを検知する。通電検知部46は、複数の第1導電部44と第2導電部45毎に、それぞれの接続を別々に検知することが可能である。なお、本実施形態の係合検知部43は、通電によって第1係合部41aと第2係合部42aの係合を検知したが、例えば接触を検知するセンサや歪みセンサ等でもよい。
【0027】
制御部7は、複数の駆動部材21をそれぞれ制御する。制御部7は、係合検知部43が第1係合部41aと第2係合部42aの係合を検知した場合、複数の第2駆動力伝達部材42のうち検知された第2係合部42aが形成された第2駆動力伝達部材42を駆動する駆動部材21の駆動を停止させる。そして最終的に全ての第1係合部41aと第2係合部42aの係合を検知し、全ての駆動部材21の駆動を停止させる。本実施形態のマニピュレータシステム1は、この状態を初期状態とし、処置を始めることが好ましい。
【0028】
なお、第1係合部41aと第2係合部42aを係合させるための最初の駆動部材21の駆動は、スイッチボタン等によって始めてもよい。また、本体5にケース6が装着されたことを装着検知部8が検知した後に駆動部2を駆動してもよい。
【0029】
ここで、本実施形態のマニピュレータシステム1の制御部7が行う初期制御フローについて説明する。ただし、ここでは1つの駆動部材21の制御について説明するが、実際には、複数の駆動部材21の全てについて制御する。
【0030】
図4は、本実施形態のマニピュレータシステムの制御フローチャートを示す。
【0031】
まず、ステップ1で、処置具3を保持するケース6が駆動部2を保持する本体5に装着されたか否かを装着検知部8が検知する(ST1)。ステップ1において、装着されていない場合、ステップ1に戻る。ステップ1において、装着されている場合、ステップ2で、駆動部2の駆動部材21を駆動する(ST2)。駆動部材21は、所定角度回転するまで駆動する。例えば、
図2に示した第1係合部41aと第2係合部42aは、第1駆動力伝達部材41と第2駆動力伝達部材42の表面の中心を通る直線上にそれぞれ2つずつ形成されているので、所定角度は、大きくても±90°回転すれば係合することになる。
【0032】
次に、ステップ3で、第1係合部41aと第2係合部42aが係合されたか否かを検知する(ST3)。すなわち、通電検知部46が、第1導電部44と第2導電部45が接続された結果、通電されたか否かを検知する。
【0033】
ステップ3において、通電検知部46が、所定角度回転させても通電を検知できない場合、処置具3の離脱か、何らかの故障があると判定し、制御を終了する。ステップ3において、通電検知部46が、通電を検知した場合、駆動部材21を停止する。そして、最終的に全ての駆動部材21を停止させる。
【0034】
次に、本実施形態のマニピュレータシステム1の着脱機構4の各実施例について説明する。ここでは、容易に理解できるようにするため、1組の第1駆動力伝達部材41と第2駆動力伝達部材42のみについて説明する。
【0035】
図5は、本実施形態の第1実施例のマニピュレータシステムの離脱状態を示す。
図6は、本実施形態の第1実施例のマニピュレータシステムの係合状態を示す。
【0036】
第1実施例のマニピュレータシステム1では、凸状の第1係合部41aが第1駆動力伝達部材41の表面の中心を通る直線上に中心を挟んで2つ形成される。また、凹状の第2係合部42aが第2駆動力伝達部材42の表面の中心を通る直線上に中心を挟んで2つ形成されている。
【0037】
そして、第1駆動力伝達部材41の2つの凸状の第1係合部41aの頂面41bに、両端部が露出するように第1導電部44が形成される。また、第2駆動力伝達部材42の2つの凹状の第2係合部42aの底面42bに一方の端部が露出し、他方の端部が通電検知部46に接続される第2導電部45が形成される。通電検知部46は、第1導電部44と第2導電部45が接続されることで閉回路が形成されることを検知する。
【0038】
次に、第1実施例のマニピュレータシステム1の作動について説明する。
【0039】
図5に示す第1実施例のマニピュレータシステム1の第1駆動力伝達部材41の2つの凸状の第1係合部41aと第2駆動力伝達部材42の2つの凹状の第2係合部42aは、初めから係合する位置にあるとは限らない。そこで、マニピュレータシステム1は、まず、第1駆動力伝達部材41を第2駆動力伝達部材42に押しつけながら、駆動部2の駆動部材21を駆動し、第2駆動力伝達部材42を回転させる。すると、第2駆動力伝達部材42の回転の途中で第1係合部41aと第2係合部42aが係合する。
【0040】
そして、第1駆動力伝達部材41の2つの凸状の第1係合部41aと第2駆動力伝達部材42の2つの凹状の第2係合部42aが係合すると、第1導電部44と第2導電部45が接続され、第1導電部44、第2導電部45、及び通電検知部46で閉回路が形成される。通電検知部46が、通電を検知すると、制御部7は、駆動部材21を停止する。したがって、マニピュレータシステム1は、
図6に示すように、駆動部2と処置具3が係合し、且つ、駆動部材21が停止された初期状態となる。
【0041】
このように、第1実施例のマニピュレータシステム1によれば、処置具を体内に挿入した後で、処置具と駆動部の係合を行う場合であっても、係合後に処置具の関節が動かないため、周囲への影響を減らし、処置具と駆動部を的確に係合することが可能となる。
【0042】
図7は、本実施形態の第2実施例のマニピュレータシステムの離脱状態を示す。
図8は、本実施形態の第2実施例のマニピュレータシステムの係合状態を示す。
【0043】
第2実施例のマニピュレータシステム1では、凸状の第1係合部41aが第1駆動力伝達部材41の表面の中心を通る直線上に中心を挟んで2つ形成される。また、凹状の第2係合部42aが第2駆動力伝達部材42の表面の中心を通る直線上に中心を挟んで2つ形成されている。また、凹状の第2係合部42a内に配設される移動部材47と、一端を移動部材47に取り付けられ他端を第2係合部42aの底面42bに取り付けられる弾性部材48と、を備える。なお、第2実施例の場合、第1係合部41a及び第2係合部42aは、対応する1組あればよい。
【0044】
そして、1つの移動部材47の弾性部材48側の第1面47aに、両端部が露出するように第1導電部44が形成される。また、第1導電部44が形成された移動部材47を内側に含む第2駆動力伝達部材42の1つの凹状の第2係合部42aの底面42bに、2つの一方の端部が露出し、2つの他方の端部が通電検知部46に接続される第2導電部45が形成される。通電検知部46は、第1導電部44と第2導電部45が接続されることで閉回路が形成されることを検知する。
【0045】
次に、第2実施例のマニピュレータシステム1の作動について説明する。
【0046】
図7に示すように、第2実施例のマニピュレータシステム1の第1駆動力伝達部材41の2つの凸状の第1係合部41aと第2駆動力伝達部材42の2つの凹状の第2係合部42aは、初めから係合する位置にあるとは限らない。そこで、マニピュレータシステム1は、まず、第1駆動力伝達部材41を第2駆動力伝達部材42に押しつけながら、駆動部2の駆動部材21を駆動し、第2駆動力伝達部材42を回転させる。すると、第2駆動力伝達部材42の回転の途中で第1係合部41aと第2係合部42aが係合する。
【0047】
第1係合部41aと第2係合部42aが係合すると、凸状の第1係合部41aの頂面41bが移動部材47の第2面47bを弾性部材48の付勢力に反して押圧する。そして、第1導電部44と第2導電部45が接続され、第1導電部44、第2導電部45、及び通電検知部46で閉回路が形成される。通電検知部46が、通電を検知すると、制御部7は、駆動部材21を停止する。したがって、マニピュレータシステム1は、
図8に示すように、駆動部2と処置具3が係合し、且つ、駆動部材21が停止された初期状態となる。
【0048】
このように、第2実施例のマニピュレータシステム1によれば、処置具3側の第1駆動力伝達部材41に導電部を設ける必要がないので、処置具3の汎用性が高くなると共に、ディスポーザルな処置具3を低コスト化することが可能となる。
【0049】
図9は、本実施形態の第3実施例のマニピュレータシステムの係合状態を示す。
図10は、本実施形態の第3実施例のマニピュレータシステムの中間部材の一例を示す。
【0050】
第3実施例のマニピュレータシステム1では、凸状の第1係合部41aが第1駆動力伝達部材41の表面の中心を通る直線上に中心を挟んで2つ形成される。また、凸状の第2係合部42aが第2駆動力伝達部材42の表面の中心を通る直線上に中心を挟んで2つ形成されている。また、第3実施例のマニピュレータシステム1は、凸状の第1係合部41aに係合する凹状の中間第1係合部91aと凸状の第2係合部42aに係合する凹状の中間第2係合部92aを有し、第1駆動力伝達部材41と第2駆動力伝達部材42の間に設置される
図10に示すような中間部材9を備える。中間部材9は、外側部材9aに対して内側部材9bが回転可能に支持されている。
【0051】
そして、第1駆動力伝達部材41の2つの凸状の第1係合部41aの頂面41bに、両端部が露出するように第1導電部44が形成される。また、第2駆動力伝達部材42の2つの凹状の第2係合部42aの底面42bに一方の端部が露出し、他方の端部が通電検知部46に接続される第2導電部45が形成される。2つの他方の端部は、電圧がかかる通電検知部46の正端子と負端子にそれぞれ取り付けられる。また、2つの向かい合う中間第1係合部91aの底面91bと中間第2係合部92aの底面92bに、それぞれ両端部が露出するように2つの中間導電部93が形成される。
【0052】
次に、第3実施例のマニピュレータシステム1の作動について説明する。
【0053】
図9に示すように、第3実施例のマニピュレータシステム1では、中間部材9を予め第1駆動力伝達部材41又は第2駆動力伝達部材42のいずれか1つに係合させておくことが好ましい。
【0054】
例えば、中間部材9を予め第1駆動力伝達部材41に係合させておいた場合、中間部材9の2つの凹状の中間第2係合部92aと第2駆動力伝達部材42の2つの凸状の第2係合部42aは、初めから中間部材9の係合する位置にあるとは限らない。そこで、マニピュレータシステム1は、まず、第1駆動力伝達部材41と中間部材9を第2駆動力伝達部材42に押しつけながら、駆動部2の駆動部材21を駆動し、第2駆動力伝達部材42を回転させる。すると、第2駆動力伝達部材42の回転の途中で中間第2係合部92aと第2係合部42aが係合する。
【0055】
また、例えば、中間部材9を予め第2駆動力伝達部材42に係合させておいた場合、中間部材9の2つの凹状の中間第2係合部92aと第1駆動力伝達部材41の2つの凸状の第1係合部41aは、初めから中間部材9の係合する位置にあるとは限らない。そこで、マニピュレータシステム1は、まず、第1駆動力伝達部材41を中間部材9に押しつけながら、駆動部2の駆動部材21を駆動し、第2駆動力伝達部材42を回転させる。すると、第2駆動力伝達部材42の回転の途中で第1駆動力伝達部材41と中間第1係合部91aが係合する。
【0056】
第1係合部41aと中間第1係合部91a、及び、第2係合部42aと中間第2係合部92aが係合すると、第1導電部44、第2導電部45、及び中間導電部93が接続され、第1導電部44、第2導電部45、、中間導電部93、及び通電検知部46で閉回路が形成される。通電検知部46が、通電を検知すると、制御部7は、駆動部材21を停止する。したがって、マニピュレータシステム1は、
図9に示すように、駆動部2と処置具3が係合し、且つ、駆動部材21が停止された初期状態となる。
【0057】
このように、第3実施例のマニピュレータシステム1によれば、着脱部の清潔域と不潔域を分離する目的で使用する中間部材9を設ける構造にも対応することが可能となる。
【0058】
図11は、本実施形態の第3実施例のマニピュレータシステムの中間部材の他の例を示す。
【0059】
図11に示す例の中間部材9は、第1実施例及び第2実施例に用いた凸状の第1係合部41aを有する第1駆動力伝達部材41と凹状の第2係合部42aを有する第2駆動力伝達部材42の場合に用いる。
【0060】
すなわち、中間部材9は、凸状の第1係合部41aに係合する凹状の中間第1係合部91aと凹状の第2係合部42aに係合する凸状の中間第2係合部92aを有し、第1駆動力伝達部材41と第2駆動力伝達部材42の間に設置される。なお、その他の構造については、
図10に示した例と同様なので、説明は省略する。
【0061】
図12は、本実施形態の第4実施例のマニピュレータシステムの係合状態を示す。
【0062】
第4実施例のマニピュレータシステム1は、
図9に示した第3実施例の中間部材9に設置された2つの中間導電部93を、第1抵抗R1を介して接続すると共に、第2導電部45の2つの他方の端部のうちの1つに電圧を印加し、その他を通電検知部46のA/Dコンバーターの正端子A/D+及び検知抵抗Raを介して負端子A/D−に接続する。なお、その他の構造については、
図9に示した第3実施例と同様なので、説明は省略する。
【0063】
このような構造によって、通電検知部46は、以下の表1に示すように、駆動部2に接続されている状態に応じて、測定される電圧が異なる。例えば、駆動部2に中間部材9が接続されない場合、電圧は0となり、駆動部2に中間部材9のみが接続される場合、電圧は(V×Ra)/(R1+Ra)となり、駆動部2に中間部材9と処置具3が接続される場合、電圧はVとなる。
【表1】
【0064】
したがって、通電検知部46の電圧を測定することにより、処置具3及び中間部材9が駆動部2に接続されている状態を認識することが可能となる。
【0065】
図13は、本実施形態の第5実施例のマニピュレータシステムの係合状態を示す。
【0066】
第5実施例のマニピュレータシステム1は、第4実施例のような処置具3及び中間部材9が駆動部2に接続されている状態を認識する技術を、2組の第1駆動力伝達部材41、第2駆動力伝達部材42、及び中間部材9を有する着脱部4に用いるものである。第5実施例のマニピュレータシステム1は、2つの中間部材9に設置されたそれぞれ2つの中間導電部93を、第1抵抗R1及び第2抵抗R2を介してそれぞれ接続すると共に、2つの第1駆動力伝達部材41に設置されたそれぞれの第1導電部44に第3抵抗R3及び第4抵抗R4を挿入し、第2導電部45の2つの他方の端部のうちの1つに電圧を印加し、その他を通電検知部46のA/Dコンバーターの正端子A/D+及び検知抵抗Raを介して負端子A/D−に接続する。なお、その他の構造については、
図9に示した第3実施例と同様なので、説明は省略する。
【0067】
このような構造によって、通電検知部46は、以下の表2に示すように、駆動部2に接続されている状態に応じて、測定される電圧が異なる。例えば、第1組の駆動部材21に第1組の中間部材のみが接続されている場合、電圧は(V×Ra)/(R1+Ra)となる。駆動部2に第1組と第2組の中間部材9と処置具3が全て接続される場合、電圧は(V×Ra)/((R6×R7)/(R6+R7)+Ra)となる。ただし、R6=(R1×R3)/(R1+R3)及びR7=(R2×R4)/(R2+R4)である。
【表2】
【0068】
したがって、通電検知部46の電圧を測定することにより、処置具3が中間部材に、中間部材9が駆動部2に係合されている状態を、個別に検知することが可能となる。また、各々の係合部にA/Dコンバーターを使用することにより、A/Dコンバーターの数を減らすことが可能となる。
【0069】
図14は、本実施形態の第6実施例のマニピュレータシステムの係合状態を示す。
【0070】
第6実施例のマニピュレータシステム1は、
図6に示した第1実施例の処置具3に設けられる第1駆動力伝達部材41に設置された第1導電部44にヒューズ抵抗器Fを挿入する。そして、予め定めた所定の処置具3の使用回数に到達したことを検知して、ヒューズ抵抗器Fにかかる電圧を上げ、ヒューズ抵抗器Fを溶断させる。処置具3の使用回数は、処置具3に取り付けたコードデータ等を読み取る検知装置を用いることでカウントすることができる。なお、その他の構造については、
図6に示した第1実施例と同様なので、説明は省略する。
【0071】
このようにヒューズ抵抗器Fを用いることで、処置具3の使用回数を制限することが可能となる。
【0072】
次に、本実施形態のマニピュレータを用いた医療システム100について説明する。
【0073】
図15は、本実施形態のマニピュレータを用いた医療システム100を示す。
【0074】
本実施形態の医療システム100は、マスタスレーブ方式が好ましい。医療システム100は、マスターアーム111を有し、操作指令を発するためのマスタ入力部110と、スレーブアーム121を有するスレーブマニピュレータ120とを備え、術者(操作者)Opによるマスターアーム111の操作に追従させるようにしてスレーブアーム121を遠隔制御するものである。マスターアーム111を介した操作指令は、システム制御部130のマスタ制御部131に送信され、必要に応じて適宜変換処理が施された後、マニピュレータ制御部132に入力される。その後、マニピュレータ制御部132からスレーブマニピュレータ120へ動作信号が送られ、スレーブアーム121が動作する。
【0075】
図15に示すように、スレーブマニピュレータ120は、患者Pが載置される手術台101に設置されている。スレーブアーム121は複数の多自由度関節を有して構成されており、多軸動作可能である。各多自由度関節は、図示しない動力部によって個別に駆動される。動力部としては、例えばインクリメンタルエンコーダや減速器等を備えたサーボ機構を有するモータ(サーボモータ)等を用いることができる。
【0076】
スレーブアーム121の先端部には、患者Pの体内に挿入されて手技を行うマニピュレータ1及び内視鏡122が取り付けられる。処置具3と内視鏡122は、オーバーチューブ123に挿入され挿入部125を構成する。オーバーチューブ123の先端は、患者Pの体内に挿入される。処置具3は、手技によって使い分けるため、先端側の処置部の構造や形状が異なる複数種類が用意されており、これをスレーブアーム121の先端部に交換しながら装着して各種手技を行う。内視鏡122は、患者Pの体内で処置具3によって手技が行われる手技対象部位を含む術野の映像を取得する。
【0077】
マスタ入力部110は、術者Opが操作する複数のマスターアーム111と、内視鏡122により取得された映像が表示される表示部112とを備えている。各マスターアーム111は、多軸動作可能な公知の構成を有し、術者Opに近い先端側に、術者が把持して操作指令を発する操作部としての把持部113を備えている。
【0078】
図16は、本実施形態の挿入部125の構成を示す模式図である。
【0079】
本実施形態の挿入部125は、可撓性を有する長尺のオーバーチューブ123と、オーバーチューブ123の処置具挿入孔123aに挿入される処置具3及び内視鏡挿入孔123bに挿入される内視鏡122を有する。なお、処置具3は、本実施形態のマニピュレータシステム1に適用可能な構造である。
【0080】
本実施形態の処置具3は、第1処置具3aと第2処置具3bを有し、エンドエフェクタとして、第1処置具3aは把持部31を有し、第2処置具3bは電動メス32を有する。処置具3の先端側は、オーバーチューブ123から突出可能であって、それぞれ複数の節輪を軸線方向に並べて配置された湾曲部で構成される。最も先端側の節輪には、湾曲部を駆動するための操作ワイヤの両端部が固定されており、操作ワイヤを駆動することで湾曲部を湾曲させることができる。また、軸方向に回転させることも可能である。
【0081】
内視鏡122の先端もオーバーチューブ123から突出可能であって、可撓性を有するチューブ状の部材を操作ワイヤで駆動することで湾曲及び軸方向に回転させることができる。同様に、オーバーチューブ123自体も湾曲及び軸方向に回転可能であることが好ましい。
【0082】
以上、本実施形態のマニピュレータシステム1は、駆動力を発生する複数の駆動部材21を有する駆動部2と、駆動部2によって駆動される処置具3と、駆動部2と処置具3を着脱する着脱機構4と、駆動部2を制御する制御部7と、を備え、着脱機構4は、処置具3に取り付けられ、複数の駆動部材2からそれぞれ駆動力が伝達される複数の第1駆動力伝達部材41と、駆動部材21に取り付けられ、複数の第1駆動力伝達部材41にそれぞれ駆動力を伝達する複数の第2駆動力伝達部材42と、複数の第1駆動力伝達部材41にそれぞれ形成された第1係合部41aと複数の第2駆動力伝達部材42にそれぞれ形成された第2係合部42aのそれぞれの着脱を別々に検知する係合検知部43と、を有し、制御部7は、係合検知部43が第1係合部41aと第2係合部42aの係合を検知した場合、複数の第2駆動力伝達部材42のうち検知された第2係合部42aが形成された第2駆動力伝達部材42を駆動する駆動部材21の駆動を停止させるので、処置具を体内に挿入した後で、処置具と駆動部の係合を行う場合であっても、処置具の関節が動かず、周囲への影響を減らし、処置具と駆動部を的確に係合することが可能となる。
【0083】
本実施形態のマニピュレータシステム1では、駆動部2を保持する本体5と、処置具3を保持するケース6と、本体5にケース6の装着を検知する装着検知部8と、を備え、制御部7は、装着検知部8が本体5へのケース6の装着を検知した場合に、駆動部2を作動するので、第1係合部41aが第2動力伝達部材42に押圧しながら、第2動力伝達部材42を回転させることが可能となる。
【0084】
本実施形態のマニピュレータシステム1では、着脱機構4は、第1係合部41aに係合する中間第1係合部91aと、第2係合部42aに係合する中間第2係合部92aと、を有し、第1駆動力伝達部材41と第2駆動力伝達部材42の間に着脱可能に配設される中間部材を有するので、中間部材9を有していても、係合検知が可能となる。
【0085】
本実施形態のマニピュレータシステム1では、係合検知部43は、第1係合部41aに配設された第1導電部44と、第2係合部42aに配設された第2導電部45と、第1導電部44と第2導電部45の通電を検知する通電検知部46と、を有するので、的確に係合を検知することが可能となる。
【0086】
本実施形態のマニピュレータシステム1では、第1導電部44にヒューズを挿入するので、処置具3の使用回数を制限することが可能となる。
【0087】
本実施形態のマニピュレータシステム1では、中間部材9は、中間第1係合部91aと中間第2係合部92a間に配設された第3導電部93を有し、第1係合部41aが中間第1係合部91aに係合し、第2係合部42bが中間第2係合部92aに係合すると、第3導電部93は、第1導電部44と第2導電部45を接続するので、設計の自由度を向上させると共に、的確に係合を検知することが可能となる。
【0088】
本実施形態のマニピュレータシステム1では、中間部材9は、少なくとも2つの中間第1係合部91aと中間第2係合部92a間に配設された2つの第3導電部93間に抵抗を挿入し、第2導電部45の通電検知部46側の一方は電圧を印加し、他方はA/Dコンバーターの正端子と負端子に接続され、前記正端子と前記負端子の間に検知抵抗Raを挿入するので、中間部材9と、処置具3を区別して係合を検知することが可能となる。
【0089】
本実施形態のマニピュレータシステム1では、係合検知部43は、第2係合部42a内に配設された移動部材47と、第2駆動力伝達部材42に対して移動部材47を支持する弾性部材48と、移動部材47に配設された第1導電部44と、第2係合部42aに配設された第2導電部45と、第1導電部44と第2導電部45の通電を検知する通電検知部46と、を有するので、処置具3側の第1駆動力伝達部材41に導電部を設ける必要がなくなり、処置具3の汎用性が高くなると共に、ディスポーザルな処置具3を低コスト化することが可能となる。
【0090】
さらに、本発明の一実施形態に係る医療システム100は、マスターアーム111を有し、操作指令を発するためのマスタ入力部110と、スレーブアーム121及びマニピュレータシステム1を有するスレーブマニピュレータ120と、を備え、マスターアーム111の操作に追従させるようにしてスレーブアーム121を遠隔制御するので、処置具を体内に挿入した後で、処置具と駆動部の係合を行う場合であっても、周囲への影響を減らし、処置具と駆動部を的確に係合することが可能となる。
【0091】
なお、この実施形態によって本発明は限定されるものではない。すなわち、実施形態の説明に当たって、例示のために特定の詳細な内容が多く含まれるが、当業者であれば、これらの詳細な内容に色々なバリエーションや変更を加えても、本発明の範囲を超えないことは理解できよう。従って、本発明の例示的な実施形態は、権利請求された発明に対して、一般性を失わせることなく、また、何ら限定をすることもなく、述べられたものである。
処置具を体内に挿入した後で、処置具と駆動部の係合を行う場合であっても、周囲への影響を減らし、処置具と駆動部を的確に係合することが可能なマニピュレータシステムを提供する。
マニピュレータシステム1は、処置具3に取り付けられ、複数の駆動部材21からそれぞれ駆動力が伝達される第1駆動力伝達部材41にそれぞれ形成された第1係合部41aと、駆動部材21に取り付けられ、複数の第1駆動力伝達部材41にそれぞれ駆動力を伝達する複数の第2駆動力伝達部材42にそれぞれ形成された第2係合部42aと、のそれぞれの着脱を係合検知部が別々に検知し、第1係合部41aと第2係合部42aの係合を検知した場合、複数の第2駆動力伝達部材42のうち検知された第2係合部42aが形成された第2駆動力伝達部材42を駆動する駆動力を発生する駆動部材21の駆動を停止させることを特徴とする。