(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0018】
(実施例1)
図1ないし
図8は本発明に係る毛髪整形具をまつ毛整形具に適用した実施例を示す。なお、この実施例における前後、左右、上下とは、
図2および
図3に示す交差矢印と、各矢印の近傍に表記した前後、左右、上下の表示に従う。
図2においてまつ毛整形具は、グリップを兼ねる中空筒状のプラスチック製の本体ケース1と、本体ケース1の上端に設けられる整形ヘッド2を備えている。本体ケース1の下端にはキャップ3がねじ込み装着してあり、キャップ3を本体ケース1から取り外した状態において、電池4をケース内部に出し入れできる。本体ケース1の前面には、電池4と後述するヒーター8との間の通電状態をオン・オフするスイッチノブ5が設けてある。
【0019】
整形ヘッド2は、左右に分割した状態で形成されるプラスチック製のヘッドベース6と同じくプラスチック製の櫛枠7とで逆L字状に構成してあり、ヘッドベース6と同ベース6に外嵌装着される櫛枠7との間にヒーター8が逆L字状に挟み保持してある。
図3に示すように整形ヘッド2は断面がD字状に形成してあり、その右周側に側部側整形部11を設け、上端に端部側整形部12を設けている。整形ヘッド2の軸線と側部側整形部11の軸線は一致する方向である。
【0020】
両整形部11・12のうち、側部側整形部11は、主にまつ毛列の湾曲中央部分に沿って生えている長いまつ毛をカールするために設けてある。また、端部側整形部12は、主に目頭側や目尻側に生えている短いまつ毛、あるいは下まつ毛をカールするために設ける。ヒーター8は中途で曲げられた折り曲げ部を有しており、側部側整形部11に沿う方向の形態と交差する方向の形態を含んでいる。交差する方向のヒーター8が、端部側整形部12に沿って設けられている。つまり、ヒーター8は、側部側整形部11に臨み、かつ側部側整形部11の軸線に沿って配置される第1ヒーター8Aと、端部側整形部12に臨み、かつ端部側整形部12の軸線に沿って配置される第2ヒーター8Bとからなる。前後一対ずつ配置される両ヒーター8A・8Bは、端部側整形部12でU字状に折り返えされる折り返し部を有している。ヒーター8は、前後2つの折り曲げ部と1つの折り返し部を含む1本のヒーター線で構成してある。
【0021】
ヒーター8は、図面上では、丸棒状のヒーター線となっているが、実際は、図面上と同じ経路を辿る丸棒状の1本の銅線と、銅線全体を被覆する1つのプラスチック製の絶縁被覆筒体と、絶縁被覆筒体の表面にスパイラル状に巻き付けて成る1本のニクロム線材とから構成される。もちろんヒーター8は、図面どおりの丸棒状のヒーター線であってもよい。
【0022】
側部側整形部11には、主に長いまつ毛をカールするための側部カール面13と、カール時に主に長いまつ毛を梳くための側部コーム14が設けてある。また、側部側整形部11と対向する整形ヘッド2の左周側には、整形ヘッド2の左右中央へ向かって凹む段落ち面15を設けて、この段落ち面15に、長いまつ毛に付着したマスカラのダマを梳き取る側部マスカラコーム16が設けてある(
図6参照)。
図4に示すように、ヘッドベース6は、縦長の縦櫛ベース17と、縦櫛ベース17の上端から左向きに突設される横櫛ベース18とで逆L字状に構成してある。縦櫛ベース17の左側面が先の段落ち面15になっており、その前後幅方向の中央部分に側部マスカラコーム16を構成する櫛歯19が上下方向へ直線列状に形成してある(
図2参照)。なお、段落ち面15や側部マスカラコーム16は、側部側整形部11と対向する周面に限らず、側部側整形部11と直交する周面(前側周面、後側周面)に設けることもできる。従って、請求項における「整形ヘッド2の周面他側」とは、側部側整形部11と対向する周面に限らず、側部側整形部11と直交する周面(前側周面、後側周面)を含むものである。
【0023】
横櫛ベース18の上面側に設けられる端部側整形部12には、主に短いまつ毛をカールするための端部カール面21と、カール時に主に短いまつ毛を梳くための端部コーム22が設けてある。また、横櫛ベース18の左側の平坦な周側面18aの上縁から上方へ向かって、主に短いまつ毛に付着したマスカラのダマを梳き取る端部マスカラコーム23が設けてある。
図4に示すように櫛枠7は、縦櫛枠26と、縦櫛枠26の上端から左向きに突設される横櫛枠27と、縦櫛枠26に設けた側部コーム14と、横櫛枠27に設けた端部コーム22を一体に備えている。縦櫛枠26と横櫛枠27の前後中央に設けた装填溝28に先のヒーター8が装填してある。縦櫛枠26の外側面が先の側部カール面13になっており、横櫛枠27の上端面が先の端部カール面21になっている。
【0024】
側部コーム14は、上下多段状に配置されて縦櫛枠26の前後壁を橋絡する部分円弧状の櫛歯30で構成してあり、各櫛歯30の内面には、縦櫛枠26の前後壁と協同してヒーター8を受止める受壁31が突設してある(
図3参照)。同様に、端部コーム22は横櫛枠27の前後壁を橋絡する2個の部分円弧状の櫛歯32で構成してあり、各櫛歯32の内面には、横櫛枠27の前後壁と協同してヒーター8を受止める受壁33が突設してある(
図6参照)。櫛枠7は、ヘッドベース6に接着固定してある。端部コーム22の端部カール面21からの突出寸法H4は、側部コーム14の側部カール面13からの突出寸法H2に比べて小さく設定してある。
【0025】
図6に示すように、端部マスカラコーム23は、横櫛ベース18の周側面18aに沿って上向きに突設した5個の櫛歯34で構成してある。このように、端部マスカラコーム23の櫛歯34の配列方向と、端部コーム22の櫛歯32の配列方向とを異ならせることにより、端部マスカラコーム23の梳き流し方向と、端部コーム22の梳き流し方向とを互いに直交させることができる。また、端部マスカラコーム23の櫛歯列は、端部コーム22と平行に設けてあるので、端部マスカラコーム23が端部コーム22を兼ねて、これら両者22・23が共同してまつ毛を梳き流すことができる。
【0026】
端部マスカラコーム23の基端部分、より詳しくは端部側整形部12の側部側整形部11とは反対側の周側面18aには温度表示体38が設けてある。温度表示体38は可逆性の感温変色体(サーモラベル)からなり、設定温度(例えば50℃)に達すると、それまで紫色だったラベルの色がピンク色に変化して、側部側整形部11(第1ヒーター8A)および端部側整形部12(第2ヒーター8B)が使用に適した温度状態になっていることを表示する。
【0027】
従来は、ヒーターの熱は空気層を介してサーモラベルに供給される構造であるため、感温変色体(サーモラベル)を変色させるのに時間を要することになり、ヒーター表出面がカール可能な温度であるにもかかわらず変色が間に合わなかった。変色が遅れるとその分だけヒーターの駆動時間が長くなることから電力が無駄にロスする結果となる。電池式ヒータ駆動の場合は電池寿命が短くなり使用回数が減少することになる。
【0028】
そこで本発明においては、整形ヘッド2に、ヒーター8を有する整形部11・12と、ヒーター8の温度上昇により変色する温度表示体38とを設け、ヒーター8と温度表示体38を熱伝導体51を介して当接させる。これにより、温度表示体38の変色状態を見て、ヒーター8を含む整形部11・12が適温状態になっているか否かを確認できるとともに、整形部11・12が適温状態となる時間に対して、温度表示体38が大きく遅れて変色するのを防止できる。
【0029】
具体的には、
図1に示すように、温度表示体38および熱伝導体51がシート状に形成されており、熱伝導体51の一方の面(表面)の平面部に温度表示体38が直接当接しており、熱伝導体51の他方の面(裏面)の平面部にヒーター8の折り返し部が直接当接していることにより、シート状の熱伝導体51の裏面にヒーター8が直接当接することになり、熱伝導体51の外郭線内から全体に速やかに伝導熱が広がって、それに直接当接している表面の温度表示体38にも熱が伝わり、温度表示体38を速やかに変色できる。
【0030】
伝導体51は、銅、アルミニウムなどの金属製のシートであり、外形(外郭線)が四角形状となっている(
図6の点線参照)。熱伝導体51は、金属製に限らず、高熱伝導性プラスチックであってもよい。温度表示体38は、外形(外郭線)が円形状となっており、熱伝導体51の外形(外郭線)内に位置している(
図6の点線参照)。温度表示体38は、ポリエチレンテレフタレートなどのプラスチック製シートからなるベース層と、ベース層の表面に温度変化によって色が変わる変色塗料を印刷して形成した変色層と、変色層の表面にポリエステルなどのプラスチック製フィルムを被覆して形成した保護層と、ベース層の裏面に接着剤を塗布して形成した接着層とから構成されている。この接着層により、ベース層、すなわち温度表示体38を熱伝導体51に密着状態で貼着できる。
【0031】
図4および
図6に示すように、ヒーター8のU字状に折り返えされる折り返し部、すなわち交差する方向のヒーター8(第2ヒーター8B)における周面他側に近い端部を熱伝導体51の裏面の突端寄り位置(一点鎖線で示される部分)に点接触状態或いは線接触状態で部分当接させている。さらに、その部分当接部53は、熱伝導体51の表面に当接している温度表示体38の外形(外郭線)内となるように設定されている。これにより、温度表示体38の変色時間がより一層短くなる。図示していないが、ヒーター8の折り返し部、すなわち交差する方向のヒーター8(第2ヒーター8B)における周面他側に近い端部と熱伝導体51の裏面が当接する部分当接部53には、ポレエステル樹脂、エポキシ樹脂等の熱伝導性に優れる充填剤が充填されており、ヒーター8から熱伝導体51への熱伝導を促進している。つまり、ヒーター8と熱伝導体51との点接触状態或いは線接触状態による熱伝導に加えて、直接接触していないヒーター8からの熱も充填剤を介して熱伝導体51に熱伝導できるので、熱伝導効率を向上して速やかに温度表示体51を変色できる。また、充填剤の存在により、ヒーター8と熱伝導体51との接触状態を固定化できるため、例え整形ヘッド2に衝撃が加わったとしても、両者が非接触状態となる可能性は少ない。
【0032】
また、温度表示体38は、その表面の周囲が整形ヘッド2の周囲壁の一部、具体的には横櫛ベース18の周側面18aの一部で覆われている。
図6に示すように温度表示体38の表面は楕円状の窓部を通して視認するため楕円形状となっている。つまり、
図6における楕円形状の実線内で温度表示体38が露出しておりここが視認部分となる。温度表示体38の、先の部分当接部53に対応する表面には、整形ヘッド2の周囲壁の一部、具体的には横櫛ベース18の周側面18aの一部で覆われた目隠し部52が形成されている。これにより、部分当接の位置、すなわち熱源位置の温度表示体38の表面を覆い隠すことができるので、その部分で外気の影響を受けにくく温度上昇が早くなり、温度表示体38が速やかに変色する。
【0033】
図6に示すように、シート状の熱伝導体51の外形(外郭線)内にシート状の温度表示体38が密着状態で当接している。これにより、温度表示体38の全体を速やかに変色できる。例えば、温度表示体38が熱伝導体51の外形(外郭線)より大きければ、そのはみ出した部分は遅れて変色することになり、変色状態にバラツキが生じる。「熱伝導体の外形(外郭線)内にシート状の温度表示体が密着状態で当接している」とは、熱伝導体の外形(外郭線)と温度表示体の外形(外郭線)とが同一寸法、同一形状で重なり合い、密着状態で当接しているものを含む。
【0034】
図1および
図4に示すように、整形ヘッド2の周面一側に、側部側整形部11が設けられており、整形ヘッド2の周面他側に、温度表示体38が設けられている。ヒーター8は、側部側整形部11に沿って設けられているが、中途部で折り曲げられることで、側部側整形部11に沿う方向の形態と交差する方向の形態を含んでいる。温度表示体38を熱伝導体51の一方の面に直接当接させるとともに、交差する方向の形態におけるヒーター8の周面他側に近い一部を熱伝導体51の他方の面に直接当接させている。これにより、温度表示体38を、周面他側から見て奥まった位置に設けなくて済むため、温度表示体38の視認性が悪化するのを防止できる。
【0035】
また、整形ヘッド2の突端に端部側整形部12が設けられており、交差する方向のヒーター8が、端部側整形部12に沿って設けられている。これにより、整形ヘッド2の端部側においても加熱しながらの整形を行うことができる。
【0036】
側部マスカラコーム16は、まつ毛を梳き流す前段作業時と、マスカラ液をまつ毛に塗布したのちに使用するが、同コーム16の使い勝手を向上するために、段落ち面15の下部と本体ケース1との間に逃げ面39が形成してある。逃げ面39は、本体ケース1の周面から段落ち面15へ向かって下り傾斜する凹面状の湾曲面からなり、その半分が本体ケース1の側に、残る半分がヘッドベース6の側に形成してある。
【0037】
図4に側部側整形部11と端部側整形部12との関係寸法を示しており、さらに
図5および
図6に各カールコーム14・22および櫛歯30・32の寸法の対比と、各マスカラコーム16・23および櫛歯19・34の寸法の対比を示している。
図4に示すように側部側整形部11の櫛歯列の長さL1は、端部側整形部12の櫛歯列の長さL2よりはるかに大きい(L1>>L2)。側部側整形部11の前後幅B1は、端部側整形部12の前後幅B2と等しい(B1=B2)。このように、端部側整形部12の面積およびサイズは、側部側整形部11の面積およびサイズより十分に小さく設定してある。
【0038】
図6に示すように、側部マスカラコーム16の櫛歯列の上下長さL3は、端部マスカラコーム23の櫛歯列の前後長さL4よりはるかに大きい(L3>>L4)。さらに、
図5に示すように、側部マスカラコーム16の櫛歯19の突出寸法H1は、側部コーム14の櫛歯30の突出寸法H2より大きく設定してあり(H1>H2)、端部マスカラコーム23の櫛歯34の突出寸法H3より大きく設定してある(H1>H3)。このように、側部マスカラコーム16の櫛歯19の突出寸法H1を、側部コーム14の櫛歯30の突出寸法H2より大きくする場合、突出寸法H1は突出寸法H2の1.5倍以上、3倍未満が好ましい。より好ましくは、突出寸法H1≒突出寸法H2×2であるが、この実施例では側部マスカラコーム16の櫛歯19の突出寸法H1を、側部コーム14の櫛歯30の突出寸法H2の2倍強の値に設定した。
【0039】
また、端部マスカラコーム23の端部カール面21からの突出寸法H3(
図5参照)は、端部コーム22の端部カール面21からの突出寸法H4より大きく設定してある(H3>H4)。このように、端部マスカラコーム23に隣接して端部コーム22を設けると、端部コーム22の円弧周面が肌面に接当して、端部マスカラコーム23の先端が肌面に突き刺さろうとするのを端部コーム22で規制できる。つまり、端部コーム22は、端部マスカラコーム23が肌面に突き刺さるのを規制する防護体として機能できる。また、端部コーム22と端部マスカラコーム23を隣接配置するので、各コーム22・23の向きを変更するだけでカール処理とダマ処理を行なえ、端部側整形部12によるまつ毛の整形を迅速かつ容易に行なって、まつげ整形具の使い勝手を向上できる。
【0040】
図5および
図6において、端部マスカラコーム23を構成する櫛歯34の歯幅W1および隣接ピッチP1は、端部コーム22を構成する櫛歯32の歯幅W2および隣接ピッチP2より小さく設定してある(W1<W2)、(P1<P2)。また、側部コーム14を構成する櫛歯30の歯幅W3および隣接ピッチP3は、端部コーム22を構成する櫛歯32の歯幅W2および隣接ピッチP2と同じである(W3=W2)、(P3=P2)。さらに、側部マスカラコーム16を構成する櫛歯19の歯幅W4および隣接ピッチP4は、側部コーム14を構成する櫛歯30の歯幅W3および隣接ピッチP3より小さく設定してある(W4<W3)、(P4<P3)。因みに、側部マスカラコーム16の櫛歯19の歯幅W4および隣接ピッチP4は、端部マスカラコーム23の櫛歯34の歯幅W1および隣接ピッチP1にほぼ等しい。
【0041】
側部マスカラコーム16の段落ち面15からの突出寸法H1は、段落ち面15の上部に連続する周側面18aの段落ち面15からの突出寸法H5より大きく設定してある(H1>H5)。このように、側部マスカラコーム16の近傍に、端部側整形部12の周側面18aが設けてあると、周側面18aと端部マスカラコーム23とが肌面に接当して、側部マスカラコーム16の先端が肌面に突き刺さろうとするのを規制できる。つまり、周側面18aおよび端部マスカラコーム23は、側部マスカラコーム16が肌面に突き刺さるのを規制する防護体として機能できる。なお、側部マスカラコーム16の段落ち面15からの突出寸法H1は、周側面18aの段落ち面15からの突出寸法H5より大きいが、2倍を上まわらない寸法に設定してある。つまりH1<H5×2となっている。
【0042】
上記構成のまつ毛整形具は、まつ毛を梳き流す前段作業と、まつ毛をカールする作業と、マスカラ液のダマを除去する作業とに使用することができる。まつ毛を梳き流す前段作業においては、側部マスカラコーム16および端部マスカラコーム23を使用して、絡み合ったまつ毛を梳き流し、まつ毛全体の形を整える。
【0043】
まつ毛をカールする場合には、片手で本体ケース1を握り、スイッチノブ5をオン状態にして第1・第2の両ヒーター8A・8Bを加熱する。次ぎに、側部側整形部11が上向きになる状態でまつ毛整形具を概ね水平に保持し、まつ毛の湾曲中央部分を櫛歯30でまつ毛を梳き分けながら側部カール面13をあてがう。この状態で
図7(a)に示すようにまつ毛をヒーター8で加熱しながら上向きにすくいあげ、さらに、側部カール面13を眉毛の側へ向かって回転させて上向きにカールする。この状態を保持してカール部分を加熱しながら、整形ヘッド2をさらに上向きに押し上げることにより、まつ毛の毛先まで確実にカールできる。このように、まつ毛をカールさせるときは、まつ毛を側部コーム14の櫛歯30で捕捉して、まつ毛が側部カール面13に沿って横移動するのを規制できるので、隣接する櫛歯30の間に捕捉されたまつ毛の一群を適正にカールできる。
【0044】
目頭および目尻部分は、
図7(b)に示すように端部カール面21が上向きになる状態でまつ毛整形具を斜めに保持し、目頭および目尻部分に位置するまつ毛の基端寄りに端部カール面21をあてがう。さらに、まつ毛をヒーター8で加熱しながら斜め上向きにすくいあげ、この状態を保持してカール部分を加熱する。このとき、端部カール面21の左右長さは、側部カール面13の上下長さに比べて十分に小さいので、短くしかも毛密度が小さなまつ毛を幅狭の端部カール面21で的確に捕捉して適確にカールできる。このとき、端部コーム22の櫛歯32は、まつ毛が端部カール面21に沿って横移動するのを規制できる。片方の目のまつ毛のカールが終了したら、本体ケース1を逆の手に持ち変えて左右逆向きにした状態で、他方の目のまつ毛をカールする。
【0045】
下まつ毛をカールする場合には、端部カール面21が下向きになる状態でまつ毛整形具を斜めに保持する。次にまつ毛の基端寄りに端部カール面21をあてがって、まつ毛をヒーター8で加熱しながら下向きにすくい下ろし、この状態を保持してカール部分を加熱する。この場合にも、上まつ毛に比べて短くしかも毛密度が小さな下まつ毛を、幅狭の端部カール面21で的確に捕捉して適確にカールできる。
【0046】
マスカラ液のダマを除去する場合には、
図8(a)に示すように、マスカラ液が塗布されたまつ毛の湾曲中央部分を側部マスカラコーム16で数回梳き流して、マスカラ液のダマを除去し、まつ毛のカール形状を整える。さらに、
図8(b)に示すように、目頭および目尻の短いまつ毛部分を端部マスカラコーム23で複数回梳き流してマスカラ液のダマを除去し、まつ毛のカール形状を整える。同様にして、下まつ毛に付着したマスカラ液のダマを、端部マスカラコーム23で梳き流して除去し、まつ毛のカール形状を整えることができる。
【0047】
以上のように、側部マスカラコーム16および端部マスカラコーム23を備えたまつ毛整形具によれば、まつ毛を化粧する過程で、まつ毛の前段梳き流し作業を側部マスカラコーム16または端部マスカラコーム23で行ったのち、まつ毛をヒーター8で加熱しながら側部カール面13または端部カール面21でカールすることができる。また、カールしたまつ毛にマスカラ液を塗布したのち、まつ毛に付着したダマを側部マスカラコーム16または端部マスカラコーム23で梳き取って、まつ毛を仕上げることができるので、まつ毛整形具とは別に専用のマスカラコームを用意する必要がない。
【0048】
上記まつ毛整形具の構成は以下の態様で実施できる。
グリップを兼ねる本体ケース1の一端に整形ヘッド2を有し、整形ヘッド2にまつ毛を加熱するヒーター8が配置してある加熱型のまつ毛整形具であって、整形ヘッド2の突端に端部側整形部12を設け、端部側整形部12の突端に端部カール面21と、まつ毛を梳き流す端部コーム22を設ける。さらに、端部側整形部12に、まつ毛に付着したマスカラを梳き取る端部マスカラコーム23を設けることを特徴とする。
上記構成により、整形ヘッド2を縦長に保持した状態で、まつ毛を端部側整形部12でカールできる。したがって、本体ケース1を握っている手が鏡越しに見る視線の邪魔になるのを防止して、カール作業を確実に、しかも容易に行なうことができる。また、まつ毛の前段梳き流し作業、およびまつ毛に付着したダマを梳き取ってまつ毛を仕上げる場合にも、端部マスカラコーム23を縦長に保持した状態で作業を行なえるので、上記のカール作業と同様に、本体ケース1を握っている手が鏡越しに見る視線の邪魔になるのを防止できる。したがって、まつ毛の前段梳き流し作業からダマの除去に至る一連の作業を確実に、しかも容易に行なうことができる。カールしたまつ毛にマスカラ液を塗布したのち、まつ毛に付着したダマを端部マスカラコーム23で梳き取って、まつ毛を仕上げることができるので、まつ毛整形具とは別に、専用のマスカラコームを用意する必要がない。さらに、毛密度が小さくて整形しにくい目頭や目尻部分の短いまつ毛を、端部側整形部12に設けた端部カール面21および端部マスカラコーム23で的確にしかも綿密にくせ付けできるので、マスカラ液の塗布を除く一連の作業を、まつ毛整形具のみで簡便に行なえる。加えて、まつ毛の化粧をより短い時間で行える。また、側部側整形部11に比べて全体のサイズが小さな端部側整形部12は、個々のまつ毛ごとにカール処理を行ない、あるいは個々のまつ毛に付着したマスカラを梳き取ることが可能であるので、カール処理やダマ処理などをきめ細やかに、しかも適確に行なうことができる。
【0049】
図4に示すように、端部マスカラコーム23の櫛歯34の配列方向と、端部コーム22の櫛歯32の配列方向とを異ならせて、端部マスカラコーム23の梳き流し方向を、端部コーム22の梳き流し方向と直交する向きに設定する。
上記構成により、両コーム22・23を明確に区別できるので、両コーム22・23が間違った使用法で使用されるのを防止できる。また、整形ヘッド2の突端の端部側整形部12に、端部コーム22と端部マスカラコーム23を集約配置するので、端部側整形部12をコンパクトにまとめることができ、構造が複雑化することも解消できる。
【0050】
端部マスカラコーム23の櫛歯列を、端部コーム22の櫛歯32と平行に設けて、端部マスカラコーム23が端部コーム22を兼ねるようにする。
上記構成により、まつ毛を端部カール面21でカールする際に、端部コーム22と端部マスカラコーム23とが協同してまつ毛を梳き流すことができる。つまり、端部マスカラコーム23を利用してまつ毛をカールする方向に梳き流すことができるので、その分だけ端部コーム22の櫛歯32の数を減らすことができ、端部側整形部12の構造をさらにコンパクト化できる。このように、コンパクト化された端部側整形部12は、目頭側や目尻側におけるまつ毛の前段梳き流し作業と、カール作業と、ダマの除去とをさらに適確に行なうことができ、したがって、まつ毛の化粧をより短い時間で行える。さらに、一連の作業において、まつ毛を視認するとき端部側整形部12が邪魔になるのをよく防止できる。
【0051】
端部マスカラコーム23は、端部カール面21の端部に配置する。
上記構成により、例えば、端部マスカラコーム23によるダマの除去を、端部コーム22に邪魔されることもなく適確に行え、まつ毛整形具の使い勝手を向上できる。まつ毛から梳き取ったダマが、端部カール面21やヒーター8に付着するのを防止できるうえ、端部マスカラコーム23に付着したダマの除去を簡便に行える。
【0052】
図5に示すように、端部マスカラコーム23の端部カール面21からの突出寸法H3を、端部コーム22の端部カール面21からの突出寸法H4と同じか、これより大きく設定する。
上記構成により、端部マスカラコーム23によるダマの除去を適確に行える。とくに、端部マスカラコーム23が、端部コーム22より大きく突出してある場合には、毛密度が小さく短い目頭や目尻部分のまつ毛、あるいは下まつ毛を、端部マスカラコーム23で1本ずつ確実に梳き流して、その形を整えることができる。
【0053】
端部コーム22を構成する櫛歯32の歯幅W2を、端部マスカラコーム23の櫛歯34の歯幅W1に比べて大きく設定して、端部コーム22が、端部マスカラコーム23の突き刺さりを規制する防護体を兼ねるようにする。
上記構成により、端部マスカラコーム23が肌面に突き刺さろうとするとき、端部コーム22で肌面を受止めることができる。したがって、端部マスカラコーム23が、端部コーム22より突出させてある場合であっても、端部マスカラコーム23が肌面に突き刺さるのを防いで、まつ毛整形具の安全性を確保し、ユーザーが傷付くのを防止できる。
【0054】
端部マスカラコーム23を構成する櫛歯34の歯幅W1および隣接ピッチP1を、端部コーム22を構成する櫛歯32の歯幅W2および隣接ピッチP2より小さく設定する。
上記構成により、毛密度が大きい部分のまつ毛を端部マスカラコーム23で一本ずつ適確に梳き流すことができる。したがって、毛密度が大きなまつ毛を、ユーザーの意図どおりに整えることができ、まつ毛に付着しているダマを確実に梳き取って、その仕上がり状態を向上できる。
【0055】
図6に示すように、端部側整形部12の周側面18aで、端部マスカラコーム23の基端部分に温度表示体38を設ける。
上記構成により、端部マスカラコーム23でまつ毛の前段梳き流し作業を行うとき、温度表示体38をユーザーの顔面に正対させることができる。したがって、ユーザーは前段梳き流し作業を行いながら、温度表示体38の呈色状態を見て、端部カール面21が適温になっているか否かを確認できる。また、端部カール面21が加熱された状態であることを温度表示体38で知ることができるので、ユーザーの注意を喚起して、端部カール面21が不用意に肌面に押し付けられるような事故を未然に防止でき、まつ毛整形具の安全性をさらに向上できる。
【0056】
整形ヘッド2の周面一側に、整形ヘッド2の中央へ向かって凹む段落ち面15を設け、この段落ち面15に、まつ毛に付着したマスカラを梳き流す側部マスカラコーム16を設ける(
図2参照)。
上記構成により、側部マスカラコーム16を整形ヘッド2の上下方向に沿う広範囲にわたって縦長に形成できる。したがって、中央部分を含むまつ毛の大半の部分に付着しているダマを、側部マスカラコーム16で一気に梳き取ることができる。また、段落ち面15に側部マスカラコーム16を設けるので、その櫛歯19が整形ヘッド2の周面から大きく突出するのを防止でき、さらに段落ち面15に連続して設けられる横櫛ベース18で櫛歯19を保護して、落下などによる櫛歯19の破損を防止できる。
【0057】
段落ち面15の下部と本体ケース1との間に、本体ケース1の周面から段落ち面15へ向かって下り傾斜する逃げ面39を形成する(
図2参照)。
上記構成により、側部マスカラコーム16に隣接して逃げ面39に臨む大きな空間を確保できる。したがって、側部マスカラコーム16で前段梳き流し作業を行い、あるいはダマを除去する場合のユーザーの視界を大きくでき、さらに、先の空間を介してまつ毛の状態を明確に視認でき、まつ毛整形具の使い勝手を向上できる。
【0058】
側部マスカラコーム16は、前記段落ち面15の幅方向中央に直線列状に設ける(
図3参照)。
上記構成により、整形ヘッド2の前後周面で側部マスカラコーム16の櫛歯19を保護できる。例えば、まつ毛整形具が床面に落下するような場合に、整形ヘッド2の前後周面が床面に衝突することにより、側部マスカラコーム16が床面に衝突する機会を減少できる。したがって、他のコーム14・22・23に比べて長い側部マスカラコーム16の折損を、よく防止できる。
【0059】
端部側整形部12に、段落ち面15の上部に連続する周側面18aを形成する。側部マスカラコーム16の段落ち面15からの突出寸法H1を、周側面18aの段落ち面15からの突出寸法H5より大きく設定する。これにより、周側面18aが、側部マスカラコーム16の突き刺さりを規制する防護体を兼ねるようにする。
上記構成により、側部マスカラコーム16が肌面に突き刺さろうとするとき、周側面18aで肌面を受止めることができる。したがって、側部マスカラコーム16が周側面18aより突出させてある場合であっても、側部マスカラコーム16が肌面に突き刺さるのを周側面18aで防いで、まつ毛整形具の安全性を確保し、ユーザーが傷付くのを防止できる。
【0060】
側部マスカラコーム16の櫛歯列の長さL3を、端部マスカラコーム23の櫛歯列の長さL4より大きく設定する。
上記構成により、各マスカラコーム16・23の用途を一見するだけで判別できる。したがって、両マスカラコーム16・23を適宜使い分けることにより、長いまつ毛と短いまつ毛とを効果的に梳き流し、あるいは、長いまつ毛と短いまつ毛に付着したダマを効果的に梳き取ることができる。
【0061】
側部マスカラコーム16の櫛歯19の突出寸法H1を、端部マスカラコーム23の櫛歯34の突出寸法H3より大きく設定する(
図5参照)。
上記構成により、各マスカラコーム16・23の用途をさらに確実に判別できる。また、長い櫛歯19で長いまつ毛を毛先まで梳き流すことができ、短い櫛歯34で短いまつ毛を適確に捕捉して梳き流すことができる。
【0062】
端部側整形部12の周側面18aを平坦に形成する。周側面18aに連続して端部マスカラコーム23を上向きに突設する。これにより、周側面18aと端部マスカラコーム23とが、側部マスカラコーム16の突き刺さりを規制する防護体を兼ねるようにする。
上記構成により、側部マスカラコーム16が肌面に突き刺さろうとするとき、周側面18aと端部マスカラコーム23とが協同して肌面を受止めることができる。したがって、側部マスカラコーム16が周側面18aより突出させてある場合であっても、側部マスカラコーム16が肌面に突き刺さるのを周側面18aと端部マスカラコーム23とで防いで、まつ毛整形具の安全性を確保し、ユーザーが傷付くのを防止できる。
【0063】
整形ヘッド2の周面一側に側部マスカラコーム16を設け、周面他側に側部側整形部11を設ける。
上記構成により、整形ヘッド2の上下方向に沿う広範囲にわたって側部側整形部11を縦長に形成できる。したがって、長いまつ毛の殆どを側部側整形部11で一挙にカールでき、まつ毛の化粧をより短い時間で簡便に行える。
【0064】
側部マスカラコーム16の櫛歯19の突出寸法H1を、側部側整形部11に設けた側部コーム14の櫛歯30の突出寸法H2より大きく設定する。
上記構成により、側部マスカラコーム16によるまつ毛の前段梳き流し作業と、まつ毛に付着しているダマの除去とを一気に行うことができる。さらに、側部側整形部11でまつ毛をカールするときに、側部コーム14がまぶたに接触するのを解消でき、全体としてまつ毛整形具の使い勝手を向上できる。
【0065】
側部マスカラコーム16の櫛歯19の突出寸法H1を、側部コーム14の櫛歯30の突出寸法H2の2倍を越える値に設定する。
上記構成により、長いまつ毛の前段梳き流し作業と、まつ毛に付着しているダマの除去とをさらに適確に行うことができる。
【0066】
さらに、上記のまつ毛整形具は、以下の態様で実施することができる。
グリップを兼ねる本体ケース1の一端に整形ヘッド2を有し、
整形ヘッド2の対向周面の一側に側部側整形部11と、まつ毛を加熱するヒーター8が配置され、対向周面の他側にまつ毛に付着したマスカラを梳き取る側部マスカラコーム16が設けてあるまつ毛整形具。
上記のまつ毛整形具によれば、整形ヘッド2の周面一側に設けた側部側整形部11で、主にまつ毛列の湾曲中央部分に沿って生えている長くて密度の高いまつ毛をカールでき、周面他側に設けた側部マスカラコーム16でマスカラ液のダマを梳き取ることができる。詳しくは、マスカラ液を介してくっ付きあったまつ毛を側部マスカラコーム16で梳き流して単毛状に分化し、同時にダマを梳き取ってまつ毛をより自然な感じに仕上げることができる。
【0067】
さらに、上記のまつ毛整形具(毛髪整形具)は、以下の態様で実施することができる。
整形ヘッド2に、ヒーター8を有する整形部11・12と、ヒーター8の温度上昇により変色する温度表示体38とが設けられており、
温度表示体38および熱伝導体51がシート状に形成されており、
熱伝導体51の一方の面(表面)に温度表示体38が当接しており、熱伝導体51の他方の面(裏面)の外形(外郭線)寄りの位置にヒーター8の一部が部分当接しており、
温度表示体38の外形(外郭線)は、熱伝導体51の外形(外郭線)内に位置しており、
温度表示体38の、部分当接した位置に対応する表面が、整形ヘッド2の周囲壁の一部で覆われているまつ毛整形具(毛髪整形具)。
これにより、温度表示体38の変色状態を見て、ヒーター8を含む整形部11・12が適温状態になっているか否かを確認できるとともに、整形部11・12が適温状態となる時間と温度表示体38の変色時間とに大きな時間差が生じるのを防止できる。また、シート状の熱伝導体51の裏面にヒーター8が直接当接することになり、熱伝導体51の外郭線内から全体に速やかに伝導熱が広がって、それに当接している表面の温度表示体38にも熱が伝わり、温度表示体38を速やかに変色できる。また、部分当接の位置、すなわち熱源位置の温度表示体38の表面を覆い隠すことができるので、その部分で外気の影響を受けにくく温度上昇が早くなり、温度表示体38が速やかに変色する。
【0068】
その部分当接している位置は、熱伝導体51の表面に当接している温度表示体38の外形(外郭線)内となるように設定されているまつ毛整形具(毛髪整形具)。
これにより、温度表示体38の変色時間がより一層短くなる。
【0069】
温度表示体38がシート状に形成されており、
熱伝導体51がシート状に形成されており、
熱伝導体51の一方の面に温度表示体38が当接しており、
熱伝導体51の他方の面にヒーター8が当接しており、
熱伝導体51とヒーター8の当接部分に充填剤が充填されていることを特徴とするまつ毛整形具(毛髪整形具)。
これにより、ヒーター8と熱伝導体51との点接触状態或いは線接触状態による熱伝導に加えて、直接接触していないヒーター8からの熱も充填剤を介して熱伝導体51に熱伝導できるので、熱伝導効率を向上して速やかに温度表示体51を変色できる。
また、充填剤の存在により、ヒーター8と熱伝導体51との接触状態を固定化できるため、例え整形ヘッド2に衝撃が加わったとしても、両者が非接触状態となる可能性は少ない。
【0070】
(実施例2)
図9は、まつ毛整形具の別の実施例を示す。そこでは、横櫛ベース18の周側面18aの前後中央に端部マスカラコーム23を設けた。この場合の端部マスカラコーム23の櫛歯34は、上向きに突出する状態で左右方向に3個設けた。この場合にも、端部マスカラコーム23の櫛歯34と端部コーム22の櫛歯32との関係寸法は、先の実施例と同様に(W1<W2)、(P1<P2)を満足できるようにした。他は先に説明した実施例1と同じであるので、同じ部材に同じ符号を付して、その説明を省略する。
【0071】
(実施例3)
図10は、まつ毛整形具のさらに別の実施例を示す。そこでは、横櫛ベース18の周側面18aの上縁に沿って、端部マスカラコーム23を横向きに突出する状態で設けた。この場合の端部マスカラコーム23の櫛歯34は、横向きに突出する状態で前後方向に5個設けた。このように、端部マスカラコーム23は、端部コーム22の配列構造の違いに応じて、周側面18aの任意位置に形成することができる。他は先に説明した実施例1と同じであるので、同じ部材に同じ符号を付して、その説明を省略する。
【0072】
(実施例4)
図11は、まつ毛整形具のさらに別の実施例を示す。本実施例では、ヘッドベース6から突出する側部マスカラコーム16に特徴を有している。側部マスカラコーム16は、実施例1と同様、整形ヘッド2の周面一側に設けられる側部側整形部11に対向する周面他側に設けられる。詳しくは、側部マスカラコーム16は、整形ヘッド2を中央へ向かって凹ませて形成した段落ち面15に上下方向に直線列状となるように設けられている(
図6参照)。その突出方向は、整形ヘッド2の軸方向に直交する方向(左方向)に突出している。
図11に示すように、側部マスカラコーム16の複数の櫛歯19は、上部側の櫛歯19を基準高さの櫛歯19とした場合、下部側の櫛歯19aが、上部側にある櫛歯19よりも突出寸法が大きくなっている。櫛歯19aのうち、一番高い櫛歯の寸法をH6で表している。これにより、まつ毛の部分的な梳き流し作業、或いは部分的なダマの除去作業を容易に行うことができる。
【0073】
また、
図11に示すように、下部側の櫛歯19aは下方に向けて緩やかに突出寸法が大きくなっている(一点鎖線参照)。これにより、下部側の櫛歯19aと上部側の櫛歯19との間において内凹み形態となるため、湾曲するまつ毛に当てやすくなる。また、下部側の櫛歯19aよりもさらに下部に、上部側の櫛歯19よりも突出寸法が小さい櫛歯19bが設けられている。これにより側部マスカラコーム16の櫛歯19の数をさらに増やすことができ、より効果的に梳き流し作業やダマ取り作業を行うことができる。また、櫛歯19の数が増加した分、破損の可能性が高まるものであるが、櫛歯19bの突出寸法が小さいため、破損の可能性を減少させることができる。
【0074】
図11に示すように、下部側の櫛歯19a及び櫛歯19bの突端を繋ぐ仮想線(一点鎖線)が外に向けて湾曲する凸形状となっている。これにより、意匠的に優れる側部マスカラコーム16を提供できる。
【0075】
本実施例では、
図11に示すように、下部側の櫛歯19aの基端部を補強するため、櫛歯19a・19a間の段落ち面15(ヘッドベース6)のプラスチックを肉増しして形成している。この肉増部を符号15aで示している。肉増部15aは、上部側の櫛歯19・19間の段落ち面15(ヘッドベース6)の厚みを基準して、櫛歯19aに向かって徐々に厚みを増すように形成されている。つまり、整形ヘッド2の全体の径も太くなっている。
図11では厚みを増した分を解り易くドット表現しているが、実際は、段落ち面15(ヘッドベース6)と肉増部15aと各櫛歯19、19a、19bは一体成形されたものである。また、肉増部15aの定義としては、段落ち面15が、ヘッド部2の基軸に対して、櫛歯19aに向かって徐々に上り傾斜していれば、とくに肉増しする必要はなく、段落ち面15の厚みが上部側の櫛歯19から下部側の櫛歯19aにかけて同じ厚みのものも含むものとする。さらに、下部側の櫛歯19a・19a間を接続するリブであっても肉増部15aに含むものとする。このように、下部側の櫛歯19aが突出する段落ち面15に肉増部15aが形成されていることにより、実質的に下部側の櫛歯19aは上部側の櫛歯19よりも高さが高いにもかかわらず、基端部側の肉増しによって、強度が保たれて破損し難くなっている。
【0076】
実施例4では、本発明に係る他の実施例を含むので以下に説明する。
本実施例では、実施例1のように熱伝導体51の一方の面(表面)に温度表示体38は密着状態で当接しているが、熱伝導体51の他方の面(裏面)にヒーター8は当接しておらず、ヒーター8はシート状の熱伝導体51に一体で形成された熱伝導脚54を介して熱伝導体51に当接している。熱伝導脚51は熱伝導体51と一体で設けられるものに限らず、別体で構成されたものであってもよい。その場合も熱伝導脚51は銅、アルミニウムなどの金属を用いる。或いは高熱伝導性プラスチックであってもよい。このような構成も、ヒーター8と温度表示体38の両者を熱伝導体51を介して当接させることになる。他は先に説明した実施例1と同じであるので、同じ部材に同じ符号を付して、その説明を省略する。以下の実施例も同様とする。
【0077】
上記実施例4の毛髪整形具(まつ毛整形具)は、以下の態様で実施することができる。
本体ケース1に整形ヘッド2を有する加熱式の毛髪整形具(まつ毛整形具)であって、
整形ヘッド2に、ヒーター8を有する整形部11・12と、ヒーター8の温度上昇により変色する温度表示体38とが設けられており、
温度表示体38がシート状に形成されており、
熱伝導体51がシート状に形成されており、
熱伝導体51の一方の面に温度表示体38が当接しており、
熱伝導体51の他方の面に、熱伝導体51とヒーター8間に設けられた金属製の熱伝導脚54を介して当接していることを特徴とする毛髪整形具(まつ毛整形具)。
これにより温度表示体38の変色状態を見て、ヒーター8を含む整形部11・12が適温状態になっているか否かを確認できるとともに、整形部11・12が適温状態となる時間と温度表示体38の変色時間とに大きな時間差が生じるのを防止できる。
また、熱伝導体51がシート状に形成されており、熱伝導体51の一方の面に温度表示体38が当接しており、熱伝導体51の他方の面に金属製の熱伝導脚54を介して当接していることにより、ヒーター8を曲げなくても、ヒーター8と熱伝導体51とを熱伝導可能に当接できる。したがってヒーター8の全長を短くできるため省電力化が可能となる。
【0078】
(実施例5)
図12は本発明に係る他の実施例を示す。本実施例では、実施例1のようにヒーター8は熱伝導体51を介して温度表示体38に当接しているのではなく、ヒーター8は直接、温度表示体38に当接する構成である。また、横櫛ベース18には、傾斜部56を形成しており、ヒーター8からの輻射熱が直接、温度表示体38に放射されるようになっている。
【0079】
(実施例6)
図13は本発明に係る他の実施例を示す。本実施例では、整形ヘッド2の端部側で折り曲げて形成した第2ヒーター8Bを利用して温度表示体38を変色するのではなく、端部側から離れた往路側のヒーター8を折り曲げて、中途で折り返して形成した第3ヒーター8Cを設け、この第3ヒーター8Cの折り返した端部を熱伝導体51の他方の面(裏面)に当接させている。この場合、ヒーター8は、側部側整形部11に臨み、かつ側部側整形部11の軸線に沿って配置される第1ヒーター8Aと、端部側整形部12に臨み、かつ端部側整形部12の軸線に沿って配置される第2ヒーター8Bと、端部側整形部12から離れた部分の軸線に沿って配置される第3ヒーター8Cとから構成される。ヒーター8(8A・8B・8C)は、4つの折り曲げ部と2つの折り返し部を含んで1本のヒーター線で構成している。このような構成も、ヒーター8は中途で曲げられて、側部側整形部11に沿う方向の形態と交差する方向の形態を含み、温度表示体38を熱伝導体51の一方の面に当接させており、交差する方向の形態における周面他側に近いヒーター8を熱伝導体51の他方の面に当接したことになる。
【0080】
(実施例7)
図14は本発明に係る他の実施例を示す。本実施例では、ヒーター8に関して、折り返し部はあるが中途での折り曲げ部は存在しない。ヒーター8は、側部側整形部11に臨み、かつ側部側整形部11の軸線に沿って配置される第1ヒーター8Aから構成されている。本実施例では、端部側整形部11は存在せず、整形ヘッド2の突端面には、温度表示体38と熱伝導体51が配設されており、熱伝導体51の他方の面(裏面)にヒーター8の折り返し部が当接している。
【0081】
(実施例8)
図15は本発明に係る他の実施例を示す。本実施例では、ヒーター8に関して、折り返し部はあるが中途での折り曲げ部は存在しない。ヒーター8は、側部側整形部11に臨み、かつ側部側整形部11の軸線に沿って配置される第1ヒーター8Aから構成されている。本実施例では、端部側整形部11は存在せず、整形ヘッド2の突端面には、機能部分は存在しない。整形ヘッド2の周面一側に、側部側整形部11が設けられており、整形ヘッド2の周面他側に、温度表示体38が設けられている。本実施例では、実施例1のように熱伝導体51の一方の面(表面)に温度表示体38は密着状態で当接しているが、熱伝導体51の他方の面(裏面)にヒーター8は当接しておらず、ヒーター8はシート状の熱伝導体51に一体で形成された熱伝導脚54を介して熱伝導体51に当接している。熱伝導脚54は熱伝導体51と一体で設けられるものに限らず、別体で構成されたものであってもよい。その場合も熱伝導脚51は銅、アルミニウムなどの金属を用いる。このような構成も、ヒーター8と温度表示体38の両者を熱伝導体51を介して当接させることになる。熱伝導脚54はヒーター8の側部側整形部11の軸線に沿った部分の中途に当接している。実施例8も実施例4と同様な態様で実施することができる。
【0082】
(実施例9)
図16は本発明に係る他の実施例を示す。本実施例では、本発明に係る毛髪整形具をヘアーアイロンに適用したものである。本体ケース1は、上下に対向配置した第1、第2の挟み腕1a・1bを含んで構成されている。両挟み腕1a・1bの一端は揺動軸で連結されており、両挟み腕1a・1bが揺動軸まわりに揺動開閉できるよう構成されている。両挟み腕1a・1bの他端側の対向面(周面一側)にはそれぞれ髪を挟持する髪挟み体55a・55bが設けられている。髪挟み体55a・55bは両挟み腕1a・1bの軸方向に長い箱型であり、互いの対向面がフラット面となるよう構成してあり、その内部に面状発熱体であるPTCヒーター8a・8b(ヒーター8)が絶縁材を介して当接している。髪挟み体55a・55bはアルミニウム製であり、上側の髪挟み体55aには一体で熱伝導脚54が形成されている。第1の挟み腕1aの、髪挟み体55aが配設されている面とは反対側の面(周面他側)にはシート状の温度表示体38が設けられている。温度表示体38は、シート状の熱伝導体51に密着状態で当接している。熱伝導体51は熱伝導脚54と一体で形成されている。つまり、熱伝導体51、熱伝導脚54、髪挟み体55aは一体で形成されている。両挟み腕1a・1bは、ばね材により開き勝手に付勢されており、両挟み腕1a・1bを手で握り込むことによって髪挟み体55a・55b間で髪を挟み込めるようになっている。整形ヘッド2aの髪挟み体55aが配設されている部分が、側部側整形部11aとなっており、整形ヘッド2bの髪挟み体55bが配設されている部分が、側部側整形部11bとなっている。
【0083】
第1の挟み腕1aの側面に配設されたスイッチ5をオン操作することにより、PTCヒーター8a・8bが駆動し、髪挟み体55a・55bが150℃まで加熱される。このとき使用者は、髪挟み体55a・55b、すなわち整形部11が適温状態となっているのを温度表示体38の変色により認識することができる。さらに、髪挟み体55a、熱伝導脚54、熱伝導体51により、速やかに温度表示体38を変色できるので、整形部11が適温状態となる時間と温度表示体38の変色時間とに大きな時間差が生じるのを防止できる。両挟み腕1a・1bを手で握り込むことによって髪挟み体55a・55b間で髪を挟み込めるようになっており、挟み込んだ状態でアイロン本体を移動すれば髪をストレートヘアーに整形できる。また髪挟み体55a・55bの互いの対向面をフラット面とせずに互いの対向面を波形の面とすれば髪をワッフルヘアーに整形できる。本願発明は本実施例の毛髪整形具(ヘアーアイロン)のように、ヒーター8が金属製の熱プレートで覆われている構成であっても適用できる。
【0084】
実施例1〜6においては、第1ヒーター8Aと第2ヒーター8Bが、一本のヒーターを折り曲げ、折り返すことで側部側整形部11および端部側整形部12に配設されており、あたかも2つのヒーターを設けたようになっているが、特にこれに限定されるものではなく、2つの独立したヒーターで構成して、スイッチノブ5を切り換え操作して個別に独立して加熱することができる。実施例1〜8におけるヒーター8は、発熱面が剥き出しになっているが、絶縁処理された金属製あるいはプラスチック製のプレートでヒーター8の外面を覆うことができる。側部コーム14、端部コーム22、側部マスカラコーム16、端部マスカラコーム23は、それぞれ独立した部品として構成して、整形ヘッド2に対して着脱できる構造を採ることができる。上記の実施例では、端部コーム22の櫛歯32を側部カール面13と平行に設けたが、櫛歯32は側部カール面13と直交する状態で設けることができる。整形ヘッド2には、側部側整形部11と端部側整形部12のうち、いずれか一方が設けてあってもよい。本発明は、髪に巻き付けるホットカーラーや棒状のカールアイロンにも適用することができる。