(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記振動時間算出部は、前記生体組織の振動開始前から振動停止後までの間に取得されたエコー信号に基づいて前記振動時間の算出を行なうことを特徴とする請求項1又は2に記載の超音波診断装置。
前記振動時間算出部は、一の走査面における同一音線上の時間的に異なる二つのエコー信号における信号波形の変形量を生体組織の各部について算出し、信号波形の変形が生じてから信号波形の変形が無くなるまでの時間を算出することによって、前記振動時間の算出を行なうことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の超音波診断装置。
前記振動時間算出部は、一の走査面における同一音線上の時間的に異なる二つのエコー信号について相関演算を行なって生体組織の各部における前記信号波形の変形量の算出を行なうことを特徴とする請求項4に記載の超音波診断装置。
前記累積値算出部は、前記生体組織の振動開始前から振動停止後までの間に取得されたエコー信号に基づいて前記累積値の算出を行なうことを特徴とする請求項6に記載の超音波診断装置。
前記累積値算出部は、一の走査面における同一音線上の時間的に異なる二つのエコー信号における信号波形の変形が生じてから信号波形の変形が無くなるまでの変形量の累積値を生体組織の各部について算出することを特徴とする請求項6又は7に記載の超音波診断装置。
前記累積値算出部は、一の走査面における同一音線上の時間的に異なる二つのエコー信号について相関演算を行なって生体組織の各部における前記信号波形の変形量の算出を行なうことを特徴とする請求項8に記載の超音波診断装置。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について図面に基づいて詳細に説明する。
(第一実施形態)
先ず、第一実施形態について
図1〜
図8に基づいて説明する。
図1に示す超音波診断装置1は、超音波プローブ2、送受信部3、Bモード処理部4、振動時間算出部5、表示制御部6、表示部7、操作部8、制御部9及びHDD(Hard Disk Drive)10を備える。
【0012】
前記超音波プローブ2は、アレイ状に配置された複数の超音波振動子(図示省略)を有して構成され、この超音波振動子によって被検体に対して超音波の走査を行なってエコー信号を取得する。前記超音波プローブ2は、本発明における超音波プローブの実施の形態の一例である。
【0013】
前記送受信部3は、前記超音波プローブ2から所定の走査条件で超音波を送信するための電力を、前記制御部9からの制御信号に基づいて前記超音波プローブ2に供給する。また、送受信部3は、前記超音波プローブ2で受信したエコーについて、整相加算処理等の信号処理を行なう。前記送受信部3で信号処理されたエコーデータは、前記Bモード処理部4及び前記振動時間算出部5に出力される。
【0014】
前記Bモード処理部4は、前記送受信部3から出力されたエコーデータ(RFデータ)に対し、対数圧縮処理、包絡線検波処理等のBモード処理を行い、Bモードデータを作成する。Bモードデータは、前記Bモード処理部4から前記表示制御部6へ出力される。
【0015】
前記振動時間算出部5は、前記送受信部3から出力されたエコーデータに基づいて、エコー信号の信号波形の変形量を算出し、振動が与えられた前記生体組織の振動が始まってから停止するまでの振動時間を算出する(振動時間算出機能)。詳細は後述する。前記振動時間算出部5は、本発明における振動時間算出部の実施の形態の一例である。振動時間の長さを示す振動時間情報データは、前記振動時間算出部5から前記表示制御部6へ出力される。前記振動時間情報データは、一画素に対応する音線上のデータである。
【0016】
前記表示制御部6には、前記Bモード処理部4からのBモードデータ及び前記振動時間算出部5からの振動時間情報データが入力される。前記表示制御部6は、
図2に示すようにBモード画像データ作成部61、弾性画像データ作成部62、表示画像制御部63を有している。
【0017】
前記Bモード画像データ作成部61は、音線方向において取得されたデータである前記Bモードデータについてスキャンコンバータ(scan converter)による走査変換を行ない、エコーの信号強度に応じた輝度情報を有するBモード画像データに変換する。また、前記弾性画像データ作成部62は、音線方向において取得されたデータである前記振動時間情報データについてスキャンコンバータによる走査変換を行ない、振動時間の長さに応じた表示形態情報を有する弾性画像データに変換する。本例では、前記表示形態情報は色情報である。
【0018】
ちなみに、前記Bモード画像データにおける輝度情報及び前記弾性画像データにおける色情報は所定の階調(例えば256階調)からなる。
【0019】
前記表示画像制御部63は、
図3に示すように、弾性画像EGとBモード画像BGとが合成された超音波画像Gを前記表示部7に表示させる(表示画像制御機能)。具体的には、前記表示画像制御部63は、前記Bモード画像データ及び前記弾性画像データを加算処理することによって合成し、前記表示部7に表示する超音波画像Gの画像データを作成する。この画像データは、白黒のBモード画像BGとカラーの弾性画像EGとが合成された超音波画像Gとして前記表示部7に表示される。前記弾性画像EGは、前記Bモード画像BGに設定された関心領域R内に、半透明で(背景のBモード画像が透けた状態で)表示される。
【0020】
前記表示画像制御部63は、前記Bモード画像BGのみを前記表示部7に表示させてもよい。
【0021】
前記表示部7は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)やCRT(Cathode Ray Tube)などで構成される。前記表示部7は、本発明における表示部の実施の形態の一例である。前記操作部8は、操作者が指示や情報を入力するためのキーボード及びポインティングデバイス(図示省略)などを含んで構成されている。
【0022】
前記制御部9は、CPU(Central Processing Unit)を有して構成され、前記HDD10に記憶された制御プログラムを読み出し、前記振動時間算出機能、表示画像制御機能などをはじめとする前記超音波診断装置1の各部における機能を実行させる。
【0023】
さて、本例の超音波診断装置1の作用について説明する。操作者は、前記超音波プローブ2によって被検体の生体組織に対して超音波の走査を行ないエコー信号を取得する。前記超音波プローブ2によって取得された超音波のエコー信号に基づいて前記Bモード処理部4が前記Bモードデータを作成する。そして、このBモードデータに基づいて前記Bモード画像データ作成部61がBモード画像データを作成し、Bモード画像BGが前記表示部7に表示される(図示省略)。
【0024】
前記Bモード画像BGが表示されると、操作者はこのBモード画像BG上に前記関心領域R(
図3参照)を設定する。そして、この関心領域Rに前記弾性画像EGが表示された超音波画像Gが表示される。
【0025】
前記弾性画像EGの作成について説明する。前記弾性画像EGを表示させる時には、
図4に示すように、生体組織BTに対して振動を与える。ここで与えられる振動は、生体組織BTの表面を叩くようにして与えられるパルス状の振動である。例えば、指で体表面を一回叩いて生体組織BTに対して振動を与え、超音波の送受信を行なう。あるいは、生体組織BTの表面に対して圧縮空気を放出して振動を与えてもよい。
【0026】
図4において、符号L1,L2,L3,L4,L5は音線を示している。ここでは説明の便宜上5本の音線しか示されていないが、実際の音線の数はこれより多くてもよい。
【0027】
前記振動時間算出部5は、得られたエコーデータに基づいて、前記生体組織BTの振動が終わるまでの振動時間Tを算出する。この振動時間Tは、前記生体組織BTの振動が始まってから終わるまでの時間である。前記振動時間算出部5は、エコー信号の信号波形の変形量に基づいて振動時間Tを算出する。
【0028】
振動時間Tの算出について説明する。前記振動時間算出部5は、一の走査面における同一音線上の時間的に異なる二つのエコー信号における信号波形の変形量を算出し、信号波形の変形が生じてから信号波形の変形が無くなるまでの時間を、前記振動時間Tとして算出する。前記振動時間算出部5は、音線上の一画素に対応する各部について振動時間Tの算出を行なう。
【0029】
振動時間Tの算出について具体的に説明する。
図5には、
図4に示された音線L2における部分P1からのエコー信号S1が示されている。また、
図6には、
図4に示された音線L4における部分P2からのエコー信号S2が示されている。前記部分P1,P2は、一画素に対応している。
【0030】
前記振動時間算出部5は、前記エコー信号S1の信号波形の変形に基づいて前記部分P1の振動時間T1を算出し、前記エコー信号S2の信号波形の変形に基づいて前記部分P2の振動時間T2を算出する。振動時間T1の算出に用いられるエコー信号S1には、時刻taに取得されたエコー信号S11、時刻tbに取得されたエコー信号S12、時刻tcに取得されたエコー信号S13、時刻tdに取得されたエコー信号S14、時刻teに取得されたエコー信号S(n−1)、時刻tfに取得されたエコー信号Snが含まれる。
【0031】
また、振動時間T2の算出に用いられるエコー信号S2には、時刻tgに取得されたエコー信号S21、時刻thに取得されたエコー信号S22、時刻tiに取得されたエコー信号S23、時刻tjに取得されたエコー信号S(m−1)、時刻tkに取得されたエコー信号Smが含まれる。
【0032】
生体組織が振動している状態では、エコー信号の信号波形が変形する。従って、前記振動時間算出部5は、
図7に示すように、時間的に隣接する二つのエコー信号S,S′における信号波形の変形量Dを演算し、変形が生じ始めてから変形が無くなるまでの時間を振動時間Tとして算出する。ここで、信号波形の変形とは、信号の伸縮を意味している。
【0033】
具体的には、前記振動時間算出部5は、前記エコー信号S11,S12における信号波形の変形量Dab、前記エコー信号S12,13における信号波形の変形量Dbc、前記エコー信号S13,S14における信号波形の変形量Dcd、前記エコー信号S(n−1),Snにおける信号波形の変形量Defの演算を行なって、前記振動時間T1を算出する。また、前記振動時間算出部5は、前記エコー信号S21,S22における信号波形の変形量Dgh、前記エコー信号S22,23における信号波形の変形量Dhi、前記エコー信号S(m−1),Smにおける信号波形の変形量Djkの演算を行なって、前記振動時間T2を算出する。
【0034】
ここで、前記振動時間算出部5は、時間的に隣接する二つのエコー信号S,S′について相関演算を行なうことにより信号波形の変形量Dの演算を行なう。より詳細には、例えば特開2008−126079号公報に記載されているように、前記振動時間算出部5は、二つのエコー信号の複素相関関数の虚数部を演算する。この虚数部は、二つのエコー信号の波形の変形量を意味している。
【0035】
ちなみに、前記エコー信号S1,S2,S,S′は、相関演算において設定される一つの相関ウィンドウ内のエコー信号である。前記振動時間算出部5は、一音線分のエコー信号の所定の部分に相関ウィンドウを適宜設定して相関演算を行なう。また、
図5〜7には、説明の便宜上アナログのエコー信号が図示されているものの、前記振動時間算出部5は、デジタル信号を対象にして相関演算を行なう。
【0036】
図5において、時刻taは振動前であり、時刻tbから振動状態におけるエコー信号が取得されている。従って、前記変形量Dabとして、零ではない何らかの値が得られ、エコー信号の信号波形の変形が算出され始める。
【0037】
また、時刻teにおいては、振動が終了した状態でエコー信号が取得されている。従って、時刻teの前までは時間的に隣接する二つのエコー信号における信号波形の変形量Dとして、零ではない何らかの値が算出される。そして、時刻te以降においては、生体組織が振動していないのでエコー信号S1(n−1),Snの波形は同じ波形であり、前記変形量Defは零になる。従って、前記振動時間算出部5は、時刻tbから時刻teまでの時間を前記振動時間T1とする。
【0038】
また、
図6において、時刻tgは振動前であり、時刻thから振動状態におけるエコー信号が取得されている。従って、前記変形量Dghとして、零ではない何らかの値が得られ、エコー信号の信号波形の変形が算出され始める。
【0039】
また、時刻tjにおいては、振動が終了した状態でエコー信号が取得されている。従って、時刻tjの前までは時間的に隣接する二つのエコー信号における信号波形の変形量Dとして、零ではない何らかの値が算出される。そして、時刻tj以降においては、生体組織が振動していないのでエコー信号S(m−1),Smの波形は同じ波形であり、前記変形量Djkは零になる。従って、前記振動時間算出部5は、時刻thから時刻tjまでの時間を前記振動時間T2とする。
【0040】
上述において、前記部分P1,P2についての振動時間T1,T2の算出について説明したが、前記振動時間算出部5は、少なくとも前記関心領域R内における各音線上の一画素に対応する部分全てについて、上述と同様の手法によって前記振動時間Tの算出を行なう。
【0041】
前記振動時間算出部5により、生体組織の各部における振動時間Tが算出されると、この振動時間Tを示す振動時間情報データは、前記弾性画像データ作成部62へ入力される。前記弾性画像データ作成部62は、振動時間情報データに基づいて振動時間Tの長さに応じた色情報を有する弾性画像データを作成する。そして、前記表示画像制御部63は、前記Bモード画像データ作成部61によって作成されたBモード画像データと前記弾性画像データとを合成し、弾性画像EGとBモード画像BGとからなる超音波画像Gを前記表示部7に表示させる。
【0042】
前記弾性画像EGにおいては、振動時間Tが短いほど硬いことを示す色が表示され、振動時間Tが長いほど軟らかいことを示す色が表示される。ちなみに、前記振動時間T2は前記振動時間T1よりも短いので、前記弾性画像EGにおいて、前記部分P2に対応する部分には、前記部分P1に対応する部分よりも硬いことを示す色が表示される。
【0043】
以上説明した本例の超音波診断装置1によれば、振動時間に応じた色情報からなる弾性画像EGが表示される。ここで、生体組織の表面を叩くようにしてパルス状に振動を与えた方が、生態組織を圧迫するよりも、生体組織の深部にまで力を加えることができる。従って、圧迫による歪み量に応じた色情報からなる弾性画像が表示される従来と比べて、前記弾性画像EGは生体組織の弾性を深部に至るまで正確に反映した画像になる。
【0044】
図8には、生体組織を模して作られたファントムに対して振動を与え振動時間を算出して得られた二次元の超音波画像Gが示されている。Bモード画像BGに設定された関心領域R内にカラーの弾性画像EGが表示されている。この弾性画像EGにおいて、符号Cが付された円形の部分は周囲よりも軟らかい部分である。この部分Cはファントムにおいて球形である。前記弾性画像EGにおいて、部分Cの円形の輪郭が深部まで比較的明確に表れている。前記弾性画像EGは、深部まで周囲の硬い部分との分離能が優れた画像になっている。
【0045】
次に、第一実施形態の変形例について説明する。エコー信号の信号波形の変形量Dを算出するための演算対象は、時間的に隣接する二つのエコー信号でなくてもよい。振動前のエコー信号と他のエコー信号との間で相関演算を行なってもよい。例えば、エコー信号S1の信号波形の変形量の演算として、前記エコー信号S11,S12における信号波形の変形量、前記エコー信号S11,S13における信号波形の変形量、前記エコー信号S11,S14における信号波形の変形量、前記エコー信号S11,S(n−1)における信号波形の変形量を演算する。エコー信号S(n−1)はエコー信号S11の信号波形と変わらないので、前記エコー信号S11,S(n−1)における信号波形の変形量は零になる。従って、信号波形の変形が無くなる時刻が分かるので、振動時間T1の算出が可能である。
【0046】
(第二実施形態)
次に、第二実施形態について説明する。なお、以下の説明では、第一実施形態と異なる事項について説明する。
【0047】
本例の超音波診断装置20は、
図9に示すように、前記振動時間算出部5の代わりに累積値算出部21を備えている。この累積値算出部21は、振動が与えられた生体組織の振動時間T内におけるエコー信号の信号波形の変形量の累積値を算出する(累積値算出機能)。前記累積値算出部21は、本発明における累積値算出部の実施の形態の一例である。
【0048】
具体的には、前記累積値算出部21は、前記振動時間算出部5と同様に、生体組織の各部について、時間的に隣接する二つのエコー信号における信号波形の変形量Dを相関演算によって算出する。そして、前記累積値算出部21は、生体組織BTの振動時間T(振動が始まってから終わるまで)内における前記変計量Dの累積加算値を、生体組織BTの各部について算出する。
【0049】
例えば、前記部分P1については、前記累積値算出部21は、
図10に示すように、エコー信号S11,S12における信号波形の変形量Dab、エコー信号S12,S13における信号波形の変形量Dbc、エコー信号S13,S14における信号波形の変形量Dcd、エコー信号S(n−2),S(n−1)における信号波形の変形量Dleの累積加算値を算出する。
【0050】
ただし、前記累積値算出部21は、累積加算値の算出にあたり、エコー信号S(n−1),Snにおける信号波形の変形量Def(
図10では図示省略)も算出する。前記累積値算出部21は、前記変形量Defが零であるので、累積加算値の算出において、前記変形量Dab,Dbc,Dcd,Dleを用いる。これにより、振動時間T1内における変形量の累積加算値が得られる。
【0051】
また、前記部分P2については、
図11に示すように、前記エコー信号S21,S22における信号波形の変形量Dgh、前記エコー信号S22,23における信号波形の変形量Dhi、前記エコー信号S(m−2),S(m−1)における信号波形の変形量Dojの累積加算値を算出する。
【0052】
ただし、前記累積値算出部21は、累積加算値の算出にあたり、エコー信号S(m−1),Smにおける信号波形の変形量Djk(
図11では図示省略)も算出する。前記累積値算出部21は、前記変形量Djkが零であるので、累積加算値の算出において、前記変形量Dgh,Dhi,Dojを用いる。これにより、振動時間T2内における変形量の累積加算値が得られる。
【0053】
ここで、生体組織が硬ければ硬いほど、変形量は小さく振動時間は短い。一方、生体組織が軟らかければ軟らかいほど、変形量は大きく振動時間は長い。従って、より硬い部分ほど累積加算値は小さくなり、より軟らかい部分ほど累積加算値は大きくなる。例えば、前記部分P2は、変形量が前記部分P1よりも小さく、振動時間も前記部分P1より短いので、累積加算値は前記部分P1よりも小さい。
【0054】
前記累積値算出部21によって算出された累積加算値を示す累積加算値データは、前記表示制御部6へ出力される。この表示制御部6の前記弾性画像データ作成部62は、前記累積加算値データに基づいて、累積加算値に大きさに応じた色情報を有する弾性画像データを作成する。
【0055】
前記弾性画像データに基づいて表示される弾性画像EGにおいては、累積加算値が小さいほど硬いことを示す色が表示され、累積加算値が大きいほど軟らかいことを示す色が表示される。
【0056】
以上説明した本例の超音波診断装置1によれば、振動によって生じるエコー信号の信号波形の変形量の累積加算値に応じた色情報からなる弾性画像EGが表示される。従って、圧迫による歪み量に応じた色情報からなる弾性画像が表示される従来と比べて、生体組織の弾性をより正確に反映した弾性画像EGを表示させることができる。
【0057】
次に、第二実施形態の変形例について説明する。この変形例では、生体組織に対して所定の時間間隔で複数回の振動を与えて超音波の送受信を行ない、前記累積値算出部21は、得られたエコー信号の信号波形の変形量の合計の累積加算値を生体組織の各部について算出してもよい。例えば、操作者が指によって体表面を所定の時間間隔で三回叩いて、
図12に示すように、生体組織に対して三回振動を与えた場合、一回目の振動時間T11におけるエコー信号の信号波形の変形量の累積加算値をX1、二回目の振動時間T12におけるエコー信号の信号波形の変形量の累積加算値をX2、三回目の振動時間T13におけるエコー信号の信号波形の変形量の累積加算値をX3とすると、前記累積値算出部21は、合計の累積加算値Xt=X1+X2+X3を算出する。
【0058】
合計の累積加算値Xtは、生体組織の各部について算出される。そして、合計の累積加算値Xtを示すデータは前記表示制御部6へ出力され、このデータに基づいて前記弾性画像データ作成部62が弾性画像データを作成する。
【0059】
なお、前記累積値算出部21は、合計の累積加算値Xtの代わりに、複数回の振動における平均の累積加算値Xaを算出してもよい。例えば上述のように三回の振動を与えた場合、前記累積値算出部21は、三回の平均の累積加算値Xa=(X1+X2+X3)/3を算出する。
【0060】
以上、本発明を上記各実施形態によって説明したが、本発明はその主旨を変更しない範囲で種々変更実施可能なことはもちろんである。例えば、生体組織に対して振動を与える手法は指で体表面を叩くことや圧縮空気の放出に限られない。指の代わりに棒状物によって体表面を叩いて振動を与えてもよい。また、生体組織を振動させる音圧を有する超音波を生体組織に送信してもよい。この場合、振動用の超音波を送信した後、画像用の超音波を送信する。
【0061】
また、前記振動時間算出部5及び前記累積値算出部21は、前記送受信部3から出力されたエコーデータを直交検波して得られたIQデータに基づいて、エコー信号の信号波形の変形量を算出してもよい。
【0062】
また、第一実施形態においても、第二実施形態の変形例と同様に、生体組織に対して所定の時間間隔で複数回の振動を与えてもよい。この場合、前記振動時間算出部5は、各回の振動における振動時間Tをそれぞれ算出してその平均値Taを算出し、この平均値Taに基づいて弾性画像の作成を行なってもよい。これにより、平均値Taに応じた表示形態を有する弾性画像が表示される。例えば、生体組織に対して三回振動を与えた場合、一回目の振動時間をT11、二回目の振動時間をT12、三回目の振動時間をT13とすると、前記振動時間算出部5は、平均値Ta=(T11+T12+T13)/3を算出する。
【0063】
さらに、複数回の振動を与えた場合、前記振動時間算出部5は、各回の振動における振動時間Tの累積加算値Ttを算出し、この累積加算値Ttに基づいて弾性画像の作成を行なってもよい。これにより、累積加算値Ttに応じた表示形態を有する弾性画像が表示される。例えば、上述のように三回の振動を与えた場合、前記振動時間算出部5は、累積加算値Tt=T11+T12+T13を算出する。