(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0034】
ここでは、本発明の照明装置として、ヘッドランプ(車両用前照灯)を例に挙げて説明する。ただし、本発明の照明装置は、自動車以外の車両・移動物体(例えば、人間・船舶・航空機・潜水艇・ロケットなど)のヘッドランプとして実現されても良いし、その他の照明装置として実現されても良い。その他の照明装置として、例えば、サーチライト、プロジェクター、家庭用照明器具、商業用照明装置、屋外照明装置を挙げることができる。
【0035】
なお、以下の説明では、同一の部品および構成要素には同一の符号を付している。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0036】
〔実施形態1〕
本発明の実施の一形態について
図1〜
図7に基づいて説明すれば、以下のとおりである。本実施形態のヘッドランプ1は、特定の投光パターン(所望の投光パターン)を形成する照明装置である。
【0037】
<ヘッドランプ1の構成>
図1は、ヘッドランプ1の構成を示す図である。
図1に示すように、ヘッドランプ1は、光源部(光強度分布生成部)10、マルチコアファイバ20(導光部)、投光部30および点灯制御部(光強度分布生成部、光強度分布制御部)50を備えている。
【0038】
(光源部10)
光源部10は、投光パターンに対応する光強度分布を有する光(投光用光線束と称する)を生成し、当該投光用光線束を、マルチコアファイバ20の入射端面20aへ入射させる。すなわち、光源部10は、入射端面20aに入射する入射光を生成する。
【0039】
図1に示すように、光源部10は、レーザ素子11、放熱部12、立上ミラー13、発光部14、支持部15、楕円ミラー16およびレーザ光カットフィルタ17を備えている。
【0040】
(レーザ素子11)
レーザ素子11は、励起光としてのレーザ光を出射する励起光源として機能する発光素子である。
図1に示すように、光源部10には、レーザ素子11が複数設けられており、複数のレーザ素子11のそれぞれからレーザ光が発振される。レーザ素子11は、1チップに1つの発光点を有するものであってもよく、1チップに複数の発光点を有するものであっても良い。
【0041】
励起光としてレーザ光を用いることにより、後述する発光部14に含まれる蛍光体を効率的に励起して、従来の光源よりも輝度の高い光を発光することができ、さらに、発光部14自体のサイズを小径化することができる。また、レーザ素子11は高輝度光源であるため、効率良く、発光部14のレーザ光照射面14aに形成される照射領域を絞ることが可能となり、その結果、配光角の狭い投光が可能となる。
【0042】
なお、レーザ素子11の個数および配置は、特に限定されず、所望の投光パターンを形成するために好ましい数のレーザ素子11を、好ましい配置で用いれば良い。
【0043】
レーザ素子11のレーザ光の波長は、例えば、395nm(青紫色)または450nm(青色)であるが、これらに限定されず、発光部14に含める蛍光体の種類に応じて適宜選択されれば良い。例えば、レーザ素子11は、直径5.6mmの金属パッケージに実装され、出力2Wで、波長395nmのレーザ光を発振するものである。
【0044】
また、
図1では、複数のレーザ素子11が放熱部12の上に均等に配置された構成を示しているが、これに限らず、隣接するレーザ素子11の間隔をそれぞれ任意に規定しても良い。
【0045】
(放熱部12)
放熱部12は、レーザ素子11で発生した熱をレーザ素子11から受け取ることにより、レーザ素子11から放熱させる放熱機構として機能する。このため、放熱部12には、熱伝導率の高い金属材料(アルミニウムなど)を用いることが好ましい。
【0046】
放熱部12を備える光源部10は、投光部30とは別体として形成されているため、投光部30を小型化することができる。
【0047】
(立上ミラー13)
立上ミラー13は、複数のレーザ素子11から出射されたレーザ光のそれぞれを反射し、発光部14へ導光することにより、発光部14のレーザ光照射面14aにおいて、投光パターンに対応する光強度分布を有するレーザ光照射パターン(以下、単に照射パターンと称する)を形成する光学部材である。レーザ光照射面14aとは、発光部14が有する面のうち、主にレーザ光が照射される面である。
【0048】
具体的には、立上ミラー13は、例えば、軸外し放物ミラーであり、複数のレーザ素子11の発光点とそれぞれ対向するように、複数の立上ミラー13が一対一に配置されている。また、立上ミラー13の略焦点位置にレーザ素子11の発光点が位置するように立上ミラー13が配置されている。
【0049】
複数のレーザ素子11のそれぞれから出射されたレーザ光は、立上ミラー13によって反射されることで略コリメート光となり、かつ、ビーム幅を縦方向に圧縮された後、楕円ミラー16の図示していない窓部を通って発光部14へ導かれる。
【0050】
立上ミラー13の設置角度や、レーザ素子11との相対位置を調整することにより、レーザ素子11から出射されるレーザ光の光路を制御できるため、レーザ光照射面14aにおいて所望の照射パターンを形成することが容易になる。ヘッドランプ1の投光パターンは、
図5(e)に示すように、最終的に横長の配光となる。立上ミラー13を用いることにより、レーザ素子11から出射されたレーザ光を縦方向に圧縮し、発光部14のレーザ光照射面14aにおいて横長の照射パターンを形成することができる。
【0051】
なお、立上ミラー13として、レーザ素子11の非点隔差を補正し、コリメート光とするような非球面ミラーを用いると更に良い。その場合、さらにコリメート性を向上させることができる。また、立上ミラー13は、これに限らず、その他の放物ミラーなどで実現されていても良い。
【0052】
なお、
図1では、立上ミラー13を備えた構成を示しているが、レーザ光照射パターンを形成する光学部材は、これに限らず、コリメートレンズと平面鏡とを用いることによっても、立上ミラー13と同様の機能を実現することが可能である。また、レーザ素子11の内部にコリメートレンズあるいはコリメートミラーを設けることにより、レーザ素子11からコリメート光を出射可能な構成の場合には、立上ミラー13を平面鏡にすることで、立上ミラー13と同様の機能を実現することが可能である。
【0053】
(立上ミラー13の素材)
立上ミラー13は、機材であるAlNセラミックに、反射膜であるAlおよび酸化防止膜としての酸化アルミをコートしたものであるが、本構成に限定されるものではない。
【0054】
例えば、機材としては、BK7、石英ガラスなどのガラス類、ポリカーボネート、アクリル、FRP、SiC、Al
2O
3など、熱膨張係数の小さい素材を用いることが望ましいが、最終的なコリメート精度があまり求められない場合には、Alなどの金属を用いても良い。
【0055】
また、反射膜としては、Ag、Ptなどの金属が望ましいが、SiO
2/TiO
2多層膜などの多層膜構造による反射膜でも良い。
【0056】
さらに、酸化防止膜は、酸化ケイ素などを用いても良い。なお、酸化防止膜が必ずしもコートされている必要はない。
【0057】
また、立上ミラー13の表面には、増反射膜(増反射構造、例えばHRコート膜)が設けられていても良い。この場合、レーザ光の立上ミラー13による反射損失(ミラーロス)を低減することができる。
【0058】
(発光部14)
発光部14は、レーザ光を吸収して蛍光を発する蛍光体(蛍光物質)を含んでおり、レーザ素子11から発振されたレーザ光を受けて蛍光を発するものである。
【0059】
例えば、発光部14は、封止材の内部に蛍光体の粒子が分散されているもの(封止型)、蛍光体の粒子を固めたもの、または、熱伝導率の高い材質からなる基板上に蛍光体の粒子を塗布した(堆積させた)もの(薄膜型)、などの蛍光体を含有した発光体である。
【0060】
このような蛍光体を含む発光部14を用いることにより、演色性が高い照明光を生成することが可能となる。
【0061】
本実施の形態では、発光部14は、2mm×0.5mmの矩形で、厚さ0.1mmの薄膜状となるように、蛍光体の粉末を支持部15の傾斜部15aにTiO
2をバインダーとして塗布することで形成されている。
【0062】
この発光部14は、支持部15によって、楕円ミラー16が有する2つの焦点のうちの一方の焦点(第1焦点)近傍に配置されている。このため、発光部14から発せられた光は、楕円ミラー16の反射曲面によって反射されることで、その光路が制御される。
【0063】
この発光部14は、十分に小さいことが好ましい。この場合、発光部14が発した光を、楕円ミラー16の他方の焦点(第2焦点)に効率良く集光することができる。
【0064】
また、発光部14は、レーザ光照射パターンよりも大きいことが望ましい。
【0065】
(発光部14の傾斜配置)
発光部14から発せられた蛍光が、効率的に楕円ミラー16で反射して、制御されることが可能なように、発光部14は、支持部15の傾斜部15a上に傾いて配置されている。傾斜部15aは、レーザ光の入射方向に対して垂直な面を基準として、その入射方向に15°程度傾斜して構成されている。
【0066】
発光部14から発せられた光は、略ランバーシアン配光となる。そのため、発光部14のレーザ光照射面14aがレーザ光の入射方向に対して垂直となるように発光部14が配置されていると、発光部14で発せられた光の最も光度の高い領域が楕円ミラー16の窓部に位置するため、投光効率が悪くなる。
【0067】
この投光効率を考慮すれば、発光部14のレーザ光照射面14aが15°程度傾斜していることが望ましいが、当該投光効率を考慮しなければ、レーザ光照射面14aがレーザ光の入射方向に対して垂直となるように発光部14が配置されていても良い。
【0068】
さらに、楕円ミラー16の窓部をレーザ光が透過し、発光部14から発せられた光を反射するような構造とした場合には、製造コストは上昇するが、レーザ光照射面14aがレーザ光の入射方向に対して垂直となるように発光部14が形成されていても、投光効率は向上する。
【0069】
(蛍光体の種類)
本実施形態では、レーザ素子11によって発振された波長395nmのレーザ光を受けて、白色の蛍光を発するように、発光部14の蛍光体として、BAM(BaMgAl
10O
17:Eu)、BSON(Ba
3Si
6O
12N
2:Eu)、Eu−α(Ca−α−SiAlON:Eu)など、複数種類の蛍光体を混合して用いている。しかし、上記蛍光体は、これらに限定されるものではなく、例えば、自動車用にヘッドランプ1が使用される場合、ヘッドランプ1の照明光が、法律により規定されている所定の範囲の色度を有する白色となるように適宜選択されれば良い。また、照明などの用途であれば、適宜必要な色度が出るように、蛍光体を単独で用いても良いし、複数種類の蛍光体を適宜混合して用いても良い。
【0070】
例えば、他の酸窒化物蛍光体(例えば、JEM(LaAl(SiAl)
6N
9O:Ce)、β-SiAlONなどのサイアロン蛍光体)、窒化物蛍光体(例えば、CASN(CaAlSiN
3:Eu)蛍光体、SCASN((Sr,Ca)AlSiN
3:Eu)蛍光体)、Apataite((Ca,Sr)
5(PO
4)
3Cl:Eu)系、Silicate((Ba,Sr,Mg)
2SiO
4:Eu,Mn)系蛍光体または、III−V族化合物半導体ナノ粒子蛍光体(例えば、インジュウムリン:InP)を用いることができる。
【0071】
また、黄色の蛍光体(または緑色および赤色の蛍光体)を発光部14に含め、450nm(青色)のレーザ光(または、440nm以上490nm以下の波長範囲にピーク波長を有する、いわゆる青色近傍のレーザ光)を照射することでも白色光が得られる。この場合には、レーザ光の一部を照明光として利用することになるためレーザ光カットフィルタ17を設けないようにする。
【0072】
(封止型)
発光部14を封止型とした場合の封止材は、例えば、ガラス材(無機ガラス、有機無機ハイブリッドガラス)、シリコーン樹脂などの樹脂材料である。ガラス材として低融点ガラスを用いても良い。封止材は、透明性の高いものが好ましく、レーザ光が高出力の場合には、耐熱性の高いものが好ましい。ゾルゲル法により、酸化ケイ素や酸化チタンなどにより封止する構造でも良い。
【0073】
発光部14の上面(レーザ光照射面14a)にレーザ光の反射を防止する反射防止構造が形成されていても良い。封止型の場合には、発光部14の上面形状の制御が容易であるため、特に反射防止膜を形成することが望ましい。
【0074】
(薄膜型)
発光部14を薄膜型とした場合は、Al、Cu、AlNセラミック、SiCセラミック、酸化アルミ、Siなどを基板として用いる。なお、基板と蛍光体との間に、Al、Ag、BaSO
4などを光学特性向上を目的として、挿入しても良い。その基板の上に蛍光体の粒子を塗布あるいは堆積させた後、基板毎に、所望の大きさに分割する。その後、支持部15に高熱伝導接着剤により固定する。
【0075】
基板にAlやCuなどを用いた場合には、バリアメタルとしてTiNやTi、TaN、Taなどを、基板の蛍光体の粒子を堆積しない側(支持部15に対向する側)にコートしておくことが望ましい。さらに、バリアメタル上にPtやAuなどをコートしても良い。
【0076】
高熱伝導性接着剤としては、SnAgCu、AuSnなどの共晶半田を用いることが望ましいが、限定はされない。
【0077】
(支持部15)
熱伝導性の高い金属などからなる支持部15は、その一端の傾斜部15aにおいて発光部14を支持し、発光部14が楕円ミラー16の略焦点位置に位置するように、楕円ミラー16に接続されている。
【0078】
支持部15の材質として、本実施の形態ではAlを用いているが、AlN、SiCなどの高熱伝導セラミックスを用いても良い。
【0079】
また、本実施の形態では、支持部15に、酸化チタンをバインダーとして蛍光体を塗布することにより、発光部14を固定している。このバインダーとしては、酸化ケイ素などを用いても良い。
【0080】
また、発光部14が薄膜型の場合、支持部15の発光部14と対向する面に、TiNやTi、TaN、Taなどをバリアメタルとしてコートしておくことが望ましい。さらに、バリアメタル上にPtやAuなどをコートしておいても良い。
【0081】
なお、支持部15の他端は、楕円ミラー16を貫通して、熱伝導性が高い放熱部材(図示せず)に接続されていても良い。このため、レーザ光によって発熱する発光部14の熱は、支持部15および放熱部材に伝播し、効率よく放熱される。
【0082】
(楕円ミラー16)
楕円ミラー16は、発光部14が発した蛍光をマルチコアファイバ20の入射端面20aに集光する反射鏡である。この楕円ミラー16は、楕円を、当該楕円の対称軸を中心として回転させたときに形成される曲面の一部を反射面の形状として有している。また、楕円ミラー16は、レーザ光が入射される側に第1焦点を有しており、第1焦点近傍に発光部14が設置されている。また、楕円ミラー16の第2焦点近傍に、マルチコアファイバ20の入射端面20aが位置している。
【0083】
この構成により、発光部14によって発せられた光は楕円ミラー16により反射され、楕円ミラー16の第2焦点近傍に集光された後、マルチコアファイバ20によりレンズ31へ導光される。
【0084】
なお、レーザ素子11から出射されたレーザ光は、楕円ミラー16に形成された窓部を透過または通過して発光部14に照射される。この窓部は、貫通孔であってもよく、或いは、レーザ光を透過可能な透明部材を含むものであっても良い。
【0085】
(楕円ミラー16の材質)
本実施の形態では、楕円ミラー16は、FRPを基材とし、その上に反射膜としてAlコート、さらにその上に、Alの酸化防止を目的とした酸化ケイ素をコートしたものを用いている。
【0086】
ただし、楕円ミラー16の構成は、上述のものに限定されるものではなく、配光制御機能を有するものであれば良い。例えば、基材としてアクリルやポリカーボネートといった他の樹脂やAlなどの金属製の部材を用いても良いし、反射膜としてAgやPtなどを用いていても良い。また、酸化防止膜としては、酸化アルミ系などを用いても良く、酸化ケイ素および酸化チタンの多層膜とした増反射機能を兼ね備えた膜を用いても良い。
【0087】
(レーザ光カットフィルタ17)
レーザ光カットフィルタ17は、特定の波長域の光を遮断する。本実施の形態では、レーザ光カットフィルタ17は、400nm以下の波長の光をカットし、レーザ素子11から出射される波長395nmのレーザ光を遮断することができる。それゆえ、発光部14によって蛍光に変換されなかったレーザ光が楕円ミラー16の外部へ出射されることを防止できる。
【0088】
これにより、レーザ光を投光しない、人の目に優しい照明装置を実現できる。なお、遮断する波長は、レーザ光カットフィルタ17の種類に応じて適宜調整できる。また、レーザ光カットフィルタ17の代わりに波長カットフィルタを用いることもできる。
【0089】
(マルチコアファイバ20)
マルチコアファイバは、共通のクラッドに複数のコアが形成された光ファイバである。このマルチコアファイバ20は、入射端面(入射部)20aから入射した特定の光強度分布を有する投光用光線束を、当該光強度分布を維持したまま導光し、出射端面20bから出射する。光源部10が生成した投光用光線束を受け入れるために、マルチコアファイバ20の入射端面20a(入射瞳)との楕円ミラー16の第2焦点(出射瞳)とが一致するように配置されている。
【0090】
図2(a)および(b)は、マルチコアファイバ20の入射端面20aを示す図である。マルチコアファイバ20は、
図2に示すように、複数のコア20cを備えており、各コア20cが互いに接触しないように、クラッド20d内に包含されている。そして、クラッド20dの外部を被覆部20eが覆っている。
【0091】
コア20cおよびクラッド20dは、光を透過する材質からなっており、コア20cの屈折率はクラッド20dよりも高くなっている。このような構成をとることにより、コア20cの一方の端面に入射した光は、略全反射により、コア20cの他方の端面に導光される。
【0092】
複数のコア20cの内部をそれぞれ伝搬する光は、互いに独立に(干渉することなく)伝搬するため、入射端面20aに入射した投光用光線束は、その光強度分布を概ね損なうことなく出射端面20bまで導光される。
【0093】
図2(a)は、クラッド20dに、同一形状の7個のコア20cが最密充填されている充填形式を示しているが、コア20cの配置は、このような充填形式に限定されるわけではない。例えば、
図2(b)に示すように、形状を横長にしたコア20cを充填しても良いし、コア20cの個数を変更しても良い。
【0094】
なお、各コア20c相互の間隔は、それぞれのコアを伝播する光が独立に伝播することができる範囲で、近いことが望ましい。
【0095】
また、投光パターンに応じて、コアの形状および配置を設計しても良く、
図2(b)の場合、コアの形状に応じた楕円形、大円形および小円形の投光パターンが、コアの配置に応じた位置へ投光される。なお、コアの形状は円形に限定されるわけではなく、四角形や三角形であっても良い。
【0096】
(バンドルファイバ)
マルチコアファイバ20のかわりに、バンドルファイバを使用することができる。バンドルファイバは、複数の光ファイバを束ねた構成となっている。
図3は、バンドルファイバ21の入射端面21aを示す図である。バンドルファイバ21は、
図3に示すように、複数のコア21cを備えており、各コア21cが、各々別個に、クラッド20dにより包含されている。つまり、コア21cを包含したクラッド20dが複数束ねられた構成となっている。バンドルファイバ21は、例えば、コア径が50μmであり、ファイバ数(コア数)が100本のものを用いることができる。
【0097】
なお、各クラッド20dの間には、充填材20fが充填されている。さらに、充填材20fは、一般的に光を透過し難い材質からなっている。ここで、コア21cおよびクラッド21dは、光を透過する材質からなっており、コア21cの屈折率はクラッド21dの屈折率よりも高くなっている。
【0098】
このように、
図2(a)に示すマルチコアファイバ20と同様の構成をとることにより、マルチコアファイバ20と同様に、入射端面21aに入射した投光用光線束は、その光強度分布を概ね損なうことなく入射端面21aとは反対側の出射端面に導光される。
【0099】
(マルチコアファイバおよびバンドルファイバにおけるコアの数)
図4(a)は、マルチコアファイバ20のコア20cの配置を示す断面図であり、
図4(b)は、バンドルファイバ21のコア21cの配置を示す断面図である。マルチコアファイバ20であってもバンドルファイバ21であっても、コアの数が多く、密に充填されているほど、入射端面における光強度分布をより精密に出射端面において再現できる。換言すれば、入射端面においてコアが占める割合が高いほど、入射端面における光パターンは、出射端面においてより忠実に再現できる。
【0100】
マルチコアファイバ20におけるコア20cの数は、例えば、100〜10000個であるが、
図4(a)に示すように、最低2個のコア20cがあれば、入射端面20aにおける光強度分布を出射端面20bにおいて再現できる。このことは、
図4(b)に示すように、バンドルファイバ21の場合にも言える。
【0101】
(投光部30)
投光部30は、マルチコアファイバ20の出射端面20bから出射された投光用光線束(出射光)を照明光として外部へ投光する。概ね輝度不変則が成り立つように光源部10およびマルチコアファイバ20が設計されているため、光源部10において生成された光の輝度が投光部30においても保たれている。この投光部30は、レンズ31を備えている。
【0102】
(レンズ31)
レンズ31は、マルチコアファイバ20の出射端面20bから出射した投光用光線束を略平行光にして、その平行光を照明光としてヘッドランプ1の前方へ投光する光学部材である。なお、略平行光とは、完全に平行な光である必要はなく、投光角(光度が半値となる頂角)が20°以下であれば良い。レンズ31の直径は、例えば、90mmである。
【0103】
また、マルチコアファイバ20の出射端面20bとレンズ31の焦点位置とは概ね一致している。
【0104】
(点灯制御部50)
点灯制御部50は、マルチコアファイバ20に入射端面20aに入射する入射光の光強度分布を変化させる制御部である。より具体的には、点灯制御部50は、複数のレーザ素子11のそれぞれについて出力制御(点灯および消灯)を行うとともに、立上ミラー13の位置または角度を制御することにより、発光部14のレーザ光照射面14aにおけるレーザ光の照射パターンを形成および変更する。
【0105】
例えば、点灯制御部50は、レーザ光の発光部14における照射パターンを変化させることにより、マルチコアファイバ20の出射端面20bに入射する入射光の光強度分布を変化させる。
【0106】
この点灯制御部50は、制御プログラムの命令を実行するCPU(central processing unit)であってもよく、専用の処理を実行する論理回路であっても良い。
【0107】
<ヘッドランプ1の機能>
図5は、ヘッドランプ1において、光源部10で生成された投光用光線束が、マルチコアファイバ20および投光部30を経て、外部へ投光されるまでの過程を示す図である。
図5(a)には、ヘッドランプ1の構成が示されている。
【0108】
まず、レーザ素子11から出射されたレーザ光の光路が立上ミラー13によって制御されることにより、
図5(b)に示すように、発光部14のレーザ光照射面14aにおいて最終的な投光パターンに対応する光強度分布を有する照射パターン40(レーザ照射スポット)が形成される。これにより発光部14は、照射パターンに対応する光強度分布を有する蛍光を発する。
【0109】
この蛍光は、楕円ミラー16により反射されるとともに集光され、マルチコアファイバ20の入射端面20aに入射する。このとき、
図5(c)に示すように、入射端面20aには、照射パターン40と略相似の光パターン40aが形成される。
【0110】
入射端面20aに入射した光は、マルチコアファイバ20の内部を導光され、出射端面20bから出射される。このとき、入射端面20aから入射した光の強度分布は維持されたまま導光される。そのため、出射端面20bから出射する光の強度分布(光パターン40b)は、入射端面20aにおける光パターン40aと実質的に同一のものとなる。なお、
図5では、光パターン40aと光パターン40bとの左右が逆転しているが、見る方向が異なっているためである。
【0111】
出射端面20bから出射した光は、レンズ31により平行光にされて外部へ投光され、照射対象(ここでは、ヘッドランプ1が搭載された車の前方の道路など)において投光パターン41が形成される。
【0112】
このように、マルチコアファイバ20を用いることにより、所望の投光パターンに対応する光強度分布を有する蛍光を光源部10において生成し、その光強度分布を維持したまま当該蛍光を照明光として投光部30から外部へ投光することができる。
【0113】
所望の投光パターンに対応する光強度分布を有する光は、投光部30とは別体として形成された光源部10において生成されるため、投光部30の大きさを小さくすることができる。
【0114】
(投光パターンを変更する機構)
上述のように、発光部14のレーザ光照射面14aにおける照射パターンが最終的な投光パターンに対応する光強度分布を有している。よって、当該照射パターンを変更することにより、投光パターンを変更することができる。そこで、以下では上記照射パターンを変更する機構の例について説明する。
【0115】
複数のレーザ素子11から出射されたレーザ光は、対応する立上ミラー13によって発光部14のレーザ光照射面14aに照射される。このとき、複数の立上ミラー13の傾きや、レーザ素子11との相対位置を変化させることで、上記照射パターンを変更することができる。この構成では、立上ミラー13は、マルチコアファイバ20の入射端面20aに入射する入射光の光強度分布を変化させる光強度分布制御部として機能する。立上ミラー13は、レーザ光の発光部14における照射パターンを変化させることにより上記入射光の光強度分布を変化させる。
【0116】
また、複数のレーザ素子11のうち、レーザ光を発振させるレーザ素子11を切り替える(または、各レーザ素子11の出力を制御する)ことによっても上記照射パターンを変更することができる。この構成において、複数のレーザ素子11は、レーザ光照射面14aにおいてマトリクス状にレーザ光のスポットを形成することができるように配置されていても良い。なお、この構成では、立上ミラー13の傾きを調整する必要は必ずしもないため、立上ミラー13を稼動させる必要は必ずしもない。
【0117】
また、立上ミラー13の代わりにレンズを設けても良い。このレンズは、レーザ素子11の発光点と対向するように、1つのレーザ素子11に対して1つずつ配されており、拡がりをもって進行するレーザ光を略平行光にする。このレンズの位置(例えば、レーザ素子11と当該レンズとの距離)を変更することにより、レーザ素子11から出射されたレーザ光の光路を変更することができ、上記照射パターンを変更することができる。
【0118】
上記照射パターンを変更するための機構は、上述のものに限定されず、どのような機構でレーザ光照射面14aにおけるレーザ光の照射パターンを変更しても良い。
【0119】
なお、照射パターンの変更とは、レーザ光照射面14aに照射されるレーザ光の光強度分布の変更を意味する。そのため、レーザ光のスポットの形状が一定であるが、当該スポット内での光強度分布が変化する場合も照射パターンが変化する一例である。
【0120】
(投光パターンの変更様式)
照射パターンの変更は、点灯制御部50を介して行われる。ヘッドランプ1の投光パターンとして、予め複数の投光パターン(所定投光パターン)が定められており、点灯制御部50は、これら複数の所定投光パターンを上述の機構を用いて切り替えても良い。複数の所定投光パターンとは、例えば、ハイビーム(走行用前照灯)の配光特性基準を満たす投光パターンおよびロービーム(すれ違い用前照灯)の配光特性基準を満たす投光パターン、夕方用配光パターンおよび夜間用配光パターン、雨天時用配光パターンおよび非雨天時用配光パターンである。
【0121】
このような所定投光パターンの切り替えは、ユーザからの指示に従って行われても良い。または、ヘッドランプ1の周囲の環境の変化を検出する検出器を設け、当該検出器の検出結果に基づいて点灯制御部50が所定投光パターンを切り替えても良い。
【0122】
上記検出器とは、例えば、ヘッドランプ1の周囲の明るさを検出する外光センサであり、この外光センサが検出した明るさに応じて夕方用配光パターンと夜間用配光パターンとを切り替えても良い。また、上記検出器は、温度センサなど、光センサ以外の検出器であっても良い。
【0123】
また、ヘッドランプ1が搭載された車両の前方(または周囲)の物体を検出する物体検出装置を設け、当該物体検出装置の検出結果に基づいて、投光パターンを任意に変化させても良い。
【0124】
上記物体検出装置は、例えば、車両に搭載された撮像装置(例えば、CCD(charge-coupled device)カメラ)によって撮影された画像を解析して、当該画像中の配光可能エリア内の物体を検出する。検出対象の物体が検出された場合、ヘッドランプ1は、当該物体が検出された座標に基づいて投光パターンを変化させる。
【0125】
物体検出装置の検出対象として、例えば、車両前方に飛び出してきた人、動物、他の車(自動車、バイクまたは自転車)を予め設定し、これらの検出対象を物体検出装置が検出した場合に、検出された物体に対して、その他の領域よりも照度の高い照明光が当たるように投光パターンを変化させても良い。
【0126】
また、通常時には、ヘッドランプ1前方の領域に最大限に広がった広範な投光パターンを投光し、上記物体検出装置が対向車を検出したときには、当該対向車に投光している部分のみ、照明光の輝度を低くしても良い。この構成により、対向車のドライバなどに不快な眩しさを与えてしまうことを防止できる。
【0127】
さらに、例えば、雨天の夕方には、センターラインが特に見えにくいという問題がある。そのため、当該センターラインに投光している部分のみ、照明光の照度を高くしても良い。この場合には、上記物体検出装置の検出対象は、センターラインになる。この構成により、雨天時のセンターラインの視認性を向上させることができ、上記の悪天候下において事故の発生を低減させることができる。
【0128】
<ヘッドランプ1の効果>
以上のように、ヘッドランプ1では、光源部10にて生成した、特定の光強度分布を有する投光用光線束を、マルチコアファイバ20により上記光強度分布を維持したまま投光部30へ導光し、投光部30から略平行光として外部へ投光する。投光部30から投光される照明光の配光パターンは、光源部10にて生成した投光用光線束の光強度分布に対応したものとなる。
【0129】
それゆえ、複数の光源ユニットを設けて特定の配光パターンを実現する従来の構成に比べて、ヘッドランプ1を小型にすることができる。
【0130】
また、発光部14のレーザ光照射面14aにおけるレーザ光の照射パターンを変化させることにより、投光パターンを変化させることができる。そのため、複数の光源ユニットの光軸を変化させるという従来の投光パターンの変更機構よりも、小型の機構により投光パターンを変化させることができる。特に、投光パターンを変化させる機構は光源部10に設けられているため、投光部30を小型化することができる。
【0131】
それゆえ、所望の配光パターンを実現でき、投光部を小型化することができるヘッドランプ(照明装置)を実現できる。
【0132】
〔変形例1〕
<ヘッドランプ1Aの構成>
図6は、ヘッドランプ1の変形例であるヘッドランプ1Aを説明するための図である。
図6に示すように、ヘッドランプ1Aは、
図1に示すヘッドランプ1とは異なり、光源部10にかえて光源部10Aを備えている。
【0133】
ヘッドランプ1では、必ずしも楕円ミラー16を用いる必要はない。ヘッドランプ1Aは、
図6に示すように、ヘッドランプ1の光源部10に備えられている楕円ミラー16のかわりに、光源部10Aにて半球面ミラー16Aを備えている。ここで、発光部14およびマルチコアファイバ20の入射端面20aは、半球面ミラー16Aにより互いに光学的共役関係となる位置に配置されている。このように配置することにより、発光部14で発した光を、入射端面20aに集光することができる。
【0134】
〔変形例2〕
上述の実施形態では、投光部30における投光手段としてレンズ31を用いる構成について説明したが、投光手段として反射鏡(リフレクタ)を用いても良い。
【0135】
図7は、ヘッドランプ1の変形例であるヘッドランプ1Bを説明するための図である。
図7に示すように、ヘッドランプ1Bは、
図1に示すヘッドランプ1とは異なり、投光部30にかえて投光部30Bを備えている。
【0136】
ヘッドランプ1では、必ずしもレンズ31を用いる必要はない。ヘッドランプ1Bは、
図7に示すように、ヘッドランプ1の投光部30に備えられているレンズ31のかわりに、投光部30Bにて軸外し放物ミラー31Bを備えている。
【0137】
(軸外し放物ミラー31B)
軸外し放物ミラー31Bは、マルチコアファイバ20の出射端面20bから出射した投光用光線束を略平行光にして、その平行光を照明光としてヘッドランプ1Bの前方へ投光する光学部材である。
【0138】
また、マルチコアファイバ20の出射端面20bと軸外し放物ミラー31Bの焦点位置とは概ね一致している。なお、軸外し放物ミラー31Bの開口は、マルチコアファイバ20の出射端面20bの開口数(NA)と同一または当該開口数より広いことが好ましい。
【0139】
また、反射鏡として軸外し放物ミラーを用いる例を説明したが、楕円ミラー、パラボラミラー、球面ミラーなどを用いることもでき、反射鏡の種類は特に限定されない。
【0140】
〔実施形態2〕
本発明の別の実施の形態であるヘッドランプ100について
図8および
図9に基づいて説明すれば、以下のとおりである。ここで、ヘッドランプ100も、ヘッドランプ1と同様に、所望の投光パターンを形成する照明光を出射する照明装置である。
【0141】
<ヘッドランプの100構成>
図8は、ヘッドランプ100の構成を示す図である。
図8に示すように、ヘッドランプ100は、
図1に示すヘッドランプ1とは異なり、光源部10にかえて光源部110を、投光部30にかえて投光部130を備えている。
【0142】
(光源部110)
光源部110は、
図1に示す光源部10とは異なり、発光部14を備えておらず、レーザ素子11から出射されたレーザ光は蛍光に変換されずにマルチコアファイバ20によって投光部130まで導光される。
【0143】
具体的には、レーザ素子11から出射されたレーザ光は、立上ミラー13によって配光制御され、投光パターンに対応する光強度分布を有する励起光である励起用光線束が生成される。生成された励起用光線束が集光レンズ111によってマルチコアファイバ20の入射端面20aに集光される。集光された励起光は、マルチコアファイバ20の内部を伝搬し、出射端面20bから出射される。
【0144】
(集光レンズ111)
集光レンズ111は、レーザ素子11から出射され立上ミラー13によって反射および配光制御されたレーザ光を入射端面20aに集光する光学部材である。この集光レンズ111は、一方の面からレーザ光を受け入れ、透過および屈折させることにより当該レーザ光を集光する。ここで、マルチコアファイバ20の入射端面20aと集光レンズ111の焦点位置とは概ね一致している。
【0145】
(投光部130)
投光部130は、マルチコアファイバ20の出射端面20bから出射されたレーザ光(出射光)を波長変換した光(蛍光)を外部へ投光する。この投光部130は、結像レンズ131、パラボラミラー132、発光部14、支持部15およびレーザ光カットフィルタ17を備えている。また、投光部130は、マルチコアファイバ20の出射端面20bから出射された励起用光線束を、結像レンズ131に受け入れる。
【0146】
(結像レンズ131)
結像レンズ131は、マルチコアファイバ20の出射端面20bと発光部14との間に配置されており、出射端面20bから出射された励起用光線束を発光部14のレーザ光照射面14aに集光することにより、励起用光線束が有する光強度分布に対応する光パターンを結像させる。結像された光パターンを照射パターンと称する。
【0147】
ここで、マルチコアファイバ20の出射端面20bおよび発光部14は、結像レンズ131により互いに光学的共役関係となる位置に配置されている。このように配置することにより、マルチコアファイバ20の出射端面20bから出射された励起用光線束を、発光部14のレーザ光照射面14aに結像させることができる。
【0148】
(パラボラミラー132)
パラボラミラー132は、励起用光線束を受けることで発光部14が発した蛍光を配光制御し、外部に向けて投光することにより、特定の投光パターンを形成する。発光部14は、パラボラミラー132の略焦点位置に配置されている。
【0149】
このパラボラミラー132は、例えば、金属薄膜がその表面に形成された部材であっても良いし、金属製の部材であっても良い。
【0150】
パラボラミラー132は、放物線の対称軸を回転軸として当該放物線を回転させることによって形成される曲面(放物曲面)を、上記回転軸を含む平面で切断することにより得られる部分曲面の少なくとも一部をその反射面に含んでいる。
【0151】
このような形状のパラボラミラー132が、発光部14のレーザ光照射面14aに対向するようにその一部が配置されている。別の観点から説明すれば、発光部14から見て、発光部14から発せられる光の光度が最も高い放射角度にパラボラミラー132の少なくとも一部が配置される。
【0152】
発光部14とパラボラミラー132との位置関係を上記のようにすることで、発光部14の蛍光を所定の立体角内に効率的に投光することができ、その結果、蛍光の利用効率を高めることができる。
【0153】
<ヘッドランプ100の機能>
図9は、ヘッドランプ100において、光源部110で生成された励起用光線束が、マルチコアファイバ20によって投光部130に導光され、蛍光に変換された後、外部へ投光されるまでの過程を示す図である。
図9(a)には、ヘッドランプ100の構成が示されている。
【0154】
まず、レーザ素子11から出射されたレーザ光の光路が立上ミラー13によって制御される。さらに集光レンズ111により当該レーザ光が集光され、マルチコアファイバ20の入射端面20aに入射される。このとき、
図9(b)に示すように、入射端面20aには、光パターン40aが形成される。この光パターン40aは、投光パターンに対応する光強度分布を有するものである。
【0155】
入射端面20aに入射したレーザ光は、マルチコアファイバ20の内部を導光され、出射端面20bから出射される。このとき、入射端面20aから入射したレーザ光の強度分布は維持されたまま導光される。そのため、出射端面20bから出射するレーザ光の強度分布(光パターン40b)は、入射端面20aにおける光パターン40aと実質的に同一のものとなる。
【0156】
出射端面20bから出射したレーザ光は、結像レンズ131により、発光部14のレーザ光照射面14aに結像される。これにより、
図9(d)に示すように、レーザ光照射面14aにおいて、最終的な投光パターンに対応する光強度分布を有する照射パターン40(レーザ照射スポット)が形成される。これにより、発光部14は、照射パターン40に対応する光強度分布を有する蛍光を発する。
【0157】
この蛍光は、パラボラミラー132により反射されるとともに略平行光にされて外部へ投光され、照射対象(ここでは、ヘッドランプ100が搭載された車の前方の道路など)において投光パターン41が形成される。
【0158】
なお、投光パターンを変更する機構は、ヘッドランプ1と同様である。
【0159】
<ヘッドランプ100の効果>
上述のように、ヘッドランプ100は、所望の投光パターンに対応する光強度分布を有する励起用光線束を光源部110において生成し、生成した励起用光線束を、その光強度分布を維持したままマルチコアファイバ20により投光部130まで導光する。そして、投光部130において、励起用光線束を蛍光に変換し、外部へ投光する。そのため、投光部130から投光される照明光は、所望の投光パターンを形成するものとなる。
【0160】
それゆえ、複数の光源ユニットを設けて特定の配光パターンを実現する従来の構成に比べて、小型のヘッドランプを実現することができる。
【0161】
また、マルチコアファイバ20の入射端面20aに入射させるレーザ光の光強度分布を変化させることにより、投光パターンを変化させることができる。投光パターンを変化させる機構は光源部10に設けられているため、投光部130を小型化することができる。
【0162】
〔実施形態3〕
本発明のさらに別の実施の形態について
図10に基づいて説明すれば、以下のとおりである。ヘッドランプ200も、ヘッドランプ1と同様に、特定の投光パターンを形成する照明光を出射する照明装置である。
【0163】
<ヘッドランプ200の構成>
図10は、ヘッドランプ200の構成を示す図である。ここで、
図8に示すヘッドランプ100と比較すると、ヘッドランプ200は、
図10に示すように、投光部130にかえて投光部230を備えている。
【0164】
(投光部230)
投光部230は、発光部231、ハウジング232、投光レンズ233およびレーザ光カットフィルタ17を備えている。また、投光部230は、マルチコアファイバ20の出射端面20b側の一部分を含んでおり、マルチコアファイバ20の出射端面20bは、発光部231と近接または接触する位置に配置されている。
【0165】
(発光部231)
ところで、上述のヘッドランプ100では、レーザ素子11から出射されたレーザ光が発光部14に照射され、レーザ素子11が位置する側に、主に蛍光が出射される。このような発光部14を、本願では「反射型の発光部」と称することにする。
【0166】
これに対して、本実施形態のヘッドランプ200では、発光部231として、レーザ素子11から出射されたレーザ光が発光部のレーザ光照射面に照射され、蛍光がレーザ光照射面とは反対側に主に出射されるタイプの発光部が用いられる。このような発光部を、本願では「透過型の発光部」と称することにする。
【0167】
なお、透過型の発光部を用いる場合には、当該発光部における励起光および蛍光の透過量を制御することが好ましい。つまり、透過型の発光部では、反射型の発光部と比較して蛍光体粒子の分布密度を、発光性能を損なわない程度に低くすることが好ましい。また、発光部に含まれる蛍光体として、SiO
2粒子などの可視光域において光吸収の少ない微粒子を混合しておくことも、透過光量の制御に有効である。
【0168】
(ハウジング232)
ハウジング232は、発光部231、投光レンズ233およびレーザ光カットフィルタを包含するケースである。なお、ハウジング232は、ヘッドランプ100の投光部130が備えているパラボラミラー132のようなリフレクタではない。
【0169】
(投光レンズ233)
投光レンズ233は、発光部231が発光した光を受け入れ、透過および屈折させ、略平行光に変換して外部へ投光する。
【0170】
ここで、ヘッドランプ200の機能および投光パターンを変更する機構は、ヘッドランプ100と同様である。
【0171】
<ヘッドランプ200の効果>
上述のように、ヘッドランプ200では、透過型の発光部231と投光レンズ233とを組み合わせて用いている。このような構成を用いた場合にも、反射型の発光部を用いた場合と同様に小型の投光部を実現できる。
【0172】
また、上述のような透過型の構成を用いることにより、エッジの鋭さを抑えた投光パターンを形成することができる。当該投光パターンは、例えば、広範囲をぼんやりと照らしたい場合に有効である。
【0173】
〔実施形態4〕
本発明のさらに別の実施の形態について
図11に基づいて説明すれば、以下のとおりである。ヘッドランプ300も、ヘッドランプ1と同様に、特定の投光パターンを形成する照明光を出射する照明装置である。なお、ヘッドランプ300は、後述するように、光源部に発光部(蛍光体)を備えているとともに、レーザ光の照射形態がスキャンタイプであるヘッドランプに分類することができる。
【0174】
<ヘッドランプ300の構成>
図11は、ヘッドランプ300の構成を示す図である。ここで、
図1に示すヘッドランプ1と比較すると、ヘッドランプ300は、
図11に示すように、光源部10にかえて光源部310を備えている。
【0175】
(光源部310)
光源部310は、光源部10の立上ミラー13にかえて、導光制御部311、MEMS(Micro Electro Mechanical System)ミラー312およびMEMSミラー支持部313を備えている。以下では、光源部10と比較することにより、光源部310の構成を説明する。
【0176】
まず、光源部10は、レーザ素子11を複数備えており、点灯制御部50が、複数のレーザ素子11を点灯制御している。次に、立上ミラー13が、複数のレーザ素子11から出射されたレーザ光のそれぞれを反射して、発光部14へ導光する。このように、光源部10は、最終的な投光パターンに対応する光強度分布を有する照射パターンを、発光部14のレーザ光照射面14a上に形成している。
【0177】
一方、光源部310は、光源部10とは異なり、まず、導光制御部311が、レーザ素子11から出射されたレーザ光を、MEMSミラー312へ導光している。次に、MEMSミラー312は、導光制御部311から導光されたレーザ光を反射して、発光部14へ導光する。
【0178】
ここで、MEMSミラー312は、後述するように、レーザ光を発光部14のレーザ光照射面14a上の任意の場所へ照射することができる。つまり、レーザ光の照射形態をスキャンタイプにすることができるため、光源部310は、光源部10とは異なり、必ずしもレーザ素子11を複数必要としない。
【0179】
すなわち、光源部310では、発光部14へのレーザ光の照射をスキャンタイプにすることにより、光源部10と比較してレーザ素子11の個数を減らすことができる。
【0180】
(導光制御部311)
導光制御部311は、レーザ素子11から出射されるレーザ光を、MEMSミラー312へ導光するための制御部である。ここで、導光制御部311は、レーザ素子11から出射されるレーザ光のエネルギー強度分布をトップハット分布にしている。導光制御部311として、例えば、光学ロッド、マルチモードファイバなどを用いることができる。
【0181】
なお、導光制御部311は、レンズをさらに備えていても良い。
【0182】
(MEMSミラー312)
MEMSミラー312は、機械部品と電子回路とを融合し微細部品を形成した微小ミラーを備えたミラーであり、導光制御部311から出射されたレーザ光を反射して、発光部14のレーザ光照射面14a上へ照射する。
【0183】
ここで、MEMSミラー312では、微小ミラーが、MEMSミラー駆動制御部350により制御されている。つまり、導光制御部311によるMEMSミラー312へのレーザ光の導光制御と、MEMSミラー駆動制御部350によるMEMSミラー312の微小ミラーの駆動制御とにより、レーザ素子11から出射されるレーザ光を、発光部14のレーザ光照射面14a上の任意の場所へ照射することができる。これにより、マルチコアファイバ20の入射端面20aへのレーザ光の照射位置を変更し、走査(スキャン)することができる。
【0184】
すなわち、レーザ光の照射形態をスキャンタイプとすることができるため、MEMSミラー312などを用いることにより、光源部310は、光源部10とは異なり、必ずしもレーザ素子11を複数用いる必要がなくなる。また、MEMSミラー312の微小ミラーの位置または角度を、ソフトウェアを用いて変更することにより、発光部14のレーザ光照射面14aに形成するレーザ光の照射パターンを、簡単に変更することができる。
【0185】
なお、MEMSミラー312の微小ミラーのミラー面には、Alコートなどのコーティングが施されていても良い。
【0186】
(MEMSミラー312の制御)
MEMSミラー312の微小ミラーは、例えば、MEMSミラー312が設置されている面内の方向であって、重力方向に垂直なX軸方向および/または当該方向と垂直なY方向に角度を変化させ、その角度変化により、発光部14のレーザ光照射面14aに照射するレーザ光の照射パターンを変化させる。つまり、MEMSミラー312の微小ミラーは、発光部14に照射されるレーザ光の照射位置を変化させる。
【0187】
なお、MEMSミラー312は、その駆動範囲が、X軸方向よりもY軸方向に広いように設定されることが好ましい。これは、特に、ヘッドランプ300の投光範囲が横長である場合に有効である。一方、ヘッドランプ300の投光範囲が縦長である場合には、MEMSミラー312は、その駆動範囲が、Y軸方向よりもX軸方向に広いように設定されるなど、投光範囲に応じて適宜変更されてよい。
【0188】
また、レーザ光の走査を連続して行い、レーザ光の強度を走査スピードと同期させる事により投光パターンを形成する場合は、走査スピードを高くすることが出来る共振形MEMSミラーを用いる事が望ましい。
【0189】
例えば、垂直走査速度60Hzでスキャンし、レーザ光の強度をスキャンスピードに同期させる事により、発光部14にすれ違い灯の投光パターンとなる様な発光パターンを形成する様な使い方をする場合は、共振型を使用することが望ましい。
【0190】
一方、本システムを、スポットライトの投光位置を変更するといった使用法で使用する場合、対象物(例えば危険因子である鹿)を照らし続けるといった場合は、連続して対象物を照らした方が、(レーザ光の出力が同じであれば)対象物における照度が高くなる為、非共振形のMEMSミラーを使用することが望ましい。
【0191】
(MEMSミラー支持部313)
MEMSミラー支持部313は、MEMSミラー312を支持するための部材である。ここで、MEMSミラー支持部313は、MEMSミラー312が導光制御部311を介してレーザ素子11から照射されるレーザ光を発光部14の方向へ反射できるように、MEMSミラー312を所定の位置または角度に固定している。
【0192】
(MEMSミラー駆動制御部350)
MEMSミラー駆動制御部350は、MEMSミラー312が備えている微小ミラーの位置または角度を制御するための制御部である。より具体的には、MEMSミラー駆動制御部350は、MEMSミラー312の微小ミラーの位置または角度を制御することにより、発光部14のレーザ光照射面14aにおけるレーザ光の照射パターンを形成および変更する。
【0193】
例えば、MEMSミラー駆動制御部350は、レーザ光の発光部14における照射パターンを変化させることにより、マルチコアファイバ20の出射端面20bに入射する入射光の光強度分布を変化させる。
【0194】
このMEMSミラー駆動制御部350は、制御プログラムの命令を実行するCPUであってもよく、専用の処理を実行する論理回路であっても良い。
【0195】
<ヘッドランプ300の効果>
上述のように、ヘッドランプ300は、導光制御部311およびMEMSミラー312を用いて、発光部14へのレーザ光の照射をスキャンタイプにすることにより、レーザ素子11の個数を減らすことができる。また、MEMSミラー312の微小ミラーの位置または角度を、ソフトウェアを用いて変更することにより、発光部14のレーザ光照射面14aに形成するレーザ光の照射パターンを、簡単に変更することができる。
【0196】
なお、本実施形態では、MEMSミラーなどを使用して、レーザ光の照射をスキャンさせているが、この構成に限定されるわけではなく、ソレノイドアクチュエータなどを使用しても良い。
【0197】
〔実施形態5〕
本発明のさらに別の実施の形態について
図12および
図13に基づいて説明すれば、以下のとおりである。ヘッドランプ400も、ヘッドランプ1と同様に、特定の投光パターンを形成する照明光を出射する照明装置である。なお、ヘッドランプ400は、後述するように、投光部に発光部(蛍光体)を備えているとともに、レーザ光の照射形態がスキャンタイプであるヘッドランプに分類することができる。
【0198】
<ヘッドランプ400の構成>
図12は、ヘッドランプ400の構成を示す図である。ここで、
図8に示すヘッドランプ100と比較すると、ヘッドランプ400は、
図12に示すように、光源部110にかえて光源部410および集光レンズ駆動制御部450を備えている。
【0199】
(光源部410)
光源部410は、主に、光源部110の集光レンズ111にかえて、ソレノイドアクチュエータにより駆動される集光レンズ411を備えている。以下では、光源部110と比較することにより、光源部410の構成を説明する。
【0200】
まず、光源部110は、レーザ素子11を複数備えており、点灯制御部50が、複数のレーザ素子11を点灯制御している。次に、立上ミラー13が、複数のレーザ素子11から出射されたレーザ光のそれぞれを反射して、集光レンズ111を介してマルチコアファイバ20の入射端面20aへ導光している。次に、当該レーザ光は、マルチコアファイバ20により導光され、出射端面20bから出射し、最終的に、投光部130の発光部14へ照射される。
【0201】
一方、光源部410は、光源部110とは異なり、ソレノイドアクチュエータにより駆動されている集光レンズ411が、レーザ素子11から出射されたレーザ光を、マルチコアファイバ20の入射端面20aへ導光している。次に、当該レーザ光は、マルチコアファイバ20により導光され、出射端面20bから出射し、最終的に、投光部130の発光部14へ照射される。
【0202】
ここで、集光レンズ411は、後述するように、レーザ光を、最終的に、発光部14のレーザ光照射面14a上の任意の場所へ照射することができる。つまり、レーザ光の照射形態をスキャンタイプにすることができるため、光源部410は、光源部110とは異なり、必ずしもレーザ素子11を複数必要としない。
【0203】
すなわち、光源部410では、投光部130における発光部14へのレーザ光の照射をスキャンタイプにすることにより、光源部110と比較してレーザ素子11の個数を減らすことができる。
【0204】
(集光レンズ411)
集光レンズ411は、レーザ素子11から出射されたレーザ光をマルチコアファイバ20の入射端面20aに集光する光学素子である。この集光レンズ111は、一方の面からレーザ光を受け入れ、透過および屈折させることにより当該レーザ光を集光する。ここで、マルチコアファイバ20の入射端面20aと集光レンズ411の焦点位置とは概ね一致している。また、集光レンズ411は、ソレノイドアクチュエータにより駆動される。これにより、マルチコアファイバ20の入射端面20aへのレーザ光の集光位置を変更することができ、最終的には、投光部130の発光部14のレーザ光照射面14a上の照射パターンを変化させることができる。
【0205】
つまり、レーザ光の照射形態をスキャンタイプとすることができるため、集光レンズ411とソレノイドアクチュエータを用いることにより、光源部410は、光源部110とは異なり、必ずしもレーザ素子11を複数必要としなくなる。
【0206】
上述のように、集光レンズ411は、ソレノイドアクチュエータを介して集光レンズ駆動制御部450により制御されている。以下では、当該制御について詳しく説明する。
【0207】
(集光レンズ411の制御)
図13は、集光レンズ411をソレノイドアクチュエータ412により制御する構成を示す図である。また、
図13は、
図12に示すヘッドランプ400を、別の視点から見た斜視図である。
図13に示すように、集光レンズ411は、ソレノイドアクチュエータ412に取り付けられており、位置および角度を制御できるようになっている。
【0208】
ソレノイドアクチュエータ412は、例えば、コイル、マグネット、サスペンションワイヤおよびこれらを支持する筐体などを備えていても良い。
【0209】
なお、
図13に示す例では、ソレノイドアクチュエータ412の形状は、直方形状であるが、これに限定されるわけではなく、種々の形状とすることができる。
【0210】
また、上記の例示した構成においては、コイルに電流を流すことで磁界が発生し、その磁界によってマグネットに回転力(回転トルク)が加えられる。そこで、電流の大きさを変えることで回転トルクを自在に変化させることができる。これにより筐体の動作を制御することができる。つまり、ソレノイドアクチュエータ412に設置された集光レンズ411の動作を制御することができる。また、コイルに流す電流の向きを変えることで、マグネットに働く回転力の向きを反対方向に変化させることができる。
【0211】
これにより、集光レンズ411は、
図12に示す矢印の方向に自在に動作できるため、マルチコアファイバ20の入射端面20aに対する集光レンズ411の相対位置が変化して、最終的には、投光部130の発光部14におけるレーザ光の照射位置を変化させることができる。
【0212】
また、ソレノイドアクチュエータ412は、
図12に示す矢印方向に集光レンズ411を動作させる機構を備えていれば別の方式でも良く、例えば“ラック アンド ピニオン式“やヘリコイド方式であっても良い。
【0213】
(放熱部420)
放熱部420は、レーザ素子11で発生した熱をレーザ素子11から受け取ることにより、レーザ素子11から放熱させる放熱機構として機能する。このため、放熱部420には、熱伝導率の高い金属材料(アルミニウムなど)を用いることが好ましい。また、
図12に示すように、放熱部420は、大気などの冷却媒体に触れる表面積を大きくするために、表面の一部分がフィン形状になっていても良い。
【0214】
放熱部420を備える光源部410は、投光部130とは別体として形成されているため、投光部130を小型化することができる。
【0215】
(集光レンズ駆動制御部450)
集光レンズ駆動制御部450は、ソレノイドアクチュエータ412を介して集光レンズ411の位置または角度を制御するための制御部である。より具体的には、集光レンズ駆動制御部450は、ソレノイドアクチュエータ412を介して集光レンズ411の位置または角度を制御することにより、マルチコアファイバ20の入射端面20aにおけるレーザ光の光強度分布を形成および変更する。これにより、マルチコアファイバ20の出射端面20bから出射する出射光の光強度分布を変化させ、最終的には、投光部130の発光部14へ照射するレーザ光の照射パターンを変化させる。
【0216】
この集光レンズ駆動制御部450は、制御プログラムの命令を実行するCPUであってもよく、専用の処理を実行する論理回路であっても良い。
【0217】
<ヘッドランプ400の効果>
上述のように、ヘッドランプ400は、集光レンズ411およびソレノイドアクチュエータ412を用いて、投光部130の発光部14へのレーザ光の照射をスキャンタイプにすることにより、レーザ素子11の個数を減らすことができる。
【0218】
なお、本実施形態では、ソレノイドアクチュエータなどを使用して、レーザ光の照射をスキャンさせているが、この構成に限定されるわけではなく、MEMSミラーなどを使用しても良い。
【0219】
〔付記事項〕
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。