【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、少なくとも2つの出発物質を含む液体製剤を計量放出する計量装置は、少なくとも第1出発物質を受け入れる、開口部を有する保存容器と、第2出発物質を受け入れる内部容器と、2つの経路開口部を有する経路を備える放出手段とを有する。前記内部容器は前記保存容器を密封するように、前記保存容器の前記開口部領域に配置される。前記放出手段は、以降入口開口部と称するその経路開口部のうちの1つが、前記保存容器の開口部領域において前記保存容器に面するように配置し、前記保存容器に密封状態で接続する。さらに、前記放出手段の前記保存容器に面する領域は、前記保存容器の前記開口部に入り込むこと及び/又は誘導することのできる貫通手段として構成する。保存容器と放出手段の間の前記保存容器の前記開口部領域には、前記第2出発物質を受け入れる、少なくとも前記保存容器に対して密封した内部容器を配置する。前記貫通手段を前記開口部内へと入り込ませること及び/又は開口部に誘導することによって、前記内部容器を前記貫通手段を利用して貫通させ、これにより計量装置が作動できるようになる。
【0008】
よって、最初に使用する前と使用中の両方において、前記放出手段、前記保存容器、そして前記内部容器を密封状態で接続させることが保証される。密封状態での接続は動作状況及び周りの状況に関わらずもたらされる。その結果、例えば内容物の汚染を効果的に回避することができる。
【0009】
本発明による計量装置を初めて使用するまでは、前記計量装置は非作動位置にある、即ち、前記貫通手段は前記内部容器から離れた位置にあり、前記内部容器は貫通されておらず、前記第2出発物質を前記第1出発物質と別個に保存されている。
【0010】
前記計量装置は、特にその作動前及び作動中に前記保存容器と前記放出手段との間で密封接続状態を保持する。そのため、いかなる時にも外気が前記計量装置の内容物に届くことはない。
【0011】
使用前に前記物質を分離しておくことによって、保管中に保存料を使用しなくて済む。
【0012】
前記計量装置を作動させることによって、前記計量装置は前記内部容器を貫通する使用位置に移行し、前記内部容器の内容物が前記保存容器内に入り込む。前記使用位置は例えば色で示すことができるが、特に一般に許容される自然色を使用することができる。
【0013】
従って本発明の思想は、最初に使用するまで前記出発物質同士を互いに別々に保存し、それぞれを好適にはそれぞれを密封状態とするという原理に基づく。最初に使用する際に前記第1出発物質と前記第2出発物質を混合して最終的な液体製剤を生成することにより、前記計量装置の内容物を長期にわたって安定させることができる。
【0014】
前記内部容器及び前記保存容器の内容物は、製造元を離れた後、作動中及び作動後も密封されることが好ましい。前記保存容器は嵌合により、特に前記保存容器の開口部に前記内部容器を溶接又は接着することにより密封することができる。前記保存容器と前記放出手段との移行部分は、密封手段により密封することが好ましく、前記放出手段の内部を密封するために、前記放出手段の前記経路は、好ましくは前記保存容器から離れた前記経路開口部に密封効果を備えたノズル若しくは追加の閉止キャップを有する。
【0015】
好適には、前記出発物質を選択する際には前記第1出発物質を液体物質、好ましくは水とし、前記第2出発物質を粉末若しくは油性乳化可能な物質とするよう選択する。好適には、前記第1物質と前記第2物質を選択する際には、前記第2物質が前記第1物質中に溶解する若しくは乳化することができるよう、又は前記第2物質が前記第1物質と反応するよう選択する。
【0016】
作動化、即ち非作動位置から使用位置への移行は、前記保存容器の方向及び前記内部容器の方向に前記放出手段を移動させることにより達成できる。かかる移動は特に押すこと、又は回すことにより達成できる。
【0017】
前記保存容器の前記開口部は、円形、楕円形、又は多角形とすることができる。例えば、前記保存容器は前記開口部に対応した断面形状を有する容器として構成することができる。代替的には、前記容器の断面を前記開口部と異なるようにしてもよく、例えば前記開口部の断面を正方形に、そして容器の断面を円形とすることもできる。
【0018】
好適には、前記保存容器の前記開口部は首部として構成する。かかる実施形態では、前記首部の前記保存容器に面する領域に前記内部容器を配置し、一方前記計量装置が非作動状態にある場合に、前記放出手段の前記貫通手段は、少なくとも部分的に前記首部の前記保存容器から離れた領域に配置することができる。
【0019】
好適には、前記計量装置は、前記保存容器の方向に前記放出手段を移動させた後、そして前記放出手段が前記内部容器を貫通した後、前記放出手段を前記保存容器に対してロックするよう構成する。このために、前記放出手段は前記貫通手段を囲む中空円柱又は中空角柱を有することが好ましい。前記中空円柱は、その全長にわたって中空であると共に、例えば円形、楕円形、又はバナナの形状をした適切なベース部を有する円柱として構成することが好ましい。前記中空円柱又は前記中空角柱は、それらの内側の少なくとも数個の領域に切込みを有する。さらに前記保存容器は、特に開口部を首部として形成した場合に、その開口部領域に切込みを有することが好ましい。放出手段と保存容器を互いに近づけると、前記中空円柱又は前記中空角柱の切込みと前記保存容器の切込みが相互に嵌入し合うこと、又は適切な形状の密封手段とそれぞれ係合することで、前記放出手段が前記保存容器にロックされる。
【0020】
前記保存容器に対して前記放出手段を水密及び気密に接続するために、前記計量装置は、密封手段として軟質プラスチック材料チューブを備えることが好ましく、このプラスチック材料チューブはとりわけ、前記保存容器及び前記放出手段を密封状態で接続させることができる。前記プラスチック材料チューブの一端は前記保存容器の前記開口部を囲み、該チューブの第2端は特に前記放出手段の前記経路の前記入口開口部を囲むように配置する。従って、前記チューブの前記放出手段に面する端は、前記貫通手段を囲む前記中空円柱又は中空角柱に接続させることが好ましい。前記保存容器をプラスチック材料から製造する場合には、前記保存容器を前記プラスチック材料チューブと一体的に成形してもよい。
【0021】
前記プラスチック材料チューブは、好適にはそれぞれ少なくとも1つの肥厚部分を有する1つ又は2つの領域を有する。この肥厚部分はそれぞれのチューブ領域の全周にわたって延在するのが好ましい。肥厚部分はそれぞれ、前記中空円柱若しくは前記中空角柱及び/又は前記保存容器の切込みに嵌入するのが好ましい。作動状態では、前記軟質プラスチック材料チューブは、前記放出手段内、特に前記放出手段の貫通手段と中空円柱若しくは中空角柱との間の領域内に内側にロールして、これにより前記保存容器に面する領域における肥厚部分及び/又は前記放出手段に面する領域における肥厚部分が互いに嵌入し合い、前記放出手段が前記保存容器にロックされる。例えば、それによって前記保存容器と前記放出手段との密封度が向上する。
【0022】
前記貫通手段は、一端が前記放出手段の前記入口開口部に入り込んだ、尖った入口接続片として構成することができる。さらに前記入口接続片は、前記入口開口部から離れた端部に、前記内部容器を貫通するのに適した切断環、鋸刃状環、歯付環、又は少なくとも1つの刃物を有することができる。代替的に、前記内部容器を貫通するのに適した別個の切断環、鋸刃状環、歯付環、特に傾斜した切断環、鋸刃状環、若しくは歯付環、又は少なくとも1つの刃物として、又は前記放出手段の前記入口開口部付近に配置するのが好ましいマンドレルとして、前記貫通デバイスを構成してもよい。
【0023】
本発明による計量装置は、液体物質を噴射するのに使用できる。このためには、最先端の技術から知られるように、前記放出手段を計量ポンプとして構成することが好ましい。
【0024】
好適には、本発明による計量装置と共に使用する計量ポンプは、入口経路と、ポンプピストンと、ポンプ室と、放出経路を介して前記ポンプ室に接続するノズルとを含み、この場合の前記計量ポンプの前記入口経路と前記放出経路は、前記放出手段の経路に対応する。前記入口開口部を通して、前記保存容器から前記ポンプ室へと液体製剤を導き入れることができる。ポンプピストンを動かすことによって、前記液体はポンプ室から前記放出経路及びノズルを介して外へと運ばれる。
【0025】
適用分野によっては、前記保存容器から離れた側で、又は水平方向に液体を供給するよう、前記ノズルを前記ポンプヘッドに配置してもよい。
【0026】
代替的に、弾性のある保存容器を押すことによって、前記保存容器から液体を噴射させることもできる。前記放出手段はノズルを配置した経路を有する放出キャップとして構成することが好ましい。前記内部容器を貫通した後、前記保存容器本体の壁を押すことによって、前記保存容器から液体を噴射させることができる。
【0027】
さらに、本発明による計量装置は、使い捨ての注射器として構成してもよい。この場合、前記放出手段は好適には経路を有する放出キャップとして構成すればよい。使い捨て注射器は前記放出キャップから離れた箇所に位置する前記保存容器のベース部を形成するプランジャを有する。前記内部容器の貫通後に、前記放出キャップにカニューレを配置することができる。前記放出キャップの方向に前記プランジャを移動させることによって、前記放出キャップの経路を通して前記保存容器から液体を噴射することができる。
【0028】
前記放出手段の形状に関わらず、前記保存容器は均圧化装置を有する容器として構成するのが好適である。例えば、均圧化装置を備えた袋、蛇腹、又はボトル、特に牽引式ピストンボトル又は注射器を使用することができ、前記プランジャは均圧化装置として作用する。
【0029】
好適には、前記保存容器は均圧化開口部を有するボトルを含み、ベース部を有する蛇腹を前記開口部内へと挿入する。代替的に、均圧化開口部を有するボトル内に牽引式ピストンのベース部を存在させ、このベース部は、底のない蛇腹及び/又はバネによって移動させることができるのが好ましい。
【0030】
前記保存容器の材質としては、特に前記第1出発物質とも前記液体製剤とも反応しない材質を選択する。特に、ガラス又はプラスチック材料の容器を使用する。
【0031】
前記内部容器は、化学的に耐性があり、吸湿性が低く、及び/又は広い温度範囲で使用できるよう設計するのが好適である。従って、前記内部容器は金属、特にアルミニウム、プラスチック材料、若しくはガラスからなる、又はそれらの材料のうちの1つを含むことが好ましい。プラスチック材料の一例としてはポリクロロトリフオロエチレン(PCTFE)を挙げることができるが、これは不燃性で、化学的耐性があり、吸湿性がゼロに近く、−240度から204度の範囲の温度で使用できる。PCTFEの他には、PE/PCTFE/PE多層膜を使用可能である(PE=ポリエチレン)。また、片側をラミネート加工したPE/PCTFE膜も可能である。代替的には、シクロオレフィン共重合体(COC)が可能であり、これは実際PCTFEより遮断性は劣るが、より経済的である。さらに、COCは傷を受けやすいため、その両側をPP(ポリプロピレン)で覆い、多層膜とすることができる。これにより、PPは傷を受けやすいCOCの保護層として、更には接着層として作用する。さらに、プラスチック材料をコーティングした(酸化に対する保護)アルミニウム、又は適切な高分子膜、又は多層膜を使用してもよい。
【0032】
前記内部容器は密封容器として構成し、その内容物を密封する。さらに前記内部容器は前記保存容器の内容物を密封する。
【0033】
前記内部容器は第1層及び第2層を有し、その間に前記内部容器の内容物を密封する。それら2つの層はその縁部で取外しのできないように相互に、そして前記保存容器に対して例えば相互に接続し、前記保存容器の前記開口部に溶接、接着、又はラミネート加工する。
【0034】
前記第1層及び前記第2層をPCTFEで作製した場合、それらは数十μmから数百μmの範囲の厚さ、特に102μmの厚さを有する。
【0035】
前記保存容器及び/又は前記内部容器及び/又は前記放出手段の前記経路は、特に内壁内及び/又は内壁上に殺菌剤を有することができ、特に殺菌剤をコーティング、又は殺菌剤を挿入する。殺菌剤は銀、又は例えば塩化銀等の銀塩を含むことが好ましい。
【0036】
前記放出手段は前記入口経路領域にフィルタを備え、このフィルタにより最終液体製剤に含まれる残留物を最終液体製剤から除去することができ、前記放出手段の経路が前記内部容器の残留物によって閉塞することを防止する。
【0037】
場合によっては、前記計量装置は第3出発物質を受け入れる、又は着色剤を受け入れる少なくとも1つの追加容器を有することができる。好適には、かかる追加容器は、前記内部容器の前記保存容器に面する側の前記保存容器の前記開口部領域に、又は前記内部容器の前記放出手段に面する側に、又は前記内部容器の隣に配置し、前記放出手段の前記貫通手段を用いて貫通させることができる。従って、前記最終液体製剤に含まれる例えば3つの出発物質が、それらを混合した場合よりも別々にしておく方がより長期にわたって安定する場合には、前記内部容器と前記追加容器の両方を、例えば前記保存容器の前記開口部に配置するようにする。前記計量装置を作動状態とする際には、前記内部容器と前記追加容器を貫通することにより、それらの内容物が前記保存容器内に入り、3つの出発物質が混ざり合って製剤ができる。なお、この混合は振動によって促進することができる。
【0038】
前記放出手段は、例えば押す、又はねじ込む動作により作動させることができる。
【0039】
押すことによって作動させる場合には、前記保存容器は、前記保存容器の前記開口部を囲む中空円柱若しくは中空角柱を有することが好ましい。この場合にも、前記中空円柱はその全長にわたって中空の円柱として構成し、例えば円形、楕円形、又はバナナの形状をしたベース部等、適切なベース部を有することが好ましい。前記中空円柱若しくは前記中空角柱のベース部を選択する際には、少なくとも前記貫通手段及び好ましくは貫通手段と、これを囲む前記放出手段の中空円柱又は中空角柱が、前記保存容器の前記中空円柱又は前記中空角柱の内部に入り込めるよう選択することが好ましい。前記中空円柱若しくは前記中空角柱は、特に押す動作を行っている間、前記放出手段に対する誘導手段として作用し、前記放出手段の傾斜を回避することができる。
【0040】
ねじ込む動作により作動させようとする場合には、前記計量装置は前記保存容器の方向に前記放出手段を誘導するねじ込みブッシュを有する。かかるねじ込みブッシュは1つ以上のねじ山を有することが好ましい。前記ねじ込みブッシュを回すことによって、前記放出手段が前記保存容器の方向に引き寄せられる。
【0041】
前記計量装置の非作動位置を意図せずに作動状態とすることを防ぐために、前記計量装置は例えば前記保存容器と前記放出手段の間の固定リングとして構成したロック機構を有することが好ましい。
【0042】
汚染から保護するために、前記放出手段に閉止キャップをさらに設け、この閉止キャップは、前記計量装置を作動状態とした後も使用前にその都度取り外し、使用後にその都度再び取り付けることができるようにすることが好ましい。
【0043】
本発明による計量装置では、前記内部容器及び/又は前記保存容器は内容物を酸化及び/又は加水分解から保護するために保護ガス及び/又は不活性ガスを含むことができる。これは、場合によっては配置する追加容器にも適用できる。
【0044】
さらに、保護ガス及び/又は不活性ガス
は、第1出発物質を
散在させることができる。これはまた、第2又は第3出発物質にも適用できる。
【0045】
前記内部容器及び/又は前記保存容器は、好適には保護ガス及び/又は不活性ガスを含む雰囲気下で充填することができる。また、配置する可能性のある追加容器の充填もこのように行うことができる。
【0046】
ここで、前記保護ガスは窒素N
2、二酸化炭素CO
2又はそれらの混合物から選択することができる。
【0047】
好ましくは、前記不活性ガスは窒素、例えばヘリウムHe若しくはアルゴンAr等の希ガス、又はそれらの混合物から選択する。
【0048】
本発明による計量装置の前記保存容器に蛇腹を配置することにより、前記計量装置を使用終了まで確実に密封することができる。
【0049】
さらに本発明は、本発明による計量装置を充填する方法に関する。第1ステップでは、前記保存容器に第1出発物質を充填する。第2ステップでは、前記保存容器の前記開口部領域に、前記内部容器を取外しできないように取り付ける。ここで、前記内部容器は取付け前に充填しておいてもよく、又は特に前記内部容器が第1及び第2層からなる場合には、前記保存容器における前記第1層の取付けと前記第2層の取付けの間に前記内部容器を充填することができる。第3ステップでは、前記放出手段を前記保存容器上に最終的に配置する。前記計量装置が軟質プラスチック材料チューブを含む場合には、前記放出手段を所定の位置に配置する前に前記チューブを前記放出手段に固定して密封を形成し、その後前記放出手段を所定位置に配置する際に、前記チューブが前記保存容器の前記開口部の上にくるよう配置する。
【0050】
前記保存容器の方向に前記放出手段を移動させることにより前記放出手段を作動させると、前記放出手段の前記貫通手段が前記内部容器を貫通し、前記第2出発物質が前記保存容器中に入り込む。前記保存容器の方向に前記放出手段を押すことによって、又は前記保存容器の方向に前記ねじ込みブッシュを回すことによって、前記放出手段を移動させる。より迅速に均一な最終製剤を得るために、前記計量装置を振動させて、前記第1及び第2出発物質、そして場合によっては第3の、又は更なる出発物質を混合させることが好ましい。
【0051】
本発明による計量装置の使用は、医薬、薬剤、化粧品、洗浄剤、化学物質、食品、サプリメント、若しくは液体スパイス/ハーブを、保存料を使用せずに投与することである。化粧品の場合には、例えばアルコール及び保存料を含まない香水を、より長い期間安定させることができる。
【0052】
さらに、ビタミン、ミネラル、酵素、コエンザイム、植物エキス、バクテリア、イーストを個別の物質として、又は複数のそれらの物質の混合物として含むことのできる製剤を投与するべく前記計量装置を使用することも、本発明によるものである。
【0053】
以下の図面を参照して本発明をより詳細に説明するが、本発明はそれらの図面に示す特定の実施形態には限定されない。