特許第6033690号(P6033690)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6033690
(24)【登録日】2016年11月4日
(45)【発行日】2016年11月30日
(54)【発明の名称】高炉内装入物のプロフィル測定装置
(51)【国際特許分類】
   C21B 7/24 20060101AFI20161121BHJP
   C21B 5/00 20060101ALI20161121BHJP
【FI】
   C21B7/24 302
   C21B5/00 311
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-2392(P2013-2392)
(22)【出願日】2013年1月10日
(65)【公開番号】特開2014-133922(P2014-133922A)
(43)【公開日】2014年7月24日
【審査請求日】2015年10月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006655
【氏名又は名称】新日鐵住金株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000203977
【氏名又は名称】日鉄住金テックスエンジ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101557
【弁理士】
【氏名又は名称】萩原 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100096389
【弁理士】
【氏名又は名称】金本 哲男
(74)【代理人】
【識別番号】100095957
【弁理士】
【氏名又は名称】亀谷 美明
(72)【発明者】
【氏名】遠山 治幸
(72)【発明者】
【氏名】緒方 就昭
(72)【発明者】
【氏名】秋元 哲哉
【審査官】 酒井 英夫
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−033619(JP,A)
【文献】 特開2011−145237(JP,A)
【文献】 特開2012−237560(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C21B 5/00−7/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
高炉の炉頂部に設置され、高炉内装入物のプロフィルを測定するプロフィル測定装置であって、
マイクロ波の発信および受信が可能なマイクロ波送受信器と、
前記マイクロ波送受信器から発信されたマイクロ波を放射するアンテナと、
前記マイクロ波送受信器と前記アンテナとを連結する導波管と、
前記アンテナから放射されたマイクロ波を前記高炉の炉内に向けて反射する反射板と、
前記反射板を駆動する反射板駆動装置と、
前記反射板と前記反射板駆動装置とを連結する駆動軸と、
前記反射板で反射されたマイクロ波を透過する耐圧耐熱ガラスと、からなり、
前記アンテナ、前記反射板、および前記耐圧耐熱ガラスが、前記高炉の炉内に向けた炉内側開口部を有する耐圧容器内に収容され、
前記耐圧耐熱ガラスは、前記反射板の炉内に向けた反射方向に固定され、前記反射板とともに前記駆動軸を中心に回転することを特徴とする、高炉内装入物のプロフィル測定装置。
【請求項2】
前記耐圧耐熱ガラスおよび前記反射板が、前記駆動軸を中心に回転する回転容器に収容されていることを特徴とする、請求項1に記載の高炉内装入物のプロフィル測定装置。
【請求項3】
前記耐圧容器の、前記耐圧耐熱ガラスが配置されている位置の頂面に、上部開口部および前記上部開口部を開閉可能な蓋が設けられていることを特徴とする、請求項1または2に記載の高炉内装入物のプロフィル測定装置。
【請求項4】
前記耐圧耐熱ガラスの周囲に、前記高炉の外側から、前記高炉内の炉圧よりも高い圧力で窒素ガスが吹き込まれることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の高炉内装入物のプロフィル測定装置。
【請求項5】
前記炉内側開口部を開閉自在な弁が設けられていることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の高炉内装入物のプロフィル測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高炉内装入物の表面の形状(プロフィル)の測定装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、銑鉄の製造における高炉には、炉頂から装入物として、粉鉄鉱石を焼き固めた焼結鉱や塊状鉄鉱石等(以下では単に鉄鉱石または鉱石と記す)及びコークスが交互に装入されて堆積し、炉内に鉱石層およびコークス層が形成される。そして、高炉下方にある羽口から吹き込まれる熱風とコークスとの反応によって生じるCOガスにより、鉄鉱石は加熱、還元され(間接還元)、一部はコークスにより直接的に還元されて、軟化融着帯を形成した後、溶滴となる。溶滴、すなわち溶銑は、コークス層の間を通過して炉底部に溜まる。炉内に形成された鉱石層およびコークス層は、炉内を徐々に降下する。
【0003】
以上の工程において、高炉に装入された鉄鉱石及びコークスによって形成される炉頂部の装入物分布を調整し、適正なガス分布を得ることは非常に重要である。高炉内炉頂部における装入物のプロフィル(表面形状)は、ベル式装入装置ではムーバブルアーマを、また、ベルレス式装入装置では分配シュートを介する装入物の落下軌跡により決定される。通常、炉頂部の装入物のプロフィルは、高炉の中心鉛直方向(軸心)を軸として中央部が低い略逆円錘形状をなしている。高炉内装入物のプロフィルは、高炉の操業にとって重要な情報であり、従来から炉内に装入され堆積した装入物のプロフィルを測定する装置が開発され、実用化されてきた。
【0004】
例えば特許文献1には、マイクロ波発信器と、アンテナと、これらを連結する導波管と、マイクロ波を反射する反射板と、反射板駆動装置と、これらを連結する駆動軸と、を有し、アンテナ、導波管のアンテナ側の端部、反射板、駆動軸の反射板側の端部が、高炉の炉内に向けた開口部を有する耐圧容器内に収納されているプロフィル測定装置が開示されている。
【0005】
このようなプロフィル測定装置において、従来、アンテナや反射板を高炉内の粉塵等から保護するため、耐圧容器の開口部(図2の炉内側開口部21参照)に、マイクロ波を透過させる耐圧耐熱ガラスがはめ込まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2011−145237号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、プロフィル測定時には、反射板の向きを変え、それに応じてマイクロ波の反射方向を変えて測定を行う。そのため、耐圧容器の開口部に耐圧耐熱ガラスをはめ込む場合、反射方向の全ての範囲にわたって耐圧耐熱ガラスを設ける必要があり、面積の大きいガラスが必要となる。さらに、耐圧耐熱ガラスとしての性能を保つために、面積に伴って厚みも必要になる。また、設置後の耐圧耐熱ガラスのメンテナンスが極めて困難であるという問題点がある。
【0008】
本発明の目的は、高濃度粉塵下の高炉内の影響を受けることがなく、高精度に高炉内装入物のプロフィルが測定できるプロフィル測定装置において、耐圧耐熱ガラスの面積を縮小し厚みを少なくするとともにメンテナンスが容易に行えるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記問題を解決するため、本発明は、高炉の炉頂部に設置され、高炉内装入物のプロフィルを測定するプロフィル測定装置であって、マイクロ波の発信および受信が可能なマイクロ波送受信器と、前記マイクロ波送受信器から発信されたマイクロ波を放射するアンテナと、前記マイクロ波送受信器と前記アンテナとを連結する導波管と、前記アンテナから放射されたマイクロ波を前記高炉の炉内に向けて反射する反射板と、前記反射板を駆動する反射板駆動装置と、前記反射板と前記反射板駆動装置とを連結する駆動軸と、前記反射板で反射されたマイクロ波を透過する耐圧耐熱ガラスと、からなり、前記アンテナ、前記反射板、および前記耐圧耐熱ガラスが、前記高炉の炉内に向けた炉内側開口部を有する耐圧容器内に収容され、前記耐圧耐熱ガラスは、前記反射板の炉内に向けた反射方向に固定され、前記反射板とともに前記駆動軸を中心に回転することを特徴とする、高炉内装入物のプロフィル測定装置を提供する。
【0010】
前記高炉内装入物のプロフィル測定装置において、前記耐圧耐熱ガラスおよび前記反射板が、前記駆動軸を中心に回転する回転容器に収容されていてもよい。また、前記耐圧容器の、前記耐圧耐熱ガラスが配置されている位置の頂面に、上部開口部および前記上部開口部を開閉可能な蓋が設けられてもよい。
【0011】
前記耐圧耐熱ガラスの周囲に、前記高炉の外側から、前記高炉内の炉圧よりも高い圧力で窒素ガスが吹き込まれることが好ましい。また、前記炉内側開口部を開閉自在な弁が設けられてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、反射板とともに耐圧耐熱ガラスも回転し、マイクロ波の反射方向に常にガラスが配置されるので、ガラスの面積および厚みを最小限に縮小できる。また、耐圧耐熱ガラスを上部まで回転させることにより、メンテナンスが容易に行える。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の測定装置を備えた高炉炉頂部の実施の形態の例を示す縦断面図である。
図2】本発明の実施の形態にかかる測定装置の概略を示す正面図である。
図3図2のA−A線から見た測定装置の縦断面図である。
図4図3のB−B線から見た測定装置の平面図である。
図5】回転容器の例を示す斜視図である。
図6】非測定時の状態の例を示す縦断面図である。
図7】本発明にかかる測定装置を用いた測定方法例の説明図であり、(a)は炉内の状態を示す説明図、(b)は補正量を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を、図を参照して説明する。
【0015】
図1は、本発明にかかるプロフィル測定装置1を高炉2に設置した例を示す。高炉2の炉口部にはベルレス式装入装置5が設けられ、鉄鉱石やコークス等の装入物4が、分配シュート6を通って炉内に装入される。本実施形態では、プロフィル測定装置1は、炉頂部付近の、炉体3よりも外側に、炉体3の中心軸に対して対称位置に二個所設置されている。なお、プロフィル測定装置1は、高炉2炉頂部の外側に一個所のみ設置してもよい。
【0016】
図2は、図1のプロフィル測定装置1部分を拡大した図であり、図3は、プロフィル測定装置1の縦断面図であり、図4は、プロフィル測定装置1の平面図である。プロフィル測定装置1は、図3図4に示すように、アンテナ11および反射板12と、アンテナ11および反射板12をそれぞれ支持、駆動、制御する導波管13、マイクロ波送受信器14、駆動軸15、反射板駆動装置16、および、マイクロ波が透過可能な耐圧耐熱ガラス17を有する。そして、このプロフィル測定装置1は、反射板駆動装置16を除いた部分が、耐圧容器20に収容されている。耐圧容器20は、底面に、炉内に向けた炉内側開口部21を有し、図1に示すように高炉2の炉頂部付近に設置される。
【0017】
アンテナ11は、例えばφ250〜φ360mm程度のパラボラアンテナであり、導波管13を介して、マイクロ波送受信器14に連結されている。マイクロ波送受信器14は、周波数が一定範囲で連続的に時間変化するマイクロ波を発生し、当該マイクロ波の発信および受信が可能なものである。マイクロ波送受信器14には、データ処理部18が信号線19で接続されている。
【0018】
マイクロ波送受信器14で発生した、周波数が連続的に変化するマイクロ波は、アンテナ11から放射されて反射板12で反射され、耐圧耐熱ガラス17を透過して、高炉2内の測定対象である装入物4の表面に照射される。照射されたマイクロ波は装入物4の表面で反射し、この反射波をマイクロ波送受信器14で受信して検出する。データ処理部18では、アンテナ11でのマイクロ波の放射から受信までの間の周波数の変化分ΔFから、アンテナ11から測定対象(装入物4の表面)までのマイクロ波の往復時間ΔTが求められ、アンテナ11から測定対象までの距離が算出される。この測定は、マイクロ波を発射する電気信号と、装入物表面からの反射波を受信して得られる電気信号とをミキシングして測定するFMCW(Frequency Modulated Continuous Wave)方式(周波数変調連続波方式)と呼ばれる。当該方式のマイクロ波距離計は、市販の装置を用いてもよい。なお、マイクロ波による当該距離測定方式は、実施形態として使用可能な一例である。
【0019】
測定に用いるマイクロ波の発信周波数帯域は、10GHz以上、好ましくは24GHz程度とし、周波数を高くするほど、アンテナ11を小型化できる。マイクロ波を用いることにより、温度や粉塵等の環境の影響を受けにくく、高炉2内のプロフィルを正確に測定できる。また、パラボラアンテナは指向性が高いため、所望する位置に向けて高精度にマイクロ波を放射できる。さらに、放射時のマイクロ波の広がりが抑制されるために、炉内に向けた開口部21を小さくすることができる。
【0020】
図3、4に示すように、アンテナ11のマイクロ波の送受信方向(中心軸線方向)の延長上に、反射板12と反射板駆動装置16とを連結する駆動軸15が設けられている。すなわち、駆動軸15の中心軸線が、アンテナ11の中心軸線と一致するように、駆動軸15が設けられている。図3に示すように、反射板12は、アンテナ11の中心軸線に対して略45°の角度で駆動軸15に固定されている。反射板12は、例えばステンレスの板材からなり、アンテナ11の正面側から見た面積が、アンテナ11よりも少し大きいものとする。形状は限定しないが、操作性の上では円形が好ましい。反射板駆動装置16により駆動軸15をその中心軸の周りに回転させることで、アンテナ11からその中心軸方向に放射されたマイクロ波を、反射板12で、例えば図2に示すように、高炉2の炉内側へ向けて反射し、高炉2の直径方向に走査する。プロフィル測定装置1は、マイクロ波が炉の中心軸を通るように配置することが望ましい。
【0021】
耐圧耐熱ガラス17は、反射板12の反射方向の投影面全体を覆う大きさおよび形状とし、マイクロ波を透過させるものとする。また、高炉2内の圧力に対して十分な耐圧性能が必要であり、例えば耐圧設計0.3MPa程度、耐熱温度200℃程度、厚さ40mm程度の強化ガラスや、耐熱温度1000℃程度、厚さ25mm程度の石英ガラスなどが用いられる。
【0022】
本実施形態において、反射板12および耐圧耐熱ガラス17は、互いの位置関係を固定した状態で、円筒状の回転容器22内に収容されている。回転容器22は、例えば図5に示すように、円筒状の本体22aの外周にレール22bを有し、耐圧容器20内に固定されたレール受け23(図3、4)に沿って、駆動軸15を中心として回転する。したがって、回転容器22内で反射板12が回転した際に、耐圧耐熱ガラス17も反射板12の反射方向に配置された状態で回転するため、耐圧耐熱ガラス17は、最小限の面積および厚みで、常に反射板12で反射したマイクロ波を透過させることができる。
【0023】
以上のように、耐圧耐熱ガラス17が、常に反射板12の反射方向の投影面に配置された状態で反射板12とともに回転することにより、耐圧耐熱ガラス17の面積および厚みを最小限に縮小することができるので、コストを抑えることができる。一例として、本発明の構成では300φで25mm厚の石英ガラスが適用される装置の場合、従来の構成ではおよそ400mm×1200mmの大きさで40mm厚のガラスが必要であった。
【0024】
耐圧容器20の炉内側開口部21は、高炉2の炉内に連通している。炉内側開口部21は、反射板12で反射したマイクロ波が、炉内の所定範囲に照射されるように形成される。また、図3に示すように、炉内側開口部21を開閉可能な例えばスイング式の弁24が設けられる。弁24は、プロフィル測定時以外には、高炉2から耐圧容器20側に粉塵等が入り込むのを防ぐために、図3の二点鎖線で示す位置に配置させて炉内側開口部21を塞ぐ。プロフィル測定時には、図3の実線で示すように下方に向けて退避させ、炉内側開口部21を開放する。プロフィル測定を行わないときには、図6に示すように、弁24を閉じるとともに、耐圧耐熱ガラス17が上側に配置されるように回転容器22を回転させることにより、耐圧耐熱ガラス17を高炉2の熱等から保護することができる。なお、弁24は仕切式のものでもよい。
【0025】
さらに、耐圧容器20は、反射板12および耐圧耐熱ガラス17が配置されている位置の頂面に上部開口部25を有し、上部開口部25を閉じる蓋26が設けられている。図6に示すように耐圧耐熱ガラス17が上側に配置されるまで回転容器22を回転させた後、蓋26を開けることにより、耐圧耐熱ガラス17の点検や清掃、あるいは交換等を容易に行うことができる。
【0026】
尚、耐圧容器20および回転容器22の内面は、炉内側開口部21、上部開口部25、および反射板12の反射面側を除いて、発信周波数帯域に対応した電波吸収体27で覆われている。電波吸収体27を設けることにより、耐圧容器20内でのマイクロ波の乱反射や多重反射に起因する測定ノイズが抑制される。
【0027】
また、プロフィル測定時には、高炉2内部のガスや粉塵等が耐圧容器20内に侵入するのを防ぎ、さらに耐圧容器20を介して外部へ高炉2内のガス等が漏洩するのを防止する目的で、耐圧容器20内に、例えば炉内圧の1.1倍程度の圧力になるように、窒素ガスで加圧を行う。図3に示すように、窒素ガスは、耐圧耐熱ガラス17の表面に沿って吹き込むことで、耐圧耐熱ガラス17の表面に炉内の粉塵等が付着することが防止でき、粉塵等の付着によるマイクロ波の減衰を防止することができる。さらに、プロフィル測定時には、耐圧容器20の炉内側開口部21の位置に水平方向に、高炉2の外側から、炉内圧よりも少し高い圧力、例えば炉内圧+0.4MPa程度の圧力で窒素ガスを吹き込む。これにより、高炉2の吹き上げ等が起きたときでも、炉内側に圧力が作用するため、炉内の粉塵等が入り込むことがなく、プロフィル測定装置1を保護することができる。尚、耐圧容器20内に吹き込むガスは、窒素以外の不活性ガスでもよい。
【0028】
さらに、耐圧容器20の炉内側開口部21や、耐圧容器20内のマイクロ波送受信器14の周囲等に、高炉2の外側から冷却水を流し、プロフィル測定装置1を炉内の熱から保護するようにしてもよい。尚、窒素ガスの吹き込みによっても、耐熱容器20内の冷却効果が発揮される。
【0029】
以下、本発明のプロフィル測定装置1を用いて高炉内装入物のプロフィルを測定する手順の例を説明する。なお、以下に説明する測定方法は一例であり、本発明は、この測定方法に限って使用されるものではない。
【0030】
先ず、プロフィル測定装置1の反射板12の向きを初期位置に向けて、マイクロ波送受信器14からマイクロ波を発信する。マイクロ波は、導波管13、アンテナ11を介して、反射板12により反射され、耐圧耐熱ガラス17を透過して高炉内装入物4に照射され、装入物4までの距離Dを測定する。そして、反射板12を、例えば直下のプロフィルを測定する初期位置から、予め設定した所定位置、例えば炉の内径方向反対側を測定する位置までの間、反射板駆動装置16により回転させる。所望の空間分解能に応じて予め設定した角度ごとに、装入物4までの距離を測定してその距離データが、また、反射板駆動装置16はそのときの走査角度データが、データ処理部18へ送られる。その後、反射板12を初期位置側へ戻し、例えば1分など所定の時間間隔Tで、再度同様の測定を行う。データ処理部18は、入力された走査角度データおよびそのときの距離データに基づいて、高炉内の各位置の装入物プロフィルを演算する。このとき、例えばマイクロ波を直下に向けた位置などの任意の位置において、予め設定した同一走査角度時の1回目の距離データD1と2回目の距離データD2から、高炉内装入物4の降下速度Vを演算する。降下速度Vは、以下の式で求められる。
V=(D2−D1)/T=ΔD/T
【0031】
次に、測定した距離データの補正量を求める。本実施形態においては、炉の内径方向の水平距離に応じて、測定時の時間差による降下量の補正を行う。すなわち、図7(a)に示すように、初期位置を測定した測定開始時から測定終了時までには装入物4が降下するため、降下補正量rは、図7(b)に示すように、初期位置から炉内径Lの水平方向の距離xが増すにつれて減少し、初期位置の反対側では0となる。測定位置による測定時間差を考慮し、その時間tで降下する量rを、炉の内径方向の距離に応じて補正する。つまり、初期位置の反対側を測定した時刻における装入物4の高さ位置を、補正により求める。尚、降下補正量rは、以下の式で求められる。
r=V×t
【0032】
このように、プロフィル測定値を降下補正量rで補正することにより、測定中の装入物4の降下の影響を排除した高炉内装入物4のプロフィルが求められる。なお、降下速度Vを、炉内位置によらず一定とすることで、簡易的なプロフィルを求めることもできる。
【0033】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到しうることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明は、高温で粉塵等が発生する炉内の表面形状の測定装置に適用できる。
【符号の説明】
【0035】
1 プロフィル測定装置
2 高炉
3 炉体
4 装入物
5 ベルレス式装入装置
6 分配シュート
11 アンテナ
12 反射板
13 導波管
14 マイクロ波送受信器
15 駆動軸
16 反射板駆動装置
17 耐圧耐熱ガラス
18 データ処理部
20 耐圧容器
21 炉内側開口部
22 回転容器
24 弁
25 上部開口部
26 蓋
27 電波吸収体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7