(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記旋回優先弁制御ステップは、前記ブームシリンダボトム圧検出ステップで検出した前記ボトム圧が所定の圧力より高いときに、前記旋回優先弁の開度を減少させて、前記ブームシリンダに供給する作動油の流量を増加させる、
ことを特徴とする、請求項6に記載の油圧回路の制御方法。
【発明を実施するための形態】
【0011】
添付の図面を参照しながら、本発明の限定的でない例示の実施形態について説明する。なお、添付の全図面の中の記載で、同一又は対応する部材又は部品には、同一又は対応する参照符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面は、部材もしくは部品間の相対比を示すことを目的としない。したがって、具体的な寸法は、以下の限定的でない実施形態に照らし、当業者により決定することができる。
【0012】
以後に、実施形態に係る建設機械100を用いて、本発明を説明する。なお、本発明は、本実施形態以外でも、流量制御弁(例えば旋回優先弁)を用いて旋回動作を優先する制御を行う油圧回路を備える機械であれば、いずれのものにも用いることができる。また、本発明を用いることができる建設機械には、油圧ショベル、クレーン車、ブルドーザ、ホイールローダ及びダンプトラック、並びに、杭打ち機、杭抜き機、ウォータージェット、泥排水処理設備、グラウトミキサ、深礎工用機械及びせん孔機械などが含まれる。
【0013】
本実施形態に係る建設機械100を用いて、下記に示す順序で本発明を説明する。
【0014】
1.建設機械の構成
2.建設機械の油圧回路
3.油圧回路の制御方法
[1.建設機械の構成]
図1を用いて、本実施形態に係る建設機械100の概略構成を説明する。
【0015】
図1に示すように、本実施形態に係る建設機械100は、キャブ(運転室)10Cbを搭載した上部旋回体10Upと、車輪等を用いて建設機械100の移動を行う下部走行体10Dwとを備える。また、建設機械100は、油圧アクチュエータ(アタッチメント)として、上部旋回体10Upに基端部を軸支されたブーム11と、ブーム11の先端に軸支されたアーム12と、アーム12の先端に軸支されたバケット13とを備える。更に、建設機械100は、油圧シリンダとして、ブーム11を駆動するブームシリンダ11cと、アーム12を駆動するアームシリンダ12cと、バケット13を駆動するバケットシリンダ13cとを備える。
【0016】
本実施形態に係る建設機械100は、後述する油圧回路20(
図2)を用いて、ブームシリンダ11cに作動油(圧油)を供給することによって、ブームシリンダ11cを長手方向に伸縮する。このとき、ブーム11は、ブームシリンダ11cの伸縮によって、キャブ10Cbの前方及び上方で上下方向に駆動される。また、建設機械100は、キャブ10Cbの室内のオペレータ(運転者、作業者)の操作レバーの操作量(及び操作方向)に応じてブーム用方向制御弁を制御し、ブームシリンダ11cに供給される作動油を制御する。この結果、建設機械100は、オペレータの操作レバーの操作量等に応じて、所望の作業を実施することができる。
【0017】
ブーム11の場合と同様に、建設機械100は、アームシリンダ12c及びバケットシリンダ13cの伸縮によって、キャブ10Cbの前方及び/又は上方でアーム12及びバケット13を駆動する。建設機械100は、ブームシリンダ11cの場合と同様に、アーム用方向制御弁及びバケット用方向制御弁によって、アームシリンダ12c及びバケットシリンダ13cに供給される作動油を制御する。
【0018】
また、本実施形態に係る建設機械100は、下部走行体10Dwの車輪及び旋回モータ14mを用いて、建設機械100の走行(前後左右の移動)及び上部旋回体10Upの回転(以下、「旋回動作」という。)を行う。なお、建設機械100は、走行用の方向制御弁などを更に用いて、オペレータの操作レバーの操作量などに応じて、建設機械100の走行などを実施してもよい。
【0019】
更に、本実施形態に係る建設機械100は、後述する旋回優先弁Vsp(
図2)などを用いて、旋回動作を優先する。旋回優先弁Vspは、旋回動作及びアーム動作の同時操作時に、例えばアームシリンダ12cに供給する作動油(圧油)の流量を減少させることによって、旋回動作を優先する制御を実施する。なお、旋回優先弁Vspを用いた油圧回路の制御方法は、後述する[3.油圧回路の制御方法]で説明する。
【0020】
[2.建設機械の油圧回路]
図2を用いて、本発明の実施形態に係る建設機械100の油圧回路20を説明する。
図2は、本実施形態に係る油圧回路20の一例(油圧駆動式旋回優先弁の場合)を示す概略油圧回路図である。
【0021】
なお、
図2に記載した実線は、油路(圧油の通路)を示す。点線は、パイロット回路(リモコン回路)の油路を示す。//を付加している実線は、電気制御系を示す。一点鎖線は、圧油の圧力を検出するための油路を示す。
【0022】
図2に示すように、油圧回路20は、圧油(作動油)を吐出する油圧ポンプPmpと、油圧ポンプPmpから吐出された圧油を供給される方向制御弁(Vsw、Vb及びVa)と、アーム用方向制御弁Vaの上流側の油路に配置された旋回優先弁Vspと、を有する。また、油圧回路20は、旋回用方向制御弁Vswの制御ポートに入力する旋回パイロット圧Sswを検出する旋回パイロット圧検出手段20Sswと、ブーム用方向制御弁Vbのブーム上げ方向に対応する制御ポートに入力するブーム上げパイロット圧Sbpを検出するブーム上げパイロット圧検出手段20Sbpと、ブームシリンダ11cのボトム圧Sbcを検出するブームシリンダボトム圧検出手段20Sbcと、を有する。更に、油圧回路20は、旋回優先弁Vspの制御ポートに入力する旋回優先パイロット圧を制御する電磁比例減圧弁20Vdと、油圧回路20の全体の動作を制御する制御手段20Cと、を有する。
【0023】
本実施形態に係る油圧回路20は、油圧ポンプPmpの動作を制御することによって、油圧ポンプPmpから吐出した圧油を方向制御弁(Vsw等)に供給(入力)する。また、油圧回路20は、方向制御弁(Vsw等)の動作を制御することによって、方向制御弁から油圧シリンダ(
図1の11c、12c及び13c)、及び、油圧モータ(
図1の旋回モータ14m)に供給(流入)する作動油(圧油)の流量及び方向を制御する。更に、油圧回路20は、旋回パイロット圧検出手段20Ssw等を用いて検出した圧力に基づいて、旋回優先弁Vspの開度を制御する。
【0024】
油圧ポンプPmpは、油圧シリンダ(11c等)に流入する圧油(作動油)を吐出するものである。油圧ポンプPmpは、図示しない動力源(原動機、エンジン、モータなど)の出力軸に機械的に接続され、動力源の動力を用いて圧油を吐出する構成であってもよい。
【0025】
方向制御弁(Vsw、Vb及びVa)は、旋回モータ14c又はブームシリンダ11c若しくはアームシリンダ12cに供給する圧油(作動油)の流量及び流れ方向を制御するものである。なお、
図2では、バケット用方向制御弁を省略している。また、
図2では、方向制御弁のスプールの形状等を省略している。
【0026】
また、方向制御弁は、その制御ポートに入力されるパイロット圧(リモコン圧)に基づいて、油圧シリンダ(又は油圧モータ)に供給(流入)する圧油の流量及び流れ方向を制御する。具体的には、方向制御弁のスプールの形状等は、油圧シリンダに圧油(作動油)を供給するための内部通路、及び、油圧シリンダ(又は油圧モータ)からの戻り油をタンクに排出するための内部通路を備える。方向制御弁は、入力されたパイロット圧に応じてそのスプール位置を切り替えられ、その内部通路の経路を変化される。方向制御弁は、例えばオペレータが操作した操作レバー(不図示)の操作量(及び操作方向)に応じたパイロット圧を入力されて、油圧シリンダ(又は油圧モータ)に供給する圧油の流量(操作量)及び流れ方向(操作方向)を変化される。
【0027】
油圧シリンダ(
図1の11c等)は、その伸縮動作によって油圧アクチュエータ(
図1の11等)を駆動するものである。油圧シリンダは、
図1に示すように、本実施形態の建設機械100では、ブーム11を駆動するブームシリンダ11cと、アーム12を駆動するアームシリンダ12cと、バケット13を駆動するバケットシリンダ13cとを備える。油圧シリンダは、方向制御弁から供給された圧油(作動油)を用いて、長手方向に伸縮する。これにより、油圧シリンダは、油圧アクチュエータを駆動する。なお、油圧シリンダからの戻り油(作動油)は、方向制御弁等を介して、タンク等に排出される。
【0028】
また、油圧シリンダは、シリンダ容器とピストン等で構成することができる。油圧シリンダは、ボトム側(ヘッド側、押し側)のチャンバ及びロッド側(引き側)のチャンバに作動油(圧油)を供給される。油圧シリンダは、ボトム側に作動油を供給された場合に、内蔵するピストン等を押し方向に移動して、長手方向に伸張する。また、油圧シリンダは、ロッド側に作動油を供給された場合に、内蔵するピストン等を引き方向に移動して、長手方向に縮小する。
【0029】
旋回優先弁Vspは、アームシリンダ12cに作動油を供給するアーム用方向制御弁Vaに流入する圧油の流量を制御するものである。旋回優先弁Vspは、油圧ポンプPmpから吐出された圧油の油路(センターライン)と並列に配置された油路(パラレルライン)に配置(介装)されている。また、旋回優先弁Vspは、アーム用方向制御弁Vaの上流側の油路に配置されている。旋回優先弁Vspは、例えばメータイン弁、流量制御弁などを用いることができる。
【0030】
また、旋回優先弁Vspは、その制御ポートに入力される旋回優先パイロット圧に基づいて、その開度を変化される。旋回優先弁Vspは、本実施形態に係る建設機械100では、その制御ポートに後述する電磁比例減圧弁20Vdによって制御(減圧)されたブーム上げパイロット圧Sbp入力される。すなわち、旋回優先弁Vspは、旋回優先パイロット圧にブーム上げパイロット圧Sbpを用いる。
【0031】
更に、旋回優先弁Vspは、その開度を変化させることによって、アーム用方向制御弁Vaに流入させる圧油の流量を制御する。すなわち、旋回優先弁Vspは、その開度(開口面積)を減少させることによって、アーム用方向制御弁Vaに流入させる圧油の流量を減少させる。これにより、旋回優先弁Vspは、アーム用方向制御弁Vaに流入させる圧油の流量を減少させることによって、アームシリンダ12cに供給する作動油(圧油)の流量を減少させ、アームシリンダ12c(アーム12)の動作を制限することができる。
【0032】
旋回パイロット圧検出手段20Sswは、旋回モータ14mに作動油を供給する旋回用方向制御弁Vswの制御ポートに入力する旋回パイロット圧Sswを検出する手段である。旋回パイロット圧検出手段20Sswは、旋回用方向制御弁Vswの制御ポートに接続された油路に配置(介装)されている。なお、
図2では、旋回用方向制御弁Vswはシャトル弁を用いて旋回パイロット圧Sswを検出しているが、本発明に用いることができる旋回用方向制御弁Vswはシャトル弁を用いない構成であってもよい。
【0033】
ブーム上げパイロット圧検出手段20Sbpは、ブームシリンダ11cに作動油を供給するブーム用方向制御弁Vbのブーム上げ方向に対応する制御ポートに入力するブーム上げパイロット圧Sbpを検出する手段である。ブーム上げパイロット圧検出手段20Sbpは、ブーム用方向制御弁Vbのブーム上げ方向に対応する制御ポートに接続された油路に配置(介装)されている。
【0034】
ブームシリンダボトム圧検出手段20Sbcは、ブームシリンダ11cのボトム圧Sbcを検出する手段である。ブームシリンダボトム圧検出手段20Sbcは、ブームシリンダ11cのボトム側に接続された油路に配置(介装)されている。
【0035】
なお、旋回パイロット圧検出手段20Ssw、ブーム上げパイロット圧検出手段20Sbp及びブームシリンダボトム圧検出手段20Sbcは、圧力センサを用いることができる。
【0036】
電磁比例減圧弁20Vdは、旋回優先弁Vspの制御ポートに入力する旋回優先パイロット圧を制御するものである。電磁比例減圧弁20Vdは、1次側をブーム上げパイロット圧Sbpの油路に接続され、2次側を旋回優先弁Vspの制御ポートに接続され、制御ポートに制御手段20C(後述)を接続されている。なお、後述するように電磁比例減圧弁20Vdに代えて電磁比例弁を用いることができる。
【0037】
電磁比例減圧弁20Vdは、制御手段20Cから入力された信号に基づいて、その開度を減少させる。また、電磁比例減圧弁20Vdは、その開度を減少させることによって、1次側から入力されたブーム上げパイロット圧Sbpを補正(減圧)する。更に、電磁比例減圧弁20Vdは、補正(減圧)したブーム上げパイロット圧Sbpを旋回優先パイロット圧として、旋回優先弁Vspの制御ポートに入力する。
【0038】
制御手段20Cは、油圧回路20の全体の動作を制御する手段である。制御手段20Cは、油圧回路20に入力される情報に応じて、油圧ポンプPmp(及び
図3のパイロットポンプPmp−PL)、並びに、旋回パイロット圧検出手段20Ssw、ブーム上げパイロット圧検出手段20Sbp、ブームシリンダボトム圧検出手段20Sbc、電磁比例減圧弁20Vd(若しくは
図3の電磁比例弁20Vp)及び旋回優先弁Vspなどを制御する。また、制御手段20Cは、旋回パイロット圧検出手段20Sswが検出した旋回パイロット圧Sswに基づいて旋回優先弁Vspの開度を制御する。更に、制御手段20Cは、ブーム上げ及びアーム閉じの同時操作時に、ブーム上げパイロット圧検出手段20Sbpが検出したブーム上げパイロット圧Sbp及びブームシリンダボトム圧検出手段20Sbcが検出したボトム圧Sbcを更に用いて、旋回優先弁Vspの開度を制御する。なお、制御手段20Cが旋回優先弁Vspを制御する方法は、後述する[3.油圧回路の制御方法]で説明する。
【0039】
制御手段20Cは、例えば建設機械100の動作を制御するために予め備えられたコントローラを利用してもよい。ここで、コントローラは、CPU及びメモリ(ROM、RAMなど)等を含む演算処理装置で構成することができる。
【0040】
図3に、建設機械100に用いることができる油圧回路の他の例(電磁比例減圧弁20Vdに代えて電磁比例弁20Vpを用いた油圧駆動式旋回優先弁の場合)を示す。なお、
図3に記載した実線は、油路(圧油の通路)を示す。点線は、パイロット回路(リモコン回路)の油路を示す。//を付加している実線は、電気制御系を示す。一点鎖線は、圧油の圧力を検出するための油路を示す。
【0041】
図3に示すように、他の例の油圧回路20Eは、
図2に示す油圧回路20(電磁比例減圧弁20Vdを用いた油圧駆動式旋回優先弁の場合)と比較して、電磁比例弁(正比例)20Vpを用いる点で異なる。なお、油圧回路20Eの他の部分は、
図2に示す油圧回路20と同様のため、説明を省略する。
【0042】
油圧回路20Eの電磁比例弁20Vpは、旋回優先弁Vspの制御ポートに入力する旋回優先パイロット圧を制御するものである。電磁比例弁20Vpは、1次側をパイロットポンプPmp−PLの吐出油路に接続され、2次側を旋回優先弁Vspの制御ポートに接続され、制御ポートに制御手段20Cを接続されている。
【0043】
電磁比例弁20Vpは、制御手段20Cから入力された信号に基づいて、1次側から入力されたパイロットポンプPmp−PLの吐出圧(一次圧)を調圧して二次圧を生成する。また、電磁比例弁20Vpは、生成した二次圧を旋回優先パイロット圧として、旋回優先弁Vspの制御ポートに入力する。これにより、電磁比例弁20Vp(制御手段20C)は、旋回優先弁Vspの開度を制御(減少)することができる。
【0044】
図4に、建設機械100に用いることができる油圧回路の更に他の例(電動式旋回優先弁の場合)を示す。なお、
図4に記載した実線は、油路(圧油の通路)を示す。点線は、パイロット回路(リモコン回路)の油路を示す。//を付加している実線は、電気制御系を示す。一点鎖線は、圧油の圧力を検出するための油路を示す。
【0045】
図4に示すように、他の例の油圧回路20Fは、
図3に示す油圧回路20E(電磁比例減圧弁20Vpを用いた油圧駆動式旋回優先弁の場合)と比較して、電動式の旋回優先弁Vspeを用いる点で異なる。なお、油圧回路20Fの他の部分は、
図3に示す油圧回路20Eと同様のため、説明を省略する。
【0046】
他の例の油圧回路20Fでは、制御手段20Cは、旋回パイロット圧検出手段20Sswが検出した旋回パイロット圧Ssw、ブーム上げパイロット圧検出手段20Sbpが検出したブーム上げパイロット圧Sbp及びブームシリンダボトム圧検出手段20Sbcが検出したボトム圧Sbcに基づいて、旋回優先弁Vspeを制御するための指令信号を生成する。また、制御手段20Cは、生成した指令信号を旋回優先弁Vspe(の制御ポート)に入力し、旋回優先弁Vspeの開度(開口面積)を制御する。
【0047】
[3.油圧回路の制御方法]
図5乃至
図10を用いて、本発明の実施形態に係る建設機械100の油圧回路20において、制御手段20Cが実施する制御方法を説明する。
【0048】
図5は、本実施形態に係る建設機械100の油圧回路20の制御方法の一例を説明するフローチャート図である。
図6は、ボトム圧Sbcに対応する電磁比例減圧弁20Vdに入力する指令電流値の一例を説明する説明図(制御マップ)であり、図中の縦軸は電磁比例減圧弁20Vdに入力する指令電流値Irであり、横軸はブーム上げパイロット圧Sbpである。
図7は、電磁比例減圧弁20Vdの二次圧の一例を説明する説明図であり、図中の縦軸は電磁比例減圧弁20Vdの二次圧Pspであり、横軸は電磁比例減圧弁20Vdに入力する指令電流値Irである。
図8は、旋回優先弁Vspの開口面積(開度)の一例を説明する説明図であり、図中の縦軸は旋回優先弁Vspの開口面積Asであり、横軸は電磁比例減圧弁20Vdの二次圧Pspである。なお、電磁比例減圧弁20Vdに代えて電磁比例弁(
図3のVp)を用いる場合には、
図6の特性に代えて
図9の特性となり、
図7の特性に代えて
図10の特性となる。また、本発明に用いることができる図(制御マップ)は、
図6乃至
図10に示すものに限定されるものではない。
【0049】
図5に示すように、本実施形態に係る油圧回路20の制御手段20Cは、先ず、ステップS501において、オペレータが操作した操作レバーの操作方向(及び操作量)に応じて、作業(
図1のブーム11等の動作)を開始する。具体的には、制御手段20Cは、油圧シリンダ(11c等)に作動油を供給するために油圧ポンプPmpから圧油を吐出する。また、制御手段20Cは、油圧シリンダに供給された作動油を用いて、油圧アクチュエータ(11等)を駆動する。
【0050】
開始後、制御手段20Cは、ステップS502に進む。
【0051】
次に、ステップS502において、制御手段20Cは、旋回パイロット圧検出ステップとして、旋回パイロット圧検出手段20Ssw(
図2)を用いて、旋回用方向制御弁Vswの制御ポートに入力している旋回パイロット圧Sswを検出する。このとき、制御手段20Cは、検出された旋回パイロット圧Sswを入力される。
【0052】
その後、制御手段20Cは、ステップS503に進む。
【0053】
ステップS503において、制御手段20Cは、ブーム上げパイロット圧検出ステップとして、ブーム上げパイロット圧検出手段20Sbp(
図2)を用いて、ブーム用方向制御弁Vbのブーム上げ方向に対応する制御ポートに入力しているブーム上げパイロット圧Sbpを検出する。このとき、制御手段20Cは、検出されたブーム上げパイロット圧Sbpを入力される。
【0054】
その後、制御手段20Cは、ステップS504に進む。
【0055】
ステップS504において、制御手段20Cは、ブームシリンダボトム圧検出ステップとして、ブームシリンダボトム圧検出手段20Sbc(
図2)を用いて、ブームシリンダ11cのボトム圧Sbcを検出する。このとき、制御手段20Cは、検出されたボトム圧Sbcを入力される。
【0056】
その後、制御手段20Cは、ステップS505Aに進む。
【0057】
次いで、ステップS505Aにおいて、制御手段20Cは、旋回優先弁制御ステップとして、旋回動作を優先するか否かを判断する。具体的には、制御手段20Cは、ステップS502で検出した旋回パイロット圧Sswに基づいて、旋回動作を優先するか否かを判断する。制御手段20Cは、検出した旋回パイロット圧Sswが例えば所定の閾値を越える場合に、旋回動作を優先すると判断する。
【0058】
旋回動作を優先すると判断した場合には、制御手段20Cは、ステップS506Aに進む。それ以外の場合には、制御手段20Cは、ステップS505Bに進む。
【0059】
ステップS506Aにおいて、制御手段20Cは、旋回優先弁制御ステップとして、旋回動作を優先する。ここで、制御手段20Cは、旋回優先弁Vspを用いて、アーム12の動作を制限する。すなわち、制御手段20Cは、アーム12の動作を制限し、旋回用方向制御弁Vswから作動油を供給される旋回モータ14mによる旋回動作を優先する。
【0060】
具体的には、制御手段20Cは、電磁比例減圧弁20Vdの開度を減少させ、旋回優先弁Vspの制御ポートの入力するブーム上げパイロット圧Sbp(旋回優先パイロット圧)を補正(減圧)する。これにより、制御手段20Cは、旋回優先弁Vspの開度を減少させ、アーム用方向制御弁Vaに供給する圧油の流量を減少させることができる。また、制御手段20Cは、アーム用方向制御弁Vaに供給する圧油の流量を減少させることによってアームシリンダ11cに供給する作動油(圧油)の流量を減少させ、アーム12の動作を制限する。
【0061】
その後、制御手段20Cは、ステップS507に進む。
【0062】
ステップS507において、制御手段20Cは、オペレータが建設機械100に入力する情報に応じて、運転(作業)を継続するか否かを判断する。運転を継続する場合には、制御手段20Cは、ステップS502に戻る。運転を継続しない場合には、制御手段20Cは、図中のENDに進み、建設機械100の作業を終了する。
【0063】
一方、ステップS505Bにおいて、制御手段20Cは、旋回優先弁制御ステップとして、ブーム上げ動作を優先するか否かを判断する。具体的には、制御手段20Cは、ブーム上げ動作及びアーム閉じ動作の同時操作時に、ステップS504で検出したボトム圧Sbcに基づいて、ブーム上げ動作を優先するか否かを判断する。制御手段20Cは、検出したボトム圧Sbcが所定の圧力を越える場合に、ブーム上げ動作を優先すると判断する。
【0064】
ここで、所定の圧力とは、油圧ポンプPmp(
図2)の吐出流量に対応する圧力とする。また、所定の圧力とは、ブーム11及びアーム12、並びに、その他建設機械100の仕様に対応する圧力としてもよい。更に、所定の圧力を、実験又は数値計算等で予め定められる圧力とすることができる。
【0065】
ブーム上げ動作を優先しないと判断した場合には、制御手段20Cは、ステップS506Bに進む。ブーム上げ動作を優先すると判断した場合には、制御手段20Cは、ステップS506Cに進む。
【0066】
次いで、ステップS506Bにおいて、制御手段20Cは、ブーム上げパイロット圧Sbpを旋回優先弁Vspの制御ポートに入力して、旋回優先弁Vspの開度を制御する。その後、制御手段20Cは、ステップS507に進む。
【0067】
他方、ステップS506Cにおいて、制御手段20Cは、ステップS504で検出したボトム圧Sbcに基づいて旋回優先弁Vspの開度を制御し、ブーム上げ動作を優先する。具体的には、制御手段20Cは、
図6に示すように、先ず、検出したボトム圧Sbc(例えば図中のSbc1、Sbc2、Sbc3又はSbc4)に対応する指令電流値Irを算出する。なお、電磁比例減圧弁20Vd(
図2)を用いた場合には、
図6に示すように検出したボトム圧Sbcが大きくなるほど指令電流値Irの増加率が大きくなるようにSbc1〜Sbc4が適宜選択される。また、他の例の油圧回路20E(
図3)の電磁比例弁20Vpを用いる場合には、
図9に示すように検出したボトム圧Sbcが小さくなるほど指令電流値Irの増加率が大きくなるようにSbc1〜Sbc4が適宜選択される。次に、制御手段20Cは、
図7に示すように、算出した指令電流値Irを電磁比例減圧弁20Vd(
図2)に入力し、電磁比例減圧弁20Vdの二次圧Pspを制御(減圧)する。なお、他の例の油圧回路20E(
図3)の電磁比例弁20Vpを用いた場合には、
図10の特性が用いられる。次いで、制御手段20Cは、
図8に示すように、制御した電磁比例減圧弁20Vdの二次圧Pspを旋回優先弁Vspの制御ポートに入力し、旋回優先弁Vspの開口面積Asを減少させる。
【0068】
これにより、制御手段20Cは、旋回優先弁Vspの開度を減少させることによってアーム用方向制御弁Vaに供給する圧油の流量を減少させ、低負荷側のアーム12の動作を制限することができる。また、制御手段20Cは、ブームシリンダ11cに供給する作動油の流量を増加させ、高負荷側のブーム11の動作を優先することができる。
【0069】
その後、制御手段20Cは、ステップS507に進む。
【0070】
なお、制御手段20Cは、他の例の油圧回路20F(
図4)を用いて旋回優先弁Vspeの開度を制御する場合には、ステップS503で検出したブーム上げパイロット圧Sbp及びステップS504で検出したボトム圧Sbcに基づいて旋回優先弁Vspeに入力する指令信号を生成し、生成した指令信号を旋回優先弁Vspeに入力して、旋回優先弁Vspeの開口面積(開度)を制御する。なお、油圧回路20Fの他の制御方法は、上記の油圧回路20と同様のため、説明を省略する。
【0071】
以上により、本発明の実施形態に係る建設機械100の油圧回路又はその制御方法によれば、ブーム上げ及びアーム閉じの同時操作時に、ブーム上げパイロット圧Sbp及びブームシリンダのボトム圧Sbcを用いて旋回優先弁Vspを制御して、ブーム上げ動作を優先することができる。油圧回路又はその制御方法によれば、例えばエンドアタッチメントが重たい場合、又は、エンドアタッチメントの荷が重たい場合で、且つ、ブーム11の上げ動作とアーム12の閉じ動作とを同時に操作するときに、旋回優先弁Vspを用いてブーム上げ動作を優先することができる。また、油圧回路又はその制御方法によれば、例えば掘削作業時若しくはならし作業時又は旋回押付け掘削時などに、ブーム11の負荷によらずに良好な操作性を得ることができる。すなわち、本発明に係る油圧回路又はその制御方法によれば、オペレータの意思に則した操作を実施することができるので、ブーム11の上げ動作とアーム12の閉じ動作とを同時に操作するときの操作性を向上することができる。
【0072】
以上のとおり、本発明に係る建設機械の油圧回路及びその制御方法の実施形態について説明したが、本発明は、上述した実施形態に制限されるものではない。また、本発明は、添付の特許請求の範囲に照らし、種々に変形又は変更することが可能である。