(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6033715
(24)【登録日】2016年11月4日
(45)【発行日】2016年11月30日
(54)【発明の名称】管式熱交換器用洗浄体捕集装置
(51)【国際特許分類】
F28G 1/12 20060101AFI20161121BHJP
【FI】
F28G1/12 C
【請求項の数】9
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-54725(P2013-54725)
(22)【出願日】2013年3月18日
(65)【公開番号】特開2014-181820(P2014-181820A)
(43)【公開日】2014年9月29日
【審査請求日】2015年7月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】514030104
【氏名又は名称】三菱日立パワーシステムズ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000233044
【氏名又は名称】株式会社日立パワーソリューションズ
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 貴之
(72)【発明者】
【氏名】武井 武雄
(72)【発明者】
【氏名】馬場 芳和
(72)【発明者】
【氏名】宮田 典亜
(72)【発明者】
【氏名】朝日 誉啓
(72)【発明者】
【氏名】矢野 史也
【審査官】
鈴木 充
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭59−023595(JP,U)
【文献】
特開昭56−013000(JP,A)
【文献】
特開昭59−145500(JP,A)
【文献】
特開平05−018693(JP,A)
【文献】
特開昭59−041799(JP,A)
【文献】
米国特許第05010950(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28G 1/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
管式熱交換器の伝熱管内部を洗浄する伝熱管洗浄装置に用いられる管式熱交換器用洗浄体捕集装置であって、
前記管式熱交換器の下流に設置された洗浄体捕集装置胴体と、
前記洗浄体捕集装置胴体内に設置され、洗浄体を捕捉・回収する捕集格子であって、下流側を拡開する逆V形状に配置され、拡開側のそれぞれの端部側上面に前記洗浄体を集める捕集格子と、
前記捕集格子によって捕捉・回収された洗浄体を前記洗浄体捕集装置胴体内から取り出す洗浄体取出口であって、前記捕集格子の拡開側のそれぞれの端部側上面の近傍の前記洗浄体捕集装置胴体の側壁に設けられた洗浄体取出口を有し、
前記洗浄体捕集装置胴体の内壁に冷却水案内整流部材が設けられており、
前記冷却水案内整流部材は、半楕円板と平行平板から構成されており、
前記半楕円板は、半楕円部が前記洗浄体捕集装置胴体の内壁に接し、下流側が前記洗浄体捕集装置胴体中央部側に位置するように傾斜して設けられており、
前記平行平板は、前記半楕円板の前記洗浄体捕集装置胴体中央部側に位置する端部より下流側に向かって、前記洗浄体捕集装置胴体の軸方向に実質的に平行に設けられていることを特徴とする管式熱交換器用洗浄体捕集装置。
【請求項2】
請求項1に記載の管式熱交換器用洗浄体捕集装置において、
前記捕集格子によって前記洗浄体捕集装置胴体の内壁側に集められた前記洗浄体を前記洗浄体取出口に誘導する誘導部材が前記洗浄体捕集装置胴体の内壁に設けられていることを特徴とする管式熱交換器用洗浄体捕集装置。
【請求項3】
請求項1に記載の管式熱交換器用洗浄体捕集装置において、
前記捕集格子によって前記洗浄体捕集装置胴体の内壁側に集められた前記洗浄体を前記洗浄体取出口に誘導する誘導部材が前記洗浄体捕集装置胴体の内壁に設けられており、
前記誘導部材は、前記冷却水案内整流部材の下流側端部に設置された上流側誘導部材と、前記上流側誘導部材と間隔をあけて設置された下流側誘導部材とを有し、
前記洗浄体取出口は、前記上流側誘導部材と前記下流側誘導部材の間で、かつ前記誘導部材の中央部に設けられていることを特徴とする管式熱交換器用洗浄体捕集装置。
【請求項4】
管式熱交換器の伝熱管内部を洗浄する伝熱管洗浄装置に用いられる管式熱交換器用洗浄体捕集装置であって、
前記管式熱交換器の下流に設置された洗浄体捕集装置胴体と、
前記洗浄体捕集装置胴体内に設置され、洗浄体を捕捉・回収する捕集格子であって、下流側を拡開する逆V形状に配置され、拡開側のそれぞれの端部側上面に前記洗浄体を集める捕集格子と、
前記捕集格子によって捕捉・回収された洗浄体を前記洗浄体捕集装置胴体内から取り出す洗浄体取出口であって、前記捕集格子の拡開側のそれぞれの端部側上面の近傍の前記洗浄体捕集装置胴体の側壁に設けられた洗浄体取出口を有し、
前記洗浄体捕集装置胴体の内壁に冷却水案内整流部材が設けられており、
前記捕集格子によって前記洗浄体捕集装置胴体の内壁側に集められた前記洗浄体を前記洗浄体取出口に誘導する誘導部材が前記洗浄体捕集装置胴体の内壁に設けられており、
前記誘導部材は、前記冷却水案内整流部材の下流側端部に設置された上流側誘導部材と、前記上流側誘導部材と間隔をあけて設置された下流側誘導部材とを有し、
前記洗浄体取出口は、前記上流側誘導部材と前記下流側誘導部材の間で、かつ前記誘導部材の中央部に設けられていることを特徴とする管式熱交換器用洗浄体捕集装置。
【請求項5】
請求項4に記載の管式熱交換器用洗浄体捕集装置において、
前記誘導部材は、前記上流側誘導部材と前記下流側誘導部材の間が実質的に均等な距離となるように構成されており、
前記誘導部材の中央部は、前記洗浄体捕集装置胴体の軸方向に対し実質的に垂直となるように設置されており、
前記誘導部材の中央部の両側は、前記誘導部材の端部に向かうに従って上流に位置するように、前記洗浄体捕集装置胴体の軸方向に対し斜めに設置されていることを特徴とする管式熱交換器用洗浄体捕集装置。
【請求項6】
請求項4または5に記載の管式熱交換器用洗浄体捕集装置において、
前記上流側誘導部材と前記捕集格子との間が、前記洗浄体よりも大きく、異物などよりも小さい間隔となるように構成されていることを特徴とする管式熱交換器用洗浄体捕集装置。
【請求項7】
請求項4〜6の何れか一項に記載の管式熱交換器用洗浄体捕集装置において、
前記上流側誘導部材は、前記冷却水案内整流部材より前記洗浄体捕集装置胴体の中央部側へ突出するように構成されていることを特徴とする管式熱交換器用洗浄体捕集装置。
【請求項8】
請求項1に記載の管式熱交換器用洗浄体捕集装置において、
前記洗浄体取出口は、前記洗浄体捕集装置胴体の側壁のそれぞれに複数設けられていることを特徴とする管式熱交換器用洗浄体捕集装置。
【請求項9】
管式熱交換器の伝熱管内部を洗浄する伝熱管洗浄装置に用いられる管式熱交換器用洗浄体捕集装置であって、
前記管式熱交換器の下流に設置された洗浄体捕集装置胴体と、
前記洗浄体捕集装置胴体内に設置され、洗浄体を捕捉・回収する捕集格子であって、下流側を拡開する逆V形状に配置され、拡開側のそれぞれの端部側上面に前記洗浄体を集める捕集格子と、
前記捕集格子によって捕捉・回収された洗浄体を前記洗浄体捕集装置胴体内から取り出す洗浄体取出口であって、前記捕集格子の拡開側のそれぞれの端部側上面の近傍の前記洗浄体捕集装置胴体の側壁に設けられた洗浄体取出口を有し、
前記洗浄体捕集装置胴体の内壁に冷却水案内整流部材が設けられており、
前記洗浄体取出口は、前記洗浄体捕集装置胴体の側壁のそれぞれに複数設けられており、
前記捕集格子によって前記洗浄体捕集装置胴体の内壁側に集められた前記洗浄体を前記洗浄体取出口に誘導する誘導部材が前記洗浄体捕集装置胴体の内壁に設けられており、
前記誘導部材は、前記冷却水案内整流部材の下流側端部に設置された上流側誘導部材と、前記上流側誘導部材と実質的に均等な間隔をあけて設置された下流側誘導部材とを有し、
前記誘導部材は、前記洗浄体捕集装置胴体の軸方向に対し実質的に垂直となるように設置された箇所が複数設けられ、前記垂直に設置された箇所のそれぞれの両側が前記垂直に設置された箇所から離れるに従って上流に位置するように前記洗浄体捕集装置胴体の軸方向に対し斜めに設置されており、
前記複数の洗浄体取出口は、前記上流側誘導部材と前記下流側誘導部材の間で、かつ、前記誘導部材が前記洗浄体捕集装置胴体の軸方向に対し実質的に垂直となるように設置された複数の箇所のそれぞれに設けられていることを特徴とする管式熱交換器用洗浄体捕集装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管式熱交換器の伝熱管内部を洗浄することを目的に設置される伝熱管洗浄装置に用いられる洗浄体捕集装置に関する。
【背景技術】
【0002】
発電プラントで使用されている管式熱交換器では、伝熱管に冷却水を通して熱交換を行なっている。冷却水には海水などが用いられるが、運転に伴い、伝熱管内面に海棲生物やスライム(細菌などに由来する粘着物質)などの異物が付着し、伝熱性能が低下する問題が生じる。
【0003】
伝熱性能低下を防止する方法として、冷却水中に洗浄体(スポンジボール)を含有させ、冷却水と共に洗浄体を伝熱管内に通し、伝熱管内面に付着した海棲生物やスライムなどを洗浄体によって除去する伝熱管洗浄装置による洗浄方法が広く知られている。なお、洗浄体の直径は伝熱管内径より少し大きいのが一般的である。
【0004】
伝熱管洗浄装置による管式熱交換器の伝熱管の洗浄では、洗浄体が管式熱交換器の上流側より冷却水通路中に投入される。洗浄体が管式熱交換器の伝熱管内部を通過することにより洗浄が行われる。伝熱管内部を通過した洗浄体が管式熱交換器の下流側に設置された洗浄体捕集装置によって捕集される。洗浄体捕集装置で捕集された洗浄体は、冷却水通路から取り出され、循環ポンプによって洗浄体回収器へ流入する。そして、洗浄体回収器へ流入した洗浄体は、伝熱管の洗浄が継続して実施されている場合、伝熱管洗浄装置の系統内に戻される。すなわち、再度、管式熱交換器の上流側より投入され、連続して管式熱交換器の伝熱管の洗浄を行う。
【0005】
このように、伝熱管洗浄後の洗浄体は、管式熱交換器の下流側に設置された洗浄体捕集装置によって捕捉、回収されるが、洗浄体捕集装置で捕捉、回収出来なかった洗浄体は、冷却水と共に外部へ放出されてしまうため、投入された洗浄体をより確実に捕捉、回収できる洗浄体捕集装置が求められる。
【0006】
従来、冷却水通路を流れる洗浄体をより確実に回収する洗浄体捕集装置として、例えば、特許文献1に記載の洗浄体捕集装置が提案されている。特許文献1に記載の洗浄体捕集装置では、冷却水通路内に上流側が拡開するようにV形状に設置された捕集格子と、捕集格子によって捕集された洗浄体を冷却水通路外に抽出するための洗浄体抽出管を備えた洗浄体捕集装置において、上流からの偏流を整流するために、捕集格子間の冷却水通路を分割する整流部材を設置している。
【0007】
特許文献1に記載された洗浄体捕集装置では、整流部材により上流側からの偏流を整流し、整流された流線に沿って洗浄体を流すため、洗浄体は捕集格子に付着・停滞することなく捕集格子に沿って流すことができる。これにより、上流側からの冷却水の偏流に対して冷却水通路を流れる洗浄体を安定して捕集することができ、洗浄体の回収性能を高めている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平04−214199号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1に記載された洗浄体捕集装置では、冷却水通路内に上流側が拡開するようにV形状に設置された捕集格子を用いているため、洗浄体捕集装置の中央部に、洗浄体抽出管や整流部材を設置する必要があった。
【0010】
そのため、洗浄体捕集装置の胴体中央部より洗浄体を取り出すための配管(洗浄体抽出管)に使用する材料や構造について、冷却水流れによって発生する応力に耐える強度を有するものとする必要があり、内部構造が複雑なものとなっている。
【0011】
本発明の目的は、内部構造を簡素化することができ、さらに洗浄体が捕集格子へ付着・停滞する事象を抑制して洗浄体の良好な回収性能を得ることが可能な管式熱交換器用洗浄体捕集装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、上記課題を解決するため、特許請求の範囲に記載のように構成する。
【0013】
具体的には、例えば、捕集格子の構造を、上流側を拡開したV形状から下流側を拡開した逆V形状とし、洗浄装置捕集装置の胴体側面に洗浄体取出口を設ける。
【0014】
また、好ましい態様として、洗浄装置捕集装置の胴体の側面に冷却水案内整流板を設置する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、内部構造を簡素化することができ、さらに洗浄体が捕集格子へ付着・停滞する事象を抑制して洗浄体の良好な回収性能を得ることが可能となる。
【0016】
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の一実施例を示す管式熱交換器用洗浄体捕集装置の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施例である管式熱交換器用洗浄体捕集装置(以下、洗浄体捕集装置という)の構造と機能について図面を用いて説明する。
図1は、本実施例の洗浄体捕集装置の縦断面図であり、
図2は
図1のA-A矢視断面図である。
【0019】
洗浄体捕集装置は、管式熱交換器の伝熱管内部を洗浄することを目的に、冷却水通路中に設置される伝熱管洗浄装置を構成する機器であり、本実施例の洗浄体捕集装置は、主な構成として、円筒型の洗浄体捕集装置胴体2と、冷却水中を流れてくる洗浄体を捕集する捕集格子3と、捕集格子3によって捕集された洗浄体を冷却水通路内から取り出すための洗浄体取出口6を有する。
【0020】
円筒型の洗浄体捕集装置胴体2は、管式熱交換器の下流側に設置される。
【0021】
捕集格子3は、捕集格子軸4に取り付けられており、駆動装置9により捕集格子軸4を回動させることにより、
図1に示すように、捕集格子3が実線と二点鎖線で示す姿勢をとることができる。なお、
図1において、実線は捕集格子3が洗浄体捕集時位置にある場合を示している。
【0022】
本実施例では、
図1に示すように、捕集格子3が洗浄体捕集時位置のときに、冷却水の流れに対して、下流側を拡開した逆V形状となるように捕集格子3が構成・配置されている。すなわち、捕集格子3が洗浄体捕集時位置のときに、左右の捕集格子3の上端が、洗浄体捕集装置胴体2の中央部において接するように構成されている。
【0023】
また、本実施例では、
図2に示すように、捕集格子3は、その幅が洗浄体捕集装置胴体2よりも小さく構成されており、捕集格子3の両側に塞ぎ板8を設置している。塞ぎ板8は、捕集格子3が洗浄体捕集時位置のときに、全ての冷却水が捕集格子3を通過するように、洗浄体捕集装置胴体2の内壁に設置されている。塞ぎ板8を用いることにより、捕集格子3の平面を矩形状に構成することができ、捕集格子3の構造が簡易となる。なお、
図2において、捕集格子3は、一部(図面左側)の捕集格子の図示が省略されている。また、符号10は、捕集格子3の補強部材である。
【0024】
本実施例では、捕集格子3によって捕集された洗浄体の冷却水通路内からの取り出しを、洗浄体捕集装置胴体2の下方に洗浄体取出口6を設けることによって行う。洗浄体取出口6は、洗浄体捕集装置胴体2の下方の胴体壁面、すなわち、捕集格子の拡開側のそれぞれの端部側上面の近傍の洗浄体捕集装置胴体の側壁に取り出し管を取り付けることにより構成されている。
【0025】
捕集格子3を逆V字に配置することにより、捕集格子3によって捕集された洗浄体は、逆V字の拡開側のそれぞれ端部側上面、すなわち、洗浄体捕集装置胴体2の壁面側に集められる。そして、洗浄体捕集装置胴体2の壁面に設けられた洗浄体取出口6から洗浄体が取り出される。従って、洗浄体捕集装置胴体2の中央部に洗浄体抽出管を備えた従来の洗浄体捕集装置と比べて、内部構造を簡素化した洗浄体捕集装置を得ることができる。
【0026】
また、本実施例では、洗浄体捕集装置胴体2の内壁に、洗浄体の回収性能を向上させるための冷却水案内整流板5と、洗浄体を洗浄体取出口6へ誘導するため誘導部材7を設けている。
【0027】
冷却水案内整流板5は、半楕円板5aと平行平板5bから構成されている。半楕円板5aは、一定の角度を付けて(下流側が胴中央部側に位置するように傾斜させて)半楕円部が洗浄体捕集装置胴体2の内壁に接するように設けられている。平行平板5bは、半楕円板5aの端部より下流側に向かって、洗浄体捕集装置胴体2の軸方向に実質的に平行に設けられた平板である。平行平板5bの下端は、誘導部材7(上流側誘導部材7a)に接している。
【0028】
冷却水案内整流板5によって、洗浄体捕集装置胴体2側の面が平面となり、円筒内面の場合と比べて、上流側からの偏流が整流され、捕集格子3に洗浄体が付着・停滞する事象を防ぎ、洗浄体の回収性能の向上を図ることができる。なお、整流部材はこれに限定されるものではなく、種々の形態をとることができる。
【0029】
誘導部材7は、冷却水案内整流板5の下流側端部に設置されている。誘導部材7は、上流側誘導部材7aと下流側誘導部材7bとから構成されている。本実施例では、上流側誘導部材7aと下流側誘導部材7bとの間隔が、
図2に示すように、実質的に均等な距離となる構造となっている。また、上流側誘導部材7aと下流側誘導部材7bは、
図2に示すように、左右の塞ぎ板8の間に丁度収まるように設けられている。また、誘導部材7は、
図1に示すように、捕集格子3が洗浄体捕集時位置のときに、上流側誘導部材7aと捕集格子3との間が洗浄体よりも大きく、洗浄体がそれらの間を通過できるように構成され、また、捕集格子3の下端側が下流側誘導部材7bと接して、洗浄体が下流側に流れ出ないように構成されている。そして、
図2に示すように、誘導部材7の中央部は、洗浄体捕集装置胴体2の軸方向に対し垂直に設置され、その両側は、端部に向かうに従って上流に位置するように、軸方向に対し斜めに設置されている。
【0030】
このように誘導部材7を設置することによって、洗浄体が誘導部材7の傾斜面に沿って中央に誘導される。誘導部材7の中央部で、上流側誘導部材7aと下流側誘導部材7bとの間には、洗浄体取出口6が位置しており、誘導部材によって中央に誘導された洗浄体が洗浄体取出口より回収される。
【0031】
また、上述したように、上流側誘導部材7aと捕集格子3との間が洗浄体よりも大きく形成されているが、本実施例では、さらに、上流側誘導部材7aと捕集格子3との間が異物などよりも小さい間隔で形成されている。このように、捕集格子3と誘導部材7により平行なダクトを形成することにより、洗浄体を通過させる一方、洗浄体よりも大型の異物が洗浄体取出口6を閉塞する事象を防ぐことができる。
【0032】
また、本実施例では、誘導部材7の上流側誘導部材7aが冷却水案内整流板5(平行平板5b)より洗浄体捕集装置胴体2の中央部側へある長さ突出した構造としている。このような構造とすることにより、上流側誘導部材7aの下流側に強制剥離対流の発生を促進させ、洗浄体の停滞を防ぐようにしている。
【0033】
上述の実施例では、洗浄体捕集装置胴体2の一方の側の壁面に洗浄体取出口6を1か所設けているが、洗浄体取出口を複数設けるようにしても良い。洗浄体捕集装置胴体2の一方の側の壁面に洗浄体取出口を複数設ける場合について、
図3を用いて説明する。
図3は、
図2と同様に、
図1のA-A矢視断面図である。本実施例において、上述の実施例と同じ構成については同じ符号を付しており、また、それらの同じ構成については説明を省略する。
【0034】
本実施例では、
図3に示すように、洗浄体捕集装置胴体2の一方の側の壁面に複数の洗浄体取出口16−1,16−2を設けている。洗浄体取出口を冷却水通路の大きさに応じて複数設置することで、大型の洗浄体捕集装置でも対応することができる。
【0035】
また、本実施例では、誘導部材17(上流側誘導部材17a,下流側誘導部材17b)は、洗浄体取出口16−1,16−2が誘導部材の最下部に位置するように、波板状に設置されている。すなわち、
図3に示すように、誘導部材が幅方向に二つの領域に二分され、二分された誘導部材におけるそれぞれの中央部が、洗浄体捕集装置胴体2の軸方向に対し垂直に設置され、それぞれの中央部の両側は、それぞれの中央部から離れるに従って上流に位置するように、軸方向に対し斜めに設置されている。そして、それぞれの中央部に洗浄体取出口16−1,16−2が位置するようになっている。このように構成することによって、洗浄体取出口16−1,16−2を複数設ける場合でも誘導部材を小型化することができる。
【0036】
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加,削除,置換をすることが可能である。
【符号の説明】
【0037】
1…冷却水流れ方向
2…洗浄体捕集装置胴体
3…捕集格子(洗浄体捕集時位置)
4…捕集格子軸
5…冷却水案内整流板
5a…半楕円板
5b…平行平板
6…洗浄体取出口
7…誘導部材
7a…上流側誘導部材
7b…下流側誘導部材
8…塞ぎ板
9…駆動装置
10…補強部材
16−1…洗浄体取出口
16−2…洗浄体取出口
17…誘導部材
17a…上流側誘導部材
17b…下流側誘導部材