特許第6033717号(P6033717)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6033717
(24)【登録日】2016年11月4日
(45)【発行日】2016年11月30日
(54)【発明の名称】遊技場用管理システム
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20161121BHJP
【FI】
   A63F7/02 350Z
   A63F7/02 328
【請求項の数】6
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-56129(P2013-56129)
(22)【出願日】2013年3月19日
(65)【公開番号】特開2014-180383(P2014-180383A)
(43)【公開日】2014年9月29日
【審査請求日】2015年12月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000108937
【氏名又は名称】ダイコク電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129654
【弁理士】
【氏名又は名称】大池 達也
(72)【発明者】
【氏名】栢森 啓
(72)【発明者】
【氏名】金井 崇矩
【審査官】 廣瀬 貴理
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−120692(JP,A)
【文献】 特開2006−263070(JP,A)
【文献】 特開2005−198838(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
会員と非会員とで遊技終了時刻が異なり、両方の時刻を遊技者に対して告知する遊技場において、該遊技場に設置される複数の遊技機を管理するための遊技場用管理システムであって、
非会員の遊技者が遊技を終了する非会員終了時刻を設定する非会員終了時刻設定手段と、
会員の遊技者を特定可能な遊技者特定情報を記録する会員記録手段と、
前記会員記録手段が記録した遊技者特定情報に基づいて、遊技中の遊技者が会員であるか否かを判定する会員判定手段と、
非会員終了時刻を基準として、前記会員判定手段による判定結果又は前記会員判定手段による判定結果に基づく判定情報を出力する出力手段と、を備えたことを特徴とする遊技場用管理システム。
【請求項2】
前記出力手段は、非会員終了時刻において従業員に対し前記会員判定手段による判定結果又は前記会員判定手段による判定結果に基づく判定情報を出力することを特徴とする請求項1に記載の遊技場用管理システム。
【請求項3】
会員の遊技者に対して配布され前記遊技者特定情報が記録されている会員記録媒体と、
前記会員記録媒体を受け付け可能で、遊技機に対応して設けられる受付手段と、
遊技者の排出操作に応じて、前記受付手段が受け付けた前記会員記録媒体を排出する排出手段と、を備え、
前記会員判定手段は、前記受付手段が受け付けた前記会員記録媒体に記録されている遊技者特定情報が前記会員記録手段に記録されている場合には、前記受付手段が前記会員記録媒体を受け付けてから、前記排出手段が当該会員記録媒体を排出するまでの遊技を会員の遊技者による遊技と判定することを特徴とする請求項1又は2に記載の遊技場用管理システム。
【請求項4】
非会員の遊技者に対して暫定的に配布される暫定記録媒体を備え、
前記出力手段は、非会員終了時刻において前記受付手段が前記暫定記録媒体を受け付けている場合に、従業員に対してその旨を報知、又は前記受付手段が前記会員記録媒体を受け付けている場合と同様の報知をすることを特徴とする請求項3に記載の遊技場用管理システム。
【請求項5】
前記受付手段は、前記非会員終了時刻経過後においては、新たに前記会員記録媒体を受け付けないことを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の遊技場用管理システム。
【請求項6】
前記出力手段は、前記非会員終了時刻の所定時間前に非会員の遊技者に対して会員登録を促す表示を出力することを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の遊技場用管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、会員であるか否かによって遊技終了時刻の設定が異なる遊技場向けの遊技場用管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、多くの遊技場では、閉店時刻までに遊技者に遊技を終了させ、景品の交換をして遊技場から退場してもらう必要を考慮し、景品交換に要する時間等を見越して遊技終了時刻を設定している。また、遊技終了時刻になっても遊技を終了しない遊技者に対処するため、遊技終了時刻になると遊技場内の全部の遊技機を遊技禁止状態に切り換える技術の提案もある(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
一般的に、遊技終了時刻の際、大当たり状態が発生している場合であればその大当たり状態が終了するまでの間、遊技の継続が許可される。しかし、大当たり状態終了後については、確変状態が発生した場合であっても遊技継続が禁止される場合が多い。遊技終了時刻の際、確変状態が発生中であった場合についても同様に遊技継続が禁止される。
【0004】
近年、会員に対するサービスの一環として、会員向けの遊技終了時刻を非会員よりも遅く設定している遊技場が現れている。会員であれば、閉店間際の段階で確変状態が継続している場合、非会員向けの遊技終了時刻が過ぎても遊技を継続でき、非会員よりも多くの利益を得られる。このように、閉店間近の遊技はたった数分であっても遊技者に十分な利益を付与し得るため、遊技終了時刻の延長は非常に有効な会員特典として活用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−173619号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の遊技場用管理システムによる管理では、会員と非会員とで異なる遊技終了時刻を設定する運用に適切に対応することが難しいという問題がある。
本発明は、前記従来の問題点に鑑みてなされたものであり、会員と非会員とで異なる遊技終了時刻が設定された遊技場を適切に管理可能な遊技場用管理システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、会員と非会員とで遊技終了時刻が異なり、両方の時刻を遊技者に対して告知する遊技場において、該遊技場に設置される複数の遊技機を管理するための遊技場用管理システムであって、
非会員の遊技者が遊技を終了する非会員終了時刻を設定する非会員終了時刻設定手段と、
会員の遊技者を特定可能な遊技者特定情報を記録する会員記録手段と、
前記会員記録手段が記録した遊技者特定情報に基づいて、遊技中の遊技者が会員であるか否かを判定する会員判定手段と、
非会員終了時刻を基準として、前記会員判定手段による判定結果又は前記会員判定手段による判定結果に基づく判定情報を出力する出力手段と、を備えたことを特徴とする遊技場用管理システムにある(請求項1)。
【0008】
本発明の遊技場用管理システムは、遊技中の遊技者が会員であるか否かを判定する会員判定手段と、非会員終了時刻を基準として、前記会員判定手段による判定結果又は判定情報を出力する出力手段と、を備えている。
【0009】
この遊技場用管理システムによれば、非会員終了時刻を基準として、会員判定手段による判定結果又は判定情報を出力できる。判定情報等を利用すれば、会員であるか非会員であるかに応じて遊技場側で適切な対応をとることが可能になる。
【0010】
以上のように、本発明の遊技場用管理システムは、会員と非会員とで異なる遊技終了時刻が設定された遊技場を適切に管理可能な優れた特性の管理システムである。
【0011】
本発明における遊技機としては、遊技媒体として玉を利用するパチンコ遊技機や、遊技媒体としてメダルあるいはコインを利用するスロットマシン等がある。スロットマシンには、メダルあるいはコイン等を遊技媒体とした狭義の遊技機に加えて、パチンコ遊技機に使用される玉を遊技媒体としたパロット(登録商標)等が含まれる。
【0012】
さらに、玉を遊技媒体とした遊技機であれば、玉を遊技価値として使用せず、ポイントを使用して玉を発射し、入賞に応じてポイントを獲得できる封入式の遊技機であっても良い。スロットマシンの場合であれば、コインやメダル等の遊技媒体を使用せず、ポイントをベットしてゲームを開始でき、入賞に応じたポイントを獲得できる完全クレジット式のスロットマシンであっても良い。
【0013】
本発明における好適な一態様の遊技場用管理システムが備える出力手段は、非会員終了時刻において従業員に対し前記会員判定手段による判定結果又は前記会員判定手段による判定結果に基づく判定情報を出力する(請求項2)。
【0014】
非会員終了時刻になったときに判定情報等を従業員等に対して出力すれば、遊技中の各遊技者について、会員であるか非会員であるかを従業員等が区別できるようになる。これにより、会員であるか非会員であるかに応じて、遊技場側が適切な対応をとることができるようになる。
【0015】
本発明における好適な一態様の遊技場用管理システムは、会員の遊技者に対して配布され前記遊技者特定情報が記録されている会員記録媒体と、
前記会員記録媒体を受け付け可能で、遊技機に対応して設けられる受付手段と、
遊技者の排出操作に応じて、前記受付手段が受け付けた前記会員記録媒体を排出する排出手段と、を備え、
前記会員判定手段は、前記受付手段が受け付けた前記会員記録媒体に記録されている遊技者特定情報が前記会員記録手段に記録されている場合には、前記受付手段が前記会員記録媒体を受け付けてから、前記排出手段が当該会員記録媒体を排出するまでの遊技を会員の遊技者による遊技と判定する(請求項3)。
この場合には、前記会員記録媒体の受付状況に応じて、会員であるか非会員であるかの判定が可能になる。
【0016】
本発明における好適な一態様の遊技場用管理システムは、非会員の遊技者に対して暫定的に配布される暫定記録媒体を備え、
前記出力手段は、非会員終了時刻において前記受付手段が前記暫定記録媒体を受け付けている場合に、従業員に対してその旨を報知、又は前記受付手段が前記会員記録媒体を受け付けている場合と同様の報知をする(請求項4)。
【0017】
例えば、パチンコ遊技機における確変状態や、スロットマシンにおけるAT(アシストタイム)等の多くは、連チャン性を有している。例えば、遊技終了時刻の30分前に確変状態やAT等が発生している場合、そのまま遊技終了時刻まで継続する可能性が非常に高い。このような状況は、遊技終了時刻の延長によるメリットを遊技者が強く感じることができる状況であり、会員登録を促す絶好の機会となる。
【0018】
しかし、会員登録をして会員記録媒体を発行するのにも一定の時間を要するという事情がある。会員記録媒体が会員の必要条件という運用を厳格にすると、上記のような状況に遭遇した遊技者を会員登録に誘い込めず、遊技場側では、会員登録を促す絶好の機会を無駄に逃してしまうことになる。そこで、例えば、会員登録を希望する遊技者に対して暫定記録媒体を配布して会員と同様の扱いを認めるという運用を行えば、例えば、遊技終了時刻の直前に確変状態等が発生した遊技者の会員登録を促進できる。暫定記録媒体を受け付けた場合にも報知が実行されるので、会員登録直後の遊技者であっても従業員等が間違いなく会員であると判断できる。
【0019】
本発明における好適な一態様の遊技場用管理システムにおける受付手段は、前記非会員終了時刻経過後においては、新たに前記会員記録媒体を受け付けない(請求項5)。
非会員終了時刻のために確変状態などの有利な状態で終了された遊技機を、会員である他の遊技者が遊技を開始すると、遊技場側の損失が大きくなると共に、その前に遊技をしていた非会員の遊技者に不満が生じるという事態が発生する。上記のように非会員終了時刻経過後においては、新たに会員記録媒体を受け付けない構成を採用すれば、上記のような事態の発生を未然に回避できる。
【0020】
本発明における好適な一態様の遊技場用管理システムにおける出力手段は、前記非会員終了時刻の所定時間前に非会員の遊技者に対して会員登録を促す表示を出力する(請求項6)。
非会員終了時刻の所定時間前のタイミングは、非会員の遊技者が会員登録を望む可能性が高くなるため、会員登録を促す絶好のタイミングになる。この絶好のタイミングで会員登録を促す表示を実行すれば、非常に有効な会員登録の勧誘となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】実施例1における、遊技場用管理システムの構成を示すシステム図。
図2】実施例1における、遊技機と貸出装置との組合せの正面図。
図3】実施例1における、貸出装置の電気的な構成を示すブロック図。
図4】実施例1における、貸出装置の動作の流れを示すフロー図。
図5】実施例1における、管理装置の動作の流れを示すフロー図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の実施の形態につき、以下の実施例を用いて具体的に説明する。
(実施例1)
本例は、会員と非会員とで遊技終了時刻が異なる遊技場を管理するための遊技場用管理システム1に関する例である。この内容について、図1図5を参照して説明する。
【0023】
本例は、複数の遊技機(本例ではパチンコ遊技機)3が設置された遊技場に適用する遊技場用管理システム1に関する例である。遊技場では、貸出装置2とパチンコ遊技機3と表示装置15との組合せが管理装置5によって管理されている。遊技場では、管理装置5のほか、2台のパチンコ遊技機3毎に設置される中継装置14が通信ネットワーク11に接続されている。中継装置14には、パチンコ遊技機3、表示装置15、及び貸出装置2が2台ずつ接続されている。
【0024】
本例の遊技場では、非会員の遊技者の遊技終了時刻(非会員終了時刻)が22時40分、会員の遊技者の遊技終了時刻(会員終了時刻)が22時45分、閉店時刻が23時ちょうどに設定されている。遊技終了時刻や閉店時刻等は、図示を省略するが、遊技場内の表示機や、遊技場内の掲示板や、ウェブサイト上で遊技者側に告知されている。
【0025】
本例の遊技場用管理システム1を構成するパチンコ遊技機3、貸出装置2、管理装置5について説明する。
(パチンコ遊技機)
パチンコ遊技機3は、図1及び図2のごとく、パチンコ玉を遊技媒体として遊技される遊技機である。このパチンコ遊技機3は、始動入賞部31への入賞に応じて大当たり抽選が実行され、大当たりに当選したときに大当たり図柄が表示されて大当たり状態が発生する、いわゆるセブン機である。
【0026】
本例のパチンコ遊技機3は、図2に示すような外観的な構成を備えている。パチンコ遊技機3は、図示しない台枠に取り付けられた開閉扉33と、開閉扉33の内側の遊技盤面に形成された略円形状の遊技領域330と、遊技領域330の下部両側に配置された一対のスピーカ331と、遊技領域330の下側に設けられた上皿335及び下皿337と、上皿335の右下に配置された操作ハンドル35と、を備えている。
【0027】
開閉扉33は、パチンコ遊技機3に対面して左側のヒンジ333を介して回動可能な状態で台枠に固定されている。開閉扉33には、遊技領域330に対応する略円形状の透明窓339と、透明窓339の上部両側に配置された装飾ランプ部336と、が設けられている。
【0028】
上皿335は、入賞に応じて払い出された賞球や、貸玉等を受け入れるための受け皿である。上皿335は、遊技者側に向けて張り出すように形成されている。上皿335の玉は、図示しない供給通路を経由して発射装置341に供給される。
下皿337は、上皿335の玉が一杯になったときに賞球を払い出したり、遊技者の操作に応じて上皿335の玉を回収するための受け皿である。
【0029】
遊技領域330は、遊技媒体であるパチンコ玉が流下する領域である。遊技領域330は、液晶表示部390を含む表示装置39を中心として形成され、入賞することなく流下した玉を回収するためのアウト孔338が最下部に設けられている。始動入賞部31は、表示装置39の下側に配置され、始動入賞部31とアウト孔338の中間には、大入賞装置36が設けられている。
【0030】
遊技者側から向かって表示装置39の左側には通過ゲート34等が配置され、遊技領域330の外周部分の左縁に沿って普図表示部381、及び普図保留表示部382が配置されている。
通過ゲート34は、通過玉を検知するためのゲートである。玉を通過させるのみの通過ゲート34には、賞球の払い出しが設定されていない。通過ゲート34の通過玉が検知されると、普通図柄の当否判定(以下、普図判定という。)用の抽選用乱数が抽出され、普図判定が実行される。
【0031】
普図表示部381は、普図判定の当否の表示部である。普図表示部381は、LEDを点灯させることにより当選を表示し、消灯に応じてハズレを表示する。
普図保留表示部382は、普図の変動表示中に抽出された普図判定用の抽選用乱数の保留数の表示部である。
【0032】
大入賞装置36は、大入賞口360を開口する、いわゆるアタッカーと呼ばれる可変入賞装置である。このアタッカー36は、始動入賞部31の下側に配置されている。アタッカー36は、横長略矩形状を呈する大入賞口360と、手前側に回動する蓋部材361と、を有している。アタッカー36では、遊技領域330をなす盤面と略面一をなすように蓋部材361が位置したときに大入賞口360が閉鎖状態となる。一方、蓋部材361が手前に回動したときに大入賞口360が開放状態となる。
【0033】
始動入賞部31(図2)は、特別図柄の当否判定(以下、特図判定という。)の契機となる入賞口310に対して、一対の回転翼片よりなる電チュー311(可動部材)を組み合わせて構成されている。閉状態の一対の回転翼片は、隙間を空けて相互に対面するように起立する状態(図中破線の状態)にある。この状態では、真上に位置する1対の釘の玉1個分の隙間を介してのみ玉が流入可能である。一方、相互に離隔するように回動した開状態(図中実線の状態)の一対の回動翼片は、玉の流入をガイドする受け皿のように作用する。この状態では、電チュー311への玉の流入が容易になり入賞率が格段に高くなる。電チュー311の開放動作は、普図判定での当選を契機として実行される。
【0034】
始動入賞部31に玉が入賞(始動入賞)すると、特図判定用の抽選用乱数が抽出され、特図判定(大当たり抽選)が実行される。始動入賞部31の入賞を契機とした特図判定用の乱数は、4個を上限としてその当否が表示されるまで記憶される。なお、始動入賞部31の入賞口310に玉が入賞したときの払出は3個となっている。
【0035】
表示装置39は、内側に液晶表示部390が配置された装置である。液晶表示部390は、遊技を演出するための各種の演出画像を表示する機能のほか、特図判定の当否(抽選結果)を報知するための図柄変動を実行する図柄変動手段としての機能を備えている。図柄変動手段としての液晶表示部390では、演出画像393の表示により演出用の図柄(1〜9の数字図柄)が変動表示された後、停止表示された図柄の組合せに応じて特図判定の当否(大当たりかハズレか)が報知される。大当たりに当選した場合、所定の図柄変動時間に渡る図柄の変動表示後、ゾロ目の3桁の数字(1〜9のいずれか)が表示される。
【0036】
液晶表示部390の表示画面の最下段には、特図判定用の抽選用乱数の保留数を表示する特図保留表示部395が配置されている。特図保留表示部395は、特図保留の保留数を丸印の表示個数によって報知する。
【0037】
本例のパチンコ遊技機3の遊技状態としては、遊技者にとって不利な通常状態、及び非常に有利な特別遊技状態である大当たり状態のほか、大当たりの当選確率が高くなる確変状態(時短状態を伴う)がある。大当たり状態を除く通常状態あるいは確変状態では、大当たり抽選としての特図判定が実行される。この特図判定の判定結果が当選のとき、大当たり状態が発生する。
【0038】
大当たり状態は、10玉入賞あるいは30秒経過するまでアタッカー36が開放されるラウンド処理が15回繰り返される有利な特別遊技状態である。大入賞口360に玉が入賞すると、1入賞当たり14玉が払い出される。大当たり状態としては、確変状態が後続する確変大当たり状態と、通常状態が後続する通常大当たり状態と、がある。
【0039】
確変大当たりに当選すると、奇数のゾロ目の数字図柄が停止表示されて確変大当たり状態が発生し、終了後には確変状態(時短状態)が発生する。確変状態の発生期間は、100回の図柄変動が実行されるまでの期間、又は通常大当たりの当選で終了する。確変状態下で確変大当たりが当選すれば、大当たり状態の終了後に確変状態が再開されて連チャンとなる。
【0040】
なお、本例のパチンコ遊技機3では、通常状態下の大当たり抽選(特図判定)の当選確率が1/400、確変状態下の当選確率が1/50となっている。大当たり当選のうち、確変大当たりの割合が40%、通常大当たりの割合が60%となっている。
普図の当選確率は、通常状態下が1/100、時短状態下が99/100となっている。普図当選に応じた電チュー311(始動入賞部31)の開放時間は、通常状態では0.2秒×1回、時短状態では1.5秒×3回となっている。普図変動時間は、通常状態で30秒、時短状態で1秒となっている。
【0041】
パチンコ遊技機3は、外部に遊技信号を出力する機能を備えている。遊技信号としては、玉の使用(消費)を表すアウト信号、玉の払出を表すセーフ信号等がある。パチンコ遊技機3が出力する信号は、中継装置14を経由して管理装置5に出力される一方、貸出装置2側でも中継装置14を介して遊技信号の取得が可能になっている。
【0042】
(貸出装置)
貸出装置2は、図1及び図2に示すごとく、各パチンコ遊技機3に個別に対応するよう、隣り合うパチンコ遊技機3との台間スペースに設置されている。貸出装置2は、遊技用の玉の払出機能を備えている。
【0043】
貸出装置2の前面には、図2のごとく、装置エラー等の作動状態を表示する状態表示部21、貸玉代金となる貨幣を投入する貨幣投入口22、液晶表示部231(図3)の表示画面にタッチスクリーンシート232が積層されたタッチパネル23、貸玉を払い出させる払出ボタン24、パチンコ遊技機3の上皿335に貸玉を供給する払出ノズル27、遊技カード10(図3)を挿入するカード挿入口26が設けられている。カード挿入口26の横には、カード返却ボタン260が配設されている。
【0044】
タッチパネル23は、各種情報を表示可能である。特に、本例では、タッチパネル23により、遊技者が会員である旨の従業員向けの情報や、遊技者向けの会員登録の勧誘情報等が表示される。
【0045】
カード挿入口26には、ICチップが実装された会員カード(会員記録媒体)101(図3)、暫定カード(暫定記録媒体)102などの遊技カード10を挿入可能である。会員カード101には、会員の遊技者を特定可能な会員ID(遊技者特定情報)、入金残高、持玉数のほかに、会員向けのサービスメニューにログインするためのパスコード等が記録されている。前日以前の計数玉を貯玉として預け入れる貯玉サービスは、会員向けのサービスメニューのひとつである。なお、貯玉サービスによる貯玉数については、会員カード101には記録されず、会員IDが対応付けされた状態で管理装置5側で管理されている。
【0046】
暫定カード102には、遊技者特定情報としてのカードID、入金残高、持玉数が記録される一方、会員向けのパスコード等は記録されていない。暫定カード102では、貯玉サービス等の会員向けのサービスを利用できないように設定されている。
【0047】
貸出装置2は、図3のごとく、CPU251、ROM252、RAM253、I/O254等を備える制御部25を中心として電気的に構成されている。制御部25に対しては、上記の構成のほか、I/F部28、投入紙幣の種別等を検知する紙幣処理部221、カード挿入口26から挿入された遊技カード10のカード情報を読み書きするカードリーダライタ261、遊技用のパチンコ玉を払い出す払出部271等が電気的に接続されている。本例の貸出装置2は、I/F部28を介して管理装置5や表示装置15やパチンコ遊技機3等と通信可能な状態で接続されている。なお、図3では、中継装置14の図示を省略してある。
【0048】
貸出装置2は、以下の手段としての機能を備えている。
(1)受付手段201:会員カード101あるいは暫定カード102を受け付ける手段。
(2)排出手段202:挿入された会員カード101あるいは暫定カード102を排出する手段。
(3)会員判定手段203:会員カード101あるいは暫定カード102に記録された会員IDあるいはカードIDに基づいて遊技中の遊技者が会員であるか否かを判定する手段。
(4)出力手段:204:遊技者が会員であるか否かの判定結果に基づく判定情報や、会員未登録の遊技者に対して会員登録を促す表示等を出力する手段。
(5)計時手段205:現在時刻を取得する手段。
(6)終了時刻管理手段206:終了時刻を管理する手段。非会員終了時刻、会員終了時刻は、管理装置5側から取り込まれる。
(7)信号受信手段208:パチンコ遊技機3の遊技信号や、管理装置5の閉店信号等を受信する手段。遊技信号としては、玉の使用(消費)を表すアウト信号や、玉の払出しを表すセーフ信号等がある。
【0049】
本例の貸出装置2では、非会員終了時刻を基準としてその20分前から非会員終了時刻までの準備期間を管理するための制御フラグである延長準備フラグ、及び非会員終了時刻から閉店時刻を表す閉店信号を受信するまでの期間を管理するための制御フラグである延長フラグ等の制御フラグが設定されている。
【0050】
(管理装置)
管理装置5(図1)は、遊技場に設置された各パチンコ遊技機3の遊技データや売上等を管理する装置である。管理装置5は、図示を省略するが、CPU、ROM、RAM、I/O等を含む制御部、HDD(ハードディスクドライブ)等を含む記憶部、モニターディスプレイ及びプリンタ等を含む出力部、キーボード及びマウス等を含む操作部を備えている。
【0051】
管理装置5は、各パチンコ遊技機3の遊技データや、会員である遊技者の貯玉データ等を管理する機能のほか、以下の手段としての機能を備えている。
(1)非会員終了時刻設定手段501:非会員の遊技者の遊技終了時刻である非会員終了時刻を設定する手段。
(2)出力手段502:非会員終了時刻において、会員であるか否かの判定情報を従業員等に対して出力する手段。
(3)閉店管理手段503:閉店時刻となったときに閉店信号を各貸出装置2に向けて出力する手段。
(4)計時手段504:現在時刻を取得する手段。
(5)会員記録手段505:会員の遊技者を特定可能な遊技者特定情報である会員IDを記録する手段。
【0052】
管理装置5では、モニターディスプレイに表示された図示しない終了時刻設定画面上で、会員終了時刻、非会員終了時刻、閉店時刻等、各種の時刻を設定可能である。
【0053】
次に、本例の遊技場用管理システム1を構成する貸出装置2及び管理装置5の動作について、図4及び図5のフローチャートを参照して説明する。図4は、貸出装置2の動作処理の流れを示すフロー図である。図5は、管理装置5による動作処理の流れを示すフロー図である。
【0054】
貸出装置2は、図4のごとく、会員カード101あるいは暫定カード102の挿入を待機する(S101)。会員カード101あるいは暫定カード102が挿入されたとき(S101:YES)、延長フラグのフラグ状態を判断する(S102)。延長フラグがゼロであれば(S102:YES)、挿入された会員カード101あるいは暫定カード102を有効な挿入操作として受け付ける(S103)。一方、延長フラグが1、すなわち非会員終了時刻を経過している場合には(S102:NO)、挿入された会員カード101等を受付せず、そのまま排出する(S123)。
【0055】
続いて現在時刻と非会員終了時刻とを比較し、現在時刻が非会員終了時刻の20分前となったか否かを判断する(S104)。現在時刻が非会員終了時刻の20分前であれば(S104:YES)、延長準備フラグを1に設定する(S105)。
【0056】
非会員終了時刻の20分前を経過しており、延長準備フラグが1である場合には(S106:YES)、まず、会員カード101あるいは暫定カード102を受付中であるか否かを判断する(S107)。会員カード101等を受付中である場合には(S107:YES)、タッチパネル23に「会員遊技中」と表示する(S108)。一方、会員カード101等を受付中ではない場合には(S107:NO)、タッチパネル23等を介して、会員登録を促す報知画面を非会員向けに表示すると共に(S138)、会員カード101等の挿入を促す報知を実行する(S139)。
【0057】
その後、非会員終了時刻に到達したときには(S109:YES)、延長準備フラグをゼロリセットすると共に延長フラグに1を設定する(S110)。延長フラグが1の状態では(S111:YES)、会員カード101あるいは暫定カード102の受付中であるか否かを判断する(S112)。会員カード101等の受付中であれば(S112:YES)、タッチパネル23の「会員遊技中」の表示を継続する(S113)。一方、会員カード101等を受付していない場合には(S112:NO)、30秒以内のアウト信号の有無により遊技中であるか否かを判断する(S144)。遊技中であれば(S144:YES)、管理装置5に向けて遊技機番号(判定情報)を出力する(S155)。
その後、管理装置5からの閉店信号の受信を待機し(S114)、閉店信号の受信に応じて(S114:YES)、延長フラグをゼロリセットする(S115)。
【0058】
次に、管理装置5の動作処理について、図5のフローチャートを参照して説明する。
管理装置5は、貸出装置2側からの遊技機番号の入力を待機する(S201)。遊技機番号を入力したときには(S201:YES)、その遊技機番号を従業員等が装着しているインカム等に向けて、その遊技機番号を表す音声出力情報を無線送信する(S202)。遊技機番号の音声出力を受けた従業員側では、非会員である遊技者の遊技を終了させる等の対処が可能になる。
【0059】
本例の遊技場用管理システム1が導入された遊技場における遊技管理等について概説する。
遊技場は、会員登録した遊技者に対して会員カード101を発行して配布する。会員は、貯玉・再プレイサービス等の会員サービスを受けることが可能である。会員サービスの中には、遊技終了時刻が延長される遊技延長サービスも含まれている。遊技延長サービスとは、非会員の遊技者の遊技終了時刻が過ぎてからも所定時間遊技が許可されるサービスである。
【0060】
遊技終了時刻は、管理装置5側で設定可能である。本例では、非会員の遊技者の遊技終了時刻(非会員終了時刻)が22時40分、会員の遊技者の遊技終了時刻(会員終了時刻)が22時45分、閉店時刻が23時ちょうどとなっている。なお、遊技終了時刻は、何らかの方法で遊技者に告知されていれば良く、例えば、遊技場内の表示機によって告知しても良いし、遊技場内の掲示板やウェブサイト上で告知することもできる。
【0061】
会員カード101には、会員ID(遊技者特定情報)が記録されており、管理装置5側では、会員IDに対応付けて会員情報(個人情報、貯玉数、遊技履歴など)を記録している。
貸出装置2は、非会員終了時刻の20分前になると会員カード101等が挿入されているか否かを判定する。挿入されていれば「会員の遊技」と判定し、挿入されていなければ「非会員の遊技」と判定する。「非会員の遊技」と判定した場合には、タッチパネル23にて会員登録を促す表示を行う。具体的には、「遊技終了時刻20分前です。会員の方は22:45まで遊技可能です。」、「非会員の方は遊技終了20分前です。会員の方は遊技終了15分前です。」等がタッチパネル23に表示される。
【0062】
なお、会員であっても会員カード101を挿入せずに遊技している場合があり得る。そこで、会員に対する表示として、会員カード101の挿入を促す報知を行なっている。例えば、「会員の方は会員カードを挿入してください。」等がタッチパネル23に表示される。
【0063】
貸出装置2は、会員カード101等を受付中であるかを判定し、受付中であればタッチパネル23に「会員遊技中」と表示する。一方、非会員の遊技者が遊技しているパチンコ遊技機3については、その遊技機番号を従業員のインカムに音声出力する。なお、会員登録を希望する遊技者に対して暫定的に配布する暫定カード102を受け付けている場合も、会員カード101を受付時と同様の上記の処理を実行する。
【0064】
会員カード101の発行には、会員登録申込書に個人情報等を記入する必要があるので手間と時間がかかるが、従業員が持ち歩いている暫定カード102であれば、従業員から受け取るだけなので手間と時間を省くことができる。ただし、暫定カード102がその後も継続的に使用されると遊技場側は個人情報を得られないので、暫定カード102は後日正式な会員カード101と交換させ、会員カード101と交換後でなければ貯玉を利用できないようにする必要がある。勿論、非会員終了時刻20分前であっても会員カード101を新規発行することも可能である。なお、暫定カード102については、貯玉は可能だが景品交換ができないようにしても良い。
【0065】
会員であれば非会員終了時刻を過ぎても継続遊技を認めることが目的であって、非会員終了時刻経過後に会員の新規遊技を認める訳ではないので、非会員終了時刻経過後に会員カード101や暫定カード102が新たに挿入されても受け付けないように構成されている。ただし、従業員が所定の操作を行った場合には会員カード101を受け付けるようにしても良い。例えば、会員が非会員遊技終了時刻を跨いで遊技したにも関わらず会員カード101を入れ忘れていたような状況に適切に対応するためである。
【0066】
非会員終了時刻経過前に遊技を終了した遊技者はそれまでに獲得した遊技価値を計数して貯玉、又は景品交換することができるが、非会員終了時刻経過後に遊技を終了した遊技者は貯玉のみの対応とし、景品交換できないように構成することも良い。この場合、閉店間際の遅い時刻に遊技を終了した遊技者の景品交換作業がなくなるため、閉店作業をスムーズに行うことができるようになる。なお、貯玉サービスに非対応の暫定カード102については、管理装置5側で、カードIDに対応付けて貯玉データが管理される。後日、会員登録をすれば、そのときの貯玉を利用できるようになる。
【0067】
以上のように構成された本例の遊技場用管理システム1によれば、非会員終了時刻を基準として会員であるか非会員であるかの判定情報を出力可能である。判定情報等を利用すれば、遊技場側で、会員であるか非会員であるかに応じて適切な対応をとることが可能になる。
【0068】
このように本例の遊技場用管理システム1は、会員と非会員とで異なる遊技終了時刻が設定された遊技場を適切に管理可能な優れた特性の管理システムである。
【0069】
本例の構成に代えて、以下の構成を採用することもできる。
会員/非会員の判定は、本例とは異なる他の方法であっても良い。例えば、会員の遊技者の顔画像、指紋、虹彩、携帯端末IDを遊技者特定情報として記録し、これに基づいて判定しても良い。この場合、管理装置5を会員記録手段とすると良い。
【0070】
非会員終了時刻を過ぎた後は会員以外の遊技を禁止するようにしても良い。また、会員終了時刻になったときに全ての遊技者の遊技を禁止するようにしてもよい。また、その時刻に大当たり状態中のパチンコ遊技機3については、その大当たり状態終了後に禁止するようにしても良い。遊技の禁止方法としては、例えば、玉発射の停止、貸出装置2からの貸出禁止、貨幣や遊技カード10の受付禁止など様々な方法がある。
タッチパネル23に表示した内容を、パチンコ遊技機3の上側に設置された表示装置15に表示させることも良い。
本例では、遊技機としてパチンコ遊技機を例示したが、遊技機は、スロットマシンであっても良い。
【0071】
以上、実施例のごとく本発明の具体例を詳細に説明したが、これらの具体例は、特許請求の範囲に包含される技術の一例を開示しているにすぎない。言うまでもなく、具体例の構成や数値等によって、特許請求の範囲が限定的に解釈されるべきではない。特許請求の範囲は、公知技術や当業者の知識等を利用して前記具体例を多様に変形、変更、あるいは適宜組み合わせた技術を包含している。
【符号の説明】
【0072】
1 遊技場用管理システム
10 遊技カード
101 会員カード(会員記録媒体)
102 暫定カード(暫定記録媒体)
14 中継装置
15 表示装置
2 貸出装置
201 受付手段
202 排出手段
203 会員判定手段
204 出力手段
205 計時手段
206 終了時刻管理手段
208 信号受信手段
3 パチンコ遊技機(遊技機)
5 管理装置
501 非会員終了時刻設定手段
502 出力手段
503 閉店管理手段
504 計時手段
505 会員記録手段
図1
図2
図3
図4
図5