特許第6033740号(P6033740)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6033740
(24)【登録日】2016年11月4日
(45)【発行日】2016年11月30日
(54)【発明の名称】粉粒体投入装置
(51)【国際特許分類】
   B65B 1/16 20060101AFI20161121BHJP
   B65B 39/12 20060101ALI20161121BHJP
【FI】
   B65B1/16
   B65B39/12
【請求項の数】10
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2013-116014(P2013-116014)
(22)【出願日】2013年5月31日
(65)【公開番号】特開2014-28656(P2014-28656A)
(43)【公開日】2014年2月13日
【審査請求日】2015年5月13日
(31)【優先権主張番号】特願2012-150524(P2012-150524)
(32)【優先日】2012年7月4日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000196107
【氏名又は名称】西川ゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】梶川 慎一
(72)【発明者】
【氏名】金田 弘明
【審査官】 長谷川 一郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開平07−285518(JP,A)
【文献】 実開平05−081001(JP,U)
【文献】 特開2005−022788(JP,A)
【文献】 特開2010−274940(JP,A)
【文献】 特開2000−326923(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0289662(US,A1)
【文献】 登録実用新案第3160255(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 1/16
B65B 39/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一部が通気性を有する収容体に粉粒体を投入する粉粒体投入装置であって、
上記粉粒体を貯留する貯留容器と、
上記収容体内に挿入され上記貯留容器内の粉粒体を上記収容体内に吐出する粉粒体吐出部と、該粉粒体の吐出中に該粉粒体吐出部の外周側から該粉粒体吐出部の外周面に沿ってエアを上記収容体内に吐出するエア吐出部とを有する粉粒体吐出装置とを備えていることを特徴とする粉粒体投入装置。
【請求項2】
請求項1において、
上記粉粒体吐出装置は、上記粉粒体吐出部として、1つ以上の粉粒体吐出口を有し上記収容体内に挿入される少なくとも一本の吐出管を備え、上記収容体内において上記粉粒体吐出口から上記粉粒体を吐出することを特徴とする粉粒体投入装置。
【請求項3】
請求項2において、
上記粉粒体吐出口が上記吐出管の先端に開口していることを特徴とする粉粒体投入装置。
【請求項4】
請求項2又は請求項3において、
上記粉粒体吐出装置は、上記エア吐出部として、エア吐出口を有するエアノズルを備え、該エアノズルのエア吐出口に上記少なくとも1本の吐出管を貫通させた状態で、該吐出管の外周側から上記エアを上記収容体内に吐出することを特徴とする粉粒体投入装置。
【請求項5】
請求項4において、
上記粉粒体吐出装置は、上記吐出管を複数本備えているとともに、これら吐出管に対応して各々上記エア吐出口を有する複数のエアノズルを備え、上記複数本の吐出管各々を対応するエアノズルのエア吐出口に貫通させた状態で、各吐出管の外周側から上記エアを上記収容体内に吐出することを特徴とする粉粒体投入装置。
【請求項6】
請求項2乃至請求項5のいずれか一において、
上記吐出管の粉粒体吐出口が上記粉粒体を吐出しながら上記収容体の奥から入口へ向かって移動するように、上記吐出管及び上記収容体のいずれか一方又は両方を駆動する駆動装置を備えていることを特徴とする粉粒体投入装置。
【請求項7】
請求項6において、
上記粉粒体吐出装置は、上記吐出管の粉粒体吐出口の移動中に上記エアノズルにより上記吐出管の外周側から上記エアを上記収容体内に吐出することを特徴とする粉粒体投入装置。
【請求項8】
請求項4乃至請求項7のいずれか一において、
上記エアノズルは、上記収容体の入口に嵌まる先細の嵌合部を備えていることを特徴とする粉粒体投入装置。
【請求項9】
請求項1乃至請求項8のいずれか一において、
上記粉粒体吐出装置による粉粒体吐出量を変更する吐出量可変手段を備えていることを特徴とする粉粒体投入装置。
【請求項10】
請求項1乃至請求項9のいずれか一において、
上記粉粒体吐出装置は、上記エアとしてイオン化されたイオンエアとイオン化されていない通常エアとを切り換えて上記エア吐出部から吐出することを特徴とする粉粒体投入装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉粒体を袋等の収容体に投入する粉粒体投入装置に関する。
【背景技術】
【0002】
粉、粒状物、チップ(破砕片)等の粉粒体を袋等に投入する手段として、圧縮エアを利用し気体流のエジェクタ効果によって粉粒体を噴出するエアガンが知られている。しかし、このエアガンによる場合、粉粒体の投入が作業者の手作業になるから、袋等の収容体内で粉粒体が偏在した状態になりやすい。
【0003】
これに対して、粉粒体を袋に自動投入する装置も知られている。特許文献1には、袋を計量フレームに保持し、粉粒体を圧縮エアと共に袋に供給し、計量フレームによる計量値が設定値に達すると、粉粒体の供給を停止する装置が記載されている。特許文献2には、粉粒体ではないが、液体を容器に充填する装置に関し、液体充填ノズルを容器の底部まで下降させ、そのノズルを上動させながら液体を容器に注入していくこと、並びにノズルの上動速度を容器の形状に応じて変化させていくことが記載されている。
【0004】
また、粉粒体を袋に機械で充填すると粉粒体が袋の開口部に付着するという問題がある。これに対して、特許文献3には、袋に粉粒体を充填した後に、エア供給パイプ下端のノズルを袋口に位置付けて、ノズルから圧縮エアを袋口のシール部に吹き付けて付着物を除去することが記載されている。特許文献4には、袋の開口部に配置した筒状のノズルガイドにノズルを嵌め、ノズルから流動体を袋に充填した後に、ノズルガイドとノズルとの隙間から袋内に圧縮エアを供給することにより、ノズルの先端部の付着物を吹き飛ばし、その付着物による袋開口部の汚染を防止することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特公昭61−54641号公報
【特許文献2】特開平2−296603号公報
【特許文献3】特開平11−255212号公報
【特許文献4】特開平7−285518号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、粉粒体を粉粒体吐出装置によって袋等の収容体に投入したとき、その粉粒体が粉粒体吐出路を通過するときの摩擦によって帯電することがある。この帯電した粉粒体は、粉粒体吐出装置の収容体内に挿入された吐出部の外周面に付着し易い。粉粒体が吐出部の外周面に付着すると、吐出部を粉粒体の収容体から抜いていくときにその粉粒体が吐出部から脱落して収容体の入口部分に付着し易くなる。また、吐出部に付着した粉粒体が収容体の外で脱落して周辺を汚すことになる。さらに、粉粒体が吐出部に付着したまま収容体から抜け出ると、粉粒体の投入量にばらつきを生ずる結果となる。また、粉粒体が収容体の入口部分に付着すると、その収容体の入口を塞いだときに粉粒体が入口部分に挟み込まれた状態になる。例えば、熱融着によって収容体の入口を塞いだときに、粉粒体が収容体の入口部分に溶着した状態になる。そのため、収容体の密封性が低下する。
【0007】
本発明は、ホッパー等の貯留容器に貯留した粉粒体を袋等の収容体に円滑に投入することができる粉粒体投入装置を提供する。本発明は、特に、粉粒体吐出部から収容体への粉粒体の吐出中に該粉粒体が粉粒体吐出装置の粉粒体吐出部の外周面に付着することを防止する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記課題を解決するために、粉粒体吐出装置による収容体への粉粒体吐出中に、その吐出部の外周側からエアを収容体内に吐出させるようにした。
【0009】
すなわち、ここに提示する粉粒体を袋に投入する粉粒体投入装置は、
少なくとも一部が通気性を有する収容体に粉粒体を投入する装置であって、
上記粉粒体を貯留する貯留容器と、
上記収容体内に挿入され上記貯留容器内の粉粒体を上記収容体内に吐出する粉粒体吐出部と、該粉粒体の吐出中に該粉粒体吐出部の外周側から該粉粒体吐出部の外周面に沿ってエアを上記収容体内に吐出するエア吐出部とを有する粉粒体吐出装置とを備えていることを特徴とする。
【0010】
かかる粉粒体投入装置であれば、収容体内に挿入された粉粒体吐出部による該収容体への粉粒体吐出中に粉粒体吐出部の外周側から該粉粒体吐出部の外周面に沿ってエアが収容体内に吐出する(エアが吹き込まれる)から、粉粒体が粉粒体吐出部の外周面に付着し難くなる。その結果、収容体の入口部分への粉粒体の付着も防止される。このエア吐出の特徴は、従来のように袋等への粉粒体の投入終了後にエアを吹き込むのではなく、粉粒体吐出中にエアを吹き込む点にある。これにより、吐出部の外周面や収容体の入口部分への粉粒体の付着防止の効果が高くなる。
【0011】
ここに、粉粒体の吐出開始後にエアの吐出を開始してもよい。しかし、好ましいのは、粉粒体の吐出開始と同時にエアの吐出を開始すること、或いは粉粒体の吐出開始前からエアの吐出を開始することである。また、粉粒体の吐出終了前にエアの吐出を終了することもできる。しかし、好ましいのは、粉粒体の吐出終了と同時にエアの吐出を終了すること、或いは粉粒体の吐出が終了した後にエアの吐出が終了することである。
【0012】
上記粉粒体としては、建築物、構築物、自動車、船舶、航空機等の構造体の材料となる粉粒体があり、あるいは粉粒体状の製品であってもよい。それは、無機、有機の天然物であっても、人工物であってもよい。また、密度(真比重)が0.01g/cm以上1.5g/cm以下程度、好ましくは0.03g/cm以上0.99g/cm以下程度の粉、粒、或いはチップ(砕片、細片、薄片)よりなる粉粒体(集合体)を対象としている。特に密度としては、粉粒体の嵩密度(粉粒体を容器にフリー状態(非圧縮状態)で充填したときの見かけ密度)が、0.01g/cm以上0.99g/cm以下程度であることが好ましく、さらには0.03g/cm以上0.5g/cm以下程度であることが好ましい。
【0013】
上記粉粒体を構成する粉、粒、或いはチップは、例えば、ゴム様弾性体又は樹脂であってもよく、ゴム様弾性体又は樹脂の発泡体であってもよい。ゴム様弾性体としては、例えば、EPDM、NR、IR、CR、熱可塑性エラストマー、軟質ポリ塩化ビニル等を採用することができる。樹脂としては、PP、PE、ナイロン、PET、硬質ポリ塩化ビニル等を採用することができる。
【0014】
上記粉或いは粒は、球状、不定形破砕状など、その形状は問わない。上記チップの形状も特に問わず、例えば、薄片(フレーク)にあっては、丸まった形状、凹凸を有するように歪んだ形状、或いは周縁がささくれた形状等であってもよい。
【0015】
上記粉粒体は、単一種の粉、粒、或いはチップの集合体であっても、材質の異なる複数種の粉、粒、或いはチップの混合集合体であっても、或いは粉、粒及びチップから選ばれる複数の材質や形態の混合集合体であってもよい。
【0016】
上記粉粒体を収容体に収容してなる製品を吸音材、遮音材等の防音材として用いるとき、その防音材における粉粒体部分の流れ抵抗値は1×10Ns/m以上1×10Ns/m以下であることが好ましく、10Ns/mオーダ程度あることがさらに好ましい。また、その粉粒体部分の100Hzから1000Hzの圧縮・圧縮解放の反復動作における動的縦弾性率は1×10N/m以上1×10N/m以下であることが好ましく、4×10N/m以上5×10N/m以下であることがさらに好ましい。また、損失係数は0.05以上0.5以下であることが好ましく、0.1以上0.4以下であることがさらに好ましい。
【0017】
上記収容体は、それ自身で形状保持性を有する容器であっても、形状保持性のない袋であってもよいが、少なくとも一部が通気性を有する必要がある。通気性を有することにより、粉粒体投入時に収容体内のエアが該収容体の通気性を有する部分から外部に押し出されることになり、粉粒体の投入が円滑になる。そのような収容体としては、例えば、不織布、多孔質材等の通気性を有する材料で少なくとも一部が形成された形状保形性を有する容器や形状保形性のない袋状のもの、或いは通気性のない樹脂製シートに通気孔を設けてなるシート材で少なくとも一部が形成された袋状のもの、通気性のない樹脂材、金属材等で形成された形状保形性を有する容器の少なくとも一部に通気孔を開けたものなどがある。
【0018】
上記粉粒体投入装置の好ましい態様では、上記粉粒体吐出装置は、上記粉粒体吐出部として、1つ以上の粉粒体吐出口を有し上記収容体内に挿入される少なくとも一本の吐出管を備え、上記収容体内において上記粉粒体吐出口から上記粉粒体を吐出する。すなわち、収容体に挿入する吐出管は1本であっても、複数本であってもよい。例えば、容量が大きい収容体であれば、その収容体に複数本の吐出管を挿入して粉粒体を投入することが投入時間の短縮に有利になるであろう。吐出管としては、例えば、鉄管、硬質プラスチック管等の硬い管であっても、ゴム管、軟質プラスチック管等のフレキシブル管であってもよく、或いは複数の材料で形成された複合管であってもよく、その材質は問わず、また、塗装、その他の表面処理がされたものであってもよい。
【0019】
また、そのような吐出管の先端や先端部側面等に1つ以上の粉粒体吐出口を開口させることができる。粉粒体の吐出を円滑にする上で好ましいのは、吐出管の先端に粉粒体吐出口を開口させることである。
【0020】
上記エア吐出部としては、例えば、エア吐出口を有するエアノズルを採用することができる。すなわち、エアノズルのエア吐出口に少なくとも1本の吐出管を貫通させた状態にし、その状態で当該エアノズル吐出用エアを供給する。エアはエアノズルと吐出管との隙間から、すなわち、吐出管の外周側から収容体内に吐出することになる。或いは、複数の吐出管各々に対応させて複数のエアノズルを設け、各エアノズルのエア吐出口に各吐出管を通し、各吐出管の外周側からエアを収容体内に吐出させることもできる。エアノズルの材質も特に何等限定するものではなく、鉄製、プラスチック製、ゴム製、或いは木製とすることができ、或いは複合材で形成してもよく、塗装、その他の表面処理がされたものであってもよい。
【0021】
また、上記粉粒体投入装置の好ましい態様では、上記吐出管の粉粒体吐出口が上記粉粒体を吐出しながら上記収容体の奥から入口へ向かって移動するように、上記吐出管及び上記収容体のいずれか一方又は両方を駆動する駆動装置を備えている。吐出管の粉粒体吐出口が収容体の奥から入口に向かって移動していくから、収容体内に仕切りや狭窄部がある場合、或いは収容体内の広さが途中で変化している場合でも、粉粒体を収容体全体に余すところなく充填することができ、収容体内での粉粒体の偏在防止に有利になる。
【0022】
上記粉粒体投入装置の好ましい態様では、上記粉粒体吐出装置は、上記吐出管の粉粒体吐出口の移動中に上記エアノズルにより上記吐出管の外周側から上記エアを上記収容体内に吐出する。これにより、吐出管の外周面や収容体の入口部分への粉粒体の付着防止が図れる。
【0023】
上記粉粒体投入装置の好ましい態様では、上記エアノズルの上記収容体の入口に嵌まる嵌合部が先細に形成されている。これにより、エアノズルの嵌合部と収容体の入口とが密着した状態になり易く、入口からの粉粒体の吹きこぼれ防止に有利になるとともに、入口部分への粉粒体の付着防止も図れる。
【0024】
上記粉粒体投入装置の好ましい態様では、上記粉粒体供給装置による粉粒体吐出量を変更する吐出量可変手段を備えている。これにより、上記吐出管の吐出口の移動位置に応じて粉粒体吐出量を変えることができる。例えば、収容体の最奥部から入口までの間で収容体内の広さが変化している場合において、広い部位で粉粒体吐出量を増大することにより、収容体への粉粒体の投入を短時間で終了することが可能になる。
【0025】
上記エアとしては、イオン化されたイオンエア、並びにイオン化されていない通常エアのいずれをも採用することができる。上記粉粒体投入装置の好ましい態様では、イオンエアと通常エアとを切り換えて上記エア吐出部から吐出する。イオンエア生成のためには上記エアノズルにイオナイザを接続すればよい。イオンエアの吐出により、帯電した粉粒体が粉粒体吐出部の外周面や収容体の入口部分に付着しても、その粉粒体は除電され(静電気が除去され)、粉粒体吐出部や収容体の入口部分から脱離して収容体内に吹き込まれる。
【0026】
上記イオンエアによる粉粒体の除電は、収容体への粉粒体の投入終了後、すなわち、吐出管の吐出口を収容体の奥から収容体の粉粒体入口まで移動させた後、収容体をエアノズルから外す前に行なうようにしてもよい。これにより、収容体の入口部分に粉粒体が付着したままになることを確実に防ぐことができる。もちろん、収容体への粉粒体の投入終了前からイオンエアを収容体内に吹き込むようにしてもよい。
【0027】
上記粉粒体投入装置の好ましい態様では、上記貯留容器内の粉粒体を攪拌する攪拌機を備え、上記貯留容器内の上記攪拌機で攪拌されている粉粒体を収容体内にエアによって吐出する。貯留容器内に粉粒体を攪拌する攪拌機を備えているから、粉粒体が貯留容器内で固まる(凝集する)ことが防止され、また、貯留容器内で粉粒体のブリッジを生ずることも防止される。さらに、粉粒体はエアによって収容体内に吐出されるから、この粉粒体の収容体内への投入が円滑になる。よって、粉粒体が貯留容器から収容体内に滞りなく投入され、粉粒体の投入量にばらつきを生ずること、すなわち、収容体内の粉粒体量が局部的に多くなったり少なくなったりすることが避けられ、粉粒体を収容体全体に余すところなく均一に充填する上で有利になる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、収容体内に挿入された粉粒体吐出部による該収容体への粉粒体吐出中に粉粒体吐出部の外周側から該粉粒体吐出部の外周面に沿ってエアが収容体内に吐出する(エアが吹き込まれる)から、粉粒体吐出部の外周面や収容体の入口部分への粉粒体の付着防止に有利になる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】粉粒体投入装置の側面図である。
図2】収容体としての扁平袋及び粉粒体を示す斜視図である。
図3】粉粒体投入装置の一部の平面図である。
図4】粉粒体投入装置の一部の断面図である。
図5】扁平袋の保持ピンを示す斜視図である。
図6】扁平袋に粉粒体が投入されていく様子を段階的に示す平面図である。
図7】扁平袋に粉粒体が投入されていく様子を段階的に示す別の例の平面図である。
図8】扁平袋の一例を示す斜視図である。
図9】粉粒体投入装置で得られる吸音材の一例を示す一部省略した斜視図である。
図10】吸音材を用いる車両の一例を示す斜視図である。
図11】インナーフェンダーと吸音材とを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0031】
図1に示す粉粒体投入装置は粉粒体の収容体への投入(充填)に使用される。本実施形態では、図2に一例を示すように、粉粒体としての発泡弾性体チップ1を、少なくとも一部が通気性を有する収容体としての扁平袋(凹凸が少なく、平べったい袋)2に投入する。この扁平袋2は、胴部2Aにチップ投入部2Bが首部2Cによって連なっている。チップ投入部2Bにチップ投入口2Dが開口している。この発泡弾性体チップ1を充填した扁平袋2は、発泡弾性体チップ1が外に出ないように首部2cが封止され、チップ投入部2Dが胴部2Aから切り離されて、吸音材ないしは防音材として使用される。
【0032】
<粉粒体投入装置の構成>
粉粒体投入装置は、粉粒体1を貯留する貯留容器としてのホッパー3と、このホッパー3内の粉粒体1を扁平袋2内に吐出する粉粒体吐出装置4とを備えている。さらに、粉粒体投入装置は、ホッパー3内の粉粒体1を攪拌する攪拌機5、制御装置10等を備えている。粉粒体吐出装置4は粉粒体1が扁平袋2の入口部分等に付着することを防止するためのエア吐出部を構成するエアノズル6を備えている。
【0033】
粉粒体吐出装置4は、エアノズル6以外の構成要素が、ホッパー3及び攪拌機5と共に、ガイドレール7に係合したスライダ8に支持されており、駆動装置9の作動によってガイドレール7上を進退する。この粉粒体吐出装置4の進退方向の前方に扁平袋2を載せる載置台11が設けられている。扁平袋2は、その入口(粉粒体投入口)を粉体吐出装置4の方へ向けて載置台11に載せられる。
【0034】
粉粒体吐出装置4は、上記エアノズル6の他に、先端に粉粒体吐出口が開口した粉粒体吐出部を構成する吐出管12と、圧縮エアによってホッパー3の粉粒体1を吐出管12に送るエジェクタガン13と、吐出管12とエジェクタガン13とを結合するジョイント管14とを備えている。ジョイント管14がスライダ8に固定したブラケット15に支持されている。エジェクタガン13にホッパー3の下端から延びるホース16が接続されている。エジェクタガン13には、コンプレッサー、アキュムレータ等のエア源17から圧縮エアが電磁弁18を介して第1ライン19によって供給される。電磁弁18はエア源17からの圧縮エアの供給・遮断及び供給方向の切り換えを行なうものである。
【0035】
ホッパー3は、スライダ8に立設された支柱20に支持されている。攪拌機5は、回転軸21の下端に設けられた攪拌棒22と、回転軸21を回転駆動する電動モータ23とを備えなる。攪拌棒22は、ホッパー3の円錐状下部の内周面に沿って回転移動する。電動モータ23は支柱20から突設したブラケット24に支持されている。
【0036】
エアノズル6は、詳細は後述するが、粉粒体吐出装置4の吐出管12の外周面に沿って付着物防止用エアを扁平袋2内に吹き込むものであり、ガイドレール7の前端部に立設した支持板25に支持されている。このエアノズル6には、圧縮エアとイオンエアとが切り換えて供給される。
【0037】
そのために、エア源17の圧縮エアをエアノズル6に供給する第2ライン27と、イオンエアをエアノズル6に供給する第3ライン28とが電磁弁18から延設されている。第2ライン27には逆止弁29が設けられている。第3ライン28にはエア源17の圧縮エアを受けてイオンエアを生成するイオナイザ30が設けられている。ここに、電磁弁18は、エア源17からの圧縮エアの供給を遮断した状態と、圧縮エアを第1ライン19及び第2ライン27に供給する状態と、圧縮エアを第3ライン28に供給する状態とに切り換え可能である。
【0038】
駆動装置9は、一軸アクチュエータ(ボールねじ)を利用して構成されている。すなわち、駆動装置9は、ガイドレール7と平行に設けたねじ軸33と、ねじ軸33を回転駆動する電動モータ34とを備え、ねじ軸33に係合したナットにスライダ8が結合されている。
【0039】
図3に示すように、本実施形態の粉粒体投入装置は、並設した2つの粉粒体吐出装置4を備え、各粉粒体吐出装置4に別個のホッパー3が接続され、各ホッパー3に攪拌機5が設けられている。なお、図3では攪拌機5の図示を省略している。
【0040】
粉粒体吐出装置4及びエアノズル6の具体的な構造を図4に基いて説明する。
【0041】
粉粒体吐出装置4のエジェクタガン13は、エア源17からの圧縮エアを導入する導入口40を有するエア導入部13aと、その両側の吸入部13b及び吐出部13cとを備える。エジェクタガン13の吸入部13aにホッパー3からのホース16が接続されている。エジェクタガン13の吐出部13cにジョイント管14の片側が嵌められ、ジョイント管14の反対側に吐出管12の基端部12aが嵌められている。
【0042】
ここに、長さの異なる複数の吐出管12を準備しておき、粉粒体1を扁平袋2に投入する際に、扁平袋2の深さに応じた長さの吐出管12を選択してジョイント管14に嵌めることになる。
【0043】
エジェクタガン13では、圧縮エアがエア導入部13aに吐出部13cへ向けて導入されることにより、吸入部13b側に負圧を生じる。これにより、ホッパー3の粉粒体1が吸引されて吐出部13cを介して吐出管12へ送られる。エジェクタガン13としては、例えば、オオサワ&カンパニー製のワンダーガン(商品名)を利用することができる。もちろん、ワンダーガンに限らず、同様の機能を有する他のエジェクタガンを用いることができる。
【0044】
エアノズル6は、風量増幅器41とノズルアダプタ42とをホルダ43で連結してなり、粉粒体吐出装置4の吐出管12を通す貫通孔44を有する。風量増幅器41は、孔径が先細になった外気導入部41aと、外気導入部41aに続いて孔径が漸次拡大したエア流出部41bと、エア源17からの圧縮エアを流入させる圧縮エア流入孔45とを備えている。圧縮エア流入孔45は、エア流出部41bの基端部に開口している。この風量増幅器41では、圧縮エアが圧縮エア流入孔45からエア流出部41bの前方に向かって吹き出すことにより、外気が外気導入部41aから導入され、ノズルアダプタ42に流れる風量が増大する。風量増幅器41としては、例えば、虹枝株式会社製のトランスベクター(商品名)を利用することができるが、これに限るものではない。
【0045】
ノズルアダプタ42は、扁平袋2の入口に挿入して嵌められるものであり、扁平袋2の入口に密着し易いように先細のパイプによって形成されている。ここに、先細勾配が異なる複数のノズルアダプタ42を準備しておき、扁平袋2の入口の大きさに応じた先細勾配のノズルアダプタ42を選択して上記風量増幅器41に連結する。但し、いずれのノズルアダプタ42も、その先端の内径は粉粒体吐出装置4の吐出管12の外径よりも少し大きくしておく。これにより、エアノズル6に吐出管12を通したとき、吐出管12の外周面とノズルアダプタ42の先端部との間に環状のエア吹出口46が形成された状態になる。
【0046】
一方、ホルダ43は、円筒状であって、風量増幅器41のエア流出部41bに嵌められている。ノズルアダプタ42は、その基端部が風量増幅器41のエア流出部41bの先端部に嵌められ、ホルダ43によってエア流出部41bに保持されている。
【0047】
<扁平袋2の保持>
図5に示すように、載置台11の先端部には扁平袋2を保持するピン47が立設されている。すなわち、扁平袋2は、その入口脇に耳部48を備え、この耳部48に保持ピン47に嵌まるピン孔49が設けられている。保持ピン47とピン孔49との嵌合により扁平袋2の入口部分が載置台11に保持される。
【0048】
<粉粒体の扁平袋への投入制御>
図1に示す制御装置10は、粉粒体1を扁平袋2に投入するために、攪拌機5(電動モータ23)、駆動装置9(電動モータ34)、電磁弁18及びイオナイザ30の作動を制御する。制御装置10は、第1スイッチ51からの信号を受けて攪拌機5を作動させるとともに、粉粒体を扁平袋2に投入すべく駆動装置9及び電磁弁18を制御し、第2スイッチ52からの信号を受けて電磁弁18及びイオナイザ30を制御する。また、制御装置10には、エア源17からの圧縮エアの供給を停止して駆動装置9を寸動させるための手動スイッチ53が接続されている。以下、粉粒体1の扁平袋2への投入について具体的に説明する。
【0049】
粉粒体吐出装置は、図1に示すように、粉粒体吐出装置4を前進端に位置付けた状態が粉粒体1を扁平袋2に投入するための待機状態である。この待機状態では、粉粒体吐出装置4の吐出管12が扁平袋2の載置台11上に突き出した状態になる。この吐出管12に扁平袋2を嵌めていき、図6(A)にも示すように、吐出管12の吐出口を扁平袋2内の奥に位置付ける。また、扁平袋2の入口をエアノズル6のノズルアダプタ42に嵌める。扁平袋2のピン孔49を載置台11の保持ピン47に嵌める。本例の扁平袋2は、袋深さ方向のなかほどに袋側部から中央に向かって延びる仕切り2a,2bを有する。なお、図6は2つの粉粒体吐出装置4のうちの一方のみを使用する例である。
【0050】
制御装置10は、第1スイッチ51の信号を受けて、攪拌機5を作動させ、その作動から所定時間経過後に、圧縮エアが第1及び第2の両ライン19,27に供給されるように電磁弁18を切り換え、駆動装置9を作動させる。攪拌機5の作動により、ホッパー3内の粉粒体1が攪拌棒22によって攪拌された状態になる。
【0051】
電磁弁18の上記切り換えにより、図6(A)に矢符で示すように、圧縮エアが粉粒体吐出装置4のエジェクタガン13及びエアノズル6に供給される。これにより、ホッパー3内の攪拌棒22で攪拌されている粉粒体1がエジェクタガン13で吸引され、吐出管12の先端吐出口から粉粒体1が扁平袋2の奥に吐出する。同時に、エアノズル6の風量増幅器41によって増幅されたエアがノズルアダプタ42から扁平袋2内に吹き込まれる。また、駆動装置9が粉粒体1の吐出管12を後退させていく。
【0052】
吐出管12の後退は粉粒体1の吐出開始と同時に開始してもよいが、粉粒体1が扁平袋2内に所定量投入されてから後退を開始するようにしてもよい。また、エアノズル6による扁平袋2内へのエアの吹き込みは、吐出管12の後退開始と同時に開始してもよく、また、吐出管12の後退開始後にエア吹き込みを開始するようにしてもよい。
【0053】
図6(B)は粉粒体吐出装置4の後退途中状態を示す。吐出管12は扁平袋2のなかほどまで後退している。ここで、仮に吐出管12の吐出口を扁平袋2の入口付近に位置付けて粉粒体1を扁平袋2内に吐出したとする。その場合、粉粒体1は、扁平袋2の奥の方へ入っていくものの、仕切り2a,2bが粉粒体投入の妨げになる。そのため、入口側から見て仕切り2a,2bの裏側に対する粉粒体1の充填が不足した状態になる。
【0054】
これに対して、上記粉粒体投入装置は、最初に吐出管12の先端吐出口を扁平袋2の奥の方に位置付け、粉粒体吐出位置を後退させていく。すなわち、粉粒体1は、扁平袋2の奥の方から順次充填されていくことになる。そのため、袋内に仕切り2a,2bがあっても、図6(C)に示すように、扁平袋2の全体にわたって粉粒体1が偏在なく均一に充填された状態になる。
【0055】
粉粒体1が吐出管12によって扁平袋2の中に吐出されると、個々の粉粒体1が摩擦帯電した状態になり易い。また、粉粒体1はエアと共に扁平袋2に吹き込まれるから、一部の粉粒体1は扁平袋2内を浮遊して扁平袋2の入口から外へ漏れ出ようとする。しかし、吐出管12が粉粒体1を吐出しながら後退しているときは、同時にエアノズル6からエアが吐出管12の外周面に沿って扁平袋2内に吹き込まれている。このエア吹き込みにより、扁平袋2内の浮遊している帯電した粉粒体1が入口付近で吐出管12に付着することが防止される。さらに、粉粒体1が扁平袋2の入口から外へ漏れ出ることが防がれる。
【0056】
図6(C)に示すように、吐出管12の吐出口がノズルアダプタ42の先端位置まで後退した時点で、制御装置10による駆動装置9の作動停止、電磁弁18の切り換え、イオナイザ30の起動が行なわれる。駆動装置9の作動停止により、吐出管12の後退が止まる。電磁弁18の切り換えにより、第1及び第2ライン19,27への圧縮エアの供給が停止し、第3ライン28に圧縮エアが供給される。これにより、エジェクタガン13による粉粒体1の吐出が停止する一方、エアノズル6から圧縮エアに代えてイオンエアが吐出管12の外周面に沿って扁平袋2内に吹き込まれる。
【0057】
従って、粉粒体1が帯電して吐出管12に付着していても、その粉粒体1は、イオンエアによって除電されて吐出管12から脱離し、イオンエアと共に扁平袋2内に吹き込まれる。また、粉粒体1が帯電して扁平袋2の入口部分に付着していても、その粉粒体1は、イオンエアによって除電されて入口部分から脱離して扁平袋2内に吹き込まれる。
【0058】
制御装置10は、イオンエアの吹き込み開始から所定時間経過後、イオナイザ30の作動を停止するとともに、電磁弁18を切り換えてエア源17からの圧縮エアの供給を遮断する。
【0059】
以上のようにして扁平袋2への粉粒体1の投入、除電用イオンエアの供給を終了した後、その扁平袋2をノズルアダプタ42から外し、扁平袋2の入口を熱融着等によって封止する。このとき、先に述べたように、イオンエアの供給によって扁平袋2の入口部分から粉粒体1が除去されているから、上記入口の封止に支障を来さない。すなわち、扁平袋2の入口を袋内から粉粒体1が洩れ出ないように塞ぐことが容易になる。
【0060】
また、ホッパー3と粉粒体吐出装置4とは、同じスライダ8に支持されているから、扁平袋2への粉粒体1の投入中に互いの相対位置が変化することがない。すなわち、ホッパー3と粉粒体吐出装置4とを屈曲自在のホース16で結んでいても、粉粒体1が通るホッパー3の下端から吐出管12の先端吐出口に至る通路形状は、粉粒体1の投入開始から終了に至るまで変化することがない。従って、粉粒体1が受ける通路抵抗も変わることがないから、扁平袋2への粉粒体1の単位時間当たりの投入量にばらつきを生じない。よって、粉粒体1の投入時間を制御することにより、扁平袋2への粉粒体1の投入総量を所望値にすることができ、また、吐出管12の後退速度を変化させることにより扁平袋2の各部への粉粒体1の充填量を調節することができる。
【0061】
図7は、先の図6の例とは違って、扁平袋2に袋側部から中央に大きく張り出した仕切り2cが設けられているケースでの粉粒体の投入方法を示す。
【0062】
このケースでは、仕切り2cが障壁となるため、粉粒体吐出装置4の吐出管12を入口から袋奥までまっすぐに通すことができない。よって、図7(A)に示すように、扁平袋2をノズルアダプタ42に嵌めた入口部分から側方に若干曲げることによって、吐出管12の先端吐出口を扁平袋2の奥まで入れる。この状態で粉粒体1の吐出を開始し、吐出管12を後退させながら、粉粒体1を扁平袋2の奥へ投入していく。
【0063】
扁平袋2の仕切り2cより奥側への粉粒体1の充填が済んだ時点で、手動スイッチ53によって粉粒体1の吐出を一旦停止し、さらに、駆動装置9の寸動により吐出管12を吐出口が仕切り2cの手前に位置付けられるように後退させる。扁平袋2の仕切り2cより奥側への粉粒体1の充填終了は、制御装置10において、吐出開始からの経過時間をみることによって検出することができる。
【0064】
そうして、図7(B)に示すように、今度は扁平袋2を図7(A)とは逆の方に若干曲げることにより、吐出管12の先端吐出口を仕切り2cの付け根付近に向ける。その状態で粉粒体1の吐出を再開し、吐出管12を後退させながら、粉粒体1を扁平袋2の仕切り2cより手前側に投入していく。この場合、吐出管12の先端吐出口が仕切り2cの付け根付近を向いているから、吐出管12から吐出される粉粒体1が仕切り2cより奥側へ押し込まれることが避けられる。すなわち、扁平袋2の仕切り2cより奥側において粉粒体1が過充填になることが防止される。
【0065】
図8は内部の広さが変化している扁平袋2の例を示す。すなわち、この扁平袋2は入口側の前部2dに比べて奥側の後部2eが広くなっている。このケースでは、扁平袋2の容積が大きい後部2eにおいて粉粒体吐出装置4の吐出管12を後退させながら粉粒体1を吐出するときは、その吐出量を大とし、吐出管12の吐出口が容積が小さい前部2dまで後退したときに、粉粒体1の吐出量を小にする。これにより、扁平袋2に対する粉粒体1の投入に要する時間の短縮が図れる。
【0066】
上記粉粒体吐出量の切り換えは、図1に示すように、例えば、第1ライン19に圧力制御弁50を設けてエジェクタガン13に対する圧縮エアの供給圧力を変更することで行なうことができる。エジェクタガン13に対する圧縮エアの供給圧力の変更により、粉粒体吐出装置4による粉粒体1の吐出量が変わる。
【0067】
なお、吐出管12を連続的に後退させながら、その後退速度及び/又は粉粒体吐出量を変化させることもできるが、図6図7の例から明らかなように、扁平袋2の内部形状が変化した部位で粉粒体1の吐出と吐出管12の後退とを一旦停止し、後退速度及び/又は粉粒体吐出量を変更して吐出管12の後退を再開するようにしてもよい。
【0068】
駆動装置9は、一軸アクチュエータに代えてチェーン伝導式或いはベルト伝動式など他の駆動方式を採用することもできる。
【0069】
また、上記実施形態では、駆動装置9によって吐出管12を移動させるようにしたが、扁平袋2を駆動して移動することによって、吐出管12の粉粒体吐出口が粉粒体を吐出しながら扁平袋2の奥から入口へ向かって相対移動するようにしてもよい。
【0070】
<吸音材について>
図9は上記粉粒体投入装置にて得られる吸音材(防音材)60の一例を示す。この吸音材60は、上記扁平袋2に発泡弾性体チップ1が充填されてなり、発泡弾性体チップ1は互いに非接着状態であって、ずれ動くことができる。発泡弾性体チップ1は扁平袋2に対しても接着されていない。
【0071】
発泡弾性体チップ1は、例えば、EPDMゴム発泡体(スポンジ材)よりなる遮音性シートの端材をチップ状に粉砕することによって得ることができる。この発泡弾性体チップ1の平均粒径は、0.5mm〜5mm程度であり、その粒径範囲は、例えば、0.1mm〜10mm程度が好ましく、また、その発泡密度(真比重)は0.01g/cm以上0.99g/cm以下程度、、好ましくは0.03g/cm以上0.5g/cm以下程度である。
【0072】
発泡弾性体チップ1を主材料(例えば、容積率で8割以上)として、その他に繊維材、非発泡弾性体チップ、樹脂チップ、無機材料の粉末(シリカ、マイカ等)など他の吸音材料ないし充填材を混合して扁平袋2に投入することもできる。
【0073】
上記発泡弾性体チップ1に限らず、発泡スチロールのチップ、発泡していないゴムチップ、樹脂チップ(例えば、薄片(フレーク状、凹凸を有するように歪んだ形状など))、木質バイオマスチップなどを粉粒体として採用することができ、或いはその他の種々の粉状物、粒状物を粉粒体として採用することができる。
【0074】
扁平袋2に充填される粉粒体(粉粒体としては発泡弾性体チップを含む)に関し、その嵩密度は、0.01g/cm以上0.99g/cm以下程度であることが好ましく、さらには0.03g/cm以上0.5g/cm以下程度であることが好ましい。
【0075】
扁平袋2は、例えば、2枚の不織布等の通気性シート材を重ね合わせ、或いは一枚の通気性シート材を折り重ね、それらの重ね合わされた周縁部を接合することによって得ることができる。その重ねられた周縁部は、発泡弾性体チップ等の内容物が外に出ない程度に接合されていればよく、その接合には、熱融着に限らず、接着、縫合など適宜の方法を採用することができる。
【0076】
また、扁平袋2の片面を不織布等の通気性シートで形成し、反対側の面をポリエチレンシート等の非通気性シートで形成するようにしてもよい。これにより、非通気性シートが遮音効果を発揮し、吸音材の防音性能が高くなる。
【0077】
また、不織布等の通気性シートで形成した扁平袋の内部を隔膜によって扁平袋の厚さ方向に分かれた複数の収容部に仕切り、各収容部に同一の又は異なる粉粒体を充填するようにしてもよい。上記隔膜は通気性シート又は非通気性シートによって形成することができる。隔膜を非通気性シートで形成する場合でも、各収容部の少なくとも片面に通気性が確保されていれば、本発明に係る投入装置による各収容部への粉粒体のスムースな充填に支障はない。
【0078】
吸音材全体としての面密度は、例えば、1kg/m以上4kg/m以下程度にすればよい。
【0079】
発泡弾性体チップ1を投入する袋は、必ずしも扁平であることを要さず、その断面形状は円形、矩形など様々な形状であってもよい。
【0080】
図10は吸音材60を使用する一例としての車両61を示す。同図において、62はフロントフェンダーであり、そのタイヤハウス63の内側(タイヤ64側)に図11に示すインナーフェンダー65が内張りとして設けられている。インナーフェンダー65は、タイヤ64の跳ね上げる小石や水などによるフロントフェンダー62内側のキズ付きや錆び付き、騒音などを防ぐ。このインナーフェンダー65の上面側(タイヤ64とは反対側の面)には、図11に示すように、ロードノイズ、その他の騒音対策として吸音材60が装着される。吸音材60には、水抜き孔67が設けられている。吸音材60は、車室内の静粛を得るべく、リヤフェンダー側のインナーフェンダー68やダッシュパネル69、アンダーフロアカバー70a〜70cの上面、サイドドア71、ルーフ72など、車体の他の部位にも装着することができる。また、水抜き孔67はインナーフェンダー65に取り付けるために使用する取付孔としても良い。また吸音材60には周縁部に接合箇所があり、この接合箇所を部分的に又は全周にわたって接着(接着剤や接合箇所の素材による融着)によって、又はホッチキスやボルト等の締結具によってインナーフェンダー65に固定することができる。
【0081】
また、車両に限らず、電車や飛行機等の他の乗り物や、建物等の建造物の防音にも吸音材60を利用することができる。
【符号の説明】
【0082】
1 粉粒体としての発泡弾性体チップ
2 収容体としての袋
3 ホッパー(貯留容器)
4 粉粒体吐出装置
5 攪拌機
6 エアノズル
13 エジェクタガン
12 吐出管
17 エア源
30 イオナイザ
46 エア吹出口
50 圧力制御弁(吐出量可変手段)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11