(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
従来、エンジン等の主駆動源(走行用駆動源)からの駆動力が伝達される入力軸と、入力軸の回転中心軸線と平行に配置された出力軸と、複数のてこクランク機構とを備える四節リンク機構型の無段変速機が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載の無段変速機において、てこクランク機構は、入力軸の回転中心軸線を中心として回転可能な回転部が設けられ、その回転部の回転半径を調節自在な回転半径調節機構と、揺動端部が設けられ出力軸に揺動自在に軸支された揺動リンクと、一方の端部が回転半径調節機構の回転部に回転自在に接続し、他方の端部が揺動リンクの揺動端部に連結されたコネクティングロッドとを有している。
【0004】
揺動リンクと出力軸との間には、揺動リンクが、出力軸を中心として、一方側に回転しようとするときに出力軸に対して揺動リンクを固定し、他方側に回転しようとするときに出力軸に対して揺動リンクを空転させる一方向回転阻止機構としてのワンウェイクラッチが設けられている。
【0005】
回転半径調節機構は、中心から偏心して穿設された貫通孔を有する円盤状の回転部と、回転部の貫通孔の内周面に取り付けられた内歯ギヤと、入力軸に固定され内歯ギヤに噛合する第1ピニオンと、副駆動源(調節用駆動源)からの駆動力が伝達されるキャリアと、それぞれがキャリアによって自転及び公転自在に軸支され、内歯ギヤに噛合する2個の第2ピニオンとで構成されている。第1ピニオンと2つの第2ピニオンは、それらの中心軸線を頂点とする三角形が正三角形となるように配置されている。
【0006】
なお、回転半径調節機構は、特許文献1に示される構成のものの他、入力軸に対して偏心した状態で入力軸と一体的に回転する円盤状のカム部と、このカム部に対して偏心した状態で回転自在であり、コネクティングロッドが回転自在に外嵌している回転部と、複数のピニオンを軸方向に備えるピニオンシャフトと、ピニオンシャフトを回転させる副駆動源とで構成されたものもある。
【0007】
この回転半径調節機構は、主駆動源で回転する入力軸と副駆動源で回転するキャリアの回転速度が同一の場合は、入力軸の回転中心軸線に対する回転部の中心の偏心量が維持され、回転半径調節機構の回転半径も一定のまま維持される。一方、入力軸とキャリアの回転速度が異なる場合は、入力軸の回転中心軸線に対する回転部の中心の偏心量が変化し、回転半径調節機構の回転半径も変化する。
【0008】
したがって、この回転半径調節機構は、その回転半径を変化させることによって、揺動リンクの揺動端部の振れ幅、ひいては変速比を変化させ、入力軸の回転速度に対する出力軸の回転速度を制御する。
【0009】
また、この回転半径調節機構では、3つのピニオンの中心を頂点とする正三角形の中心と入力軸の回転中心軸線との距離を、この正三角形の中心と回転部の中心との距離と等しく設定している。
【0010】
そのため、この回転半径調節機構は、入力軸の回転中心軸線と回転部の中心とを重ね合わせて偏心量を「0」にすることができる。偏心量が「0」の場合には、入力軸が回転している場合であっても揺動リンクの揺動端部の振れ幅が「0」となり、出力軸が回転しない状態となる。
【0011】
さらに、この回転半径調節機構では、キャリアと第2ピニオンとでカム部が構成され、カム部に副駆動源からの駆動力が伝達される。そのカム部は、回転半径調節機構ごとに、すなわち、てこクランク機構ごとにそれぞれ位相が異なるように設定され、複数のカム部で入力軸の周方向を一回りするようになっている。
【0012】
そのため、各回転半径調節機構に外嵌したコネクティングロッドによって、各揺動リンクが順にトルクを出力軸に伝達し、出力軸をスムーズに回転させることができるようになっている。
【0013】
また、回転半径調節機構の回転部と、その回転部に外嵌するコネクティングロッドとの間には、通常、コネクティングロッド軸受が配置されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
このように構成された無段変速機では、回転半径調節機構の回転部が、入力軸の回転中心軸線から偏心した状態で回転する。また、このように構成された無段変速機では、揺動リンクが、一方側に回転しようとするときには出力軸に駆動力を伝達し、他方側に回転しようとするときには出力軸に駆動力を伝達しない。
【0016】
そのため、回転部とその回転部に外嵌されたコネクティングロッドに、回転部の回転時に加わる荷重の方向及び大きさは、回転部の回転位相に応じて変化する。
【0017】
その結果、回転部とコネクティングロッド自体や、それらの間に軸受が配置されている場合にはその軸受に、その荷重の変化によって、騒音、振動、ガタツキが生じてしまうおそれがある。
【0018】
本発明は以上の点に鑑みてなされたものであり、軸支した部材が回転する際に加わる荷重の方向及び大きさが変化による騒音、振動、ガタツキを抑制することができる軸受、及び、それを用いた無段変速機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記課題を達成するために、本発明の軸受は、外輪と、内輪と、その外輪とその内輪との間に配置された複数の転動体と、その転動体を保持する保持器とを備える軸受であって、複数の転動体は、第1の転動体と、第2の転動体とで構成され、保持器は、弾性を有し、第1の転動体を保持する位置よりも、内輪側で第2の転動体を保持し、外輪又は内輪に荷重が加わったときに、保持器の弾性変形により、第1の転動体は内輪側に又は第2の転動体は外輪側に移動可能であることを特徴とする。
【0020】
このように、本発明の軸受では、弾性を有する保持器が、第1の転動体及びその第1の転動体よりも内輪側で保持された第2の転動体を、軸受の径方向に移動可能な状態で保持している。
【0021】
本発明の軸受のように、外輪と、内輪と、その外輪とその内輪との間に配置された複数の転動体と、その転動体を保持する保持器とを備える軸受では、軸支した部材が回転する際に加わる荷重の方向及び大きさが変化して、外輪又は内輪に荷重が加わると、外輪と内輪との間の隙間(クリアランス)が狭くなり、転動体と外輪又は内輪とが衝突し、衝撃が生じる場合がある。
【0022】
しかし、本発明の軸受では、保持器の弾性によって、第1の転動体は内輪側に移動可能となっており、第2の転動体は外輪側に、移動可能となっている。
【0023】
そのため、本発明の軸受によれば、第1の転動体及び第2の転動体と内輪又は外輪が衝突しても、その際に生じる衝撃は保持器が弾性変形することによって吸収されるので、その衝撃に起因する騒音、振動、ガタツキを抑制することができる。
【0024】
また、本発明の軸受においては、保持器は、第1の転動体を外輪と常に当接するように付勢し、第2の転動体を内輪と常に当接するように付勢していることが好ましい。
【0025】
このように、保持器と第1の転動体と外輪とが、又は、保持器と第2の転動体と内輪とが常に接触するように構成すれば、外輪と内輪との間のクリアランスが広くなった場合であっても、第1の転動体と外輪との間、又は、第2の転動体と内輪との間にクリアランスが生じることがない。そのため、第1の転動体と外輪との衝突、又は、第2の転動体と内輪との衝突による衝撃が発生しなくなるので、その衝撃に起因する騒音、振動、ガタツキも発生しなくなる。
【0026】
また、本発明の軸受においては、複数の第1の転動体及び複数の第2の転動体を備え、保持器は、第1の転動体及び第2の転動体を、軸受中心軸線の周方向に交互に保持することが好ましい。
【0027】
このように第1の転動体と第2の転動体を保持するようにすれば、外輪に対して転動体から加わる荷重及び内輪に対して転動体から加わる荷重が、転動体の位相によらず軸受の周方向において偏りにくくなるので、騒音、振動、ガタツキを、さらに抑制しやすくなる。
【0028】
また、本発明の軸受においては、少なくとも3つの第1の転動体及び少なくとも3つの第2の転動体を備え、保持器は、第1の転動体を軸受中心軸線の周方向に等間隔に保持するとともに、第2の転動体を軸受中心軸線の周方向に等間隔に保持することが好ましい。
【0029】
このように、第1の転動体及び第2の転動体を、3つずつ備えるとともに、軸受中心軸線の周方向において等間隔に保持すれば、バランスが良くなり、騒音、振動、ガタツキを、さらに抑制しやすくなる。
【0030】
また、本発明の軸受としては、保持器は、第1の転動体又は第2の転動体を保持する複数のポケットを有し、複数のポケットのうち第1の転動体を保持するポケットは、その第1の転動体と接触する領域が、外輪の径方向の外方側ほど、その第1の転動体の中心と軸受中心とを通る線から離れるように傾斜し、複数のポケットのうち第2の転動体を保持するポケットは、その第2の転動体と接触する領域が、内輪の径方向の内方側ほど、その第2の転動体の中心と軸受中心とを通る線から離れるように傾斜しているように構成してもよい。
【0031】
また、上記課題を達成するために、本発明の無段変速機は、走行用駆動源の駆動力が伝達される入力軸と、入力軸の回転中心軸線と平行に配置された出力軸と、入力軸の回転中心軸線を中心として回転可能な回転部が設けられその回転部の回転半径を調節自在な回転半径調節機構と、揺動端部が設けられ出力軸に揺動自在に軸支された揺動リンクと、一方の端部が回転半径調節機構の回転部に回転自在に接続し、他方の端部が揺動リンクの揺動端部に連結されたコネクティングロッドとを有し、入力軸の回転運動を揺動リンクの揺動運動に変換するてこクランク機構と、揺動リンクが、一方側に回転しようとするときに出力軸に対して揺動リンクを固定し、他方側に回転しようとするときに出力軸に対して揺動リンクを空転させる一方向回転阻止機構と、回転部とコネクティングロッドとの間に配置されたコネクティングロッド軸受とを備えた無段変速機であって、コネクティングロッド軸受は、上記のいずれかの軸受であることを特徴とする。
【0032】
このようなてこクランク機構を備える四節リンク機構型の無段変速機では、回転半径調節機構の回転部が、入力軸の回転中心軸線から偏心した状態で回転する。また、この無段変速機では、揺動リンクが、一方側に回転しようとするときには出力軸に駆動力を伝達し、他方側に回転しようとするときには出力軸に駆動力を伝達しない。
【0033】
そのため、回転部とその回転部に外嵌されたコネクティングロッドに、回転部の回転時に加わる荷重の方向及び大きさは、回転部の回転位相に応じて変化する。
【0034】
そこで、そのような荷重が加わる回転部とコネクティングロッドとの間に配置されるコネクティングロッド軸受として、上記のいずれかの軸受を用いれば、騒音、振動、ガタツキを抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、図面を参照して、本発明の軸受を備えた無段変速機の実施形態を説明する。本実施形態の無段変速機は、四節リンク機構型の無段変速機であり、変速比h(h=入力軸の回転速度/出力軸の回転速度)を無限大(∞)にして出力軸の回転速度を「0」にできる変速機、いわゆるIVT(Infinity Variable Transmission)の一種である。
【0037】
図1〜
図6を参照して、本実施形態の無段変速機1について説明する。
【0038】
まず、
図1及び
図2を参照して、本実施形態の無段変速機1の構成について説明する。
【0039】
本実施形態の無段変速機1は、
図1に示すように、入力部2と、入力部2の回転中心軸線P1と平行に配置された出力軸3と、入力部2の回転中心軸線P1上に設けられた6個の回転半径調節機構4とを備える。
【0040】
入力部2は、主駆動源であるエンジンENG(走行用駆動源)からの駆動力が伝達されることで回転中心軸線P1を中心に回転する。なお、主駆動源としては、内燃機関の他、電動機等を用いてもよい。
【0041】
出力軸3は、図示省略したデファレンシャルギヤを介して車両の駆動輪(図示省略)に回転動力を伝達させる。なお、デファレンシャルギヤの代わりにプロペラシャフトを設けてもよい。
【0042】
回転半径調節機構4は、入力部2の回転中心軸線P1上に設けられたカムディスク5(カム部)と、カムディスク5に回転自在に外嵌している回転ディスク6(回転部)とを有する。
【0043】
カムディスク5は、円盤状であり、入力部2の回転中心軸線P1に対して偏心した状態で、入力部2と一体的に回転可能に、2個1組で設けられている。各1組のカムディスク5は、それぞれ位相が60°異なるように設定され、6組のカムディスク5で入力部2の回転中心軸線P1の周方向を一回りするように配置されている。
【0044】
カムディスク5には、入力部2の回転中心軸線P1方向に貫通し、カムディスク5の中心P2に対して偏心した位置に穿設された貫通孔5aが形成されている。また、カムディスク5には、入力部2の回転中心軸線P1を挟んでカムディスク5の中心P2と反対側となる領域に、カムディスク5の外周面と貫通孔5aの内周面とを連通させる切欠孔5bが形成されている。
【0045】
2個1組のカムディスク5同士はボルト(図示省略)で固定されている。また、2個1組のカムディスク5の一方は、隣接する回転半径調節機構4が有する他の2個1組のカムディスク5の他方と一体的に形成され、一体型カム部を構成している。また、カムディスク5のうち、最もエンジンENGに近い位置にあるカムディスク5は、入力部2と一体的に形成されている。このようにして、入力部2と複数のカムディスク5とで、入力軸(カムシャフト)が構成されることとなる。
【0046】
なお、2個1組のカムディスク5同士は、ボルトではなく、他の手段で固定してもよい。また、一体型カム部は、一体成型で形成してもよく、2つのカムディスク5を溶接して一体化してもよい。また、最もエンジンENGに近い位置にあるカムディスク5と入力部2とを一体的に形成する方法としては、一体成型で形成してもよく、カムディスク5と入力部2とを溶接して一体化してもよい。
【0047】
回転ディスク6は、
図2に示すように、その中心P3から偏心した位置に受入孔6aが設けられた円盤状であり、入力部2の回転中心軸線P1に対して回転可能に設けられている。その受入孔6aには、各1組のカムディスク5が、回転自在に嵌め込まれている。また、回転ディスク6の受入孔6aには、
図1に示すように、1組のカムディスク5の間となる位置に、内歯6bが設けられている。
【0048】
また、回転ディスク6の受入孔6aは、入力部2の回転中心軸線P1からカムディスク5の中心P2(受入孔6aの中心)までの距離Rxとカムディスク5の中心P2から回転ディスク6の中心P3までの距離Ryとが同一となるように、カムディスク5に対して偏心している。
【0049】
入力部2と複数のカムディスク5によって構成された入力軸は、カムディスク5の貫通孔5aが連なることによって構成される挿通孔50を備えている。これにより、入力軸は、エンジンENGとは反対側の一方端が開口し他方端が閉塞した中空軸形状となっている。
【0050】
挿通孔50には、回転中心軸線P1と同心に、ピニオンシャフト7が入力軸と相対回転自在となるように配置されている。
【0051】
ピニオンシャフト7は、回転ディスク6の内歯6bと対応する位置にピニオン7aを有している。また、ピニオンシャフト7は、入力部2の回転中心軸線P1方向において隣接するピニオン7aの間に位置させてピニオン軸受7bが設けられている。このピニオン軸受7bを介して、ピニオンシャフト7は、入力軸を支えている。
【0052】
ピニオン7aは、ピニオンシャフト7のシャフト部と一体に形成されている。ピニオン7aは、カムディスク5の切欠孔5bを介して、回転ディスク6の内歯6bと噛合する。なお、ピニオン7aは、ピニオンシャフト7と別体に構成して、ピニオンシャフト7にスプライン結合で連結させてもよい。本実施形態においては、単にピニオン7aというときは、ピニオンシャフト7を含むものとして定義する。
【0053】
また、ピニオンシャフト7は、遊星歯車機構などで構成される差動機構8が接続されている。
【0054】
差動機構8は、
図1に示すように、例えば、遊星歯車機構として構成され、サンギヤ9と、入力部2と複数のカムディスク5によって構成された入力軸に連結された第1リングギヤ10と、ピニオンシャフト7に連結された第2リングギヤ11と、サンギヤ9及び第1リングギヤ10と噛合する大径部12aと、第2リングギヤ11と噛合する小径部12bとからなる段付ピニオン12を自転及び公転自在に軸支するキャリア13とを有している。
【0055】
サンギヤ9は、ピニオンシャフト7用の副駆動源であるアクチュエータ14(調節用駆動源)からの駆動力が伝達される。したがって、ピニオン7aにも、差動機構8を介して、アクチュエータ14の駆動力が伝達される。
【0056】
ピニオンシャフト7の回転速度を入力部2の回転速度と同一にした場合、サンギヤ9と第1リングギヤ10とが同一速度で回転することとなる。その結果、サンギヤ9、第1リングギヤ10、第2リングギヤ11及びキャリア13の4個の要素が相対回転不能なロック状態となって、第2リングギヤ11と連結するピニオンシャフト7が入力部2と同一速度で回転する。
【0057】
ピニオンシャフト7の回転速度を入力部2の回転速度よりも遅くした場合、サンギヤ9の回転数をNs、第1リングギヤ10の回転数をNR1、サンギヤ9と第1リングギヤ10のギヤ比(第1リングギヤ10の歯数/サンギヤ9の歯数)をjとすると、キャリア13の回転数が(j・NR1+Ns)/(j+1)となる。また、サンギヤ9と第2リングギヤ11のギヤ比((第2リングギヤ11の歯数/サンギヤ9の歯数)×(段付ピニオン12の大径部12aの歯数/小径部12bの歯数))をkとすると、第2リングギヤ11の回転数が{j(k+1)NR1+(k−j)Ns}/{k(j+1)}となる。
【0058】
すなわち、入力部2の回転速度とピニオンシャフト7の回転速度とに差がある場合、ピニオンシャフト7のピニオン7aと噛合する回転ディスク6の内歯6bを介して伝達されたアクチュエータ14からの駆動力により、回転ディスク6は、カムディスク5の中心P2を中心にカムディスク5の周縁を回転する。
【0059】
ところで、
図2に示すように、回転ディスク6は、カムディスク5に対して、入力部2の回転中心軸線P1からカムディスク5の中心P2までの距離Rxと、カムディスク5の中心P2から回転ディスク6の中心P3までの距離Ryとが同一となるように偏心している。
【0060】
そのため、回転ディスク6の中心P3を入力部2の回転中心軸線P1と同一線上に位置させて、入力部2の回転中心軸線P1と回転ディスク6の中心P3との距離(回転半径調節機構4の回転半径)、すなわち、偏心量R1を「0」にすることもできる。
【0061】
回転ディスク6の周縁には、一方(入力部2側)の端部に大径の入力側環状部15aを有し、他方(出力軸3)の端部に入力側環状部15aの径よりも小径の出力側環状部15bを有するコネクティングロッド15が、回転自在に接続している。
【0062】
コネクティングロッド15の入力側環状部15aは、軸方向に2個並べた2個1組のボールベアリングからなるコネクティングロッド軸受16を介して、回転ディスク6に回転自在に外嵌している。
【0063】
出力軸3には、ワンウェイクラッチ17(一方向回転阻止機構)を介して、6個の揺動リンク18が、コネクティングロッド15に対応させて揺動自在に軸支されている。
【0064】
ワンウェイクラッチ17は、揺動リンク18と出力軸3との間に設けられ、揺動リンク18が出力軸3の回転中心軸線P5を中心として出力軸3に対して一方側に相対回転しようとする場合には、出力軸3に対して揺動リンク18を固定し(固定状態)、他方側に相対回転しようとする場合には、出力軸3に対して揺動リンク18を空転させる(空転状態)。
【0065】
揺動リンク18は、環状に形成されており、その下方には、コネクティングロッド15の出力側環状部15bに連結される揺動端部18aが設けられている。揺動端部18aには、出力側環状部15bを軸方向から挟み込むように突出した一対の突片18bが設けられている。一対の突片18bには、出力側環状部15bの内径に対応する差込孔18cが穿設されている。
【0066】
差込孔18c及び出力側環状部15bに、揺動軸としての連結ピン19が挿入されることによって、コネクティングロッド15と揺動リンク18とが、相対回転可能に連結される。
【0067】
本実施形態の無段変速機1では、上記のような構成を有する回転半径調節機構4と、揺動リンク18と、コネクティングロッド15とによって、てこクランク機構20が構成されている。
【0068】
てこクランク機構20及びワンウェイクラッチ17は、変速機ケース21に収納されている。この変速機ケース21の下方には、潤滑油が油溜を形成している。
【0069】
そして、揺動リンク18は、その揺動端部18aが変速機ケース21の下方に溜まった潤滑油の油溜に油没するように配置されている。
【0070】
そのため、てこクランク機構20の駆動時には、揺動端部18aを油溜で潤滑するとともに、揺動リンク18の揺動運動により、油溜の潤滑油を掻き揚げて、無段変速機1の他の部品を潤滑させることができるようになっている。
【0071】
また、変速機ケース21は、エンジンENGに固定されている一端壁部21aと、一端壁部21aに対向して配置されている他端壁部21bと、てこクランク機構20及びワンウェイクラッチ17を間隔を存して覆い、一端壁部21aの外縁と他端壁部21bの外縁とを連結する周壁部21cとによって形成されている。
【0072】
一端壁部21aと他端壁部21bには、入力軸を軸支するための開口部と、出力軸3を軸支するための開口部が形成されており、それらの開口部には、軸受が嵌合されている。
【0073】
なお、本実施形態においては、6個のてこクランク機構20を備えたものを説明した。しかし、本発明の無段変速機におけるてこクランク機構の数は、その数に限られず、例えば、5個以下のてこクランク機構を備えていてもよいし、7個以上のてこクランク機構を備えていてもよい。
【0074】
また、本実施形態においては、入力部2と複数のカムディスク5によって入力軸を構成し、入力軸がカムディスク5の貫通孔5aが連なることによって構成される挿通孔50を備えるものを説明した。しかし、本発明の無段変速機における入力軸はこのように構成されたものに限られない。
【0075】
例えば、入力部を一端が開口するように挿通孔を有する中空軸状に構成し、円盤状のカムディスクに入力部を挿通できるように貫通孔を本実施形態のものよりも大きく形成して、カムディスクを中空軸状に構成された入力部の外周面にスプライン結合させてもよい。
【0076】
この場合、中空軸からなる入力部には、カムディスクの切欠孔に対応させて切欠孔が設けられる。そして、入力部内に挿入されるピニオンは、入力部の切欠孔及びカムディスクの切欠孔を介して、回転ディスクの内歯と噛合する。
【0077】
また、本実施形態においては、一方向回転阻止機構としてワンウェイクラッチ17を用いたものを説明した。しかし、本発明の無段変速機における一方向回転阻止機構はワンウェイクラッチに限らず、例えば、揺動リンクから出力軸にトルクを伝達可能な揺動リンクの出力軸に対する回転方向を切換自在に構成されるツーウェイクラッチを用いてもよい。
【0078】
次に、
図1〜
図4を参照して、本実施形態の無段変速機のてこクランク機構20について説明する。
【0079】
本実施形態の無段変速機1は、
図1に示すように、合計6個のてこクランク機構20(四節リンク機構)を備えている。てこクランク機構20は、
図2に示すように、コネクティングロッド15と、揺動リンク18と、回転ディスク6を有しその回転半径を調節自在な回転半径調節機構4とで構成されている。このてこクランク機構20によって、入力軸の回転運動が、揺動リンク18の揺動運動に変換される。
【0080】
このてこクランク機構20では、回転半径調節機構4の回転ディスク6の中心P3(入力側支点)の回転半径(偏心量R1)が、「0」でない場合、入力部2とピニオンシャフト7とを同一速度で回転させると、各コネクティングロッド15が、位相を変えながら、入力部2と出力軸3との間で、揺動端部18aを、出力軸3側に押したり、入力部2側に引いたりを交互に繰り返して、揺動リンク18を揺動させる。
【0081】
そして、揺動リンク18と出力軸3との間にはワンウェイクラッチ17が設けられているので、揺動リンク18がコネクティングロッド15によって押し引きされて揺動すると、揺動リンク18が押し方向側又は引張り方向側のいずれか一方に回転するときには、揺動リンク18が出力軸3に対して固定されて出力軸3が回転し、揺動リンク18が他方に回転するときには、揺動リンク18が出力軸3に対して空回りする。
【0082】
本実施形態の無段変速機1では、6個のてこクランク機構20の回転半径調節機構4が、それぞれ60度ずつ位相を変えて配置されているので、出力軸3は、6個のてこクランク機構20で順に回転させられる。
【0083】
図3は、回転半径調節機構4の回転ディスク6の中心P3(入力側支点)の回転半径(偏心量R1)を変化させた状態のピニオンシャフト7と回転ディスク6との位置関係を示す図である。
【0084】
図3Aは、偏心量R1を「最大」とした状態を示し、入力部2の回転中心軸線P1とカムディスク5の中心P2と回転ディスク6の中心P3とが一直線に並ぶように、ピニオンシャフト7と回転ディスク6とが位置する。この場合の変速比hは最小となる。
【0085】
図3Bは、偏心量R1を
図3Aよりも小さい「中」とした状態を示し、
図3Cは、偏心量R1を
図3Bよりも更に小さい「小」とした状態を示している。変速比hは、
図3Bでは
図3Aの変速比hよりも大きい「中」となり、
図3Cでは
図3Bの変速比hよりも大きい「大」となる。
【0086】
図3Dは、偏心量R1を「0」とした状態を示し、入力部2の回転中心軸線P1と、回転ディスク6の中心P3とが同心に位置する。この場合の変速比hは無限大(∞)となる。
【0087】
また、
図4は、回転半径調節機構4の回転ディスク6の中心P3(入力側支点)の回転半径(偏心量R1)と、揺動リンク18の揺動運動の揺動範囲θ2との関係を示す図である。
【0088】
図4Aは、偏心量R1が
図3Aの「最大」である場合(変速比hが最小である場合)、
図4Bは、偏心量R1が
図3Bの「中」である場合(変速比hが中である場合)、
図4Cは、偏心量R1が
図3Cの「小」である場合(変速比hが大である場合)、
図4Dは、偏心量R1が
図3Dの「0」である場合(変速比hが無限大(∞)である場合)を示す。
【0089】
ここで、R2は、揺動リンク18の長さである。より具体的には、R2は、出力軸3の回転中心軸線P5からコネクティングロッド15と揺動端部18aとの連結点、すなわち、連結ピン19の中心P4までの距離である。また、θ1は、回転半径調節機構4の回転ディスク6の位相である。
【0090】
この
図4から明らかなように、偏心量R1が小さくなるにつれ、揺動リンク18の揺動範囲θ2が狭くなり、偏心量R1が「0」になった場合には、揺動リンク18は揺動しなくなる。
【0091】
次に、
図2及び
図6〜
図8を参照して、本実施形態の無段変速機1のコネクティングロッド軸受16について詳細に説明する。
【0092】
図2に示すように、本実施形態の無段変速機1のてこクランク機構20では、回転半径調節機構4の回転ディスク6と揺動リンク18の揺動端部18aとが、コネクティングロッド15によって連結されている。そして、コネクティングロッド15は、回転半径調節機構4の回転ディスク6の回転運動を、揺動リンク18の揺動端部18aの揺動運動に変換する。
【0093】
また、揺動リンク18と出力軸3との間には、ワンウェイクラッチ17が配置されている。そのため、揺動リンク18は、ワンウェイクラッチ17によって、出力軸3の回転中心軸線P5を中心として一方側に回転しようとするときには、出力軸3に駆動力を伝達し、他方側に回転するときには、出力軸3に駆動力を伝達しない。
【0094】
このように、本実施形態の無段変速機1では、回転半径調節機構4の回転ディスク6の回転位相によって、その回転ディスク6にコネクティングロッド15を介して連結されている揺動リンク18から出力軸3へ、駆動力を伝達している状態と伝達していない状態とが切り替わる。
【0095】
そして、実験の結果、回転半径調節機構4の回転ディスク6とコネクティングロッド15の入力側環状部15aとの間における騒音、振動、ガタツキは、駆動力を伝達している状態では比較的生じにくく、駆動力を伝達していない状態では比較的生じやすいことが分かった。
【0096】
これは、
図5や
図6のグラフに示すように、コネクティングロッド15に回転半径調節機構4の回転ディスク6や揺動リンク18の揺動端部18aから加わる荷重が、駆動力を伝達している状態よりも駆動力を伝達していない状態の方が小さいので、コネクティングロッド15が回転ディスク6に対して相対的に移動しやすいためである。
【0097】
なお、
図5は、回転半径調節機構4の回転ディスク6の回転位相に対し、コネクティングロッド15に加わる荷重の方向(
図2におけるX方向及びY方向)の変化を示すグラフである。
【0098】
図5Aは、変速比hが比較的高い状態(アンダードライブ(UD))で、コネクティングロッド15が揺動リンク18を一方に押しても駆動力を伝達させない無負荷状態の場合のグラフである。また、
図5Bは、変速比hが比較的低い状態(トップドライブ(TD))で、コネクティングロッド15が揺動リンク18を一方に押しても駆動力を伝達させない無負荷状態の場合のグラフである。
【0099】
また、
図5Cは、変速比hが比較的高い状態(アンダードライブ(UD))で、コネクティングロッド15が揺動リンク18を一方に押すときに駆動力を伝達させる負荷状態の場合のグラフである。また、
図5Dは、変速比hが比較的低い状態(トップドライブ(TD))で、コネクティングロッド15が揺動リンク18を一方に押すときに駆動力を伝達させる負荷状態の場合のグラフである。
【0100】
また、
図6は、回転半径調節機構4の回転ディスク6の回転位相に対し、コネクティングロッド15に加わる荷重の大きさの変化を示すグラフである。
【0101】
ところで、本実施形態の無段変速機1においては、
図7に示すように、コネクティングロッド軸受16として、外輪22と、内輪23と、その外輪22とその内輪23との間に配置された複数の第1の転動体24aと複数の第2の転動体24bとからなる玉形状の転動体と、その第1の転動体24aと第2の転動体24bを保持する保持器25とを備える軸受を用いている。
【0102】
そのため、コネクティングロッド軸受16では、軸支した部材、すなわち、回転ディスク6が回転する際に加わる荷重の方向及び大きさが変化して、コネクティングロッド15から外輪22に加わる荷重、又は、回転ディスク6から内輪23に荷重が加わると、外輪22と内輪23との間の隙間(クリアランス)が狭くなり、第1の転動体24a及び第2の転動体24bと外輪22又は内輪23とが衝突し、衝撃が生じてしまう場合がある。
【0103】
具体的には、
図6のグラフに示すように、コネクティングロッド15又は回転ディスク6に加わる荷重の変化に応じて、コネクティングロッド15に圧入された外輪22と回転ディスク6が圧入された内輪23とのクリアランスも変化する。そして、第1の転動体24a及び第2の転動体24bと外輪22又は内輪23とが衝突して衝撃が生じ、騒音、振動、ガタツキが生じてしまうおそれがある。
【0104】
そこで、本実施形態のコネクティングロッド軸受16では、
図7に示すように、保持器25は、その保持器25によって第2の転動体24bの保持される位置が、第1の転動体24aの保持される位置よりも内輪側となるように構成されている。
【0105】
また、保持器25は、弾性を有する材料で形成されており、外輪22又は内輪23に荷重が加わったときに弾性変形するので、その保持器25に保持された第1の転動体24aは内輪23側に移動可能となっており、また、第2の転動体24bは外輪22側に移動可能となっている。
【0106】
さらに、保持器25は、その弾性によって、第1の転動体24aを外輪22の内周面に形成された外輪側軌道溝22aと常に当接するように付勢し、第2の転動体24bを内輪23の外周面に形成された内輪側軌道溝23aと常に当接するように付勢している。
【0107】
具体的には、
図8に示すように、保持器25は、弾性を有する部材によって形成され、第1の転動体24aを保持する複数の第1ポケット部25a、及び、第2の転動体24bを保持する複数の第2ポケット部25bを有している。
【0108】
そして、
図7に示すように、第1ポケット部25aの第1の転動体24aと接触する領域は、外輪22の径方向の外方側ほど、その第1の転動体24aの中心と軸受中心とを通る線から離れるように傾斜している。保持器25は、この傾斜した面と弾性によって、第1の転動体24aを、第2の転動体24bよりも外輪22側の位置で径方向に移動可能に保持するとともに、常に外輪22の外輪側軌道溝22aに当接するように付勢している。
【0109】
また、
図7に示すように、第2ポケット部25bの第2の転動体24bと接触する領域は、内輪23の径方向の内方側ほど、その第2の転動体24bの中心と軸受中心とを通る線から離れるように傾斜している。保持器25は、この傾斜した面と弾性によって、第2の転動体24bを、第1の転動体24aよりも内輪23側の位置で径方向に移動可能に保持するとともに、常に内輪23の内輪側軌道溝23aに当接するように付勢している。
【0110】
このように構成された本実施形態のコネクティングロッド軸受16では、外輪22又は内輪23に加わる荷重の方向及び大きさが変化して、外輪22と内輪23との間のクリアランスが狭くなった場合(
図7Aの状態から
図7Bの状態に変化した場合)、保持器25の弾性によって、第1の転動体24aは内輪23側に移動し、第2の転動体24bは外輪22側に移動する。
【0111】
そのため、本実施形態のコネクティングロッド軸受16によれば、第1の転動体24aと内輪23とが衝突したり、第2の転動体24bと外輪22とが衝突したりしても、その際に生じる衝撃は保持器25の弾性によって吸収されるので、その衝撃に起因する騒音、振動、ガタツキが抑制される。
【0112】
また、このように構成された本実施形態のコネクティングロッド軸受16では、外輪22又は内輪23に加わる荷重の方向及び大きさが変化して、外輪22と内輪23との間のクリアランスが広くなった場合(
図7Bの状態から
図7Aの状態に変化した場合)であっても、第1の転動体24aと外輪22との間や第2の転動体24bと内輪23との間にクリアランスが生じることがない。
【0113】
そのため、本実施形態のコネクティングロッド軸受16によれば、第1の転動体24aと外輪22との衝突や第2の転動体24bと内輪23との衝突による衝撃が発生しなくなるので、その衝撃に起因する騒音、振動、ガタツキも発生しない。
【0114】
また、本実施形態のコネクティングロッド軸受16は、
図8に示すように、保持器25が、複数の第1の転動体24a及び複数の第2の転動体24bを、軸受中心軸線の周方向に交互に保持している。
【0115】
また、本実施形態のコネクティングロッド軸受16は、
図2に示すように、全周にわたって第1の転動体24a及び第2の転動体24bが多数配置されている。また、
図8に示すように、第1の転動体24aは軸受中心軸線の周方向に等間隔に保持されており、第2の転動体24bも軸受中心軸線の周方向に等間隔に保持されている。
【0116】
そのため、本実施形態のコネクティングロッド軸受16によれば、外輪22に対して第1の転動体24aから加わる荷重、及び、内輪23に対して第2の転動体24bから加わる荷重が、コネクティングロッド軸受16の周方向において、偏らず、バランスが良くなるので、騒音、振動、ガタツキが生じにくい。
【0117】
以上、図示の実施形態について説明したが、本発明はこのような形態に限られるものではない。
【0118】
例えば、上記実施形態においては、第1の転動体24a及び第2の転動体24bとして、玉形状の転動体を用いている。しかし、本発明の転動体としては、必ずしも玉形状の転動体を用いる必要はなく、ころ形状の転動体を用いてもよい。
【0119】
また、上記実施形態においては、転動体は、外輪側に付勢された第1の転動体24aと内輪側に付勢された第2の転動体24bとによって構成されている。しかし、本発明の転動体は、必ずしも第1の転動体及び第2の転動体のみによって構成する必要はない。例えば、軸受の径方向に付勢されていない転動体を含むようにしてもよい。
【0120】
また、上記実施形態においては、転動体は、多数の第1の転動体24aと多数の第2の転動体24bとからなり、それらが交互に配置されている。しかし、本発明の転動体は、必ずしもそのように構成する必要はなく、第1の転動体と第2の転動体とを少なくとも1つずつ含んでいればよい。
【0121】
また、上記実施形態においては、保持器25として、第1の転動体24aを囲む第1ポケット部25a及び第2の転動体24bを囲む第2ポケット部25bを有するかご形保持器を用いている。しかし、本発明の保持器としては、必ずしもかご形保持器を用いる必要はなく、転動体を保持し、軸受の径方向に付勢できるものであればよい。
【0122】
また、上記実施形態においては、弾性を有する材料によって形成された保持器25を用いて、第1の転動体24a及び第2の転動体24bを保持している。しかし、本発明の保持器は、必ずしも保持器の弾性のみによって衝撃を吸収したり転動体を付勢したりする必要はない。例えば、保持器にバネはゴム等の弾性部材を組み合わせて、衝撃を吸収したり転動体を付勢したりするようにしてもよい。
【0123】
また、上記実施形態においては、本発明の軸受を、てこクランク機構を用いた四節リンク機構型の無段変速機1のコネクティングロッド軸受16として用いている。しかし、本発明の軸受は、必ずしもてこクランク機構を用いた四節リンク機構型の無段変速機のコネクティングロッド軸受にのみ用いるものではない。本発明の軸受は、支持している部材の回転中心軸線が軸受中心軸線から偏心している軸受に用いれば、その軸受において生じる振動、騒音、ガタツキを抑制することができるものである。具体的には、例えば、エンジンのクランクシャフトを支持する軸受として用いることができる。