【実施例】
【0015】
図1に示すように、可動盤10は、幅方向に互いに離れ、移動方向に互いに離れている合計4個の脚部11を下部に有する。うち2つの脚部11、11は左のレール12に載り、残りの2つの脚部11、11は右のレール12に載っている。左右のレール12、12はベッド13に載っている。
【0016】
図2に示すように、レール12にスライダ14が嵌り、このスライダ14に平板15が載り、この平板15に脚部11が載っている。
【0017】
図3に示すように、スライダ14は上部に4個の雌ねじ部16を有する。4個の位置は矩形の頂点に合致する。
平板15は幅方向(レール12の長手方向に直交する方向)に延びる4個の長穴17を有する。
脚部11は、矩形の頂点に配置される4個のボルト穴18と、1個の雌ねじ部19を有する。
【0018】
雌ねじ部19に高さ調節する調節ボルト21がねじ込まれる。この調節ボルト21には予めロック用ナット22がねじ込まれている。4個のボルト穴18には各々締結機構としての締結ボルト23が挿通される。締結ボルト23は、ボルト穴18及び長穴17を貫通した後に雌ねじ部16にねじ込まれる。締結ボルト23は六角穴付きボルトが好適である。
【0019】
すなわち、高さ調節機構20は、平板15と、雌ねじ部19にねじ込まれる調節ボルト21とで構成される。また、締結機構25は、ボルト穴18と長穴17とを貫通し雌ねじ部16にねじ込まれる締結ボルト23で構成される。
【0020】
以上の構成からなる可動盤10において、高さの調節法及び調節後の締結法(固定法)を次に説明する。
図4(a)で、高さ調節機構20の作用を説明する。便宜上、脚部11から締結ボルト23を除いた。しかし、締結ボルト23は、仮取付け状態で脚部11に取付けておくことは差し支えない。
【0021】
図4(a)において、レール12、12に直交する軸をx軸、レール12、12に平行な軸をy軸と呼ぶ。説明の便利のため、4本の調節ボルト21を、第1ボルト21A、第2ボルト21B、第3ボルト21C、第4ボルト21Dと区別する。
第1・第4ボルト21A、21Dをねじ込むと、可動盤10は左のレール12側が上昇するようにy軸回りに回転する(傾く)。また、第2・第3ボルト21B、21Cをねじ込むと、可動盤10は右のレール12側が上昇するようにy軸回りに回転する(傾く)。
【0022】
第1・第2ボルト21A、21Bをねじ込むと、可動盤10は金型側が上昇するようにx軸回りに回転する(傾く)。第3・第4ボルト21C、21Dをねじ込むと、可動盤10は反金型側が上昇するようにx軸回りに回転する(傾く)。
以上は典型的な調節例を説明したが、第1ボルト21A、第2ボルト21B、第3ボルト21C、第4ボルト21Dの締め加減に差をつけることにより、可動盤10の水平度を出すことができる。
【0023】
高さの調節が終わったら、ロック用ナット22を締める。以降、第1〜第4ボルト21A〜21Dの空転を防止することができる。
第1〜第4ボルト21A〜21Dの状態を維持しつつ、
図4(b)にて、締結ボルト23にて、脚部11の締結(固定)を実施する。実施後の形態を
図5、
図6で説明する。
【0024】
図5に示すように、調節ボルト21の先端(下端)は平板15に当たっている。調節ボルト21はロック用ナット22の作用により、空転する心配はない。脚部11と平板15の間に、隙間C1、C2が存在する。傾きを調節すると、隙間C1と隙間C2は別の値になる。これらの隙間C1、C2が変化しないように注意しながら、締結ボルト23、23を雌ねじ部16、16にねじ込む。具体的には締結ボルト23、23は同一の締付けトルクで締付けられる。
【0025】
図6においても、締結ボルト23、23は同一の締付けトルクで締付けられる。
図5、
図6から明らかなように、調節ボルト21や締結ボルト23、23は上へ突出はするものの、脚部11から前後左右へ突出することはない。よって、
図1に示すように、可動盤10はコンパクトになる。
【0026】
ところで、
図1に示す可動盤10は金型から熱を受け、温度上昇する。脚部11も同様に温度上昇する。
図5において、直線案内機構27は、レール12と、スライダ14と、レール12とスライダ14との間に介在するベアリング26とからなる。レール12に対してスライダ14を移動させるにはベアリング26を回転させる必要がある。ベアリング26の周囲には小さなクリアランスを設けてある。熱膨張により、クリアランスが減少するとベアリング26の回転が阻害される。対策としてクリアランスを大きくしておくと、冷間時にレール12に対してスライダ14が幅方向に揺れため、移動に支障がでる。よって、ベアリング26を内蔵する直線案内機構27では、温度が変化することは好ましくない。
【0027】
図5に示すC1、C2の大きさの隙間は空気層であるため、良好な断熱層となる。脚部11の熱は調節ボルト21を介して平板15に伝わり、この平板15からスライダ14に伝達される。調節ボルト21がスライダ14に当たっている接触面積は、例えば平板15の平面積に比較して格段に小さいため、伝熱量を減少させることができる。よって、隙間C1、C2を必須とする本発明構造であれば、ベアリング26が温度上昇する心配はなく、温度上昇してもその程度は軽微である。
【0028】
ただし、隙間C1、C2がごく小さいときには、空気層による断熱性能が低下する。そこで、次の対策を加えることが推奨される。
平板15を脚部11やスライダ14よりも小さな熱伝導率の材料で構成する。例えば、平板15は、熱伝導率が16.3W/(m/K)であるSUS304ステンレス鋼とし、脚部11は、熱伝導率が52.0W/(m/K)である鋳鉄とし、スライダ14は、熱伝導率が54.0W/(m/K)である低炭素鋼とする。
平板15の熱伝導率が脚部11の約1/3であるため、熱の流れを遮断する役割を果たす。また、調節ボルト21をSUS304ステンレス鋼にしてもよい。
【0029】
尚、実施例では、1本のレールに2個のスライダを載せたが、1本のレールに3個又はそれ以上の個数のスライダを載せてもよい。可動盤を2本のレールで支えるようにしたが、可動盤は4本のレールで支えるようにしてもよい。
【0030】
また、
図5において、平板15に調節ボルト21による局部荷重が作用するため、長期に使用すると、平板15の上面に窪みができることがある。このときには平板15を交換する。仮に、平板15を用いないで、調節ボルト21を直接スライダ14に当てると、スライダ14に窪みができる。スライダ14はレール12と一緒に交換する必要があり、交換費用が嵩む。この点、本発明では平板15だけを交換するため、交換費用を抑えることができる。