特許第6033823号(P6033823)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6033823継手及びこれに装着する一組の分割カラー
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6033823
(24)【登録日】2016年11月4日
(45)【発行日】2016年11月30日
(54)【発明の名称】継手及びこれに装着する一組の分割カラー
(51)【国際特許分類】
   B29C 47/40 20060101AFI20161121BHJP
   B29B 7/58 20060101ALI20161121BHJP
【FI】
   B29C47/40 A
   B29B7/58
【請求項の数】4
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2014-218094(P2014-218094)
(22)【出願日】2014年10月27日
(65)【公開番号】特開2016-83837(P2016-83837A)
(43)【公開日】2016年5月19日
【審査請求日】2015年9月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004215
【氏名又は名称】株式会社日本製鋼所
(74)【代理人】
【識別番号】100121795
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴亀 國康
(72)【発明者】
【氏名】住田 克己
(72)【発明者】
【氏名】今村 幸生
(72)【発明者】
【氏名】友光 健二
(72)【発明者】
【氏名】藤本 義典
【審査官】 鏡 宣宏
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−189550(JP,A)
【文献】 特開平11−105090(JP,A)
【文献】 特開昭62−299323(JP,A)
【文献】 実開平6−017922(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 47/00−47/96
B29C 45/00−45/84
B29B 7/00− 7/94
F16D 1/00− 9/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
押出機のスクリュ軸の後端部から駆動軸の前端部にわたって装着される継手本体と、その継手本体の端部に螺合するナットと、そのナットと前記スクリュ軸又は駆動軸との周間に装着される一組の分割カラーとを有し、前記スクリュ軸と駆動軸とを一体に連結する継手であって、
前記一組の分割カラーは、円環を形成する複数個のカラー部材と、そのカラー部材を連結する連結部材とを有し、
前記カラー部材は、前記継手本体の端部に設けられた把持部に保持される引掛け部を有している継手。
【請求項2】
押出機のスクリュ軸と駆動軸とを一体に連結する継手に装着される一組の分割カラーであって、
円環を形成するように前記スクリュ軸又は駆動軸に装着される複数個のカラー部材と、そのカラー部材を連結する連結部材とを有し、
前記カラー部材は、前記スクリュ軸又は駆動軸に設けられた溝に係合する凸条部と、前記継手の端部に設けられた把持部に保持される引掛け部と、を有している一組の分割カラー。
【請求項3】
引掛け部は、前記連結部材が取り付けられる連結部材取付部を有している請求項2に記載の一組の分割カラー。
【請求項4】
凸条部は、カラー部材を縮径する方向に押圧する緊縛部材が取り付けられる緊縛部材取付部を有している請求項3に記載の一組の分割カラー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、押出機のスクリュ軸を駆動軸に連結するために使用される継手及びこれに装着されるカラーに関する。
【背景技術】
【0002】
押出機のスクリュ軸は、一般に、継手により駆動軸に一体に連結されて駆動されるようになっている。この継手をスクリュ軸及び駆動軸に脱着する作業は、狭い作業空間において行わなければならない。このため、面倒で時間が掛かる継手のスクリュ軸及び駆動軸への脱着を迅速、かつ確実に行うことができる継手が提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1に、スクリュ軸の後端部及び出力軸の前端部に嵌着される軸継手と、前記スクリュ軸側の軸継手端部に設けられた雄ネジに螺合するナットと、前記スクリュ軸に設けられたテーパ状段付き部に前記ナットを介して押しつけられ、スクリュ軸の軸継手からの抜けを防止するストッパ手段を有するスクリュ軸継手装置であって、前記軸継手は、前記ストッパ手段のストッパが前記テーパ状段付き部に沿って移動する程度の長孔を有するスクリュ軸継手装置が提案されている。このストッパの実施例について、ストッパ18は両側面にスクリュの段付き部15のテーパ面に当接するテーパ面を設けるとともに、半径方向に軸継手の円周方向の長穴の数と同一数に分割されていて、同ストッパ18の頂部を半径方向に拘束するゴム或いはバネ鋼の弾性材料製のリング20で止めていると記載されている。
【0004】
特許文献2に、押出機のスクリュ軸を固定するために前記スクリュ軸の外周に装着される一対のカラー部材を有する分割式カラーであって、前記カラー部材の端縁には他の前記カラー部材と凹凸係合して前記スクリュ軸の軸線方向に移動規制される係合部が形成され、かつ前記カラー部材は少なくとも内周面側の中心角が180度より大きいことを特徴とする分割式カラーが提案されている。この分割式カラーによれば、スクリュ軸からの脱落や回転軸線方向のずれを防止できる押出機のスクリュ軸固定用分割式カラーおよび押出機を提供することができるとされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000-301590号公報
【特許文献2】特開2011-189550号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載のスクリュ軸継手装置においては、スクリュ軸と出力軸の固定が適切に行われない場合があり、ストッパのスクリュ軸への弾性的な食い付き効果が充分に得られなく、スクリュ軸継手装着時にスクリュ軸からストッパが脱落する恐れや作業性がよくないという問題がある。特許文献2に記載の分割式カラーを有する凹凸係合は、一対のカラー部材の端縁が凹凸係合するようになっているのみであるから、継手の脱着作業をする際に、なおスクリュ軸からカラー部材が脱落する恐れがある。また、狭い作業空間で先ず一対のカラー部材を取り付け、次にナットを締める動作を行わなければならず面倒であるという問題がある。
【0007】
本発明は、このような従来の問題点に鑑み、カラーが予め継手に装着することができてカラーのスクリュ軸又は駆動軸への取り付け作業を要せず、また、カラーがスクリュ軸又は駆動軸から脱落する恐れがなく狭い作業空間で迅速、容易に脱着作業を行うことができる継手及びこれに装着されるカラーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る継手は、押出機のスクリュ軸の後端部から駆動軸の前端部にわたって装着される継手本体と、その継手本体の端部に螺合するナットと、そのナットと前記スクリュ軸又は駆動軸との周間に装着される一組の分割カラーとを有し、前記スクリュ軸と駆動軸とを一体に連結する継手であって、前記一組の分割カラーは、円環を形成する複数個のカラー部材と、そのカラー部材を連結する連結部材とを有し、前記カラー部材は、前記継手本体の端部に設けられた把持部に保持される引掛け部を有している。
【0009】
また、本発明に係る一組の分割カラーは、押出機のスクリュ軸と駆動軸とを一体に連結する継手に装着される一組の分割カラーであって、円環を形成するように前記スクリュ軸又は駆動軸に装着される複数個のカラー部材と、そのカラー部材を連結する連結部材とを有し、前記カラー部材は、前記スクリュ軸又は駆動軸に設けられた溝に係合する凸条部と、その凸条部から延在し、前記継手の端部に設けられた把持部に保持される引掛け部と、を有している。かかる一組の分割カラーは、公知のカラーとしての機能を有するとともに、本発明に係る継手に好適に使用される。
【0010】
上記一組の分割カラーにおいて、引掛け部は、連結部材が取り付けられる連結部材取付部を有しているのがよい。また、凸条部は、カラー部材を縮径する方向に押圧する緊縛部材が取り付けられる緊縛部材取付部を有しているのがよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、カラーを予め継手に装着することができるので、継手によりスクリュ軸を出力軸と一体に連結するときに、カラーをスクリュ軸又は駆動軸に取り付ける作業を要せず、また、カラーがスクリュ軸から脱落する恐れがない。このため、狭い作業空間で迅速、容易に継手の脱着作業を行うことができ、また、カラーの交換作業を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明に係る継手の一部断面を示す模式図である。
図2】円環状に連結されたカラー部材の正面図である。
図3】本発明に係るカラー部材の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための形態について図面を基に説明する。図1は、本発明に係る継手の一部断面を示す模式図である。本発明に係る継手10は、押出機のスクリュ軸1の後端部から駆動軸2の前端部にわたって装着される継手本体11と、その継手本体11の端部に螺合するナット15と、そのナット15とスクリュ軸1との周間に装着される一組の分割カラー20とを有している。そして、一組の分割カラー20は、複数個のカラー部材21とそのカラー部材21を連結する連結部材26とを有し、円環を形成するようになっている。カラー部材21の引掛け部23(図3)は、継手本体11の端部に設けられた把持部12に保持されるようになっている。このような継手10により、スクリュ軸1と駆動軸2とが一体に連結される。なお、本例の引掛け部23は、周縁に凸条を有するカラー部材21のフランジ様の形状をし、この凸条部が継手本体11の端部に設けられた溝様の把持部12に保持されるようになっている。しかしながら、引掛け部23の形状及び把持部12の形状は、図1に示す形状に限定されない。カラー部材21が継手本体11の端部に保持されるようになっていればよい。
【0014】
本発明において、一組の分割カラー20及びナット15は、継手本体11(継手10)のスクリュ軸1側及び駆動軸2に設けることができ、また、いずれか一方側に設けることができる。いずれか一方側に設ける場合は、部品交換等のために脱着回数の多いスクリュ軸1側に本一組の分割カラー20及びナット15を設けるのが好ましい。なお、本発明に係るナット15及び一組の分割カラー20をスクリュ軸1側のみに設ける場合は、継手本体11(継手10)の駆動軸2側には、公知のナット15及びカラーを設けることができる。
【0015】
一組の分割カラー20は、図2に示すように、複数個のカラー部材21(21A、21B、21C)が、その引掛け部23に取り付けられた連結部材26により連結されて円環を形成している。カラー部材21は、図3(a)に示す形状をしている。すなわち、カラー部材21は、凸条部22と、その凸条部22から延在する引掛け部23とを有している。この凸条部22が、図1に示すようにスクリュ軸1の溝1aに係合し、ナット15を継手本体11に設けられたネジ14に締め付けることによって凸条部22の位置が固定され、継手本体11(継手10)とスクリュ軸1が一体に連結される。また、引掛け部23が継手本体11(継手10)の端部に設けられた把持部12に保持されるようになっている。すなわち、一組の分割カラー20を予め継手本体11(継手10)に取り付けておけば、継手10にスクリュ軸1の後端部を押し込んで凸条部22をスクリュ軸1の溝1aに係合させた後にナット15を締め付けることにより、継手10とスクリュ軸1を一体に連結することができる。なお、上記の一組の分割カラー20は、3分割タイプであるが、3〜8分割タイプにすることができる。このような3〜8分割タイプの一組の分割カラー20は、脱着、組付け作業を行う上で好ましい。
【0016】
一組の分割カラー20を予め継手10に取り付けて、スクリュ軸1の後端部を押し込んで凸条部22をスクリュ軸1の溝1aに係合させるには、カラー部材21が弾性を有する連結部材26により連結されて円環になり、一組の分割カラー20を形成するようになっているのがよい。このため、連結部材26は、コイル状、線状等のばねからなる輪形の弾性部材とすることができる。しかしながら、連結部材26は、これらの弾性部材に限定されない。例えば、C型止め輪であってもよい。従って、連結部材26がカラー部材21の引掛け部23に取り付けられる連結部材取付部の形状は、図3(a)に示すような溝24に限定されず、使用される連結部材26に好適な形状が選択される。
【0017】
カラー部材21は、さらに図3(b)に示すように、凸条部22に溝25を設けることができ、この溝25にカラー部材21を縮径する方向に押圧する緊縛部材を取り付けることができる。これにより、凸条部22のスクリュ軸1の溝1aへの係合をより強固かつ安定にすることができ、一組の分割カラー20をスクリュ軸1に押し込んだときに凸条部22がスクリュ軸1の溝1aに自動的にはまり込むので継手10の連結作業が楽になる。なお、緊縛部材は、コイルバネを使用することができるが、これに限定されない。また、緊縛部材を取り付けるカラー部材21の緊縛部材取付部は、図3(b)に示す形状のものに限定されない。使用される緊縛部材により好適な緊縛部材取付部が選択される。
【0018】
本発明において、継手本体11は、上述のように一組の分割カラー20の引掛け部23を保持する把持部12を有している。また、ナット15が螺合するねじ14が設けられている。そして、継手本体11の内周には、スプライン13が設けられており、スクリュ軸1及び駆動軸2に設けられたスプラインと嵌合するようになっている。なお、継手本体11とスクリュ軸1及び駆動軸2との結合は、スプラインの他にセレーション又はキー結合にすることができる。
【0019】
ナット15は、一組の分割カラー20を収容することができるようになっており、凸条部22をスクリュ軸1の溝1aに係合させて、ナット15を継手本体11(継手10)に締め付けた後は、一組の分割カラー20の位置が固定されるとともに、凸条部22のスクリュ軸1の溝1aからの離脱(スクリュ軸の抜け)を阻止するようになっている。なお、ナット15と継手本体11との結合は、ねじの他にピン又はキー結合、あるいはL字型切り欠きを組み合わせた結合にすることができる。
【符号の説明】
【0020】
1 スクリュ軸
2 駆動軸
10 継手
11 継手本体
12 把持部
13 スプライン
14 ネジ
15 ナット
20 一組の分割カラー
21 カラー部材
22 凸状部
23 引掛け部
24、25 溝
26 連結部材
図1
図2
図3