(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0003】
伸縮性フィルム積層接着剤は基材に塗布され、特にパーソナルケア衣料品用の不織布製品など、様々な商業的及び工業的用途に広く使用されている。一般に、パーソナル衣料品は、衣料品の様々な部分が異なる機能性を必要とするため、数種類の接着剤を有する。コア接着剤はおむつパッドが濡れたときにこれを補強し、構造用接着剤は防水背面シートを不織布吸収パッドにつなぎ合わせ、弾性接着剤は脚、ウエスト及び側面のパネルシートをつなぎ合わせる。衣料品のこれらの異なる部分は異なる種類の接着性及び弾性を必要とする。例えば、衣料品の側面パネルは一方向の弾性が大きいことが必要である。側面パネルは広い表面積を有するため、パネルのための接着剤には良好な接着性及び応力下での耐変形性も必要である。
【0004】
パーソナルケア衣料品の側面パネルを形成するために、パネルの弾性素材は、弾性ホットメルト接着剤を有するポリオレフィン基材と接触させる前又は後に延伸される。接着剤は、好ましくは高いクリープ抵抗を示す、すなわち一定の応力下で実質的に動かないことが必要である。さらに、接着剤はその塗布箇所からの剥離の防止による良好な粘着性を有していなければならない。
【0005】
多くの市販の弾性接着剤はスチレンブロックコポリマー系である。そのようなブロックコポリマーからできた接着剤は容易に入手可能であり、当技術分野、例えばUS7,015,155及びUS2005/0181207に記載されている。スチレンの固いブロックは良好な弾性を実現しながら基材上に固着しその形状を維持する。パーソナルケア衣料品は一般に保管及び輸送の間は高温の有蓋車に保管される。しかし、パネルの弾性は高温でのエージングにより悪影響を受ける。スチレン系弾性接着剤の別の欠点は原料コストが高く供給が限られていることである。
【0006】
弾性接着剤中のスチレンブロックコポリマーの量を減少させる努力がなされてきた。しかし、そのような接着剤は多量の粘着付与剤及び/又は可塑剤を必要とし、接着剤中の低分子量種が拡散するために高温での接着剤の性能が損なわれる。低分子量種は時間と共に接着剤から分離することがあり、この現象は「にじみ(bleed−through)」として知られている。その上、配合物中のスチレンブロックコポリマーの減少はスチレンの硬いドメインの有益性を希薄化し、そのため接着剤のクリープ抵抗が損なわれる。
【0007】
ポリマー技術における最近の開発によりオレフィン化学から作られる新世代フィルム基材が実現されている。オレフィン系接着剤は典型的には構造用及びコア接着剤として使用されているが、弾性接着剤としては使用されず、クリープ抵抗が劣っているため特に伸縮性フィルム積層体用接着剤(stretch film laminant adhesive)としては使用されない。
【0008】
US2010/0305528はエチレンα−オレフィンポリマー、二塩基酸又は無水マレイン酸置換ポリエチレン、及び水素化粘着付与ポリマーを含む接着剤に関する。上記の参考文献のエチレンα−オレフィンポリマーは、融点が約68℃であり溶融開始温度が5〜10℃低いランダムオレフィンコポリマーに基づく。この参考文献には、そのようなポリマーでできた接着剤が許容される初期クリープ性能を有することが記載されているが、中温から高温でのエージング後のクリープ性能に関しては言及がない。実際に、高温でエージングされた場合、特にエージング温度がポリマーの融点に近い場合、クリープ性能は不十分である。
【0009】
US2011/0021103はブロックオレフィンポリマー及び低分子量可塑剤を有する接着剤に関する。そのような接着剤も低分子量種が拡散するために高温でのにじみ及び不十分なクリープ性能をもたらす。US2010/0305528と同様に、この参考文献も、許容される初期クリープ回復を有する接着剤を記載しているが、中温から高温でのエージング後のクリープ性能に関しては言及していない。
【0010】
US2008/0281037はエチレン/α−オレフィンインターポリマー系接着剤に関する。接着剤を配合するのに多量の低分子量可塑剤が必要であり、これは不十分なクリープ抵抗、可塑剤の移行及びにじみを伴う接着剤をもたらす。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本明細書において引用されるすべての文献はその全体が参照により組み込まれる。
【0020】
本明細書で使用する用語「ポリマー成分」は、メタロセン触媒重合により生成される単一の(コ)ポリマー又は異なる(コ)ポリマーのブレンドを示す。ポリマー成分としてはブロック及び/又はランダムコポリマーが挙げられる。コポリマーは少なくとも2つのモノマーを有する任意のポリマーである。典型的なモノマーは、エチレン、プロピレン、ブテン及びオクテンである。これらのコポリマーは典型的には狭い分子量分布を有し、Infuse(Dow Chemical)、Engage(Dow Chemical)、Versify(Dow Chemical)、Vistamaxx(Exxon Mobil)、Exact(Exxon Mobil)、Tafmer(Mitsui Petrochemical)及びLMPO(Idemmitsu)の商品名で様々な製造業者より入手可能である。
【0021】
一実施形態において、ポリマー成分は鎖シャトリング(chain shuttling)法により生成されるオレフィンブロックコポリマー(OBC)である。OBCは「固い」(剛性の高い結晶性)セグメント及び「軟らかい」(弾性の高い非晶性)セグメントのブロックを有する。米国特許第7,524,911号及びWO2009/029476は、OBCに基づく接着剤組成物を記載している。OBC類及びOBC類の様々な応用を記載する他の参考文献としては、WO2006/101966、WO2006/102016、WO2008/005501及びWO2008/067503が挙げられる。
【0022】
好ましいポリマー成分は0.870g/cm
3以上の密度及び100℃より高い融点を有する。ポリマーの融点は典型的には米国特許出願公開第2011/0262747号に記載されるように示差走査熱量測定法(DSC)により測定される。約3〜10mgの材料を秤量し軽いアルミニウム皿(約50mg)に置き、次いで折り目をつけて閉じる。試料を180℃まで急速に加熱し、等温で3分間維持する。次いで試料を10℃/分の冷却速度で−40℃まで冷却し、−40℃で3分間維持する。次いで試料を10℃/分の加熱速度で150℃まで加熱する。冷却曲線及び2回目の加熱曲線に基づき、−30℃と溶融の終点との間に引いた直線のベースラインに対して熱流量(W/g)の最大として測定されるピーク融点を融点と決定した。本明細書におけるポリマーの融点は上記のDSC法により測定した。
【0023】
一実施形態において、ポリマーはエチレンとC
3〜10アルファオレフィンから選択される少なくとも1つのコモノマーとのコポリマーを含むOBCである。別の実施形態において、OBCはプロピレンとC
2、4〜10アルファオレフィンから選択される少なくとも1つのコモノマーとのコポリマーを含む。1つの特定の実施形態において、OBC成分はエチレン−オクテンコモノマーである。上記のOBCはInfuseの商品名でDowより購入できる。
【0024】
接着剤は第2のポリマー成分をさらに含んでいてもよい。好ましい第2のポリマーはメタロセン触媒ポリオレフィン、非晶質ポリ−α−オレフィン、スチレンブロックコポリマー及びそれらの混合物である。第2のポリマーはASTM D1238に従って測定される、15より大きいメルトインデックスを有し、結晶化度は20%未満である。第2のポリマーは、OBC系接着剤組成物の特定の物理特性及び/又は性質を所望の通りに改変するように機能する。有用なメタロセン触媒ポリオレフィンはAFFINITY(商標)としてDow Chemical Companyより入手可能である。
【0025】
伸縮性フィルム積層接着剤は可塑剤をさらに含む。可塑剤は1000g/molより大きい数平均分子量を有する。適切な可塑剤としては、ポリブテン、ポリイソブチレン、フタル酸塩、安息香酸塩、アジピン酸エステルなどが挙げられる。特に好ましい可塑剤としては、ポリブテン及びポリイソブチレン、フタル酸塩、例えばジイソウンデシルフタレート(DIUP)、ジイソノニルフタレート(DINP)、ジオクチルフタレート(DOP)など、鉱油、脂肪族油、オレフィンオリゴマー及び低分子量ポリマー、植物油、動物性油、パラフィン油、ナフテン油、芳香族油、長鎖部分エーテルエステル、アルキルモノエステル、エポキシ化油、ジアルキルジエステル、芳香族ジエステル、アルキルエーテルモノエステル及びそれらの混合物が挙げられる。
【0026】
一実施形態において、可塑剤は典型的には接着剤の総重量を基準として約1〜約35重量%、より好ましくは5〜30重量%存在する。
【0027】
伸縮性フィルム積層接着剤は、典型的にはASTM E28−58Tに従って測定される、110℃より高い環球式軟化点を有する粘着付与剤をさらに含む。
【0028】
有用な粘着付与樹脂としては、ASTM法E28−58Tにより決定される軟化点が110℃より高い任意の相溶性の樹脂又はそれらの混合物、例えば、天然及び変性ロジン、例えば、ガムロジン、ウッドロジン、トールオイルロジン、蒸留ロジン、水素添加ロジン、二量化ロジン、樹脂酸塩及び重合ロジンなど;天然及び変性ロジンのグリセリンエステル及びペンタエリトリトールエステル、例えば、ペールウッドロジンのグリセリンエステル、水素添加ロジンのグリセリンエステル、重合ロジンのグリセリンエステル、水素添加ロジンのペンタエリトリトールエステル及びロジンのフェノール変性ペンタエリトリトールエステルなど;天然テルペンのコポリマー及びターポリマー、例えば、スチレン/テルペン及びアルファメチルスチレン/テルペンなど;ポリテルペン樹脂;フェノール変性テルペン樹脂及びその水素化誘導体、例えば、酸性媒体中で二環式テルペン及びフェノールの縮合から生成する樹脂生成物など;脂肪族石油炭化水素樹脂;芳香族石油炭化水素樹脂及びその水素化誘導体;並びに脂環式石油炭化水素樹脂及びその水素化誘導体を挙げることができる。特に好適な水素化脂肪族の粘着付与剤の例としては、Exxon Mobil ChemicalsからのEastotac 130R、Escorez 5415、ArakawaからのArkon P115及びEastman ChemicalからのRegalite S7125などが挙げられる。環状又は非環式C
5樹脂及び芳香族変性非環式又は環状樹脂も挙げられる。本発明を実施するのに使用できる市販のロジン及びロジン誘導体の例としては、Arizona Chemicalより入手可能なSYLVALITE RE 110L及びSYLVARES RE 115;DRTからのDertocal 140;Arakawa ChemicalからのLimed Rosin No.1、GB−120及びPencel Cが挙げられる。市販のフェノール変性テルペン樹脂の例はSylvares TP 2040 HM及びSylvares TP 300であり、共にArizona Chemicalより入手可能である。
【0029】
好ましい粘着付与剤は合成炭化水素樹脂である。脂肪族又は脂環式炭化水素、芳香族炭化水素、芳香族変性脂肪族又は脂環式炭化水素及びそれらの混合物が挙げられる。
【0030】
非限定的な例としては、Escorez(登録商標)シリーズの商品名でExxonより入手可能であるものなどの脂肪族オレフィン由来の樹脂が挙げられる。EastmanからのEastotacシリーズも本発明において有用である。
【0031】
C
9芳香族/脂肪族オレフィン由来の芳香族炭化水素樹脂も有用であり、これらは、Sartomer及びCray ValleyからNorsoleneの商品名で、並びにTK芳香族炭化水素樹脂のRutgersシリーズから入手可能である。Norsolene 1100は、Cray Valleyより市販されている低分子量熱可塑性炭化水素ポリマーである。
【0032】
Eastman ChemicalsからのKristalex F115、1120及び5140、Arizona chemicalsからの110℃より高い環球式軟化点を有するSylvares SAシリーズなどのアルファメチルスチレンも、本発明における粘着付与剤として有用である。一部の配合物においては2種以上の記載された粘着付与樹脂の混合物が必要とされることもある。
【0033】
一実施形態において、粘着付与剤は典型的には接着剤の総重量を基準として約10〜約70重量%、より好ましくは最大で約65重量%まで存在する。
【0034】
本発明の接着剤は場合によりワックス、添加剤又はそれらの混合物を含むことができる。
【0035】
伸縮性フィルム積層接着剤における使用に適したワックスとしては、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、副生ポリエチレンワックス、フィッシャー・トロプシュワックス、酸化フィッシャー・トロプシュワックス並びにヒドロキシステアリン酸アミドワックス及び脂肪アミドワックスなどの官能化ワックスが挙げられる。高密度低分子量ポリエチレンワックス、副生ポリエチレンワックス及びフィッシャー・トロプシュワックスは、当技術分野において従来合成高融点ワックスと呼ばれている。
【0036】
使用する場合、ワックス成分は典型的には最大で約20重量%までの量で存在することになる。ワックス成分を含む配合物はより典型的には約0.5〜約5重量%を含むことになる。好ましいワックスは49℃〜121℃、より好ましくは66℃〜110℃、最も好ましくは82℃〜104℃の溶融温度を有する。
【0037】
本発明の接着剤は望ましくは少なくとも1つの安定化剤及び/又は少なくとも1つの酸化防止剤も含有してもよい。これらの化合物は、例えば熱、光又は粘着付与樹脂などの原料からの残留触媒によって引き起こされる酸素との反応によって生じる劣化から接着剤を保護するために添加される。
【0038】
本明細書に含まれる適用可能な安定化剤又は酸化防止剤の中には、高分子量ヒンダードフェノール並びに硫黄及びリン含有フェノールなどの多官能性フェノールがある。ヒンダードフェノールは当業者に良く知られており、そのフェノールのヒドロキシル基のごく近くに立体的にかさ高い基をも含有するフェノール化合物として特徴づけることができる。特に、一般に第3級ブチル基がベンゼン環上でフェノールのヒドロキシル基に対するオルト位の少なくとも1つにおいて置換されている。ヒドロキシル基の近くにあるこれらの立体的にかさ高い置換基の存在は、その伸縮振動数(stretching frequency)、したがってその反応性を遅らせるように作用する;したがってこの妨害(hindrance)はフェノール化合物にその安定化特性をもたらす。代表的なヒンダードフェノールとしては;1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−ベンゼン;ペンタエリトリチルテトラキス−3(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート;n−オクタデシル−3(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート;4,4’−メチレンビス(2,6−tert−ブチル−フェノール);4,4’−チオビス(6−tert−ブチル−o−クレゾール);2,6−ジ−tertブチルフェノール;6−(4−ヒドロキシフェノキシ)−2,4−ビス(n−オクチル−チオ)−1,3,5トリアジン;ジ−n−オクチルチオ)エチル3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンゾエート;及びソルビトールヘキサ[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−フェニル)−プロピオネート]が挙げられる。
【0039】
そのような酸化防止剤はCiba Specialty Chemicalsより市販されており、ヒンダードフェノールであるIrganox(登録商標)565、1010、1076及び1726が含まれる。これらはラジカル捕捉剤として作用する一次酸化防止剤であり、単独で又はCiba Specialty Chemicalsより入手可能なIrgafos(登録商標)168のようなホスファイト酸化防止剤などの他の酸化防止剤と組み合わせて使用してもよい。ホスファイト触媒は二次触媒と考えられ、一般に単独では使用されない。これらは主に過酸化物分解剤として使用される。他の入手可能な触媒はCytec Industriesより入手可能なCyanox(登録商標)LTDP及びAlbemarle Corp.より入手可能なEthanox(登録商標)330である。多くのそのような酸化防止剤は、単独で又は他のそのような酸化防止剤と組み合わせて使用するために入手することができる。これらの化合物は少量で、典型的には約10重量%未満でホットメルトに添加され、他の物理特性には影響を与えない。添加することができやはり物理特性に影響を与えない他の化合物のごく数例を挙げると、色を加える顔料又は蛍光剤である。これらのような添加剤は当業者に既知である。
【0040】
接着剤の意図される最終用途に応じて、ホットメルト接着剤に従来添加される顔料、染料及びフィラーなどの他の添加剤を少量で、すなわち最大で重量で約10%まで、本発明の配合物に取り入れてもよい。
【0041】
伸縮性フィルム積層接着剤は、38℃において2psiの一定せん断応力で60%より大きいクリープ回復を有する。伸縮性フィルム積層接着剤はさらに、40℃で約5×10
5ダイン/cm
2から約5×10
6ダイン/cm
2の範囲の貯蔵弾性率を有する。
【0042】
本発明の接着剤組成物は、約180℃より高い温度にて溶融物中で成分を混合して均質ブレンドを形成することによって調製される。均質ブレンドを生成する任意の、様々な混合方法が当技術分野において既知である。次いでブレンドを冷却し、貯蔵又は出荷のためにペレット又はブロック状に成形してもよい。これらの前もって成形された接着剤は次いで再加熱して基材上に塗布することができる。
【0043】
接着剤のホットメルトの塗布は当業者によく知られている。本発明の接着剤は当技術分野において既知の任意の方法によって所望の基材に塗布してもよく、限定はされないが、ロールコーティング、塗装、ドライブラッシング(dry−brushing)、浸漬塗工、スプレー、スロットコーティング、スワールスプレー(swirl spraying)、印刷(例えばインクジェット印刷)、フレキソ印刷、押出成形、スプレー噴霧、グラビア印刷(パターンホイール転写)、静電気、蒸着、繊維化(fiberization)及び/又はスクリーン印刷が挙げられる。
【0044】
本発明の別の実施形態において、基材を同種の又は異種の基材に接着する方法が提供される。この方法は少なくとも第1の基材に本発明の溶融接着剤を塗布するステップと、第2の基材を第1の基材に塗布された接着剤と接触させるステップと、組成物を固化させ、それにより第1及び第2の基材が互いに接着されるステップとを含み、本発明の接着剤は好ましくは、(a)0.870g/cm
3以上の密度及び100℃より高い融点を有するメタロセン触媒ポリオレフィンコポリマーと、(b)1000g/molより大きい平均分子量を有する可塑剤と、(c)110℃より高い軟化点を有する粘着付与剤とを含む。接着剤は1000g/mol未満の分子量を有する可塑剤を本質的に含まない。基材は類似しているか又は異種であってもよい。複数の基材を伸縮性フィルム積層接着剤によって互いに接合できる。例えば、弾性基材(12)は2枚のフィルム基材(11)の間に接着剤(13)を用いて挟まれる。
【0045】
本明細書で使用する「側面パネル」は、限定はされないが、ポリオレフィン;ポリエーテルエステル;ポリウレタン;ポリアミド;ポリアクリレート;又はそれらの組合せなどのポリマー成分を含み、ポリエステル−b−ポリウレタンブロックコポリマー、ポリエーテル−b−ポリウレタンブロックコポリマー、スチレンブロックコポリマー及び/又はポリエーテル−b−ポリアミドブロックコポリマーなどの、ランダム、ブロック又はグラフトコポリマーが挙げられる。伸縮性用途のためのフィルムの例としては、おむつの耳と側面パネルのための、共にTredegar Film ProductsからのFlexfeel(商標)弾性ラミネート及びFlexAire(商標)通気性弾性ラミネート並びにFulflexからのConfi−Fit(商標)が挙げられる。
【0046】
伸縮性フィルム積層接着剤を含むそれらの複合材において、「クリープ抵抗」又は「クリープ抵抗値」は特定の接着剤の保持力を指す。例えば、接着剤が伸縮性フィルム積層体の両面に塗布され、2枚の不織布基材を2つの接着剤に対して押しつけて積層体に接着させている場合、クリープ抵抗は積層体と不織布基材との間の接着剤接合の質の指標である。
【0047】
本発明のホットメルト接着剤には、例えばパーソナルケア衣料品用の側面パネル(1)における用途が見出される。おむつ再付着タブ(2)とは異なり、側面パネルは広い表面積を有し、一方向の大きな弾性及び耐変形性を必要とする。
【0048】
優れた伸縮性及び弾性を有する材料は、様々な使い捨て物品及び耐久性物品、例えば、尿漏れ防止パッド、使い捨ておむつ、トレーニングパンツ、衣類、下着、スポーツ衣料、自動車の内外装、隙間充填材、ガスケット及び家具の張り布などを製造するのに必要である。伸縮性及び弾性は、例えば、着用者の体又は物品の骨組みにぴったりと適合するフィット性を実現するように機能することができる性能の属性である。多くの材料が室温で優れた応力歪み特性及び弾性を示すことが知られているが、多くの場合、伸縮性材料は、繰り返し使用時、例えば、体温又は夏期の自動車の内装などにおける高温での伸縮時において、適合する又は確実なフィット性を実現することが望ましい。この接着剤には、乳幼児のおむつ又は成人の失禁用品などの不織布の用途において使用するための伸縮性フィルム積層接着剤として、特定の用途が見出される。
【実施例】
【0049】
当技術分野において既知の技術を用いて、表1に列挙した試料を調製した。各接着剤試料に対する成分を表に記載する。典型的な手順は、ローターを備えた混合用二重釜(jacketed mixing kettle)に粘着付与剤全量のおよそ半分を入れるステップと、温度を約100℃〜200℃の範囲に上昇させるステップとを含んでいた。粘着付与剤が溶融したら、撹拌を開始し、均質な塊が得られるまで成分の残りを加えた。
【0050】
Infuse D9817.15は、0.877g/ccの密度、120℃の明確な明らかなピークのDSC溶融温度、及び190℃で測定された15g/10分のメルトインデックスを有するオレフィンブロックコポリマーであり、Dow Chemicalより入手可能である。
【0051】
Affinity GA1900は、0.870g/ccの密度、68℃の最大吸熱DSC溶融温度を有するブロードの融解曲線、及び190℃で測定された1000g/10分のメルトインデックスを有するエチレン/1−オクテンコポリマーであり、Dow Chemicalより入手可能である。
【0052】
Engage 8200は、0.870g/ccの密度、59℃の最大吸熱DSC溶融温度を有するブロードの融解曲線、及び190℃で測定された5g/10分のメルトインデックスを有するエチレン/1−オクテンコポリマーであり、Dow Chemicalより入手可能である。
【0053】
Vistamaxx 6202は、0.861g/ccの密度、94℃の最大吸熱DSC溶融温度を有するブロードの融解曲線、及び230℃で測定された20g/10分のメルトインデックスを有するプロピレン/エチレンコポリマーであり、ExxonMobilより入手可能である。
【0054】
Eastotac H130は、130℃の軟化点を有する水素化炭化水素樹脂であり、Eastman Chemical Companyより入手可能である。
【0055】
Indopol H1500は、2200g/molの数平均分子量を有するポリブテンであり、INEOS Oligomersより入手可能である。
【0056】
Indopol H300は、1300g/molの数平均分子量を有するポリブテンでありINEOS Oligomersより入手可能である。
【0057】
Vistamaxx 2320は、0.864g/ccの密度、及び230℃で測定された200g/10分のメルトインデックスを有するプロピレン/エチレンコポリマーであり、ExxonMobilより入手可能である。
【0058】
Vestoplast 704は、0.87g/ccの密度、及び190℃で2000〜3000mPasの粘度を有するプロペンリッチ非晶質ポリ−α−オレフィンであり、Evonik Industriesより入手可能である。
【0059】
Licocene PP 1302は、0.87g/ccの密度、及び170℃で200mPasの粘度を有するメタロセンポリプロピレンであり、Clariant International Ltd.より入手可能である。
【0060】
Eastotac H100は、100℃の軟化点を有するEastman Chemical Companyより入手可能な水素化炭化水素樹脂である。
【0061】
Calsolは、436g/molの数平均分子量を有するナフテン油であり、Calumet Lubricantsより入手可能である。
【0062】
Irganox 1010/225はヒンダードフェノール酸化防止剤であり、Ciba Specialty Chemicalsより入手可能である。
【0063】
【表1】
【0064】
表2に記載の接着剤は、US2011/0021103に記載される方法と同じ方法で調製した。
【0065】
【表2】
【0066】
接着剤単独(基材又は弾性材を全く用いない)のクリープ回復を、Controlled Stress Rheometer AR−2000により等温モード(38℃)にて平行板配置(parallel plate geometry)を用いて測定した。試料が38℃で平衡になった時点で、制御されたせん断力が上側の板を介して試料に加えられた。角変位(angular displacement)を時間の関数としてデータ分析のために記録し、クリープ回復を以下の式により計算した。
【0067】
【数1】
【0068】
300
oF(150℃)にて標準的なBrookfield粘度計、スピンドル27を用いて粘度を測定した。
【0069】
ホットメルト接着剤の機械力学性能をRheometrics Dynamic Mechanical Analyzer(Model RDA III)により分析して貯蔵弾性率(又は弾性率)(G’)及び損失弾性率(G”)対温度を得た。機器はTA Orchestratorソフトウェア7.2.0.2版により制御し、約2mmの間隔で隔てられた、直径7.9mmの平行板を用いた。接着剤試料を投入し、次いで約−30℃まで冷却し、時間プログラムを開始した。プログラム試験では5℃きざみで温度を上昇させ、その後各温度で10秒間の浸漬を行った。試料を入れた対流式オーブンを窒素で連続的にフラッシングする。周波数を10rad/秒で維持した。試験開始時の初期歪みは0.05%(板の外側端部)であった。試験全体を通して正確に測定可能なトルクを維持するために、ソフトウェアの自動歪み(autostrain)オプションを使用した。オプションは、ソフトウェアによって可能となる最大印加歪みが30%であるように構成されている。自動歪みプログラムは、保証されている場合は、以下の手順を用いて各温度増加分における歪みを調整する。せん断貯蔵弾性率又は弾性率(G’)及びせん断損失弾性率(G”)を、ソフトウェアによりトルク及び歪みのデータから計算した。クロスオーバー温度(crossover temperature)は、貯蔵弾性率(又は弾性率)(G’)及びせん断損失弾性率(G”)が温度スキャンのlog−logプロットにおいて同じスケールの軸上で交差する、tanδ=1である点として測定された。
【0070】
(1)溶融試料を剥離モールド中へ注いで1インチの立方体を形成し、(2)25℃で24時間平衡化させ、(3)接着剤キューブを剥離モールドから取り外し、(4)キューブを0.25インチ角のグラフ用紙上に置き、(5)キューブ−紙全体を60℃に制御されたオーブン内に24時間置くことにより、キューブフロー(cube flow)を試験した。1×1インチの立方体の領域を覆う合計16枚の正方形(0.25×0.25インチ)がある。次いで立方体をオーブンから取り出し、接着剤試料の下に残ったしみで覆われた正方形の数を記録した。これは低分子量種の移行を表す。
【0071】
形状保持及びフロー(flow)の測定値は、キューブフロー試験から計算した。フローパーセント(percent flow)(又は形状保持)は、以下の式を用いて計算された:
フロー%=(最終面積−初期面積)/初期面積 [2]
【0072】
にじみはキューブフロー試験から以下の式を用いて計算された:
%にじみ=(しみのついた正方形の数)/(すべての正方形の数=16)×100 [3]
【0073】
試料1の接着剤は、0.870g/cm
3以上の密度及び100℃より高い融点を有するメタロセン触媒ポリオレフィンコポリマー、1,300g/molより大きい分子量を有する可塑剤を用いて調合された。クリープ回復は平均で83%となり、キューブ試験は0であり、低分子量種の移行がなかったことを示している。
【0074】
試料C1では、試料1の可塑剤を低分子量の可塑剤で置き換えた。試料C1のクリープ回復は試料1よりも大幅に低い。また、低分子量種の著しい移行がキューブ試験/にじみの結果によって裏付けられた。
【0075】
試料C2では、107℃の融点を有するメタロセン触媒ポリオレフィンコポリマーを接着剤に使用した。Vistamaxx 6202の使用はクリープ回復を生じさせず、300°F(150℃)での加工性(塗布)に適していない粘度範囲をもたらした。
【0076】
59℃の融点を有するメタロセン触媒ポリオレフィンを試料C3に使用した。クリープ回復は許容されるものであるが、キューブ試験及びにじみの結果によって示されるように、この接着剤では低分子量種の著しい移行が観察された。また、この接着剤における粘度は300
oF(150℃)での加工性に適していない。
【0077】
図3は、試料1及び試料C3の、Rheometrics Dynamic Mechanical Analyzer(上記の方法)で測定される時間の関数としての歪み(角変位)の曲線である。曲線の時間0〜20分は接着剤の弾性を表し、時間20〜40分はせん断力が解放された後の接着剤の回復を表す。時間20〜40分の歪みは、クリープ回復の式[1]により計算される試料の復元性を実証している。クリープ回復は、
図3に見られるような、2psiの応力条件下の試料によって得られる最大歪み及び2psiの応力を取り除いた後の最終的な残留歪みの両方の関数である。試料1は83%のARクリープ回復値を有し、試料C3は75%の回復値を有する。
【0078】
試料C4では、高メルトフローのポリマー(Affinity 1900)を高メルトである試料C3に加えて接着剤の粘度を低下させた。接着剤の粘度は低下するが、接着剤のクリープ回復及びキューブフローは悪影響を受けた。
【0079】
試料C5は、低軟化点の粘着付与剤の使用は許容されるクリープ回復をもたらすが、キューブ試験は低分子量種の移行を示すことを表す。
【0080】
試料C6、C7、C8及びC9はすべて、0.870g/cm
3以上の密度及び100℃より高い融点を有するメタロセン触媒ポリオレフィンコポリマー(Infuse 9817)と低分子量の可塑剤(Calsol、Mw:436g/mol)、加えて、それぞれVestoplast 704、Affinity 1900、Licocene PP1302及びVistamaxx 2320などのポリマー及びワックスを用いて配合された。C6、C7及びC9におけるクリープ回復は平均で63〜82%であったが、しかしながらキューブ試験のにじみは、低分子量種(低分子量の可塑剤)の著しい移行が生じており、したがって60℃などの中温でエージング及び/又は保管された場合に使い捨て物品の性能を損なうことを裏付けた。試料C8は伸縮性積層用途において使用されるのに必要なクリープ回復を有していない。
【0081】
3層フィルム積層体を
図2に示すように形成した(2枚の不織布層の間に挿入された可撓性フィルム)。試料1の接着剤を、160℃及び175℃にてスロットコーターを用いて片面あたり約6.5gsm(グラム毎平方メートル)の目標コーティングレベルで塗工した。フィルム積層体の初期及びエージング後の剥離強度を測定し表2に報告した。
【0082】
試料1の剥離強度は表3に報告される。剥離強度は、分離角度180度で接着された材料を分離するのに必要な、接着ラインの単位幅あたりの平均負荷である。剥離強度は、フィルム積層(3層の積層:不織布/接着剤/伸縮性フィルム/接着剤/不織布)を張力モード下で300mm/分で引っ張ることにより測定した。試料の一方の端を固定クリップではさみ、他方の端を可動クリップではさんだ。
【0083】
【表3】
【0084】
表3に示すように、接着剤の剥離強度は経時及びエージング条件において初期レベルのままである。
【0085】
当業者にとって明らかであるように、本発明の多くの修正及び変形をその精神及び範囲から逸脱せずに行うことができる。本明細書に記載の特定の実施形態は、例としてのみ提示され、本発明は、添付の特許請求の範囲、加えてそのような特許請求の範囲が権利を有する均等物の全範囲によってのみ限定される。