特許第6033855号(P6033855)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6033855衝撃を緩和する弾力的膣内尿失禁装置及びその製造法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6033855
(24)【登録日】2016年11月4日
(45)【発行日】2016年11月30日
(54)【発明の名称】衝撃を緩和する弾力的膣内尿失禁装置及びその製造法
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/08 20060101AFI20161121BHJP
   A61F 5/37 20060101ALI20161121BHJP
   B29C 45/16 20060101ALI20161121BHJP
   B29C 45/26 20060101ALI20161121BHJP
   A61B 17/00 20060101ALI20161121BHJP
【FI】
   A61F2/08
   A61F5/37 A
   B29C45/16
   B29C45/26
   A61B17/00 600
【請求項の数】10
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2014-513728(P2014-513728)
(86)(22)【出願日】2012年6月1日
(65)【公表番号】特表2014-527415(P2014-527415A)
(43)【公表日】2014年10月16日
(86)【国際出願番号】US2012040392
(87)【国際公開番号】WO2012167030
(87)【国際公開日】20121206
【審査請求日】2015年5月13日
(31)【優先権主張番号】61/492,845
(32)【優先日】2011年6月3日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515127957
【氏名又は名称】ファースト クオリティ ハイジーニック, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ハル・レイモンド・ジェイ・ジュニア
(72)【発明者】
【氏名】アームブラスター・レイナー
【審査官】 石川 薫
(56)【参考文献】
【文献】 欧州特許出願公開第01837151(EP,A1)
【文献】 特表2009−543606(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/08
A61B 17/00
A61F 5/37
B29C 45/16
B29C 45/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
射出成形された装置を製造する方法であって、
a.一次雄型モールド半体と一次雌型モールド半体とを含むモールドを、一次モールド空洞を画定するように組立てる工程であって、前記一次雄型モールド半体が、反転した相対的にV字型の横断面で輪郭成形され、前記一次モールド空洞の一部分を形成する溝をもたらす工程と、
b.第1の液体高分子材料を前記一次モールド空洞内に注入し、前記第1の液体高分子材料を凝固させて、ワイヤーまたは細長い要素の形状に装置フレームを形成する工程と、
c.前記一次雌型モールド半体を取り出し、これを前記一次雄型モールド半体の前記溝と相互作用する溝を有する二次雌型モールド半体で置き換えて、前記一次雄型モールド半体、前記二次雌型モールド半体、及び前記装置フレームによって画定される第1のオーバーモールド空洞を提供する工程と、
d.前記装置フレームを前記第1のオーバーモールド空洞内に拘束して、第2の液体高分子材料を前記第1のオーバーモールド空洞内に注入し、前記第2の液体高分子材料を凝固させて、前記第1のオーバーモールド空洞の形状を維持する外部層の第1の部分を十分に形成する工程と、
e.前記一次雄型モールド半体を取り出し、これを二次雄型モールド半体で置き換える工程であって前記二次雄型モールド半体が、反転した相対的にV字型の横断面で輪郭成形され、前記二次雄型モールド半体、前記二次雌型モールド半体、前記装置フレーム、及び前記外部層の前記第1の部分によって画定される第2のオーバーモールド空洞を提供する溝をもたらす工程と、
f.前記第2の液体高分子材料の追加量を前記第2のオーバーモールド空洞に注入し、前記第2の液体高分子材料を前記外部層の前記第1の部分と一体化させて、前記装置フレームの周囲で十分に一体式の外部層を形成する工程と、を含
前記二次雌型モールド半体は、ダイヤモンド形パターンで配置され、前記第1及び第2のオーバーモールド空洞からオーバーモールド材料の供給源までの通路をもたらす4つのポートを有し、これら4つのポートのうちの第1の対は、ダイヤモンドの反対側の角に配置され、前記第1及び第2のオーバーモールド空洞の上部への通路をもたらし、これら4つのポートのうちの第2の対は、ダイヤモンドの残りの角に配置され、前記第1及び第2のオーバーモールド空洞の下部への通路をもたらす、方法。
【請求項2】
前記雄型及び雌型モールド半体が、一体式構造である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記雄型及び雌型モールド半体の少なくとも1つが、かかるモールド半体を一緒に形成する複数の部品を備える、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
射出成形された膣内尿失禁装置を製造する方法であって、
a.一次雄型モールド半体と一次雌型モールド半体とを含むモールドを、一次モールド空洞を画定するよう組立てる工程であって、前記一次雄型モールド半体が、反転した相対的にV字型の横断面で輪郭成形され、前記一次モールド空洞の一部分を形成する溝をもたらす工程と、
b.液体高弾性率高分子材料を前記一次モールド空洞に注入し、前記高弾性率高分子材料を凝固させて、ワイヤーまたは細長い要素の形状に装置フレームを形成する工程と、
c.前記一次雌型モールド半体を取り外し、それを前記一次雄型モールド半体の前記溝と相互作用する溝を有する二次雌型モールド半体で置き換えて、前記一次雄型モールド半体、前記二次雌型モールド半体、及び前記装置フレームによって画定される第1のオーバーモールド空洞を提供する工程と、
d.前記装置フレームを前記第1のオーバーモールド空洞内に拘束し、液体緩衝高分子材料を前記第1のオーバーモールド空洞内に注入し、前記緩衝高分子材料を凝固させて、前記第1のオーバーモールド空洞の形状を保持する外部層の第1の部分を十分に形成する工程と、
e.前記一次雄型モールド半体を取り出し、それを二次雄型モールド半体で置き換える工程であって前記二次雄型モールド半体が、反転した相対的にV字型の横断面で輪郭成形され、前記二次雄型モールド半体、前記二次雌型モールド半体、前記装置フレーム、及び前記外部層の前記第1の部分によって画定される第2のオーバーモールド空洞を提供する溝をもたらす工程と、
f.前記液体緩衝高分子材料の追加量を前記第2のオーバーモールド空洞内に注入し、前記緩衝高分子材料を前記外部層の前記第1の部分と一体化させて、前記装置フレームの周囲で十分に一体式の外部層を形成する工程と、を含
前記二次雌型モールド半体は、ダイヤモンド形パターンで配置され、前記第1及び第2のオーバーモールド空洞からオーバーモールド材料の供給源までの通路をもたらす4つのポートを有し、これら4つのポートのうちの第1の対は、ダイヤモンドの反対側の角に配置され、前記第1及び第2のオーバーモールド空洞の上部への通路をもたらし、これら4つのポートのうちの第2の対は、ダイヤモンドの残りの角に配置され、前記第1及び第2のオーバーモールド空洞の下部への通路をもたらす、方法。
【請求項5】
前記膣内尿失禁装置を可撓性バッグ内に封入する工程を更に含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
抜脱要素を前記膣内尿失禁装置に取り付ける工程を更に含む、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記抜脱要素が、前記装置フレームの1つ又は2つ以上の細長い要素に取り付けられている、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記生体適合性材料が、1つ又は2つ以上の熱可塑性エラストマーを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項9】
前記雄型及び雌型モールド半体が、一体式構造である、請求項4に記載の方法。
【請求項10】
前記雄型及び雌型モールド半体の少なくとも1つが、かかるモールド半体を一緒に形成する複数の部品を含む、請求項4に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、膣内尿失禁装置に関する。具体的に、本発明は、機能部及び固定部を有し、緩衝材でオーバーモールドされた、装置の製造法に関する。この装置は、尿失禁を低減するか又は防ぐために非常に有用であり、オーバーモールドされた緩衝材は、挿入、使用又は除去中に膣壁に対して装置が加える圧力を低減することにより、膣を刺激する可能性を低減する。
【背景技術】
【0002】
腹圧性尿失禁は多くの女性にとって問題である。これは、咳、又はくしゃみなどの、腹圧事象の間に、尿が漏れることにより特徴付けられる。多くの装置が、腹圧性尿失禁を低減するか又は防ぐように設計されてきた。Tutrone,Jrの米国特許第5,603,685号は、膨脹可能な装置、及び膣内に挿入するために小さく、尿失禁を低減するか又は防ぐために、必要とされる形状及び圧力をもたらすように大きくなる、装置を提供する手段に関する。Zunker et al.の米国特許第6,090,098号は、タンポン状の装置に関連し、それぞれは、吸収性及び/又は非吸収性繊維材料の組み合わせで作製される。Ulmsten et al.の米国特許第6,645,137号は、泌尿器系を支持するために、膣内で拡大するコイルに関する。Biswasの米国特許第5,036,867号は、圧縮可能な弾力的なペッサリーに関する。Jamesの米国特許第6,460,542号は、特定の形状の剛性ペッサリーに関する。
【0003】
より最近の開発では、膣内に展開するために、ステント状の支持体を提供することが試みられてきた。例えば、Bartningらの米国特許出願公開第2008/0033230号、及び同第2008/0009662号は、固定部及び機能部を有する、膣内尿失禁装置に関する。これらの文献はまた、生体適合性材料で構造を被覆することを開示する。加えて、身体経路を維持するように設計された、小さく、適切な大きさのステントの使用に関する、多くの特許が存在する。
【0004】
Sinai et al.の米国特許出願公開第2008/0281149号は、失禁装置のアームを付勢する、内部及び/又は外部弾性支持部材を有する、失禁装置に関する。
【0005】
最後に、Ziv et al.の国際公開第2008/010214号は、支持区分及び固定区分を接続するノードを有する、尿失禁処理のための、膣内装置に関する。これは、シリコーン、ナイロン、ポリウレタン、フォームポリスチレン、金属、又は2つの材料のオーバーモールドから作製される、支持及び/又は固定区分のための、アームの使用を開示する。
【0006】
これらの文献のいくつかは、支持構造が膣組織を刺激する可能性を認識し始めており、管又は他の外層内の構造要素を包含する。あるいは、又はこれに加えて、袋状のカバーが提示されている。残念ながら、これらの開発は、緩衝、快適性及び製品の安全性に関する全ての問題に完全に対処しているわけではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、尿失禁を効果的に低減するか又は防ぐことができる一方でまた、膣の損傷の危険性の増加を避けるために、適切な位置にある緩衝材を提供し得る、改善された膣内尿失禁装置に対する必要性が存続している。更に、安全かつ安価な改善された製造尿失禁装置の改善された製造に対する必要性が存続している。
【課題を解決するための手段】
【0008】
安全かつ安価な膣内尿失禁装置の改善された製造のための方法を見出した。
【0009】
一実施形態では、射出成形された装置の製造の方法は、(a)一次雄型モールド半体と一次雌型モールド半体とを含むモールドを一次モールド空洞を画定するよう組立てる工程と、(b)第1の液体高分子材料を一次モールド空洞に注入し、液体高分子材料を凝固させて装置フレームを形成する工程と、(c)一次雌型モールド半体を取り出し、これを二次雌型モールド半体で置き換えて第1のオーバーモールド空洞を提供する工程と、(d)装置フレームを第1のオーバーモールド内に拘束し、第2の液体高分子材料を第1のオーバーモールド空洞内に注入し、第2の液体高分子材料を第1のオーバーモールド空洞内に注入させ並びに第1のオーバーモールド空洞の形状を保持する外部層の第1の部分を十分に形成するよう、第2の液体高分子材料を凝固させる工程と、(e)一次雄型モールド半体を取り出し、これを二次雄型モールド半体で置き換えて、第2のオーバーモールド空洞を提供する工程と、(f)第2の液体高分子材料の追加量を第2のオーバーモールド空洞に注入し、第2の液体高分子材料を外部層の第1の部分と一体化させて、装置フレームの周囲で十分に一体式の外部層を形成する工程と、を含む。第1のオーバーモールド空洞は、一次雄型モールド半体、二次雌型モールド半体、及び装置フレームによって画定され、第2のオーバーモールド空洞は、二次雄型モールド半体、二次雌型モールド半体、装置フレーム、及び外部層の第1の部分によって画定される。
【0010】
代替実施形態では、射出成形された膣腔内尿失禁装置を製造する方法は、(a)一次雄型モールド半体と一次雌型モールド半体とを含むモールドを一次モールド空洞を画定するよう組立てる工程と、(b)第1の液体高弾性率高分子材料を一次モールド空洞に注入し、液体高弾性率高分子材料を凝固させて装置フレームを形成する工程と、(c)一次雌型モールド半体を取り出し、これを二次雌型モールド半体で置き換えて第1のオーバーモールド空洞を提供する工程と、(d)装置フレームを第1のオーバーモールド内に拘束し、液体緩衝材液体高分子材料を第1のオーバーモールド空洞内に注入し、液体緩衝材高分子材料を第1のオーバーモールド空洞内に注入させ並びに第1のオーバーモールド空洞の形状を保持する外部層の第1の部分を十分に形成するよう、液体緩衝材高分子材料を凝固させる工程と、(e)一次雄型モールド半体を取り出し、これを二次雄型モールド半体で置き換えて、第2のオーバーモールド空洞を提供する工程と、(f)液体緩衝材高分子材料の追加量を第2のオーバーモールド空洞に注入し、液体緩衝材高分子材料を外部層の第1の部分と一体化させて、装置フレームの周囲で十分に一体式の外部層を形成する工程と、を含む。第1のオーバーモールド空洞は、一次雄型モールド半体、二次雌型モールド半体、及び装置フレームによって画定され、第2のオーバーモールド空洞は、二次雄型モールド半体、二次雌型モールド半体、装置フレーム、及び外部層の第1の部分によって画定される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明に基づく装置の正面平面図である。
図2】本発明の一実施形態によるオーバーモールドされた装置フレームの斜視図である。
図3】本発明による二部品式射出成形組立品の斜視図である。
図3A】モールド空洞の区域内の図3の二部品式射出成形組立品の概略断面図である。
図3B】モールド空洞の区域内の図3の二部品式射出成形組立品の概略断面図である。
図4】二次雌型モールド半体で置き換えられた一次雌型モールド半体を有する図3の二部品式射出成形組立品の斜視図である。
図4A】モールド空洞内の図4の二部品式射出成形組立品の概略断面図である。
図4B】モールド空洞内の図4の二部品式射出成形組立品の概略断面図である。
図5】二次雌型モールド半体で置き換えられた一次雌型モールド半体及び雌型モールド半体の双方を有する図3の二部品式射出成形組立品の斜視図である。
図5A】モールド空洞内の図5の二部品式射出成形組立品の概略断面図である。
図5B】モールド空洞内の図5の二部品式射出成形組立品の概略断面図である。
図6図4の二部品式射出成形組立品の分解斜視図である。
図7】第1のプラグ取付板上に取り付けられたプラグの第1のセットを有する図4の二部品式射出成形組立品の斜視図を示す。
図8】第2のプラグ取付板上に取り付けられたプラグの第2のセットを有する図5の二部品式射出成形組立品の斜視図を示す。
図9】本発明において製造される装置フレームの透視図である。
図10】装置フレーム上にオーバーモールドされた外部層−本発明の方法の中間工程を有する、図9の装置フレームの斜視図である。
図11】本発明の方法により作成された緩衝材で完全にオーバーモールドされた図9の装置フレームの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
発明者らは、当該技術分野において開示される、より柔軟な材料で、膣内失禁装置の構造要素を保護する方法の記載は、ユーザーに快適性をもたらす、商業的な量の安価な装置を製造する方法を示していないことを見出した。まず、不必要なバルクを生じず、小口径構造上の必要とされる箇所に緩衝を提供するために、プロセスの十分な制御により、プロセスをオーバーモールドする方法を見出していない。不必要なバルクにより、関連する泌尿器系に必要な支持を提供するために、十分に拡大しながら、膣内に快適に挿入するために、膣内失禁装置のために十分に小さいアプリケータを提供することは、困難及び/又は不可能なものとなり得る。
【0013】
本発明の開発中、発明者らはまた、膣内失禁装置内の低費用の射出成形した構成要素は、成形部分の周辺部において、荒い縁部又は分割線を有し得ることを見出した。これは、膣を刺激する可能性を有する。この装置をバッグ内に被覆することは、この問題を十分に解決しなかったが、これはこれらの荒い縁部が製品をアプリケータ内にパッケージングする間に、及び/又は膣内に展開するためにこの装置を排出する間に、バッグを単純に割いてしまうためである。
【0014】
更に、膣内尿失禁装置の製造において使用される一部の材料が、処理組成物及び/又は環境に露出される場合、劣化を受けやすい場合があることを見出した。
【0015】
したがって、これら問題のいくつかに応答するために、装置を完全にオーバーモールドするための制御されたプロセスを開発した。このようなオーバーモールドされた材料は、これが被覆する構造的要素の周囲で非均一であり得る。例えば、オーバーモールドされた材料は、構造的要素が、オーバーモールドされた材料の中央に位置しないような方法で、付勢されてもよい。これは以下でより詳細に記載される。
【0016】
膣内失禁装置の構成要素のオーバーモールドにより、装置と、これが係合し得るユーザーの身体組織との間の接触領域が増加し、圧力(面積当たりの力)を低減することが認識される。これは、挿入、使用、又は除去中における膣の刺激を低減又は最小化することを助ける。
【0017】
本発明の膣内失禁装置は、関連する泌尿器系に支持を提供する機能部、及び使用中に装置を最適な位置に保持するために固定部を有する。これらの構造要素は、更に被覆され、身体への刺激を和らげる。
【0018】
本願(明細書及び請求項)において使用されるとき、用語「ステント」及びその変形は、身体開口部、空洞、血管などを支持するために使用される装置に関する。ステントは、弾力的で、可撓性であり、形状記憶式に折り畳み可能である。ステントは、スカフォード、スロット付き管、又はワイヤーフォームが挙げられるがこれらに限定されない。
【0019】
本願(明細書及び請求項)で使用されるとき、用語「ワイヤーフォーム」及びその変形は、所望の三次元構造において操作され、任意により固定される(例えば、溶接、及び/又は成形)、少なくとも1つのワイヤー、又はワイヤー状材料から形成された構造に関する。
【0020】
本願において使用されるとき、用語「支持表面」及びその変形は、挿入、使用、及び除去中に、膣上皮を圧迫し、圧力を加える、装置のある部分に関する。支持表面の存在は重要であるがこれは、設計が悪い装置は、膣及び/又は周囲の身体組織を損傷し得る、危険な支持表面を有し得るためである。この損傷は、炎症、紅斑、及び弱化、又は更に、膣組織の壊死を含み得る。したがって、実際の及び潜在的な支持表面の緩衝により、膣上皮を保護することが重要である。
【0021】
本願において使用されるとき、用語「装置内部」及びその変形は、長手方向軸の方に向けられ、膣上皮と接触することができる、支持表面から離れるように向けられる、装置の内部に関する。装置内部はまた、以下で、図に関連して説明される。
【0022】
本願において使用されるとき、用語「オーバーモールディング」及びその変形は、緩衝材が装置フレーム(すなわち、ワイヤー又はステント)上に成形される、射出成形プロセスに関する。オーバーモールディングは、緩衝材が装置フレームを完全に囲むような方法で行われる。装置フレーム又は構成要素と、オーバーレイ緩衝材との間の最適な結合を達成するため、プライマー又は接着剤の使用は必要とされない。
【0023】
本願において使用されるとき、用語「緩衝材」及びその変形は、柔軟な性質であるいずれかの材料に関し、装置の緩衝部分は柔軟性及び快適性を提供し、挿入、使用、又は除去中に、膣上皮に接する装置により生じる膣への刺激、及び圧力を低減又は最小化することを助ける。
【0024】
本発明の膣内失禁装置は、機能部及び固定部を含む。これらの部分は、装置の構成要素(又は「装置フレーム」とも称される)である。機能部は、関連する泌尿器系への支持を提供し、固定部は、この支持のために、機能部を最適位置に維持する。オーバーレイ緩衝材は、ユーザーへの快適性を提供する。装置フレームを形成する成形型の分割線から生じるいずれかの荒い縁部を平滑化し、かつ圧力を低減するためにユーザーの身体組織と接触する、装置の表面積を増加させることができる。
【0025】
本発明による装置の好適な形状は、米国特許第2008/0009664号、及び同第2008/0033230号、並びに同第2008/0009662号で教示され、これらの開示は本明細書に参考として組み込まれる。図1及び2を参照すると、本発明による装置1が示される。装置1aは、挿入端部2及び抜脱端部3を有している。装置は、例えば、ステントのような弾力性装置フレームをほぼ収容し、ひも5のような抜脱要素を有するバッグ4のような外側可撓性要素を含む。
【0026】
一実施形態では、外側可撓性収納要素4は、図2で示すような緩衝材のオーバーモールドされた外部層7で被覆された弾力性装置フレーム6を収容する。フレーム6は、挿入端部2に隣接して配置された固定部8、及び抜脱端部3aに隣接して配置された機能部9を含んでいる。機能部9は、支柱部9aなどの複数のほぼ長手方向に向けられている細長い要素によって画定される対向面を有する。機能部9は、20mm〜170mmの範囲の初期等価直径d、及び15mm〜60mmの範囲の長さLを有している。機能部が非円筒状である場合には、等価直径は、互いに反対の面同士の間の最大距離(mm)である。
【0027】
本発明の方法が、複数工程モールディングシステム並びにこのシステムにおいて生成される中間産物及び最終産物で使用される二部品式モールドの様々な構成を示す図3〜11を参照して説明される。
【0028】
図3に示すように、本発明で使用される複数工程モールディングシステムは、互換性のある雄型及び雌型モールド12、14半体を有する二部品式モールド10を含む。図3並びに図3A及び3B(一次モールド空洞の区域内の二部品式モールド10の概略断面図)に示す第1の工程は、装置フレーム18(図3B)を形成するように寸法設定された一次モールド空洞16(図3A)を一緒に画定する一次雄型モールド半体12と一次雌型モールド半体14とを使用する。この工程の間に、装置フレームを形成するように使用される材料は、モールド空洞内に注入される。図5に示す最終モールディング工程では、一次雄型モールド半体12と一次雌型モールド半体14が、完全にオーバーモールドされた装置を形成するように寸法設定されたモールド空洞を画定する二次雄型モールド半体20と二次雌型モールド半体22で置き換えられている。図4に示す中間モールディング工程は、一次雄型モールド半体12と二次雌型モールド半体22を使用して生じる。
【0029】
再度、図3図3A及び3Bをむ)を参照すると、一次雄型及び雌型モールド半体12、14は、一次モールド空洞16を画定している。この工程の間に、装置フレームを形成するよう使用される材料が、一次モールド空洞16内に注入される。装置フレーム材料は凝固して装置フレーム18を形成し、一次雌型モールド半体14が取り外される。
【0030】
図4図4A及び4Bを含む)を参照すると、一次雌型モールド半体14が、その外表面である最上部で複数のポート24、26、28、30を有する二次雌型モールド半体22で置き換えられたことを見ることができる。この工程では、一次雄型モールド半体12、二次雌型モールド半体22、及び装置フレーム18が、第1のオーバーモールド空洞34を画定し、外部層を形成するように使用される材料が、第1のオーバーモールド空洞34内に注入される。外部層材料は冷却し、外部層36の一部としてその形状を十分に保持し、一次雄型モールド半体12が取り外される。
【0031】
図5図3A及び3Bを含む)を参照すると、一次雄型モールド半体12が、二次雄型モールド半体20で置き換えられたことを見ることができる。この工程では、二次雄型モールド半体20、二次雌型モールド半体22、装置フレーム18、及び外部層34の第1の部分が、第2のオーバーモールド空洞38を画定し、外部層を形成するよう使用される更なる材料が、第2のオーバーモールド空洞38に注入される。更なる材料及びモールドの熱が、外部層を一体化させて十分に一体式の外部層40(図5Bに示す)を形成する。
【0032】
本発明の失禁装置を製造するために、雄型モールド半体は、反転した相対的に「V字型」の横断面で輪郭成形され、モールド空洞の一部分を形成する溝42をもたらす。図6は、一次雄型モールド半体12と二次雌型モールド半体22とを含む図4の二部品式モールド10の分解斜視図を示す。この斜視図は、逆転した相対的に「V字型」の横断面を有する一次雄型モールド半体12が取り付けられる基板44を示す。溝42は、一次雄型モールド空洞16の1つの連続面を画定する。一次雄型モールド半体12は、雌型モールド半体(一次雌型モールド半体14と二次雌型モールド半体22)に整合し、相互作用して、上記で説明された一次モールド空洞16、第1のオーバーモールド空洞34、及び第2のオーバーモールド空洞38などの所望のモールド空洞を形成するために取り除かれる更なる材料を有する。
【0033】
より詳細には、二次雌型モールド半体22は、一次及び二次雄型モールド半体12及び20と相互作用し、所望のモールド空洞を形成する溝(完全に具体的には図示せず)を有する。図4〜6で示す一実施形態では、二次雌型モールド半体22は、ダイヤモンド形パターンで配置されるポート4つの24、26、28、30を有する。これらポート24、26、28、30は、第1及び第2のオーバーモールド空洞34、38からオーバーモールド材料の供給源(図示せず)までの通路をもたらす。これらポートの第1の対24、26は、ダイヤモンドの反対側の角に配置され、これらは図6で一次雄型モールド半体12に関して示した曲線46、48の最上部分に相当するモールド空洞の上部への通路をもたらす。これらポートの第2の対28、30は、ダイヤモンドの残りの角に配置され、これらは、図6の一次雄型モールド半体12に関して示した曲線50、52の最上部分に相当するモールド空洞の下部に通路をもたらす。
【0034】
図7を参照すると、プラグの第1のセット54、56、58、60が配置され、液体オーバーモールド材料を第1のオーバーモールド空洞34(再度、図4A、4Bで示した、一次雄型モールド半体12、二次雌型モールド半体22、及び装置フレームによって画定された)に送達するようにポート24、26、28、30への挿入のために構成される。各プラグ54、56、58、60は、第1のプラグ取付板61に取り付けられ、液体オーバーモールド材料の供給源に動作可能に接続される近位端54a、56a、58a、60aを有する。各プラグ54、56、58、60は、その反対側に配置された遠位端54b、56b、59b、60bを有する。プラグ54、56は、ポートの第1の対24、26とぴったりと一致する。プラグ54、56のそれぞれは、液体オーバーモールド材料をその遠位端における開口66、68を通して第1のオーバーモールド空洞34に送達するために、それを貫通する通路62、64を含む。プラグ58、60は、ポートの第2の対28、30とぴったりと一致する。それらの遠位端における開口の代わりに、プラグ58、60のそれぞれは、第1のオーバーモールド34に突出し、その中に配置される装置フレーム18としっかりと係合する締め付け表面70、72を有する。図7の図では、プラグの第1のセット54、56、58、60と第1のプラグ取付板61が、プラグの遠位端54b、56b、58b、60bの特徴を示すために、視聴者に向かって回転されて示される。実際の動作においては、プラグの第1のセット54、56、58、60と第1のプラグ取付板61は、ポート24、26、28、30への挿入のために一直線に並ぶ。
【0035】
締め付け表面70、72は、これが液体オーバーモールド材料のモールド空洞への高圧注入にさらされるために、装置フレーム18を所定の位置でしっかりと保持する。別の方法では、液体材料が、装置フレーム18と一次雄型モールド半体12と間に流れ、オーバーモールド材料の平らでない適用をもたらしてもよい。
【0036】
図8は、第2のオーバーモールド材料注入工程に再構成されるような(図5にも示す)、二部品式モールド10を示す。プラグの第2のセット74、76、78、80は、ポート24、26、28、30への挿入のために配置かつ構成され、各プラグの近位端は、第2のプラグ取付板81上に取り付けられる。プラグ74、76は、ポート24、26の第1の対内に挿入される。この工程では、プラグ74、76は、それを貫通する通路を含まない。しかしながら、プラグ78、80は、それを貫通する通路を含み、各プラグの遠位端にある開口86、88を通して液体オーバーモールド材料を第2のオーバーモールド空洞38内に送達する。図8図7の図と同様)では、プラグの遠位端の特徴を示すために、プラグの第2のセット74、76、78、80と第2のプラグ取付板81は、視聴者に向かって回転されて示されている。実際の動作においては、プラグの第2のセット74、76、78、80と第2のプラグ取付板81も、ポート24、26、28、30への挿入のために一直線に並ぶ。
【0037】
雄型及び雌型モールド半体が一体式構造として示されているが、各モールド半体は、対応のモールド半体を一緒に形成する2つ又はそれ以上の部品から構成されてもよいことが認識されるであろう。
【0038】
図9〜11は、本発明の失禁装置の上記で説明されたモールディング工程の結果を示す。図9は、一次モールド空洞16から取り外された装置フレーム18を示す。装置フレーム18は、これが図6において有する方向から逆転されている。換言すれば、上部モールド空洞46、48に相当する装置フレーム18の固定部分90、92は図9の下部で示され、機能部の「W字型」セクションの内部ピーク曲線94、96は図9の下部に向けられている。図10は、図4及び7のモールド構成の動作から生じた外部層部分36を有する図9の装置フレーム18を示す。装置フレーム18は、第1のオーバーモールド34内に突出するプラグ58、60の締め付け表面70、72内に保持されているために、機能部の「W字型」セクションの内部のピーク曲線94、96は、第1の外部層部分36で被覆されていない。図11は、図5及び8のモールド構成の生成物に相当する、図9の装置フレーム18の周囲でモールドされた完全な外部層部分40を示す。
【0039】
上述したように、膣内失禁装置の機能部9は、圧縮に対する抵抗をもたらし、所望の失禁支持をもたらすのに十分な力で圧縮から回復する第1の構造材料から形成される装置フレーム6を含む。有用な構造材料は、弾性又は更に超弾性の材料である。これらの構造材料としては、金属(金属合金を含むがこれに限定されない)、ポリマー(形状記憶ポリマー及び高弾性ポリマーが挙げられるがこれらに限定されない)、1つ又は2つ以上のポリマーの合成、及び/又は充填若しくは補強されたポリマー、並びにこれらの組み合わせが挙げられる。形状記憶材料としては、米国特許出願公開第2008/0009664号及び同第2008/0033230号及び同第2008/0009662号において開示されているものが挙げられる。高弾性率ポリマーとしては、「Intravaginal Incontinence Device」と題され、2009年12月23日に出願され、出願番号第12/645800号、及び「Intravaginal Incontinence Device」と題され、2010年12月21日に出願された、出願番号第12/974378号の同時係属出願に開示されるものが挙げられる。
【0040】
好ましい高弾性ポリマーは、少なくとも3%の降伏点伸び及び少なくとも2Gpaの弾性率の伸長を有する。代表的な、好適な高弾性ポリマーの非限定的な一覧には、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトン、ポリカーボネート、コポリマー、特殊及び/又は変性プラスチック、充填されたプラスチックなどが挙げられ、これらの高弾性特性をもたらし得る。好ましい高弾性ポリマーとしては、ポリエーテルイミド及びポリエーテルケトンが挙げられる。これらの材料は、2009年12月23日に出願された、上記の同時係属中の出願番号第12/645800号に更に記載されており、これらの内容は本願において参照により組み込まれる。
【0041】
図2は、緩衝材がない装置フレーム6を示す。装置フレーム9の機能部6は、複数の接続された細長い要素9aで形成される。機能部を構成する細長い要素9aは、固定部8を構成する細長い要素に直接的に又は間接的に接続してもよい。機能部により働く作動圧力9は、装置フレーム6のために選択される材料により、及び、この装置フレーム6を構成する細長い要素の寸法及び構成により、決定される。より厚い細長い要素及び/又はより短い細長い要素は、装置が圧迫されるか、断面が縮小する際に、これらが装置の変形に対してより大きな抵抗力を、ひいては、より大きな拡張力を提供することができるため、一般的により大きな作動圧力を提供することができる。加えて、細長い要素の間の角度はまた、作動圧力に影響する。
【0042】
細長い要素は、送達アプリケータ内に適合し、ユーザーにとって快適であるように、小さな断面を有する。細長い要素は、約5mm未満、好ましくは約4mm未満、最も好ましくは約3mm未満の線状断面寸法を有するべきである。細長い要素は、丸、楕円、三角形、矩形などが挙げられるが、これらに限定されない、任意の好適な断面形状を有することができる。当業者であれば、断面形状の変更が、様々な所望の弾性、所与の断面のためのより増加した表面積、材料応力などをもたらし得ることを理解する。
【0043】
固定部は、機能部と同じ材料で形成されてもよく、好ましい実施形態において、機能部及び固定部の両方が、一体構成において同じ材料で形成される。
【0044】
図2及び9〜11に示すように、装置内部は、開かれていることが好ましく、装置フレーム6は、この空洞又は中空状態を厳密ではなく画定する。支持表面は一般的に、装置フレーム6の外側に向く表面上に配置されている。
【0045】
上述のように、装置フレーム6は、緩衝材の外部層7(図1及び2にも示すような)でオーバーモールドされている。これは装置に有用な特性を付与する。緩衝材は、膣内失禁装置に、以下の特性の1つ又は2つ以上の提供し得る:弾力性、衝撃吸収、柔軟性、弾性、破断耐性、化学分解からのフレームの保護(例えば、特に高応力部分における、酸化又は他の化学的変化)など。加えて、緩衝材は、医薬品、ローション、香料、消臭剤、潤滑油などのためのキャリアとしての作用を含む他の機能を提供し得る。緩衝材は特に、失禁装置が可視である場合に、装置の審美性を改善する場合があり、かつこれは、質感及び/又はより適合性のある表面を付与することにより、装置の適所に留まる能力を改善し得る。
【0046】
弾力性、衝撃吸収、柔軟性、弾性、可撓性などの特性は、膣組織に対する過度の圧力を最小化するために、柔軟性及び緩衝をもたらし得る。弾性及び破断耐性などの特性は、装置フレームの破断の事象における更なる安全性を提供し得る。緩衝材は、このような破断した要素を収容するように機能し得る。加えて、比較的柔軟、弾性及び/又は可撓性の材料は、装置の挿入、使用、及び引き出し中に、膣組織の刺激の原因となるほど成形部品の分割線が鋭くなる可能性を減少させる。
【0047】
緩衝材は、熱可塑性エラストマーなど、所望の特性を提供する、射出成形、及び/又は浸漬成形プロセスにおいて有用ないずれかの柔軟及び/又は可撓性の材料から形成されてもよい。緩衝材などの有用な材料としては、ウレタン、ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンプロピレンジエンモノマーなどを含む)、コポリマー(スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロックコポリマー、例えば、Kraton PolymersからのKRATON(登録商標)熱可塑性エラストマー)、スチレンアクリレートコポリマー、シリコーン、ゴム、ラテックス、繊維などが挙げられるがこれらに限定されない。加えて、ExxonMobil ChemicalからのSantoprene(商標)熱可塑性エラストマーが挙げられるがこれらに限定されない、材料の混合及びブレンドもまた使用され得る。
【0048】
緩衝材の適切性の1つの尺度は、ショアA硬度の測定である。好ましくは緩衝材は、約0〜約120のショアA硬度、好ましくは約20〜約100の範囲、より好ましくは約40〜約90の範囲のショアA硬度を有する。
【0049】
図1に示されるように、装置1はまた、可撓性バッグ4、又は他の比較的緩いカバー内に包含され得る。バッグは、1つ又は2つ以上の有益な特性を有し得る。これは、展開中に、膣内失禁装置と、そのアプリケータ及び/又は膣組織との間の摩擦を低減し得る。可撓性バッグ4は、より許容可能な消費者用装置とするために、装置フレームの外観を隠すか、又は変更し得る。可撓性バッグ4は、挿入及び除去時の装置の制御を助ける。これは、装置が適所に留まるのを助け得る。可撓性バッグ4も、座薬物質などの他の任意の構成要素を収容し得る。最後に、可撓性バッグ4は、膀胱頸部に圧力を印加するための接触面積を増加させてもよい。カバーはまた、使用中に装置が適所に留まるのを助けるために、膣上皮に対して摩擦の増加を提供してもよい。所望の最終用途により、バッグを形成するために任意の医療用の好適な材料が使用されてもよく、これは不透明で軽く、及び/又は通気性であり得る。有用なバッグ材料は、不織布、及び有孔フィルムを含むプラスチックフィルムなど、タンポンの製造に使用されるものを含む。バッグ自体も有孔であり得る。
【0050】
膣内失禁装置は好ましくは、取り出し用紐5などの、引き出し要素を含む。これは、装置フレームの細長い要素の間で十字型に交差し、「締め付けサック」機構を形成してもよい。衛生保護技術分野において既知のいずれかの紐又はコードが、この目的のために有用であり得る。取り出し中に紐が引かれると、細長い要素が集まり、取り出し中により小さい直径の装置を形成する。その基部において装置を締め付けることは、これが装置の直径をより小さくし、導きやすい形状とし、取り出しを容易にするために、装置の取り出しをより快適かつ容易にし得る。
【0051】
膣内失禁装置は、タンポン及び座薬の送達時の使用に関して既知であるものと同様の、アプリケータ内に収容されてもよい。アプリケータは、押出タイプのアプリケータ、又は格納可能なアプリケータであり得る。好ましい送達アプリケータは、約24mm未満、より好ましくは約19mm未満、最も好ましくは16mm未満の最大内径を有する。挿入深さを制御するために、カラーが追加されてもよい。
【0052】
好ましい一実施形態は、緩衝材は、これが被覆する装置フレーム6の周囲で不均一である。発明者らは、緩衝材を装置フレームの外面に対して付勢することにより、より有用な緩衝がもたらされ得る一方で、装置に対して単にバルクを追加する緩衝材の体積が最小化されることを見出した。
【0053】
〔実施の態様〕
(1) 射出成形された装置を製造する方法であって、
a.一次雄型モールド半体と一次雌型モールド半体とを含むモールドを、一次モールド空洞を画定するように組立てる工程と、
b.第1の液体高分子材料を前記一次モールド空洞内に注入し、前記第1の液体高分子材料を凝固させて装置フレームを形成する工程と、
c.前記一次雌型モールド半体を取り出し、これを二次雌型モールド半体で置き換えて、前記一次雄型モールド半体、前記二次雌型モールド半体、及び前記装置フレームによって画定される第1のオーバーモールド空洞を提供する工程と、
d.前記装置フレームを前記第1のオーバーモールド空洞内に拘束して、第2の液体高分子材料を前記第1のオーバーモールド空洞内に注入し、前記第2の液体高分子材料を凝固させて、前記第1のオーバーモールド空洞の形状を維持する外部層の第1の部分を十分に形成する工程と、
e.前記一次雄型モールド半体を取り出し、これを二次雄型モールド半体で置き換えて、前記二次雄型モールド半体、前記二次雌型モールド半体、前記装置フレーム、及び前記外部層の前記第1の部分によって画定される第2のオーバーモールド空洞を提供する工程と、
f.前記第2の液体高分子材料の追加量を前記第2のオーバーモールド空洞に注入し、前記第2の液体高分子材料を前記外部層の前記第1の部分と一体化させて、前記装置フレームの周囲で十分に一体式の外部層を形成する工程と、を含む、方法。
(2) 前記雄型及び雌型モールド半体が、一体式構造である、実施態様1に記載の方法。
(3) 前記雄型及び雌型モールド半体の少なくとも1つが、かかるモールド半体を一緒に形成する複数の部品を備える、実施態様1に記載の方法。
(4) 射出成形された膣内尿失禁装置を製造する方法であって、
a.一次雄型モールド半体と一次雌型モールド半体とを含むモールドを、一次モールド空洞を画定するよう組立てる工程と、
b.液体高弾性率高分子材料を前記一次モールド空洞に注入し、前記高弾性率高分子材料を凝固させて、装置フレームを形成する工程と、
c.前記一次雌型モールド半体を取り外し、それを二次雌型モールド半体で置き換えて、前記一次雄型モールド半体、前記二次雌型モールド半体、及び前記装置フレームによって画定される第1のオーバーモールド空洞を提供する工程と、
d.前記装置フレームを前記第1のオーバーモールド空洞内に拘束し、液体緩衝高分子材料を前記第1のオーバーモールド空洞内に注入し、前記緩衝高分子材料を凝固させて、前記第1のオーバーモールド空洞の形状を保持する外部層の第1の部分を十分に形成する工程と、
e.前記一次雄型モールド半体を取り出し、それを二次雄型モールド半体で置き換え、前記二次雄型モールド半体、前記二次雌型モールド半体、前記装置フレーム、及び前記外部層の前記第1の部分によって画定される第2のオーバーモールド空洞を提供する工程と、
f.前記液体緩衝高分子材料の追加量を前記第2のオーバーモールド空洞内に注入し、前記緩衝高分子材料を前記外部層の前記第1の部分と一体化させて、前記装置フレームの周囲で十分に一体式の外部層を形成する工程と、を含む、方法。
(5) 前記膣内尿失禁装置を可撓性バッグ内に封入する工程を更に含む、実施態様4に記載の方法。
【0054】
(6) 抜脱要素を前記膣内尿失禁装置に取り付ける工程を更に含む、実施態様4に記載の方法。
(7) 前記抜脱要素が、前記装置フレームの1つ又は2つ以上の細長い要素に取り付けられている、実施態様6に記載の方法。
(8) 前記生体適合性材料が、1つ又は2つ以上の熱可塑性エラストマーを含む、実施態様4に記載の方法。
(9) 前記雄型及び雌型モールド半体が、一体式構造である、実施態様4に記載の方法。
(10) 前記雄型及び雌型モールド半体の少なくとも1つが、かかるモールド半体を一緒に形成する複数の部品を含む、実施態様4に記載の方法。
【0055】
(11) 実施態様4に記載の方法によって形成される膣内尿失禁装置。
図1
図2
図3
図3A
図3B
図4
図4A
図4B
図5
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9
図10
図11