特許第6033878号(P6033878)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6033878
(24)【登録日】2016年11月4日
(45)【発行日】2016年11月30日
(54)【発明の名称】部品内蔵基板の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 3/46 20060101AFI20161121BHJP
   H05K 1/02 20060101ALI20161121BHJP
【FI】
   H05K3/46 Q
   H05K3/46 N
   H05K3/46 Z
   H05K1/02 R
【請求項の数】4
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2014-537900(P2014-537900)
(86)(22)【出願日】2012年9月26日
(86)【国際出願番号】JP2012074711
(87)【国際公開番号】WO2014049721
(87)【国際公開日】20140403
【審査請求日】2015年8月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000243906
【氏名又は名称】株式会社メイコー
(74)【代理人】
【識別番号】100090022
【弁理士】
【氏名又は名称】長門 侃二
(72)【発明者】
【氏名】清水 良一
(72)【発明者】
【氏名】岩本 光生
(72)【発明者】
【氏名】戸田 光昭
【審査官】 原田 貴志
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2009/101723(WO,A1)
【文献】 特表2007−535156(JP,A)
【文献】 特表2012−507154(JP,A)
【文献】 特開2005−159345(JP,A)
【文献】 特開2002−176298(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 3/46
H05K 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に配線パターンを有する絶縁基板内に、前記配線パターンと電気的に接続された端子を有する電気又は電子的な部品が内蔵されている部品内蔵基板の製造方法であって、
支持板上に前記配線パターンとなるべき銅層を形成し、この銅層の前記支持板に接する第1面とは反対側の第2面上にめっき法により形成されるマークであって、前記第2面に接する基端面、前記基端面の外周縁から前記第2面に直交する方向へ延びる側面、前記側面の先端縁から先細りして円弧状に延びる外周曲面及び前記外周曲面の先端縁から延び、前記基端面に対向する頂面を有するマークを形成するマーク形成工程と、
撮像した検出対象の画像を映す撮像画面内に正方形のサーチ範囲が設定されており、前記サーチ範囲内において検出対象を検出する検出手段を用いて前記マークを検出した後、検出された前記マークを基準にして前記部品を位置決めし、絶縁性の接着層を介在させて前記銅層の第2面上に前記部品を搭載する部品搭載工程と、
前記部品を搭載した前記銅層の第2面上に、前記部品及び前記マークを埋設させる前記絶縁基板としての埋設層を形成する埋設層形成工程と、
前記銅層から前記支持板を剥離させた後、この剥離により露出した前記銅層の第1面側から前記銅層の一部を銅のエッチングに用いられる銅エッチング剤によりエッチング除去し、前記マークの基端面の全体とともに前記埋設層を部分的に露出させるウィンドウを形成するウィンドウ形成工程と、
前記ウィンドウから露出した前記マークを基準にして前記部品の端子の位置を特定し、前記端子まで到達するビアホールを形成した後、前記ビアホールに導電性材料を充填し、前記端子と前記銅層とを電気的に接続する導通ビアを形成する導通ビア形成工程と、
前記導通ビアを介して前記端子と電気的に接続された前記銅層を前記配線パターンに形成するパターン形成工程とを備えており、
前記マーク形成工程は、前記サーチ範囲の中心であるサーチ中心から前記サーチ範囲の縁辺まで延びる仮想線をサーチ基準線とし、前記マークの中心を前記サーチ中心と合致させた状態で、前記マークの中心から前記サーチ基準線と同じ方向で、且つ、前記マークにおける前記頂面と前記外周曲面との境界である外形稜線まで延びる仮想線をマーク基準線としたとき、前記マーク基準線の長さが前記サーチ基準線の30%以上の範囲となる位置に前記マークの外形稜線が存在する形状に前記マークを形成することを特徴とする部品内蔵基板の製造方法。
【請求項2】
前記マークが平面視円形状に形成されることを特徴とする請求項1に記載の部品内蔵基板の製造方法。
【請求項3】
前記マークが平面視正方形状に形成されることを特徴とする請求項1に記載の部品内蔵基板の製造方法。
【請求項4】
前記マークが平面視リング形状に形成されることを特徴とする請求項1に記載の部品内蔵基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気又は電子的な部品を基板内に埋め込んだ部品内蔵基板の製造方法及びこの方法を用いて製造した部品内蔵基板に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子回路基板の高密度化、高機能化に伴い、電子部品を絶縁層である絶縁基板内に埋め込んだ構造の部品内蔵基板が注目されている(例えば、特許文献1参照)。このような部品内蔵基板は、その絶縁基板の表面に配線パターンが形成されており、この配線パターンの所定位置に他の各種電子部品が表面実装されてモジュール基板として使用することができ、また、ビルドアップ法で部品内蔵多層回路基板を製造するときのコア基板として使用することもできる。
【0003】
このような部品内蔵基板においては、絶縁基板の表面の配線パターンと、絶縁基板内の電子部品の端子とを電気的に接続する接続部を設ける必要がある。ここで、従来の部品内蔵基板の製造方法としては、まず、支持板上に配線パターンとなるべき銅層が形成され、この銅層上の所定位置に半田ペーストにより接続部が形成される。そして、この接続部上に端子が位置付けられるように電子部品が配設される。次いで、絶縁基板となる絶縁材料により、接続部及び電子部品が埋設され、電子部品を内蔵した中間製品が得られる。その後、この中間製品から支持板が剥離され、露出した銅層が所定形状の配線パターンに形成されることにより部品内蔵基板が得られる。
【0004】
ところで、部品内蔵基板は、その表面に他の各種電子部品を表面実装する際にリフロー半田付けが行われるため、その度に半田の溶融温度以上の高温に晒される。このため、配線パターンと電子部品の端子部との間の接続部の信頼性が低下する虞がある。
【0005】
そこで、部品内蔵基板においては、配線パターンと電子部品の端子部との間の接続部の熱的な信頼性の向上を図るべく、かかる接続部を形成する材料として、半田に比べて融点が高く、リフロー半田付けの際の熱の影響を受け難い銅を用いることが考えられる。この銅を用いた接続部は、例えば、電子部品を絶縁基板内に埋設した後、基板表面の配線パターンから基板内の電子部品の端子にまで至る接続孔を設け、この接続孔にめっき法を用いて銅を充填することにより形成される。この場合、絶縁基板内の電子部品の端子に向けて正確に接続孔を形成しなければならないので、製造過程においては、電子部品の位置決めの精度及び端子位置の特定の精度を向上させる必要がある。ここで、これらの精度の向上を図った部品内蔵基板の製造方法の一態様につき、以下に説明する。
【0006】
まず、支持板を準備し、この支持板の上に銅層を形成する。そして、この銅層上には銅の柱状体からなるマークをめっき法により形成する。次いで、このマークを光学系のセンサーで検出したのち、検出したマークの位置を基準にして電子部品を銅層上の所定位置に位置決めし、絶縁性の接着剤で固定する。その後、固定した電子部品及びマークを絶縁材料で覆い、電子部品を埋設した絶縁基板としての絶縁層を形成する。その後、支持板を剥離し、銅層を露出させる。露出した銅層においては、マークが存在する部分をエッチング除去することによりマークを露出させる。そして、露出したマークを基準にして、電子部品の端子位置を特定し、この端子まで到達する接続孔を形成する。その後、形成された接続孔を含め銅層の全体に銅めっきを施し、接続孔内を銅で充填することにより、銅層と端子とを電気的に接続する。そして、最後に絶縁基板表面の銅層を所定の配線パターンに加工することにより、部品内蔵基板が製造される。
【0007】
この製造方法によれば、電子部品の位置決めと端子位置の特定に同一のマークを基準として使用するので、電子部品の位置決め及び端子の位置の特定を精度良く行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2010−027917号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、上記した製造方法においては、マークを基準に電子部品を位置決めする際、マークの検出誤差が原因で、マークの検出精度が低下し、これにともない部品の位置決め精度も低下する問題がある。所定位置に正確に部品を位置決めできないと、後工程における端子位置の特定の精度にも影響する。また、今後、電子部品は更に小型化し、より高い位置決め精度が求められるため、マークの検出精度の更なる向上が望まれている。
【0010】
本発明は、上記の事情に基づいてなされたものであり、その目的とするところは、マークの検出精度を向上させることができ、もって部品の位置決め及び位置の特定を精度良く行うことができる部品内蔵基板の製造方法及びこの方法を用いて製造した部品内蔵基板を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明によれば、表面に配線パターンを有する絶縁基板内に、前記配線パターンと電気的に接続された端子を有する電気又は電子的な部品が内蔵されている部品内蔵基板の製造方法であって、支持板上に前記配線パターンとなるべき銅層を形成し、この銅層の前記支持板に接する第1面とは反対側の第2面上にめっき法により形成されるマークであって、前記第2面に接する基端面、前記基端面の外周縁から前記第2面に直交する方向へ延びる側面、前記側面の先端縁から先細りして円弧状に延びる外周曲面及び前記外周曲面の先端縁から延び、前記基端面に対向する頂面を有するマークを形成するマーク形成工程と、撮像した検出対象の画像を映す撮像画面内に正方形のサーチ範囲が設定されており、前記サーチ範囲内において検出対象を検出する検出手段を用いて前記マークを検出した後、検出された前記マークを基準にして前記部品を位置決めし、絶縁性の接着層を介在させて前記銅層の第2面上に前記部品を搭載する部品搭載工程と、前記部品を搭載した前記銅層の第2面上に、前記部品及び前記マークを埋設させる前記絶縁基板としての埋設層を形成する埋設層形成工程と、前記銅層から前記支持板を剥離させた後、この剥離により露出した前記銅層の第1面側から前記銅層の一部を銅のエッチングに用いられる銅エッチング剤によりエッチング除去し、前記マークの基端面の全体とともに前記埋設層を部分的に露出させるウィンドウを形成するウィンドウ形成工程と、前記ウィンドウから露出した前記マークを基準にして前記部品の端子の位置を特定し、前記端子まで到達するビアホールを形成した後、前記ビアホールに導電性材料を充填し、前記端子と前記銅層とを電気的に接続する導通ビアを形成する導通ビア形成工程と、前記導通ビアを介して前記端子と電気的に接続された前記銅層を前記配線パターンに形成するパターン形成工程とを備えており、前記マーク形成工程は、前記サーチ範囲の中心であるサーチ中心から前記サーチ範囲の縁辺まで延びる仮想線をサーチ基準線とし、前記マークの中心を前記サーチ中心と合致させた状態で、前記マークの中心から前記サーチ基準線と同じ方向で、且つ、前記マークにおける前記頂面と前記外周曲面との境界である外形稜線まで延びる仮想線をマーク基準線としたとき、前記マーク基準線の長さが前記サーチ基準線の30%以上の範囲となる位置に前記マークの外形稜線が存在する形状に前記マークを形成することを特徴とする部品内蔵基板の製造方法が提供される。
【0012】
好ましくは、前記マークが平面視円形状に形成される態様とする。
【0013】
また、前記マークが平面視正方形状に形成される態様とすることが好ましい。
【0014】
また、前記マークが平面視リング形状に形成される態様とすることが好ましい。
【0015】
また、本発明によれば、上記した部品内蔵基板の製造方法を用いて製造され、前記銅層の第2面に接する基端面、前記基端面の外周縁から前記第2面に直交する方向へ延びる側面、前記側面の先端縁から先細りして円弧状に延びる外周曲面及び前記外周曲面の先端縁から延び、前記基端面に対向する頂面を有するマークを備えていることを特徴とする部品内蔵基板が提供される。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る部品内蔵基板の製造方法は、マーク形成工程において、検出手段のサーチ範囲の中心であるサーチ中心からサーチ範囲の縁辺まで延びる仮想線をサーチ基準線とし、マークの中心をサーチ中心と合致させた状態で、マークの中心からサーチ基準線と同じ方向で、且つ、マークにおける頂面と外周曲面との境界である外形稜線まで延びる仮想線をマーク基準線としたとき、マーク基準線の長さがサーチ基準線の30%以上の範囲となる位置にマークの外形稜線が存在する形状にマークを形成しているので、以下の効果を奏する。すなわち、サーチ範囲内においてマークの占める割合が大きくなるため、マークの輪郭の特定を精度良く行うことができる。これにより、マークの検出精度を向上させることができ、部品の位置決め及び位置の特定を精度良く行うことができる。
【0017】
また、本発明の部品内蔵基板は、上記した製造方法により得られるので、マークの検出精度が高く、内蔵される部品の端子と配線パターンとが高精度に位置決めされており、電気的接続の不良は極めて少なく、品質に優れている。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施形態に係る部品内蔵基板の製造方法に用いる支持板(ステンレス鋼製の薄板)を概略的に示す断面図である。
図2図1の支持板上に銅層を形成した銅張り鋼板を概略的に示す断面図である。
図3図2の銅張り鋼板の銅層上にパターンめっき用のめっきレジスト膜を形成した状態を概略的に示す断面図である。
図4図2の銅張り鋼板の銅層上にマークを形成した状態を概略的に示す断面図である。
図5】マークを示す平面図(a)及びマークを示す断面図(b)である。
図6】サーチ範囲を概略的に示す平面図である。
図7図4の銅張り鋼板の銅層上に接着剤を供給した状態を概略的に示す断面図である。
図8図7の銅張り鋼板の接着剤上に電子部品を搭載した状態を概略的に示す断面図である。
図9】電子部品が搭載された銅張り鋼板の上に絶縁基材及び銅箔を積層する状態を概略的に示す断面図である。
図10】電子部品が搭載された銅張り鋼板の上に絶縁基材及び銅箔を積層し一体化した状態を概略的に示す断面図である。
図11】銅層から支持板を剥離させて得た中間製品を概略的に示す断面図である。
図12図11の中間製品の銅層上にマスク層を形成した状態を概略的に示す断面図である。
図13図12の中間製品にウィンドウを形成した状態を概略的に示す断面図である。
図14図13の中間製品にレーザービアホールを形成した状態を概略的に示す断面図である。
図15図14の中間製品にめっき処理を施した状態を概略的に示す断面図である。
図16図15の中間製品に配線パターンを形成した状態を示す断面図である。
図17】本発明の実施形態に係る部品内蔵基板を概略的に示す断面図である。
図18】本発明の第2の実施形態で用いられるマークを示す平面図(a)及び断面図(b)である。
図19】本発明の第3の実施形態で用いられるマークを示す平面図(a)及び断面図(b)である。
図20】本発明の第4の実施形態で用いられるマークを示す平面図(a)及び断面図(b)である。
図21】本発明の第5の実施形態で用いられるマークを示す平面図(a)及び断面図(b)である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(第1の実施形態)
本発明においては、まず、出発素材上に銅製の柱状体からなる位置決め用のマークを形成する(マーク形成工程)。ここで、出発素材は、例えば、次のようにして準備される。
【0020】
まず、図1に示すように、支持板2を準備する。この支持板2は、例えばステンレス鋼製の薄板である。そして、図2に示すように、支持板2上に薄膜からなる第1の銅層4を形成する。この第1の銅層4は、例えば、電解めっきにより得られる銅めっき膜からなる。このようにして得られた銅張り鋼板6を出発素材とする。ここで、第1の銅層4において、支持板2に接している面を第1面3とし、この第1面3とは反対側の面を第2面5とする。
【0021】
なお、支持板2としては、アルミ製の薄板を用いることもできる。この場合、第1の銅層4は、例えば、銅箔からなり、アルミ製の薄板の表面に貼り付けられる。
【0022】
次に、図3に示すように、準備した銅張り鋼板6の第1の銅層4上にマスク層8を形成する。このマスク層8は、例えば、所定厚みのドライフィルムからなるめっきレジストであり、所定位置に開口10が設けられている。この開口10は、平面視形状が円形の貫通孔からなり、その底部において銅層4が露出している。そして、このようなマスク層8を有する銅張り鋼板6に対し銅の電解めっきを施すことにより、前記した露出部分に銅を優先的に析出させ、開口10の内部の形状に沿った柱状の銅ポストからなる位置決め用のマーク12を形成する。この後、ドライフィルム8を除去することにより、第1の銅層4の第2面5上の所定位置に銅ポストからなる位置決め用のマーク12が現れる(図4参照)。
【0023】
ここで、マーク12の形状について詳しく説明する。まず、マーク12の平面視形状を表す図5(a)及びマーク12の断面形状を表す図5(b)に示すように、マーク12は、扁平な円柱形状をなしている。具体的には、マーク12は、銅層4の第2面5に接する基端面13、この基端面13の外周縁11から銅層4の第2面5に直交する方向(図5中上方向)へ延びる側面15、この側面15の先端縁17から先細りして円弧状に延びる外周曲面19、及び、この外周曲面19の先端縁21から延び、基端面13に対向する頂面23を有している。基端面13は、銅層4の第2面5に倣い平坦であり、その外形は開口10の内部形状に沿った円形をなしている。側面15は、開口10の内周面に倣い周面となっている。外周曲面19は、マーク12の側面15と頂面23との間に位置し、めっきの成長過程で円弧状となる。頂面23は、基端面13と対向する位置に位置付けられ、ほぼ平坦な面となっている。ここで、外周曲面19の先端縁21は、頂面23との境界となっており、この境界を外形稜線25と称する(図5(a)参照)。また、マーク12の幅(直径)をL1、頂面23の幅(直径)をM1、外周曲面19の幅をP1,P2とすると、L1=M1+P1+P2となる。通常、P1とP2とは同じ値となるが、僅かな差が生じることもあるので、便宜的に図5中左側の幅をP1、右側の幅をP2とした。なお、外周曲面19は、説明のため誇張して描いている。このマーク12の大きさは、後段の部品搭載工程において用いられる検出手段としての光学系センサーのサーチ範囲の大きさとの関係で以下のように決められる。
【0024】
光学系センサーは、検出対象を撮像し、その画像を映す撮像画面内に正方形のサーチ範囲を設定している。そして、マーク12の検出においては、このサーチ範囲内にマーク12を収め、この状態でサーチ範囲内に検出光を照射する。そして、かかる検出光がマーク12の頂面23に当たって反射して戻ってきた反射光を受光センサーで受けることによりマーク12の検出を行う。詳しくは、図6に示すように、光学系センサーの撮像画面70内の所定位置に正方形のサーチ範囲72が設定されている。サーチ範囲72においては、その中心であるサーチ中心74と、マーク12のマーク中心76とが合致するようにマーク12が収められる。このとき、サーチ中心74からサーチ範囲72の縁辺78まで延びるサーチ基準線80が仮想されるとともに、マーク中心76からサーチ基準線80と同じ方向で、且つ、マーク12の外形稜線25まで延びるマーク基準線82が仮想される。そして、このマーク基準線82の長さが、サーチ基準線80の全長の30%以上となるような関係を満足するように、マーク12の大きさを設定する。具体的には、以下の通りである。まず、サーチ基準線80を、サーチ中心74を中心としてサーチ中心74回りに移動させた場合、このサーチ基準線80の全長の30%の部分の軌跡により図6中の仮想正方形84が得られる。ここで、この仮想正方形84を、以下、下限領域84と称する。一方、マーク基準線82を、マーク中心76を中心としてマーク中心76回りに移動させた場合、マーク基準線82の先端の軌跡が外形稜線25となる。そこで、この外形稜線25が下限領域84よりも外側に位置するような形状にマーク12を形成する。これにより、上記した関係を満足する大きさのマーク12を得ることができる。
【0025】
上記した光学系センサーにおいては、通常、マーク12から反射してきた検出光を受けてマーク12を検出する。具体的には、以下の通りである。まず、マーク12の頂面23、外周曲面19及びマーク12を外れた部分に検出光が照射される。ここで、頂面23に当たった検出光は、そのまま受光センサーに返ってくるので、受光強度のレベルは高い。一方、外周曲面19に当たった検出光は、散乱するので、直接受光センサーに戻る光は頂面23に比べて少なくなる。そして、マーク12を外れた部分からは反射光は戻らず、受光センサーの受光強度レベルは、極めて少なくなる。このような受光センサーの受光強度のレベルの差から外形稜線25を読み取り、マーク12の形状を検出している。
【0026】
ここで、本願発明者は、マーク12を下限領域84よりも小さくした場合、外周曲面19の曲率半径がより大きくなり、外周曲面19の幅P1,P2が広くなること、及び、マーク12を下限領域84よりも大きくした場合、外周曲面19の曲率半径がより小さくなり、外周曲面19の幅P1,P2が狭くなることを見出した。外周曲面19の幅P1,P2が広いと、外形稜線25の読み取り誤差が大きくなり、マーク12の検出に影響する。本発明は、上記した知見の下、マーク12を下限領域84よりも大きくすべく、マーク基準線82の長さをサーチ基準線80の長さの30%以上に規定している。
【0027】
このように、マーク基準線82の長さをサーチ基準線80の長さの30%以上に規定する関係を満足させると、マーク12は、比較的大きくなり、外周曲面19の曲率半径が小さくなるため、外形稜線25の読み取り誤差を小さくすることができる。また、測定器の測定誤差の程度が同じ場合、マークの大きさが大きいほどマークの外形を特定する際の精度に対する誤差の影響度は低くなり、その結果、マークの検出精度は高くなると考えられる。
【0028】
ここで、本実施形態においては、サーチ範囲78の一辺の長さが5mmである光学系センサーを使用した。また、本実施形態における各部の具体的な寸法を以下に示す。マーク12については、L1が2.540mm、M1が2.476mm、P1が0.035mm、P2が0.029mmであった。
【0029】
なお、銅めっき層からなるマーク12の形成方法は、電解めっき法に限られるものではなく、無電解めっき法を採用することもでき、また、これらを併用することもできる。
【0030】
このマーク12の設置位置は、任意に選定することができるが、絶縁基板内に内蔵すべき電子部品(以下、基板内部品という)14の位置決めを行う光学系位置決め装置(図示せず)の光学系センサーが認識しやすい位置に設けることが好ましい。本実施形態においては、図4に示すように、マーク12は、基板内部品14が搭載される予定の搭載予定領域Sを挟むように2個形成した。
【0031】
ここで、第1の銅層4の第2面5に対し、銅のエッチングに用いられる銅エッチング剤のうち硫酸−過酸化水素系の銅エッチング剤を用いて従来公知の粗面化処理を行うことが好ましい。このとき、マーク12にはマスキングテープを貼り、粗面化処理後にかかるマスキングテープを外す。これによりマーク12は腐食されず、光沢面を維持することができる。その結果、光沢のあるマークと、その回りの粗面化された第1の銅層4とのコントラストが明確となり、光学センサーの検出誤差の低減に寄与する。また、第1の銅層4が粗面となることにより、後工程である埋設層形成工程において、絶縁基板と第1の銅層4との間にアンカー効果が発揮され密着性の向上が図れる。
【0032】
次に、銅張り鋼板6上に接着剤16を介して基板内部品14を搭載する(部品搭載工程)。
まず、図7に示すように、銅層4上における搭載予定領域Sに接着剤16が供給される。接着剤16は、少なくとも搭載予定領域Sの全体を覆っていればよく、接着剤16の位置決め精度は、比較的低くてもよい。ここで、接着剤16の位置決めを行う際、マーク12を基準にして搭載予定領域Sを特定し、特定された位置に接着剤16を塗布すると接着剤16の位置決め精度は向上するので好ましい。なお、基板内部品14の端子が存在する位置に対応する所定位置に接着剤16が適切に配設されるならば、接着剤16は、搭載予定領域Sの一部を覆う態様でも構わない。
【0033】
上記した接着剤16は、硬化して所定厚さの接着層18となる。得られる接着層18は、基板内部品14を所定位置に固定するとともに、所定の絶縁性を有している。接着剤16としては、硬化後に所定の接着強度及び所定の絶縁性とを発揮するものであれば格別限定されないが、例えば、熱硬化型のエポキシ系樹脂又はポリイミド系樹脂にフィラーを添加したものが用いられる。このフィラーとしては、例えば、シリカ(二酸化ケイ素)、ガラス繊維等の微粉末が用いられる。
【0034】
本発明において、搭載予定領域Sに供給される接着剤16の形態としては、特に限定されるものではなく、液体状の接着剤16を所定厚さで塗布する形態をとってもよいし、所定厚さのシート状の接着剤16を載置する形態をとってもよい。本実施形態においては、熱硬化型のエポキシ系樹脂にシリカの微粉末を添加した液体状の接着剤を使用した。
【0035】
次に、図8に示すように、第1の銅層4の第2面5上の搭載予定領域Sに接着剤16を塗布し、その上に基板内部品14を搭載する。このとき、基板内部品14は、マーク12を基準にして搭載予定領域Sに位置決めされる。この後、接着剤16は、熱硬化炉などを使用し加熱されることで硬化し接着層18となる。これにより基板内部品14は所定位置に固定される。
【0036】
詳しくは、図8から明らかなように、基板内部品14は、ICチップ等(図示せず)が樹脂で覆われた直方体状のパッケージ部品であり、このパッケージ部品の下部には複数の端子20が設けられている。そして、基板内部品14及び端子20と銅層4の第2面5との間には、接着層18が介在している。
【0037】
次に、絶縁基材を積層して基板内部品14、マーク12の埋設を行う(埋設層形成工程)。
まずは、図9に示すように、第1及び第2の絶縁基材22,24を用意する。これら絶縁基材22,24は、樹脂製である。ここで、絶縁基材22,24は、ガラス繊維に未硬化状態の熱硬化性樹脂を含浸させたシート状をなすいわゆるプリプレグである。この第1の絶縁基材22は、貫通孔30を有している。貫通孔30は、その開口部が基板内部品14を挿通可能な大きさに形成されているとともに、その高さ(絶縁基材22の厚さに相当)が基板内部品14の高さよりも高く設定されている。一方、第2の絶縁基材24は、図9に示すように、貫通孔が設けられていない平板状をなしている。
【0038】
ついで、第1の銅層4上に第1の絶縁基材22を積層し、この第1の絶縁基材22の上側に第2の絶縁基材24を重ね、更にこの第2の絶縁基材24の上側に第2の銅層28となるべき銅箔を重ねて積層体とする。ここで、第1の絶縁基材22は、貫通孔30内に基板内部品14が位置付けられるように配設する。その後、前記積層体の全体に対し、加圧するとともに加熱するいわゆるホットプレスを行う。
【0039】
これにより、プリプレグの未硬化状態の熱硬化性樹脂は、加圧されて貫通孔30等の隙間に充填された後、ホットプレスの熱により硬化し、その結果、図10に示すように、絶縁基材22,24からなる絶縁基板(埋設層)34が形成される。このようにして、絶縁基板34内に基板内部品14が埋設されている加圧成形体37が得られる。ここで、絶縁基材22には、予め貫通孔30が設けられているため、ホットプレスの際に基板内部品14にかかる圧力を回避することができる。このため、大型の基板内部品14であっても破損することなく絶縁基板内に埋設することができる。
【0040】
次いで、図11に示すように、加圧成形体37から支持板2を剥離させる。これにより部品内蔵基板の中間製品40が得られる。この中間製品40は、内部に基板内部品14を含む絶縁基板34と、この絶縁基板34の一方の面(下面)36に形成された第1の銅層4と、他方の面(上面)38に形成された第2の銅層28とを備えている。ここで、第1の銅層4においては、支持板2の剥離により第1面3が露出している。
【0041】
次に、得られた中間製品40に対し、第1の銅層4の所定箇所を除去してウィンドウを形成する(ウィンドウ形成工程)。
まずは、図12に示すように、両銅層4,28の表面にマスク層39,41を形成する。このマスク層39,41は、例えば、所定厚みのドライフィルムからなるエッチングレジストであり、所定位置に開口43が設けられている。開口43からは銅層4の第1面3が露出している。開口43は、マーク12,12が存在する部分及び基板内部品14の端子20,20が存在する部分(以下、端子存在部という)T,Tにそれぞれ設けられている。ここで、これら開口43は、例えば、絶縁基板34の端部を基準にして、マーク12,12が存在する部分及びを端子存在部T,Tを特定し、その特定した位置において、マーク12,12及び端子20,20よりも大きめに形成されている。この開口43は、マーク12や端子20よりも大きめに形成されるので、その位置を特定する際の精度は、比較的低くても構わない。
【0042】
次いで、中間製品40に対し、塩化第2銅水溶液からなる銅エッチング剤を用いた通常のエッチング法により、露出した部分の第1の銅層4を除去する。その後、マスク層39,41を除去する。これにより、図13に示すように、マーク12,12と共に絶縁基板34を部分的に露出させる第1ウィンドウW1及び端子存在部Tを含む接着層18の部位を露出させる第2ウィンドウW2が形成される。ここで、各ウィンドウW1、W2は、開口43に倣い、これらマーク12,12及び端子20,20よりも大きめに形成される。
【0043】
次に、端子存在部Tの接着層18にビアホールを形成する(ビアホール形成工程)。
まず、露出したマーク12,12を光学系位置決め装置(図示せず)の光学系センサーで認識する。そして、マーク12,12の位置を基準として接着層18で隠れている基板内部品14の端子20の位置を特定する。その後、特定した端子位置の接着層18にレーザー、例えば、炭酸ガスレーザーを照射して接着層18を除去し、図14に示すように、端子20まで到達するレーザービアホール(以下、LVHという)46を形成する。これにより、基板内部品14の端子20が露出する。ここで、各ウィンドウW1、W2をマーク12,12及び端子20,20よりも大きめに形成しているので、第1ウィンドウW1では、マーク12,12の全体を認識することができ、第2ウィンドウW2では、銅層4により反射されることなく効率良く目標箇所にレーザーを照射することができる。
【0044】
上記した態様から明らかなように、本発明においては、基板内部品14の位置決めに使用したマーク12,12をLVH46の形成に再度使用することを特徴としている。つまり、本発明は、基板内部品14の位置決め及びLVH46の位置決めに共通したマークを用いているので、極めて高い位置決め精度を発揮することができ、接着層18に隠れている端子20に対し、正確な位置にLVH46を形成することができる。
【0045】
次に、LVH46が形成された中間製品40にデスミア処理により樹脂残渣を除去した後、めっき処理を施し中間製品40表面へ銅を析出させ、LVH46内に銅を充填する。これにより、基板内部品14の端子20と第1の銅層4とを電気的に接続する導通ビアを形成する(導通ビア形成工程)。
【0046】
まず、LVH46内に銅の無電解めっき処理を施し、LVH46の内壁面及び基板内部品14の端子20の表面を銅で覆う。その後、銅の電解めっき処理を施し、図15に示すように、LVH46内を含め第1の銅層4の全体及び第2の銅層28の全体を覆う銅のめっき層48を成長させる。これにより、LVH46内は銅で充填されて導通ビア47が形成され、この導通ビア47が第1の銅層4と一体化し、基板内部品14の端子20と第1の銅層4とが電気的に接続される。
【0047】
次に、絶縁基板34の表面の第1の銅層4及び第2の銅層28の一部を除去し、所定の配線パターン50を形成する(パターン形成工程)。
両銅層4,28の一部の除去は、通常のエッチング法が用いられる。これにより、図16に示すように、絶縁基板34の表面に所定の配線パターン50が形成される。
【0048】
配線パターン50が形成された後、絶縁基板34の表面には、半田の付着を避けたい部分に半田レジストが塗布される。これにより、絶縁基板34の表面に半田レジスト層60が形成される。ここで、本実施形態においては、図17に示すように、マーク12の部分には、半田レジストを塗布せず、半田レジスト層60に開口62を設けている。この結果、マーク12の部分に対応する銅のめっき層48の部分は、露出した状態となり、部品実装用ランド61となる。
【0049】
以上のようにして、表面に所定の配線パターン50を有する絶縁基板34内に、この配線パターン50と電気的に接続された端子20を有する基板内部品14が内蔵されている部品内蔵基板1が得られる。
【0050】
このようにして得られた部品内蔵基板1は、表面に他の電子部品を表面実装してモジュール基板とすることができる。また、この部品内蔵基板1をコア基板として、通常行われるビルドアップ法を用いて多層回路基板を形成することもできる。
【0051】
なお、第1の実施形態は、ウィンドウ形成工程において、第1ウィンドウとともに第2ウィンドウを形成したが、本発明はこの態様に限定されるものではなく、第1ウィンドウのみ形成する態様でも構わない。この場合、第1ウィンドウから露出したマーク12を基準にして部品14の端子20の位置を特定し、例えば、カッパーダイレクト法を利用し、銅層4を含めて接着層18を除去してビアホールを形成する。
【0052】
次に、第2〜第5の実施形態について説明する。これらの説明にあたり、既に説明した工程と同じ工程については、その詳細な説明を省略する。また、既に説明した構成部材及び部位と同一の機能を発揮する物については同一の参照符号を付し、その説明を省略する。
【0053】
(第2の実施形態)
第2の実施形態は、第1の実施形態のマーク形成工程において、図18に示すような平面視形状が正方形のマーク90を形成する点のみで第1の実施形態と相違する。
【0054】
第2の実施形態のマーク形成工程では、まず、図18(b)に示すように、準備した銅張り鋼板6の第1の銅層4上にマスク層8を形成する。このマスク層8は、所定位置に、平面視形状が正方形の貫通孔からなる開口92が設けられている。そして、かかるマスク層8を有する銅張り鋼板6に対し銅の電解めっきを施し、開口92内に銅めっき層を形成する。これにより、図18(a)に示すように、平面視形状が正方形のマーク90が得られる。図18から明らかなように、マーク90の外形稜線94は正方形状をなし、下限領域84よりも外側に位置している。
【0055】
ここで、本実施形態においては、サーチ範囲78の一辺の長さが3mmである光学系センサーを使用した。また、本実施形態における各部の具体的な寸法は以下の通りである。マーク90の幅L1は1.541mm、頂面96の幅M1は1.462mm、外周曲面98の幅は、P1が0.042mm、P2が0.037mmであった。なお、図18中、参照符号91は、マーク90の基端面を表し、参照符号93は、マーク90の基端面91の外周縁を表し、参照符号95は、マーク90の側面を表し、参照符号97は、この側面95の先端縁を表し、参照符号99は、外周曲面98の先端縁を表している。
【0056】
(第3の実施形態)
第3の実施形態は、第1の実施形態のマーク形成工程において、図19に示すような平面視形状が円形のリング状のマーク100を形成する点のみで第1の実施形態と相違する。
【0057】
第3の実施形態のマーク形成工程では、まず、図19(b)に示すように、準備した銅張り鋼板6の第1の銅層4上にマスク層8を形成する。このマスク層8は、所定位置に、平面視形状が円形のリング状の貫通孔からなる開口102が設けられている。そして、かかるマスク層8を有する銅張り鋼板6に対し銅の電解めっきを施し、開口102内に銅めっき層を形成する。これにより、図19(a)に示すように、平面視形状が円形のリング状のマーク100が得られる。図19から明らかなように、マーク100の外形稜線104は円形状をなし、下限領域84よりも外側に位置している。また、このマーク100においては、中央に円形の中央貫通孔110が存在しており、この中央貫通孔110の上端縁部には、内周曲面111及び内形稜線112が形成されている。
【0058】
ここで、本実施形態においては、サーチ範囲78の一辺の長さが5mmである光学系センサーを使用した。また、本実施形態における各部の具体的な寸法は以下の通りである。マーク100の幅(直径)L1は2.508mm、頂面106の幅(直径)M1は2.431mm、中央貫通孔110の幅(直径)N1は1.300mm、内径稜線112の幅(直径)Q1は、1.401mm、外周曲面108の幅は、P1が0.042mm、P2が0.035mm、内周曲面111の幅は、P3が0.046mm、P4が0.055mmであった。
なお、図19中、参照符号101は、マーク100の基端面を表し、参照符号103は、マーク100の基端面101の外周縁を表し、参照符号105は、マーク100の側面を表し、参照符号107は、この側面105の先端縁を表し、参照符号109は、外周曲面108の先端縁を表している。
【0059】
(第4の実施形態)
第4の実施形態は、第1の実施形態のマーク形成工程において、図20に示すような平面視形状が正方形で中央が矩形に抜かれたリング状のマーク120を形成する点のみで第1の実施形態と相違する。
【0060】
第4の実施形態のマーク形成工程では、まず、図20(b)に示すように、準備した銅張り鋼板6の第1の銅層4上にマスク層8を形成する。このマスク層8は、所定位置に、平面視形状が正方形のリング状をなす貫通孔からなる開口122が設けられている。そして、かかるマスク層8を有する銅張り鋼板6に対し銅の電解めっきを施し、開口122内に銅めっき層を形成する。これにより、図20(a)に示すように、平面視形状が正方形で中央が矩形に抜かれたリング状のマーク120が得られる。図20から明らかなように、マーク120の外形稜線124は正方形状をなし、下限領域84よりも外側に位置している。また、このマーク120においては、中央に正方形の中央貫通孔130が存在しており、この中央貫通孔130の上端縁部には、内周曲面131及び内形稜線132が形成されている。
【0061】
ここで、本実施形態においては、サーチ範囲78の一辺の長さが5mmである光学系センサーを使用した。また、本実施形態における各部の具体的な寸法は以下の通りである。マーク120の幅L1は2.559mm、頂面126の幅M1は2.472mm、中央貫通孔130の幅N1は0.500mm、内径稜線132の幅Q1は、0.577mm、外周曲面128の幅は、P1が0.048mm、P2が0.039mm、内周曲面131の幅は、P3が0.036mm、P4が0.041mmであった。
なお、図20中、参照符号121は、マーク120の基端面を表し、参照符号123は、マーク120の基端面121の外周縁を表し、参照符号125は、マーク120の側面を表し、参照符号127は、この側面125の先端縁を表し、参照符号129は、外周曲面128の先端縁を表している。
【0062】
(第5の実施形態)
第5の実施形態は、第1の実施形態のマーク形成工程において、図21に示すような平面視形状が正方形で中央が円形に抜かれたリング状のマーク140を形成する点のみで第1の実施形態と相違する。
【0063】
第5の実施形態のマーク形成工程では、まず、図21(b)に示すように、準備した銅張り鋼板6の第1の銅層4上にマスク層8を形成する。このマスク層8には、所定位置に開口142が設けられている。この開口142は、平面視形状が正方形をなす貫通孔の中心に円柱状のマスク層8の一部が位置付けられ、全体としてリング状をなす貫通孔からなる。そして、かかるマスク層8を有する銅張り鋼板6に対し銅の電解めっきを施し、開口142内に銅めっき層を形成する。これにより、図21(a)に示すように、平面視形状が正方形で中央が円形に抜かれたリング状のマーク140が得られる。図21から明らかなように、マーク140の外形稜線144は正方形状をなし、下限領域84よりも外側に位置している。また、このマーク140においては、中央に円形の中央貫通孔150が存在しており、この中央貫通孔150の上端縁部には、内周曲面151及び内形稜線152が形成されている。
【0064】
ここで、本実施形態においては、サーチ範囲78の一辺の長さが5mmである光学系センサーを使用した。また、本実施形態における各部の具体的な寸法は以下の通りである。マーク140の幅L1は2.577m、頂面146の幅M1は2.475mm、中央貫通孔150の幅N1は0.300mm、内径稜線152の幅Q1は、0.408mm、外周曲面148の幅は、P1が0.057mm、P2が0.045mm、内周曲面151の幅は、P3が0.048mm、P4が0.060mmであった。
【0065】
なお、図21中、参照符号141は、マーク140の基端面を表し、参照符号143は、マーク140の基端面141の外周縁を表し、参照符号145は、マーク140の側面を表し、参照符号147は、この側面145の先端縁を表し、参照符号149は、外周曲面148の先端縁を表している。
【0066】
上記したように、第1〜第5の実施形態におけるマーク12,90,100,120,140は、外形稜線25,94,104,124,144が、いずれも、下限領域84よりも外側に位置する形状をなしている。これにより、マーク基準線82の長さが、サーチ基準線80の全長の30%以上となるような関係を満足するため、外形稜線の読み取り誤差を小さくし、マークの検出精度の向上が図れる。
【0067】
なお、本発明において、絶縁基板内に内蔵される部品としては、パッケージ部品に限定されるものではなく、チップ部品等他の各種電子部品を対象とすることができる。
また、マークを形成する材料は銅に限定されず、他の材料、例えば、ニッケル等を用いることもできる。ここで、第3〜第5実施形態のように、マークを中抜きにした場合、マーク用のめっき材料の量を低減できるので、高価な材料を用いてマークを形成する際に有効である。
【符号の説明】
【0068】
1 部品内蔵基板
2 支持板
3 第1面
4 第1の銅層
5 第2面
6 銅張り鋼板
8 マスク層
12 マーク
14 電子部品(基板内部品)
16 接着剤
18 接着層
20 端子
25 外形稜線
34 絶縁基板
40 中間製品
46 レーザービアホール(LVH)
47 導通ビア
50 配線パターン
80 サーチ基準線
82 マーク基準線
84 下限領域
S 搭載予定領域
T 端子存在部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21