(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6033892
(24)【登録日】2016年11月4日
(45)【発行日】2016年11月30日
(54)【発明の名称】圧縮機デバイス及びそのような圧縮機デバイスを制御する方法
(51)【国際特許分類】
G05D 23/00 20060101AFI20161121BHJP
F25B 9/00 20060101ALI20161121BHJP
G05D 23/275 20060101ALI20161121BHJP
G05D 23/19 20060101ALI20161121BHJP
【FI】
G05D23/00 B
F25B9/00 A
G05D23/275 B
G05D23/19 G
【請求項の数】23
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2014-559038(P2014-559038)
(86)(22)【出願日】2013年2月22日
(65)【公表番号】特表2015-511739(P2015-511739A)
(43)【公表日】2015年4月20日
(86)【国際出願番号】BE2013000009
(87)【国際公開番号】WO2013126971
(87)【国際公開日】20130906
【審査請求日】2015年7月9日
(31)【優先権主張番号】2012/0132
(32)【優先日】2012年2月29日
(33)【優先権主張国】BE
(73)【特許権者】
【識別番号】593074329
【氏名又は名称】アトラス コプコ エアーパワー,ナームローゼ フェンノートシャップ
【氏名又は名称原語表記】ATLAS COPCO AIRPOWER,naamloze vennootschap
(74)【代理人】
【識別番号】100092093
【弁理士】
【氏名又は名称】辻居 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100082005
【弁理士】
【氏名又は名称】熊倉 禎男
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100103609
【弁理士】
【氏名又は名称】井野 砂里
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(72)【発明者】
【氏名】マルテンス クリストフ エイドリアン ローラ
【審査官】
青山 純
(56)【参考文献】
【文献】
特開2002−276552(JP,A)
【文献】
特開平08−004679(JP,A)
【文献】
特開平06−213188(JP,A)
【文献】
国際公開第2011/090482(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05D 23/00 − 23/32
F25B 9/00
F04B 39/00 − 39/06
F04C 29/00 − 29/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの冷却剤入口(8)を有する圧縮チャンバと、気体出口(4)と、該気体出口(4)に接続された気体/冷却剤分離タンク(5)と、該分離タンク(5)と該冷却剤入口(8)の間を延びる冷却器(10)が装備された冷却回路と、を備えた液体注入式圧縮機要素(2)、及び、該液体注入式圧縮機要素(2)に供給される冷却剤流れの温度を調節する制御手段を具備する圧縮機デバイスであって、
前記制御手段は、各々が異なるターゲットパラメータを有する第1及び第2のサブコントローラ(25及び26)を含み、前記制御手段(25及び26)は、該2つのサブコントローラの一方(25又は26)を作動状態にかつ該2つのサブコントローラの他方(25又は26)を停止状態に置く切り換え手段(37及び38)も含み、
前記第1のサブコントローラ(25)は、第1の自動温度調節遮断弁を含み、
前記第2のサブコントローラ(26)は、第2の自動温度調節遮断弁を含み、
前記第1及び第2の自動温度調節遮断弁には、共通ハウジング(14)が装備され、
前記ハウジング(14)は、3つの接続チャネル(41、42、43)によって接続された入口チャネル(15)及び出口チャネル(16)を含み、そのうち第1の接続チャネル(41)及び第2の接続チャネル(43)は、閉鎖することができ、従って、該入口チャネル(15)に熱的に接続された第1のセンサ要素(33)を有する第1の自動温度調節遮断弁が、該入口チャネル(15)内の温度の基準値が超過した時に該第1の接続チャネル(41)を可逆的に遮断することができ、該出口チャネル(16)に熱的に接続された第2のセンサ要素(34)を有する第2の自動温度調節遮断弁が、該出口チャネル(16)内の温度の基準値が超過した時に該第2の接続チャネル(43)を可逆的に遮断することができ、従って、該第3の接続チャネル(42)によって形成されたリンクが、前記冷却器(10)を通じて延びる、ことを特徴とする圧縮機デバイス。
【請求項2】
前記第1のサブコントローラ(25)は、前記冷却器(10)の前記入口での冷却剤の温度又は実際的にそれに等しい温度のコントローラの形態で構成される請求項1に記載の圧縮機デバイス。
【請求項3】
前記第2のサブコントローラ(26)は、前記圧縮機要素(2)の前記冷却剤入口(8)での冷却剤の温度又は実際的にそれに等しい温度のコントローラの形態で構成される請求項1又は請求項2に記載の圧縮機デバイス。
【請求項4】
前記冷却器(10)にわたるバイパスを含み、
前記第1及び/又は第2のサブコントローラ(25及び/又は26)は、それが、前記冷却器(10)及び前記バイパスを通るそれぞれの冷却剤流量の比率を調節することにより、該冷却器(10)の前記入口での又は前記冷却剤入口(8)での前記冷却剤の温度又は実際的にそれに等しい温度を調節することができるように構成される、
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の圧縮機デバイス。
【請求項5】
前記第1及び/又は第2のサブコントローラ(25及び/又は26)は、それが、前記冷却器(10)の2次回路内の流れ又は温度を調節することにより、該冷却器(10)の前記入口での又は前記冷却剤入口(8)での前記冷却剤の温度又は実際的にそれに等しい温度を調節することができるように構成される請求項2から請求項4のいずれか1項に記載の圧縮機デバイス。
【請求項6】
前記第1及び第2の接続チャネル(41、43)は、前記ハウジング(14)において内部を延び、前記第3の接続チャネル(42)は、該ハウジング(14)に対して外部を延びる請求項1乃至5のいずれかに記載の圧縮機デバイス。
【請求項7】
前記自動温度調節遮断弁の各々が、通路(29又は30)を有するプランジャ(27又は28)を含み、このプランジャ(27又は28)は、少なくとも2つの位置、すなわち、該通路(29又は30)が前記入口チャネル(15)と前記出口チャネル(16)の間の接続を形成しない第1の位置と該通路(29又は30)が前記第1又は第2の接続チャネル(41又は43)の一部を形成する第2の位置との間で移動することができる請求項1乃至6のいずれかに記載の圧縮機デバイス。
【請求項8】
前記自動温度調節遮断弁の各々が、温度の上昇時に膨脹するセンサ要素(それぞれ33、34)を含み、このセンサ要素は、前記プランジャ(27又は28)と接触しており、該プランジャ(27又は28)は、上述の位置の間で移動することができ、各々が、該センサ要素(33又は34)によって及ぼされる力に対抗するバネ(31又は32)を含み、従って、前記切り換え手段は、プランジャ(27又は28)をその第1の位置にブロックすることができるブロック手段(38)及び他方のプランジャ(27又は28)の該センサ要素(33又は34)に対する端部停止部(39)を形成する手段から構成されることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の圧縮機デバイス。
【請求項9】
各自動温度調節遮断弁の前記センサ要素(33及び34)は、開口部を有するチャンバ(19又は20)に固定され、両方の自動温度調節遮断弁の該チャンバ(19及び20)の寸法が同じであり、前記切り換え手段は、前記プランジャ(27、28)のブロックされた位置に対応する長さを有して該センサ要素(33又は34)の自由な膨脹を可能にする凹部(40)が設けられた作動停止キャップ(38)と、作動キャップ(37)が該センサ要素(33又は34)の端部停止部(39)を形成するような長さを有する作動キャップ(37)とを含む請求項1乃至8のいずれかに記載の圧縮機デバイス。
【請求項10】
上述の切り換え手段は、測定計器にそれらからの測定信号を受信するために接続されたデータ処理ユニット(44)を含み、
前記サブコントローラ(25又は26)のうちの一方の自動作動に向けて制御信号に変換された上述の測定信号に基づいて結果を判断する選択アルゴリズムが、上述のデータ処理ユニットにプログラムされる、
ことを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の圧縮機デバイス。
【請求項11】
前記第1及び第2のサブコントローラ(25及び26)は、前記制御信号に応答することができる磁気制御式弁(46)を含む請求項10に記載の圧縮機デバイス。
【請求項12】
1つ又はそれよりも多くの冷却剤入口(8)を有する圧縮チャンバが設けられた液体注入式圧縮機要素(2)と、該圧縮機要素(2)の出口(4)に接続された気体/冷却剤分離タンク(5)と、該タンク(5)と該冷却剤入口(8)の間に冷却剤の流れを供給するためのものであり、冷却器(10)が装備された管(7)とが装備された圧縮機デバイス(1)を制御する方法であって、
前記圧縮機要素(2)の前記冷却剤入口(8)での前記冷却剤の温度を調節するために、互いに排他的であり、かつ一定であるが異なるターゲットパラメータに作用する2つ又はそれよりも多くのサブコントローラ(25及び26)のうちの1つが、予想された又は実際の作動条件に基づいて作動される選択段階、
を含み、
前記第1のサブコントローラ(25)は、第1の自動温度調節遮断弁を含み、
前記第2のサブコントローラ(26)は、第2の自動温度調節遮断弁を含み、
前記第1及び第2の自動温度調節遮断弁には、共通ハウジング(14)が装備され、
前記ハウジング(14)は、3つの接続チャネル(41、42、43)によって接続された入口チャネル(15)及び出口チャネル(16)を含み、そのうち第1の接続チャネル(41)及び第2の接続チャネル(43)は、閉鎖することができ、従って、該入口チャネル(15)に熱的に接続された第1のセンサ要素(33)を有する第1の自動温度調節遮断弁が、該入口チャネル(15)内の温度の基準値が超過した時に該第1の接続チャネル(41)を可逆的に遮断することができ、該出口チャネル(16)に熱的に接続された第2のセンサ要素(34)を有する第2の自動温度調節遮断弁が、該出口チャネル(16)内の温度の基準値が超過した時に該第2の接続チャネル(43)を可逆的に遮断することができ、従って、該第3の接続チャネル(42)によって形成されたリンクが、前記冷却器(10)を通じて延びる、ことを特徴とする方法。
【請求項13】
前記制御手段は、前記冷却器(10)の前記入口での前記冷却剤の温度又は実際的にそれに等しい温度を基準値に調節することができる第1のサブコントローラ(25)を含むことを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
上述の制御手段は、前記圧縮機要素(2)の前記冷却剤入口(8)での前記冷却剤の温度又は実際的にそれに等しい温度を基準値に調節することができる第2のサブコントローラ(26)を含むことを特徴とする請求項12又は請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記選択段階は、必要に応じて前記圧縮機要素(2)によって引き込まれた気体の湿度及び前記圧縮機デバイス(1)の作動圧力によって補足された前記温度に基づいて行われることを特徴とする請求項12乃至14のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
前記第1のサブコントローラ(25)の基準温度が、最大可能温度と必要に応じて吸気の湿度及び最大可能作動圧力とに基づいて決定されることを特徴とする請求項12乃至15のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
前記第1のサブコントローラ(25)の基準温度が、吸気の最大発生温度及び湿度及び/又は期間内の作動圧力に基づいてこれらのパラメータのうちの1つが前記圧縮機デバイス(1)の最大許容値よりも低い時にはいつでも決定され、従って、異常な作動を伴う各部分期間に対して、該第1のサブコントローラ(25)を正しい基準温度に設定することができることを特徴とする請求項12乃至16のいずれかに記載の方法。
【請求項18】
前記サブコントローラ(25、26)は、手動で作動されることを特徴とする請求項12乃至17のいずれかに記載の方法。
【請求項19】
前記サブコントローラ(25、26)は、作動キャップを用いて作動され、
他のサブコントローラには、作動停止キャップが設けられる、
ことを特徴とする請求項12乃至18のいずれかに記載の方法。
【請求項20】
判断表又は図が、いずれのサブコントローラ(25、26)を作動しなければならないか、かつその結果いずれを作動停止しなければならないかを決定するのに使用されることを特徴とする請求項12乃至19のいずれかに記載の方法。
【請求項21】
前記サブコントローラ(25、26)の自動選択及び作動が、制御ユニット(44)によって制御される電磁弁(46)を用いて行われることを特徴とする請求項12乃至20のいずれかに記載の方法。
【請求項22】
前記サブコントローラ(25、26)の自動選択を行う前記制御ユニット(44)は、必要に応じて吸気の湿度及び前記圧縮機デバイス(1)の作動圧力によって補足された測定温度に基づいてそれを行うことを特徴とする請求項12乃至21のいずれかに記載の方法。
【請求項23】
前記選択段階及び前記サブコントローラ(25、26)の前記作動は、自動的に行われることを特徴とする請求項16から請求項12乃至22のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧縮機デバイス及び圧縮機デバイスを制御する方法に関する。
【0002】
より具体的には、本発明は、液体冷却を有し、従って、冷却剤が圧縮チャンバに注入され、液体冷却が行われる圧縮機デバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
圧縮機デバイスは、気体又は空気のような気体の混合物の圧縮に使用される。圧縮空気は、例えば、空圧移送又は類似物における推進体として空圧ツールの駆動のためなどに圧縮機デバイスから下流に位置する消費ネットワークに使用することができる。
【0004】
多くの用途に関して、この気体が消費ネットワークに注入される時に冷却剤がまだ圧縮気体に存在することは望ましくない。従って、冷却剤をこの圧縮気体から除去するために、気体/冷却剤分離器が一般的に設けられる。この分離器は、一般的に、冷却剤が圧縮気体から遠心分離されるタンクの形態を取る。
【0005】
圧縮気体から分離された冷却剤は、一般的に、好ましくは冷却された後に圧縮機要素への注入に再び使用される。例えば、スクリュー圧縮機に関して、冷却剤は、圧縮機要素の回転子の注油及び/又は密封に使用される。
【0006】
圧縮機要素の冷却は、一般的に、分離タンクと圧縮機要素の間を延びる液体管を通常含む冷却回路に基づいて実現され、この液体管には、冷却器が設けられる。更に、このような冷却回路は、多くの場合に、冷却器にわたるバイパスと、冷却器及びバイパスを通るそれぞれの冷却剤流量間の比率を変えることができる制御手段、例えば、弁とを含む。この目的のために、冷却剤の実際の冷却レベルを変えることができ、従って、冷却剤温度は、望ましい値に調節される。
【0007】
圧縮機要素の冷却の制御は、これに代えて、2次冷却回路に作用することにより、例えば、ファンをより速く又はより遅く回転させることにより(2次冷却回路内の媒体はその時は空気である)、又は2次冷却回路内の媒体の流量又は温度を制御することによって行うことができる。
【0008】
冷却回路内の冷却剤の流れは、通常は、圧縮機要素内へのこの冷却剤の1つ又は複数の注入点とのその接続部での冷却剤管内の圧力により決定され、この注入点は、一般的に、圧縮機要素の圧縮工程において入口又は入口の直後に設けられる。しかし、冷却剤(例えば、オイルであるが、これに限定されない)を推進するポンプを設けることも可能であり、これは、圧縮機要素内の冷却剤注入開口部の幾何学的形状と共に冷却剤流量を決定する。
【0009】
圧縮機要素が、圧縮される気体として空気を圧縮するのに使用される場合に、この気体は、一般的に水蒸気を含む。圧縮機デバイス内のある一定の位置での温度及び圧力に基づいて、この水蒸気は、その位置で液体の水に凝縮する可能性がある。
【0010】
圧縮機デバイスの最適な使用の重要な前提条件は、タンク内の温度が常にタンクに存在する圧縮気体の露点よりも高いようなものでなければならず、従って、タンク内に形成された復水が冷却剤と混合するのを防止するということであり、その理由は、これが、冷却剤の冷却機能に悪影響を与え、かつ圧縮機デバイスの構成要素の損傷を引き起こす可能性があり、かつ潤滑性に有害でもあるからである。
【0011】
この前提条件は、冷却器にわたるバイパス及び/又は圧縮機要素に供給される冷却剤の流量を調節することにより、すなわち、主要冷却回路に作用することによって実際に実現される。2次冷却回路に作用することによる前提条件の実現は、高い経費(ファン速度の調節、2次冷却剤流量の調節)、及び一般的に圧縮機施設の信頼性(感温構成要素、多数の切り換えサイクル)及び特に冷却器の信頼性(2次冷却回路内の流量の低減は、延いては冷却器を傷つけるか又は損傷する可能性がある冷却回路内の高すぎる温度を引き起こす可能性がある)に及ぼす悪影響を考慮して実際には適用が少ない。
【0012】
従って、実際には、気体/冷却剤タンク内の温度は、固定の温度に設定され、これは、恐らくはある一定のマージンを持たせて、最大可能凝縮温度よりも高く、これは、次に、圧縮される気体の最大許容温度、圧縮される気体の湿度、及び気体/冷却剤タンク内の最大許容作動圧力の関数である。
【0013】
しかし、この最大可能凝縮温度は、以前の3つのパラメータが同時に最大許容値を有する場合に限り発生し、これは、平均的な施設の作動期間中に間欠的に発生するに過ぎない。これは、圧縮機施設の作動期間の大半に関して、気体/冷却剤タンクの温度は、発生する作動条件において凝縮を防止するために高すぎる値に設定されることを意味する。
【0014】
従って、作動条件は、圧縮機要素を出る圧縮気体の温度と、気体/冷却剤分離タンク内の実際的には同じ温度とをより低く保つことによって最適化することができる。実際に、オイルが冷却剤として使用される場合に、例えば、熱的劣化を通じて、このオイルは潤滑性を失い、これらの同じより高い温度によってオイルの寿命の一般的な短縮が発生し、従って、劣化の程度が大きく、従って圧縮機デバイスを傷つけるオイルでの作動を防止するために、オイルは、より短期間に交換しなければならなくなる。
【0015】
更に、各圧縮機施設に関して、圧縮機施設の効率が最適であるような圧縮機要素内の冷却剤の既知の注入温度が存在する。
【0016】
この既知の注入温度よりも高い及び低い注入温度は、共に圧縮機施設のエネルギ消費量増大を引き起こす。
【0017】
圧縮機要素において加熱により増大した後では冷却剤流量及び圧縮機要素の電力の関数であり、この後者が、次に、供給される圧縮気体流量、圧縮される気体流の圧力、及び圧縮工程の効率の関数であるこの既知の注入温度は、気体/冷却剤分離タンク内のある一定の温度に対応し、これは、一般的に、最大可能凝縮温度を考慮する場合に設定しなければならない温度よりも幾分低い。
【0018】
従って、出て行く気体の温度は、凝縮温度よりも高くなければならないが、長い冷却剤寿命及び低いエネルギ消費量に関する論理的目標を考慮して高すぎもしないことが好ましい。
【0019】
圧縮機要素によって供給される気体の温度を制御するいくつかの方法が既に公知である。一方、パラメータを測定し、それらに基づいて圧縮機要素に供給される冷却剤の温度及び/又は流量、又は冷却器の2次回路内の媒体の温度及び/又は流量を制御式弁を通じて又はポンプ又はファン速度のコントローラによって制御しようとする電子機器ベースの制御システムが存在する。このようなシステムは、例えば、WO 94/21921、BE 1.016.814、及びEP 1.156.213に説明されている。
【0020】
このようなシステムは、多くの弁、電子コントローラ、及び測定センサを含むので比較的高価である可能性がある。このような公知のシステムはまた、感温電子構成要素を含む。これらの公知のシステムはまた、一般的に多数の切り換えサイクルを必要とし、それによって複雑性及び従って経費が増大し、信頼性が減少する。
【0021】
冷却器を通る及びバイパスを通る冷却剤流量間の比率を制御するための自動温度調節要素を備えた冷却システムも市販されている。これらの冷却システムは、実際に廉価かつ堅牢であるが、それらが制御される温度が固定であるという制約を有する。
【0022】
自動温度調節要素を有する冷却システムでは、従来、以下に説明するように2つのターゲットパラメータの一方だけが基準値に設定される。
【0023】
一方、最大凝縮温度(すなわち、凝縮がまだタンクに発生する可能性がある最高温度)は、「最悪の場合」の計算を通じて圧縮機デバイスの設計値に基づいて決定される。この最大凝縮温度は、最大設計作動圧力が吸気の最大設計温度及び湿度で供給される時に到達する。
【0024】
自動温度調節制御は、次に、圧縮機要素出口の温度又は分離タンク内の又は冷却器入口での冷却剤の実際的に同じ温度をターゲットパラメータとして用いて作動され、かつこの温度が最大凝縮温度よりも高い場合により多くの冷却剤が冷却器を通って流れ、一方、他の状況では、より多くの冷却剤が望ましい温度に到達するまでバイパスを通って流れることを保証する。
【0025】
冷却剤の温度が、基準値、すなわち、計算された最大凝縮温度にほぼ等しい時に、制御平衡に到達し、冷却剤は、部分的にバイパスを通りかつ部分的に冷却器を通り、又は完全に冷却器を通り又は完全にバイパスを通って流れることになる。
【0026】
最大凝縮温度を決定する時に、取りわけ、制御システムにおけるあらゆる遅延を補償するために、安全マージンを考慮に入れることができることは言うまでもない。
【0027】
この方法の利点は、原則的に凝縮が常に防止されるということであるが、上述の様々な短所と共に、作動条件の殆どにおいて、すなわち、吸気の最大許容湿度及び/又は温度よりも低い及び/又は圧縮機要素の最大許容作動圧力よりも低いものに関して、圧縮機要素の出口温度が必要以上に遥かに高い値に設定されるという短所がある。
【0028】
他方、上述の方法で決定された最大凝縮温度は、圧縮機要素入口での冷却剤の基準温度に変換して戻すことができ、その理由は、可変速度を有する圧縮機に対して最大作動圧力及び最大速度で圧縮機要素が冷却剤に放出する熱は既知であるからである。
【0029】
入口での冷却剤の温度がこの基準温度よりも高い限り、原則的に、圧縮機デバイスはまた、凝縮から保護される。
【0030】
これは、バイパスを通る及び冷却器を通る冷却剤流量の比率を圧縮機要素の入口での温度に実際的に等しいこれらの2つの流れの混合温度に基づいて調節する可能性を開く。
【0031】
これは、自動温度調節制御が、冷却器及びバイパスからの冷却剤の混合温度を基準温度として取り、かつこの温度が基準温度よりも高い場合により多くの冷却剤が冷却器を通って流れ、一方、他の状況では、より多くの冷却剤が望ましい温度に再度到達するまでバイパスを通って流れることを保証するように行われる。
【0032】
冷却剤の温度が基準値にほぼ等しい時に、制御平衡に到達し、冷却剤は、部分的にバイパスを通りかつ部分的に冷却器を通り、又は完全に冷却器を通り又は完全にバイパスを通って流れることになる。
【0033】
基準温度を冷却剤の入口温度に対して決定する時に、安全マージンをここでもまた考慮することができることは言うまでもない。
【0034】
圧縮機デバイスは、速度制御式圧縮機に対して最大許容圧力又は速度よりも低く作動することが多いので、そのような場合に、圧縮機要素内の最終温度は、最大圧力及び速度時よりも低くなることになり、従って、圧縮機要素内で平均的により低い温度に到達し、これは、上述の利点を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0035】
【特許文献1】WO 94/21921
【特許文献2】BE 1.016.814
【特許文献3】EP 1.156.213
【特許文献4】BE 1.018.075
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0036】
しかし、ここでの短所は、凝縮が確実には防止されないということである。実際に、凝縮が発生する可能性がある作動条件は、発生する可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0037】
本発明の目的は、少なくとも1つの冷却剤入口を有する圧縮チャンバが装備され、かつ気体出口と、気体出口に接続された気体/冷却剤分離タンクと、分離タンクと冷却剤入口の間を延びる冷却器が装備され、かつ圧縮機要素に供給された冷却剤流れの温度を調節する制御手段を備えた冷却回路とを更に含む液体注入式圧縮機要素を含み、従って、上述の制御手段が、各々が異なるターゲットパラメータを有する第1及び第2のサブコントローラを含み、従って、上述の制御手段が、2つのサブコントローラの一方を作動状態にかつ2つのサブコントローラの他方を停止状態に置く切り換え手段を含む圧縮機デバイスを与えることにより、上述の及び/又は他の短所のうちの1つ又はそれよりも多くの解決法を提供することである。
【0038】
このような圧縮機デバイスの利点は、より多くの制御柔軟性を有し、かつよりエネルギ効率が高い方法で作動させることができることである。
【0039】
別の利点は、冷却剤を高温に露出することが少ないために、より長く潤滑性を保つということである。
【0040】
別の利点は、それを冷却剤中の復水の存在の防止と組み合わせることができることである。
【0041】
圧縮機デバイスは、冷却剤入口に接続されて冷却器を含む冷却回路を含むことが好ましい。
【0042】
上述の第1のサブコントローラは、冷却器の入口での冷却剤の温度又は実際的にそれに等しい温度に対するコントローラの形態で構成されることが好ましい。
【0043】
上述の第2のサブコントローラは、圧縮機要素の冷却剤入口での冷却剤の温度又は実際的にそれに等しい温度に対するコントローラの形態で構成されることが好ましい。
【0044】
これは、直接かつ簡単な制御を可能にするという利点を有する。
【0045】
実際的な実施形態により、第1及び第2のサブコントローラの各々は、自動温度調節遮断弁を含み、従って、これらのそれぞれの自動温度調節遮断弁は、共通ハウジングを含むことが好ましい。
【0046】
自動温度調節遮断弁の上述のハウジングは、好ましくは、3つの接続チャネルにより互いに接続された入口チャネルと出口チャネルを含み、その第1及び第2の接続チャネルは、遮断することができ、従って、入口チャネルに熱的に接続された第1のセンサ要素を有する第1の自動温度調節遮断弁は、入口チャネル内の温度の基準値が超過した時に第1の接続チャネルを可逆的に遮断することができ、従って、出口チャネルに熱的に接続された第2のセンサ要素を有する第2の自動温度調節遮断弁は、出口チャネル内の温度の基準値が超過した時に第2の接続チャネルを可逆的に遮断することができ、従って、第3の接続チャネルによって形成されたリンクが、冷却器を通じて延びている。
【0047】
入口チャネル及び出口チャネルの幾何学的形状は、冷却剤が、2つの自動温度調節遮断弁のセンサ要素の上をこれらの自動温度調節遮断弁の位置とは無関係に完全に又は部分的に常に流れるようなものである。
【0048】
これは、圧縮機デバイスを廉価、簡単、コンパクト、堅牢、かつ信頼性の高い構成のものとすることができるという利点を有する。
【0049】
更に別の好ましい実施形態において、各遮断弁のセンサ要素は、開口部を有するチャンバに固定され、従って、両方の遮断弁のチャンバの寸法は、同じであり、従って、切換手段は、プランジャの位置に対応する長さを有する作動停止キャップを含み、従って、接続チャネルは、閉鎖され、かつ温度に従ってセンサ要素の自由な膨脹を可能にする凹部が設けられ、かつ作動キャップを含み、これは、この作動キャップが他のセンサ要素のための固定端部停止部を形成するようなものである長さを有し、従って、このセンサ要素は、温度に従って接続チャネルを完全に又は部分的に閉鎖することができる。
【0050】
これは、文字入れ、記号、又は色でマーク付けすることができる2つのキャップの簡単な交換に起因して、第1又は第2のサブコントローラは、迅速かつ簡単に作動させることができ、同じくこの目的に対して圧縮機デバイス自体に修正を加えることなく特別の訓練を受けていない職員により作動させることができ、更に、これは、圧縮機施設を一時的に運転休止にする必要がないという利点を有する。
【0051】
2つのサブコントローラのいずれを作動させなければならないかを決定するために、吸気の温度及びその時間に発生する作動圧力に従って又は吸気の予想最高温度及び次の切り換えまでの作動圧力に従って最適選択肢を示す判断表又は図を利用することができる。判断表又は図はまた、第3の判断パラメータとして吸気の湿度を用いて補足することができる。この判断表又は図は、すなわち、気体/液体分離器内の温度を凝縮点よりも上に保つサーモスタットをいつオンにしなければならないか、又は圧縮機要素の冷却剤入口の温度を制御するサーモスタットを恐らくは吸気の湿度により補足された吸気の温度及び作動圧力の関数としていつオンに切り換えることができるかを示している。
【0052】
これは、最小数の簡単な手動切り換えにより、圧縮機を真に必要な時にのみ気体/冷却剤分離タンク内の復水の発生から保護することができ、他の場合では、冷却剤の寿命を短縮すること又は圧縮機施設のエネルギ消費量を増大することなく作動させることができるという利点を有する。
【0053】
本発明はまた、圧縮機要素に冷却機能を供給するための1つ又はそれよりも多くの冷却剤入口を有する圧縮チャンバを備えた液体注入式圧縮機要素と、圧縮機要素の出口に接続された気体/冷却剤分離タンクと、タンクと冷却剤入口の間に冷却剤の流れを供給するための冷却器を備えた管とを含む圧縮機デバイスを制御する方法に関し、従って、本方法は、圧縮機要素の冷却剤入口での冷却剤の温度を調節するために、互いに排他的であり、かつ固定であるが異なるターゲットパラメータに作用する2つ又はそれよりも多くのサブコントローラのうちの1つが、予想された又は実際の作動条件に基づいて作動される選択段階を含む。
【0054】
これは、圧縮機デバイスを予想された作動状況に向けて準備することができるという利点を有する。
【0055】
本発明の特性をより良く示す意図で、本発明による圧縮機デバイスのいくつかの好ましい実施形態、並びに圧縮機デバイスを制御する方法を一例としていかなる制限的性質もなく添付図面を参照して以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【
図1】本発明による圧縮機デバイスを概略的に示す図である。
【
図2】より大きい尺度で
図1のF2によって示す部分を示す図である。
【
図3】
図2の場合と同様であるが、圧縮機デバイスの使用中に発生する可能性がある異なる状況で示す図である。
【
図4】
図2の場合と同様であるが、圧縮機デバイスの使用中に発生する可能性がある異なる状況で示す図である。
【
図5】
図2の場合と同様であるが、圧縮機デバイスの使用中に発生する可能性がある異なる状況で示す図である。
【
図6】本発明による圧縮機デバイスの変形の
図2による図である。
【
図7】圧縮機デバイスと共に使用される決定図の例を示す図である。
【
図8】圧縮機デバイスと共に使用される決定図の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0057】
図1に示す圧縮機デバイス1は、
気体入口3と、下流に位置するユーザネットワークに向けて圧縮気体タップオフ点6が設けられ
た気体/冷却剤分離タンク5に接続された気体出口4と
、を有する圧縮機要素2を含む。
【0058】
圧縮機デバイスには、上述の分離タンク5とオイル注入器として構成された圧縮機要素2のうちの1つ又はそれよりも多くの冷却剤入口8との間に液体管7が更に設けられる。
【0059】
この例では、液体管7は、冷却器10に2本の管により(すなわち、冷却管11及び冷却戻り管12を通じて)接続されたサーモスタットブロック9によって中断される。冷却管11、冷却戻り管12、冷却剤が流れる冷却器10の部分、及びサーモスタットブロック9によって形成された組を1次冷却回路と呼ぶ。この例では、冷却器10には、冷却をもたらすファン13が装備される。ファン、冷却器に供給される冷却のための空気、及びこの冷却のための空気が流れる冷却器の部分は、2次冷却回路を形成する。
【0060】
液体管7、冷却器10、及び冷却管及び冷却戻り管11及び12は、冷却剤で満たされ、タンク5は、冷却剤で部分的に満たされる。この冷却剤は、圧縮機要素2の潤滑剤として作用することができる。
【0061】
サーモスタットブロック9は、
図2でより詳細に説明するように、各々が液体管7に接続された入口チャネル15及び出口チャネル16が中にあるハウジング14を含む。更に、サーモスタットブロック9は、冷却管11に接続された冷却出口17と、冷却戻り管12に接続された冷却入口18とを含む。
【0062】
ハウジング14は、少なくとも2つのチャンバ19及び20、並びにチャネル部分21、22、23、及び24を含むように形成される。チャンバ19及びチャネル部分21及び22は、第1の自動温度調節遮断弁25の一部を形成する。チャンバ20及びチャネル部分23及び24は、第2の自動温度調節遮断弁26の一部を形成する。自動温度調節遮断弁25及び26は、共通ハウジング14を有することが好ましい。
【0063】
自動温度調節遮断弁25及び26は、更に、それぞれ通路29、30を有するそれぞれのプランジャ27、28を含み、これらのプランジャ27及び28は、それぞれ上述のチャンバ19、20において軸線方向に移動することができ、かつ2つの端部位置、それぞれのプランジャ27及び28に押圧するそれぞれのバネ31、32、及びそれぞれプランジャ27、28のそれぞれの空洞35、36に嵌合するそれぞれのセンサ要素33、34を有する。センサ要素33及び34は、温度上昇で膨張するワックス又は別の物質から本質的に成る。
【0064】
チャンバ19及び20は、各々が、それぞれ、キャップ37、38により閉鎖される。キャップの一方は、キャップが第1のセンサ要素33の端部停止部39を形成するように長さLを有する作動キャップ37である。他方のキャップは、作動停止キャップ38であり、Lよりも大きく、かつプランジャ28が発生する温度にかかわらずバネ32が圧縮された状態である端部位置、従って、プランジャ28内のセンサ要素の位置のままであるようなものである長さL’を有する。プランジャの位置に影響を与えることなく、センサ要素の自由な膨張を可能にするために、この作動停止キャップ38には、膨張空洞40が設けられる。
【0065】
圧縮機デバイス1の作動は、簡単であり、かつ以下の通りである。
【0066】
圧縮機要素2が作動中である時に、気体又は空気のような気体の混合物が、気体入口3を通じて引き込まれ、気体出口4を通じてより高い圧力下で吹き出される。圧縮気体中には、冷却及び潤滑化するための冷却剤が冷却剤入口8を通じて圧縮機要素2に注入されるので、有意な量の冷却剤、例えば、オイルが存在する。
【0067】
気体/冷却剤混合物が、圧力下で気体/冷却剤分離タンク5に入り、気体及び冷却剤が、互いから分離される。
【0068】
圧縮気体は、この分離タンク5から圧縮気体タップオフ点6を通じてユーザが取ることができる。分離された冷却剤は、タンク5の底部に行き、タンク5と冷却剤入口8間の圧力差の影響を受けて液体管7及びサーモスタットブロック9を通じて冷却剤入口8に流れ、冷却剤入口8から、冷却剤は、圧縮機要素2に注入される。
【0069】
それによって冷却剤は、サーモスタットブロック9を通る接続チャネル41を通じてのみ
すなわち従って直接に冷却剤入口8に、又は冷却器10を通ってのみ
すなわち従って間接的に、又は両方を通じて部分的に
、作動条件による変動する最少の抵抗の経路を辿る。
【0070】
その結果、冷却剤の流れ方向を矢印の手段により
図1に示す閉じた冷却回路が生じる。
【0071】
圧縮される気体の温度及び湿度及び作動圧力が特に重要である予想される凝縮温度を計算することにより、冷却剤の温度を制御しなければならない時のためのターゲットパラメータ及びそれによって冷却剤の温度が制御される方法を選択する。通常は、予め準備された判断表又は図においてどのターゲットパラメータを選択しなければならないかを読み取ることによってこの判断が与えられる。
【0072】
このような図の例を
図7及び8に示している。
【0073】
これらの図では、圧縮機デバイスの最低設計限界値から最高設計限界値までの流入空気の温度が、横軸に対してプロットされてXによりマーク付けされている。
図7では、0から100%までの流入空気の相対湿度、
図8では、最低設計圧力から最高設計圧力までの圧縮機デバイスの作動圧力が縦軸に対してプロットされ、Yによりマーク付けされている。
【0074】
線52、53、54、55、56は、領域57及び58の境界を形成し、領域57は、作動されるターゲットパラメータが入口8での冷却剤の温度であることを示し、領域58は、作動されるターゲットパラメータが冷却器10に入る冷却剤の温度であることを示している。
【0075】
線52、53、54、及び55は、圧縮機デバイスの異なる作動圧力の分割線を示し、作動圧力は、順序52、53、54、55で降下する。
【0076】
この選択は、時々行い、例えば、年2回、夏の設定と冬の設定の間で区別するために行い、又は非常に頻繁に行うことができ、従って、現在の測定されたパラメータにより、数回/分、又はそれらの間の全ての頻度で選択が決定され、従って、特定の実施形態に基づいて、選択を変える難しさは、変更の利益に照らして重み付けされなければならない。
【0077】
例えば、高い気体入口温度及び湿度を考慮に入れなければならず、従って、高い凝縮温度が予想される夏の期間に準備するために、及び/又は高い作動圧力が設定されることになる期間に準備するために、選択肢が、ターゲットパラメータとして冷却器入口温度に関する場合に、この選択は、第1の自動温度調節遮断弁25のチャンバ19を作動キャップ37で閉鎖することによってこの第1の自動温度調節遮断弁25を作動させることによって実施される。作動停止キャップ38は、第2の自動温度調節遮断弁26のチャンバ20を閉鎖することによってこの第2の自動温度調節遮断弁26を作動停止するのに使用される。
【0078】
作動された自動温度調節遮断弁25のサーモスタットの臨界温度、すなわち、ワックス要素が最大膨張に到達した温度は、上述の高い凝縮温度に基づいて決定され、この凝縮温度は、次に吸気の最大可能温度及び湿度、及び最大可能作動圧力の関数であり、例えば、95℃である。しかし、圧縮機が、圧縮機の最大許容温度及び/又は吸気の湿度に決して到達せず、及び/又は作動圧力が常に最大許容作動圧力未満である用途に使用される場合に、この特定の用途の最大可能凝縮温度を計算することができ、第1の自動温度調節遮断弁25の臨界温度がこれに調節される。ある一定の期間中に、圧縮機が、吸気の非常に異なる最大発生温度及び湿度、及び/又は作動圧力内で作動する場合、及びこれらのパラメータの1つが圧縮機の最大許容値よりも小さい時はいつでも、この調節は、定期的に行うことができる。このようにして、異なる臨界温度(例えば、80℃、85℃、90℃、95℃)を有するいくつかの自動温度調節遮断弁25を利用可能にすることができ、適切な臨界温度を有する自動温度調節遮断弁25を定期的に設けることができる。
【0079】
チャンバ20内の作動停止キャップ38の配置により、ランジャ28は、閉鎖後の端部位置に押し進められ、従って、通路30は、チャネル部分23及び24間にリンクを形成しない。それによってバネ32が緊張する。高温の結果としての自動温度調節センサ要素の膨張時に、この第2のセンサ要素34は、プランジャ28の位置に影響を与えることなく自由に膨脹することができるように利用可能な膨張空洞40を有する。
【0080】
圧縮機デバイス1を使用する時に、オイルのような冷却剤は、加熱されることになる。これが第1の自動温度調節遮断弁25の臨界温度、例えば、95℃に到達する前は、第1のセンサ要素33は、膨張状態ではないか又は僅かに膨張状態であるにすぎず、従って、プランジャ27は、開放端位置にあり、この位置では、通路29は、チャネル部分21及び22を互いに接続され、かつこれらのチャネル部分21及び22と共に接続チャネル41を形成する。
【0081】
冷却剤は、冷却器10及び接続チャネル41の両方において流れ抵抗を受けるので、この冷却剤は、部分的に冷却器10を通じて及び部分的に接続チャネル41を通じて入口チャネル15から出口チャネル16へ、更に、そこから液体管7を通じて冷却剤入口8に流れることになり、明瞭さを期すために、言及される点として、冷却剤は、プランジャ26周りの出口チャネル16を流れることができる。十分に設計されたシステムでは、冷却管及び冷却戻り管11及び12及び冷却器10を通る流れ抵抗は、接続チャネル41を通るよりも高く、従って、冷却剤は、主として接続チャネル41を通って流れることにここで注意しなければならない。この最終ルートは、
図2に矢印Aに示されている。
【0082】
臨界温度を超えた時に、第1のセンサ要素33は、力が反対側で掛けられる表面としての端部停止部39でプランジャ27を閉状態の端部位置に押し進めるように、すなわち、プランジャ27がチャネル部分21及び22間の遮断部を形成するように膨張状態である。それによって接続チャネル41が閉鎖される。
【0083】
この結果として、冷却剤は、
図3で矢印Bによって示すように、冷却管11、冷却器10、及び冷却戻り管12を通じて入口チャネル15から出口チャネル16まで、更に、そこから液体管7を通じて冷却剤入口8まで完全に流れることになる。入口チャネル15内の冷却剤は、プランジャ25周りを流れることができる。
【0084】
冷却管11、冷却器10、及び冷却戻り管12を通じた入口チャネル15と出口チャネル16の間のリンクは、外部接続チャネル42と考えることができる。
【0085】
冷却剤は、冷却器10に沿って流れたので、それは冷却されている。実際には、平衡が確立され、そこではプランジャ27はその2つの端部位置間に存在し、通路29は、チャネル部分21及び22を互いにリンクするが、同じく様々な制限を形成し、従って、冷却剤は、部分的に接続チャネル41を通じてかつ部分的に外部接続チャネル42を通じて入口チャネル15から出口チャネル16に流れ、従って、配分が、プランジャ27の位置により決定され、従って、実際的にタンク5の温度に等しい冷却器10の入口でのオイル温度は、臨界温度に設定されることになる。
【0086】
実際の又は予想された作動条件が、低い作動圧力、低い入口温度、又は低い湿度に起因して予想された凝縮温度が制限されるようなものである場合に、温度調節の選択されるターゲットパラメータは、冷却剤入口8でのオイル温度、又は冷却器10及び内部接続チャネル41、43の一方を通るオイル流れの実際的に同一の混合温度とすることができる。
【0087】
この選択は、第1の自動温度調節遮断弁25のチャンバ19を作動停止キャップ38で閉鎖することによってこの第1の自動温度調節遮断弁25を作動停止することによって実施される。作動キャップ37は、
図4に示すように、第2の自動温度調節遮断弁26のチャンバ20を遮断することによって第2の自動温度調節遮断弁26を作動させるのに使用される。
【0088】
この第2の自動温度調節遮断弁の臨界温度、すなわち、ワックス要素が最大膨張に到達する温度は、圧縮機施設がエネルギ効率が最も高く作動するように選択され、例えば、50℃である。
【0089】
チャンバ19内の作動停止キャップ38の配置は、この作動停止キャップ38がチャンバ20に設けられた時に第2の自動温度調節遮断弁26及び構成要素に対して上述したように、第1の自動温度調節遮断弁25に対して類似の結果を有する。
【0090】
圧縮機デバイス1を使用する時に、冷却剤は、加熱されることになる。入口チャネル内の冷却剤は、流れる時に第1の自動温度調節遮断弁25を通過することになり、接続チャネル41は、この自動温度調節遮断弁25が作動停止された後なので閉鎖位置にある。
【0091】
出口チャネルにおいて第2の自動温度調節遮断弁26の臨界混合温度、例えば、50℃に到達する前に、第2のセンサ要素34は、膨張状態ではないか又は僅かに膨張状態であるにすぎず、従って、プランジャ28は、開放位置にあり、通路30がチャネル部分23及び24を互いにリンクし、これらのチャネル部分23及び24と共に接続チャネル43を形成する。
【0092】
冷却剤は、冷却器10において、従って、外部接続チャネル42及び接続チャネル43の両方において流れ抵抗を受けるので、この冷却剤は、部分的に冷却器10を通じて及び部分的に接続チャネル43を通じて入口チャネル15から出口チャネル16へ、及びそこから液体管7を通じて冷却剤入口8まで流れることになる。十分に設計されたシステムでは、冷却管及び冷却戻り管11及び12及び冷却器10を通る流れ抵抗は、接続チャネル43を通るよりも高く、従って、冷却剤は、主として接続チャネル43を通じて流れることに注意しなければならない。この最終ルートは、
図4に矢印Cに示されている。接続チャネル43の出口を含むチャネル部分24は、第2のセンサ要素34から上流にある。冷却戻り管12は、第2のセンサ要素34から上流にある。
【0093】
臨界温度を超えた時に、第2のセンサ要素34は、力が反対側で掛けられる表面としての端部停止部39で閉状態の端部位置にプランジャ28を押し進めるように、すなわち、プランジャ28がチャネル部分23及び24間の遮断部を形成するように膨張状態である。従って、接続チャネル43は閉鎖される。
【0094】
この結果として、冷却剤は、上述の外部接続チャネル42を通って入口チャネル15から出口チャネル16に流れる。出口チャネル16から、冷却剤は、液体管7を通じて冷却剤入口8に流れる。このルートは、
図5に矢印Dに示されている。
【0095】
冷却剤は、冷却器10に沿って流れたので、それは冷却されている。実際には、平衡が生じ、そこではプランジャ28は、その2つの端部の間に存在し、通路30は、チャネル部分23及び24を互いにリンクするが、同じく冷却剤が部分的に接続チャネル43を通じてかつ部分的に外部接続チャネル42を通じて入口チャネル15から出口チャネル16に流れるように様々な制限を形成し、従って、配分は、プランジャ28の位置により決定され、従って、部分的に冷却器10を通じて及び部分的に接続チャネル43を通じて流れた冷却剤混合物の温度は、臨界温度に設定されることになる。
【0096】
この実施形態において、接続チャネル41及び43は、冷却器10のバイパスのための2つの選択肢を形成する。
【0097】
任意的に、1つ又はそれよりも多くのオイルフィルタをサーモスタットブロック9に一体化することができる。
【0098】
誤差は、2つの異なるキャップ37及び38を使用することによって回避される。
【0099】
図示の例では、制御手段は、キャップ37及び38を設けることによって選択される。この選択は、
図6に示すように、自動的に行うことができる。
【0100】
2本の制御ライン45を通じて2つの電磁弁46に、すなわち、各自動温度調節遮断弁25及び26上に1つの電磁弁に接続されたデータ処理ユニット44がここでは設けられる。キャップ37及び38の代わりに、それぞれ、チャンバ19又は20の縦方向に移動することができる作動要素47が設けられる。弁46の各々は、圧縮空気管48が当該のチャンバ19又は20に接続された第1の位置と、このチャンバ19又は20が大気に接続された位置との間で切り換えることができる。
【0101】
データ処理ユニットには、圧縮機デバイス1の作動圧力、すなわち、気体/冷却剤分離タンク5内の圧縮気体の圧力、圧縮機要素2により引き込まれる気体の温度、及びこれに加えて但し必然的ではなくこの吸気の湿度をそれぞれ決定する測定計器への接続部49、50、及びこれに加えて但し必然的ではなく51が装備される。
【0102】
これの作動は、簡単であり、かつ以下の通りである。データ処理ユニット44は、作動される自動温度調節遮断弁25又は26に関して判断が為される判断アルゴリズムを通じて、それが受信した測定データを処理する。
【0103】
これに基づいて、弁46の一方は、圧縮空気が付随の作動要素47をプランジャ27又は28に押し当てることによって付随の遮断弁25及び26を作動停止する位置に置かれる。他方の弁46は、チャンバ19又は20が大気との開放接続を有し、それによって作動要素47が、このチャンバ19又は20内で自由に移動することができ、かつ付随する自動温度調節遮断弁25又は26が作動されるような位置に置かれる。
【0104】
オイル注入点も、負荷が変わった場合に一時的にバイパスを開放するために、BE 1.018.075から公知のようにサーモスタットブロック9に、及び/又はBE 1.016.814から公知のように施設に一体化することができる。後者の場合では、入口チャネル15と出口チャネル16間のサーモスタットブロック9に、補助接続チャネルをそれによって一体化することができる。
【0105】
本発明は、一例として説明して図面に示した実施形態に決して限定されず、本発明による圧縮機デバイスは、本発明の範囲から逸脱することなく全ての種類の変形に実現することができる。
【符号の説明】
【0106】
2 圧縮機要素
5 気体/冷却剤分離タンク
6 圧縮気体タップオフ点
9 サーモスタットブロック
26 自動温度調節遮断弁