(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記灯体は、前記ステップ本体の長手方向の端面に締結固定されるブラケットに取り付けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の車両用ステップ。
【背景技術】
【0002】
車両のドアの開操作時に、乗員の乗降を容易にするためにステップが車体外側に展開する車両が知られている。
この種の車両に採用される車両用ステップは、車両の外部が暗い状況であっても乗員がステップ本体の位置を正確に把握できることが望まれる。
このため、乗員の乗降時にステップ本体を光らせる灯光ユニットを備えた車両用ステップが案出されている(例えば、特許文献1,2参照)。
【0003】
特許文献1に記載の車両用ステップは、ステップ本体の上面を照射するための灯光ユニットが車体の側部に取り付けられている。
また、特許文献2に記載の車両用ステップは、ステップ本体の上面から上方に光を照射する灯光ユニットがステップ本体に直接取り付けられている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の車両用ステップは、ステップ本体の上面を照射する灯光ユニットがステップ本体から離間した車体の側部に取り付けられているため、乗降時にステップ本体を明るく光らせるのに限界があるうえ、意匠性にも乏しくなり易い。
【0006】
これに対し、特許文献2に記載の車両用ステップは、ステップ本体自体を灯光ユニットで容易に明るく光らせることができ、意匠面においても有利となるが、乗降時に足を載せ置くステップ本体に灯光ユニットを配置するため、灯光ユニットを保護しつつ充分な剛性と強度を維持しなければならないためにステップ本体が大型・重量化し易い。
【0007】
そこでこの発明は、ステップ本体の大型・重量化を回避しつつ、灯光ユニットを外力から保護した状態でステップ本体に取り付けることができる車両用ステップを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明に係る車両用ステップは、上記課題を解決するために、車体のドア開口の下縁に略沿って配置される長尺なステップ本体(例えば、実施形態のステップ本体11)を備え、
前記ステップ本体は、上面が乗降時の足場として使用される天板(例えば、実施形態の天板14)と、該天板の下方に配置される底板(例えば、実施形態の底板15)と、長手方向に沿って延出して前記天板と前記底板を連結する支持梁(例えば、実施形態の支持梁17a)と、を有し、前記ステップ本体に、当該ステップ本体の上方に向かって光を照射する灯光ユニット(例えば、実施形態の灯光ユニット18)が取り付けられる車両用ステップにおいて、
前記灯光ユニットは、灯体(例えば、実施形態の灯体19)と、該灯体から照射された光を受ける導光体(例えば、実施形態の導光体20)と、を有し、前記ステップ本体の長手方向の端部かつ前記支持梁の長手方向延長上には収容空間(例えば、実施形態の収容空間25)が設けられ、前記収容空間に前記灯光ユニットの灯体が配置されるようにした。
【0009】
上記の構成により、
天板及び底板と、これらを長手方向に沿って連結する支持梁とにより、ステップ本体の剛性と強度が高く維持される。灯光ユニットの灯体は、ステップ本体の長手方向の端部
かつ支持梁の長手方向延長上の収容空間に配置されているため、乗降者が足を踏み載せるステップ本体の中央領域から荷重を受けにくくなる。また、灯体を収容する収容空間は、ステップ本体の長手方向の端部
かつ支持梁の長手方向延長上に設けられたものであるため、乗降者が足を踏み載せるステップ本体の中央領域の剛性と強度には殆ど影響を与えることがない。また、灯光ユニット
の灯体は、ステップ本体内の支持梁の長手方向の延長上に位置される収容空間に配置されているため、天板に入力される乗降者の荷重が直接作用しにくくなる。
【0010】
前記灯光ユニットは、前記ステップ本体の長手方向に沿って延出し、前記灯体から照射された光を端面で受けてその光を上面側に誘導する
前記導光体を備え、前記導光体は、前記支持梁に設けられた長手方向に連続する保持孔(例えば、実施形態の保持孔23)に収容され、前記天板には、前記導光体の一部を上方に露出させる窓部(例えば、実施形態の窓部24)が設けられるようにしても良い。
この場合、導光体は、支持梁の保持孔内に保持されることにより、天板に入力される乗降者の荷重から保護されることになる。また、導光体は、天板に形成された窓部を通してステップ本体の上方に光を照射するため、導光体の上面が窓部の縁部分によって保護されることになる。つまり、外側に露出する導光体の上面は、窓部の縁部分の内側に配置されるため、天板に載せられる乗降者の靴底や、その靴底に付着した泥や小石等の異物が導光体の表面に直接接触しにくくなる。したがって、この構成を採用することにより、灯光ユニットを大型・重量化することなく導光体を保護することができる。
【0011】
前記灯光ユニットは、前記灯体と前記導光体の間に配置され、前記灯体から照射された光を集光して前記導光体の広範囲に拡散して照射する拡散アタッチメント(例えば、実施形態の拡散アタッチメント21)を備え、前記拡散アタッチメントは、前記灯体とともに前記収容空間に配置されるようにしても良い。
この場合、灯光ユニットの灯体だけでなく、拡散アタッチメントもステップ本体の長手方向の端部の収容空間内にコンパクトに配置されるようになる。
【0012】
前記灯体は、前記ステップ本体の長手方向の端面に締結固定されるブラケット(例えば、実施形態のブラケット27)に取り付けられるようにしても良い。
この場合、灯光ユニットの灯体が、ステップ本体の長手方向の端面に締結固定されるブラケットを介して収容空間内に配置されるため、灯体の取付部がステップ本体内の多くのスペースを占有しなくなるうえ、ブラケットがステップ本体の長手方向の端部の剛性を有効に高めることになる。
【0013】
前記灯光ユニットは、前記ステップ本体の長手方向に沿って延出し、前記灯体から照射された光を端面で受けてその光を上面側に誘導する導光体と、前記灯体と前記導光体の間に配置され、前記灯体から照射された光を集光して前記導光体の広範囲に拡散して照射する拡散アタッチメントと、を備え、前記
拡散アタッチメントと前記導光体の長手方向の端部とは、前記灯体を介して前記ブラケットに取り付けられるようにしても良い。
この場合、灯光ユニットの灯体だけでなく、拡散アタッチメントと導光体も同じブラケットを介してステップ本体の長手方向の端部に取り付けられることになる。したがって、この構成を採用することにより、灯光ユニットをコンパクトにかつ容易にステップ本体内に取り付けることが可能になる。
【0014】
前記ステップ本体は、回動可能な支持アーム(例えば、実施形態の支持アーム10C)を介して車体側に進退自在に支持され、前記支持アームには、当該支持アームの延出方向に沿うガイドブラケット(例えば、実施形態のガイドブラケット40)が取り付けられ、前記灯光ユニットと車体側の配線部を接続する配線ケーブル(例えば、実施形態の配線ケーブル50)が、前記ガイドブラケットの車外側から隠れる部位に、樹脂クリップ(例えば、実施形態の樹脂クリップ41)を介して取り付けられるようにしても良い。
この場合、支持アームの回動操作時に、配線ケーブルが樹脂クリップとガイドブラケットを介して支持アームの動作に追従する。このとき、配線ケーブルはガイドブラケットによって所定範囲に挙動を規制されるとともに、ガイドブラケットによって車外側から隠される。したがって、この構成を採用することにより、配線ケーブルが周囲の部材と干渉するのを防止できるとともに、外部からの見栄えも向上させることができる。
【発明の効果】
【0015】
この発明によれば、
天板と底板と支持梁とによってステップ本体の全域の剛性と強度が高く維持され、ステップ本体の長手方向の端部において、
支持梁の長手方向延長上に設けられた収容空間内に灯光ユニットの灯体が配置されるため、ステップ本体の大型・重量化を回避しつつ、灯光ユニットを外力から保護した状態でステップ本体に取り付けることができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、この発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。なお、図面において、矢印FRは、車両1の前方を指し、矢印UP,LHは、車両1の上方と左側方をそれぞれ指すものとする。また、車両用ステップ8についての前後や上下、左右の向きは、特別に断らない限り車両に取り付けられた状態での向きを意味するものとする。
【0018】
図1は、この実施形態に係る車両1を左後部上方側から見た図である。
この実施形態に係る車両1は、車体の左側部にセンターピラー2を間に挟んで前席用(助手席用)と後席用の各ドア開口3,4が設けられている。前席用のドア開口3は、ヒンジ開閉式のサイドドア5によって開閉可能にされ、後席用のドア開口4は、スライド開閉式のサイドドア6によって開閉可能にされている。前後のドア開口3,4の下縁に跨る左側のサイドシル7の下面と、フロア下の図示しない骨格部材には、車両側部に展開可能な車両用ステップ8が取り付けられている。
【0019】
図2は、車両用ステップ8の単体を左後部上方側から見た図であり、
図3,
図4は、車両用ステップ8の単体を上方から見た図と下方から見た図である。
これらの図に示すように、車両用ステップ8は、車両左側部の下面側に取り付けられる取付ベース9と、取付ベース9に複数の支持アーム10A,10B,10Cを介して支持されたステップ本体11と、を備えている。各支持アーム10A,10B,10Cは、基端部が取付ベース9に水平方向に回動可能に支持されるとともに、先端部にステップ本体11が水平方向に回動可能に連結されている。
【0020】
各支持アーム10A,10B,10Cは、取付ベース9とステップ本体11の前後方向に離間した部位に連結され、取付ベース9とステップ本体11とともに平行リンク機構を構成している。ステップ本体11は、取付ベース9と略平行な姿勢を維持したまま車幅方向の外側と内側の間を進退動作する。また、各支持アーム10A,10B,10Cの基端側の領域は、前後方向と上下方向とに湾曲しており、ステップ本体11が取付ベース9の下方位置で車幅方向に進退動作するようになっている。ステップ本体11は、車幅方向外側に最大に前進した状態では、左側のサイドシル7よりも外側に位置され、車幅方向内側に最大後退した状態では、左側のサイドシル7の外端部よりも内側に位置される。
【0021】
また、取付ベース9には、中央の支持アーム10Bに回動操作力を付与する駆動モータ12(
図4参照)が取り付けられている。駆動モータ12の回動軸は、支持アーム10Bの基端側領域に、リンク13を介して連動可能に接続されている。また、駆動モータ12は、図示しない電源回路とコントローラとに接続されており、コントローラによる制御によって支持アーム10Bを回動させる。ステップ本体11は、駆動モータ12による支持アーム10Bの回動駆動により、車体の側部において進退動作する。コントローラは、例えば、車両用ステップ8のメインスイッチがON状態の場合に、前席側と後席側のサイドドア5,6のいずれか一方が開操作されたときにステップ本体11を車体側部に突出させ、前席側と後席側のサイドドア5,6がいずれも閉じられたときにステップ本体11を車体下方に格納する。
【0022】
図5は、ステップ本体11の
図3のV−V断面に対応する断面を示した図であり、
図6は、ステップ本体11の一部を分解して示した図である。また、
図7は、車両用ステップ8の一部を拡大して示した平面図であり、
図8は、ステップ本体11の
図3のVIII−VIII断面に対応する断面を示した図である。また、
図9は、ステップ本体11の
図3のIX−IX断面に対応する断面を示した図である。
ステップ本体11は、車両側部のサイドシル7に略沿って配置される長尺な矩形板状の部材であり、その基本形状は、アルミニウム合金による押し出し成形体によって構成されている。より詳細には、ステップ本体11は、上面が乗員の乗降時の足場として使用される天板14と、天板14の下方に天板14と略平行に配置される底板15と、天板14と底板15を奥行方向前後の端部で閉塞する一対の側板16と、長手方向に沿って延出して、天板14と底板15を一対の側板16間で連結する3つの支持梁17a,17b,17cと、を有している。支持梁17a,17b,17cは、ステップ本体11の奥行方向で相互に離間して配置され、ステップ本体11の内部を複数の中空部に区画している。ステップ本体11の天板14と底板15と側板16と3つの支持梁17a,17b,17cとは、アルミニウム合金の押し出しによって一体に形成されている。
【0023】
また、ステップ本体11には、ステップ本体11の上方に向かって光を照射する灯光ユニット18が取り付けられている。灯光ユニット18は、LEDとその発光回路を含む灯体19と、ステップ本体11の長手方向に沿って延出し、灯体19から照射された光を端面で受けてその光を上面側に誘導する長尺な導光体20と、灯体19と導光体20の間に配置され、灯体19から照射された光を集光して導光体20の広範囲に拡散して照射する拡散アタッチメント21と、を備えている。導光体20は、透明なアクリル樹脂によって長尺に形成されている。導光体20の長手方向の延出長さは、ステップ本体11の長手方向の延出長さよりも所定長さ短く設定されている。また、ステップ本体11の長手方向の両端部には、樹脂製のエンドキャップ22がビス止めによって取り付けられている。
【0024】
ここで、アルミニウム合金の押し出しによって形成されるステップ本体11の3つの支持梁17a,17b,17cは、
図5に示すように、支持梁17aが最も車幅方向外側寄りに配置され、支持梁17cが最も車幅方向内側寄りに配置されている。中央の支持梁17bと車幅方向内側寄りの支持梁17cは比較的薄肉で略一定厚みに形成されている。これに対し、車幅方向外側寄りの支持梁17aは、底板15から上方に向かって起立する厚肉の起立部17a−1と、起立部17a−1の上端部から略U字状に二股に分岐して上端部が天板14に接続される分岐部17a−2と、を有している。分岐部17a−2は、天板14との間で下端側に円弧部を有する断面略矩形状の保持孔23を形成している。支持梁17aは、天板14や底板15とともに押し出しによって一体に造形されるため、保持孔23は、ステップ本体11の長手方向に連続して形成されている。保持孔23には、前述した導光体20が長手方向の端部から挿入されて保持される。したがって、導光体20は、ステップ本体11の車幅方向の中央位置Cよりも外側位置において、ステップ本体11の長手方向に沿うように配置されている。また、保持孔23内に保持された導光体20の上面は、ステップ本体11の上面よりも下側に位置されている。
【0025】
また、天板14の保持孔23の直上位置には、ステップ本体11の長手方向に沿って延出する複数の長孔状の窓部24が形成されている。窓部24は、ステップ本体11の長手方向に等間隔に離間して4つ設けられる。各窓部24は、保持孔23内に収容配置された導光体20の一部を天板14の上方側に露出させる。したがって、灯光ユニット18の灯体19から発された光は、導光体20と天板14の各窓部24を通してステップ本体11の上方側に照射される。
なお、天板14の上面には、乗降者の靴底の滑りを防止するために、天板14の長手方向に沿って延出する凹溝状の窪み部26が形成されている。窪み部26は、天板14の奥行方向に離間して複数列設けられている。導光体20を天板14の上方側に露出させる上記の各窓部24は、最も車幅方向外側に位置される窪み部26の底面部分に設けられている。したがって、保持孔23内に保持された導光体20の上面は、
図9に示すように、乗降者の靴底が載せ置かれる天板14の上面14aに対し、窪み部26の深さと天板14の板厚を加えた距離相当の高さhだけ低くなっている。
【0026】
図10は、灯光ユニット18を内部から取り去り、ステップ本体11を
図3のVIII−VIII断面と同位置で切った断面を示す図である。
ステップ本体11は、長手方向の一端部(車体後方側の端部)に、灯光ユニット18の灯体19と拡散アタッチメント21を収容するための収容空間25が設けられている。収容空間25は、押し出しによって一体に形成されたステップ本体11内の支持梁17aの長手方向の一端側が一部切除されることによって形成されている。具体的には、最も車幅方向外側の支持梁17aの長手方向の一端側が、エンドミル等の工具によって所定の長さ範囲に亙って切除され、それによって外側の側板16と中央の支持梁17bとに挟まれた収容空間25がステップ本体11の長手方向の一端部側に形成されている。
【0027】
図6〜
図8に示すように、灯光ユニット18は、LEDと発光回路を含む灯体19の前面に拡散アタッチメント21がビス止め等によって取り付けられ、拡散アタッチメント21の前面に導光体20の長手方向の端部がビス止め等によって固定されている。こうして一体化された灯光ユニット18は、平坦な金属板から成るブラケット27に対して灯体19部分がビス止め固定される。ブラケット27は、一側面側に灯光ユニット18を取り付けた状態でステップ本体11の長手方向の端面に重ねられ、その状態においてステップ本体11の端面にビス止め等によって固定される。このとき、ブラケット27に取り付けられた灯光ユニット18の導光体20は保持孔23内に挿入され、灯体19と拡散アタッチメント21は収容空間25内に配置される。
なお、上述のようにブラケット27が取り付けられたステップ本体11の長手方向の端部には、ブラケット27の外側を覆うようにエンドキャップ22が取り付けられる。
【0028】
また、
図8に示すように、導光体20の長手方向の一端部側がブラケット27を介してステップ本体11に固定された状態において、ステップ本体11内の導光体20の他端が位置される側には、導光体20の長手方向の伸縮を許容する伸縮許容空間55が設けられている。この伸縮許容空間55は、アルミニウム合金から成るステップ本体11と、アクリル樹脂から成る導光体20との線膨張係数の差に起因して、熱環境が大きく変化したときに両者が長手方向に相対変位するのを許容するために設けられている。即ち、伸縮許容空間55は、導光体20の長手方向の他端部がステップ本体11に対して最大に伸長方向に変位した場合にも、導光体20の他端部が他の取付部材と干渉することがないよう設定されている。
また、導光体20を外部に露出させるステップ本体11の最前部側の窓部24は、導光体20の長手方向の他端部がステップ本体11に対して最大に収縮方向に変位したときに、導光体20の端部が最前部側の窓部24から露出することがない位置に形成されている。
【0029】
図11は、ステップ本体11の長手方向の一端部側(車体後方側)に連結される支持アーム10Cの先端側の連結部を示す
図7のXI−XI断面に対応する断面図である。また、
図12,
図13は、支持アーム10Cの単品の上面と下面をそれぞれ示す図である。
図11に示すように、ステップ本体11の奥行方向の奥側(車幅方向内側)の側板16の一部と、その側板16に連続する底板15の一部が連続して切り欠かれ、その切り欠かれた部分に剛性の高い鉄系の金属から成る取付プレート30が取り付けられている。取付プレート30には、後部側の支持アーム10Cの先端部を回動可能に連結するための支軸31が取り付けられている。そして、底板15の切り欠かれた部分は、別体のカバープレート32によって閉塞されている。なお、
図11では、ステップ本体11における支持アーム10Cの連結部についてのみ示されているが、他の支持アーム10A,10Bの連結部も同様の構造とされている。
【0030】
図6,
図7に示すように、灯光ユニット18の灯体19には、車体側から電力と制御信号の入力を受けるためのアダプタ33が設けられている。このアダプタ33には、車体側の配線部に接続される配線ケーブル50が接続されている。なお、
図6中の符号34は、アダプタ33と灯体19の本体部を接続するケーブルをブラケット27に保持させるためのハーネスクリップである。
アダプタ33に接続された配線ケーブル50は、後部側の支持アーム10Cに沿わせて配線されている。
【0031】
図12,
図13に示すように、後部側の支持アーム10Cのうちの、湾曲部の内側の側壁には、金属プレートから成るガイドブラケット40が溶接によって取り付けられている。ガイドブラケット40は、支持アーム10Cとの溶接部から略水平に張り出す上壁40aと、上壁40aの張り出し端から下方に屈曲する側部ガイド壁40bとを有している。上壁40aは、支持アーム10Cの基端側の湾曲部分から先端側のストレート部分にかけて連続して形成されているが、側部ガイド壁40bは、支持アーム10Cの先端側のストレート部分にのみ設けられている。
配線ケーブル50は、支持アーム10Cの先端側領域では、ガイドブラケット40の側部ガイド壁40bの内面側(支持アーム10Cの側面に対向する側)に樹脂クリップ41を介して係止され、支持アーム10Cの基端側領域では、ガイドブラケット40の上壁40aの下面側に樹脂クリップ41を介して係止されている。
【0032】
以上のように、この実施形態に係る車両用ステップ8は、ステップ本体11の天板14と底板15と支持梁17aとが、他の支持梁17b,17cや側板16等とともにアルミニウム合金による押し出し成形体によって構成され、ステップ本体11の長手方向の端部に、支持梁17aの一部を切除して形成した収容空間25が形成され、その収容空間25に灯光ユニット18の灯体19が配置されている。このため、この実施形態に係る車両用ステップ8においては、押し出し成形体によって一体に形成された天板14と底板15と支持梁17aとによってステップ本体11のほぼ全域の剛性と強度を高く維持できるうえ、長手方向の一端部の支持梁17aの一部を切除してできた収容空間25内に灯光ユニット18の灯体19が配置されることから、ステップ本体11の大型・重量化を回避しつつ、灯光ユニット18を外力から保護した状態でステップ本体11に取り付けることができる。
【0033】
また、この実施形態に係る車両用ステップ8の場合、乗降者が足を踏み載せるステップ本体11の中央領域から離間した長手方向の端部で支持梁17aの一部が切除されることによって収容空間25が形成されているため、乗降者が足を踏み載せるステップ本体11の中央領域の剛性と強度に殆ど影響を与えることがない。また、収容空間25に配置される灯光ユニット18の灯体19には、天板14の中央領域に入力される乗降者の荷重が直接作用しにくい。特に、灯光ユニット18の灯体19は、ステップ本体11内の支持梁17aの長手方向の延長上に位置される収容空間25に配置されているため、天板14に入力される乗降者の荷重が直接作用しにくい。
【0034】
さらに、この実施形態に係る車両用ステップ8においては、ステップ本体11の支持梁17aに長手方向に連続する保持孔23が設けられ、その保持孔23に灯光ユニット18の長尺な導光体20が挿入配置されるとともに、ステップ本体11の天板14に導光体20の一部を上方に露出させる窓部24が設けられている。このため、導光体20が支持梁17aに形成された保持孔23の壁部によって保護され、天板14の上方から入力される乗降者の荷重が導光体20に入力されにくくなる。また、この車両用ステップ8では、天板14に形成された窓部24を通して導光体20の光をステップ本体11の上方に照射する構造とされているため、導光体20の外部に露出する上面を窓部24の縁部分によって保護することができる。具体的には、導光体20の上面が窓部24の縁部分よりも下方に配置されるため、天板14に載せられる乗降者の靴底や、その靴底に付着した泥や小石等の異物が導光体20の上面に直接接触するのを抑制することができる。
【0035】
特に、この実施形態の場合、天板14の上面14aから一段窪んだ窪み部26内に窓部24が設けられているため、天板14に載せられる乗降者の靴底から導光体20の上面までの距離がより長くなり、乗降者の靴底や、靴底に付着した異物によって導光体20の表面が傷つくのを有効に防止することができる。
【0036】
また、この実施形態に係る車両用ステップ8では、支持梁17aの一部を切除して形成したステップ本体11の長手方向の端部の収容空間25に、灯光ユニット18の灯体19だけでなく、拡散アタッチメント21も併せてコンパクトに配置されている。したがって、この構成を採用することにより、ステップ本体11のさらなる小型・軽量化を図ることができる。
【0037】
また、この実施形態に係る車両用ステップ8においては、ステップ本体11の長手方向の端面に板状のブラケット27が重ね合わせて締結固定され、そのブラケット27に灯光ユニット18の灯体19が取り付けられている。このため、灯体19の取付部がステップ本体11内の多くスペースを占有しなくなり、ステップ本体11のさらなる小型・軽量化が可能になる。また、この構成の場合、ステップ本体11の長手方向の端面に締結固定される板状のブラケット27によってステップ本体11の長手方向の端部の剛性を有効に高めることができる。
【0038】
特に、この実施形態に係る車両用ステップ8の場合、灯光ユニット18の灯体19だけでなく、拡散アタッチメント21と導光体20も同じブラケット27を介してステップ本体11の長手方向の端部に取り付けられるため、灯光ユニット18をコンパクトにかつ容易にステップ本体11内に取り付けることができる。
【0039】
また、この実施形態に係る車両用ステップ8では、ステップ本体11が、回動可能な支持アーム10A,10B,10Cを介して車体側の取付ベース9に進退自在に支持され、支持アーム10Cの延出方向に沿うガイドブラケット40が後部側の支持アーム10Cに固定されるとともに、そのガイドブラケット40の車外側から隠れる部位に、配線ケーブル50が樹脂クリップ41を介して取り付けられている。
このため、支持アーム10A,10B,10Cの回動操作時に、配線ケーブル50が樹脂クリップ41とガイドブラケット40を介して支持アーム10Cの動作に柔軟に追従する。具体的には、支持アーム10Cが基部側と先端側の枢支部で回動すると、配線ケーブル50が樹脂クリップ41でガイドブラケット40に柔軟に保持されるとともに、配線ケーブル50の過大な撓みがガイドブラケット40によって規制される。特に、この実施形態の場合、ガイドブラケット40に側部ガイド壁40bが設けられているため、支持アーム10Cの回動に伴う配線ケーブル50の外側方向の膨らみを側部ガイド壁40bによって確実に規制することができる。このため、支持アーム10Cの回動が繰り返し行われても、配線ケーブル50の位置を一定位置に保持できるとともに、配線ケーブル50の劣化も未然に防止することができる。
さらに、配線ケーブル50がガイドブラケット40によって外部から隠されるため、外部から配線ケーブル50が見えにくくなり、外部からの見栄えも良好となる。
【0040】
なお、この発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更が可能である。例えば、上記の実施形態においては、車体の側部に展開可能に設置される車両用ステップについて説明したが、車両用ステップは、車体の側部に設置されるものに限らず、車体の後部のバックドア用の開口の下縁に設置されるものであっても良い。