(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記非水系分散体に用いる非水系溶剤が、アセトン、メチルエチルケトン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、2−ヘプタノン、シクロヘプタノン、シクロヘキサノン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、メチル−n−ペンチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルイソペンチルケトン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、エチレングリコールモノアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノアセテート、ジプロピレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールジアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、シクロヘキシルアセテート、3−エトキシプロピオン酸エチル、ジオキサン、乳酸メチル、乳酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチル、アニソール、エチルベンジルエーテル、クレジルメチルエーテル、ジフェニルエーテル、ジベンジルエーテル、フェネトール、ブチルフェニルエーテル、ベンゼン、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、ペンチルベンゼン、イソプロピルベンゼン、トルエン、キシレン、シメン、メシチレン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、メチルモノグリシジルエーテル、エチルモノグリシジルエーテル、ブチルモノグリシジルエーテル、フェニルモノグリシジルエーテル、メチルジグリシジルエーテル、エチルジグリシジルエーテル、ブチルジグリシジルエーテル、フェニルジグリシジルエーテル、メチルフェノールモノグリシジルエーテル、エチルフェノールモノグリシジルエーテル、ブチルフェノールモノグリシジルエーテル、ミネラルスピリット、2−ヒドロキシエチルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、4−ビニルピリジン、2−エチルヘキシルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、メタクリレート、メチルメタクリレート、スチレン、パーフルオロカーボン、ハイドロフルオロエーテル、ハイドロクロロフルオロカーボン、ハイドロフルオロカーボン、パーフルオロポリエーテル、ジメチルイミダゾリン、テトラヒドロフラン、ピリジン、フォルムアミド、アセトアニリド、ジオキソラン、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、フェノール、N−メチル−2−ピロリドン,N−アセチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシド、ジメチルスルホン、ジエチルスルホン、γ−ブチロラクトン、スルホラン、ハロゲン化フェノール類、各種シリコーンオイル、からなる群から選ばれる1種類の溶剤、またはこれらの溶剤を2種以上含んでいることを特徴とする請求項1に記載のポリテトラフルオロエチレンマイクロパウダーの非水系分散体。
【背景技術】
【0002】
ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)は、耐熱性、電気絶縁性、低誘電特性、低摩擦特性、非粘着性、耐候性などに優れた材料であり、電子機器、摺動材、自動車、厨房用品などに利用されている。このような特性を有するPTFEは、マイクロパウダーとして、各種の樹脂材料(レジスト材料)やゴム、接着剤、潤滑剤やグリース、印刷インクや塗料などに添加されて製品特性を向上させる目的に用いられている。
【0003】
このようなポリテトラフルオロエチレンのマイクロパウダーは、通常、乳化重合法により、水、重合開始剤、含フッ素乳化剤、パラフィンワックスなどの安定剤の存在下で、テトラフルオロエチレン(TFE)モノマーを重合させてPTFE微粒子を含有する水性分 散体として得た後、濃縮、凝集、乾燥などを経て、製造されるものである(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
このポリテトラフルオロエチレンマイクロパウダーを樹脂材料などに添加する方法としては、例えば、直接混ぜ込む方法の他に、水や油性溶剤中に分散してポリテトラフルオロエチレン分散体として混合する方法などが知られている。一旦、水や油性溶剤中に分散してから添加することにより、均一に混合させることができる。
しかしながら、ポリテトラフルオロエチレンマイクロパウダーは、粒子同士の凝集力が強く、特に、非水系の油性溶剤中に微粒子径で低粘度、保存安定性に優れた形で分散することは難しいという課題があった。
【0005】
更に、非水溶性のエポキシ樹脂、ポリイミド前駆体材料やレジスト材料などに添加する場合には、非水系のPTFE分散体が求められるところ、ポリテトラフルオロエチレンの水系分散体に関する発明等は数多く知られているが(例えば、特許文献2及び3参照)、この水系分散体と比べて、非水系のポリテトラフルオロエチレン分散体に関する報告等はほとんどないのが現状である(例えば、特許文献4参照)。
この特許文献4に記載の技術は、PTFE粒子と、少なくとも1つのモノ又はポリオレフィン系不飽和油又は油混合物とからなり、該オレフィン系不飽和油の分子はPTFE(一次)粒子表面上で、ラジカル反応により共有結合/化学結合されており、かつその際にPTFE粒子表面と結合された油分子との間の永久的な電荷分離、及び油又は油混合物中でのPTFE粒子の微細分散が存在する長期安定な油−PTFE分散液であり、その製法は、持続性のペルフルオロ(ペルオキシ)ラジカルを有する変性されたPTFE(エマルション)ポリマーが、少なくとも1つのオレフィン系不飽和油と一緒に、混合され、かつ次に変性されたPTFE(エマルション)ポリマーが機械的応力にかけられる方法等により得られるものであり、製法が複雑であり、また、汎用のPTFE粒子を用いるものでなく、本発明とは、技術思想(構成及びその作用効果)が全く相違するものである。
【0006】
従来、ポリテトラフルオロエチレンマイクロパウダーを分散する場合には、フッ化アルキルなどのフッ素を含有した界面活性剤や分散剤が用いられてきている。これは、PTFE表面が非常に水や油性溶剤などに濡れにくい性質を有し、かつ粒子同士の凝集力が強いため、汎用的なフッ素基を含まない界面活性剤や分散剤では、分散することが非常に困難なためである。
【0007】
一方で、このようなフッ素基を含有した界面活性剤や分散剤は、高温下において熱分解し、フッ化水素を発生する可能性があり、環境面や安全面への悪影響が懸念されているといった課題を有している。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明の実施形態を詳しく説明する。
本発明のポリテトラフルオロエチレンマイクロパウダーの非水系分散体は、少なくとも、ポリテトラフルオロエチレンマイクロパウダーを5〜60質量%、下記式(I)で表される化合物をポリテトラフルオロエチレンマイクロパウダーの質量に対して0.1〜15質量%、含み、カールフィッシャー法により測定した分散体全体の水分量が、8000ppm以下であることを特徴とするものである。
【化2】
【0016】
本発明に用いるポリテトラフルオロエチレンマイクロパウダーは、乳化重合法により得られるものであり、例えば、ふっ素樹脂ハンドブック(黒川孝臣編、日刊工業新聞社)に記載されている方法など、一般的に用いられる方法により得ることができる。そして、前記乳化重合により得られたポリテトラフルオロエチレンマイクロパウダーは、凝集・乾燥して、一次粒子径が凝集した二次粒子として微粉末として回収されるものであるが、一般的に用いられている各種微粉末の製造方法を用いることができる。
【0017】
ポリテトラフルオロエチレンマイクロパウダーの一次粒子径としては、レーザー回折・散乱法、動的光散乱法、画像イメージング法などによって測定される体積基準の平均粒子径(50%体積径、メジアン径)が1μm以下であることが好ましく、非水系溶剤中でより安定に分散させる上では、望ましくは、0.5μm以下、さらに望ましくは、0.3μm以下とすることにより、さらに均一な分散体となる。
このポリテトラフルオロエチレンマイクロパウダーの一次粒子径が1μmを超えるものであると、非水系溶剤中で沈降しやすくなり、安定して分散することが難しくなる。
また、上記平均粒子径の下限値は、低ければ低い程良好であるが、製造性、コスト面等から、0.05μm以上であることが好ましい。
なお、本発明におけるポリテトラフルオロエチレンマイクロパウダーの一次粒子径は、例えば、ポリテトラフルオロエチレンマイクロパウダーの乳化重合段階において測定される値(レーザー回折・散乱法や動的光散乱法などによって得られた値)を指し示すものであるが、乾燥して粉体状態にしたポリテトラフルオロエチレンマイクロパウダーの場合には、一次粒子同士の凝集力が強く、容易に一次粒子径をレーザー回折・散乱法や動的光散乱法などによって測定することが難しいため、画像イメージング法によって得られた値を指し示すものであってもよい。測定装置としては、例えばFPAR−1000(大塚電子株式会社製)による動的光散乱法や、マイクロトラック(日機装株式会社製)によるレーザー回折・散乱法や、マックビュー(株式会社マウンテック社製)による画像イメージング法などを挙げることができる。
【0018】
本発明においては、分散体全量に対して、ポリテトラフルオロエチレンマイクロパウダーが5〜60質量%含有されるものであり、好ましくは、10〜50質量%含有されることが望ましい。
この含有量が5質量%未満の場合には、非水系溶剤の量が多く、極端に粘度が低下するためにポリテトラフルオロエチレンの微粒子が沈降しやすくなったり、樹脂などの材料と混合した際に非水系溶剤の量が多いことによる不具合、例えば、溶剤の除去に時間を要することになるなど好ましくない状況を生じることがある。一方、60質量%を超えて大きい場合には、ポリテトラフルオロエチレン同士が凝集しやすくなり、微粒子の状態を安定的に、流動性を有する状態で維持することが極端に難しくなるため、好ましくない。
【0019】
本発明に用いる上記(I)で表される化合物は、ポリテトラフルオロエチレンマイクロパウダーを非水系溶剤中に、微粒子で均一、且つ安定的に分散させることができるものである。その分子構造は、ビニルブチラール/酢酸ビニル/ビニルアルコールから構成される三元重合体であり、ポリビニルアルコール(PVA)をブチルアルデヒド(BA)と反応させたものであり、ブチラール基、アセチル基、水酸基を有した構造であり、これらの3種の構造の比率(l,m,nの各比率)を変化させることにより、非水系溶剤への溶解性、さらには各種樹脂材料中にポリテトラフルオロエチレンマイクロパウダーの非水系分散体を添加した際の化学反応性をコントロールすることが可能となる。
【0020】
上記(I)で表される化合物としては、市販品では、積水化学工業社製エスレックBシリーズ、K(KS)シリーズ、SVシリーズ、クラレ社製モビタールシリーズなどを用いることができる。
具体的には、積水化学工業(株)製の商品名;エスレックBM−1(水酸基量:34モル%、ブチラール化度65±3モル%、分子量:4万)、同BH−3(水酸基量:34mol%、ブチラール化度65±3モル%、分子量:11万)、同BH−6(水酸基量:30mol%、ブチラール化度69±3モル%、分子量:9.2万)、同BX−1(水酸基量:33±3mol%、アセタール化度66モル%、分子量:10万)、同BX−5(水酸基量:33±3mol%、アセタール化度66モル%、分子量:13万)、同BM−2(水酸基量:31mol%、ブチラール化度68±3モル%、分子量:5.2万)、同BM−5(水酸基量:34mol%、ブチラール化度65±3モル%、分子量:5.3万)、同BL−1(水酸基量:36mol%、ブチラール化度63±3モル%、分子量:1.9万)、同BL−1H(水酸基量:30mol%、ブチラール化度69±3モル%、分子量:2万)、同BL−2(水酸基量:36mol%、ブチラール化度63±3モル%、分子量:2.7)、同BL−2H(水酸基量:29mol%、ブチラール化度70±3モル%、分子量:2.8万)、同BL−10(水酸基量:28mol%、ブチラール化度71±3モル%、分子量:1.5万)、同KS−10(水酸基量:25mol%、アセタール化度65±3モル%、分子量:1.7万)などや、クラレ(株)製の商品名;モビタールB145(水酸基量:21〜26.5モル%、アセタール化度67.5〜75.2モル%)、同B16H(水酸基量:26.2〜30.2モル%、アセタール化度66.9〜73.1モル%、分子量:1〜2万)などが挙げられる。
これらは、単独又は2種以上混合して使用してもよい。
【0021】
上記(I)で表される化合物の含有量は、ポリテトラフルオロエチレンマイクロパウダーに対し、0.1〜15質量%が好ましい。この化合物の含有量が0.1質量%より少ないと、分散安定性が悪くなりポリテトラフルオロエチレンマイクロパウダーが沈降しやすくなり、15質量%を越えると粘度が高くなったりして好ましくない。
さらに、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂前駆体材料などの各種樹脂材料やゴム、接着剤、潤滑剤やグリース、印刷インクや塗料などに、ポリテトラフルオロエチレンマイクロパウダーの非水系分散体を添加した際の特性を考慮すれば、0.1〜10質量%が望ましく、さらに0.1〜5質量%が望ましく、特に0.1〜3質量%が最も好ましい。
【0022】
本発明におけるポリテトラフルオロエチレンマイクロパウダーの非水系分散体においては、本発明の効果を損なわない範囲で、上記(I)で表される化合物と組み合わせて、他の界面活性剤や分散剤を用いることも可能である。
例えば、フッ素系や非フッ素系に関わらず、ノニオン系、アニオン系、カチオン系などの界面活性剤や分散剤、ノニオン系、アニオン系、カチオン系などの高分子界面活性剤や高分子分散剤などを挙げることができるが、これらに限定されることなく使用することができる。
【0023】
本発明に用いる非水系溶剤は、カールフィッシャー法による水分量が、8000ppm以下〔0≦水分量≦8000ppm〕となるものが好ましい。
本発明(後述する実施例等を含む)においては、カールフィッシャー法による水分量の測定は、JIS K 0068:2001に準拠するものであり、MCU−610(京都電子工業社製)により行った。
用いる非水系溶剤の極性によっては水との相溶性が高いものが考えられるが、8000ppm超過の水分量を有するとポリテトラフルオロエチレンマイクロパウダーの非水系溶剤中への分散性を著しく阻害したり、上記(I)で表される化合物の非水系溶剤中への溶解性を阻害するなどし、粘度上昇や粒子同士の凝集を引き起こす要因になる。
本発明においては、非水系溶剤中の水分量を8000ppm以下にすることで、微粒子径で低粘度、保存安定性に優れたポリテトラフルオロエチレンマイクロパウダーの非水系分散体とすることができるものである。更に好ましくは、非水系溶剤の水分量を5000ppm以下、より好ましくは、3000ppm以下、特に好ましくは、2500ppm以下とすることが望ましい。
【0024】
さらに、本発明のポリテトラフルオロエチレンマイクロパウダーの非水系分散体は、カールフィッシャー法による水分量が、8000ppm以下〔0≦水分量≦8000ppm〕であることが好ましい。
非水系溶剤に含まれる水分量のほかに、ポリテトラフルオロエチレンマイクロパウダーや上記(I)で表される化合物などの材料自体に含まれる水分や、ポリテトラフルオロエチレンマイクロパウダーを非水系溶剤中に分散する製造工程における外部からの水分の混入(空気中の水分、装置壁面の結露水など)が考えられるが、最終的にポリテトラフルオロエチレンマイクロパウダーの非水系分散体の水分量を8000ppm以下にすることで、より保存安定性に優れたポリテトラフルオロエチレンマイクロパウダーの非水系分散体を得ることができる。更に好ましくは、非水系分散体の水分量を5000ppm以下、より好ましくは、3000ppm以下、特に好ましくは、2500ppm以下とすることが望ましい。
【0025】
非水系溶剤の水分量、並びに、ポリテトラフルオロエチレンマイクロパウダーの非水系分散体の水分量を8000ppm以下とするためには、一般的に用いられている非水系溶剤の脱水方法を用いることが可能であるが、例えば、モレキュラーシーブスなどを用いることができる。また、ポリテトラフルオロエチレンマイクロパウダーや上記(I)で表される化合物は、加熱や減圧などによる脱水を行うことで充分に水分量を下げた状態で使用することができる。
さらに、ポリテトラフルオロエチレンマイクロパウダーの非水系分散体を作製した後に、モレキュラーシーブスや膜分離法などを用いて水分除去することも可能であるが、上記した方法以外であっても、非水系分散体の水分量を下げることができるものであれば、特に限定されることなく用いることができる。
【0026】
本発明に用いられる非水系溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、2−ヘプタノン、シクロヘプタノン、シクロヘキサノン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、メチル−n−ペンチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルイソペンチルケトン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、エチレングリコールモノアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノアセテート、ジプロピレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールジアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、シクロヘキシルアセテート、3−エトキシプロピオン酸エチル、ジオキサン、乳酸メチル、乳酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチル、アニソール、エチルベンジルエーテル、クレジルメチルエーテル、ジフェニルエーテル、ジベンジルエーテル、フェネトール、ブチルフェニルエーテル、ベンゼン、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、ペンチルベンゼン、イソプロピルベンゼン、トルエン、キシレン、シメン、メシチレン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、メチルモノグリシジルエーテル、エチルモノグリシジルエーテル、ブチルモノグリシジルエーテル、フェニルモノグリシジルエーテル、メチルジグリシジルエーテル、エチルジグリシジルエーテル、ブチルジグリシジルエーテル、フェニルジグリシジルエーテル、メチルフェノールモノグリシジルエーテル、エチルフェノールモノグリシジルエーテル、ブチルフェノールモノグリシジルエーテル、ミネラルスピリット、2−ヒドロキシエチルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、4−ビニルピリジン、2−エチルヘキシルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、メタクリレート、メチルメタクリレート、スチレン、パーフルオロカーボン、ハイドロフルオロエーテル、ハイドロクロロフルオロカーボン、ハイドロフルオロカーボン、パーフルオロポリエーテル、ジメチルイミダゾリン、テトラヒドロフラン、ピリジン、フォルムアミド、アセトアニリド、ジオキソラン、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、フェノール、N−メチル−2−ピロリドン,N−アセチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシド、ジメチルスルホン、ジエチルスルホン、γ−ブチロラクトン、スルホラン、ハロゲン化フェノール類、各種シリコーンオイル、からなる群から選ばれる1種類の溶剤、またはこれらの溶剤を2種以上含んでいるものである。
【0027】
本発明においては、上記非水系溶剤を用いるものであるが、他の非水系溶剤と組み合わせて用いることや他の非水系溶剤を用いることもできるものであり、用いる用途(各種の樹脂材料やゴム、接着剤、潤滑剤やグリース、印刷インクや塗料)などにより好適なものが選択される。
用いる非水系溶剤の含有量は、上記ポリテトラフルオロエチレンマイクロパウダー、上記(I)で表される化合物などの残部となるものである。
【0028】
本発明においては、非水系分散体におけるポリテトラフルオロエチレン粒子の動的光散乱法による平均粒子径(散乱強度分布におけるキュムラント法解析の平均粒子径)が、1μm以下であることが望ましい。
一次粒子径が1μm以下のポリテトラフルオロエチレンマイクロパウダーを用いた場合であっても、通常、一次粒子が凝集し、二次粒子として粒子径が1μm以上のマイクロパウダーとなっている。このポリテトラフルオロエチレンマイクロパウダーの二次粒子を1μm以下の粒子径となるように分散することにより、例えば、超音波分散機、3本ロール、ボールミル、ビーズミル、ジェットミルなどの分散機を用いて分散することにより、低粘度で長期保存した場合でも安定な分散体を得ることができるものである。
より安定に分散させる上では、望ましくは、0.5μm以下、さらに望ましくは、0.3μm以下とすることにより、さらに均一な分散体となる。
【0029】
このように構成される本発明のポリテトラフルオロエチレンマイクロパウダーの非水系分散体は、フッ素基を含む界面活性剤や分散剤を添加しなくても、微粒子径で低粘度、保存安定性に優れており、長期保存後でも再分散性に優れるものとなる。また、各種の樹脂材料やゴム、接着剤、潤滑剤やグリース、印刷インクや塗料などに添加した際にも均一に混合させることができるものとなる。
【実施例】
【0030】
以下に、本発明について、更に実施例、比較例を参照して詳しく説明する。なお、本発明は下記実施例等に限定されるものではない。
【0031】
〔実施例1〜6及び比較例1〜4、参考例1〕
下記に示す各方法により各ポリテトラフルオロエチレンマイクロパウダーの非水系系分散体を調製した。また、実施例5と比較例1における非水系溶剤については、水分の添加を行うことにより調整して用いた。実施例1〜6及び比較例1〜4、参考例1の配合組成は下記表1に示す。
【0032】
(実施例1)
ポリテトラフルオロエチレンマイクロパウダーとして、平均粒子径が0.3μmの粉末を使用した。上記式(I)で表される化合物Aとして、エスレックBL−10〔ブチラール(PVB)樹脂、積水化学工業社製、水酸基28モル%、ブチラール化度71±3モル%、分子量1.5万〕を使用した。また、非水系溶剤Aとして、メチルエチルケトン〔MEK〕を使用した。
【0033】
上記材料を用い、下記表1に示す配合にてポリテトラフルオロエチレンマイクロパウダーの非水系分散体を作製した。作製にあたっては、非水系溶剤中に式式(I)で表される化合物Aを充分に溶解した後、ポリテトラフルオロエチレンマイクロパウダーを添加して、さらに攪拌混合を行った。
上記の様にして得られたポリテトラフルオロエチレンマイクロパウダーの混合液を、横型のビーズミルを用いて、0.3mm径のジルコニアビーズにて分散を行った。
【0034】
得られた分散体を、5μm以上の粗大粒子を除去するためにフィルター濾過をして、ポリテトラフルオロエチレンマイクロパウダーの非水系分散体を得た。
【0035】
(実施例2)
非水系溶剤BとしてN−メチルピロリドン〔NMP〕としたことを除き、上記実施例1と同様の方法にて分散体を作製した。
【0036】
(実施例3)
式(I)で表される化合物Bとして、エスレックBM−1〔ブチラール(PVB)樹脂、積水化学工業社製、水酸基34モル%、ブチラール化度65±3モル%、分子量4万〕を、非水系溶剤CとしてN,N−ジメチルアセトアミド〔DMAc〕としたことを除き、実施例1と同様の方法にて分散体を作製した。
【0037】
(実施例4)
ポリテトラフルオロエチレンマイクロパウダーとして、平均粒子径が0.5μmの粉末を、式(I)で表される化合物Bとして、エスレックBM−1〔ブチラール(PVB)樹脂、積水化学工業社製、水酸基34モル%、ブチラール化度65±3モル%、分子量4万〕としたことを除き、実施例1と同様の方法にて分散体を得た。
【0038】
(実施例5)
N−メチルピロリドン中に強制的に水分を添加して充分に攪拌したものを非水系溶剤として使用したことを除き、実施例2と同様の方法にて分散体を作製した。
【0039】
(実施例6)
式(I)で表される化合物AとN−メチルピロリドンの量を変えたことを除き、実施例2と同様の方法にて分散体を作製した。
【0040】
(比較例1)
実施例5よりも多くの水分をN−メチルピロリドン中に強制的に添加して充分に攪拌したものを非水系溶剤として使用したことを除き、実施例5と同様の方法にて分散体を作製した。
【0041】
(比較例2)
ポリテトラフルオロエチレンマイクロパウダーとして、平均粒子径が1.2μmの粉末としたことを除き、実施例1と同様の方法にて分散体を得た。
【0042】
(比較例3)
式(I)で表される化合物Aを8質量%としたことを除き、実施例1と同様の方法にて分散体の作製を試みた。
【0043】
(比較例4)
ポリテトラフルオロエチレンマイクロパウダーを65質量%添加したことを除き、実施例1と同様の方法にて分散体の作製を試みた。
【0044】
(参考例1)
フッ素系分散剤を用いたことを除き、実施例1と同様の方法にて分散体を得た。
【0045】
上記実施例1〜6及び比較例1〜4、参考例1より得られたポリテトラフルオロエチレンマイクロパウダーの非水系分散体について、下記各評価方法により、分散体の流動性、25℃、1ヶ月保存後の再分散性について評価した。
これらの結果を下記表1に示す。
【0046】
(分散体の流動性の評価方法)
得られた各ポリテトラフルオロエチレンマイクロパウダーの非水系分散体を、スポイトにてPETフィルム上に滴下した際の分散体の広がり、並びにビン内での静置状態から急激に90度傾けた際の分散体の動きの状態から、目視にて下記評価基準で評価した。
評価基準:
◎:滑らかに流動する。
○:流動する。
△:構造粘性を有している。
×:ほとんど流動しない。
【0047】
(再分散性の評価方法)
得られた各ポリテトラフルオロエチレンマイクロパウダーの非水系分散体を、蓋付きガラス容器(30ml、以下同様)に入れ、25℃、1ヶ月保存後の再分散性を下記評価基準で評価した。
評価基準:
◎:容易に再分散する。
○:再分散する。
△:流動するようになるが、粒状物が見られる。
×:再分散が困難。
【0048】
【表1】
【0049】
上記表1から明らかなように、本発明の範囲内である実施例1〜6は分散体の流動性もよく、保存安定性、再分散性が高いことが判明した。
また、参考例1のフッ素基を有するフッ素系分散剤(メガファックF−563:DIC社製、含フッ素基・親油性基含有オリゴマー、有効成分100wt%)を用いた分散体と同等の分散性、保存安定性を有していることが判明した。
一方で、本発明の範囲外となる比較例1、比較例2は、初期の粒径が大きくなっており、保存後の再分散性も劣る結果となった。
また、比較例3は式(I)で表される化合物の添加量が多くなり、粘度が高くなってしまったために分散をすることが困難であった。さらに、ポリテトラフルオロエチレンマイクロパウダーの量が65質量%となる比較例4も流動性が全く見られず、分散することが困難であった。
【解決手段】少なくとも、ポリテトラフルオロエチレンマイクロパウダーを5〜60質量%、下記式(I)で表される化合物をポリテトラフルオロエチレンマイクロパウダーの質量に対して0.1〜15質量%、含み、カールフィッシャー法により測定した分散体全体の水分量が、8000ppm以下であることを特徴とするポリテトラフルオロエチレンマイクロパウダーの非水系分散体。