(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
演算装置は、撮像装置によって撮像された半導体チップの像の位置と発光部の光の像の位置とに基づいて、半導体チップに対する突き上げピンの位置を演算する請求項1に記載のピックアップ装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
半導体チップをピックアップする装置では、ピックアップ対象の半導体チップの位置と、突き上げピンの位置とを合わせることが求められる。半導体チップと突き上げピンの位置が互いにずれていると、突き上げピンが半導体チップを突き上げたときに、半導体チップが傾くことがある。あるいは、突き上げピンが、半導体チップを突き上げることができないことがある。したがって、半導体チップと突き上げピンの位置関係を認識することが要求される。
【0004】
そこで本明細書は、半導体チップに対する突き上げピンの位置を正確に認識することができるピックアップ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書に開示するピックアップ装置は、光が透過可能な半導体チップをピックアップするピックアップ装置であって、半導体チップの下方で上下方向に延び、半導体チップを上方へ突き上げ可能な突き上げピンと、半導体チップの下方において突き上げピンに対して予め定められた位置に配置された発光部とを備えている。また、ピックアップ装置は、発光部の光が透過した半導体チップを上方から撮像可能な撮像装置と、撮像装置によって撮像された発光部の光の像の位置に基づいて、半導体チップに対する突き上げピンの位置を演算する演算装置とを備えている。
【0006】
このような構成によれば、撮像装置が半導体チップを上方から撮像すると、半導体チップを透過した発光部の光の像が撮像される。発光部は、突き上げピンに対して予め定められた位置に配置されている。従って、演算装置は、発光部の光の像の位置に基づいて、半導体チップに対する突き上げピンの位置を演算することができる。演算方法は特に限定されない。演算装置は、画像に基づいて位置を演算する公知の方法を用いることができる。これにより、突き上げピンが半導体チップの陰に位置するときでも、発光部の光を利用して突き上げピンの位置を求めることができ、半導体チップに対する突き上げピンの位置を正確に認識することができる。
【0007】
上記のピックアップ装置において、演算装置は、撮像装置によって撮像された半導体チップの像の位置と発光部の光の像の位置とに基づいて、半導体チップに対する突き上げピンの位置を演算することが好ましい。
【0008】
このような構成によれば、半導体チップに対する撮像装置の位置が一定でなくても、半導体チップに対する突き上げピンの位置を正確に認識することができる。
【0009】
上記のピックアップ装置は、演算装置により演算された位置に基づいて半導体チップと突き上げピンを相対移動する移動装置を更に備えていてもよい。
【0010】
上記のピックアップ装置において、発光部は、突き上げピンの周囲に環状に配置されていてもよい。
【0011】
上記のピックアップ装置は、半導体チップの下方において突き上げピンを保持するピン保持具を更に備えていてもよい。このピックアップ装置において、発光部は、ピン保持具に配置されていてもよい。
【0012】
上記のピックアップ装置において、突き上げピンは、光透過性の材料から形成されていてもよい。このピックアップ装置において、発光部は、突き上げピンの下側に配置されており、発光部の光により突き上げピンが発光することが好ましい。
【0013】
上記のピックアップ装置において、突き上げピンには、上下方向に延びると共に発光部の光を案内する導光路が形成されていてもよい。
【0014】
上記のピックアップ装置において、突き上げピンは、光不透過性の材料から形成されていてもよい。このピックアップ装置において、発光部は、突き上げピンの周囲に配置されていることが好ましい。
【0015】
上記のピックアップ装置は、半導体チップの下方において突き上げピンに対して予め定められた位置に配置された位置決めピンを更に備えていてもよい。このピックアップ装置において、位置決めピンは、光透過性の材料から形成されていてもよい。また、発光部は、位置決めピンの下側に配置されており、発光部の光により位置決めピンが発光することが好ましい。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、実施形態について添付図面を参照して説明する。実施形態に係るピックアップ装置は、複数の半導体チップの中から目的の半導体チップをピックアップするための装置である。
図1に示すように、ピックアップ装置2は、半導体ウェハ21の下方に配置されたピン保持具3と、半導体ウェハ21の上方に配置された撮像装置6及びチップ保持具7とを備えている。また、ピックアップ装置2は、ピン保持具3を移動する移動装置9を備えている。
【0018】
半導体ウェハ21は、
図2に示すように、ダイシングされており、複数の半導体チップ22に切断されている。半導体ウェハ21は、ダイシングシート23の上に配置されている。半導体チップ22は、例えばシリコン等の半導体ウェハ21を加工したIGBTやMOSFET等である。半導体チップ22は光透過性を有しており、光が半導体チップ22の下面側から上面側に透過する。光が半導体チップ22を透過するように、半導体チップ22の厚みを薄くすることが好ましい。あるいは、光が半導体チップ22を透過するように、半導体ウェハ21としてガラスウェハや透明ウェハを用いることも可能である。複数の半導体チップ22は、ダイシングされた時の配列で、ダイシングシート23の上に配置されている。ダイシングシート23は、例えばPET等の熱可塑性樹脂から形成されている。ダイシングシート23は、その周囲に配置された支持部材(図示省略)により支持されている。ダイシングシート23は、光透過性を有しており、光がダイシングシート23の下面側から上面側に透過する。ダイシングシート23の上面は粘着性を有しており、この上面に半導体チップ22が貼り付いている。
【0019】
ピン保持具3は、
図3に示すように、筒状に形成され、その内部には突き上げピン4が収容されている。ピン保持具3は、突き上げピン4を保持している。
図4及び
図5に示すように、ピン保持具3の上部には複数のピン孔41が形成されている。ピン孔41から突き上げピン4が突出する。本実施形態では、突き上げピン4が、ピン保持具3の中心部のピン孔41と同軸で配置されている。ピン保持具3の上部は、ピックアップ対象の半導体チップ22に対向し、半導体チップ22をピックアップするときは、半導体チップ22に接近する。ピン保持具3の上部の周縁には、発光部5が固定されている。
【0020】
突き上げピン4は、半導体チップ22の下方で上下方向(z方向)に延びている。突き上げピン4は、概して棒状の部材であり、半導体チップ22に向かって延びている。突き上げピン4は、ピックアップ対象の半導体チップ22の下方に位置している。突き上げピン4は、上下に昇降可能であり、図示しない駆動装置の作動により上下動する。
図6に示すように、突き上げピン4は、上昇したときに、ピックアップ対象の半導体チップ22を上方へ突き上げる。ピックアップ対象の半導体チップ22は、突き上げピン4により上方に突き上げられ、ダイシングシート23から剥離する。突き上げピン4は、半導体チップ22を下面側から押圧して持ち上げる。突き上げピン4は、ピン保持具3のピン孔41と同軸に配置されており、ピン孔41を通じて上下に進退する。本実施形態では1本の突き上げピン4を用いているが、複数の突き上げピン4を用いてもよい。複数の突き上げピン4を用いるときは、複数のピン孔41にそれぞれ突き上げピン4が同軸に配置される。
【0021】
発光部5は、突き上げピン4の周囲に円環状に配置されている。発光部5は半導体チップ22の下方に配置されている。円環状の発光部5の中心部に突き上げピン4が配置されている。平面視において、突き上げピン4と発光部5との間の距離R(円環状の発光部5の半径)は予め定められている。これにより、発光部5は、半導体チップ22の下方において突き上げピン4に対して予め定められた位置に配置されている。突き上げピン4と発光部5との位置の基準は特に限定されるものではない。例えば、突き上げピン4の中心部と発光部5の中心部を基準にして、両者の距離を予め設定することができる。発光部5から発せられた光は半導体チップ22に投射される。発光部5の光は半導体チップ22を下面側から上面側に透過する。本実施形態では発光部5は複数のLEDから構成されている。複数のLEDがピン保持具3の周縁部に円環状に並べて配置されることにより円環状の発光部5が形成されている。円環状に並んだ複数のLEDが発光することにより、発光部5が円環状に発光しているように見える。
【0022】
撮像装置6は、半導体チップ22を上方から撮像可能に構成されている。撮像装置6としては、例えば公知のCCDカメラを用いることができる。撮像装置6は、ピックアップ対象の半導体チップ22の全体像を撮像し、その画像を取得する。半導体チップ22の全体が撮像装置6の撮像範囲内に納まっている。半導体チップ22は、発光部5の光が透過している状態で撮像される。撮像装置6によって撮像された画像には、半導体チップ22の像と発光部5の光の像とが写し出される。撮像装置6は、x、y、z方向にそれぞれ移動可能であり、図示しない駆動装置の作動により移動する。撮像装置6は、半導体チップ22を撮像するときは、半導体チップ22の上方に配置される。また、撮像装置6は、半導体チップ22を撮像しないときは、半導体チップ22の上方から退避可能である。
【0023】
また、ピックアップ装置2は、撮像装置6によって撮像された画像に基づいて半導体チップ22に対する突き上げピン4の位置を演算する演算装置8を備えている。演算装置8は、撮像装置6によって撮像された半導体チップ22の像の位置と発光部5の像の位置とに基づいて、半導体チップ22に対する突き上げピン4の位置を演算する。具体的には、例えば実施形態における演算装置8は、まず半導体チップ22の像の輪郭の座標と発光部5の像の輪郭の座標から、半導体チップ22に対する発光部5の位置を演算する。続いて、演算装置8は、予め定められた発光部5と突き上げピン4の位置関係に基づいて、半導体チップ22に対する突き上げピン4の位置を演算する。すなわち、突き上げピン4に対する発光部5の位置が予め定められているので、半導体チップ22に対する発光部5の位置が演算されると、その演算結果から半導体チップ22に対する突き上げピン4の位置が演算される。なお、演算装置8における演算方法は、半導体チップ22に対する突き上げピン4の位置を演算できればよく、特に限定されるものではない。例えば、撮像された半導体チップ22の像における頂点の座標や発光部5の像における中心点の座標等を用いて演算してもよい。演算装置8による演算結果の情報は移動装置9に送られる。
【0024】
移動装置9は、
図1に示すように、ベース91と、ベース91の上に配置されたx方向移動テーブル92と、x方向移動テーブル92の上に配置されたy方向移動テーブル93とを備えている。ベース91の上には、x方向に延びるx方向レール911が固定されている。x方向レール911は、x方向移動テーブル92をx方向に案内する。x方向移動テーブル92の上には、y方向に延びるy方向レール921が固定されている。y方向レール921は、y方向移動テーブル93をy方向に案内する。x方向移動テーブル92は、図示しない駆動装置の作動により、ベース91上においてx方向レール911に沿ってx方向に移動する。y方向移動テーブル93は、図示しない駆動装置の作動により、x方向移動テーブル92上においてy方向レール921に沿ってx方向に移動する。y方向移動テーブル93の上にはピン保持具3が固定されている。移動装置9がy方向及びx方向に移動することにより、ピン保持具3が半導体チップ22に対して移動する。これにより、突き上げピン4が半導体チップ22に対して移動する。
【0025】
また、移動装置9は、演算装置8により演算された位置に基づいてピン保持具3を移動する。具体的には、例えば、演算装置8により演算された半導体チップ22に対する突き上げピン4の位置がずれている場合には、移動装置9はピン保持具3を移動する。より詳細には、例えば、突き上げピン4の位置が半導体チップ22の中心部からずれている場合には、移動装置9は、半導体チップ22の中心部の下方に突き上げピン4が位置するようにピン保持具3を移動する。移動装置9は、x方向移動テーブル92及びy方向移動テーブル93の移動により、ピン保持具3を前後左右に動かす。これにより移動装置9は、半導体チップ22に対して突き上げピン4を移動する。このように、移動装置9は、演算装置8により演算された位置に基づいて、半導体チップ22に対する突き上げピン4の位置を調整することができる。
【0026】
チップ保持具7は、例えば公知のコレットを用いることができる。このチップ保持具7は、空気を吸引するときの吸引力により半導体チップ22を保持する。チップ保持具7は、突き上げピン4により上方に突き上げられた半導体チップ22を上方から保持する。チップ保持具7は、x、y、z方向にそれぞれ移動可能であり、図示しない駆動装置の作動により移動する。チップ保持具7は、半導体チップ22を保持するときは、半導体チップ22の上方に配置される。また、チップ保持具7は、半導体チップ22を保持しないときは、半導体チップ22の上方から退避可能である。
【0027】
次に、上記の構成を備えるピックアップ装置2の作動について説明する。上記のピックアップ装置2は、半導体チップ22の上方に撮像装置6を配置し、下方にピン保持具3を配置し、さらに発光部5を発光させた状態で、撮像装置6により半導体チップ22を撮像し、半導体チップ22の画像を取得する。取得した画像には、
図7に示すように、半導体チップ22の像61と発光部5の光の像62とが写し出されている。取得した画像の情報は演算装置8に送られる。
【0028】
撮像装置6は、半導体チップ22を撮像した後に半導体チップ22の上方から退避する。撮像装置6に替えて、チップ保持具7が移動して、半導体チップ22の上方にチップ保持具7が配置される。
【0029】
演算装置8は、取得した画像情報に基づいて、半導体チップ22に対する突き上げピン4の位置を演算する。例えば、演算装置8は、まず撮像装置6によって撮像された半導体チップ22の像61と発光部5の光の像62との位置関係を演算する。具体的には、撮像された像61、45の輪郭の座標に基づいて、半導体チップ22に対する発光部5の位置が演算される。続いて、演算装置8は、予め定められた突き上げピン4に対する発光部5の位置関係と、発光部5と突き上げピン4との位置関係とに基づいて、半導体チップ22に対する突き上げピン4の位置を演算する。
【0030】
上述の説明から明らかなように、実施形態に係るピックアップ装置2は、突き上げピン4に対して定められた位置の発光部5の光が透過している半導体チップ22を撮像し、撮像された発光部5の光の像の位置に基づいて半導体チップ22に対する突き上げピン4の位置を演算している。これにより、突き上げピン4が半導体チップ22の陰に位置するときでも、発光部5の光を利用して突き上げピン4の位置を求めることができ、半導体チップ22に対する突き上げピン4の位置を正確に認識することができる。
【0031】
また、ピックアップ装置2は、撮像された半導体チップ22の像61の位置と発光部5の光の像62の位置に基づいて突き上げピン4の位置を演算している。このような構成によると、半導体チップ22に対する撮像装置6の位置が一定でなくても、半導体チップ22、発光部5及び突き上げピン4の位置関係に基づいて、突き上げピン4の位置をより正確に認識することができる。また、発光部5が突き上げピン4の周囲に環状に配置されているので、撮像された像の中心部の位置を容易に把握することができ、突き上げピン4の位置をより正確に認識することができる。
【0032】
また、ピックアップ装置2は、演算装置8による演算の結果、半導体チップ22に対する突き上げピン4の位置がずれているときは、移動装置9により突き上げピン4を移動することができる。例えば、突き上げピン4が半導体チップ22の中心部の下方に位置していないときは、移動装置9のx方向移動テーブル92およびy方向移動テーブル93をx、y方向にそれぞれ移動する。これにより、ピックアップ装置2は、突き上げピン4を移動させ、半導体チップ22に対する突き上げピン4の位置を適切な位置にする。このように、ピックアップ装置2は、移動装置9を備えることにより、突き上げピン4を半導体チップ22に対して適切な位置に配置することができる。
【0033】
ピックアップ装置2は、半導体チップ22に対して突き上げピン4が適切な位置に配置された状態で、突き上げピン4を上昇させ、半導体チップ22を突き上げる。すなわち、移動装置9によって突き上げピン4が移動した後、図示しない駆動装置が作動することにより、突き上げピン4が上方に動き、ピン保持具3の上端部から上方に突出する。突出した突き上げピン4によりピックアップ対象の半導体チップ22が突き上げられる。突き上げられた半導体チップ22は、
図6に示すように、半導体チップ22の上方のチップ保持具7により保持される。
【0034】
以上、一実施形態について説明したが、具体的な態様は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態では発光部5が円環状に配置されていたが、発光部5の配置は円形の環状に限定されるものではなく、例えば四角形や五角形等の多角形の環状であってもよい。
【0035】
また、発光部5の構成は上記実施形態に限定されるものではない。発光部の構成としては、半導体チップ22に光を投射するために種々の構成を用いることができる。例えば、発光部は、LED等の光源と、光ファイバー等の導光部材とを備えていてもよい(いずれも図示省略)。このような構成によれば、光源の光が導光部材を通して半導体チップに投射される。また、発光部の数は特に限定されず、1つ又は複数の発光部を用いることができる。例えば、単一のLED光源を発光部として用いてもよい。
【0036】
また、発光部5の配置位置は、突き上げピン4に対して予め設定された位置に配置されていれば特に限定されるものではない。例えば、
図8に示すように、発光部5は、ピン保持具3の内部に配置されていてもよい。発光部5は、突き上げピン4の周囲に配置されている。突き上げピン4に対する発光部5の位置は予め定められている。また、発光部5は、ピン孔41の下方に配置されている。発光部5の光は、複数のピン孔41を通して半導体チップ22に投射される。このような構成によっても発光部5の光を利用して突き上げピン4の位置を求めることができる。また、発光部5がピン保持具3に配置されているので、ピン保持具3の上部が半導体チップ22に接近することにより、発光部5の光を半導体チップ22に確実に投射することができる。
【0037】
また、
図9に示すように、発光部5は、突き上げピン4の下側に配置されていてもよい。発光部5は突き上げピン4に固定されている。これにより、突き上げピン4に対する発光部5の位置が予め定められている。突き上げピン4は、発光部5の上方において上下方向に延びている。また、突き上げピン4は、光透過性の材料から形成されている。光透過性の材料としては、例えば光ファイバーやガラスを用いることができる。発光部5の光により突き上げピン4が発光する。発光部5の光は、突き上げピン4の下端から入射し、上端まで透過する。突き上げピン4を通して発光部5の光が半導体チップ22に投射される。このような構成によれば、突き上げピン4が発光するので、光の像の位置に基づいて突き上げピン4の位置を演算するときに、突き上げピン4の位置を正確に求めることができる。
【0038】
また、突き上げピン4の構成は上記実施形態に限定されるものではない。
図10に示すように、突き上げピン4には、発光部5の光を案内する導光路51が形成されていてもよい。導光路51は、突き上げピン4の中心部で上下方向に延びており、突き上げピン4の上端から下端まで貫通している。発光部5は、導光路51の内部に配置されている。これにより、突き上げピン4に対する発光部5の位置が予め定められている。発光部5の光は、導光路51を通して半導体チップ22に投射される。このような構成によれば、発光部5の光の位置が突き上げピン4内の導光路51の位置に対応するので、光の像の位置に基づいて突き上げピン4の位置を演算するときに、突き上げピン4の位置を正確に求めることができる。
【0039】
また、突き上げピン4は、光不透過性の材料から形成されていてもよい。光不透過性の材料としては、例えば白色や黒色に着色された熱可塑性樹脂を用いることができる。
図11に示すように、発光部5は、突き上げピン4の周囲に配置されており、突き上げピン4を取り囲んでいる。発光部5が発光すると、半導体チップ22に光が投射されるが、光不透過性の突き上げピン4に対応する部分には光が投射されない。したがって、半導体チップ22には、突き上げピン4の影が投影される。このような構成によれば、半導体チップ22に発光部5の光が投射されると共に、突き上げピン4の影が投影されるので、光の像の位置に基づいて突き上げピン4の位置を演算するときに、突き上げピン4の位置を正確に求めることができる。
【0040】
また、
図12に示すように、ピックアップ装置2は、突き上げピン4とは別に、一又は複数の位置決めピン45を更に備えていてもよい。本実施形態では複数(2本)の位置決めピン45を用いている。位置決めピン45は、ピックアップ対象の半導体チップ22の下方で上下方向(z方向)に延びている。位置決めピン45は、概して棒状の部材であり、半導体チップ22に向かって延びている。位置決めピン45は、ピン保持具3のピン孔41を通じて上下に進退可能である。位置決めピン45は、突き上げピン4に対して予め定められた位置に配置されている。すなわち、位置決めピン45と突き上げピン4との距離Lが予め定められている。位置決めピン45は、光透過性の材料から形成されている。光透過性の材料としては、例えば光ファイバーやガラスを用いることができる。位置決めピン45は、発光部5の上方において上下方向に延びている。位置決めピン45の下側に発光部5が配置されている。発光部5の光により位置決めピン45が発光する。位置決めピン45と突き上げピン4との距離Lが予め定められ、位置決めピン45の下側に発光部5が配置されることにより、突き上げピン4に対する発光部5の位置が予め定められる。発光部5の光は、位置決めピン45の下端から入射し、上端まで透過する。位置決めピン45を通して発光部5の光が半導体チップ22に投射される。このような構成によれば、発光部5の光を位置決めピン45を通して半導体チップ22にピンポイントで投射できる。ピンポイントの投射により、撮像される発光部5の光の像が明確になるので、光の像の位置に基づいて突き上げピン4の位置を演算するときに、突き上げピン4の位置を正確に求めることができる。
【0041】
また、上記実施形態は、移動装置9によりピン保持具3を移動することにより、半導体チップ22に対して突き上げピン4を移動する構成であるが、半導体チップ22と突き上げピン4が相対移動できる構成であれば特に限定されるものではない。例えば、半導体ウェハ21を移動するウェハ移動装置を別途設置し、ウェハ移動装置によって半導体ウェハ21を移動することにより、突き上げピン4に対して半導体チップ22を移動させてもよい。このような構成によっても半導体チップ22と突き上げピン4を相対移動させ、半導体チップ22に対する突き上げピン4の位置を調整することができる。
【0042】
なお、半導体チップ22の厚みが薄く、半導体チップ22の上方から下方が透けて見える場合、ピックアップ装置2は、半導体チップ22の下方に配置された物体を、発光部5の代わりにしてもよい。この場合、発光部5を動作させる必要はなく、撮像装置6は、半導体チップ22から透けて見える物体を、発光部5の代わりに撮像する。半導体チップ22および半導体チップ22から透けて見える物体を撮像した画像から、半導体チップ22と物体との位置を演算することができ、演算した位置関係に基づいて、半導体チップ22に対する突き上げピン4の位置を演算することができる。
【0043】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、請求の範囲を限定するものではない。請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。