(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記深さ(D)は、前記被着部材の高さ(H)の関数として測定され、且つ前記被着部材の横方向の中点で測定すると、前記深さ(D)の前記高さ(H)に対する比率は、D:H=1:3〜1:4である、請求項1〜2のいずれか1項に記載の締着システム。
前記深さ(D)は、前記目印の高さ(H)の関数として測定され、且つ前記目印の横方向の中点で測定すると、前記深さ(D)の前記高さ(H)に対する比率は、D:H=約1:3〜約1:4である、請求項8又は9のいずれか1項に記載の締着システム。
前記被着部材が、相補的面ファスナーシステムのループ部を有し、且つ前記目印のうち、少なくとも前記被着部材と重ならない部分は、前記相補的面ファスナーシステムのループ部を有していない、請求項8〜12のいずれか1項に記載の締着システム。
【発明を実施するための形態】
【0011】
用語の定義
本開示を理解する上で、以下の用語の説明が有用であり得る。
【0012】
「吸収性物品」とは、身体排出物を吸収して閉じ込める装置のことを指し、より詳細には、着用者の身体に接して又は近接して置かれることによって、身体から排出される様々な排出物を吸収して閉じ込める装置のことを指す。吸収性物品としては、おむつ、トレーニングパンツ、成人用失禁下着、女性用衛生製品、胸パッド、ケアマット、よだれ掛け、創傷包帯製品、及び同種のものを挙げることができる。本明細書で使用するところの用語「体液」又は「身体排出物」としては、これらに限定されるものではないが、尿、血液、膣排出物、母乳、汗及び糞便が挙げられる。
【0013】
「吸収性コア」は、吸収性物品が受け取った液体を吸収し封入するために、吸収性物品のトップシートとバックシートとの間に配置され得る構造体を意味し、1つ又は2つ以上の基材と、1つ又は2つ以上の基材上に配置された吸収性ポリマー材料と、吸収性粒子状ポリマー材料を1つ又は2つ以上の基材上に固定化するための、吸収性粒子状ポリマー材料上及び1つ又は2つ以上の基材の少なくとも一部分上の熱可塑性組成物とを含んでもよい。多層吸収性コアでは、吸収性コアはまたカバー層も含んでもよい。1つ又は2つ以上の基材及びカバー層は、不織布を備えてもよい。更に、吸収性コアは、実質的にセルロースを含まなくてもよい。吸収性コアには、吸収性物品の獲得システム、トップシート、又はバックシートは含まれない。
【0014】
「吸収性ポリマー材料」、「吸収性ゲル材料」、「AGM」、「超吸収体」、及び「超吸収性材料」は、互換的に使用され、遠心分離保持容量試験(エダナ(Edana)441.2−01)を使用して測定したときに、0.9%食塩水溶液をその重量の少なくとも5倍吸収可能な架橋された高分子材料を指す。
【0015】
「吸収性粒子状ポリマー材料」は、乾燥状態で流動性を有する微粒子状形態である吸収性ポリマー材料を意味する。
【0016】
「吸収性微粒子ポリマー材料領域」は、第1の基材及び第2の基材が多数の超吸収性微粒子によって隔てられたコアの領域を意味する。この領域の外側には、第1の基材64と第2の基材との間に幾つかの外部超吸収性微粒子が存在してもよい。
【0017】
「活性化」とは、歯と溝との噛み合いによって発生する引っ張り歪みによって中間のウェブ部分を延伸又は伸長する任意のプロセスを意味する。こうしたプロセスは、通気性フィルム、伸縮性複合材料、孔あき材料及びテクスチャ加工材料などの多くの物品の製造において有用であることが分かっている。不織布では、延伸によって繊維再配向、繊維のデニール及び/又は断面の変化、坪量の低下、及び/又は中間ウェブ部分の制御された繊維破壊が生じ得る。一般的な活性化方法としては、例えば、前記技術分野ではリングロール加工として知られるプロセスがある。
【0018】
「エアフェルト」とは、粉砕木材パルプを意味し、粉砕木材パルプとはセルロース繊維の1つの形態である。
【0019】
「坪量」とは、単位面積当たりの乾燥繊維材料の質量、即ち、単位面積当たりの乾燥シートの質量、例えば、1平方メートル当たりのグラム数(gsm)を意味する。
【0020】
「身体に面する表面」及び「身体に面する側」は、吸収性物品の表面及び/又はその構成要素であって、前記吸収性物品が着用された際に着用者の身体に面するものを指す。さらに、「衣類に面する表面」及び「衣類に面する側」という用語は、吸収性物品の表面及び/又はその構成要素であって、前記吸収性物品が着用された際に、着用者の身体とは逆を向いているものを指す。吸収性物品と、トップシート、バックシート、吸収性コアを含むその構成要素と、その構成要素のあらゆる個々の材料とは、身体に面する表面及び/又は側面、及び衣類に面する表面及び/又は側面を有する。
【0021】
「バイコンポーネント繊維」は、別個の押出成形機から押し出されるが共に紡糸されて1つの繊維を形成する、少なくとも2つの異なるポリマーから形成された繊維を意味する。バイコンポーネント繊維は、複合繊維又は多要素繊維と呼ばれることもある。各ポリマーは、バイコンポーネント繊維の断面においてほぼ位置が一定した異なる領域に配され、バイコンポーネント繊維の長さに沿って連続的に延びる。そのようなバイコンポーネント繊維の構成は、例えば、1つのポリマーが別のポリマーにより包囲されたシース/コア配置とするか、又はサイドバイサイド配置、パイ型配置、又は「海島型」配置とすることができる。
【0022】
「含む(comprise)」、「含んでいる(comprising)」、及び「備える(comprises)」は非限定的な用語であり、それぞれの語の後に記載されるもの(例えば構成要素)の存在を特定するものであるが、他の特徴(例えば要素、工程、前記技術分野において既知であるか、又は本明細書に開示される構成要素)の存在を除外するものではない。
【0023】
「本質的に〜からなる」とは、請求項におけるもののような発明の主題を、材料又は工程、並びに前記主題の基本的及び新しい特徴に実質的に影響しないものに限定するのに使用される。
【0024】
「使い捨て式の」とは、その通常の意味において、様々な期間にわたって、限定された使用回数、例えば約20回未満、約10回未満、約5回未満、又は約2回未満の後に処分又は廃棄される物品を意味するものとして使用される。
【0025】
「おむつ」とは、幼児及び失禁症状のある人が着用者の腰部及び脚部を取り巻くように、胴体下部の周りに一般に着用し、具体的には、尿及び糞便を受容し及び封じ込めるように適合された吸収性物品を意味する。本明細書で使用するとき、用語「おむつ」は、以下で定義されている「パンツ」も包含する。
【0026】
「繊維」及び「フィラメント」は、同じ意味で使用される。
【0027】
「フィルム」は、1つ以上のポリマーで形成される材料の皮膚様又は膜様の層を意味し、統合されたポリマー繊維及び/又は他の繊維のウェブ様構造から主に構成される形態を有しない。
【0028】
「内側」及びその形態は、締着部材の特徴に関し、自由遠位端から最も遠い、又は自由遠位端から離れる方向を意味する。
【0029】
「接合した」という用語は、要素を他の要素に直接付着させることによりその要素が他の要素に直接固定される構成と、一つの要素を中間部材に付着させて、次に中間部材を他の要素に付着させることにより、その要素が他の要素に間接的に固定される構成とを包含するよう意図されている。
【0030】
「長手方向」は、物品が平らに延ばされた非収縮状態のときに吸収性物品の腰部縁部から長手方向に対向する腰部縁部まで、又は2つ折りにされた物品では、腰部縁部から股部の底部(即ち、折り目)まで、実質的に垂直に走る方向を意味する。長手方向から45°以内の方向は、「長手方向」であると見なされる。「横方向」とは、物品の長手方向に延びる側縁部から、横方向に対向する長手方向に延びる側縁部まで、長手方向にほぼ垂直に走る方向を意味する。横方向の45度以内の方向は「横方向」であると見なされる。
【0031】
「機械方向」(MD)は、プロセスを貫流する材料の方向を意味する。加えて、材料の相対的配置及び動きは、プロセスの上流からプロセスの下流へと、プロセス全体で機械方向に流れるものとして記述され得る。「横断方向」(CD)は、本明細書において、機械方向に対してほぼ垂直な方向を意味する。ウェブに関して「Z方向」は、機械方向及び横断方向寸法に沿ってウェブによって近似される平面に対して、概ね直交又は垂直を意味する。
【0032】
「不織布」は、一方向に又は不規則に配向され、摩擦及び/又は粘着及び/又は接着により固着された繊維の、人造シート、ウェブ、又はバットであるが、紙と、縫うかどうかを問わず、織られた、編まれた、房状の、糸若しくはフィラメントの結合を組み込んでステッチボンドされた、又は湿式ミリングによるフェルト加工された製品と、を除く。繊維は、天然起源のものであっても人工起源のものであってもよく、短繊維若しくは連続フィラメントであっても、又はその場で形成されたものであってもよい。市販の繊維は、約0.001mm未満〜約0.2mmを上回る範囲の直径を有し、幾つかの異なる形態、すなわち、短繊維(ステープル又は細断繊維として知られる)、連続単繊維(フィラメント又はモノフィラメント)、撚り合わせていない連続フィラメントの束(タウ糸)、及び連続フィラメントの撚り束(編み糸)として提供されている。不織布繊維は、メルトブロー法、スパンボンド法、溶剤紡糸法、静電紡糸法、及びカード法等、多くのプロセスによって形成することができる。不織布繊維の坪量は、通常、一平方メートル当たりのグラム(gsm)で表される。
【0033】
「外側」及びその形態は、締着部材の特性に関し、自由遠位端側、又はそれに向かう方向を意味する。
【0034】
「パンツ」又は「トレーニングパンツ」は、乳児又は成人の着用者に合わせて設計された腰部開口部と脚部開口部とを有する使い捨て衣類を指す。パンツは、着用者の脚を脚部開口部に挿入し、パンツを着用者の胴体下部の周囲にまでずらすことによって着用者に対して定位置に置くことができる。パンツは、再締着可能な及び/又は再締着不可能な結合(例えば、縫い目、溶接、接着剤、粘着結合、締着具など)を使用する物品の一部分の相互接合を含むが、これらに限定されない好適な任意の技術により予備成形されてもよい。パンツは、物品の外周に沿った任意の位置において予備成形することができる(例えば、側面固定、前腰部固定)。用語「パンツ(単数又は複数)」が本明細書では使用されるが、パンツは、一般に「密閉型おむつ」、「事前締着型おむつ」、「プルオン型おむつ」、「トレーニングパンツ」、及び「おむつパンツ」とも呼ばれる。好適なパンツは、1993年9月21日にHasseらに発行された、米国特許第5,246,433号、1996年10月29日にBuellらに発行された、米国特許第5,569,234号、2000年9月19日にAshtonに発行された、米国特許第6,120,487号、2000年9月19日にJohnsonらに発行された、米国特許第6,120,489号、1990年7月10日にVan Gompelらに発行された、米国特許第4,940,464号、1992年3月3日にNomuraらに発行された、米国特許番号5,092,861号、2002年6月13日に出願された、米国特許公開第2003/0233082 A1号、表題「Highly Flexible And Low Deformation Fastening Device」、1999年4月27日にKlineらに発行された、米国特許第5,897,545号、1999年9月28日にKlineらに発行された、米国特許第5,957,908号に開示されている。
【0035】
「実質的にセルロースを含まない」とは、10重量%未満のセルロース繊維、5重量%未満のセルロース繊維、1重量%未満のセルロース繊維を含有する、セルロース繊維を含有しない、又は微量を超えたセルロース繊維を含有しない、吸収性コアなどの物品を意味する。ごく微量のセルロース材料は、吸収性コアの薄さ、可撓性、又は吸収性に大きく影響することはない。
【0036】
「実質的に連続的に分布した」は、吸収性微粒子ポリマー材料領域内において、第1の基材64及び第2の基材72が多数の超吸収性微粒子によって隔てられていることを示す。吸収性粒子状ポリマー材料領域内において、第1の基材64と第2の基材72との間に小さな偶発接触領域が存在してもよいことが認められる。第1の基材64と第2の基材72との間にある偶然接触領域は、意図的であっても意図的でなくてもよい(例えば、製造過程で人為的に発生したもの)が、枕状体、ポケット、管、キルトパターンなどのような幾何学的配列を形成しない。
【0037】
「引張強度」は、本明細書に記載される引張強度測定方法によって測定されたときの、引張破損前の材料が耐えるであろう最大引張力(ピーク力)を指す。
【0038】
「熱可塑性接着剤材料」は、乾燥した状態及び濡れた状態の両方において超吸収性材料を不動化する目的で超吸収性材料に塗布され、繊維が形成されるポリマー組成物を含むものと解される。本開示の熱可塑性接着剤材料は、超吸収性材料を覆って繊維性網状組織を形成する。
【0039】
「厚さ」及び「キャリパー」は、本明細書において同じ意味で使用される。
【0040】
実施形態によっては、吸収性物品はおむつである。便宜上、例示的な吸収性物品は、おむつを参照して説明される。当業者は、他の吸収性物品も、トップシート及び本明細書に開示される関連部品で組み立てることができることを理解するであろう。
【0041】
図1は、おむつ10が広げた非収縮状態(弾性による収縮がない)で示された平面図であり、おむつ10の一部は、おむつ10の下部構造をより明瞭に示すために、切り取られている。着用者に接触するおむつ10の部分は、
図1において観察者の方を向いている。おむつ10は一般に、シャーシ12と、シャーシ内に配置される吸収性コア14と、を備えていてもよい。
【0042】
図1のおむつ10のシャーシ12は、液体透過性であり得るトップシート18、及び/又は液体不透過性であり得るバックシート20を含む、外側カバー16を含んでもよい。吸収性コア14は、トップシート18とバックシート20との間に包まれていてもよい。シャーシ12は、サイドパネル22、弾性レッグカフ24、及び腰部弾性機能部26を更に含んでもよい。
【0043】
レッグカフ24及び腰部弾性機能部26はそれぞれ、弾性部材28を含み得る。おむつ10の1つの末端部は、おむつ10の第1の腰部区域30として構成されてもよい。おむつ10の反対側の末端部は、おむつ10の第2の腰部区域32として構成されてもよい。おむつ10の中間部分は、股部区域34として構成されてもよく、これは、第1の腰部区域30と第2の腰部区域32との間を長手方向に延びている。腰部区域30及び32は、着用者のウエストの周りでギャザーを寄せてフィット性及び封入性を改善するように、弾性要素を包含してもよい(腰部弾性機能部26)。股部区域34は、おむつ10が装着されるとき、着用者の脚部の間に概ね存在する、おむつ10の上記部分である。
【0044】
おむつ10は、長手方向軸36及び横方向軸38を有するものとして、
図1に表される。おむつ10の外周40は、長手方向縁部42がおむつ10の長手方向軸36にほぼ平行に延び、終縁部44がおむつ10の横断方向軸線38にほぼ平行に長手方向縁部42の間を延びる、おむつ10の外側縁部によって画定される。シャーシ12は、締着システムをも備えていてよく、前記システムは、少なくとも1つの締着部材46と、少なくとも1つの格納された被着部材48と、を含んでいてよい。
【0045】
また、おむつ20は前記技術分野において既知のその他の機構(前及び後耳パネル、ウエストキャップ機構、弾性体などを包含する)を含み、フィット性、封入性、審美特性を向上させてもよい。このような追加的な特徴は、米国特許第3,860,003号、及び同第5,151,092号に記載される。
【0046】
おむつ10を着用者の周囲の定位置に保持するため、第1の腰部区域30の少なくとも一部を、締着部材46により第2の腰部区域32の少なくとも一部に取り付けることによって、脚部開口部及び物品の腰部開口部を形成することができる。締結する時、締着システムが物品の腰部周辺の引張荷重を伝達する。締着システムにより、物品のユーザーは、締着システムの1要素、例えば締着部材46を保持し、少なくとも2箇所で第1腰部区域30を第2腰部区域32に連結させることができる。これは、締着システムの要素間の結合強度を操作することによって実現することができる。
【0047】
締着部材46は、再締着可能に第1腰部区域30と連結するように適合されている。そのために、締着部材46は、さまざまなタイプの再締着可能に係合可能な締着具及びさまざまなタイプの再締着可能な締着構造体を含んでいてよい。例えば、締着部材46は、面ファスナー式締着具、フック・フック式締着具、マクロ締着具、ボタン、スナップ、タブ・スロット式締着具、テープ式締着具、接着式締着具、粘着式締着具、磁気式締着具、及び雄雌式締着具などの形式の、機械的締着具を含んでもよい。締着システム及び/又は締着用構成要素のいくつかの例が、米国特許第3,848,594号、第4,662,875号、第4,846,815号、第4,894,060号、第4,946,527号、第5,151,092号、第5,221,274号、第6,251,097号、第6,669,618号、及び第6,432,098号、並びに米国特許出願公開第2007/0078427号及び第2007/0093769号に論じられている。
【0048】
いくつかの実施形態によると、おむつ10は、再閉止可能な締着システムを備えることが可能であり、あるいは、パンツ型おむつの形態で提供され得る。吸収性物品がおむつである場合、おむつを着用者に固定するために、シャーシに接合した再閉止可能な締着システムを含むことが可能である。吸収性物品がパンツ型おむつである場合、物品は、シャーシに、また互いに接合された少なくとも2つのサイドパネルを含んで、パンツを形成することが可能である。締着システム及びその任意の構成要素は、プラスチック、フィルム、発泡体、不織布、織布、紙、積層体、繊維強化プラスチックなど、又はこれらの組み合わせを含む(ただしこれらに限られない)、こうした用途に適した任意の材料を含み得る。特定の実施形態では、締着システムを構成する材料は、可撓性材料であり得る。こうした可撓性により、締着システムを身体の形状に適合させることができるため、締着システムが着用者の皮膚を刺激したり傷つけたりする可能性を低減させることができる。
【0049】
トップシート18、バックシート20、及び吸収性コア14は、例えば、米国特許第5,554,145号、第5,569,234号、及び第6,004,306号に一般的に記載されるような、様々な構成で組み立てられてもよい。使い捨て吸収性物品を構築及び構成するための、おむつを組み立てる方法は、前記技術分野において既知の従来の技術を含む。例えば、バックシート及び/又はトップシートは、接着剤の均一な連続層、接着剤の模様付き層、又は接着剤の別個の線、螺旋、又は点の配列により、吸収性コアに結合させるか、又は互いに結合させることができる。満足のいくものであることが判明した接着剤の製造元は、H.B.Fuller Company(St.Paul,Minnesota)であり、その製品名は、HL−1258又はH−2031である。
【0050】
いくつかの実施形態では、
図1のトップシート18は、全体的に又は部分的に弾性を持たせてもよく、あるいは収縮してトップシート18と吸収性コア14との間に空間を提供してもよい。弾性のある又は収縮されたトップシートを含む代表的な構造体が、米国特許第5,037,416号及び同第5,269,775号により詳細に記載されている。
【0051】
バックシート26は、トップシート18に接合されてもよい。バックシート20は、吸収性コア14に吸収され、おむつ10内に収容される排出物が、ベッドシーツ及び下着などの、おむつ10に接触する可能性があるその他の外部物品を汚すのを防いでもよい。特定の実施形態では、バックシート26は、液体(例えば、尿)に対して実質的に不透過性であってもよく、不織布の積層体及び約0.012mm(0.5ミル)〜約0.051mm(2.0ミル)の厚さを有する熱可塑性フィルムのような、薄いプラスチックフィルムを含んでもよい。好適なバックシートフィルムとしては、インディアナ州テレ・ホート(Terre Haute)のトレデガー・インダストリーズ社(Tredegar Industries Inc)によって製造され、商品名X15306、X10962、及びX10964として販売されているものが挙げられる。他の好適なバックシート材料としては、蒸気をおむつ10から逃がしつつも、なお液体排出物がバックシート10を通過するのを防止する通気性材料を挙げてもよい。代表的な通気性材料としては、織布ウェブ、不織ウェブ、フィルムコーティング不織ウェブなどの複合材料、並びにエスポアール(ESPOIR)NOの呼称で日本の三井東圧株式会社(Mitsui Toatsu Co.)により製造されているミクロ孔質フィルム及びエグザイア(EXXAIRE)の名称でテキサス州ベイシティー(Bay City)のエクソンケミカル社(EXXON Chemical Co.)により製造されているようなミクロ孔質フィルムなどの材料を挙げることができる。ポリマーブレンドを含む適した通気性複合材料は、名称ハイトレル(HYTREL)ブレンドP18−3097として、クロペイ社(Clopay Corporation)(オハイオ州シンシナティ(Cincinnati, OH))から入手可能である。このような通気性複合材料は、PCT出願第WO 95/16746号(1995年6月22日に公開、E.I.DuPont名義)に詳細に記載される。不織布ウェブ及び孔形成フィルムを含む他の通気性バックシートは、米国特許第5,571,096号に記載されている。
【0052】
図2は、断面線2−2に沿って取られた、
図1に示されるおむつの断面図である。
図2に示されるように、トップシート18は、内部の身体に面する表面を画定してもよく、バックシートは、おむつ10の外側の衣類に面する表面を画定してもよい。さらに吸収性コア14はトップシートとバックシートとの間に位置付けられてもよい。おむつ10は、液体透過性トップシート18と吸収性コア14の着用者に面する側との間に配置される獲得システム50を含んでもよい。獲得システム50は、吸収性コアと直接接触していてよい。獲得システム50(また、本明細書においては液体獲得層50とも称される)は、着用者の皮膚の方を向く上方獲得層52(本明細書においてはまた、第1獲得層52とも称される)などの単一又は多数の層、及び着用者の衣類の方を向く下方獲得層54(本明細書においては、第2獲得層54とも称される)などの、単一層、又は多層を含み得る。いくつかの実施形態では、獲得システム50は、尿の噴出など、急増する液体を受け取るように機能してもよい。換言すれば、獲得システム50は、吸収性コア14が液体を吸収できるまで液体の一時的リザーバとしての機能を果たしてもよい。
【0053】
いくつかの実施形態において、獲得システム50は、化学的に架橋したセルロース繊維を含み得る。このような架橋されたセルロース繊維は、所望の吸収特性を有し得る。化学的に架橋されたセルロース繊維の一例が、米国特許第5,137,537号に開示されている。特定の実施形態では、化学的に架橋されたセルロース繊維は、グルコース単位に基づいて、0.5モル%〜10.0モル%のC
2〜C
9ポリカルボン酸架橋剤で、又は1.5モル%〜6.0モル%のC
2〜C
9ポリカルボン酸架橋剤で架橋される。クエン酸は代表的な架橋剤の1つである。いくつかの実施形態においては、ポリアクリル酸が使用され得る。更に、いくつかの実施形態によると、架橋されたセルロース繊維は、25〜60、又は28〜50、又は30〜45の保水値を有する。保水値を決定するための方法は、米国特許第5,137,537号に開示されている。いくつかの実施形態によると、架橋されたセルロース繊維は、捲縮されるか、撚り合わされるか、又はカールされてもよく、あるいは、捲縮、撚り合わせ、及びカールを包含するそれらの組み合わせであってもよい。
【0054】
いくつかの実施形態において、上方獲得層52及び下方獲得層54の一方又は両方が、親水性であり得る、不織布を含み得る。更に、いくつかの実施形態によると、上方獲得層52及び下方獲得層54の一方又は両方が化学的に架橋されたセルロース繊維を含んでもよく、これらセルロース繊維は不織布材料の一部を形成しても形成しなくてもよい。いくつかの実施形態によると、上方獲得層52は、架橋されたセルロース繊維を有さない不織布を含んでもよく、下方獲得層54は、化学的に架橋されたセルロース繊維を含んでもよい。更にいくつかの実施形態によると、下方獲得層54は、天然又は合成高分子繊維などの他の繊維と混合された、化学的に架橋されたセルロース繊維を含んでもよい。いくつかの実施形態によれば、このような他の天然又は合成ポリマー繊維としては、表面積の大きな繊維、熱可塑性結合繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、PET繊維、レーヨン繊維、リオセル繊維、及びこれらの混合物を挙げることができる。いくつかの実施形態によると、下方獲得層54が、ある全乾燥重量を有するとして、架橋されたセルロース繊維は、上方獲得層において乾燥重量基準で下方獲得層54の30重量%〜95重量%の量で存在しており、また、その他の天然又は合成高分子繊維は、下方獲得層54において乾燥重量基準で下方獲得層54の70重量%〜5重量%の量で存在している。別の実施形態によれば、架橋されたセルロース繊維は、乾燥重量基準で下方獲得層54の80重量%〜90重量%の量で第1獲得層中に存在し、他の天然又は合成ポリマー繊維は、乾燥重量基準で下方獲得層54の20重量%〜10重量%の量で下方獲得層54中に存在する。
【0055】
例えば、いくつかの実施形態では、下方獲得層54は、70重量%の化学的に架橋されたセルロース繊維、10重量%のポリエステル(PET)、及び20重量%の未処理のパルプ繊維を含んでもよい。他の実施形態によると、下方獲得層54は、70重量%の化学的に架橋されたセルロース繊維、20重量%のリオセル繊維、及び10重量%のPET繊維を含んでもよい。さらに他の実施形態によると、下方獲得層54は、68重量%の化学的に架橋されたセルロース繊維、16重量%の未処理のパルプ繊維、及び16重量%のPET繊維を含んでもよい。ある1つの実施形態では、下部捕捉層54は、90〜100重量%の化学的に架橋されたセルロース繊維を含んでもよい。
【0056】
上方獲得層52及び下方獲得層54のための好適な不織布材料としては、スパンボンド層、メルトブロー層、及び更なる別のスパンボンド層を含む、SMS材料が挙げられるが、これらに限定されない。特定の実施形態では、永久的に親水性の不織布、特に、耐久的に親水性コーティングされた不織布が望ましい。別の好適な実施形態は、SMMS構造を含む。特定の実施形態では、不織布は多孔質である。
【0057】
特定の実施形態において、好適な不織布材料には、PE、PET及びPPなどの合成繊維が挙げられるがこれらに限定されない。不織布製造のために使用されるポリマーは、本来疎水性であってもよく、これは親水性コーティングによりコーティングされ得る。耐久的に親水性のコーティングを有する不織布を製造するための1つの方法は、同時係属中の米国特許出願公開第2005/0159720号に記載されているように、親水性モノマー及びラジカル重合反応開始剤を不織布上に塗布し、紫外線で活性化して重合を起こすことによって、不織布の表面に化学結合したモノマーを生成させるものである。耐久性のあるコーティングを有する不織布を製造するために別の方法は、米国特許第7,112,621号、及びPCT特許出願公開第WO 02/064877号に記載される、親水性ナノ粒子で、不織布をコーティングするものである。
【0058】
ナノ粒子は、750nm未満の最大寸法を有し得る。2〜750nmの範囲の寸法を有するナノ粒子が経済的に製造され得る。いくつかのナノ粒子は、水溶液中で容易に分散して、不織布上にコーティング塗布可能であり、透明なコーティングを形成し、水溶液から塗布されたコーティングは、水への曝露に対して十分に耐久性があり得る。ナノ粒子は、有機又は無機、合成又は天然であってよい。無機ナノ粒子は、一般に酸化物、ケイ酸塩、及び/又は、炭酸塩として存在する。好適なナノ粒子の典型例は、層状粘土鉱物(例えば、サザンクレイプロダクツ社(Southern Clay Products, Inc.)(米国)からのラポナイト(LAPONITE)(商標)、及びベーマイト(Boehmite)アルミナ(例えば、ノースアメリカンセイソル社(North American Sasol.)からのディスペラル(Disperal)P2(商標))である。いくつかのの実施形態によると、好適なナノ粒子コーティングされた不織布は、米国特許出願公開第2004/0158212A1号に開示されるものである。
【0059】
他の不織布は、米国特許第6,645,569号、同第6,863,933号、及び同第7,112,621号、加えて、米国特許出願公開第2003/0148684A1号、及び同第2005/0008839A1号に記載されている。
【0060】
場合によっては、不織布表面は、ナノ粒子コーティングを塗布する前に、高エネルギー処理(コロナ、プラズマ)によって前処理され得る。高エネルギーの前処理は、典型的には低表面エネルギー表面(PPなど)の表面エネルギーを一時的に増大させ、その結果、水中のナノ粒子の分散による不織布のより良好な濡れを可能にする。
【0061】
恒久的に親水性の不織布は、吸収性物品の他の部分において使用され得る。例えば、いくつかの実施形態では、上記のような永久的に親水性の不織布を含むトップシート及び吸収性コア層が使用され得る。
【0062】
いくつかの実施形態によれば、上方獲得層52は、外部圧力が加えられて取り除かれると良好な回復をもたらす材料を含んでもよい。更に、いくつかの実施形態によると、上方獲得層52は、例えば、上述した種類の高分子繊維から選択される、異なる繊維のブレンドを含んでもよい。いくつかの実施形態では、繊維の少なくとも一部分は、螺旋形状を有するスパイラル捲縮を呈してもよい。いくつかの実施形態では、上方獲得層52は、程度若しくは種類のうち一方、又は両方の異なる捲縮を有する繊維を含んでもよい。例えば、いくつかの実施形態は、1cm当たり約3〜約4.7クリンプ(1インチ当たり8〜約12クリンプ(cpi))、又は1cm当たり約3〜約3.9クリンプ(9〜約10cpi)を有する繊維と、1cm当たり約2〜約3クリンプ(4〜約8cpi)、又は1cm当たり約2〜約3クリンプ(5〜約7cpi)を有する他の繊維との組み合わせを含み得る。異なる種類の捲縮としては、2D捲縮又は「平らな捲縮」、及び3D又はスパイラル捲縮が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態によると、上記繊維には、通常は第1及び第2の高分子材料である異なる材料からそれぞれの個別の繊維がなっている、バイコンポーネント繊維を包含してもよい。
【0063】
特定の実施形態では、上方獲得層52は、ラテックス結合剤、例えば、スチレン−ブタジエンラテックス結合剤(SBラテックス)によって安定化されてもよい。そのようなラテックスを得るための方法は例えば、欧州特許出願公開第EP 0149880A2号、及び米国特許出願公開第2003/0105190号によるものが既知である。いくつかの実施形態では、結合剤は、約12重量%、約14重量%、又は約16重量%を超えて上方獲得層52に存在していてもよい。ある実施形態のために、SBラテックスは、商標名GENFLO(商標)3160(OMNOVA Solutions Inc.オハイオ州アクロン(Akron))により入手可能である。
【0064】
図1〜4、5A及び5Bに示されるような、吸収性コア14は、トップシート18とバックシート20との間に配置され得るだけでなく、第1吸収性層60及び第2吸収性層62の、2つの層を含み得る。
図3に最もよく示されるように、吸収性コア14の第1吸収層60は、基材64と、基材64上の吸収性粒子状ポリマー材料66と、第1基材64上の吸収性粒子状ポリマー材料66を覆い不動化するための接着剤としての、吸収性粒子状ポリマー材料66上及び第1基材64の少なくとも一部上の熱可塑性組成物68とを含む。
図4に例示された別の実施形態によると、吸収性コア14の第1吸収層60はまた、熱可塑性組成物68上の被覆層70を包含してもよい。
【0065】
図2に図示されるように、吸収性コア14の第2吸収性層62は、基材72と、第2基材72上の吸収性微粒子ポリマー材料74と、第2基材72上の吸収性微粒子ポリマー材料74を不動化するための、吸収性微粒子ポリマー材料74上及び第2基材72の少なくとも一部の上の熱可塑性組成物66と、を含むことが可能である。図示されていないが、第2吸収層62もまた、
図4に例示された被覆層70のような被覆層を包含してもよい。
【0066】
第1吸収層60の基材64はダスティング層と呼ばれることがあり、おむつ10のバックシート20に面する第1表面78と、吸収性粒子状ポリマー材料66に面する第2表面80とを有する。第2吸収層62の基材72はコアカバーと呼ばれることがあり、おむつ10のトップシート18に面する第1表面82と、吸収性粒子状ポリマー材料74に面する第2表面84とを有する。第1の基材64及び第2の基材72は、外周の周辺部で接着剤により互いに接着されて、吸収性微粒子ポリマー材料66及び74を吸収性コア14内に保持するための包みを、吸収性微粒子ポリマー材料66及び74の周りに形成することが可能である。
【0067】
いくつかの実施形態において、第1吸収層60及び第2吸収層62の基材64、及び基材72は、上記の不織布材料のような、不織布材料であってもよい。いくつかの実施形態において、不織布は多孔質であり、約32マイクロメートルの孔径を有してもよい。
【0068】
図5A及び5Bに示されるように、第1の層60及び第2の層62が組み合わされて、吸収性コア14を形成する。吸収性コア14は、吸収性粒子状ポリマー材料領域(図示せず)を有する。吸収性粒子状ポリマー材料領域の範囲及び形状は、吸収性コア14の所望の用途、及び組み込まれ得る特定の吸収性物品に応じて、様々であってよい。しかしながら、いくつかの実施形態では、吸収性粒子状ポリマー材料領域は、吸収性コア14の実質的に全体にわたって延びる。いくつかの実施形態では、吸収性粒子状ポリマー材料66及び74は、吸収性粒子状ポリマー材料領域全体にわたって実質的に連続して分布する。
【0069】
吸収性コア14内に存在する吸収性微粒子ポリマー材料66及び吸収性微粒子ポリマー材料74の量は、様々であり得るが、ある実施形態では、吸収性コアの約80重量%を超える、又は吸収性コアの85重量%を超える、又は吸収性コアの90重量%を超える、又はコアの95重量%を超える量で、吸収性コア内に存在する。いくつかの実施形態では、吸収性コア14は、第1基材64、及び第2基材72、吸収性粒子状ポリマー材料66及び74、並びに熱可塑性接着剤組成物68及び76によって基本的に構成される。いくつかの実施形態では、吸収性コア14は、実質的にセルロースを含まなくてもよい。
【0070】
吸収性粒子状ポリマー材料領域は、着用時の快適性を増大するために吸収性物品の股部領域中で比較的狭い幅を有してもよい。故に、吸収性粒子状ポリマー材料領域は、吸収性物品の前縁部及び後縁部まで等間隔に位置する横断方向線に沿って測定したとき、約100mm、90mm、80mm、70mm、60mm未満、又は更に約50mm未満の幅を有してもよい。
【0071】
おむつなど、いくつかの吸収性物品において、着用者の液状排泄物は、主におむつの前方半分において生じ得る。したがって、吸収性コア14の前側半分は、コアの吸収能力の大部分を占めるべきである。それ故、特定の実施形態によると、前記吸収性コア14の前側半分は、超吸収性材料の約60%超、又は超吸収性材料の約65%、70%、75%、80%、85%、又は90%超を含んでもよい。
【0072】
特定の実施形態では、吸収性コア14は、一般的に圧縮性であり、適合性があり、着用者の皮膚に刺激がなく、かつ尿及び他の特定の身体排出物などの液体を吸収し保持することのできる、あらゆる吸収性材料を更に含んでもよい。このような実施形態では、吸収性コア14は、一般にエアフェルトと呼ばれる粉砕木材パルプ、捲縮セルロース塊、コフォームを包含するメルトブローポリマー、化学的に剛化、変性、若しくは架橋されたセルロース繊維、ティッシュラップとティッシュ積層体とを包含するティッシュ、吸収性フォーム、吸収性スポンジ、又は他のあらゆる既知の吸収性材料若しくは材料の組み合わせなど、使い捨ておむつ及び他の吸収性物品において一般に使用される多種多様の液体吸収性材料を含んでもよい。吸収性コア14は、少量(通常約10%未満)の材料、例えば、接着剤、ワックス、油などを更に含んでもよい。吸収性アセンブリとして使用するための代表的な吸収性構造は、米国特許第4,610,678号、同第4,834,735号、同第4,888,231号、同第5,260,345号、同第5,387,207号、同第5,397,316号、及び同第5,625,222号に記載されている。
【0073】
熱可塑性接着剤材料68及び76は、吸収性粒子状ポリマー材料66及び74を覆い、少なくとも部分的に不動化するのに役立ち得る。いくつかの実施形態では、熱可塑性接着剤材料68及び熱可塑性接着剤材料76は、吸収性粒子状ポリマー材料66及び吸収性粒子状ポリマー材料74内で前記ポリマー間に本質的に均一に配置され得る。いくつかの実施形態では、熱可塑性接着剤材料68及び熱可塑性接着剤材料76は、吸収性粒子状ポリマー材料66及び吸収性粒子状ポリマー材料74と少なくとも部分的に接触しており、第1吸収層60及び第2吸収層62の基材層64及び基材層72と部分的に接触している、繊維性層として提供されてもよい。
図3及び4は、このような構造体を示しており、この構造体において、吸収性粒子状ポリマー材料66及び74は、不連続な層として提供され、また繊維性熱可塑性接着剤材料68及び繊維性熱可塑性接着剤材料76の層は、吸収性粒子状ポリマー材料66及び74の層の上に置かれ、その結果、熱可塑性接着剤材料68及び熱可塑性接着剤材料76は、吸収性粒子状ポリマー材料66及び74と直接接触しているが、基材64の第2表面80及び基材72の第2表面84とも直接接触しており、基材は、吸収性粒子状ポリマー材料66及び74によって覆われていない。このことは、それ自体が本質的に長さ方向及び幅方向の寸法に比べて比較的小さい厚さの二次元構造体である熱可塑性接着剤材料68及び76の繊維性層に、本質的に三次元の構造を付与する。換言すれば、熱可塑性接着剤材料68及び76は、吸収性粒子状ポリマー材料68及び76、並びに基材64及び基材72の第2表面の間で波状である。
【0074】
これにより、熱可塑性接着剤材料68及び76は、吸収性粒子状ポリマー材料66及び74を覆うための空洞を提供することができ、これにより、この材料を不動化する。更なる態様では、熱可塑性接着剤材料68及び76は、基材64及び72に結合し、その結果、吸収性粒子状ポリマー材料66及び74を基材64及び72に固着させる。したがって、いくつかの実施形態により、熱可塑性接着材料68及び76は、湿潤した際に、吸収性粒子状ポリマー材料66及び74を不動化する。いくつかの熱可塑性接着剤材料はまた、吸収性粒子状ポリマー材料66及び74並びに基材64及び72の両方に浸透し、その結果、更なる不動化及び固着をもたらす。勿論、本明細書に開示される熱可塑性接着剤材料は、湿潤不動化(即ち、物品が濡れた状態であるとき又は少なくとも部分的に負荷されたときの吸収性材料の不動化)を大きく改善する一方、これらの熱可塑性接着剤材料は、吸収性コア14が乾燥状態であるときにも吸収性材料を非常に良好に不動化する。熱可塑性接着剤材料68及び76は、ホットメルト接着剤と呼ばれることもある。
【0075】
特定の実施形態によると、熱可塑性接着剤材料68及び熱可塑性接着剤材料76は、ASTM法D−36−95「環球法(Ring and Ball)」によって決定されるように、摂氏50度〜300度の範囲の軟化点を有する単一熱可塑性ポリマー又は熱可塑性ポリマーのブレンドをそっくりそのまま含んでもよく、又は別の方法としては、熱可塑性接着剤材料は、粘着付与樹脂、可塑剤、及び酸化防止剤などの添加剤などの他の熱可塑性希釈剤と組み合わせた少なくとも1つの熱可塑性ポリマーを含む、ホットメルト接着剤であってもよい。特定の実施形態において、熱可塑性ポリマーは、10,000分子量超(Mw)、及び一般的に室温未満、又は摂氏−6度より高く16度より低いガラス転移温度(Tg)を有してもよい。いくつかの実施形態において、ホットメルト内におけるポリマーの典型的な濃度は、約20重量%〜約40重量%の範囲内にある。ある実施形態では、熱可塑性ポリマーは水の影響を受けないものでよい。例示的なポリマーは、A−B−A三元ブロック構造、A−B二元ブロック構造、及び(A−B)n放射状ブロックコポリマー構造を含む(スチレン)ブロックコポリマーであり、ただしAブロックは、一般的にポリスチレンからなる非エラストマーポリマーブロックであり、Bブロックは不飽和共役ジエン又はその(部分)水素添加物である。Bブロックは典型的には、イソプレン、ブタジエン、エチレン/ブチレン(水素添加ブタジエン)、エチレン/プロピレン(水素添加イソプレン)、及びこれらの混合物である。
【0076】
使用してもよい他の好適な熱可塑性ポリマーは、メタロセンポリオレフィンであり、これは、単一サイト又はメタロセン触媒を使用して調製されるエチレンポリマーである。その場合、少なくとも1種類のコモノマーをエチレンと重合して、コポリマー、ターポリマー、又はより高次のポリマーを調製することができる。同様に適用可能なものは、C
2〜C
8のαオレフィンのホモポリマー、コポリマー、又はターポリマーである、非晶質ポリオレフィン又は非晶質ポリαオレフィン(APAO)である。
【0077】
例示的な実施形態では、粘着付与樹脂は、5,000未満の分子量(Mw)、及び通常は室温よりも高いT
gを有し得るだけでなく、ホットメルト中の樹脂の一般的な濃度は約30〜約60%の範囲であり、可塑剤は典型的には1,000未満の低分子量(Mw)及び室温よりも低いT
gを有し、一般的な濃度は約0〜約15%である。
【0078】
特定の実施形態では、熱可塑性接着剤材料68及び76は、繊維の形態で存在する。いくつかの実施形態では、繊維は、約1〜約50マイクロメートル又は約1〜約35マイクロメートルの平均厚さ、及び約5mm〜約50mm、又は約5mm〜約30mmの平均長さを有し得る。基材64及び72に対する、又は任意の他の層、特に任意の他の不織布層に対する熱可塑性接着剤材料68及び76の接着性を改善するためには、このような層は、補助接着剤により前処理されてもよい。
【0079】
吸収性コア14はまた、図面に例示されていない補助接着剤を含んでもよい。吸収性微粒子ポリマー材料66及び74の適用前に、各基材64及び72に対する吸収性微粒子ポリマー材料66及び74並びに熱可塑性接着剤材料68及び76の接着性を向上させるために、補助接着剤が、第1の吸収層60及び第2の吸収層62の各々の第1の基材64及び第2の基材72上に付着されてもよい。補助接着剤は、吸収性粒子状ポリマー材料66及び74を不動化するのを補助することもでき、上述したのと同じ熱可塑性接着剤材料を含んでもよく、又は更に他の接着剤を含んでもよい。そのような他の接着剤は、スプレー可能なホットメルト接着剤を含むがそれに限られず、例としてはH.B.Fuller Co.(St.Paul,MN)Product No.HL−1620−B.がある。補助接着剤は、様々な方法により基材64及び72に塗布され得る。例えば、いくつかの実施形態において、補助接着剤は、約0.5〜約2mm離間した、約0.5〜約1mmの幅のスロットに塗布されてもよい。
【0080】
図4に示される被覆層70は、基材64及び72と同じ材料を含んでもよく、又は異なる材料を含んでもよい。特定の実施形態において、被覆層70の材料は、基材64及び72のために有用であるものとして記載される上記の材料などの、不織布材料である。
【0081】
本開示の多くは、おむつの形態の吸収性物品との関連において提示されるが、生理用ナプキンなどのその他の吸収性物品もまた、本明細書において開示されるトップシート及び関連部品と組み合わせ得ることが理解されるべきである。生理用ナプキンなどのような吸収性物品は、着用者の股部にごく近接させて装着されるように設計されていてもよい。このような吸収性物品は、流体獲得及び保持を可能である必要があり、審美的に心地よい外観であり、加えて着用者にとって快適なものであり得る。生理用ナプキンの例は、米国特許出願公開第2010/0036339号、同第2010/0036347号、及び同第2010/0036349号に提供され、この開示は本明細書において参照として組み込まれる。使用する際、生理用ナプキンは、様々な流体処理の要求によって負荷を受ける。生理用ナプキンなどの吸収性物品の異なる位置における様々な流体処理の要求、吸収性物品の部分と着用者の身体の部分との間の異なる物理的な相互作用、及び着用者の股部区域の異なる場所における異なる水分及び化学環境を考慮すると、審美的に魅力的であり、着用者にとって快適であるが、吸収性物品の性能を悪化させない吸収性物品が継続的に必要であり、この必要は扱われていない。本明細書において記載されるトップシートで作製された生理用ナプキンは、物品の身体に面する面に審美的に魅力的な表面をもたらす一方で、獲得層の性能を極度に悪化させず、着用中の物品の快適性を維持する。
【0082】
本明細書に記載されている使い捨て吸収性物品(すなわち、おむつ、使い捨てパンツ、成人失禁用品、生理ナプキン、パンティライナー等)の構成要素は、2007年9月20日に公開されたHirdらの米国特許出願公開第2007/0219521A1号、2011年6月16日に公開されたHirdらの米国特許出願公開第2011/0139658A1号、2011年6月16日に公開されたHirdらの米国特許出願公開第2011/0139657A1号、201年6月23日に公開されたHirdらの米国特許出願公開第2011/0152812A1号、2011年6月16日に公開されたHirdらの米国特許出願公開第2011/0139662A1号、及び2011年6月16日に公開されたHirdらの米国特許出願公開第2011/0139659A1号に記載されているバイオソース内容物で少なくとも部分的に構成することができる。これらの構成要素としては、トップシート不織布、バックシートフィルム、バックシート不織布、サイドパネル不織布、バリア脚部カフ不織布、超吸収剤、不織布捕捉層、コアラップ不織布、接着剤、締着具フック、並びに締着具被着部材不織布及びフィルムベースが挙げられるが、これらに限定されない。
【0083】
少なくとも1つの実施形態では、使い捨て吸収性物品構成要素は、ASTM D6866−10、方法Bを使用して、約10%〜約100%の生物系含有量値を含み、別の実施形態では、ASTM D6866−10、方法Bを使用して、約25%〜約75%、そして更に別の実施形態では、約50%〜約60%を含む。
【0084】
任意の使い捨て吸収性物品構成要素のバイオベース含有量を決定するためにASTM D6866−10の方法を適用するためには、使い捨て吸収性物品構成要素の代表的なサンプルを試験用に入手する必要がある。少なくとも一実施形態では、使い捨て吸収性物品構成要素を、既知の磨砕方法(例えば、Wiley(登録商標)ミル)を用いて約20メッシュ未満の粒子に磨砕し、ランダムに混合した粒子から好適な質量の代表的なサンプルを採取することができる。
【0085】
締着用構成要素
上述のように、使い捨て式の物品は締着部材46を備えていてよい。締着部材46は、締着具ゾーンを有していてよく、前記ゾーンには、外側の端部又はその近くに配置された締着具が含まれる。1つの例において、締着具は、面ファスナー式締着装置のフック構成要素を構成するフック材料の断片であり得る。この例において、前側腰部区域の衣類に面する表面は、面ファスナー式締着システムの係合するループ構成要素を構成するループ材料の断片又はストリップが付いた、横方向に延在する被着部材を有し得る。他の例は、締着を実現するように適合されている、任意の他の表面又は構成要素であって、協調して作動する、係合用表面又は構成要素及び受容用表面又は構成要素含んでいてよい。前記構成要素のそれぞれは、吸収性物品の締着ゾーン又は被着部材の一方にそれぞれ配置されていてよい。あるいは、例えばおむつのような吸収性物品が着用物に装着される際に、前記表面又は構成要素が腰部開口部のサイズを調節可能にし、快適な着け心地をもたらし得る限りにおいて、前記表面又は構成要素が吸収性物品のその他の所望の場所に配置されてもよい。ここで用いるのに好適な、締着システムの構成要素、その製造方法、及び材料は、米国特許出願公開第2010/0280484A1号、米国特許第8226626号、米国特許第8168853号、及び米国特許第8193407号に、一般的に記載されている。弾性的/伸縮性部材(耳部)を作るのに好適であり得る伸縮性積層体の例が、国際特許出願公開第05/110731号、米国特許出願公開第2004/0181200号、及び米国特許出願公開第2004/0193133号に記載されている。
【0086】
締着システムは、閉止部材(タブ)を備え得る。本発明の成形された被着部材とともに用いるのに好適な閉止部材(タブ)が本明細書に記載されると共に、同じ譲受人の、2013年10月25日出願の、「吸収性物品とともに用いられる成形された締着システム」と題する、同時係属中の米国特許出願第XX/XXX,XXX号(代理人整理番号第12640M号)にも記載されている。
図6Aを参照すると、閉止部材(タブ)は、3つのタブゾーンに分割されていてよいが、それらは、閉止部材(タブが)弾性的/伸縮性部材(耳部)に取り付けられた際の閉止部材(タブ)の位置によって特徴づけられている。タブゾーンAは、閉止部材(タブ)の一部分であって、弾性的/伸縮性部材(耳部)に取り付けられておらず、弾性的/伸縮性部材(耳部)と同じ垂直平面上にもない(全く重なっていない)一部分から、タブゾーンBを除いた部分として定義される。タブゾーンCは、閉止部材(タブ)の一部分であって、弾性的/伸縮性部材(耳部)に取り付けられており、上方から見て、閉止部材(タブ)が水平位置において平らに置かれている際に、弾性的/伸縮性部材(耳部)と同じ垂直平面上にある(完全に重なっている)一部分から、タブゾーンBを除いた部分として定義される。タブゾーンBは、タブゾーンAとタブゾーンCとの間の移行領域を占めるが、閉止部材(タブ)の一部分であって、弾性的/伸縮性部材(耳部)に取り付けられておらず、上方から見て、閉止部材(タブ)が水平位置において平らに置かれている際に、弾性的/伸縮性部材(耳部)と同じ垂直平面上にもないサブ部分と、弾性的/伸縮性部材(耳部)に取り付けられており、上方から見て、閉止部材(タブ)が水平位置において平らに置かれている際に、弾性的/伸縮性部材(耳部)と同じ垂直平面上にある(部分的に重なる)サブ部分と、を含む閉止部材(タブ)の一部分として定義される。これらのタブゾーンは互いに平行であり、それぞれの横方向側部の境界線は直線になっている。
【0087】
タブゾーンB内に位置する閉止部材(タブ)の一部分の主要な機能には、(a)タブゾーンA内に位置する閉止部材(タブ)の一部分とタブゾーンC内に位置する閉止部材(タブ)の一部分との間で、その円弧/半径についてスムーズで漸進的な移行を提供すること、(b)荷重の分布とフィット感を改善する一方で、吸収性物品(例えば被着部材)の前側に閉止部材(タブ)を位置決めするのを改善するために、閉止部材(タブ)のタブゾーンA及びBに位置する部分が好ましい角度となるようにすること、が含まれる。タブゾーンAの好ましい角度は、それがタブゾーンB及びCにわたって一定であれば、閉止部材の前側位置を、効果的な閉止及び/又は着用者の快適さのためには低すぎる位置に位置決めすることになる。
【0088】
タブゾーンAの幅は通常、18〜38mmであり、好ましくは20〜35mmであり、より好ましくは20〜25mmである。タブゾーンBの幅は通常、2〜20mmであり、好ましくは5〜20mmであり、より好ましくは5〜15mmである。いくつかの実施形態において、タブゾーンBの幅は、弾性的/伸縮性部材(耳部)が吸収性物品の腰部区域に取り付けられている場所の遠位側にある、弾性的/伸縮性部材(耳部)の縁部に対して対称的には配置されていない。例えば、タブゾーンBの幅が8mmである場合、2mm分は弾性的/伸縮性部材(耳部)と重なっていてよいが、6mm分は重なっていなくてよい。いくつかの実施形態において、タブゾーンBの幅は対照的に分配されている。先の例で言えば、4mm分は弾性的/伸縮性部材(耳部)に重なっていてよいが、4mm分は重なっていなくてよい。タブゾーンCの幅は通常、10〜25mmであり、好ましくは10〜20mmであり、より好ましくは12〜18mmである。上記3つのタブゾーンの幅を合計すると(すなわち、全幅)は通常、35〜55mmであり、好ましくは40〜50mmであり、より好ましくは45〜50mmである。タブゾーンそれぞれの長さは通常、25〜50mmであり、好ましくは25〜45mmであり、より好ましくは28〜40mmである。
【0089】
図6B及び6Cを参照すると、閉止部材(タブ)がそれぞれのタブゾーンを通って移動する角度は、弾性的/伸縮性部材(耳部)に取り付けられる際の閉止部材(タブ)の位置によって特徴づけられていてよい。タブ角Aは、(i)閉止部材(タブ)の一方の縁部がタブゾーンAとBとの間の境界線と交差する点から、閉止部材(タブ)の同じ縁部がタブゾーンAの他方の境界線に交差する点に引いた直線と、(ii)タブゾーンAの、前記他方の境界線上に引いた直線と、がなす角として定義される。タブ角Bは、(i)閉止部材(タブ)の一方の縁部がタブゾーンAとBとの間の境界線と交差する点から、閉止部材(タブ)の同じ縁部がタブゾーンBとCとの間の境界線に交差する点と、(ii)タブゾーンAとBとの間の境界線上に引いた直線と、がなす角として定義される。タブ角Cは、(i)閉止部材(タブ)の一方の縁部がタブゾーンBとCとの間の境界線に交差する点から、閉止部材(タブ)の同じ縁部がタブゾーンCの他方の縁部に交差する点と、(ii)タブゾーンBとCとの間の境界線上に引いた直線と、がなす角として定義される。
【0090】
いくつかの実施形態において、任意の所与のタブゾーンに対するタブ角は、閉止部材(タブ)の縁部を使って測定する際に、前記部材の上側の縁部で測定しても、又は下側の縁部で測定しても実質的に同じであるか、又は同じである。それぞれのタブ角は通常、10〜80°であり、好ましくは45〜75°である。角Aと角Bのそれぞれは、互いに独立であり、より好ましくは55〜75°である。互いに比較をすると、角Aは角Bに等しくないか、若しくは実質的に角Bに類似しており、及び/又は、角Bは角Cに等しくないか、若しくは実質的に角Cに類似している。いくつかの実施形態において、角Aと角Bとの差は5°又はそれより大きいが、好ましくは10°である。いくつかの実施形態において、角Bは角Aより大きい。いくつかの実施形態において、角Bと角Cとの差は5°又はそれより大きいが、好ましくは10°である。いくつかの実施形態において、角Bは角Cより大きい。いくつかの実施形態において、角Bは角Aより大きいが、その一方で角Aは角Cより大きい。上述のように、好ましい実施形態において、角A、角B、及び角Cは、それぞれ互いに等しくはない。
【0091】
上述のように、締着システムは弾性的/伸縮性部材(耳部)を備えていてよい。
図7A、7B、及び7Cを参照すると、弾性的/伸縮性部材(耳部)は3つの耳部ゾーンに分割されていてよく、それぞれのゾーンは、閉止部材(タブ)が弾性的/伸縮性部材(耳部)に取り付けられた際の、閉止部材(タブ)の位置により特徴づけられている。耳部ゾーンA、B、及びCは、閉止部材(タブ)の弾性的/伸縮性部材(耳部)への取り付け部分によって、すなわち、弾性的/伸縮性部材(耳部)と閉止部材(タブ)とがそれぞれに取り付けられた際の、弾性的/伸縮性部材(耳部)と閉止部材(タブ)とが交差する上側及び下側の点において引かれる、2本の水平線によって、その境界が定められている。耳部ゾーンAは、弾性的/伸縮性部材(耳部)の部分であって、弾性的/伸縮性部材(耳部)と閉止部材(タブ)とが交差する上側の点を通って引かれた水平線より上方に位置する部分として定義される。耳部ゾーンBは、弾性的/伸縮性部材(耳部)の部分であって、弾性的/伸縮性部材(耳部)と閉止部材(タブ)とが交差する上側の点を通って引かれた水平線と、弾性的/伸縮性部材(耳部)と閉止部材(タブ)とが交差する下側の点を通って引かれた水平線との間に位置する部分として定義される。耳部ゾーンCは、弾性的/伸縮性部材(耳部)の部分であって、弾性的/伸縮性部材(耳部)と閉止部材(タブ)とが交差する上側の点を通って引かれた水平線より下方に位置する部分として定義される。耳部ゾーンはそれぞれに対して平行であり、且つ、耳部ゾーンAとBとの間の境界線、及び耳部ゾーンBとCとの間の境界線は、それぞれ直線である。
【0092】
弾性的/伸縮性部材(耳部)の幅は通常、40〜80mmであり、好ましくは45〜75mmであり、より好ましくは45〜55mmである。弾性的/伸縮性部材(耳部)の高さは通常、40〜130mmであり、好ましくは45〜120mmであり、より好ましくは80〜100mmである。
【0093】
出願者は、閉止部材(タブ)が弾性的/伸縮性部材(耳部)に取り付けられる際の、閉止部材(タブ)の垂直方向の配置が、被着部材に閉止部材(タブ)が取り付けられる際の力の方向づけに影響を及ぼし得るということも見出した。
図9Bを参照すると、閉止部材(タブ)の遠位部分、すなわち弾性的/伸縮性部材に取り付けられていない方の端部、の中点(M)が特定されている。また、弾性的/伸縮性部材(耳部)の遠位縁部、すなわち吸収性物品の腰部区域に取り付けられていない方の端部が、弾性的/伸縮性部材(耳部)の下側縁部に移行する点を通る水平線も描かれている。いくつかの好ましい実施形態において、中点Mは、水平線Tの(機械方向に関して)上方に位置している。出願者はまた、タブゾーンB内の閉止部材(タブ)の高さに対する、閉止部材(タブ)の内側縁部における高さが、被着部材に閉止部材(タブ)が取り付けられる際の力の方向づけに影響を及ぼし得るということも見出した。
図9Bに図示されているように、内側縁部の高さはxとして、タブゾーンBにおける高さはyとして示される。いくつかの実施形態において、yは、弾性的/伸縮性部材(耳部)の外側縁部におけるタブゾーンBの高さとして測定される。いくつかの実施形態において、yは、タブゾーンBの(横方向の)中点でのタブゾーンBの高さとして測定される。いくつかの実施形態において、yはタブゾーンBにおける平均の高さとして測定される。好ましくは、いくつかの実施形態において、xはyよりも大きいか、又は等しい。より好ましくはxはyより大きい。
【0094】
上述のように、締着システムは、閉止部材(タブ)解放可能に係合するように適合されている被着部材を備えていてよい。出願者は、本発明の閉止部材(タブ)は、非矩形の被着部材と組み合わせるのに有利となり得るということを見出した。
図8Aを参照すると、非矩形の被着部材の形状は、被着部材の外側端部の上端部同士の間に引かれた水平線より下方に下がった被着部材の中心又は中央部分によって特徴づけられている。凹部の深さ(D)は通常、10〜30mmであり、好ましくは10〜20mmである。いくつかの実施形態において、凹部の深さは、被着部材の高さ(H)の関数として測定されるが、例えば、被着部材の横方向の中点で測定した場合に、深さDの高さHに対する割合は、1:3〜1:4である。いくつかの実施形態において、被着部材は、吸収性物品のトップシートに取り付けられている構成要素であってよく、又は吸収性物品のトップシートに一体になった1つの領域であってよい。
【0095】
他の実施形態において、非矩形の被着部材は、
図8Bに図示されているように、例えば印刷された図形のような矩形の被着部材上に重ねた目印を提供することにより、有利に形成することができる。矩形の被着部材が実際に存在している領域に重ねて、非矩形の被着部材が存在すると考えられる領域に印をつけることにより、実際の非矩形の被着部材を提供したことを役立てるような締着システムの相補的部分を係合することによって、吸収性物品をしっかり固定するための領域に閉止部材(タブ)を取り付けるための領域の位置を特定する上で、介護者に役立つようにしてもよい。そのような実施形態に関連する追加的利点としては、コストの削減がある。例えば、吸収性物品の構成部品を吸収性物品に組み立てる製造ラインで矩形の被着部材が用いられている製造ラインを、非矩形の被着部材が用いられている製造ラインに変えることに関連するコストがある。例えば、非矩形の被着部材として現れる図形を印刷することといった、印を提供するためのコストが、上述のコストよりも小さいならば、コストが削減できることになる。
【0096】
上述のように、締着システムは、閉止部材(タブ)の、例えば、フックのような締着要素を、使用前に損傷から保護する剥離テープを備えていてよい。出願者は、本発明の閉止部材(タブ)は、
図9A〜9Dに示すように、弾性的/伸縮性部材の横方向の縁部により画定される軸線について、閉止部材(タブ)の像に実質的に鏡対象となるような寸法に形成される剥離テープと組み合わされるのに有利であるということを見出した。剥離テープと組み合わせて用いられる場合、閉止部材(タブ)の一部分であって、タブゾーンB内に位置する部分の機能は、剥離テープと締着テープとのサンドイッチ状のものが、閉止するために使用される間、ある荷重がかかる際に破れたり閉じたりすることを防ぐ、又は最小化するために、好ましくは少なくとも90°である、それが開かれた状態でなす角(角R)を大きくすることを可能にすることを更に含む。いくつかの実施形態において、角Rは120°を超えず、好ましくは約100°〜約120°である。
図9C及び9Dに示すように、角Rを広げることは、弾性的/伸縮性部材の遠位端部が位置する軸線上の点又は頂点の存在を実質的に減らす。すなわち、いくつかの実施形態において、角Rは90°〜180°であってよく、好ましくは120°〜180°であってよい。他の実施形態においては180°であってよい。例えば、
図9Dにおいては、角Rは180°にまで広げられる。
【0097】
出願者はまた、閉止部材(タブ)若しくは剥離テープ、又は閉止部材(タブ)と剥離テープとの両方が、(それぞれ独立して)弾性的/伸縮性部材(耳部)の(閉止部材(タブ)の場合には)上側縁部と、又は(剥離テープの場合には)下側縁部と連続的形状を形成するように構成されている場合に、力の分布が改善され得るということも見出した。このことは次の3通りの方法で実現され得る。(a)剥離テープのみが、弾性的/伸縮性部材(耳部)の下側縁部と連続的形状を形成する(不図示)。あるいは、好ましくは(b)
図9Bに図示するように、閉止部材(タブ)のみが、弾性的/伸縮性部材(耳部)の上側縁部と連続的形状を形成する。あるいは、より好ましくは(c)
図9Eに図示するように、閉止部材(タブ)が弾性的/伸縮性部材(耳部)の上側縁部と連続的形状を形成し、且つ剥離テープが、弾性的/伸縮性部材(耳部)の下側縁部と連続的形状を形成する。
【0098】
他の実施形態において、
図9F及び9Gのそれぞれに図示するように、閉止部材(タブ)も剥離テープも、(それぞれ独立して)弾性的/伸縮性部材(耳部)の(閉止部材(タブ)の場合には)上側縁部と、又は(剥離テープの場合には)下側縁部と連続的形状を形成するように構成されてはいない。
【0099】
1つの好ましい実施形態において、
図9Hに示すように、閉止部材(タブ)は、前記部材の内側縁部に延長部位を有し、閉止部材(タブ)が、弾性的/伸縮性部材(耳部)の上側縁部と連続的形状を形成し、且つ弾性的/伸縮性部材(耳部)の下側縁部と連続的形状を形成するように構成されている。
【0100】
再び
図9Eを参照すると、同図には、ある典型的な製造工程が図示されている。前記工程においては、弾性的/伸縮性部材材料のロールが機械方向に動き、剥離テープ/閉止部材(タブ)のサンドイッチが、前記サンドイッチの剥離テープ部分が弾性的/伸縮性部材材料の垂直平面の下方に配置され、前記サンドイッチの閉止部材(タブ)部分がそのような垂直平面の上方に配置されるように広げられる。続いて弾性的/伸縮性部材(耳部)の形状に撃ち抜かれ、閉止部材(タブ)又は剥離テープが弾性的/伸縮性部材(耳部)の上側縁部又は下側縁部とそれぞれ同じ形状となる。
【0101】
出願者は、本発明に係る締着システムは、弾性的/伸縮性部材(耳部)によって閉止する間に発生する力を、あらかじめ定められた方法で又はあらかじめ定められた位置に方向づけることを見出した。例えば、着用者の腸骨稜又はその上方の区域に相当する、吸収性物品の上側腰部区域における力がより良いフィット感をもたらすように、弾性的/伸縮性部材(耳部)及び閉止システム(タブ)からの力を、吸収性物品のシャーシに方向づけることが好ましい。理論に縛られずに言うならば、この区域が吸収性物品を着用者の身体に摩擦によって係止するための、標的となる領域であると、出願者は考えている。このフィット感をより良く実現するには、吸収性物品の腰部区域に取り付けられている弾性的/伸縮性部材(耳部)の上部の力を方向づけると良い。対照的に、弾性的/伸縮性部材(耳部)の既存の設計及び弾性率の高い閉止部材(タブ)の既存の取付方法は適切に力を方向づけないばかりか、むしろ、力を2つの部材が取り付けられる中心線に沿って集中してしまう。そのため、吸収性物品のシャーシのうち腸骨稜の下方に力をかけてしまい、前記物品が使用中にずり落ちたり滑り落ちたりする一因となる。
【0102】
理論に縛られずに言うならば、着用者の腸骨稜又はその上方に吸収性物品を摩擦により係止して、時間が経っても吸収性物品のフィット感が維持できるようにするためには、耳部ゾーンA内に、歪みの大きい(すなわち、大きな力のかかる)重要な領域が存在し、その大きさは、耳部ゾーンBと同等か又はやや大きいと、出願者は考えている。好ましくは、肌につく赤く痕又は脚の上部領域の不快感を減らすために、耳部ゾーンAが耳部ゾーンCよりも、より広い、大きな力の領域を有する。本発明に係る締着システムは、閉止部材(タブ)が弾性的/伸縮性部材(耳部)に取り付けられ、閉止部材(タブ)の、弾性的/伸縮性部材に接続されていない側の端部に荷重がかかり、弾性的/伸縮性部材(耳部)が100%の歪みを起こすようになっている際の、耳部ゾーンAの歪みの量によって特徴づけられていてよい。好適な試験方法の1つが、実施例のセクションで後述される。いくつかの実施形態において、弾性的/伸縮性部材の100%の歪みで測定した、弾性的/伸縮性部材(耳部)の歪み率は、耳部ゾーンAの少なくとも40%が、75%又はそれより大きい歪み率であり、好ましくは、耳部ゾーンAの少なくとも60%が75%又はそれより大きい歪み率であり、より好ましくは、耳部ゾーンAの少なくとも70%が75%又はそれより大きい歪み率である。いくつかの実施形態において、弾性的/伸縮性部材の100%の歪みで測定した、弾性的/伸縮性部材(耳部)の歪み率は、耳部ゾーンAの少なくとも50%が、50%又はそれより大きい歪み率であり、好ましくは、耳部ゾーンAの少なくとも50%が60%又はそれより大きい歪み率であり、より好ましくは、耳部ゾーンAの少なくとも50%が75%又はそれより大きい歪み率である。いくつかの実施形態において、弾性的/伸縮性部材の100%の歪みで測定した、弾性的/伸縮性部材(耳部)の歪み率は、耳部ゾーンAの少なくとも75%が、50%又はそれより大きい歪み率であり、好ましくは、耳部ゾーンAの少なくとも60%が70%又はそれより大きい歪み率であり、より好ましくは、耳部ゾーンAの少なくとも45%が90%又はそれより大きい歪み率である。いくつかの実施形態において、耳部ゾーンAの上述の所与の領域の歪み率は、100%を超えない。
【0103】
更に、出願者は、本発明に係る締着システムが追加的な利点を実現し得るということを見出したが、それらには、(a)テープのサンドイッチによる方法(例えば、締着テープ及び剥離テープのびょうぶひだ)によって、閉止部材(タブ)と弾性的/伸縮性部材(耳部)との接着部分の長さを最大化する場合に、それを実現するための、比較的安価な方法を提供すること、及び(b)閉止部材(タブ)からのより幅の広い力のバンドを、弾性的/伸縮性部材(耳部)に作り出し、そのより広い力のバンドにより、フィット感を向上し、そのフィット感がしかもより快適なものになることと、が含まれる。
【0104】
また更に、本発明の閉止部材(タブ)が、(上述のような)形状に成形された被着部材と組み合わされる場合に、弾性的/伸縮性部材の最上部区域に力をさらに分配する能力が一層高められ、本発明の閉止部材(タブ)だけを用いたときと比べて、フィット感がより良く維持されるような結果となるということを、出願者は見出した。理論に縛られずに言うならば、上記のような形状に成形された被着部材の効果は、適用される閉止部材(タブ)を、弾性的/伸縮性部材の上側区域内の力をさらに増加させるような下向きの角度に導くことであると、出願者は考えている。
【0105】
本明細書に開示した寸法及び値は、記載された正確な数値に厳密に限定されるものと理解されるべきではない。むしろ、特に断らないかぎり、そのような寸法のそれぞれは、記載された値及びその値の周辺の機能的に同等の範囲の両方を意味するものとする。例えば、「40mm」として開示される寸法は、「約40mm」を意味することを意図する。
【0106】
任意の相互参照又は関連特許若しくは関連出願を包含する本明細書に引用される全ての文献は、明確に除外ないしは別の方法で限定されない限り、その全てを本明細書中に参照により組み込まれる。いずれの文献の引用も、こうした文献が本願で開示又は特許請求される全ての発明に対する先行技術であることに同意するものではなく、また、こうした文献が、単独で、あるいは他の全ての参照文献とのあらゆる組み合わせにおいて、こうした発明のいずれかを参照、教示、示唆又は開示していることに同意するものでもない。更に、本文書において、用語の任意の意味又は定義の範囲が、参考として組み込まれた文書中の同様の用語の任意の意味又は定義と矛盾する場合には、本文書中で用語に割り当てられる意味又は定義に準拠するものとする。
【0107】
本発明の特定の実施形態が例示され記載されてきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく他の様々な変更及び修正を実施できることは、当業者には自明であろう。したがって、本発明の範囲内にあるそのようなすべての変更及び修正を添付の特許請求の範囲で扱うものとする。