特許第6033971号(P6033971)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6033971前進する基材にパターンで接着剤を塗布するための方法及び装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6033971
(24)【登録日】2016年11月4日
(45)【発行日】2016年11月30日
(54)【発明の名称】前進する基材にパターンで接着剤を塗布するための方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   B05D 5/06 20060101AFI20161121BHJP
   B05D 1/26 20060101ALI20161121BHJP
   B05D 7/24 20060101ALI20161121BHJP
   B05C 5/02 20060101ALI20161121BHJP
   A61F 13/15 20060101ALN20161121BHJP
【FI】
   B05D5/06 104J
   B05D1/26 Z
   B05D7/24 301P
   B05C5/02
   !A61F13/15 355A
【請求項の数】13
【全頁数】27
(21)【出願番号】特願2015-544080(P2015-544080)
(86)(22)【出願日】2013年11月11日
(65)【公表番号】特表2016-505361(P2016-505361A)
(43)【公表日】2016年2月25日
(86)【国際出願番号】US2013069381
(87)【国際公開番号】WO2014085063
(87)【国際公開日】20140605
【審査請求日】2015年5月20日
(31)【優先権主張番号】13/685,817
(32)【優先日】2012年11月27日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590005058
【氏名又は名称】ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100117787
【弁理士】
【氏名又は名称】勝沼 宏仁
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100107537
【弁理士】
【氏名又は名称】磯貝 克臣
(74)【代理人】
【識別番号】100137523
【弁理士】
【氏名又は名称】出口 智也
(74)【代理人】
【識別番号】100152423
【弁理士】
【氏名又は名称】小島 一真
(74)【代理人】
【識別番号】100141830
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 卓久
(72)【発明者】
【氏名】ダレル、イアン、ブラウン
(72)【発明者】
【氏名】ジョン、アンドリュー、ストラセマイヤー
【審査官】 富永 久子
(56)【参考文献】
【文献】 特表2013−534460(JP,A)
【文献】 特表2015−536734(JP,A)
【文献】 特表2015−535484(JP,A)
【文献】 特公昭45−023039(JP,B1)
【文献】 特開2005−046805(JP,A)
【文献】 特表昭62−503019(JP,A)
【文献】 米国特許第04167914(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05D
B05C5/00−5/04
A61F13/15−13/84;A61L15/18−15/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材(106)にスロットダイ塗布機(102)から放出された流体(130)をあるパターンで塗布するための方法であって、前記スロットダイ塗布機(102)は、スロット開口部(114)と、第1リップ(116)と、第2リップ(118)とを含み、前記スロット開口部(114)は、前記第1リップ(116)と前記第2リップ(118)との間に配置され、前記基材(106)は、第2面(110)の反対側に配置された第1面(108)と、圧縮されていない状態での厚みHsとを有し、前記方法は、
前記基材(106)を機械方向に連続して前進させることと、
前記基材(106)と基材キャリア(104)とを係合させることであって、前記基材キャリア(104)は、非柔軟性支持面(162)と、ベース面(124)と、前記ベース面(124)から半径方向外側に突出するパターン要素(122)とを含み、前記パターン要素(122)はパターン面(126)を含み、前記パターン要素(122)は、前記パターン面(12)と前記非柔軟性支持面(162)との間に第1最小距離R1を画定するように、前記非柔軟性支持面(162)から離れるように延びる、ことと、
前記パターン要素(122)の前記パターン面(126)と前記第1リップ(116)及び前記第2リップ(11)との間に、前記圧縮されていない基材(106)の厚みHsよりも小さい最小距離Hgを画定するように、前記基材キャリア(104)を前記スロットダイ塗布機(102)に隣接して位置付けることと
記基材(106)の前記第1面(108)が前記基材キャリア(104)上に配設された状態で、前記基材(10)及び前記パターン要素(122)を前記スロットダイ塗布機(102)の前記第1リップ(116)、前記スロット開口部(114)、及び前記第2リップ(118)の位置を通過するように前進させることにより、前記パターン面(126)と前記非柔軟性支持面(162)との間に第2最小距離R2を画定するように、前記パターン面(126)を前記非柔軟性支持面(162)に向かって断続的に歪ませることであって、R2はR1よりも小さい、ことと、
流体(130)を前記スロットダイ塗布機(102)の前記スロット開口部(114)から前記基材(106)の前記第2面(110)上に放出することとを含み、
前記スロット開口部(114)と前記ベース面(124)との間に配置された前記基材(106)の部分(106a)が前記ベース面(124)に押し付けられていないとき、前記流体(130)は前記基材(106)の前記第2面(110)に転写されず、
前記パターン面(126)及び前記基材(106)の部分(106b)が前記スロット開口部(114)の位置を通過するように前進するとき、前記スロット開口部(114)から放出された前記流体(130)は、前記基材(106)の前記第2面(110)に転写される、方法。
【請求項2】
前記基材キャリア(104)は、ローラー(120)を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ローラー(120)は、前記非柔軟性支持面(162)を画定する外周方向表面を有するベースロール(160)を含み、前記ベースロールは、回転軸(105)を中心として回転するようになっている、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記パターン要素は、前記回転軸(105)から半径方向外側に突出する、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記基材キャリア(104)は、エンドレスベルト(148)を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
ベース面を画定するように、前記非柔軟性支持面から半径方向外側に延びる柔軟性材料のベース層を更に含み、前記柔軟性パターン要素は、近位端部と遠位端部を含み、前記近位端部は、ベース面に接続され、前記パターン要素は、前記ベース面から半径方向外側に前記遠位端部まで延びる、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記基材キャリア(104)は、柔軟性ベース面(124)を更に含み、前記パターン要素は、前記パターン面と前記柔軟性ベース面との間に距離Hpを画定するように前記柔軟性ベース面から突出する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記基材キャリアは、前記パターン要素の前記パターン面と前記第1リップ及び前記第2リップとの間に、前記基材の前記圧縮されていない状態での厚みHsよりも小さい最小距離Hgを画定するように、前記スロットダイ塗布機に隣接して位置付けられ、前記距離Hpと前記距離Hgとの合計は、前記基材の前記圧縮されていない状態での厚みHsよりも大きい、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記基材キャリアは、前記パターン要素と前記非柔軟性支持面との間に柔軟性材料層を更に含み、前記柔軟性材料層は、前記ベース面を画定する、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記ベース面は、連続する面を含み、前記基材キャリアは、前記連続する面によって互いから分離される複数の分離されたパターン要素を更に含む、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
前記パターン面は、連続する面を含み、前記ベース面は、前記パターン要素によって互いから分離される複数の分離されたベース面を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項12】
前記流体(130)は、接着剤を含む、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記流体(130)は、前記基材とは異なる色である、請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、物品を製造するための連続基材を使用する方法及び装置に関し、より詳細には、前進する基材に接着剤などの粘性流体を塗布する方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
前進する連続的な材料のウェブに構成要素を加えること及び他の方法によってこれを修正することによって、例えば、おむつ及び別の吸収性物品などの様々なタイプの物品を、アセンブリラインに沿って組み立てることができる。例えば、いくつかのプロセスでは、前進する材料のウェブは、他の前進する材料のウェブと組み合わされる。別の実施例では、前進する材料のウェブから作製される個々の構成要素は、前進する材料のウェブと組み合わされ、ひいては、これらが次に他の前進する材料のウェブと組み合わされる。おむつを製造するために使用される材料のウェブ及び構成要素部分としては、バックシート、トップシート、吸収性コア、前側耳部及び/又は後側耳部、締結構成要素、並びに様々な種類の弾性ウェブ及び構成要素、例えば脚部弾性部材、バリアレッグカフ弾性部材、及び腰部弾性部材が挙げられる。いったん望ましい構成部品が組み立てられると、前進するウェブ及び構成部品は、最終的なナイフカットに供されて、ウェブを個別のおむつ又はその他の吸収性物品に分離する。個別のおむつ又は吸収性物品はまた、その後折り畳まれて包装される。
【0003】
異なる構成要素を前進するウェブに取り付けるために及び/又は別の方法で前進するウェブを修正するための、様々な方法及び装置が使用され得る。例えば、一部の生産作業は、前進するウェブにホットメルト接着剤などの比較的粘度の高い流体を塗布するように構成される。場合によっては、生産作業は、前進するウェブに所定のパターンでホットメルト接着剤を塗布するように構成される。これらの作業は、当該技術分野において広く記載されるスロットダイコーティング、ダイレクトグラビア、オフセットグラビア及びリバースグラビアロールコーティングプロセスなどのシステム並びに方法を使用することを含んでもよい。しかしながら、前進する基材にパターン化された接着剤を塗布するための従来のシステム及び方法は、ある限界を有し得る。
【0004】
例えば、婦人衛生パッド、幼児用おむつ、及び成人用失禁性パッドなどの吸収性物品の製造において、グラビアコーティングプロセスを使用することは、コーティングされる予定の基材から分離された繊維による圧胴の汚染により状況が悪くなる場合がある。グラビアキャビティ及び不完全な流体の転写に関する一部の問題は、例えば、米国特許第7,611,582(B2)号及び同第6,003,513号によって詳述されている。場合によっては、吸収性物品の製造におけるパターン化されたウェブコーティングに、スロットダイコーティングが使用されてもよい。スロットダイ転写プロセスにおける櫛状シムの使用は、ウェブが移動する方向に対して直角な軸の受容基材に対し、流体を高解像度で精密に転写することができる。かかるスロット転写プロセスはまた、前進する基材に接着剤を断続的に転写するための、電空式切り替え弁を備えた構成にされてもよい。しかしながら、前進する基材への断続的な流体の転写の質及び精密さは、流体塗布機のスロットダイへの流体の流れを遮断するために使用される切り替え弁のオン/オフサイクルの速度によって制限され得る。そのため、ウェブ処理速度が速くなるにつれて、ウェブが移動する方向に高解像度のオン/オフコーティングパターンを達成する既存のスロットダイコーティング法の能力は低下する。したがって、流体塗布機のスロットダイへの流体の流れを遮断するために使用される切り替え弁のオン/オフサイクルの速度に制限されずに、基材に接着剤及び他の流体を比較的高解像度及び高速のパターンで塗布する装置及び方法を提供することは有益である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第7,611,582(B2)号
【特許文献2】米国特許第6,003,513号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書の方法及び装置の態様は、前進する基材上に流体を塗布することを含む。本明細書の装置及び方法は、前進する基材に接着剤などの粘性流体を所定のパターンで塗布するために提供し得る。流体塗布装置は、スロットダイ塗布機及び基材キャリアを含んでもよい。スロットダイ塗布機は、スロット開口部、第1リップ、及び第2リップを含んでもよく、スロット開口部は第1リップ及び第2リップの間に配置される。また、基材キャリアは、スロットダイ塗布機が接着剤を基材上に放出させるときに、基材をスロットダイ塗布機を通過して前進させるように適合されてもよい。動作中、基材の第1面が基材キャリア上に配設されるときに、基材キャリアは、基材の第2面をスロットダイ塗布機のスロット開口部を通過して前進させる。
【0007】
一形態において、装置は前進する基材にあるパターンで流体を塗布し、基材は拘束されていないキャリパHsを有し、かつ第2面とは反対側に配置された第1面を有する。この装置は、スロット開口部、第1リップ、及び第2リップを含むスロットダイ塗布機であって、スロット開口部は、第1リップと第2リップの間に配置される、スロットダイ塗布機と、基材がスロットダイ塗布機を通過して前進させるように適合された基材キャリアであって、基材の第1面が基材キャリア上に配設されるときに、基材キャリアは、基材の第2面をスロットダイ塗布機のスロット開口部を通過して前進させるように適合され、基材キャリアは、非柔軟性支持面と柔軟性パターン要素とを含み、柔軟性パターン要素はパターン面を含み、柔軟性パターン要素は、パターン面と非柔軟性支持面の間に第1距離R1を画定するように、非柔軟性支持面と比較して外側に突出し、基材キャリアは、パターン要素のパターン面と第1リップ及び第2リップとの間に、拘束されていない基材の厚さHsよりも小さい最小距離Hgを画定するように、スロットダイ塗布機に隣接して位置付けされ、基材キャリアが基材の第2面をスロット開口部を通過して前進させるとき、柔軟性パターン要素は、パターン面がスロットダイ塗布機の第1リップ、スロット開口部、及び第2リップを繰り返し通過して前進するように前進させられ、パターン面は、スロットダイ塗布機のパターン面が第1リップ、スロット開口部、第2リップに沿って前進するときに、パターン面と非柔軟性支持面との間に、R2がR1よりも小さい第2最小距離R2を画定するように、スロットダイ塗布機から離れる方向に歪められる、基材キャリアとを含む。
【0008】
別の形態では、方法は、基材にスロットダイ塗布機から放出された流体をあるパターンで塗布するために使用されてもよく、スロットダイ塗布機は、スロット開口部、第1リップ、及び第2リップを含み、スロット開口部は、第1リップと第2リップの間に配置され、基材は、第2面の反対側に配設された第1面と拘束されていないキャリパHsとを有する。本方法は、基材を機械方向に連続的に前進させることと、基材と基材キャリアを係合させることであって、基材キャリアは、非柔軟性支持面とパターン要素とを含み、パターン要素は、パターン面を含み、パターン要素は、パターン面と非柔軟性支持面との間に第1最小距離R1を画定するように、非柔軟性支持面から離れる方向に延びる、ことと、パターン要素のパターン面と第1リップ及び第2リップとの間に拘束されていないキャリパHsよりも小さい最小距離Hgを画定するように、基材キャリアをスロットダイ塗布機に近接して位置付けることと、基材の第1面が基材キャリア上に配設されている間、基材の第2面をスロットダイ塗布機を通過して前進させることと、基材の第1面が基材キャリア上に配設されている間、基材及びパターン要素をスロットダイ塗布機の第1リップ、スロット開口部、及び第2リップ基材の第2面をスロットダイ塗布機を通過して前進させることにより、第2最小距離R2をパターン面と非柔軟性支持面との間に画定するように非柔軟性支持面に向かってパターン面を断続的に歪ませることであって、R2はR1よりも小さい、ことと、スロットダイ塗布機のスロット開口部からの流体を基材の第2面上へと放出することと、を含む。
【0009】
更に別の形態では、吸収性物品は、トップシートと、トップシートに接続されたバックシートであって、フィルムを含む、バックシートと、トップシート及びバックシートとの間に位置付けられた吸収性コアと、フィルム上に位置付けられた、スロットコーティングされた接着剤であって、接着剤は基材キャリア上のパターン面の形状と一致する形状を有する別個のパターン領域内に配置され、パターン領域は機械方向MDに距離dpで分離され、この距離は、基材キャリア上の隣接するパターン面同士の間の距離と一致し、各パターン領域は、機械方向MDに沿って断面外形を画定する様々な厚さを有し、これにより、各パターン領域は中央部分によって分離される先端部及び後端部を含み、先端部は第1厚さt1を画定し、中央部分は第2厚さt2を画定し、後端部は第3厚さt3を画定し、t1はt2及びt3よりも大きく、t2は実質的にt3と等しい、スロットコーティングされた接着剤とを含む。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】前進する基材に隣接する流体塗布装置の斜視図である。
図1A】前進する基材上に第1の代表的なパターンで流体を堆積させるための流体塗布装置の側面図である。
図1B】前進する基材上に第2の代表的なパターンで流体を堆積させるための流体塗布装置の側面図である。
図1C】前進する基材上に第3の代表的なパターンで流体を堆積させるための流体塗布装置の側面図である。
図1D】前進する基材上に第4の代表的なパターンで流体を堆積させるための流体塗布装置の側面図である。
図2A】連続するベース面及び複数のパターン面を有するパターンローラーを含む基材キャリアの実施形態の斜視図である。
図2B図2Aの線2B−2Bで取られて示された基材キャリア詳細の断面図である。
図2C】その上に第1代表的な接着剤パターンを示した基材の上面図である。
図3A】連続するパターン面及び複数のベース面を有するパターンローラーを含む基材キャリアの実施形態の斜視図である。
図3B図3Aの線3B−3Bで取られて示された基材キャリア詳細断面図である。
図3C】その上に第2代表的な接着剤パターンを示した基材の上面図である。
図4】代表的な基材キャリア概略側断面図である。
図4A1】柔軟性パターン要素とベースロールに接続された柔軟性ベース層とを含む図4の基材キャリア詳細図である。
図4A2】パターン面に適用された力によって歪まされた、図4A1のパターン要素のパターン面の詳細図である。
図4B1】非柔軟性パターン要素とベースロールに接続した柔軟性ベース層を含む図4の基材キャリア詳細図である。
図4B2】パターン面に適用された力によって歪まされた、図4B1のパターン要素のパターン面の詳細図である。
図4C1】ベースロールに接続された柔軟性パターン要素を含む図4の基材キャリア詳細図である。
図4C2】パターン面に適用された力によって歪まされた、図4C1のパターン要素のパターン面の詳細図である。
図5】流体塗布装置の概略側断面図である。
図6A】基材を有さない図5の基板キャリアの詳細断面図であり、パターン要素のパターン面は第1リップ、第2リップ及びスロット開口部に隣接している。
図6B】基材キャリア及びスロットダイ塗布機を通過して前進する基材の詳細断面図であり、スロットダイ塗布機の開口部及び前進するベース面の間の基材を示している。
図6C図6Bの基材キャリア及び基材の詳細断面図であり、ベース面は、基材がスロットダイ塗布機のスロット開口部と前進するパターン面の先頭端部との間にあるように、スロットダイ塗布機のスロット開口部を通過して前進している。
図6D図6Cの基材キャリア及び基材の詳細断面図であり、ベース面は、基材がスロットダイ塗布機のスロット開口部と前進するパターン面の間にあるように、スロットダイ塗布機のスロット開口部を通過して前進した後である。
図6E図6Dの基材キャリア及び基材の詳細断面図であり、パターン面は、スロットダイ塗布機のスロット開口部を通過して前進した後である。
図7】パターンベルトを含む基材キャリアを備えた流体塗布装置の実施形態の概略側断面図である。
図8】パターンベルトを含む基材キャリアを備えた流体塗布装置の別の実施形態の概略側断面図である。
図9】パターンベルト及びバックアッププレートを含む基材キャリアを備えた流体塗布装置の別の実施形態の概略側断面図である。
図10A】流体があるパターンで基材に塗布された平面図である。
図10B図10Aで示された基材及び流体の線10B−10Bで取られた断面図である。
図11】使い捨て吸収性物品の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示を理解する上で、以下の用語の説明が有用であり得る。
【0012】
「吸収性物品」は、本明細書においては、主な機能が汚れ及び排泄物を吸収及び保持することである消費者製品を指すために用いられる。吸収性物品の非限定的な例としては、おむつ、トレーニングパンツ、プルオンパンツ型おむつ、再留め可能おむつ又はパンツ型おむつ、失禁用ブリーフ及び下着、おむつホルダ及びライナー、パンティライナーなどの女性用生理衣類、吸収性挿入物などが挙げられる。
【0013】
本細書において「おむつ」とは、一般的に、幼児、及び失禁症状のある人によって、胴体下部周囲に着用される吸収性物品を指すのに用いられる。
【0014】
本明細書では、用語「使い捨て」は、洗濯、又は他の方法で吸収性物品として修復若しくは再使用することを一般に意図しない吸収性物品を説明するために使用される(例えば、その物品は、1回の使用後に廃棄することを意図し、またリサイクルするか、堆肥化するか、そうでなければ環境に適応した方法で処分するように構成され得る)。
【0015】
本明細書で使用するとき、「配置されている」という用語は、ある要素(1つ又は複数)が、特定の場所若しくは位置に他の要素と共にマクロ単一構造体として、又は別の要素に結合している別個の要素として形成されている(結合され位置する)ことを意味する際に用いる。
【0016】
本明細書で使用するとき、「結合されている」という用語は、ある要素を別の要素に直接取り付けることによって、その要素がその別の要素に直接取り付けられる構成、及びある要素を中間部材(1つ又は2つ以上)に取り付けてから、その中間部材を別の要素に取り付けることによって、その要素がその別の要素に間接的に取り付けられる構成を包含する。
【0017】
用語「基材」は、本明細書においては、材料として、主に二次元(すなわち、XY平面)であり、その厚さ(Z方向)が、その長さ(X方向)及び幅(Y方向)と比べて比較的小さい(すなわち、1/10以下である)材料を説明するために用いられる。その長さ(X方向)及び幅(Y方向)と比べて比較的小さい(すなわち、1/10以下である)材料を説明するために用いられる。基材の非限定的な例としては、単独で用いてもよいし、1つ以上のウェブ、層、フィルム及び/又は箔に積層してもよい層又は繊維性材料、フィルム及び箔、例えばプラスチックフィルム又は金属製の箔が挙げられる。そのため、ウェブは基材である。
【0018】
用語「不織布」は、本明細書において、スパンボンド、メルトブローンなどの方法によって、連続的な(長い)フィラメント(繊維)及び/又は非連続的な(短い)フィラメント(繊維)から作製された材料を指す。不織布は、織った又は編んだフィラメント模様を有さない。
【0019】
用語「機械方向」(MD)は、本明細書において、プロセスを通過する材料の方向を指すために用いられる。加えて、材料の相対的配置及び動きは、プロセスの上流からプロセスの下流へと、プロセス全体で機械方向に流れるものとして記述され得る。
【0020】
用語「交差方向」(CD)は、本明細書において、機械方向に対してほぼ垂直な方向を指すために使用される。
【0021】
用語「弾性の」、及び「エラストマーの」とは、本明細書で使用する場合、バイアス力を適用した際に、破裂又は破断することなく、その弛緩した元の長さの少なくとも約110%の延伸長さまで伸張することができ(すなわち、その元の長さよりも10%多く伸張することができ)、適用された力を取り除いた際にその延伸の少なくとも40%回復する、いずれかの材料を指す。例えば、100mmの初期長を有する材料は、少なくとも110mmまで伸びでき、力を除くと、106mmまで収縮することになる(40%の回復率)。本明細書において用語「非弾性」とは、上記の「弾性」の定義に当てはまらないあらゆる材料を指す。
【0022】
用語「延伸性の」とは、本明細書で使用する場合、バイアス力を適用した際に、破裂又は破断することなく、その弛緩した元の長さの少なくとも約110%の延伸長さまで伸張することができ(すなわち、10%まで伸張することができ)、適用された力を取り除いた際にその延伸の少なくとも40%未満の回復を示す、いずれかの材料を指す。
【0023】
用語「活性化する」、「活性化」又は「機械的な活性化」は、基材、又はエラストマー積層体がプロセス前より伸長可能になるように製造するプロセスを指す。
【0024】
「ライブ延伸」は、弾性体を延伸し、延伸された弾性体を基材に結合させることを含む。結合後、延伸された弾性体は解放されて収縮し、「波形化」基材になる。少なくとも1つの元来のフラットな寸法に達する点近くまで、波形化された部分が引っ張られると、波形化基材は延伸し得る。しかしながら、基材もまた弾性である場合、基材は、弾性部材と結合される前に、基材の弛緩した長さを越えて伸張し得る。弾性部材は、基材に結合される場合、その弛緩した長さの少なくとも25%が伸張される。
【0025】
本明細書で使用される場合、用語「拘束されていないキャリパ」は、Edana WSP 120.1(05)に従って、直径25.40±0.02mm及び適用力2.1N(すなわち、4.14±0.21kPaの圧力が適用される)を有する円筒形押え金を用いて測定された、基材のキャリパを指す。
【0026】
本明細書で使用される場合、用語「柔軟性」は、ASTMインターナショナル表示:タイプTデュロメータ用のD2240−05(再認可2010)に従い測定して、90未満のデュロメータ硬度の任意の材料を指す。
【0027】
本明細書で使用される場合、用語「非柔軟性」は、米国標準規格表示のロックウェルBスケールに定義される100HRBW超の硬度値の任意の材料を指す。
【0028】
本開示の態様は、物品を製造するために連続基材を使用する方法及び装置を含み、より具体的には、前進する基材上に流体を塗布するための方法及び装置を含む。本明細書に記載の装置及び方法の特定の実施形態は、接着剤などの粘着性の流体を、一部の実施形態では、前進する基材に所定のパターンで接着剤を塗布することを提供する。流体塗布装置の実施形態は、以下で、拘束されていないキャリパHsを有し、かつ第2面とは反対に配設された第1面を有する前進する基材に、接着剤を塗布する文脈でより詳細に説明される。流体塗布装置は、スロットダイ塗布機及び基材キャリアを含んでもよい。スロットダイ塗布機は、スロット開口部、第1リップ、及び第2リップを含んでもよく、スロット開口部は第1リップ及び第2リップの間に配置される。また、基材キャリアは、スロットダイ塗布機が、接着剤を基材上に放出させるときに、基材がスロットダイ塗布機を通過して前進させられるように適合されてもよい。動作中、基材の第1面は基材キャリア上に配設されるときに、基材キャリアは、基材の第2面をスロットダイ塗布機のスロット開口部を通過して前進させる。本明細書に開示された装置及びプロセスは、本明細書以外の前進する基材に様々な種類の流体及び接着剤を様々な異なるパターンで塗布するために使用されてもよいことが理解されるであろう。
【0029】
以下でより詳細に説明されるように、基材キャリアは、ベース面及びパターン要素を含んでもよい。パターン要素は、パターン面を含み、かつベース面から外側に突出する。このように、ベース面が構成される基材キャリアでは、パターン面及びベース面は、距離Hpで分離されている。加えて、基材キャリアは、パターン要素のパターン面と第1リップ及び第2リップとの間に、基材の拘束されていない状態でのキャリパHsよりも小さい最小距離Hgを画定するようにスロットダイ塗布機に隣接して位置付けられる。したがって、基材キャリアが基材の第2面をスロット開口部を通過して前進するにつれて、パターン要素は、パターン面がスロットダイ塗布機の第1リップ、スロット開口部及び第2リップを繰り返し通過して前進するように前進させられる。以下に記載されるように、基材キャリアのパターン要素及び/又はベース面は、柔軟又は圧縮可能であってもよい。更にこのため、基材キャリアのパターン要素及び/又はベース面は、基材がスロットダイ塗布機及びパターン面の間を前進するときに、断続的に圧縮される。したがって、パターン要素のパターン面は、基材及びパターン要素がスロットダイ塗布機の第1リップ、スロット開口部及び第2リップを通過して前進するときに、スロットダイ塗布機から離れる方向に歪められる。パターン面はスロットダイ塗布機から離れる方向に断続的に歪められるので、スロットダイ塗布機から放出された接着剤は前進する基材の第2面上に塗布される。より具体的には、接着剤は、パターン面によって画定された形状と実質的に同じ形状を有する基材の領域に塗布される。
【0030】
本明細書に開示の装置及び方法は、様々な構成を有する基材キャリアを含んでもよい。例えば、一部の実施形態では、基材キャリアはローラーとして構成されてもよい。他の実施形態では、基材キャリアはエンドレスベルトを含んでもよい。基材キャリアはまた、多様な外側表面配置を使用してもよい。例えば、ベース面は、連続する表面として構成されてもよく、基材キャリアは、連続する表面によって互いから分離された複数の分離されたパターン要素を含んでもよい。かかる構成では、各パターン要素は、パターン面を含んでもよく、各パターン要素は、各パターン面が連続する表面からHpの距離の分、分離されるように、連続する表面から外側に突出してもよい。別の例では、パターン面は、連続する表面として構成されてもよく、ベース面は、パターン要素によって互いから分離されている複数の分離されたベース面を含んでもよいかかる構成では、パターン要素は、各ベース面がHpの距離の分、連続する表面から分離されるように各ベース面から外側に突出してもよい。パターン要素のパターン面は、多様な異なる形状及びサイズで構成され、及び様々な異なるパターンで画定するように構成されることが理解されるであろう。そのため、接着剤はスロットダイ塗布機から転写され、基材上に様々なパターンを画定し得る。
【0031】
先に述べたように、本開示の装置及び方法は、接着剤を吸収性物品の製造で使用される連続基材に塗布することに利用されることができる。そのような基材は、例えば、バックシート、トップシート、吸収性コア、前側及び/又は後側耳部、締結構成要素、並びに様々な種類の弾性ウェブ及び構成要素(例えば、脚部弾性部材、バリアレッグカフ弾性部材、及び腰部弾性部材など)の、吸収性物品構成要素に利用することができる。吸収性物品構成要素及び基材の代表的な記述は、図11を参照して後述される。加えて、基材には、キャリア基材上に取り付けられた材料及び構成要素部品の連続ウェブが含まれ得、又は連続基材の形態であり得る。
【0032】
本開示の大半は、吸収性物品の製造との関係において提供されているが、本明細書に開示される装置及び方法は、連続基材から製造される他の種類の物品及び製品の製造にも適用され得ることが理解されよう。その他の製品の例には、無生物表面に対する吸収性物品、例えば主な機能が汚れ及び排泄物を吸収及び保持することである消費者製品であって、その汚れ及び排泄物が、固体又は液体の場合があり、無生物表面、例えば床、物体、家具などから取り除かれるものである、消費者製品が挙げられる。無生物表面に対する吸収性物品の非限定的な例としては、ほこり取りシート、ウェットタイプのワイプ又はパッド、ウェットタイプの布、ペーパータオル、乾燥機用柔軟性仕上げシート及びドライクリーニング用布などの吸収性物品が挙げられる。製品の更なる例には、主な機能が身体滲出物を吸収して封じ込めることである、生物表面に対する吸収性物品、より具体的には、ユーザーの身体に接して又は近接して配置されて、身体から放出される種々の滲出物を吸収して封じ込めるデバイスが挙げられる。失禁用吸収性物品の非限定的な例としては、おむつ、トレーニングパンツ及びプルオンパンツ、成人失禁用ブリーフ及び下着、パンティライナー及び吸収性インサートなどの婦人衛生用衣類、トイレットペーパー、ティッシュペーパー、顔用ワイプ又は布、並びにトイレトレーニング用ワイプが挙げられる。更に他の製品例としては、梱包要素及び基材、並びに/又は洗濯洗剤及びコーヒーの容器(これらはペレット又はパウチで生産してもよく、変換又はウェブプロセスで製造してもよい)、あるいは更には高速瓶詰めラインなど高速で生産される、人に配慮した製品、化粧品、かみそりの刃のカートリッジ、及び使い捨て消費者電池を挙げることができる。
【0033】
図1は、接着剤を基材に塗布するための装置100の実施形態の斜視図を示す。装置100は、スロットダイ塗布機102及び基材キャリア104を含む。図1に示されるように、基材106は、機械方向に前進しており、基材キャリア104の周囲に部分的に巻きつけられる。より具体的には、基材106は、第2面110とは反対側に配設された第1面108を含む。基材106の第1面108は、基材106の第2面110がスロットダイ塗布機102を通過して前進する間、基材キャリア104の外側表面112上に配設される。以下に、より具体的に説明されるように、基材106の第2面110は、スロットダイ塗布機102を通過して前進し、接着剤は、基材キャリア104の外側表面112上に画定されたパターンと実質的に同じであるパターンで、スロットダイ塗布機102から基材の第2面上へと転写される。以下に、より具体的に説明されるように、基材キャリア104は、スロットダイ塗布機102からの流体130を基材106上に、例えば、図1A〜1Dに示されるような様々なパターンで堆積させる様々な方法で構成されてもよい。
【0034】
図1に図示されるスロットダイ塗布機102が、接着剤を基材106に塗布するために使用される装置の一般的な描写であることが理解されるであろう。スロットダイ塗布機は、スロット開口部114、第1リップ116及び第2リップ118を含んでもよい。本明細書では第1リップ116はまた、上流ダイリップとして参照され得、本明細書では第2リップ118はまた、下流ダイリップとして参照され得る。スロット開口部114は、第1リップ116及び第2リップ118の間に配置される。接着剤又は他の流体は、基材キャリア104が基材をスロットダイ塗布機102の第1リップ116、スロット開口部114、及び第2リップ118を通過して前進させるときに、スロット開口部114から基材106の第2面110上へと放出されてもよい。以下により具体的に説明されるように、基材106はまた、基材106がスロットダイ塗布機102を通過して前進するときに、スロットダイ塗布機102と基材キャリア104の間で断続的に圧縮される。方法及び装置による、前進する基材に接着剤又は他の流体を塗布するために、様々な形態のスロットダイ塗布機が本明細書で使用され得ることが理解されるであろう。例えば、米国特許第7,056,386号は、使用され得るスロットダイ塗布機の説明を提供する。市販されているスロットダイ塗布機の他の例には、Nordson社のEP11シリーズのスロットダイ塗布機、及びITW Dynatec GmbhのAPEXシリーズのスロットダイ自動接着剤塗布機が挙げられる。
【0035】
様々な種類の基材キャリア104は、本明細書の装置及び方法に従って使用されてよい。例えば、図2A及び2Bは、基材106をスロットダイ塗布機102を通過して前進させるように適合されたローラー120として構成された基材キャリア104の実施形態を図示する。図2A及び2Bに図示された基材キャリア104の外側表面112は、ベース面124から半径方向外側に突出する複数のパターン要素122を含む。各パターン要素122は、パターン面126を含み、パターン要素122の、ベース面124からの半径方向突出部は、パターン面126及びベース面124の間に距離Hpを画定する。図2A及び2Bに図示されるように、ベース面124は、連続する表面128として構成され、複数の別個のパターン要素122は、連続する表面128によって互いに分離されている。図2A及び2Bのパターン126は、菱形を画定する。一部の実施形態では、各パターン要素122のパターン面126の形状及びサイズは、互いに同一又は実質的に同一であってもよい。一部の若しくは全てのパターン面及び/又はパターン要素の数、サイズ、並びに形状は異なり得ることが理解されるであろう。加えて、パターン要素122のベース面124及びパターン面126の間の距離Hpは、パターン要素の一部若しくは全てにおいて同じであっても又は異なっていてもよい。
【0036】
以下で詳述するように、基材キャリア104が、基材106をスロットダイ塗布機102を通過して前進させるときに、スロットダイ塗布機から放出された流体は、基材上に、基材キャリアのパターン面の形状と実質的に一致するパターンで堆積される。例えば、図2Cは、図2A及び2Bに示されたものと類似のパターン要素122及びパターン面126を有する基材キャリア上に基材106を配設させながら、スロットダイ塗布機を通過させて前進させた後の、基材106の第2面110上に堆積された流体の代表的なパターン130を示す。図2Cに図示されるように、流体130は、図2Aに示された基材キャリア104のパターン面126の形状と対応し、それと鏡像であり得る菱形を有する別個のパターン領域132内で基材106上に堆積される。
【0037】
図3A及び3Bは、基材106をスロットダイ塗布機102を通過して前進させるように適合されたローラー120として構成された基材キャリア104の別の実施形態を図示する。図3A及び3Bで示された基材キャリア104は、パターン面126を含む単一のパターン要素122を含む。またパターン要素122は、複数のベース面124から半径方向外側に突出する。より具体的には、パターン面126は、連続する表面134として構成され、複数のベース面はパターン要素122によって互いから分離される。パターン要素122のベース面124からの半径方向への突出部は、パターン面126及びベース面124の間に距離Hpを画定する。図3A及び3Bのパターン面126は、連続して交差する線パターンを有し、各ベース面124の形状及びサイズは、互いに同一又は実質的に同一であってもよい。一部の若しくは全てのベース面の数、サイズ、並びに形状は、異なり得ることが理解されるであろう。加えて、パターン要素122のベース面124及びパターン面126の間の距離Hpは、一部の若しくは全てのベース面において同じであっても又は異なっていてもよい。基材キャリアは、ベース面を有さないように構成され得ることが理解されるであろう。例えば、基材キャリアは、複数の穴を含んでもよく、及びパターン面は、複数の穴がパターン要素によって互いに分離されるような連続する面として構成されてもよい。
【0038】
上記のように、基材キャリア104は基材106をスロットダイ塗布機102を通過して前進させるにつれ、スロットダイ塗布機102から放出される流体130が、基材106上に基材キャリア104上のパターン面126の形状と実質的に一致するパターンで堆積される。例えば、図3Cは、図3A及び3Bに示されたものと類似のパターン要素122及びパターン面126を有する基材キャリア104上に基材106を配設させながら、基材106をスロットダイ塗布機102を通過して前進させた後の、基材106の第2面110上に堆積された流体の代表的なパターン130を示す。図3Cに図示されるように、流体130は、図3A及び3Bに示された基材キャリア104上のベース面124の形状と対応し、それと鏡像であり得る菱形を交差する線の間に画定する、交差する線パターンで基材106上に堆積される。
【0039】
上記のように、基材キャリアは、ベース面及び/又はパターン要素が柔軟性材料を含み得るような様々な方法で構成されてもよい。一部の構成では、柔軟性材料は、パターン要素のパターン面をスロットダイ塗布機から離れる方向に歪ますことを可能にするように圧縮可能であってもよい。したがって、基材キャリアは、基材及びパターン要素がスロットダイ塗布機の第1リップ、スロット開口部及び第2リップを通過して前進するときに、スロットダイ塗布機から離れる方向へのパターン面の歪みが、パターン要素及び/又はベース面を圧縮するように構成されてもよい。
【0040】
図4は、圧縮される可能性のある、及びパターン面126がパターン面126上に掛けられた力Fに応じて歪められる可能性のある柔軟性材料、並びに構成要素によって構成され得る、代表的な基材キャリア104の概略側断面図を示す。図4の基材キャリア104は、回転軸105の周囲を回転するようになっているローラー120の形態である。動作中、力Fは、基材106及びパターン要素122が、スロットダイ塗布機の第1リップ、スロット開口部114、及び第2リップ118を通過して前進するときに、パターン面126上に掛けられてもよい。基材キャリア104が、パターン面126を歪ませることを可能にする様々な異なる柔軟性材料の構成要素を備えた様々な方法で構成され得ることが理解されるであろう。
【0041】
例えば、図4A1及び4A2は、例えば、柔軟性パターン要素122と、非柔軟性支持面162を有するベースロール160に接続された柔軟性ベース面124とを含む、図4のローラー120の形態の基材キャリア104の詳細図を図示する。より具体的には、図4A1及び4A2のローラー120は、非柔軟性支持面162から半径方向外側に延びて柔軟性ベース面124を画定する柔軟性材料のベース層164を含んでもよい。一部の配置では、柔軟性材料のベース層164は、内側半径方向表面168及び外側半径方向表面170を有する円筒形状スリーブ又は管166として形成されてもよい。内側半径方向表面168は、ベースロール160の非柔軟性支持面162の全て又は一部分を包囲してもよく、外側半径方向表面170は、ベース面124の全て又は一部分を画定してもよい。次に、パターン要素122は、近位端部172及びパターン面126を有する遠位端部174を含んでもよく、近位端部172は、ベース層164の外側半径方向表面170に接続されている。そのため、パターン要素122は、柔軟性材料のベース層164から遠位端部174まで半径方向外側に延びてもよい。パターン要素122は、柔軟性ベース層164と別々に接続される又は一体化して形成されてもよいことが理解されるであろう。図4A1は、パターン要素122及び圧縮されていない状態の柔軟性材料のベース層164を図示し、パターン面126と非柔軟性支持面162との間の最小距離は、距離R1によって画定される。図4A2は、圧縮された状態の、図4A1の柔軟性パターン要素122と柔軟性ベース層164を図示し、力Fが、パターン面126に掛けられる。パターン要素122及びベース層164は共に柔軟性であるため、パターン面126に適用された力Fが、パターン要素122及びベース層164をベースロール160の非柔軟性表面162に対して圧縮させる。パターン要素122及びベース層164の圧縮によって、力Fに応じてパターン面126を歪ませることが可能になる。そのため、パターン面126と非柔軟性表面162との間の最小距離は、距離R2として画定され、R2はR1よりも小さい。
【0042】
別の例では、図4B1及び4B2は、非柔軟性パターン要素122及び非柔軟性支持面162を有するベースロール160と接続する柔軟性ベース面124を含む、図4などのローラー120の形態の基材キャリア104の詳細図を図示する。より具体的には、図4B1及び4B2のローラー120は、非柔軟性支持面162から半径方向外側に延びて柔軟性ベース面124を画定する、柔軟性材料のベース層164を含んでもよい。一部の配置では、柔軟性材料のベース層164は、内側半径方向表面168及び外側半径方向表面170を有する円筒形状スリーブ又は管166として形成されてもよい。内側半径方向表面168は、ベースロール160の非柔軟性支持面162の全て又は一部分を包囲してもよく、外側半径方向表面170は、ベース面124の全て又は一部分を画定してもよい。次に、パターン要素122は、近位端部172及びパターン面126を有する遠位端部174を含んでもよく、近位端部172は、ベース層164の外側半径方向表面170に接続されている。そのため、パターン要素122は、柔軟性材料のベース層164から遠位端部174まで半径方向外側に延びてもよい。パターン要素122は、柔軟性ベース層164と別々に接続される又は一体化して形成されてもよいことが理解されるであろう。図4B1は、圧縮されていない状態の柔軟性材料のベース層164を図示し、パターン面126と非柔軟性支持面162との間の最小距離は、距離R1によって画定される。図4B2は、圧縮された状態の、図4B1の柔軟性ベース層164を図示し、力Fがパターン面126に掛けられる。パターン要素122は非柔軟であり、ベース層164は柔軟なため、パターン面126に適用された力Fが、ベース層164がパターン要素122とベースロール160の非柔軟性表面162との間で圧縮されるように、パターン要素122にベース層164を押させる。ベース層164の圧縮によって、力Fに応じてパターン面126を歪ませることが可能になる。そのため、パターン面126と非柔軟性表面162との間の最小距離は、距離R2として画定され、R2はR1よりも小さい。
【0043】
別の例では、図4C1及び4C2は、図4などのローラー120の形態の、ベースロール160と接続する柔軟性パターン要素122を含む基材キャリア104の詳細図を図示する。ベースロール160は、ベース面124を更に画定する非柔軟性外周方向支持面162を含む。次に、パターン要素122は、近位端部172及びパターン面126を有する遠位端部174を含んでもよく、近位端部172は、非柔軟性支持面162に接続されている。図4C1は、圧縮されていない状態のパターン要素122を図示し、パターン面126と非柔軟性支持面162との間の最小距離は、距離R1によって画定される。図4C2は、圧縮された状態の、図4C1のパターン要素122を図示し、力Fがパターン面126に掛けられている。パターン要素122は柔軟なため、パターン面126に適用された力Fによりパターン要素122はベースロール160の非柔軟性表面162に対して圧縮される。パターン要素122の圧縮によって、力Fに応じてパターン面126を歪ませることが可能になる。そのため、パターン面126と非柔軟性表面162との間の最小距離は、距離R2として画定され、R2はR1よりも小さい。場合によっては、力Fは、回転軸105に向かって半径方向に働かせてもよい。
【0044】
前述したように、本明細書の方法及び装置は、基材をスロットダイ塗布機を通過して前進させるように適合された基材キャリアを含む。図5は、基材キャリア104及びスロットダイ塗布機102を含む流体塗布装置100の実施形態の概略側断面図である。基材106は、第1面108と、第1面108とは反対側に配設された第2面110とを含む。基材106の第1面108の一部分は、基材キャリア104上に配設され、基材キャリア104は、複数のベース面124から突出する複数のパターン要素122を有するローラー120として構成されてもよい。図5に示された基材キャリア104は、図1〜4C2を参照して上記されたものを含む、本明細書に記載の様々な機構及び態様の任意の基材キャリアで構成されてもよいことが理解されるであろう。ローラー120は、基材106の第2面110をスロットダイ塗布機102を通過して前進させるために、回転する。流体送達システム138は、接着剤などの流体130をスロットダイ塗布機102に供給するために使用されてもよい。流体送達システムは、様々な異なる方法で構成され得ることを理解されるであろう。例えば、図5に示されるように、流体送達システム138は、タンク142からの流体をスロットダイ塗布機102に移動するポンプ140を含んでもよい。流体送達システム138はまた、ポンプ140から供給された流体130の圧力を制御するのに役立つように構成された圧力解除弁144を構成されてもよい。流体送達システム138からの流体130は、スロットダイ塗布機102及びスロット開口部114を通過し、前進する基材106の第2面110に転写される。
【0045】
図5を引き続き参照して、スロットダイ塗布機102から通過した流体130は、基材106の第2面110に、基材キャリア104上のパターン面126と実質的に同じであるパターン及び形状で転写される。以下で詳述されるように、基材キャリア104は、パターン面126とスロットダイ塗布機102との間に、拘束されていない基材106のキャリパよりも小さい最小距離を画定するように、上記スロットダイ塗布機102に隣接させて位置付けられる。そのため、パターン要素及び/又はベース面は、基材106及びパターン要素122のパターン面126が、スロットダイ塗布機102の第1リップ116、スロット開口部114、及び第2リップ118を通過して前進するときに、パターン要素のパターン面126をスロットダイ塗布機102から離れる方向に歪ませることが可能になるように圧縮され得る。しかしながら、基材キャリア104のベース面124とスロットダイ塗布機102との間の最小距離は、拘束されていない基材106のキャリパよりも大きい。そのため、ベース面124は、基材がスロットダイ塗布機102の第1リップ116、スロット開口部114、及び第2リップ118を通過して前進するときに圧縮されない。したがって、動作中、流体130は、スロットダイ塗布機102から連続して放出されるが、基材キャリア102上のパターン面126がスロットダイ開口部114を通過してパターン面126を歪ませるにつれ、パターン要素122及び/又はベース面124が圧縮されるときに、流体130は前進する基材106に転写される。流体130は、基材キャリア104上のベース面124がスロットダイ開口部114を通過して前進する一方、パターン要素122及び/又はベース面124は圧縮されないときに、前進する基材106には転写されない。図6A〜6Eを参照して、以下にスロットダイ塗布機からの流体の基材への転写のより詳細な明細書を提供する。
【0046】
図6Aは、基材を有さない図5の基板キャリアの詳細断面図であり、パターン要素122のパターン面126は、スロットダイ塗布機102の第1リップ116、第2リップ118及びスロット開口部114に隣接している。図6Aに示されるように、基材キャリア104は、非柔軟性支持面162、ベース面124、及びベース面124から突出するパターン要素122を含む。圧縮されていない状態では、パターン要素122は、パターン面126とベース面124との間に距離Hpを画定し、かつパターン面126と非柔軟性支持面162との間に最小距離R1を画定するように、ベース面124から外向きに突出する。基材キャリア104はまた、圧縮されていない状態のパターン要素122のパターン面126と第1リップ116及び第2リップ118との間に最小距離Hgを画定するように、スロットダイ塗布機102に隣接して位置付けられる。以下で説明されるように、最小距離Hgは、基材キャリア104によって前進させられる拘束されていない基材106のキャリパHsよりも小さい。加えて、基材キャリア104は、ベース面123と第1リップ及び第2リップとの間に最小距離Hbを画定するように、スロットダイ塗布機102に隣接して位置付けられる。以下で説明されるように、最小距離Hbは、基材キャリア104によって前進させられる基材の拘束されていない状態でのキャリパHsよりも大きくあり得る。
【0047】
図6Bは、図6Aの基材キャリア104と、スロットダイ塗布機102を通過して前進する基材106との概略側断面図である。基材106は、拘束されていないキャリパHsを有し、かつ第2面110の反対側に配設された第1面108を有する。基材106の第1面108は、上記基材キャリア104上に配設される。基材106及び基材キャリア104はまた、機械方向MDにスロットダイ塗布機102を通過して共に前進しているのが図示される。より具体的には、基材106の第2面110は、スロットダイ塗布機102の上流リップ116と下流リップ118の間に配置されたスロット開口部114を通過して前進している。先に述べたように、基材キャリア104は、パターン要素122の圧縮されていないパターン面126と第1リップ116及び第2リップ118との間に、拘束されていない基材106のキャリパHsよりも小さい、最小距離Hgを画定するように、スロットダイ塗布機102に隣接させて位置付けられる。加えて、基材キャリア104は、ベース面124と第1リップ116及び第2リップ118との間に、基材の拘束されていない状態でのキャリパHsよりも大きい最小距離Hbを画定するように、スロットダイ塗布機102に隣接させて位置付けられる。装置100はまた、距離Hpと距離Hgとの合計が基材106の基材の拘束されていない状態でのキャリパHsよりも大きくなるように構成され得る。そのため、スロットダイ塗布機102のスロット開口部114と前進するベース面124との間に配置された基材106の部分106aは、ベース面124に押し付けられない。そのため、流体130は、スロット開口114から連続して放出されるが、流体130は基材106の第2面110に転写されない。
【0048】
図6Cは、図6Bの基材キャリア104及び基材106の詳細断面図であり、ベース面124は、基材106の部分106bがスロットダイ塗布機102の第1リップ116と前進するパターン面126の先頭端部146との間にあるように、スロットダイ塗布機102のスロット開口部114を通過して前進した状態である。先に述べたように、圧縮されていない状態のパターン要素122のパターン面126と第1リップ116及び第2リップ118との間の最小距離Hgは、拘束されていない基材106のキャリパHsよりも小さい。そのため、パターン面126と第1リップ116との間の基材106の部分106bは、パターン面126に押し付けられ、かつパターン面126に力を及ぼす。したがって、パターン要素122及び/又はベース面124は圧縮し、パターン面126と非柔軟性支持面162との間の最小距離R2を画定するように、パターン面126を第1リップ116から離れる方向に歪めることが可能になる。図6Cに、スロット開口部114から放出された流体130は、パターン面126の先端端部146及び基材106の隣接する部分がスロット開口部114を通過して前進し始めようとするときの、基材の第2面110への転写の始まりとして図示される。
【0049】
図6Cを引き続き参照して、パターン要素122及び/又はベース面124の圧縮により、パターン面126及び第1リップ116の間に圧縮された距離Hcを画定するように、パターン面126を第1リップ116から離れる方向に歪ませることが可能になる。基材106がフィルムなどの材料から製造される場合、基材106は、パターン面126と第1リップ116との間を前進する間、拘束されていないキャリパHsと実質的に同じキャリパを維持し得る。したがって、パターン面126は、HgとHsとの差異の分歪められ得るし、一部の例では距離R2は次の式で求められ得る:
R2=R1+Hg−Hs
【0050】
このような場合では、圧縮された距離Hcはまた、拘束されていないキャリパHsに等しくあり得、又は実質的に等しくあり得る。
【0051】
図6Cを更に参照して、基材106は不織布又は不織布層を含む積層体などの材料から製造される場合、基材106は、パターン面126と第1リップ116との間を前進する間、拘束されていないキャリパHsよりも小さいキャリパまで圧縮され得る。このような場合では、圧縮された距離Hcは拘束されていないキャリパHsよりも小さくあり得る。換言すれば、基材106は、圧縮された距離Hcに等しい又は実質的に等しいキャリパまで圧縮され得る。したがって、パターン面126は、HgとHcとの差異の分歪められ得るし、一部の例では距離R2は次の式で求められ得る:
R2=R1+Hg−Hc
【0052】
図6Dは、図6Cの基材キャリア104及び基材の詳細断面図であり、ベース面124と、パターン面126の先頭端部146は、前進する基材106の部分106bが、スロットダイ塗布機102のスロット開口部114と前進するパターン面126の間にあるように、スロットダイ塗布機102のスロット開口部114を通過して前進した状態である。圧縮されていないパターン要素122のパターン面126と第1リップ116及び第2リップ118との間の最小距離Hgは、基材106の拘束されていないキャリパHsよりも小さいので、パターン面126とスロットダイ塗布機102の第1リップ116及び第2リップ118との間の基材106の部分106bは、パターン面126を圧迫し、かつパターン面126上に力を及ぼす。そのため、柔軟性パターン要素122及び/又はベース面124は圧縮され、パターン面126が第1リップ116及び第2リップ118から離れるように歪められることが可能になる。上記のように、基材106がフィルムなどの材料から製造されるときに、基材106は、パターン面126と第1リップ116及び第2リップ118との間を前進する間に、拘束されていないキャリパHsと実質的に同じキャリパを維持し得る。したがって、パターン面126は、HgとHsとの差異の分歪められ得るし、及び一部の例では距離R2は次の式で求められ得る:R2=R1+Hg−Hs。また、上記のように、基材106は不織布又は不織布層を含む積層体などの材料から製造される場合、基材106は、パターン面126と第1リップ116及び第2リップ118との間を前進する間、拘束されていないキャリパHsよりも小さいキャリパまで圧縮され得る。したがって、パターン面126は、HgとHcとの差異の分歪められ得るし、及び一部の例では距離R2は次の式で求められ得る:R2=R1+Hg−Hc。図6Dにおいて、スロット開口部114から放出された流体130は、パターン面126及び基材106の隣接する部分106bがスロット開口部114を通過して前進するとき、基材の第2面110へ転写が行われている状態として図示される。
【0053】
図6Eは、図6Dの基材キャリア104及び基材106の詳細断面図であり、基材の部分106b及びパターン面126が、スロットダイ塗布機102のスロット開口部114を通過して前進した状態である。図6Eに示されるように、パターン面126の上流部分126aは、第2リップ118と隣接しており、パターン面126の下流部分126bが第2リップ118を通過して前進した状態である。したがって、スロットダイ塗布機102の第2リップ118と前進するパターン面126の上流部分126aの間の前進する基材106の部分106bは、パターン面126を圧迫し、かつパターン面126上に力を及ぼす。したがって、柔軟性パターン要素122及び/又はベース面124は圧縮され、パターン面126の上流部分126aと非柔軟性支持面162との間の最小距離R2を画定するように、パターン面126の上流部分126aを第1リップ116及び第2リップ118から離れる方向に歪ませることが可能になる。
【0054】
引き続き図6Eを参照して、パターン面126の下流部分126bは、スロットダイ塗布機102の第2リップ118を通過して前進した状態であり、そのため、基材106の部分106bは、もはやパターン面126の下流部分126bを圧迫してはおらず、柔軟性パターン要素122及び/又はベース面124を圧縮されていない状態に戻らせ、非柔軟性表面162とパターン面126の下流部分126bとの間の最小距離が距離R1になるように、パターン面126の下流部分126bは非柔軟性表面162から離れる方向へと歪んだ状態から戻る。またいったん、パターン面126の上流部分126aが、第2リップ118を通過して前進した状態になると、非柔軟性表面162とパターン面126との間の最小距離が距離R1になるように、パターン面126の上流部分126a及び下流部分126bの両方が、非柔軟性表面162から離れる方向に歪むように、柔軟性パターン要素122及び/又はベース面124の残部は圧縮されていない状態に戻り得る。
【0055】
更に図6Eを参照して、前進する基材106の圧縮されていない部分106cは、スロットダイ塗布機102のスロットダイ開口部114と前進するベース面124との間にある。ベース面124と第1リップ116及び第2リップ118との間の最小距離Hbは、基材の拘束されていない状態でのキャリパHsよりも大きいので、ベース面124と、スロットダイ塗布機102のスロット開口部114及び第1リップ116との間を前進する基材106の部分106cは、圧縮されない。そのため、スロット開口部114から放出された流体130は、ベース面124及び隣接する基材の圧縮されていない部分106cが、スロット開口部114を通過して前進するときに、基材106の第2面110に転写の終わりとして図6Eに図示されている。
【0056】
先に述べたように、基材キャリアの様々な形態及び構成が、本開示の方法及び装置と共に使用され得る。例えば、図7は、エンドレスパターンベルト148を含む基材キャリア104を備えた流体塗布装置100の実施形態の概略側断面図を示す。パターンベルト148は、パターンベルト148及び基材をスロットダイ塗布機102を通過して前進させるように適合された2つのローラー150の周囲に巻きつけられる。パターンベルト148は、先に述べたようにパターン要素122及びベース面124及び/又は穴136の様々な異なる組み合わせ、形状、及び種類を含み得る。図7に示されるように、スロットダイ塗布機102は、パターンベルト148が一方のローラー150の周囲に部分的に巻きつけられている場所でパターンベルト148に隣接している。スロットダイ塗布機102は、パターンベルト148の他の場所に隣接して配置されることが理解されるであろう。例えば、図8は、スロットダイ塗布機102が、ローラー150の間の場所でパターンベルト148に隣接する流体塗布装置100の実施形態の概略側断面図を示す。図9は、パターンベルト148の裏側に配置されたバックアッププレート152を備えた図8の実施形態の概略側断面図を示し、バックアッププレート148は、パターンベルトがスロットダイ塗布機102から離れる方向に歪められるのを防止するのに役立たせるために、パターンベルト148に支持を提供する。
【0057】
上記の説明及び関連する図を参照して、本明細書の装置100は、基材を機械方向に、スロットダイ塗布機102の第1リップ116、第2リップ118、及びスロット開口部114を通過して連続して前進させることにより、スロットダイ塗布機102から基材106へとパターンで接着剤130を塗布するために使用され得ることが理解されるべきである。基材106は、ベース面124及びパターン要素122を含み得る基材キャリア104と係合されてもよく、パターン要素はパターン面126を含む。パターン要素122は、パターン面126とベース面124との間に距離Hpを画定するように、ベース面124から突出する。先に述べたように、一部の実施形態では、基材キャリアは、パターン要素122に隣接するベース面126の代わりに又はベース面126と組み合わせる穴136を含んでもよい。基材キャリア104は、圧縮されていないパターン要素122のパターン面126と第1リップ116及び第2リップ118との間に、拘束されていない基材106のキャリパHsよりも小さい、最小距離Hgを画定するように、スロットダイ塗布機102に隣接して位置付けられる。基材106の第2面110は、基材106の第1面108が基材キャリア104上に配設されている間、スロットダイ塗布機102を通過して前進させられ得る。基材106はまた、基材106の第1面108が基材キャリア104上に配設されている間、パターン要素のパターン面がスロットダイ塗布機102の第1リップ116、スロット開口部114、第2リップ118を通過して前進するのに従い、パターン要素を前進させることにより、スロットダイ塗布機102とパターン要素122のパターン面126との間で断続的に圧縮される。
【0058】
本明細書の方法及び装置は、前進する基材上に機械方向MDで様々な設計又はパターンで接着剤などの流体を堆積し得ることが理解されるであろう。例えば、図10Aは、様々な交差方向CD幅及び/又は交差方向CD場所を有する別個のパターン領域132によって画定された代表的なパターンで基材106の第2面110上に堆積された流体130を示す。加えて、上記のように、流体130は、パターン要素122のパターン面126の形状と対応し、それと鏡像であり得る形状を有するパターン領域132で基材106上に堆積されるので、流体130は、基材キャリア104上の隣接するパターン面126の間の距離と一致する距離dpを、機械方向MDに沿ってパターン領域132間で画定するように断続的に堆積され得る。一部の構成では、流体130は、基材106の機械方向に沿って、パターン領域132間で30mm以下の距離を画定するように基材上に断続的に堆積され得る。加えて、流体130は、機械方向MDに沿って断面形状を画定する様々な厚さを作るように基材106上に堆積され得る。例えば、図10Bは、図10Aの基材106上にパターン領域132の断面図を示す。図10Bで機械方向MDに沿って示されるように、各パターン領域132は、中央部404によって分離される先端部400及び後端部402含む。先端部400は、第1厚さt1を画定し、中央部404は第2厚さt2を画定し、及び後端部402は第3厚さt3を画定する。一部の構成では、第1厚さt1は、第2厚さt2及び第3厚さt3よりも大きく、第2厚さt2は、実質的に第3厚さt3と同じである。
【0059】
先に述べたように、本明細書の装置100及び方法は、様々な異なる製品の製造中、接着剤をパターンで基材及び構成要素に塗布することを提供するために使用されてもよい。具体的な例を挙げるために、図11は、例えば米国特許公開第US2008/0132865(A1)号に記載の、使い捨て吸収性物品250の一例を示しており、これは、本明細書で開示される装置及び方法に従って製造中に操作された基材及び構成要素から構成され得るおむつ252の形態である。特に、図11は、平坦で折り畳まれていない状態で示されているシャーシ254を含むおむつ252の一実施形態の平面図であり、着用者に面するおむつ252の部分が観察者の方を向いている。図11において、シャーシ構造の一部は、おむつの実施形態に含まれ得る構成及び様々な機構をより明瞭に示すために、切り取られている。
【0060】
図11に示されるように、おむつ252は、第1耳部256と、第2耳部258と、第3耳部260と、第4耳部262とを有するシャーシ254を含む。本考察に関する基準枠を提供するために、長手方向軸線264及び横方向軸線266を備えたシャーシが示されている。シャーシ254は、第1腰部区域268、第2腰部区域270、及び第1腰部区域と第2腰部区域との中間に配置される股部区域272を有するものとして示されている。おむつの周囲は、一対の長手方向に延伸する側縁部274、276、第1腰部区域268に隣接して横方向に延伸する第1外側縁部278、及び第2腰部区域270に隣接して横方向に延伸する第2外側縁部280によって画定される。図11に示されるように、シャーシ254は、内側の身体に面する表面282と外側の衣類に面する表面284とを含む。図11において、シャーシ構造の一部は、おむつに含まれ得る構成及び様々な機構をより明瞭に示すために、切り取られている。図11に示されるように、おむつ252のシャーシ254は、トップシート288とバックシート290とを含む外側カバー層286を含んでよい。吸収性コア292は、トップシート288とバックシート290の一部分との間に配置され得る。後でより詳細に述べるように、領域のうちの任意の1又は複数が、伸縮性であっても良く、また本明細書で説明したようにエラストマー材料又は積層体を含んでいてもよい。このように、おむつ252は、適用時に特定の着用者の解剖学的構造に適応するように、かつ着用中に着用者の解剖学的構造との協調を維持するように構成され得る。
【0061】
吸収性物品はまた、腰部バンド294の形態の図11に示される弾性的ウエスト構造部202を含んでもよく、改善されたフィット及び排泄物封じ込めを提供してもよい。弾性的ウエスト構造部202は、弾性的に拡張及び収縮して着用者の腰に動的にフィットするように構成され得る。弾性的ウエスト構造部202が、本明細書において説明される方法に従っておむつに組み込まれてもよく、吸収性コア292から外側に少なくとも長手方向で延び、一般的に、おむつ252の第1の外側縁部278、及び/又は第2の外側縁部280の少なくとも一部分を形成する。加えて、弾力性ウエスト機構は横方向に延伸して耳部を含んでもよい。弾性的ウエスト構造部202又はそのいずれかの構成要素は、おむつに取り付けられた1つ以上の別個の要素を含んでもよいものの、弾性的ウエスト構造部は、おむつの他の要素、例えば、バックシート290、トップシート288、又はバックシートとトップシートの両方の延長部として構成されてもよい。加えて、弾性的ウエスト構造部202は、シャーシ240の、外側の衣類に面する表面284、内側の身体に面する表面282、又は内側面と外側面との間に位置してもよい。弾性的ウエスト構造部202は、米国特許第7,432,413号、米国特許公開第2007/0142798号、及び同第2007/0287983号(全て参照により本明細書に組み込まれる)に記載のものを含む多くの異なる構成で構築され得る。
【0062】
図11に示されるように、おむつ252は、液体及び他の身体排泄物の封入性の改善を提供し得るレッグカフ296を含んでもよい。具体的には、弾性ガスケッティングレッグカフは、着用者の大腿の周りの封止効果を提供して漏れを防止し得る。おむつを着用したときにレッグカフが着用者の大腿部と接触するように配置されてもよく、その接触の程度及び接触圧力は、着用者の身体上でのおむつの向きによって部分的に決まり得ることを認識すべきである。レッグカフ296は、様々な方法でおむつ202上に配置され得る。
【0063】
おむつ252をパンツタイプおむつの形態で提供してもよいし、又は別の方法として、おむつに再密閉可能な締着装置を設けてもよく、この締着装置は、着用者の所定の位置におむつを固定することに役立つように締着具要素を種々の箇所に含んでいてもよい。例えば、締着具要素を、第1及び第2の耳部に配置しても良く、また第2の腰部区域に配置された1又は複数の対応する締着具要素に取り外し可能に接続するように構成してもよい。種々のタイプの締着具要素を、おむつと共に用いてもよいことを理解すべきである。
【0064】
本明細書に記載される使い捨て吸収性物品(すなわち、おむつ、使い捨てパンツ、成人用失禁物品、生理用ナプキン、パンティライナー、など)の構成要素は、2007年9月20日公開の米国特許出願公開第2007/0219521(A1)号(Hirdら)、2011年6月16日公開の同第2011/0139658(A1)号(Hirdら)、2011年6月16日公開の同第2011/0139657(A1)号(Hirdら)、2011年6月23日公開の同第2011/0152812(A1)号(Hirdら)、2011年6月16日公開の同第2011/0139662(A1)号(Hirdら)、及び2011年6月16日公開の同第2011/0139659(A1)号(Hirdら)に記載される生物由来の(bio-sourced)内容物から少なくとも部分的になることがある。これらの構成要素としては、限定はされないが、トップシート不織布、バックシートフィルム、バックシート不織布、サイドパネル不織布、バリアレッグカフ不織布、超吸収性物質、不織布獲得層、コアラップ不織布、接着剤、締結フック、並びに締結ランディング区域不織布及びフィルムベースが挙げられる。
【0065】
使い捨て吸収性物品構成要素は、少なくとも1つの例示の構成において約10%〜約100%(ASTM D6866−10、方法Bを使用)、別の実施形態において約25%〜約75%、更に別の実施形態において約50%〜約60%(ASTM D6866−10、方法Bを使用)の値の生物系含有値を含む。
【0066】
任意の使い捨て吸収性物品構成要素のバイオベース含有量を決定するためにASTM D6866−10の方法を塗布するためには、使い捨て吸収性物品構成要素の代表的なサンプルを試験用に入手する必要がある。少なくとも一実施形態では、使い捨て吸収性物品構成要素を、既知の磨砕方法(例えば、Wiley(登録商標)ミル)を用いて約20メッシュ未満の粒子に磨砕し、ランダムに混合した粒子から好適な質量の代表的なサンプルを採取することができる。
【0067】
先に記載の文脈で、本明細書の装置100及び方法は、吸収性物品の製造中、基材及び構成要素にパターンで接着剤を塗布することを提供するために使用されてもよい。例えば、接着剤は、吸収性物品の製造中、様々なパターンで、トップシート、バックシートフィルム、バックシート不織布、吸収性コア、コア封入ウェブ、獲得層、サージ層、二次トップシート層、レッグカフ、腰部機構、耳部、及び締結具要素の任意の部分に塗布されてもよい。場合によっては、接着剤は、基材の色とは異なった色であってもよい。一部の用途では、本明細書の装置及び方法は、例えば、米国特許公開第2006/0021695(A1)号、同2006/0048880(A1)号、同2008/0215166(A1)号、並びに同2010/0051166(A1)号に記載されるような、吸収性コアアセンブリプロセス中、接着剤を塗布するように適合されてもよい。場合によっては、本明細書の装置及び方法は、例えば、米国特許公開第2011/0137274(A1)号に記載されるような、湿潤インジケータの形態の流体製剤を塗布するように構成されてもよい。更に他の例では、本明細書の装置及び方法は、例えば欧州特許第EP0745368(A1)号に記載されるような、衛生ナプキン、パンティライナー、成人失禁パッドなど女性ケア物品用の締結接着剤を塗布するように構成されてもよい。
【0068】
本明細書に開示した寸法及び値は、記載された正確な数値に厳密に限定されるものと理解されるべきではない。むしろ、特に断らない限り、そのような寸法のそれぞれは、記載された値及びその値の周辺の機能的に同等の範囲の両方を意味するものとする。例えば、「40mm」として開示される寸法は、「約40mm」を意味することを意図する。
【0069】
任意の相互参照又は関連特許若しくは関連出願を包含する本明細書に引用される全ての文献は、明確に除外ないしは別の方法で限定されない限り、その全てを本明細書中に参照により組み込まれる。いずれの文献の引用も、こうした文献が本願で開示又は特許請求される全ての発明に対する先行技術であることを容認するものではなく、また、こうした文献が、単独で、あるいは他の全ての参照文献とのあらゆる組み合わせにおいて、こうした発明のいずれかを参照、教示、示唆又は開示していることを容認するものでもない。更に、本文書において、用語の任意の意味又は定義の範囲が、参考として組み込まれた文書中の同様の用語の任意の意味又は定義と矛盾する場合には、本文書中で用語に割り当てられる意味又は定義に準拠するものとする。
【0070】
本発明の特定の実施形態が例示され記載されてきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく他の様々な変更及び修正を実施できることが、当業者には自明であろう。したがって、本発明の範囲内にあるそのような全ての変更及び修正を添付の特許請求の範囲で扱うものとする。
図1
図1A
図1B
図1C
図1D
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図3C
図4
図4A1
図4A2
図4B1
図4B2
図4C1
図4C2
図5
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図7
図8
図9
図10A
図10B
図11