(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について、図面に基づき詳細に説明する。
【0010】
図1は、本発明の一実施形態におけるコンテンツ提供システム1の全体構成を示す図である。同図に示すように、コンテンツ提供システム1は、本発明の実施の形態に係る情報処理装置であるコンテンツ提供サーバ2と、クライアント端末3と、ウェブサーバ4と、を含んで構成されている。
【0011】
コンテンツ提供サーバ2は、ウェブページ埋め込み型のコンテンツ(埋め込みコンテンツ)をクライアント端末3に対して提供するサーバコンピュータである。埋め込みコンテンツは、ウェブページ内に埋め込まれてウェブページとともにクライアント端末3のユーザーに提示されるコンテンツであって、ウェブページそのものとは独立に生成され、提供される。以下では、埋め込みコンテンツはバナー広告などの広告コンテンツであるものとするが、埋め込みコンテンツはこのようなものに限られず、バナーやページ内ガジェットなど、ウェブページ本体とは別にクライアント端末3に提供され、ウェブページ内に埋め込まれて表示される各種のコンテンツであってよい。コンテンツ提供サーバ2は、
図1に示すように、制御部11と、記憶部12と、通信部13と、を含んで構成されている。
【0012】
制御部11は、CPU等であって、記憶部12に格納されたプログラムに従って各種の情報処理を行う。記憶部12は、RAM等のメモリ素子を含んで構成され、制御部11が実行するプログラム、及び当該プログラムが処理対象とするデータを記憶する。通信部13はLANカード等の通信インタフェースであって、コンテンツ提供サーバ2は通信部13を介してクライアント端末3に対して広告のコンテンツデータを送信する。コンテンツ提供サーバ2とクライアント端末3は、インターネット等の各種の通信ネットワークを介して相互に通信可能に接続されている。
【0013】
クライアント端末3は、パーソナルコンピュータやスマートフォン、タブレットなどであって、ウェブページの閲覧に用いられるウェブブラウザプログラムを実行する。クライアント端末3は、
図1に示すように、制御部21と、記憶部22と、通信部23と、を含んで構成されている。また、クライアント端末3は、表示装置24、及び操作入力装置25と接続されている。
【0014】
制御部21は、CPU等であって、記憶部22に格納されたプログラムに従って各種の情報処理を行う。記憶部22は、RAM等のメモリ素子を含んで構成され、制御部21が実行するプログラム、及び当該プログラムが処理対象とするデータを記憶する。特に本実施形態において、記憶部22はウェブブラウザプログラムを記憶するとともに、コンテンツ提供サーバ2、及びウェブサーバ4から提供されるデータを一時的に記憶する。通信部23は、LANカード等の通信インタフェースであって、クライアント端末3は通信部23を介してコンテンツ提供サーバ2、及びウェブサーバ4から各種のデータをダウンロードする。
【0015】
表示装置24は、液晶表示パネルや有機EL表示パネルなどであって、クライアント端末3から送信される映像信号に従って各種の情報を表示する画面Sを備えている。操作入力装置25は、例えばキーボードやマウス、タッチパネルなどであって、クライアント端末3のユーザーが入力する各種の操作を受け付けて、その操作内容を示す情報をクライアント端末3に対して出力する。なお、表示装置14及び操作入力装置15はクライアント端末3本体と分離した独立の装置であってもよいし、クライアント端末3と一体に構成されてもよい。
【0016】
ウェブサーバ4は、クライアント端末3からの要求に応じて、ウェブページを構成するHTML文書データやスタイルシートデータ等を提供する。以下では、クライアント端末3がウェブサーバ4から提供されるデータに基づいて生成、表示するウェブページをウェブページWと表記する。また、ウェブページWを生成するためにウェブサーバ4がクライアント端末3に提供するHTML文書データ等のデータをまとめてページデータPと表記する。このウェブページWには、埋め込みコンテンツとしてコンテンツ提供サーバ2が提供する広告が埋め込まれるものとする。なお、以下ではコンテンツ提供サーバ2によって提供されてウェブページW内に埋め込まれる広告を埋め込み広告Aと表記する。また、埋め込み広告Aが埋め込まれるウェブページW内の領域(すなわち、埋め込み広告Aが表示されるウェブページW内の領域)を、表示用領域Dと表記する。
図2は、埋め込み広告Aが埋め込まれた表示用領域Dを含むウェブページWの一例を示している。
【0017】
特に本実施形態では、コンテンツ提供サーバ1からクライアント端末3に複数の埋め込み広告Aが提供される。この複数の埋め込み広告Aは、ウェブページW内の一つの表示用領域Dに、一度に一つずつ、時間とともに切り替えられながら順に表示される。例えばコンテンツ提供サーバ1が3個の埋め込み広告A1〜A3を提供する場合、クライアント端末3は、ウェブページWの表示開始から最初のn秒間は埋め込み広告A1を、次のn秒間は埋め込み広告A2を、さらに次のn秒間は埋め込み広告A3を、いずれも同じ表示用領域D内に表示する。さらにクライアント端末3は、埋め込み広告A3が表示されてn秒間が経過した後は、再び埋め込み広告A1をn秒間表示する、という制御を繰り返してもよい。
【0018】
クライアント端末3のウェブブラウザプログラムは、ウェブサーバ4から提供されるページデータPに基づいて、ウェブページWを生成し、表示装置24の画面Sに表示させる。さらに本実施形態では、このページデータPに埋め込みコンテンツの取得先であるコンテンツ提供サーバ2を特定する情報が含まれている。ウェブブラウザプログラムは、この情報に従ってコンテンツ提供サーバ2から複数の埋め込み広告Aの内容を示すデータを取得し、その内容を一つずつ順にウェブページWの表示用領域Dに埋め込んで画面Sに表示させる。なお、本実施形態では、複数の埋め込み広告Aの表示順序はコンテンツ提供サーバ2によって指定され、クライアント端末3は指定された順序で複数の埋め込み広告Aを順に表示させることとする。
【0019】
図3は、コンテンツ提供サーバ2が実現する機能を示す機能ブロック図である。同図に示されるように、コンテンツ提供サーバ2は、機能的に、コンテンツ管理部31と、特徴色特定部32と、コンテンツ表示制御部33と、コンテンツ提供部34と、を含んで構成されている。これらの機能は、制御部11が記憶部12に格納されたプログラムを実行することにより、実現される。このプログラムは、光ディスク等のコンピュータ読み取り可能な情報記憶媒体に格納されて提供されてもよいし、インターネット等の通信回線経由で提供されてもよい。
【0020】
コンテンツ管理部31は、クライアント端末3に提供される埋め込み広告Aの候補となる複数の広告候補(候補コンテンツ)のデータを管理する。この複数の広告候補の中からコンテンツ表示制御部33が選出した複数の埋め込み広告Aが、埋め込みコンテンツ提供部34によってクライアント端末3に提供される。広告候補のデータは、広告の内容を表す画像データであってもよいし、表示用領域Dに表示すべき内容を記述するHTML文書データ等であってもよい。なお、コンテンツ管理部31が管理する広告候補データは、コンテンツ提供サーバ2の記憶部22に記憶されてもよいし、外部のデータベースサーバに格納され、必要に応じてコンテンツ管理部31によって読み出されてもよい。
【0021】
特徴色特定部32は、埋め込み広告Aの特徴色を特定する。埋め込み広告Aの特徴色は、その表示色を反映して決まる特徴的な色であって、例えばその埋め込み広告Aが表示用領域D内に表示される際に、最も広い面積を占める色であってよい。なお、特徴色特定部32は、コンテンツ管理部31が管理対象とする複数の広告候補のそれぞれを新たに受け入れた際に、その特徴色を予め特定してもよい。特徴色特定部32が実行する特徴色特定処理の具体例については、後述する。
【0022】
コンテンツ表示制御部33は、クライアント端末3による複数の埋め込み広告Aの表示内容、及び表示態様を制御する。具体的に、コンテンツ表示制御部33は、クライアント端末3に提供される複数の埋め込み広告Aの表示色に応じて、複数の埋め込み広告Aの選出、及び、その表示態様の決定のいずれか少なくとも一方を実行することで、その表示を制御する。ここで複数の埋め込み広告Aの表示態様には、複数の埋め込み広告Aの表示順序や、各埋め込み広告Aの表示色などが含まれる。特に本実施形態においてコンテンツ表示制御部33は、特徴色特定部32によって特定される複数の広告候補それぞれの特徴色に応じて、複数の埋め込み広告Aの選出、表示順序の決定、表示色の決定などを行う。
【0023】
特にコンテンツ表示制御部33は、時間的に連続して表示される二つの埋め込み広告Aについて、その特徴色同士が近い色にならないように、埋め込み広告Aの選出、及び表示態様の決定を行うことが望ましい。こうすれば、連続して表示される埋め込み広告AがウェブページWの閲覧者の目にとまりやすくなる。具体的に、コンテンツ表示制御部33は、連続して表示される二つの埋め込み広告Aそれぞれの特徴色を所定の表色系を用いて表す場合における所定の色要素の値が、予め定められた関係を満たすように、複数の埋め込み広告Aを選出し、その表示態様を決定する。
【0024】
ここでは具体例として、所定の表色系はHSV表色系であり、所定の色要素は色相であるものとする。そして、予め定められた関係は、先に表示される埋め込み広告Aの特徴色の色相と、後に表示される埋め込み広告Aの特徴色の色相とが、所定の閾値以上異なる関係であるものとする。色相の値が所定の閾値以上異なると、二つの特徴色が
図4に示す色相環において互いに離れて位置することになり、二つの特徴色を互いに区別しやすくなる。なお、特徴色同士が満たすべき関係は、このようなものに限られない。例えばコンテンツ表示制御部33は、色相以外の色要素(例えば輝度)の値についても互いに所定の閾値以上異なるように、埋め込み広告Aの表示態様を制御してもよい。特に二つの埋め込み広告Aの特徴色が白や黒などの場合、色相ではなく輝度の値の差が所定閾値以上大きくなるように制御してもよい。コンテンツ表示制御部33が実行する表示制御処理の具体例については、後に詳しく説明する。
【0025】
コンテンツ提供部34は、コンテンツ表示制御部33が選出、決定した複数の埋め込み広告Aのデータをクライアント端末3に提供する。このときコンテンツ提供部34は、複数の埋め込み広告Aの表示順序を指定する情報を併せてクライアント端末3に提供する。これによりクライアント端末3は、コンテンツ表示制御部33が選出した複数の埋め込み広告Aを、コンテンツ表示制御部33が決定した順序でウェブページWとともに画面Sに表示する。
【0026】
以下、特徴色特定部32が実行する特徴色特定処理の具体例について、説明する。
【0027】
例えば特徴色特定部32は、埋め込み広告Aのうちの判定対象領域X内の表示色に基づいて、埋め込み広告Aの特徴色を特定する。ここで判定対象領域Xは、埋め込み広告Aの全体であってもよいし、一部の領域であってもよい。特に判定対象領域Xを埋め込み広告Aの一部の領域とする場合、判定対象領域Xは、埋め込み広告Aの中から商品の写真を表す画像領域を除いた領域であってもよいし、その外周に沿った領域(枠領域)であってもよい。
図5A、
図5B及び
図5Cは、それぞれ判定対象領域Xの具体例をハッチングにより示している。
図5Aは、判定対象領域Xが埋め込み広告Aの全体である場合を示しており、
図5B及び
図5Cは判定対象領域Xが埋め込み広告Aの一部である場合の具体例を示している。
図5Bでは、埋め込み広告A内の指定された矩形領域が判定対象領域Xになっている。また、
図5Cでは、埋め込み広告Aの外周に沿った所定幅の枠領域が判定対象領域Xになっている。
【0028】
特徴色特定部32は、判定対象領域X内の表示色に基づいて、特徴色を特定する。例えば特徴色特定部32は、判定対象領域X内に含まれる各ピクセルの色データを集計して各色の出現頻度を表すヒストグラムを生成する。このピクセル単位の色分布を示すヒストグラムを以下では色ヒストグラムという。なお、各ピクセルの色データを取得する際には、色指定がないピクセルについては白、又は黒などの基準色が指定されているものとして集計処理を実行してもよい。特徴色特定部32は、この色ヒストグラムにおいて最も出現頻度の高い色(すなわち、判定対象領域X内で最も広い面積を占める色)を特徴色として特定する。あるいは特徴色特定部32は、色ヒストグラムにおいて出現頻度が所定の割合以上を占める色を抽出し、抽出された色の平均色を特徴色として特定してもよい。この場合、埋め込み広告Aの特徴色は必ずしも埋め込み広告Aに実際に含まれる表示色とは限らない。なお、複数の色の平均色は、公知の各種の方法で算出することができる。
【0029】
また、特徴色特定部32は、判定対象領域X内に含まれる各ピクセルの色を予め定められた基準により複数の系統に分類することによって、特徴色を特定してもよい。このように色を複数の系統に分類する分類方法の具体例について、以下に説明する。
【0030】
この例では、色の系統は青、赤、緑などの基本色に対応する。例えば、基本色の青に近い空色、藍色などの色を同じ「青」系統に分類することによって、判定対象領域X内の表示色の傾向を大まかに掴むことができる。より具体的に、色の系統は色相環を所定数に均等に分割して得られる色ブロックに対応し、互いに色相が近い色同士が同じ色ブロックに属することになる。
図4はこのような分類方法の一例を示す説明図であって、色相環を12等分して得られる色ブロックH1〜H12のそれぞれが、色の系統に対応している。このように色相に応じて色を複数の系統に分類する場合、各ピクセルの色をHSV表色系のように色相(Hue)を含んだ表色系の値に変換する。なお、このように色相を基準とする分類方法では、白、黒、灰色といった彩度が低い色をいずれの系統にも分類できない。そこで、特徴色特定部32は、彩度が所定値以下の色については特徴色特定のための分類対象から除外してもよい。あるいは、色相を基準とした系統とは別に、白、黒、灰色の一部、又は全部を分類対象としてもよい。具体例として、特徴色特定部32は、彩度が所定値以上の色については色相を基準に12の系統に分類し、彩度が所定値未満の色については、その輝度が所定の第1閾値未満であれば「黒」系統に、第1閾値以上第2閾値未満であれば「灰」系統に、第2閾値以上であれば「白」系統に、それぞれ分類してもよい。
【0031】
このようにして判定対象領域X内に含まれる各ピクセルの色を複数の系統に分類することで、特徴色特定部32は系統ごとの出現頻度を示すヒストグラムを生成することができる。以下ではこの系統単位の色分布を示すヒストグラムを色系統ヒストグラムという。特徴色特定部32は、この色系統ヒストグラムにおいて最も頻度が高い系統(すなわち、最も割合の大きな系統)に含まれる表示色に基づいて、埋め込み広告Aの特徴色を特定する。例えば特徴色特定部32は、最も割合の大きな系統に含まれる表示色のうち、最も割合の大きな色を埋め込み広告Aの特徴色として特定する。あるいは、最も割合の大きな系統に含まれる表示色の平均色を埋め込み広告Aの特徴色としてもよい。あるいは、最も割合の大きな系統の代表色として予め定められた色(例えば当該系統に属する色相の範囲の中央値に対応する色)を埋め込み広告Aの特徴色としてもよい。
【0032】
また、これまでの説明では、特徴色特定部32は判定対象領域X内の各ピクセルの表示色を特定することで、特徴色を特定することとしている。このような方法によれば、ビットマップ画像なども含め、判定対象領域X内の実際に表示される色に基づいて特徴色を特定することができる。しかしながら、特徴色の特定方法はこのようなものに限られない。例えば特徴色特定部32は、埋め込み広告Aの制作者が指定する色情報を特徴色として特定してもよい。この場合、コンテンツ管理部31は、新たな広告候補をコンテンツ制作者から受け付ける際に、併せて当該広告候補の特徴色を指定する色指定情報を受け付け、広告候補と関連づけて記憶しておく。特徴色特定部32は、この関連付けられた色指定情報を参照して、埋め込み広告Aの特徴色を特定する。
【0033】
次に、コンテンツ表示制御部33が実行する表示制御処理のいくつかの具体例について、以下に説明する。まず第1の例として、コンテンツ表示制御部33が、予め用意された複数の広告候補の中から特定の特徴色を持った埋め込み広告Aを選出する処理について、説明する。
【0034】
この第1の例においては、コンテンツ表示制御部33は、コンテンツ管理部31が管理する広告候補の中から、それぞれの特徴色が予め定められた関係を満たすような複数の広告候補を、複数の埋め込み広告Aとして選出する。より具体的に、コンテンツ表示制御部33は、連続して表示される二つの埋め込み広告Aの特徴色同士が互いに類似しないように複数の埋め込み広告Aを選出する。
【0035】
例えばコンテンツ表示制御部33は、まず、所与の選出基準により最初に表示すべき埋め込み広告Aを選出する。この場合の選出基準は、例えばクライアント端末3のユーザーの嗜好情報や属性情報などに基づく基準であってよい。その後、コンテンツ表示制御部33は、最初の埋め込み広告Aと特徴色が類似しない広告候補の中から、次に表示すべき埋め込み広告Aを選出する。このような処理を所定回数繰り返すことによって、コンテンツ表示制御部33は、連続して表示される二つの埋め込み広告Aの特徴色同士が類似しないように、所定の数の埋め込み広告Aを選出できる。
【0036】
また、上述の説明では、コンテンツ表示制御部33は互いに種類が異なる複数の広告候補の中から、それらの特徴色に応じて埋め込み広告Aを選出することとしたが、これに限らず、互いに同じ種類で表示色が異なる複数の広告候補の中から埋め込み広告Aを選出してもよい。この場合、互いに内容は対応するが表示色の異なる複数の広告候補が予め用意される。具体例として、コンテンツ管理部31が管理する広告候補の中に、同じ商品についての広告データとして、背景色が赤色の広告候補、青色の広告候補、黄色の広告候補などの色違いのデータが含まれるものとする。コンテンツ表示制御部33は、2番目以降の埋め込み広告Aを選出する際には、まず所与の選出基準により提供する広告の種類(商品)を決定する。そして、決定された商品について予め用意された、互いに表示色の異なる複数の広告候補の中から、一つ前に表示される埋め込み広告Aの特徴色に応じて決まる色の埋め込み広告Aを選出する。このように同じ商品について複数の色の広告候補を用意することによって、連続して表示される二つの埋め込み広告Aの特徴色同士が類似しないようにしつつ、任意の商品の広告を任意の順序で表示させることができる。
【0037】
次に、表示制御処理の第2の例として、コンテンツ表示制御部33が予め用意された広告候補に含まれる代表色を別の色に変換する処理について、説明する。
【0038】
この第2の例においては、表示制御処理の事前準備として、特徴色特定部32が、広告候補それぞれの代表色を特定しておく。ここで代表色とは、広告候補に含まれる表示色のうち、当該広告候補を代表する色であって、特徴色とは異なり、実際に広告候補に含まれる表示色の一つである必要がある。したがって、これまでに説明した特徴色を特定する各種の方法のうち、複数の表示色の平均色を算出して特徴色を特定する方法で代表色を特定することはできない。しかしながら、それ以外の特徴色を特定する方法と同様の方法で、代表色を特定することができる。例えばコンテンツ管理部31は、前述した特定色の特定処理と同様に、広告候補の全体、又は一部の領域(枠領域など)を判定対象領域としてその色分布を示す色ヒストグラムを生成することによって、代表色を特定してもよい。このような処理によれば、広告候補のうちの最も広い面積を占める表示色、あるいは、広告候補のうち、外周に沿った領域(枠領域)を占める表示色などを、代表色として特定できる。さらに、代表色を特定する際には、白、黒、灰色といった彩度の低い色も特定対象に含めてもよいし、これらの色は特定対象から除外してもよい。
【0039】
コンテンツ表示制御部33は、2番目以降の埋め込み広告Aを選出する際には、所与の基準により埋め込み広告Aとして提供する広告候補を選出する。そして、選出された埋め込み広告Aについて特定された代表色を、一つ前に表示される埋め込み広告Aの特徴色に応じて決まる色(目標色)に変換する。この場合の目標色は、一つ前に表示される埋め込み広告Aの特徴色と類似しない色である。具体例として、1番目の埋め込み広告Aの特徴色、及び2番目の埋め込み広告Aの代表色がともに緑色だった場合、コンテンツ表示制御部33は、2番目の埋め込み広告A内の緑色の画素を他の色(例えば赤色)に変換する。
【0040】
さらにコンテンツ表示制御部33は、埋め込み広告Aの代表色以外の表示色も変換の対象としてもよい。具体例として、コンテンツ表示制御部33は、埋め込み広告Aに含まれる表示色を予め定められた基準により複数の系統に分類し、その結果代表色と同じ系統に分類される色(同系統色)のそれぞれを、一つ前の埋め込み広告Aの特徴色に応じて決まる色に変換する。このとき、同系統色のそれぞれについて、代表色を目標色に変換する際と同じ色要素を同じ量だけ変換することにより、各色の濃淡などを反映した色の変換を行うことができる。
【0041】
この第2の例において、コンテンツ表示制御部33は、埋め込み広告Aに含まれる代表色、及び/又は同系統色の全てを変換対象とせずともよい。特に広告に含まれる商品の画像などは、その色を変換することが不都合な場合もあり得る。そこでコンテンツ表示制御部33は、埋め込み広告Aのうちの所定の領域(商品画像を含む領域など)については変換対象から除外し、その他の領域(枠領域など)に含まれる代表色や同系統色を色変換の対象としてもよい。この場合、特徴色特定部32が代表色を特定する際にも、変換対象から除外される領域は判定対象領域に含めずに、変換対象となる領域だけを判定対象領域として代表色の特定を行うことが望ましい。
【0042】
また、以上の説明においてコンテンツ表示制御部33は、連続して表示される二つの埋め込み広告Aのうち、後に表示される埋め込み広告Aの表示色を、先に表示される埋め込み広告Aの特徴色に応じて変換することとした。しかしながら、これとは逆に、先に表示される埋め込み広告Aの表示色を、後に表示される埋め込み広告Aの特徴色に応じて変換することとしてもよい。
【0043】
次に、表示制御処理の第3の例として、複数の埋め込み広告Aの表示順序を、各埋め込み広告Aの特徴色に応じて決定する処理について、説明する。
【0044】
この第3の例においては、コンテンツ表示制御部33は、まず所与の選出基準に基づいてコンテンツ管理部31が管理する広告候補の中から所定数の埋め込み広告Aを選出する。そして、これらの埋め込み広告Aの表示順序についても、各埋め込み広告Aの特徴色と関係ない所与の基準に基づいて仮決定する。続いてコンテンツ表示制御部33は、仮決定された表示順序で複数の埋め込み広告Aが順に表示される場合に、連続して表示される二つの埋め込み広告Aの組について、その特徴色同士が類似するか否かを判定する。その結果、どの埋め込み広告Aの組についても特徴色同士が類似しないのであれば、この仮決定された表示順序を実際の表示順序として決定する。逆にいずれかの埋め込み広告Aの組について特徴色同士が類似すると判定される場合には、まだ検証していない別の表示順序を次の候補として仮決定し、その表示順序についても同様の判定を行う。このようにして、コンテンツ表示制御部33は、連続して表示される二つの埋め込み広告Aの特徴色同士が類似しないように、複数の埋め込み広告Aの表示順序を決定することができる。
【0045】
あるいは、コンテンツ表示制御部33は、選出された複数の埋め込み広告Aを並べる順序として考えられる全てのパターンを表示順序の候補として、そのそれぞれについて、連続して表示される二つの埋め込み広告Aの特徴色同士の相違度を算出する。そして、相違度の累計値が最も大きくなるような表示順序の候補を、最終的な実際の表示順序として決定する。この場合の相違度は、例えば色相の値の差であってよい。
【0046】
一例として、3個の埋め込み広告A1〜A3が選出された場合について説明する。ここでは、埋め込み広告A1と埋め込み広告A2との色相の差(相違度)がΔ
12、埋め込み広告A2と埋め込み広告A3との色相の差がΔ
23、埋め込み広告A3と埋め込み広告A1との色相の差がΔ
31とする。この例では、表示順序の候補として、以下の6通りが考えられる。
(1)A1→A2→A3
(2)A1→A3→A2
(3)A2→A1→A3
(4)A2→A3→A1
(5)A3→A1→A2
(6)A3→A2→A1
そして、これら6個の表示順序候補それぞれについて、相違度の累計値は、(1)と(6)が(Δ
12+Δ
23)、(2)と(4)が(Δ
31+Δ
23)、(3)と(5)が(Δ
12+Δ
31)と算出される。ここで(Δ
12+Δ
23)、(Δ
31+Δ
23)、(Δ
12+Δ
31)の3つの値のうち、仮に(Δ
12+Δ
23)が最大だとすると、コンテンツ表示制御部33は、相違度が(Δ
12+Δ
23)となる(1)と(6)のいずれかを、3個の埋め込み広告Aの表示順序として決定すればよい。
【0047】
なお、以上の説明では順序が最初の埋め込み広告Aと最後の埋め込み広告Aとの間の関係については考慮しないこととしている。しかしながら、クライアント端末3において最後の埋め込み広告Aが表示された後、最初の埋め込み広告Aが再び表示される場合、この二つの埋め込み広告Aについても、連続して表示されることになる。そのため、コンテンツ表示制御部33は、この二つの埋め込み広告Aの特徴色同士の関係についても、他の埋め込み広告Aの組と同様に考慮して、埋め込み広告Aを選出したりその表示色や表示順序を決定したりすることとしてもよい。
【0048】
以下、本実施形態においてコンテンツ提供サーバ2及びクライアント端末3が実行する処理の流れの具体例について説明する。まず、前述した表示制御処理の第1の例における処理の流れの一例について、
図6のフロー図を用いて説明する。
【0049】
このフローにおいては、まずクライアント端末3がウェブサーバ4から取得したページデータPに基づいてウェブページWを生成する(S1)。そして、ページデータP内の情報に基づいて、コンテンツ提供サーバ2に対して埋め込み広告Aの取得要求を送信する(S2)。この取得要求には、複数の広告候補の中から埋め込み広告Aを選出するための選出条件に関する情報が含まれてもよい。埋め込み広告Aの取得要求を受信したコンテンツ提供サーバ2のコンテンツ表示制御部33は、その取得要求に含まれる情報を用いて、複数の埋め込み広告Aを選出する(S3)。さらにコンテンツ表示制御部33は、S3で選出された複数の埋め込み広告Aの表示順序を決定する(S4)。ここではコンテンツ表示制御部33は、各埋め込み広告Aの特徴色にはよらずに、その他の任意の基準によって表示順序を決定することとする。
【0050】
次に特徴色特定部32が、S3で選出された各埋め込み広告Aの特徴色を特定する(S5)。なお、ここでは埋め込み広告Aとして選出された後に特徴色特定部32が特徴色を特定することとしたが、前述した通り特徴色特定部32は予め各広告候補の特徴色を特定しておいてもよい。続いてコンテンツ表示制御部33は、S4で決定された表示順序において連続する二つの埋め込み広告Aについて、その特徴色同士が類似するか否か判定する(S6)。例えばS3及びS4において4個の埋め込み広告A1,A2,A3及びA4がこの順で表示されると決定された場合、まずコンテンツ表示制御部33は埋め込み広告A1の特徴色と埋め込み広告A2の特徴色とを比較する。
【0051】
S6で特徴色が類似すると判定された場合、コンテンツ表示制御部33は、判定対象となった二つの埋め込み広告Aのうち、後に表示される埋め込み広告Aの代わりとなる別の埋め込み広告Aを選出する(S7)。そして、S5に戻ってS7で選出した埋め込み広告Aの特徴色を特定し、S6であらためて二つの埋め込み広告Aの特徴色が類似するか否かを判定する。
【0052】
S6で特徴色が類似しないと判定された場合、コンテンツ表示制御部33は、全ての埋め込み広告Aについて判定が終了したかを判定する(S8)。前述した4個の埋め込み広告A1〜A4の例では、埋め込み広告A1及びA2の組、埋め込み広告A2及びA3の組、及び埋め込み広告A3及びA4の組についてS6で順に判定が行われ、埋め込み広告A3及びA4の組み合わせについて判定を終えると、コンテンツ表示制御部33はS8で処理を終了すると判定する。全ての埋め込み広告Aについて判定を終えていなければ、コンテンツ表示制御部33はS6に戻って次の埋め込み広告Aの組について判定を続ける。全ての組み合わせについて判定を終えると、コンテンツ提供部34が、クライアント端末3に対して決定された埋め込み広告Aのデータ、及びその表示順序を指定する情報を送信する(S9)。クライアント端末3は、受信した複数の埋め込み広告Aを指定された順序でウェブページWの表示用領域D内に表示する(S10)。
【0053】
コンテンツ表示制御部33が前述した第2の例における表示制御処理を実行する場合についても、上述した
図6のフローとほぼ同様の流れで処理が実行されてよい。具体的に、
図6のフローではS6で二つの埋め込み広告Aの特徴色が類似すると判定された場合、S7で別の埋め込み広告Aを選出することとしたが、その代わりにコンテンツ表示制御部33は、選出された埋め込み広告Aの表示色(代表色及び/又は同系統色)を、一つ前の埋め込み広告Aの特徴色と類似しない色に変換する処理を実行すればよい。
【0054】
次に、表示制御処理の第3の例における処理の流れの一例について、
図7のフロー図を用いて説明する。
【0055】
このフローでも、まず
図6のフローにおけるS1〜S3と同様の処理が実行される(S21〜S23)。さらに、S5と同様に特徴色特定部32がS23で選出された各埋め込み広告Aの特徴色を特定する(S24)。
【0056】
次にコンテンツ表示制御部33は、S23で選出された複数の埋め込み広告Aのうち、連続して表示される二つの埋め込み広告Aの特徴色同士が類似しないように、複数の埋め込み広告Aの表示順序を決定する(S25)。その後、コンテンツ提供部34が、クライアント端末3に対して選出された埋め込み広告Aのデータ、及びS25で決定した表示順序を指定する情報を送信する(S26)。クライアント端末3は、受信した複数の埋め込み広告Aを指定された順序でウェブページWの表示用領域D内に表示する(S27)。
【0057】
以上説明した本発明の実施の形態によれば、複数の埋め込みコンテンツの表示色に応じて埋め込みコンテンツの表示を制御することで、時間とともに切り替わる埋め込みコンテンツについて、閲覧者の目を惹きやすくすることができる。
【0058】
なお、本発明の実施の形態は以上説明したものに限られない。例えば以上の説明において特徴色特定部32及びコンテンツ表示制御部33が実行することとした処理の一部、又は全部は、クライアント端末3が実行してもよい。具体例として、クライアント端末3は、複数の埋め込み広告A、及びその表示順序を指定する情報をコンテンツ提供サーバ2から受信し、その後、
図6のフローにおけるS5からS8と同様の処理を実行してもよい。この例では、クライアント端末3は、S7の処理の代わりに、コンテンツ提供サーバ2に対して別の埋め込み広告Aを送信するように要求し、要求に応じてコンテンツ提供サーバ2が選出して送信する埋め込み広告Aを受信する。あるいは、一つ前の埋め込み広告Aと特徴色が類似すると判定されたと埋め込み広告Aについて、その表示色を別の色に変換してもよい。また、別の例として、クライアント端末3は、複数の埋め込み広告Aをコンテンツ提供サーバ2から受信し、その後、
図7のフローにおけるS24及びS25と同様の処理を実行してその表示順序を決定してもよい。
【0059】
なお、これらの例において、クライアント端末3は、自身で埋め込み広告Aの特徴色を特定する代わりに、コンテンツ提供サーバ2から埋め込み広告Aのデータを受信する際に、併せて当該埋め込み広告Aについてコンテンツ提供サーバ2が特定した特徴色の情報を受信することとしてもよい。また、以上の例においてクライアント端末3が実行することとした特徴色特定処理、及び表示制御処理は、クライアント端末3の制御部21が制御部22に記憶されたプログラムを実行することにより、実現できる。このプログラムは、例えばクライアント端末3のウェブブラウザプログラムや、ウェブブラウザプログラムと連携するアドオンプログラムなどであってもよい。あるいは、ウェブサーバ4から提供されるページデータP内に含まれるスクリプトプログラムなどであってもよい。