(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記基材フィルム層がポリカーボネートを主成分とするとともに、前記プリズム部が電離放射線硬化性樹脂により形成されている、請求項1又は2に記載の液晶表示装置。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の上記した作用及び利得は、次に説明する発明を実施するための形態から明らかにされる。以下本発明を図面に示す実施形態に基づき説明する。ただし、本発明はこれら実施形態に限定されるものではない。
【0024】
図1は1つの実施形態に係る光制御シート10の断面を示し、その層構成を模式的に表した図である。以下に示す図では、見易さのため、繰り返しとなる符号は一部省略することがある。
【0025】
光制御シート10は、光学機能シート層11、基材フィルム層16を有している。各層は
図1で示した断面を維持して紙面奥/手前方向に延在する。以下に各層について説明する。
【0026】
光学機能シート層11は、光制御シート10のシートの厚さ方向断面において略台形であるプリズム部12、12、…と、該プリズム部12、12、…の間に配置された光吸収部13、13、…とを備えている。
図2に2つの光吸収部13、13及びこれに隣接するプリズム部12、12、12に着目した光学機能シート層11の拡大図を示した。
図1、
図2、及び適宜示した図を参照しつつ光学機能シート層11について説明する。
【0027】
プリズム部12、12、…は一方のシート面側が上底、他方のシート面側が下底となるように配置された略等脚台形断面を有する要素である。また、プリズム部12、12、…は、屈折率がNpである光透過性樹脂で構成されている。
プリズム部12、12、…は通常、電離放射線により硬化する樹脂により形成される。当該樹脂としては、後述する光吸収部のバインダーと同様のものが使用可能で、所定の屈折率を有する透明な樹脂で、電離放射線硬化作用を有する紫外線硬化型樹脂や電子線硬化型樹脂等が用いられる。直接に電離放射線で硬化反応するものや、触媒又は開始剤と呼ばれる反応を励起させる物質を介して硬化反応を起こさせるものもある。電離放射線硬化型樹脂としては、反応性オリゴマー(エポキシアクリレート系、ウレタンアクリレート系、ポリエーテルアクリレート系、ポリエステルアクリレート系、ポリチオール系等)、反応性のモノマー(ビニルピロリドン、2−エチルヘキシルアクリレート、β−ヒドロキシアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリテート等)が適宜選択される。
Npの大きさは特に限定されることはないが、適用材料の入手性の観点から1.4〜1.6であることが好ましい。
【0028】
当該プリズム部12、12、…内を光が透過することにより液晶パネルに光を提供することができる。
【0029】
光吸収部13、13、…は、プリズム部12、12、…の間に配置される部位である。光吸収部13、13、…はプリズム部12、12、…の上底側を底辺とし、これに対向する頂点がプリズム部12、12、…の下底側となるような略二等辺三角形形状である。該光吸収部13、13、…は、屈折率がNbである物質が充填されたバインダー部14と、該バインダー部14に混入された光吸収粒子15、15、…とを備えている。
【0030】
バインダー部14に充填されるバインダー材の屈折率Nbの大きさは特に限定されることはないが、適用する材料の入手性の観点から1.4〜1.6であることが好ましい。
【0031】
バインダー材としては、例えば、上記所定の屈折率を有する透明な樹脂で、電離放射線硬化作用を有する紫外線硬化型樹脂や電子線硬化型樹脂等が用いられる。直接に電離放射線で硬化反応するものや、触媒又は開始剤と呼ばれる反応を励起させる物質を介して硬化反応を起こさせるものもある。電離放射線硬化型樹脂としては、反応性オリゴマー(エポキシアクリレート系、ウレタンアクリレート系、ポリエーテルアクリレート系、ポリエステルアクリレート系、ポリチオール系等)、反応性のモノマー(ビニルピロリドン、2−エチルヘキシルアクリレート、β−ヒドロキシアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリテート等)が適宜選択される。
【0032】
ここで、本発明の光制御シート10における屈折率Npと屈折率Nbとの差は、特に限定されるものではないが、Np−Nbが0より大きいことが好ましい。これによりプリズム部12、12、…と光吸収部13、13、…との界面で適切に全反射がおこなわれるとともに、シート面法線に対して大きな角度を有する光を光吸収部13、13、…に入射させて吸収させることができる。
【0033】
光吸収粒子15、15、…は、カーボン等の顔料又は赤、青、黄等の染料にて所定の濃度に着色された粒子である。これには例えば市販の着色樹脂微粒子を使用することもできる。具体的には、黒色の粒子としてカーボンブラック等の黒色顔料や樹脂粒子例えばアクリル等の透明粒子に前記したカーボンブラック等の黒色顔料を混合したもの等が用いることができる。また、黒色顔料以外の青色、紫色、黄色、赤色の各種顔料及び/又は染料の混合、又は青色、紫色、黄色、赤色着色材に前記黒色着色材を混合分散し、実質的に黒色にした材料を使用しても良い。青色顔料としては、銅フタロシアニン等が、紫色顔料としては、ジオキサジンバイオレット等が、黄色顔料としては、ジスアゾイエロー等が、赤色顔料としては、クロモフタルレッドタイペル等が用いられるが、その限りではなく、顔料でなく、染料でも良い。また、青色、紫色、黄色、赤色、黒色顔料または染料を混合分散した着色顔料又は染料で、樹脂粒子例えばアクリル等の透明粒子を着色した着色粒子でも良い。上記の着色粒子の中で、本発明においては、黒色粒子がもっとも光吸収性が高いので好ましい材料である。
【0034】
また、光吸収粒子15、15…は入手性、光学的特性及び取扱いの観点から平均粒径が1μm以上の粒子が好ましく、加えて光吸収部13、13、…の三角形である底辺の長さの半分以下であることがさらに好ましい。光吸収粒子15の大きさが1μm未満と小さすぎると、斜辺に多くの光吸収粒子が存在し得ることになり、当該斜辺で全反射すべき光の一部も吸収してしまうことがあり、反射効率の低下を招く虞があるからである。また、製造時において、シート面に光吸収粒子が残存する場合があり、製造上の問題を生じる可能性もある。
一方、光吸収粒子15の大きさが光吸収部13の底辺の長さの半分を超えて大きすぎると、製造時に、光吸収部13の内部に充填し難くなり充填率が悪くなる。さらには各光吸収部の充填率にばらつきが生じることになり、光学的なムラが生じて好ましくない。
【0035】
さらに光吸収粒子15、15、…の分散量は、光吸収部13、13、…の全体の体積に対して10〜50体積%であることが好ましい。かかる比率を維持することによって、十分な光吸収効果を保ちつつ、容易な製造条件を与えることができる。
【0036】
また、光を吸収する観点からは、光吸収部13、13、…の光吸収性能は目的によって適宜調整可能であるが、該光吸収部13、13、…を構成する材料のみで形成された6μm厚さのシートの透過率測定において、透過率が40〜70%となるように構成されていることが好ましい。透過率を40〜70%とするための手段は特に限定されるものではないが、例えば光吸収粒子の含有量や光吸収性能を調整して適用することを挙げることができる。
【0037】
さらに、光吸収部13、13、…の斜辺(シート厚さ方向に延在する2つの辺)のシート面法線に対する角度θは目的に応じて変更可能であり、特に限定されるものではないが、通常の表示装置の場合、適切に外光及び光の反射、吸収をする観点から、0度より大きく10度以下であることが好ましく、0度より大きく6度以下であることがさらに好ましい。
【0038】
光学機能シート層11の形状は、
図1、
図2に示したように、プリズム部12、12、…が略台形断面を有し、これらに挟まれて形成される光吸収部13、13、…は二等辺三角形断面を有している。しかし、適切に光を制御することができれば、これら形状は特に限定されることなく適宜適切な形状が採用される。
図3に変形例を示した。
図3は
図2に相当する図で、光学機能シート層11’における2つの光吸収部13’、13’と、その両側に配置されるプリズム部12’、12’、12’に注目して示した図である。
図3からわかるように、光吸収部13’、13’の断面における斜辺(プリズム部12’、12’、12’の斜辺)は、1つの斜辺からではなく、2つの斜辺13a’、13a’、…、13b’、13b’…から構成されている。すなわち断面において折れ線状の斜辺を有している。詳しくは、プリズム部12’、12’、12’の上底(短い側の底)側(紙面左側)に配置される斜辺13a’、13a’、…はシート面の法線に対して角度θ
1を有している。一方、プリズム部12’、12’、12’の下底(長い側の底)側(紙面右側)に配置される斜辺13b’、13b’、…はシート面の法線に対して角度θ
2を有している。
【0039】
この角度θ
1、θ
2は、θ
1>θ
2の関係であるとともにいずれも0度より大きく10度以下の範囲であることが好ましい。さらに好ましい角度は0度より大きく6度以下である。また、2つの斜辺13a’、13b’は、光学機能シート層11’の厚み方向(紙面左右方向)にZ
1とZ
2に分ける位置で交差する。Z
1とZ
2とは同じ大きさであることが好ましい。
【0040】
当該変形例は、2つの斜辺により構成されている例であるが、さらに多くの斜辺で構成されることにより、断面において折れ線状であっても良い。さらにはこれが曲線状であっても良い。
【0041】
本実施形態では、光吸収部が略三角形である場合を示して説明したが光吸収部の形状はこれに限定されるものではない。例えば台形であってもよい。
図4に、光吸収部が等脚台形である例における光制御シートのうち光学機能シート層11’’の光吸収部13’’、13’’及びこれに隣接するプリズム部12’’、12’’、12’’を示した。ここでは、
図4のように光吸収部13’’、13’’が台形であり、このときには該台形における長い底辺(下底)をプリズム部12’’の上底側、短い底辺(上底)をプリズム部12’’の下底側に配置することができる。ここで
図4にAで示した上底の長さは2μm〜25μmの範囲であることが好ましい。また、台形の斜辺は、シート面法線に対してθ
3の角度を有して形成されている。この角度θ
3の大きさは特に限定されるものではないが、0度より大きく10度以下の範囲であることが好ましい。さらに好ましい角度は0度より大きく6度以下である。
【0042】
また、本実施形態では、上記したように光吸収部の斜辺における全反射の効率の観点から光吸収部に光吸収粒子を混入させることにより光吸収性能を得ることとした。ただし、本発明はこれに限定されるものではなく、光吸収部にカーボン等の顔料や所定の染料を混入して光吸収部全体を所定の濃度に着色してもよい。
【0043】
図1に戻り、引き続き光制御シート10に備えられる構成について説明する。基材フィルム層16は、該基材フィルム層16の一方の面上に光学機能シート層11を形成するためのベースとなる基材層としてのフィルム層である。
図5に
図1の一部を拡大して示した。
【0044】
図1、
図5からわかるように基材フィルム層16の面のうち、光学機能シート層11には接していない側の面には粗面16aが形成されている。これにより当該光制御シート10を液晶パネルに積層したときに、いわゆる光学的な密着による干渉縞(ニュートンリング)を抑制することができる。特に、カーナビゲーションシステムのモニターにおいては、高温高湿の環境下で偏光板との部分的な密着による干渉縞の発生が無いことが要求されている。すなわち、光学的な密着がされる部分では、微小な空気層が形成されており、該空気層直前の界面で反射した光と、空気層を透過した後の界面で反射した光とが干渉することにより干渉縞を生じる。これに対して、粗面16aが形成されていることにより、当該干渉が生じるような空気層(例えば層厚が微小で一定である空気層)が形成されることを抑制できるので、干渉縞の発生を抑えることが可能となる。従って、粗面16aの面粗度は、当該干渉縞を抑制することができれば特に限定されるものではないが、平均粗さ(Ra)で0.1μm以上であることが好ましい。面粗度が小さすぎると、粗面を形成した上記効果が小さくなってしまうからである。一方、光の拡散が多くなり、光の出射範囲を制御する効果が低減する観点から、当該Raは1.5μm以下であることが好ましい。
【0045】
粗面16aを形成する方法は、公知の手法を採用することができる。これには例えば、エンボスが形成されたロールによる転写、サンドブラスト、印刷及び塗装等を挙げることができる。
【0046】
さらに、基材フィルム層16の平面方向のリタデーションReは、波長400nm〜700nmにおいて、いずれも15nm以下であるものとする。ここで、リタデーションReは、Re=(Nx−Ny)×dで表わされる。Nxは、基材フィルム層16面内の最大の屈折率、Nyは、基材フィルム層16の面内の最小の屈折率である。また、d(nm)は基材フィルム層16の厚さである。
リタデーションが大きくなると、LCDの偏光板や液晶パネルの偏光性、及び液晶画像表示装置の場合に用いられる輝度向上を目的とする反射型偏光シートと相まって、映像に色彩ムラが生じやすくなる。従って、リタデーションReを15nm以下に抑えることにより、色彩ムラを抑制し、コントラストの低下を防ぐことが可能となる。
詳しくは次の通りである。すなわち層内で複屈折(リタデーション)が生じると、光が複数の方向に分かれて進行する。そして当該分かれて進行した光が層外に出た時に他の分かれて進行した光との間で干渉する。これがいわゆる色彩ムラとして観察されてしまう。特に、偏光子と偏光子との間にリタデーションの大きい層が含まれるとこれが顕著である。例えば、液晶表示装置において、輝度向上を目的に用いられる反射型偏光シートと、液晶パネルの偏光板との間にリタデーションの大きい層を有することが色彩ムラの一つの原因となる。
これに対して光制御シート10では上記のようにリタデーションReを15nm以下に抑えているので、このような色彩ムラを抑制することが可能である。
【0047】
基材フィルム層16に用いられる材料は、透光性を備えると共に、リタデーションを15nm以下に抑えることができるものであれば特に限定されることはない。このようにリタデーションを低く抑えることができるものとしては例えば、ポリカーボネートやシクロオレフィン、TACフィルムを挙げることができる。その中でも、入手の容易性、コスト、電離放射線硬化性樹脂との密着性から、ポリカーボネートであることが好ましい。また、TACフィルムは、裂けやすく、通常のコーティング(グラビアコート、ロールコート等)のような加工方法であれば、フィルム幅方向において一方向に比較的均一に張力がかかり、加工が容易であるが、金型ロールから硬化した樹脂を離型する場合には、フィルム面に対して垂直方向に力がかかり、かつ、金型の形状のばらつき等により発生した応力が不均一となって裂ける可能性がある。
【0048】
また、ポリカーボネートフィルムにプライマー処理をしても良い。プライマーは、製造プロセス及び光制御シートの使用環境化において、基材フィルム層と電離放射線硬化樹脂(光学機能シート層11)との接着性を向上させる機能を有する。ここでいうポリカーボネートは、ポリカーボネートを主ポリマーとするもので、たとえば劣化防止剤、可塑剤、軟化剤等の充填剤を含む、あるいはメタアクリル樹脂等との複合体であっても良い。
プライマー塗付方法は、グラビアコーティング法、スプレー法、ロールコーテイング法等公知の手段、塗付厚さは十分な密着力が得られれば特に限定されることは無いが1μm〜10μm程度が望ましい。プライマーの材料としては公知のものが使用可能で、例えばアクリル樹脂、ポリビニル樹脂、ポリエステル、ポリアクリレート、ポリウレタン及びそれらの混合物からなり、それぞれ希釈溶剤に溶解、分散して塗布した後に希釈溶剤を蒸発させたもの、又は熱硬化あるいは紫外線硬化等により硬化させたものが使用できる、また紫外線による硬化の場合は、希釈溶剤を含まずに使用するものも可能である。
【0049】
このように基材フィルム層のリタデーションReを15nm以下とするため、公知の方法を用いることができ、押出し成型されたフィルムに対してベルトプレスにて加熱と加圧とを同時におこない残留応力を低減し、非晶質のポリマーを形成することを挙げることができる。また、大きな設備が必要になること等があるものの、キャスティング法で製造することにより、配向無く製造することも可能である。
【0050】
本実施形態では、基材フィルム層16に粗面16aが設けられ、かつ、リタデーションReを15nm以下とした例を説明した。ただし、これらのいずれか一方が具備される基材フィルム層であっても各々の上記効果を奏することができる。
【0051】
かかる光制御シート10は、全体として線膨張率が1×10
−3(1/℃)以下とされている。これにより、光制御シート10が映像表示装置に組み込まれたときに、使用環境による光制御シート10の膨張、収縮を抑制することができる。光制御シート10の膨張、収縮はプリズム部12と光吸収部13との幾何学形状の変形の原因となったり、他の層との関係が変化し、色彩ムラを生じる原因となったりすることがあるからである。
具体的には、上記記載の残量応力を抑えた基材フィルムと、電離放射線硬化作用を有する紫外線硬化型樹脂や電子線硬化型樹脂等でプリズム部、光吸収部を形成することにより線膨張係数を低く抑えることができる。
【0052】
光制御シート10は、例えば次のような工程を含んで製造することができる。
図6に説明のための図を示した。基材フィルム層16となるフィルム41を、金型ロール52と、押圧ロール53、54との間に通板させる。ここで、金型ロール52の表面にはプリズム部形状の反転した形状が設けられている。より詳しくは次の通りである。
図6の紙面左から供給されたフィルム41は、金型ロール52と押圧ロール53との間に挟まれるように移送される。この際にフィルム41と金型ロール52との間にプリズム部となる、硬化前の電離放射線硬化樹脂42が供給される。これにより、フィルム41の上面に金型ロール52の表面形状が転写された液状の電離放射線硬化樹脂の層が形成される。かかる状態で、下方から紫外線照射装置55によりフィルム41及び電離放射線硬化樹脂42に紫外線を照射する。これにより、液状の電離放射線硬化樹脂が硬化して、プリズム部が形成される。その後、金型ロール52と押圧ロール54との間を移送し、プリズム部が形成されたフィルム41を金型ロールから離型させる。以上の工程により、基材フィルム層11、及びプリズム部12、12、…が積層される。そしてその後工程で、プリズム部12、12、…間に光吸収粒子を混入したバインダーを充填する等して光吸収部13、13、…を形成する。
【0053】
図7は他の実施形態に係る光制御シート110の断面を示し、その層構成を模式的に表した図である。光制御シート110は、光学機能シート層11、基材フィルム層16、接着剤層111、及び他の基材フィルム層112を有している。各層は
図7で示した断面を維持して紙面奥/手前方向に延在する。
【0054】
光制御シート110のうち、光学機能シート層11及び基材フィルム層16は上記した光制御シート10と共通であることから同じ符号を付し、説明を省略する。
【0055】
接着剤層111は、光学機能シート層11に他の基材フィルム層112を接着するために接着剤が配置された層で、光学機能シート層11の面のうち、基材フィルム層16が配置された面とは反対側の面に設けられる。接着剤層111は、公知の粘着材、接着剤を用いることができ、光学的に透明で使用環境下での剥離、著しい変色が無く、また他の部材へ損傷を与えないものがよい。
【0056】
他の基材フィルム層112は、接着剤層111に積層される層である。他の基材フィルム層112は、上記した基材フィルム層16と同様、その平面方向のリタデーションReは、波長400nm〜700nmにおいて、いずれも15nm以下であるものとする。
基材フィルム層16、及び他の基材フィルム層112のリタデーションを共に15nm以下に抑えることにより、基材フィルム層16、及び他の基材フィルム112の遅相軸の方向に関係なく積層しても光学特性にほとんど影響を与えない。
【0057】
他の基材フィルム層112に用いられる材料は、透光性を備えると共に、リタデーションを15nm以下に抑えることができるものであれば特に限定されることはない。このようにリタデーションを低く抑えることができるものとしては例えば、ポリカーボネートやシクロオレフィン、TACフィルムを挙げることができる。その中でも、入手の容易性、コスト、電離放射線硬化性樹脂との密着性から、ポリカーボネートであることが好ましい。また、TACフィルムは、裂けやすく、通常のコーティング(グラビアコート、ロールコート等)のような加工方法であれば、フィルム幅方向において一方向に比較的均一に張力がかかり、加工が容易であるが、金型ロールから硬化した樹脂を離型する場合には、フィルム面に対して垂直方向に力がかかり、かつ、金型の形状のばらつき等により発生した応力が不均一となって裂ける可能性がある。
また、使用環境下での反りを防止するため他の基材フィルム層112は、基材フィルム層16と同一のものが好ましい
【0058】
このように他の基材フィルム層112のリタデーションReを15nm以下とするため、公知の方法を用いることができ、押出し成型されたフィルムに対してベルトプレスにて加熱と加圧とを同時におこない残留応力を低減し、非晶質のポリマーを形成することを挙げることができる。また、大きな設備が必要になること等があるものの、キャスティング法で製造することにより、配向無く製造することも可能である。
【0059】
以上のような光制御シート110によれば、光学機能シート層11が基材フィルム層16と他の基材フィルム層112に挟まれるように配置されている。これにより、上記した光制御シート10が奏する効果に加え、光制御シート110の反りを防止することができる。
【0060】
図8は、光制御シート10を備える映像表示装置のうち、該光制御シート10を具備する映像源ユニット1の部分に注目してその断面を示し、層構成を模式的に表した図である。本実施形態における映像表示装置は液晶表示装置であり、映像源ユニット1は、液晶ディスプレイパネルユニットである。
図8では紙面右が観察者側となる。
ここでは光制御シート10を適用した例を説明するが、この代わりに光制御シート110を適用してもよい。
【0061】
映像源ユニット1は、バックライト2、プリズムシート3、反射型偏光シート4、光制御シート10、映像源20、及び光拡散シート30を備えている。
【0062】
バックライト2は、映像表示装置の光源である。ここには通常の液晶ディスプレイパネルユニットに用いられるバックライトを用いることができる。これには例えば、発光源を面内に略均等に配置して面状の光源とする形式や、縁(エッジ)に発光源を配置して反射面等を利用して最終的に面状に光を出射するエッジ入力型とする形式等を挙げることができる。
【0063】
プリズムシート3は、バックライト2からの光を面光源としてできるだけ均一とするシートである。ここには通常の液晶ディスプレイパネルユニットに用いられるプリズムシート3を用いることができる。
ここで、プリズムシート3の一方の面又は両面に光を拡散させる層が配置されていてもよい。
【0064】
反射型偏光シート4は、所定の偏光した光を透過し、それ以外の光を反射することができる偏光シートである。これによれば、透過しない光は反射されて再利用に供されるので輝度の向上を図ることが可能となる。ここに用いられる反射型偏光シートは公知のシートを用いることができる。
【0065】
映像源20は、映像表示装置の映像が表される部位であり、偏光板21、23、及びこれに挟まれる液晶パネル22を備えている。
【0066】
偏光板21、23は、液晶パネル22を挟むように配置される一対の光学要素であり、吸収軸方向に平行な振動面を有する偏光光を吸収する一方、吸収軸方向に直交する振動面を有する偏光光を透過する機能を有する。当該偏光板21、23と液晶パネル22を透過したバックライト2の光が映像光となり観察者側に出射される。
【0067】
液晶パネル22には、ここに出射されるべき映像情報が表されている。ここには通常の液晶ディスプレイパネルユニットに用いられる液晶パネルを用いることができる。
【0068】
光拡散シート30は、上記映像源20からの映像を制御して、観察者に質の高い映像を提供する各機能のフィルムが積層されたシートである。光拡散シート30は、接着剤層31、PETフィルム層32、光拡散機能シート層33、接着剤層34、TACフィルム層
35、及びアンチグレアフィルム層(AG層)36を備えている。
【0069】
接着剤層31、34は、接着剤が配置された層である。接着剤層31、34に用いられる接着剤は光を透過させるとともに、他に接着させることができればその材質は特に限定されるものではない。これには、例えばPSA(感圧接着剤、Pressure sensitive adhesive)を挙げることができる。その接着力は例えば数N/25mm〜20N/25mm程度である。
【0070】
PETフィルム層32は、該PETフィルム層32の一方の面上に光拡散機能シート層33を形成するためのベースとなる基材層としてのフィルム層で、ポリエチレンテレフタレート(PET)を主成分として形成されている。本実施形態では、PETを主成分とする場合を説明したが、必ずしもPETを材料とすることはなく、その他にもポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)、又はポリトリメチレンテレフタレート(PTT)樹脂等の「ポリエステル系樹脂」を用いることができる。本実施形態では、性能に加え、量産性、価格、入手可能性等の観点からポリエチレンテレフタレート(PET)を主成分とする樹脂が好ましい材料であるとして説明した。
【0071】
光拡散機能シート層33は、シートの厚さ方向断面において略台形であるプリズム部33a、33a、…と、該プリズム部33a、33a、…の間に形成される空洞部33b、33b、…とを備えている。
プリズム部33a、33a…は、映像源20側が下底、観察者側が上底となるように配置された略台形断面を有する要素である。また、プリズム部33a、33a、…は、屈折率がNkである光透過性樹脂で構成されている。これには上記した光学機能シート層11で説明した材料により形成することができる。Nkの大きさは特に限定されることはないが、適用材料の入手性の観点から1.49〜1.60であることが好ましい。また、プリズム部33a、33a、…の台形である斜辺は、シート面法線に対して所定の角度を有するように設定される。
【0072】
空洞部33b、33b、…は、プリズム部33a、33a、…の間に形成される部位である。従って空洞部33b、33b、…はプリズム部33a、33a、…の上底側を底辺とし、これに対向する頂点がプリズム部33a、33a、…の下底側となるような略三角形形状である。空洞部33b、33b、…は、空洞で空気が存する状態にあり、屈折率は1.0である。
【0073】
プリズム部33a、33a、…及び空洞部33b、33b、…の屈折率差は、Nk−1.0となる。また、プリズム部33a、33aの斜辺は傾斜を有している。これにより、当該斜辺に達した映像光はここで上記屈折率差に基づいて全反射するともに、該映像光の視野角を拡げる方向に出射することが可能となる。
【0074】
TACフィルム層35は、トリアセチルセルロースにより形成されるフィルムであり、保護膜として用いられる。また、TACフィルム層35は、光拡散シート30に備えられる機能層を構成する層の1つである。ここに用いられるTACフィルムは通常の液晶映像源ユニットに用いられるものを適用することができる。
【0075】
AG層36は、観察者が画面を見た時のぎらつきを防止(防眩)することができるフィルムである。AG層36も光拡散シート30に備えられる機能層を構成する層の1つである。ここに用いられる防眩フィルムは通常に入手できるものを適用することが可能である。
【0076】
本実施形態では、機能層に備えられる層としてTACフィルム層35及びAG層36を挙げたが、当該機能層に具備される層はこれに限定されるものではない。入射した映像光の質を高めて出射することができる機能を有する層であればこれに含めることができる。これには例えば反射防止層、ハードコート層、帯電防止層、偏光フィルタ層、防汚層等を挙げることができる。
反射防止層はいわゆるアンチリフレクション層であり、AR層ともいわれる。これは反射を防止することができる機能を有するフィルムが配置される。
ハードコート層は、HC層ともいわれる。これは、画像表示面に傷がつくことを抑えるために耐擦傷性を付与することができる機能を有するフィルムが配置された層である。
帯電防止層は、アンチスタティック(AS)層ともいわれる。これは、帯電、すなわち静電気が帯電することを防止することができる機能を有するフィルムが配置された層である。これには通常に入手できるASフィルムを適用することが可能である。
防汚層は画面表面の汚れを防止することができる機能を有するフィルムが配置された層である。
偏光フィルタ層は、上記した偏光フィルタと同様のものである。必要に応じてここに配置してもよい。
【0077】
図8からわかるように、光制御シート10を備える映像源ユニット1では、光制御シート10の基材フィルム層16と映像源20とが粗面16aにより接しているので、密着による模様、干渉縞を抑制することができる。また、基材フィルム層16のリタデーションも抑えられているので、観察者側(映像源)に適切な光を提供することが可能となり、色彩のムラやコントラストの低下を抑制することができる。
【0078】
このような映像表示装置が作動し、光制御シート10に入光した光の光路について、説明する。
図9に光路例を示した。バックライト2からプリズム部12の中央部付近に入射した光L1は、プリズム部12内を直進して通過し、液晶パネル側に出射される。
【0079】
バックライト2からから所定の角度を有してプリズム部12の端部付近に入射した入射光L2、L3は、屈折率Npのプリズム部12と屈折率Nbの光吸収部13との屈折率差により斜面にて全反射され、シート面法線に平行な角度に近づいて液晶パネル側に出射される。
【0080】
また、光吸収部13の底辺から該光吸収部13に入射した光L4は、光吸収粒子15に吸収される。また、プリズム部12に大きな角度を有して入射した光L5は、プリズム部12と光吸収部13との屈折率差によっても全反射されることなく光吸収部13の内部に入光し、光吸収粒子15に吸収される。
【0081】
このようにしてバックライト2からの光をできるだけシート面法線に平行である角度に近い光を映像源に提供することが可能で、かつ、輝度の低下を抑制することができる光制御シートを提供することが可能となる。
【0082】
また、映像源側(
図9の紙面右)に透過する光L1、L2、L3は、基材フィルム層を透過する際にリタデーションが抑えられ、かつ、粗面により干渉も抑制されているので、色彩ムラを生じ難い。
【0083】
図10は、上記した映像源ユニット1の変形例の映像源ユニット1’である。
図10は
図8と同様で、映像表示装置のうち映像源ユニット1’の部分に注目してその断面を示し、層構成を模式的に表した図である。本実施形態における映像表示装置は液晶表示装置であり、映像源ユニット1’は、液晶ディスプレイパネルユニットである。
図9では紙面右が観察者側となる。
【0084】
映像源ユニット1’は、映像源ユニット1の光拡散シート30のうち光拡散機能シート層33を光拡散機能シート層33’にしたものである。従って他の層については映像源ユニット1と同じ符号を付し、その説明を省略する。
【0085】
光拡散機能シート層33’では、光拡散機能シート層33の空洞部33b、33b…に光吸収粒子33d’、33d’、…を分散させたバインダー33c’を充填している。ここで、バインダー33c’に用いられるバインダー材、及び光吸収粒子33d’、33d’は特に限定されるものではないが、上記した光学機能シート層11の光吸収部13に用いたバインダー14、及び光吸収粒子15、15、…と同じものを用いることができる。
【0086】
これによれば、プリズム部33a’、33a’、…及び光吸収部33b’、33b’、…の屈折率差は、Nk−Nbとなる。また、プリズム部33a’、33a’の斜辺は傾斜を有している。これにより、当該斜辺に達した映像光はここで上記屈折率差に基づいて全反射するともに、該映像光の視野角を拡げる方向に出射することが可能となる。
【0087】
また、光吸収部33b’、33b’に所定の角度以上を有して入射した映像光は、当該屈折率差により全反射することなく、光吸収部33b’、33b’に入射し光吸収粒子33d’、33d’、…に吸収される。従って、観察者側に出射されることが好ましくないいわゆる迷光等を吸収することも可能である。さらに、観察者側からは光吸収部33b’、33b’、…に入射した外光を吸収することもできるので、コントラストを向上させることも可能である。詳しくは次の通りである。
【0088】
図11は
図10に示した映像源ユニット1’のうち光拡散シート30’の一部を拡大して示し、合わせて光路例を表した図である。
これによれば、映像光L11は、光拡散シート30’内に備えられる各層を透過して、通常に観察者に出射される。また、映像光L12、L13は、プリズム部33a’、33a’、…と光吸収部33b’、33b’、…との界面で全反射されて観察者側に出射される。このとき光吸収部33b’、33b’、…の斜辺は上記したように傾斜しているので、当該斜辺による反射の前後で光の角度が変わり、視野角を広げる方向への映像光の出射が可能となる。これにより広い視野角を得ることができる。
【0089】
また、映像光L14は、プリズム部33a’、33a’、…と光吸収部33b’、33b’、…との屈折率差に基づいて、その界面で全反射することなく、光吸収部33b’、33b’、…に侵入した映像光である。このような映像光L14は、光吸収粒子33d’により吸収される。また、迷光もこのような態様により吸収させることができる。
【0090】
一方、外光として映像表示装置に入射した外光L15は、光吸収部33b’に入射して光吸収粒子33d’により吸収される。このように外光の一部が光吸収部33b’、33b’、…に吸収されてコントラストを向上させることができる。
【0091】
映像源ユニット1、1’によれば、光制御シート10により映像光が観察者正面方向に平行となる方向に集光されるとともに、該集光された映像光を光拡散シート30、30’が拡散することにより、広い視野角を得ることができる。
また、光拡散シート30、30’は、光制御シート10の光学機能シート層11の構成と共通する部位を有しているので、材料及び製造の一部を共通化することができ、コストを削減することが可能である。
【0092】
以下、実施例によりさらに詳しく説明する。ただし、本発明は当該実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0093】
(実施例1)
実施例1では、条件を変更した光制御シートを作製し、リタデーションによる色別れ、及び表面粗さの違いによる偏光板との貼りつきについて評価した。
【0094】
光制御シートの層構成は、
図7で示したような基材フィルム層、光学機能シート層、接着剤層、及び他の基材フィルム層により構成した。以下に各層の詳細を説明する。ここで、「%」は「質量%」を意味する。
【0095】
<基材フィルム層>
基材フィルム層はポリカーボネートにより形成した。このポリカーボネートは上記したように、押出し成型されたフィルムに対してベルトプレスにて加熱と加圧とを同時におこなう方法で製造し、リタデーションを調整した。また、このとき、一方の面は粗面とした。各基材フィルム層のリタデーション、及び粗面の表面粗さ(Ra)は後で表1に示す。リタデーションは自動複屈折率計(KOBRA、王子計測機器株式会社製)により測定した。
また、基材フィルム層の厚さは150μmとし、線膨張係数は1.1×10
−4(℃)であった。
【0096】
<プライマ層>
実施例1では基材フィルム層の面のうち、粗面が形成された面とは反対側の面にプライマ層を形成した。プライマ層は、ポリカーボネート変性ウレタンアクリレートが57%、アセトフェノン系開始剤が3%、及びトルエンが40%の配合の組成物をグラビアリーバースコート法により塗布厚さ3μmで形成した。塗布後、40℃〜80℃の温風により乾燥させ、300mJ/cm
2で紫外線を照射した。
【0097】
<光学機能シート層>
光学機能シート層のうち、プリズム部は、エポキシアクリレートが39%、アクリレートモノマーが58%、及び光開始剤が3%の配合の組成物を金型ロールを用いて、
図6で説明したように形成した。ここで、紫外線は1J/cm
2で照射した。また、プリズム部の形状は、上底が0.03mm、下底が0.06mm、高さが0.15mmの台形とした。硬化後の屈折率は1.56である。
一方、光学機能シート層のうち、光吸収部には、ウレタンアクリレートが33.6%、エポキシアクリレートが14、4%、トリプロピレングリコールジアクリレートが28.0%、メトキシトリエチレングリコールアクリレートが4.0%、光重合開始剤が4.0%、及び光吸収粒子が16.0%からなる流状物を充填し、1J/cm
2の条件で紫外線を照射した。ここで、流状物の充填は、上記形成したプリズム部の全面に該流状物を供給し、余剰の流状物を金属ブレードでかきとることによりおこなった。また、流状物に含まれる光吸収粒子は、カーボンブラックを30%含有したアクリルビーズであり、その平均粒子径は5μmである。
【0098】
<接着剤層>
接着剤層は、アクリレート系モノマーが55%、アクリレート系オリゴマーが44%、及び光重合開始剤が1%含有した組成物を厚さ50μmで塗布し、他の基材フィルムを貼り合わせた後、700J/cm
2の条件で紫外線を照射して硬化させる。積層方法は次の他の基材フィルム層のところで説明する。
【0099】
<他の基材フィルム層>
他の基材フィルム層は、上記した基材フィルム層と同じとした。
上記接着剤層、及び他の基材フィルム層の積層は次のように行われる。
図12に説明するための図を示した。基材フィルム層及び光学機能シート層の積層体71と他の基材フィルム70との間に上記接着剤層となる組成物72を供給し、2つのニップロール73、74の間を通過させ、接着剤の組成物が所定の厚さとなるように、ニップ圧と隙間を調整する。その後、紫外線照射装置75により紫外線を照射して接着剤の組成物を硬化させる。
【0100】
表1には、各光制御シートの基材フィルム層(他の基材フィルム層も同じ)のリタデーション、粗面粗さを示すとともに、結果としての色別れ、及び高温高湿下での貼りつきを表した。
ここで、色別れ評価は、光源である導光板、プリズムシート、拡散層、反射型偏光シート、光制御シート、偏光板、液晶パネル、偏光板の順に積層した8インチカーナビモニターを用いた。かかるモニターについて、光制御シートを配置しないときの正面輝度を500cd/cm
2の明るさで全白表示し、目視評価した。○が色別れなし、△はわずかに色別れがあり、×は色別れありを表している。
また、高温高湿下での貼りつき試験は、光制御シートを2枚の偏光板間に挟み、3kgの重りで荷重をかけ、65℃、湿度95%の環境下で200時間放置したあと、光制御シートの偏光板への貼りつきを評価した。○が貼りつきなし、×が貼りつきありを表している。貼りつきがあると干渉縞が発生する。
【0101】
【表1】
【0102】
表1からわかるように、リタデーションが15μm以下であるNo.1、2、3、及び6では色別れが生じなかった。一方、粗面Raが0.1μm以上であるNo.1〜No.5では貼りつきがなかった。
【0103】
(実施例2)
実施例2では、実施例1のNo.1の光制御シートを液晶表示装置に用いて色彩ムラを観察した。ただし、光吸収部の光吸収粒子を20%とした。また、線膨張係数は、7.3×10
−5(1/℃)であった。線膨張係数は、JIS K 7197−1991に基づき、熱機械分析装置(TMA120 セイコー電子工業株式会社製)を用いて−40℃〜100℃の範囲で測定した。
【0104】
以上のような光制御シートを液晶表示装置に組み込むことにより、画面内の色彩ムラを抑制して質の良い映像を出射することができた。また、色別れ及び貼りつきとも良好(○)であった。
【0105】
以上、現時点において実践的であり、かつ好ましいと思われる実施形態に関連して本発明を説明したが、本発明は、本願明細書中に開示された実施形態に限定されるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う光制御シート、及び表示装置も本発明の技術的範囲に包含されるものとして理解されなければならない。