特許第6034039号(P6034039)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6034039
(24)【登録日】2016年11月4日
(45)【発行日】2016年11月30日
(54)【発明の名称】鍵盤楽器練習支援セット
(51)【国際特許分類】
   G09B 15/02 20060101AFI20161121BHJP
   G10G 7/00 20060101ALI20161121BHJP
【FI】
   G09B15/02 A
   G10G7/00
【請求項の数】6
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-80401(P2012-80401)
(22)【出願日】2012年3月30日
【基礎とした実用新案登録】実用新案登録第3173996号
【原出願日】2011年12月19日
(65)【公開番号】特開2013-127594(P2013-127594A)
(43)【公開日】2013年6月27日
【審査請求日】2014年12月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】511309296
【氏名又は名称】佐々木 隆子
(74)【代理人】
【識別番号】100119264
【弁理士】
【氏名又は名称】富沢 知成
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 隆子
【審査官】 前地 純一郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−043781(JP,A)
【文献】 実開平03−008366(JP,U)
【文献】 実開昭54−140725(JP,U)
【文献】 特開平11−109954(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09B11/00−15/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鍵盤楽器の演奏方法を学習する際に用いるための鍵盤楽器練習用シートと、専用楽譜とからなる鍵盤楽器練習支援セットであって、該鍵盤楽器練習用シートは複数枚のサブシートから構成され、該サブシートの表面には鍵盤楽器の鍵盤配列と同様の黒鍵以外の鍵(以下、「白鍵」という。)7個および黒鍵5個からなるオクターブ列が一または複数表示されており、各オクターブ列はそれぞれ異なる単一色によって着色されており、該専用楽譜は音符に着色が施されており、該着色には該オクターブ列の着色に係る色が用いられていることを特徴とする、鍵盤楽器練習支援セット。
【請求項2】
前記サブシートにはオクターブ列が一のみ表示されており、該サブシートは少なくとも七枚であることを特徴とする、請求項1に記載の鍵盤楽器練習支援セット。
【請求項3】
鍵盤楽器の演奏方法を学習する際に用いるための鍵盤楽器練習用シートと、専用楽譜とからなる鍵盤楽器練習支援セットであって、該鍵盤楽器練習用シートの表面には鍵盤楽器の鍵盤配列と同様の黒鍵以外の鍵(以下、「白鍵」という。)7個および黒鍵5個からなるオクターブ列が複数表示されており、各オクターブ列はそれぞれ異なる単一色によって着色されており、そのままでまたは該オクターブ列に基づいて切り離して使用可能であり、該専用楽譜は音符に着色が施されており、該着色には該オクターブ列の着色に係る色が用いられていることを特徴とする、鍵盤楽器練習支援セット。
【請求項4】
前記鍵盤楽器練習用シートの裏面は吸着性の構造を備え、かかる構成により鍵盤楽器に繰り返し着脱可能であることを特徴とする、請求項1ないし3のいずれかに記載の鍵盤楽器練習支援セット。
【請求項5】
前記吸着性の構造は、前記鍵盤楽器練習用シートの裏面に設けられた接着剤塗布層であることを特徴とする、請求項4に記載の鍵盤楽器練習支援セット。
【請求項6】
前記黒鍵には「ド♯/レ♭」等の音名表示が付されていることを特徴とする、請求項1ないし5のいずれかに記載の鍵盤楽器練習支援セット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は鍵盤楽器練習支援セットに係り、特に、初学者や知的障害のある者であっても、楽譜の音符が指定する特定の鍵盤の位置を容易かつ即座に把握することができて、鍵盤楽器の演奏方法の学習速度を高めることができる、鍵盤楽器練習支援セットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ピアノ等の鍵盤楽器練習を補助・支援するための考案が複数なされている。たとえば後掲特許文献1は、楽譜を読む(読譜)練習にかかる労力と時間を軽減して演奏を楽しめるようにすることを目的として、ピアノ等鍵盤楽器の鍵盤を表した台紙と、鍵盤楽器の各鍵に対して自在に貼り剥がし可能な各鍵用の音符・音名(または階名)入りシートとからなる構成を開示している。白鍵用のシートとしてはト音記号表記およびヘ音記号表記の両方を備え、また黒鍵用のシートとしては♯系表記および♭系表記の両方を備えた構成としている。
【0003】
なお特許文献2には、ピアノ等鍵盤楽器に着脱可能な、鍵盤楽器と同じ鍵の配列をもった練習器として、楽器本体の全鍵盤を跨ぐように置くことができ、外部設置の電気器具にて書き込まれた音符を信号として本練習器の該当する鍵に伝達し、それを光等によって表示することによって弾くべき楽器本体の鍵を指示する構成が開示されており、これによりピアノ等鍵盤楽器の練習や演奏が便利である旨述べられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−43781号公報「ピアノ等鍵盤楽器の鍵盤台紙付き音符・音名入り(または階名入り)読譜練習用貼り剥がし自在シート」
【特許文献2】登録実用新案第3052497号公報「着脱式弾き指誘導型ピアノ練習器」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
さて、ピアノ等の鍵盤楽器の初学者にとっては、それが幼児等の低年齢層であるか大人であるかを問わず、楽譜に記載された音符が、低音領域から高音領域まで数オクターブにも亘って構成される音階領域の中のどの鍵を示すのかを読み取ることが困難であり、楽譜上の音符と特定鍵との対応関係を把握するには相当の期間を要する。これは初学者のみならず、たとえば知的障害のある者にとっても同様の問題である。
【0006】
上記特許文献1開示技術は、かかる問題をも踏まえており、一定の解決手段を提案したものである。しかしこれは構成が複雑な上、使用する際も各鍵にシートを貼ったり剥がしたりする必要があって煩雑であり、使用者にとって決して使いやすいものではない。
【0007】
またシートは一定以上の厚さがある上、鍵盤楽器の鍵とは異なる材質であるから異なる触覚を指に与えてしまい、さらに貼り剥がしの繰り返しにより接着剤の付着も発生するため、シートを各鍵に貼ることは好ましくない。なお、構成がかなり複雑な特許文献2開示技術はそもそも、かかる問題を解決する手段としては全く適するものではない。
【0008】
本発明が解決しようとする課題は、これら従来技術の問題点を除き、初学者や知的障害のある者であっても楽譜の音符が指定する特定の鍵盤の位置を容易かつ即座に把握することができて、鍵盤楽器の演奏方法の学習速度を高めることができる、鍵盤楽器練習用シートおよび鍵盤楽器練習支援セットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願発明者は上記課題について検討した結果、練習者の指が触れる鍵盤楽器の各鍵ではなく鍵盤蓋などに貼り剥がし可能なシートとし、かつオクターブ単位を基本としたシート構成とすること等によって当該課題を解決できることに想到し、本発明に至った。すなわち、上記課題を解決するための手段として本願で特許請求される発明、もしくは少なくとも開示される発明は、以下の通りである。
【0010】
(1) 鍵盤楽器の演奏方法を学習する際に用いるための鍵盤楽器練習用シートと、専用楽譜とからなる鍵盤楽器練習支援セットであって、該鍵盤楽器練習用シートは複数枚のサブシートから構成され、該サブシートの表面には鍵盤楽器の鍵盤配列と同様の黒鍵以外の鍵(以下、「白鍵」という。)7個および黒鍵5個からなるオクターブ列が一または複数表示されており、各オクターブ列はそれぞれ異なる単一色によって着色されており、該専用楽譜は音符に着色が施されており、該着色には該オクターブ列の着色に係る色が用いられていることを特徴とする、鍵盤楽器練習支援セット。
(2) 前記サブシートにはオクターブ列が一のみ表示されており、該サブシートは少なくとも七枚であることを特徴とする、(1)に記載の鍵盤楽器練習支援セット。
【0011】
(3) 鍵盤楽器の演奏方法を学習する際に用いるための鍵盤楽器練習用シートと、専用楽譜とからなる鍵盤楽器練習支援セットであって、該鍵盤楽器練習用シートの表面には鍵盤楽器の鍵盤配列と同様の黒鍵以外の鍵(以下、「白鍵」という。)7個および黒鍵5個からなるオクターブ列が複数表示されており、各オクターブ列はそれぞれ異なる単一色によって着色されており、そのままでまたは該オクターブ列に基づいて切り離して使用可能であり、該専用楽譜は音符に着色が施されており、該着色には該オクターブ列の着色に係る色が用いられていることを特徴とする、鍵盤楽器練習支援セット。
(4) 前記鍵盤楽器練習用シートの裏面は吸着性の構造を備え、かかる構成により鍵盤楽器に繰り返し着脱可能であることを特徴とする、(1)ないし(3)のいずれかに記載の鍵盤楽器練習支援セット。
【0012】
(5) 前記吸着性の構造は、前記鍵盤楽器練習用シートの裏面に設けられた接着剤塗布層であることを特徴とする、(4)に記載の鍵盤楽器練習支援セット。
(6) 前記黒鍵には「ド♯/レ♭」等の音名表示が付されていることを特徴とする、(1)ないし(5)のいずれかに記載の鍵盤楽器練習支援セット。
【発明の効果】
【0013】
本発明の鍵盤楽器練習支援セットは上述のように構成されるため、これによれば、初学者や知的障害のある者であっても楽譜の音符が指定する特定の鍵盤の位置を容易かつ即座に把握することができ、それによって鍵盤楽器の演奏方法の学習速度を高めることができる。
【0014】
さらに本発明鍵盤楽器練習支援セットによれば、特許文献1開示技術のように鍵にシートを貼る必要がないため、貼り剥がしの繰り返しによる接着剤の鍵への付着が発生せず、鍵自体の感触を何ら損なうことがなく、微妙な指先の感覚をも尊重された良好な状況で、練習者はより高質なレベルでの鍵盤楽器練習を行うことができる。
【0015】
なお、以下においては主としてピアノを想定した説明を行うが、本発明の適用対象である鍵盤楽器はピアノに限定されず、電子ピアノ、電子オルガン、シンセサイザー、鍵盤ハーモニカなど、西洋音階に基づくものである限り、あらゆる鍵盤楽器を適用対象とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の鍵盤楽器練習用シートの基本構成を示す説明図である。
図2】本発明の鍵盤楽器練習用シートに係るサブシートの別の構成例を示す説明図である。
図3】本発明の鍵盤楽器練習用シートに係るサブシートの断面構成例を示す断面視説明図である。
図4】本発明の鍵盤楽器練習用シートに係る音名表示付きサブシートの構成を示す説明図である。
図5】本発明の鍵盤楽器練習支援セットの基本構成を示す説明図である。
図6】本発明の鍵盤楽器練習支援セットを構成する専用楽譜の例の要部を示す写真である。
図7】本発明の鍵盤楽器練習支援セット実施例について、使用例を示す写真である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を用いて本発明を詳細に説明する。
<分割シートタイプ>
図1は、本発明の鍵盤楽器練習用シートの基本構成を示す説明図である。図示するように本鍵盤楽器練習用シート10は、鍵盤楽器の演奏方法を学習する際に用いるためのものであって、複数枚のサブシート1A、1B、・・・、1Xから構成され、該サブシート1A等の表面には鍵盤楽器の鍵盤配列と同様の黒鍵以外の鍵(白鍵。)71、72、・・・、77計7個、および黒鍵51、52、・・・、55計5個からなるオクターブ列81が一または複数表示されており、各サブシート1A等または各オクターブ列81等がそれぞれ異なる単一色によって着色されていることを、主たる構成とする。
【0018】
本鍵盤楽器練習用シート10は、これを構成する各サブシート1A等が鍵盤楽器の鍵盤以外の箇所、つまり、鍵盤蓋や前パネルなど練習者が視認しやすい鍵盤近傍に一時的に固定して用いられる。一時的な固定の方法としてはたとえば、後述するように、各サブシート1A等の裏面を貼り剥がしの容易な吸着性の構造として、当該裏面を鍵盤楽器の鍵盤蓋等に吸着させる方法を好適に用いることができる(後掲図3参照)。もちろんそれ以外の方法、たとえば片面接着テープや両面接着テープを用いてその都度鍵盤蓋等に貼り剥がしを行うことで一時的な固定とする方法などであっても、本発明の範囲内である。
【0019】
かかる構成により、すなわち各サブシート1A等または各オクターブ列81等がそれぞれ異なる単一色によって着色されているという本発明の構成により、音符が特定の方法にて着色された専用楽譜(後述。図5参照)と併せ用いることで、楽譜の音符が指定する鍵盤楽器上の特定の鍵盤の位置を、容易かつ即座に把握することができる。つまり、専用楽譜の音符の着色を、各サブシート1A等または各オクターブ列81等の着色と対応させたものとすることにより、かかる作用効果を実現できる。
【0020】
このことを、各サブシート1A等が一のオクターブ列81から構成されるという、最も基本的かつ実用的な例において、さらに説明する。
本鍵盤楽器練習用シート10を構成する各サブシート1A等は、各オクターブの高低を表すための色(単一色)によって着色されており、また専用楽譜の各音符に付された色は、弾くべき特定の鍵が属するオクターブに対応した色であり、各サブシート1A等の色と同じ色構成である。
【0021】
練習者は、各サブシート1A等を音の高低順となるように鍵盤楽器上の鍵盤位置に合わせて鍵盤蓋等に固定し、かつ専用楽譜を掲示して練習に望む。
そして、上述した所定の色構成を備えた各サブシート1A等からなる本鍵盤楽器練習用シート10により媒介されて、専用楽譜の音符が指定する鍵盤を容易に特定することができ、鍵盤楽器演奏方法の学習速度を、容易に高めることができる。初学者や知的障害のある者であっても、容易に演奏方法の学習速度を高めることができる。
【0022】
さらに本発明鍵盤楽器練習用シートによれば、特許文献1開示技術のように鍵にシートを貼る必要がないため、貼り剥がしの繰り返しによる接着剤の鍵への付着が発生せず、鍵自体の感触を何ら損なうことがなく、微妙な指先の感覚をも尊重された良好な状況で、練習者はより高質なレベルでの鍵盤楽器練習を行うことができる。
【0023】
なお、図ではサブシート1A等は3枚を超えて備えられているように示されているが、サブシートが2枚、または3枚であっても本発明の範囲内である。また図において、各サブシート1A等または各オクターブ列81等における着色はグレースケールで示されているが(後掲各図も同様)、色相を付したものも本発明の範囲内であることはいうまでもない。むしろ各サブシート1A等または各オクターブ列81等は、色相を含めて相違する色として構成するのが、本発明の目的上より望ましい。
【0024】
ところで、各オクターブ列81等を色分けにより構成する場合、パステルカラー調、その他どのような色の組み合わせであっても本発明の範囲内である。しかしながら、色彩が生ぜしめる感覚の観点、認識しやすさの観点、練習における便宜性の観点などから、特定の色の組み合わせを用いることもまた、有意義である。
【0025】
たとえばピアノの場合は、7オクターブ分を用意すればよいが、低音域から高音域への各オクターブ列の色分けを、寒色系〜中間色系〜暖色系とする構成が考えられる。具体的には、紫−青−水色−緑−黄色−橙色−赤 などである。あるいはまた、虹の7色を用いてもよい。
【0026】
また、本発明鍵盤楽器練習用シートが、後述する専用楽譜との併用によって最大限にその効果を発揮するものであることから、練習者や教授者が既成の楽譜上に自前で色分けを施すことによって専用楽譜を作成する場合には、筆記用具として提供されている色に合わせて各オクターブ列の色構成を決定することとしてもよい。たとえば用いる色を標準的な12色の色鉛筆の色構成とすれば、既成の楽譜に着色して専用楽譜を作成する場合にも便利である。
【0027】
図2は、本発明の鍵盤楽器練習用シートに係るサブシートの別の構成例を示す説明図である。図に例示するように本鍵盤楽器練習用シートでは、一枚のサブシート21Aに複数のオクターブ列281、282、・・・を設けた構成としてもよい。もっともこの場合でも、オクターブ列281、282、・・・はそれぞれ異なる単一色が付されていることとする。なお、全てのオクターブ列を一枚のシートに設ける構成も、もちろん本発明の範囲内であり、これについては長尺シートタイプとして、後にも言及する。
【0028】
本鍵盤楽器練習用シートでは、サブシートの裏面は吸着性の構造を備えたものとすることができる。かかる構成によれば、サブシートを鍵盤楽器に繰り返し着脱可能であり、便利である。吸着性の構造の具体例としては、剥離容易(貼り剥がし自在)の接着剤を用いることができるが、本発明はこれに限定されず、たとえば吸盤を用いたり、あるいはすき間のない平滑な面構造とすることによって、吸着性の構造とすることもできる。
【0029】
図3は、本発明の鍵盤楽器練習用シートに係るサブシートについて、断面構成例を示す断面視説明図である。図示するように、サブシート31Aの裏面に設けられた接着剤塗布層36をもって前記吸着性の構造として機能せしめることができる。なおシート本体33の材質は紙、合成樹脂、ゴム、布、その他繰り返しの固定・除去に耐えるものであれば、いかなる材質でもよい。また接着剤塗布層の材質も、従来公知のものを適宜用いることができる。
【0030】
図4は、本発明の鍵盤楽器練習用シートに係る音名表示付きサブシートの構成を示す説明図である。図示するように本鍵盤楽器練習用シートでは、サブシートの黒鍵451、452、・・・に「ド♯/レ♭」等の音名表示S1、S2、・・・が付された構成とすることができる。かかる構成は、特に初心者等の練習に便利である。
【0031】
なお、一枚のサブシートに複数のオクターブ列が設けられてもよい旨は上述したが、実際の利用ではオクターブ列ごとに一枚のサブシートとする構成、または全てのオクターブ列を一枚のシートに設ける構成(後述)のいずれかとする方が簡明であり、練習に使用する上でも便利である。
【0032】
<長尺シートタイプ>
これは、全てのオクターブ列を一枚のシートに設けたタイプの、鍵盤楽器練習用シートである(図示せず)。かかる構成により本タイプは、そのままで使用してもよいし、また、オクターブ列に基づいて切り離して使用してもよい。その他の構成・作用効果は、各オクターブ列にはそれぞれ異なる単一色が付されるものとすることを初めとして、上述した分割シートタイプと基本的に共通する。
【0033】
<楽譜と合わせたセット>
図5は、本発明の鍵盤楽器練習支援セットの基本構成を示す説明図である。図示するように本鍵盤楽器練習支援セット500は、上述したいずれかの鍵盤楽器練習用シート510と専用楽譜59からなり、専用楽譜59は音符に着色が施されており、着色にはオクターブ列の着色に係る色が用いられていることを、特徴的な構成とする。このように鍵盤楽器練習用シート510と専用楽譜59とをセットで使用することにより、練習効果を最大限に発揮せしめることができる。なお、図では鍵盤楽器練習用シート510として分割シートタイプが示されているが、長尺シートタイプでももちろんよい。
【実施例】
【0034】
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明がこの実施例に限定されるものではない。
<実施例>
図6は、本発明の鍵盤楽器練習支援セットを構成する専用楽譜の例の要部を示す写真である。また、
図7は、本発明の鍵盤楽器練習支援セット実施例について、ピアノ練習における使用例を示す写真である。このように鍵盤楽器練習用シートと専用楽譜とをセットで使用することにより、練習効果を最大限に発揮せしめることができる。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明の鍵盤楽器練習支援セットによれば、ピアノを初めとする鍵盤楽器の練習において、初学者や知的障害のある者であっても楽譜の音符が指定する特定の鍵盤の位置を容易かつ即座に把握することができ、鍵盤楽器の演奏方法の学習速度を高めることができる。しかも鍵自体の感触を何ら損なわずに微妙な指先の感覚をも尊重された良好な状況での練習が可能である。したがって、音楽教授に関連する産業分野において利用性が高い発明である。
【符号の説明】
【0036】
10、510…鍵盤楽器練習用シート
1A、1B、1X、21A、31A…サブシート
33…シート本体
36…接着剤塗布層
51、52、53、54、55、451、452、453、454、455…黒鍵
59…専用楽譜
500…鍵盤楽器練習支援セット
71、72、73、74、75、76、77、471、472、473、474、475、476、477…白鍵
81、281、282…オクターブ列
S1、S2、S3、S4、S5・・・音名表示(黒鍵の)

図3
図1
図2
図4
図5
図6
図7