特許第6034076号(P6034076)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6034076
(24)【登録日】2016年11月4日
(45)【発行日】2016年11月30日
(54)【発明の名称】簡易便槽タンクと汚水回収システム
(51)【国際特許分類】
   A47K 11/00 20060101AFI20161121BHJP
【FI】
   A47K11/00 112
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-153013(P2012-153013)
(22)【出願日】2012年6月19日
(65)【公開番号】特開2014-370(P2014-370A)
(43)【公開日】2014年1月9日
【審査請求日】2015年6月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】591264809
【氏名又は名称】福島 寿蔵
(72)【発明者】
【氏名】福島 壽藏
【審査官】 油原 博
(56)【参考文献】
【文献】 欧州特許出願公開第00763633(EP,A1)
【文献】 特開2000−289609(JP,A)
【文献】 実開平04−037682(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47K 11/00
E03D 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
折り畳み可能な樹脂タンク1を押し潰し、容積を縮小化してこれに便器ボウル2の排水パイプ3を結合バルブ部7で結合し、その後、当該樹脂タンク1の形状を任意の容積まで回復させることにより樹脂タンク1内部の負圧を増し、排水パイプ3の途中に設けた止水バルブ4を開となすことにより同負圧により便器ボウル2の排水を当該タンク1内部に吸引し、しかる後、前述の排水パイプ3途中に設けた止水バルブ4を閉となして排水パイプ3からの「し尿」汚水5の流れ込みを止めることにより、当該樹脂タンク1の形状回復を止めて内部に保持した汚水5を保持することを特徴とした簡易水洗便槽タンクを用いた「し尿」汚水の回収処理方法。
【請求項2】
請求項1の折り畳み可能な樹脂タンク1と便器ボウル2をつなぐ「し尿」排出パイプ3の任意の位置に設けた止水バルブ4に引きバネに類した牽引機構としてコイルスプリング15を取り付けたことを特徴とし、便器ボウル2の排水レバー、もしくはボウルの排水機能を有する作動レバーと機械的に連動させ、任意の排水レバーもしくは排水機能を有する作動レバーの作動後、これにより開放された止水バルブ4がコイルスプリング15により自動的に閉となることを特徴とした簡易水洗便槽タンクを用いたし尿汚水の回収処理方法。
【請求項3】
請求項1の簡易水洗便槽タンク1と便器ボウル2をつなぐ「し尿」排出パイプ3の任意の位置に肉厚もしくは板バネを用いて任意の反発力を持たせた逆止弁13を設け、樹脂タンク1の負圧による吸引力を一定圧に調整したことを特徴とした簡易水洗便槽タンクを用いたし尿汚水の回収処理方法。
【請求項4】
請求項1の簡易水洗便槽の樹脂タンク1において当該樹脂タンク1の排水パイプ結合部6に設けた結合バルブ部7を閉となし、便器ボウル2からの「し尿」排出パイプ3より切り離したる後、当該樹脂タンク1を取り外し、外部に設けた「し尿」汚水集積タンク8の回収口9まで運び、結合バルブ部7と当該回収口9とを突き合わせて結合し、しかる後、結合バルブ部7を開放し、あらためて樹脂タンク1を押し潰し、内部に溜めた「し尿」汚水5を樹脂タンク1外に排水し、汚水集積タンク内部に回収して後、押し潰された当該樹脂タンク1の本体に設けた結合バルブ部7を押し潰したまま閉となすことにより、押し潰された形状をそのまま維持して元の簡易水洗便槽の排水パイプ3に戻し、接合しあらためて簡易水洗便槽タンクとして用いることにより行われる一連の「し尿」汚水回収システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、病院、被災地、介護現場、野外施設、移動車両等に於ける簡易水洗トイレの便槽に関わるものである。
【0002】
当該技術は簡易トイレとして非常用に用いられるものであり、繰り返し使用に際して、「し尿」の一次貯蓄タンクとして機能し、二次の「し尿」集積タンクへの移送と、あらためて一次タンクとして再使用するシステムを呈示するものである。
【背景技術】
【0003】
従来の非常用あるいは簡易トイレは、水洗とすることが難しく、その都度ビニル袋、樹脂タンクなどに便座を介して用便し、これを別の便槽に運び排出するというものであった。
【0004】
これらは、用便に際し重力落下により簡易便槽に収納、貯蓄せしめるのであった。
【0005】
このため、し尿の水分を固形化するための薬剤を併用するか、微生物を活用する、いわゆるコンポスト方式が提唱されてきた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の非常用あるいは簡易トイレは水洗とはなり難く、臭気やタンク内の貯蔵した「し尿」の処理の際、人的配慮に欠け、非衛生的で非常に使用感が悪いものであった。
【0007】
また、広域災害などにおいて使用するとなると、後処理にバキューム施設がない場合が大半で、経時集積が大きな問題となった。
【0008】
すなわち、現在用いられている非常用、あるいは簡易トイレは通常用いられる水洗トイレとは異なり、使用時に臭気を放ち、また汚物タンクの排出除去は非常に不快なものであってその改良は必要不可欠であった。
【0009】
また、移動車両に設置される場合には電動ポンプを用いて吸引することも実用化されているが、タンクからの排出処理は不衛生であり、また被災地などにあっては電源に問題があった。
【0010】
また、電動等のシステムにあっては、ポンプ内部のインペラなど故障の問題がつきまとい、コストのかかる原因となった。
【0011】
非常用の簡易トイレでは数度の使用後は集積タンク、通常のトイレなどにまとめて放出しタンクを空にする作業が必要であるものの、スムーズな排出にはこれらの簡易トイレ便槽容器に抜気穴が必要であり、臭気は避け難く、又直接「し尿」の汚物を目にせざるを得なかった。
【0012】
便槽タンクの使用後の清掃も必要であり、衛生的とは言い難かった。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の問題点を解決するために、本発明では、あらかじめ圧縮せしめた便槽樹脂タンクを使用し、この圧縮形状を圧縮前の元の形状に戻すことにより、その際生じた樹脂タンク内の負圧で便器ボウル内の汚物を洗浄水とともに樹脂タンクへ吸引、収納せしめるのである。
【0014】
また、吸引・格納を繰り返し行い満杯になった本件便槽タンクをバルブにより閉となすことで形状の維持と内容物の保存を図った上で、別の集積タンクに搬送後、汲み取り口に接合するのである。その上で、本件便槽タンクのバルブを開とし当該タンクを外部の押圧で圧縮し、内部の「し尿」を直結されたパイプを排出して、さらにこの圧縮された形状のままバルブを閉となすことで圧縮状態を維持せしめて、新たに簡易トイレのタンクとして再度用いるのである。
【0015】
本発明にあっては、圧縮可能な樹脂製の折り畳み構造あるいはジャバラ構造の樹脂タンクが想定される。
【0016】
本発明では作業の初めに於いて、あらかじめタンク本体の圧縮を行うのであるが、この圧縮と同時に汚水吸入口をバルブにより閉鎖することによってタンク本体を密閉となし、これにより圧縮形状が保持され、この状態で汚水吸入口と便器ボウルからの排水パイプとを接合するのである。しかる後、汚水吸入口バルブ開放により、圧縮された本件タンクの開口が行われるのである。汚水の吸引作業の実施・中断が、前述のバルブ開閉により行われるところに本発明の特徴がある。
【0017】
本件の圧縮されたタンクはバルブ閉鎖により外部からのエアー、汚水の吸入が中断されるので内部の閉じこめられた負圧が当該タンクの形状復活を阻止し、圧縮形状を保持するのである。
【0018】
また、本発明の樹脂便槽タンクは便器ボウルに直結された現場で使用される一次貯蔵タンクであり、便器ボウルからのし尿回収を行うものの、回収量にはおのずと容量に制限があり、一定回数の現場回収後は通常のトイレ下水施設、バキュウームカー、集積便槽などのいうなれば二次便槽への移送・排出が必要であるが、ここにおいて、設置現場の便器ボウルに繋がるパイプからの取り外し、移動後の二次便槽、処理システムへの接合、排出を行うのであるがこの際、二次便槽の取り入れ口に結合した上で、本体を圧縮し二次便槽へ排出、移送するのである。
【0019】
前項の排出過程に汚水吸入口の閉鎖バルブを閉となすことにより、本体の内圧が維持され、当該樹脂タンクは形状回復を阻止されることになるのである。
【0020】
すなわち、一連の作業にあっては本発明の便槽樹脂タンクを二次便槽へ移送後、集積のための排出を行った後、便槽樹脂タンクの閉鎖バルブを閉となしたまま本体の圧縮状態を維持してそのまま、再度現場の一次便槽として設置し、再使用するのである。かくして、汚水吸入口は二次タンクへの汚水移送にあっては、排出口として用いられるのである。
【0021】
この際、排出から再使用設置にいたるまで一切汚物を目にすることがなく、またバルブにより閉鎖されているので臭気に接することがないのである。
【0022】
又、トイレとして使用中、使用後の排水では便器ボウルの排水レバーに機械的に直結した止水バルブが本件便槽樹脂タンクにつながるパイプの流れを止めるため、前記00018項目に詳述した状況と同じように作動の中断維持を行うのである。
【発明の効果】
【0023】
上述したように本発明は、非常用あるいは簡易トイレとして水洗使用が可能となるのである。このため、臭気、視覚上の不快感を排除出来るのである。
【0024】
加えて、「し尿」汚物に一切触れずに回収・破棄処分ができるので、非常に衛生的な使用が出来るのである。
【0025】
広域災害の被災地にあっては、短時間で所要数の簡易水洗トイレの設置が可能であり、同時に第三者による専従者でないボランティア等の「し尿」回収作業をシステム化でき被災地での環境衛生保持に効果的である。
【0026】
本発明は病院での入院患者のホスピタリティ、広域災害地での被災者生活に有用であり、家庭内にあっては介護の用具として寝室などの居住区内に衛生的に設置出来るのである。
【0027】
また、野外での作業現場に容易に設置できるため工事現場等で有効である。
【0028】
小型船舶、遠距離車両にあっては、船体、車体の改造などを伴わず設置できるのである。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】は本件発明の樹脂タンク実施例を表す斜面図である。図中、aaは本件樹脂タンク実施例の斜面図を、abは底面図を表す。
図2】は本件発明の樹脂タンク実施例を表す実施例斜面図である。図中、aは本件の圧縮された透視図を、bは伸張した透視図を表す。
図3】は図2の内部を示す説明図である。図中、cは本件の圧縮された内部構造図を、dは伸張した内部構造を表す。
図4】は本件発明の樹脂タンクの方形実施例を表す実施例斜面図である。図中、eは本件の方形タンクを表す。
図5】は本件発明の樹脂タンクの方形実施例が折り畳まれていく状況を表す実施例斜面図である。図中fは折り畳まれた状況を、gは折り畳み前の側面図を、h、iは圧縮行程において逐次折り畳まれていく行程表す説明図である。
図6】は便器ボウルから本件の便槽タンクへの「し尿」の流れ説明図である。図中、jは「し尿」吸入前を、k、mは「し尿」吸入中を表し逐次タンクは膨張している。
図7】は便器からの「し尿」排水流れを制御する止水バルブの開放作動を示す断面説明図である。taは一連の流れ状況を、tbは流れ開放中のバルブを、tcはtbの断面平面図である。
図8】は便器からの「し尿」排水流れを制御する止水バルブの閉鎖作動を示す断面説明図である。tdは一連の流れ状況を、teは流れ閉鎖中のバルブを、tfは閉鎖による流れ中断の断面平面図である。
図9】は本発明の樹脂便槽タンクのキャビネット収納状況を示す説明図である。当該キャビネットはトイレボウルに近隣して設置される。図中nはキャビネット内での「し尿」吸入前の圧縮された状況を、Pはキャビネット内で「し尿」吸入後の膨張した状況を表す。
図10】は本発明の満杯状態の便槽タンクqから別に設置された二次集積便槽8への搬出・移送を示す一連の作業工程を示す説明図である。図中qは運び込まれた満杯の便槽タンクを、rは二次集積便槽に接合され圧縮されながら「し尿」の排出中の状況を、sは圧縮され排出が終わり結合を解かれた状況を示す。
図11】はパイプ内に設けられた逆止弁の吸量調整を示す説明図である。
図12】は便器排水レバーに連動した止水バルブの実施例の動きを説明する
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、発明の実施の形態を実施例にもとづき図面を参照して説明する。
【0031】
図1では、本件発明の折り畳み可能な樹脂タンク1は樹脂によりジャバラ形状に成型され、底部に「し尿」の排水パイプ結合部6を有している。
【0032】
折り畳み可能な樹脂タンク1(以下、樹脂タンク1という)は肉厚の段差あるいは折り返し構造を設定され自立し、圧縮に際して元の形状を回復する強度を持っている。
【0033】
図12に見られるように止水バルブ4は排水パイプ3の壁面に沿って金属あるいは樹脂バネを装着し、復元力の増強を図ることもある。
【0034】
初回使用にあっては、図6のjに見られるように当該便槽タンク1を吸入口バルブ7を開放したまま強く圧縮し、内部のエアーを抜き、その後吸入口バルブ7を閉となし密閉状態を作り、負圧により圧縮形状を維持するのである。
【0035】
図10み見られるように当該便槽タンク1は、「し尿」吸引の行程を10回ほど繰り返した後、図qに見られるようにバルブ閉鎖の状態で本体を排水パイプ結合部から取り外し、移動させ、図rの様に内容物を二次便槽8へ解放するのである。
【0036】
汚水吸入にあっては又、外部から加える力によりタンク1を引き伸ばす事により容積を増やす事も可能である。
【0037】
図1は折り畳み可能なジャバラ形状の樹脂タンクであるが、本ジャバラ形状は図1に見られるように、樹脂成形によりジャバラ形状とするか、あるいは図2図3のように樹脂コイルを肉厚の樹脂フィルムで被覆しジャバラとなすこともある。
【0038】
また、図4図5に見られるように本件発明の便槽タンク1は方形に成型することにより縦方向に折り畳んで容積を縮める事が出来るのである。
【0039】
本発明は図1に見られるように、樹脂タンク下部に排水パイプ3の接合部6を有するのである。当該排水パイプ結合部6は個別の便器ボウルの排出パイプ3に接合されるのであり同時に結合バルブ部7として機能するのである。
【0040】
図11に見られるように当該排出パイプ6もしくは排水パイプ3には、本発明の樹脂タンクの負圧吸引力を瞬発的に強めるための逆止弁13が設けられている。本逆止弁13は所要の吸引力を設定して、弁の強さを調整され止水バルブ4としても機能する。
【0041】
前項0040に云う弁の強さは、弁の作動部分の肉厚、板バネ等により調整されている。
【0042】
また、トイレにおける用便後の排水にあっては図6に見られるように本発明の樹脂便槽タンクに接合された排水パイプ3に設けたボウルバルブよりなる止水バルブ4が設置されている。
【0043】
止水バルブ4は図12に見られるように引きバネ15により、便器側排水レバーによりバルブ4の開放が行われても、すぐに自動的に閉鎖し必要量以上の吸引を防止し、樹脂タンク1の「し尿」吸水作業中断を行うのである。
【0044】
図6は本発明の樹脂便槽タンクの経時的な形状変化を示す説明図である。図中タンクは上方にタンク容量を増しながらj→k→mと形状回復すると共に、負圧を増し結果、吸引力として便器ボウルに直結した「し尿」を内部に吸引して貯蔵していくのである。
【0045】
その間、図8に説明するように止水バルブ4の閉鎖により内容物の吸引が中断されるため樹脂タンクは密閉状態となり形状回復ができず、圧縮形状を維持するのである。
【0046】
また、本発明の樹脂タンクはジャバラ形状で自立回復できるものの、強制的に上方へ引っ張られ、タンク容量と負圧の増加を図られることもある。
【0047】
図4に見られるように直方体の樹脂タンクは、折り畳み形状で圧縮されることもある。この際、自立できるように樹脂肉厚を設計するか骨組みとして肉厚樹脂板を貼り付けることが有効である。
【0048】
本発明の簡易便槽は、圧縮折り畳み可能な樹脂より構成され、折り畳み部あるいは圧縮部には凹凸あるいは肉薄部が成型され、容易に圧縮あるいは折り畳みが行えるようにするのである。
【0049】
本発明実施例の底部に設けられた排水パイプ結合部6は開口部として止水バルブ4に結合され、当該止水バルブ4の操作により密閉・開放が可能となると共に結合バルブ部7として閉鎖状態での切り離しを行う事も出来るのである。
【0050】
排出パイプ3あるいは排出パイプ結合部6もしくは結合バルブ部7に止水バルブ4を取り付け、当該止水バルブ4は便器ボウル2に取り付けられた通常の洗浄レバーと機械的に結合され連動するのである。
【0051】
このため本発明の実施例にあっては簡易水洗トイレの水洗便槽タンク1において、当該樹脂タンク1の側面あるいは底部に結合バルブ部7として開口部を一カ所のみ設け、当該結合バルブ部7の開口部を開放した状態で当該樹脂タンク1の側面あるいは上部または全体を押し縮め、もしくは折り畳むことにより当該タンクの容積を最小化せしめた圧縮形状となすのである。
【0052】
水洗便槽タンク1として用いるには、図7に見られるように当該結合バルブ部7の開口部に水洗トイレ便器の排出パイプ3を止水バルブ4と共に接合し、止水バルブ4を開となすのである。便器ボウル2内の用便後の「し尿」を、洗浄水と共に排出するに際し、前述の押し縮めあるいは折り畳まれた当該樹脂便槽タンク1の潰れた形状は便器ボウル2に機械的に接合された止水バルブ4の開放と共に本体の回復力により発生する負圧により「し尿」と洗浄水を吸い込み、元の形状に回復しながら水洗トイレ便器内の「し尿」と洗浄水を樹脂便槽タンク1内に吸引するのである。しかる後、図8に見られるように当該樹脂タンク1内に吸引したる後は、止水バルブ4を閉となして樹脂タンク1の形状を一定に維持することにより、吸引した「し尿」と洗浄水を内部に保持するのである。
【0053】
図12に見られるように、折り畳み可能な樹脂タンク1と便器ボウル2をつなぐ「し尿」排出パイプ3の任意の位置に止水バルブ4を設け、これに引きバネに類したコイルスプリング15を取り付けて、便器ボウル2の排水レバーと機械的に連動させ、任意の排水レバーの操作により、止水バルブ4を開放し便器ボウルからの「し尿」と洗浄水の吸引を行った後、コイルスプリング15により自動的に閉となるのである。
【0054】
このためトイレ使用者は通常の水洗トイレと同様に、レバー操作のみで排水作業が行え、同時に不要の洗浄水の過剰吸引を阻止できるのである。
【0055】
また、図11のように簡易水洗便槽タンク1と便器ボウル2をつなぐ「し尿」排出パイプ3の任意の位置に肉厚を厚くするか、もしくはバネを用いて任意の反発力を持たせた逆止弁13を設ける事により、初期吸引力の弱い状態から強力になるまで逆止弁10の作動を遅らせ、十分な吸引力が得られてから逆止弁13を開放し、「し尿」と洗浄水を一気に吸引させることが出来るのである。本図11において樹脂肉厚を厚くした逆止弁13の作動状況を示す。図中v、w、xは逐次負圧により弁の開放が行われる様を表す。負圧の上昇とともに逆止弁13は樹脂肉厚があるためvの位置では作動しないもののそれ以上の負圧に対しては一気にw→xと倒れ込み開放されるのである。
【0056】
本発明は一連の流れにおいて、簡易水洗便槽の樹脂タンク1の結合バルブ部7を閉となした状態で、排出パイプ3より切り離したる後、当該樹脂タンク1を取り外し、図10に見られるように、外部に設けた「し尿」汚水集積タンク8の回収口9まで運び、結合バルブ部7と当該回収口9とを突き合わせて結合して「し尿」の再集積を行うのである。その際、結合バルブ部7を開放し、あらためて樹脂タンク1を機械的に押し潰し、内部に溜めた「し尿」汚水5を樹脂タンク1より排水し、汚水集積タンク8内部に回収する。その後、この時押し潰された当該樹脂タンク1の本体に設けた結合バルブ部7を、本体を押し潰したまま閉となすことにより、押し潰された形状をそのまま維持して、あらためて簡易水洗便槽タンクとして用いることにより、一連の「し尿」汚水回収システムを構成するのである。
【符号の説明】
【0057】
1 折り畳み可能な樹脂タンク
2 便器ボウル
3 排水パイプ
4 止水バルブ
5 し尿汚水
6 排水パイプ結合部
7 結合バルブ部
8 「し尿」汚水集積タンク
9 二次集積便槽の回収口
10 キャビネット収納庫
11 樹脂コイル
12 肉厚の樹脂フィルム
13 逆止弁
14 板バネ
15 コイルスプリング
16 逆止弁の取り付け部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12