(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明が適用された実施形態について、図面を用いて説明する。
[第1実施形態]
図1に示すように、第1実施形態の作用力検出装置1は、検出デバイス10と、弾性部材19と、を備える。
図2(A)に示すように、弾性部材19は、検出デバイス10の操
作部12を覆う形で設けられている。
【0015】
検出デバイス10は、操作部12の微小な変位を検出するデバイスである。具体的には、
図2(A)に示すように、操作部12と、起歪体13と、連結体14と、ハウジング15と、を備える。
【0016】
操作部12は、平板部12a及び軸12bを備える剛体である。操作部12の平板部12aは、弾性部材19を介して作用する外力(作用力)により微小に変位する部分であり、適宜の材料にて平面視円状に形成されている。操作部12の軸12bは、平板部12aの中心から平板部12aの表面に対して垂直に伸長するように、平板部12aと一体に円柱状に形成されている。このように構成されることで、操作部12の平板部12aに作用する作用力は、操作部12の軸12b及び連結体14を介して起歪体13に伝達される。
【0017】
図2(B)に示すように、起歪体13は、2枚の平面視I字型の平板がこれら平板の各表面が同一平面となるように配列されて構成されている。そして、起歪体13は、操作部12に作用する作用力の方向に応じて異なる態様にて起歪体13の表面に垂直な方向(後述するZ軸方向)に弾性変形する。また、この起歪体13の表面(詳しくは上面)には、4つの歪検出部17e〜17hと、これらを構成する歪検出素子171e〜174hを用いたブリッジ回路18e〜18g(
図6(B))に電源を供給するための図示しない複数の電極が配置されている。4つの歪検出部17e〜17hは、起歪体13の変形を検出するためのものであり、本実施形態では歪ゲージが用いられている。
【0018】
ここで、起歪体13の表面に平行でかつ互いに直交する2軸であるX軸及びY軸の各々のプラス方向を、
図2(B)で下方に向かう方向及び右方に向かう方向とし、これらX軸方向及びY軸方向に直交するZ軸方向を、起歪体13の表面に垂直な方向とする。
【0019】
また、説明の便宜上、操作部12の軸12bよりもY軸プラス方向側に位置する平板における、連結体14よりもX軸プラス方向に位置する部位を、起歪体第1部位13eとする。また、操作部12の軸12bよりもY軸プラス方向側に位置する平板における、連結体14よりもX軸マイナス方向側に位置する部位を、起歪体第2部位13fとする。また、操作部12の軸12bよりもY軸マイナス方向側に位置する平板における、連結体14よりもX軸マイナス方向側に位置する部位を、起歪体第3部位13gとする。また、操作部12の軸12bよりもY軸マイナス方向側に位置する平板における、連結体14よりもX軸プラス方向側に位置する部位を、起歪体第4部位13hとする。また、平板における、起歪体第1部位13e〜起歪体第4部位13hよりもY軸方向に幅が広い部位を、起歪体固定部位13iとする。この起歪体固定部位13iが、ハウジング15にて固定される部位である。
【0020】
歪検出部17eは、起歪体第1部位13eに配置されており、この歪検出部17eを構成する歪検出素子171e〜171eは、操作部12に作用する作用力に起因して生じる起歪体第1部位13eのZ軸方向の弾性変形を検出するための歪検出素子である。また、歪検出部17fは、起歪体第2部位13fに配置されており、この歪検出部17fを構成する歪検出素子171f〜174fは、操作部12に作用する作用力に起因して生じる起歪体第2部位13fのZ軸方向の変形を検出するための歪検出素子である。また、歪検出部17gは、起歪体第3部位13gに配置されており、この歪検出部17gを構成する歪検出素子171g〜174gは、操作部12に作用する作用力に起因して生じる起歪体第3部位13gのZ軸方向の変形を検出するための歪検出素子である。また、歪検出部17hは、起歪体第4部位13hに配置されており、この歪検出部17hを構成する歪検出素子171h〜174hは、操作部12に作用する作用力に起因して生じる起歪体第4部位13hのZ軸方向の変形を検出するための歪検出素子である。
【0021】
連結体14は、複数回折り返された単一の板ばねによって平面視矩形状に構成されている。この連結体14は、上面の長手方向略中央に位置する連結領域Suにおいて、操作部12の軸12bと一体に連結されており、下面の両端部に位置する連結領域Sdにおいて、起歪体13と一体に連結されている。なお、連結体14の連結領域Sdは、起歪体13の長手方向の略中央の部分に対向する。また、連結体14は、操作部12の軸12bが起歪体13の表面に対して垂直となるように、これら操作部12の軸12bと起歪体13の表面とを一体に連結している。
【0022】
ハウジング15は、適宜の材料によって形成されており、起歪体13を保持し、ひいては起歪体13に一体に連結される連結体14や、この連結体14に一体に連結される操作部12等も保持する。なお、ハウジング15には、起歪体13の歪検出素子171e〜174hが配置される部分に対向する箇所に凹部が形成されている。この凹部により、起歪体13がその表面に垂直な方向に弾性変形しても、その弾性変形は阻害されないようになる。
【0023】
また、作用力検出装置1は、歪検出素子171e〜174hを組み合わせて構成されたブリッジ回路18e〜18h(
図6(B)参照)を有して構成された信号処理部を備える。信号処理部は、ブリッジ回路18e〜18hの検出信号に基づいて、操作部12に作用する作用力を検出する。なお、ブリッジ回路18e〜18h及び信号処理部の詳細については後述する。
【0024】
以上のように構成された検出デバイス10の動作について
図3(A)、
図3(B)、
図4(C)及び
図4(D)を参照しつつ説明する。
ユーザによって操作部12のX軸プラス方向に作用力が加えられたとする。このとき、加えられた作用力は、軸12bを介して連結体14に伝達され、
図3(A)に示すように、X軸プラス方向の作用力Fxとして連結体14に作用する。連結体14に作用力Fxが作用すると、連結体14の左端部にはX軸プラス方向に作用力fx11が作用し、連結体14の右端部にはX軸プラス方向に作用力fx12が作用する。連結体14の左端部に作用力fx11が作用すると、起歪体第4部位13hには作用力fx21がZ軸マイナス方向に作用し、起歪体第3部位13gには作用力fx31がZ軸プラス方向に作用する。同様に、連結体14の右端部に作用力fx12が作用すると、起歪体第1部位13eには作用力fx22がZ軸マイナス方向に作用し、起歪体第2部位13fには作用力fx32がZ軸プラス方向に作用する。このように、作用力Fxは、連結体14によって、起歪体13の表面に対して垂直な作用力fx21及びfx31並びにfx22及びfx32に変換され、起歪体13に作用することになる。ちなみに、作用力fx21及びfx31が作用するため、連結体14の左端部に位置する連結領域Sdの中心点周りにはモーメントmx1が発生し、作用力fx22及びfx32が作用する。このため、連結体14の右端部に位置する連結領域Sdの中心点周りには、モーメントmx2が発生することになる。
【0025】
また、ユーザによって操作部12のY軸プラス方向に作用力が加えられたとする。このとき、加えられた作用力は、軸12bを介して連結体14に伝達され、
図3(B)に示すように、Y軸プラス方向の作用力Fyとして連結体14に作用する。連結体14に作用力Fyが作用すると、連結体14の左端部にはZ軸プラス方向に作用力fy11が作用し、連結体14の右端部にはZ軸マイナス方向に作用力fy12が作用する。連結体14の左端部に作用力fy11が作用すると、起歪体第4部位13hには作用力fy21がZ軸プラス方向に作用し、起歪体第3部位13gには作用力fy31がZ軸プラス方向に作用する。同様に、連結体14の右端部に作用力fy12が作用すると、起歪体第2部位13fには作用力fy22がZ軸マイナス方向に作用し、起歪体第2部位13fには作用力fy32がZ軸マイナス方向に作用する。このように、作用力Fyは、連結体14によって、
起歪体13の表面に対して垂直な作用力fy21及びfy31並びにfy22及びfy32に変換され、起歪体13に作用することになる。
【0026】
また、ユーザによって操作部12のZ軸プラス方向に作用力が加えられたとする。このとき、加えられた作用力は、軸12bを介して連結体14に伝達され、
図4(C)に示すように、Z軸プラス方向の作用力Fzとして連結体14に作用する。連結体14に作用力Fzが作用すると、連結体14の左端部にはZ軸プラス方向に作用力fz13が作用し、連結体14の右端部にはZ軸プラス方向に作用力fz14が作用する。連結体14の左端部に作用力fz13が作用すると、起歪体第4部位13hには作用力fz23がZ軸プラス方向に作用し、起歪体第3部位13gには作用力fz33がZ軸プラス方向に作用する。同様に、連結体14の右端部に作用力fz14が作用すると、起歪体第1部位13eには作用力fz24がZ軸プラス方向に作用し、起歪体第2部位13fには作用力fz34がZ軸プラス方向に作用する。このように、作用力Fzは、連結体14によって、起歪体13の表面に対して垂直な作用力fz23及びfz33並びにfz24及びfz34に変換され、起歪体13に作用することになる。
【0027】
また、ユーザによって操作部12のZ軸反時計周りにモーメントが加えられたとする。このとき、加えられたモーメントは、軸12bを介して連結体14に伝達され、
図4(D)に示すように、Z軸反時計周りのモーメントMzとして連結体14に作用する。連結体14にモーメントMzが作用すると、連結体14の左端部にはX軸プラス方向に作用力fz11が作用し、連結体14の右端部にはX軸マイナス方向に作用力fz12が作用する。連結体14の左端部に作用力fz11が作用すると、起歪体第4部位13hには作用力fz21がZ軸マイナス方向に作用し、起歪体第3部位13gには作用力fz31がZ軸プラス方向に作用する。同様に、連結体14の右端部に作用力fz12が作用すると、起歪体第2部位13fには作用力fz22がZ軸プラス方向に作用し、起歪体第2部位13fには作用力fz32がZ軸マイナス方向に作用する。このように、作用力Fzは、連結体14によって、起歪体13の表面に対して垂直な作用力fz21及びfz31並びにfz22及びfz32に変換され、起歪体13に作用することになる。ちなみに、作用力fz21及びfz31が作用するため、連結体14の左端部に位置する連結領域Sdの中心点周りにはモーメントmz1が発生し、作用力fz22及びfz32が作用する。このため、連結体14の右端部に位置する連結領域Sdの中心点周りには、モーメントmz2が発生することになる。
【0028】
図5(A)及び
図5(B)に示されるように、起歪体第3部位13gがZ軸プラス方向に弾性変形すると、歪検出素子171g及び172gにはX軸方向の引張が生じる一方、歪検出素子173g及び174gにはX軸方向の圧縮が生じる。また、図示を割愛するが、起歪体第3部位13gがZ軸マイナス方向に弾性変形すると、歪検出素子171g及び172gにはX軸方向の圧縮が生じる一方、歪検出素子173g及び174gにはX軸方向の引張が生じる。
【0029】
このように、歪検出素子171g及び172gは、起歪体第3部位13gのZ軸プラス方向の弾性変形に伴って引張が生じ、起歪体第3部位13gのZ軸マイナス方向の弾性変形に伴って圧縮が生じるように、起歪体第3部位13gの上面に配置されている。また、歪検出素子173g及び174gは、起歪体第3部位13gのZ軸プラス方向の弾性変形に伴って圧縮が生じ、起歪体第3部位13gのZ軸マイナス方向の弾性変形に伴って引張が生じるように、起歪体第3部位13gの上面に配置されている。
【0030】
なお、このような特性は、起歪体第3部位13gの上面に配置される歪検出素子171g〜174gに限らない。すなわち、起歪体第1部位13eの上面に配置される歪検出素子171e〜174e、起歪体第2部位13fの上面に配置される歪検出素子171f〜
174f、及び起歪体第4部位13hの上面に配置される歪検出素子171h〜174hについても同様である。
【0031】
このような歪検出素子171g〜174gの配置位置は、材料力学上、起歪体13(操作部12)に作用する作用力の大きさ、起歪体13の材質等によっては変化せず、連結体14から起歪体固定部位13iまでの距離によって特定される。なお、歪検出素子171g〜174gの配置位置は、例えばCAE(Computer Aided Engineering)等によって特定可能である。
【0032】
図6(A)に示されるように、起歪体第3部位13gがZ軸プラス方向に弾性変形すると、歪検出素子171g及び172gの抵抗値は(引張が生じるため)増加する。逆に、起歪体第3部位13gがZ軸プラス方向に弾性変形すると、歪検出素子173g及び174gの抵抗値は(圧縮が生じるため)減少する。
【0033】
なお、図示を省略するが、起歪体第1部位13e、起歪体第2部位13f、起歪体第4部位13hのそれぞれがZ軸方向に弾性変形する場合における歪検出素子の抵抗値の変化についても同様である。
【0034】
つまり、歪検出部17e〜17hは、起歪体13の弾性変形に伴う変形により、抵抗値が増大するように起歪体13の上面に配置された歪検出素子と、抵抗値が減少するように起歪体13の上面に配置された歪検出素子と、をそれぞれ含んでいる。
【0035】
図6(B)に示されるように、ブリッジ回路18gは、起歪体第3部位13gのZ軸方向における弾性変形に対する抵抗値の変化態様が同一である歪検出素子171g及び172gを互いに対角に有する。また、ブリッジ回路18gは、起歪体第3部位13gのZ軸方向における弾性変形に対する抵抗値の変化態様は同一だが歪検出素子171g及び172gの抵抗値の変化態様とは逆である歪検出素子173g及び173hを互いに対角に有する。
【0036】
なお、歪検出素子171e〜174eを有するブリッジ回路18e、歪検出素子171f〜174fを有するブリッジ回路18f、及び歪検出素子171h〜174hを有するブリッジ回路18hについても同様である。
【0037】
そして、ブリッジ回路18e〜18hは、起歪体第1部位13e〜起歪体第4部位13hがZ軸プラス方向に弾性変形するとき、正の極性の出力電圧Voutをそれぞれ出力する。また、ブリッジ回路18e〜18hは、起歪体第1部位13e〜起歪体第4部位13hがZ軸マイナス方向に弾性変形するとき、負の極性の出力電圧Voutをそれぞれ出力する。
【0038】
先の
図3(A)にて示した動作例においては、ブリッジ回路18e〜18hは、
図7の「1行目」に示す極性の出力電圧Voutをそれぞれ出力する。詳しくは、起歪体第2部位13f及び起歪体第3部位13gがZ軸プラス方向に弾性変形することから、ブリッジ回路18f及びブリッジ回路18gは正の極性の出力電圧Voutを出力する。一方、起歪体第1部位13e及び起歪体第4部位13hがZ軸マイナス方向に弾性変形することから、ブリッジ回路18e及びブリッジ回路18hは負の極性の出力電圧Voutを出力する。なお、操作部12にX軸マイナス方向への作用力が作用した場合においては、ブリッジ回路18e〜18hは、
図7の「2行目」に示す極性の出力電圧Voutをそれぞれ出力する。
【0039】
先の
図3(B)にて示した動作例においては、ブリッジ回路18e〜18hは、
図7の
「3行目」に示す極性の出力電圧Voutをそれぞれ出力する。詳しくは、起歪体第3部位13g及び起歪体第4部位13hがZ軸プラス方向に弾性変形することから、ブリッジ回路18g及びブリッジ回路18hは正の極性の出力電圧Voutを出力する。一方、起歪体第1部位13e及び起歪体第2部位13fがZ軸マイナス方向に弾性変形することから、ブリッジ回路18e及びブリッジ回路18fは負の極性の出力電圧Voutを出力する。なお、操作部12にY軸マイナス方向への作用力が作用した場合においては、ブリッジ回路18e〜18hは、
図7の「4行目」に示す極性の出力電圧Voutをそれぞれ出力する。
【0040】
先の
図4(C)にて示した動作例においては、ブリッジ回路18e〜18hは、
図7の「5行目」に示す極性の出力電圧Voutをそれぞれ出力する。詳しくは、起歪体第1部位13e〜起歪体第4部位13hがZ軸プラス方向に弾性変形することから、ブリッジ回路18e〜ブリッジ回路18hは正の極性の出力電圧Voutを出力する。なお、操作部12にZ軸マイナス方向への作用力が作用した場合においては、ブリッジ回路18e〜18hは、
図7の「6行目」に示す極性の出力電圧Voutをそれぞれ出力する。
【0041】
先の
図4(D)にて示した動作例においては、ブリッジ回路18e〜18hは、
図7の「7行目」に示す極性の出力電圧Voutをそれぞれ出力する。詳しくは、起歪体第1部位13e及び起歪体第3部位13gがZ軸プラス方向に弾性変形することから、ブリッジ回路18e及びブリッジ回路18gは正の極性の出力電圧Voutを出力する。一方、起歪体第2部位13f及び起歪体第4部位13hがZ軸マイナス方向に弾性変形することから、ブリッジ回路18e及びブリッジ回路18hは負の極性の出力電圧Voutを出力する。なお、操作部12にZ軸時計回り方向へのモーメントが作用した場合においては、ブリッジ回路18e〜18hは、
図7の「8行目」に示す極性の出力電圧Voutをそれぞれ出力する。
【0042】
信号処理部は、ブリッジ回路18e〜18hの各中点における出力電圧Voutの極性の組合せから、X軸方向に作用する作用力、Y軸方向に作用する作用力、Z軸方向に作用する作用力、及びZ軸周りに作用するモーメント、の4自由度の作用力を検出する。
【0043】
また、起歪体13のZ軸方向の弾性変形量は、操作部12に作用する作用力の大きさに比例し、ブリッジ回路18e〜18hの各中点における出力電圧Voutの大きさは、起歪体13のZ軸方向の弾性変形量(ひずみ量)に比例する。このため、ブリッジ回路18e〜18hの各中点における出力電圧Voutの大きさは、操作部12に作用する作用力の大きさに比例する。したがって、信号処理部は、ブリッジ回路18e〜18hの各中点における出力電圧Voutの大きさから、上記4自由度の作用力の大きさも検出することができる。
【0044】
つまり、検出デバイス10では、それぞれ4個の歪検出素子171e〜174hを有する4つの歪検出部17e〜17h(すなわち、計16個の歪検出素子)が起歪体13の表面に配置されている。このような構成により、検出デバイス10は、X軸方向に作用する作用力、Y軸方向に作用する作用力、Z軸方向に作用する作用力、及びZ軸周りに作用するモーメント、の4自由度の作用力を検出することができる。
【0045】
一方、弾性部材19は、
図1及び
図2(A)に示すように、概略円柱状に形成され、検出デバイス10の操作部12及び連結体14が埋め込まれる形(操作部12及び連結体14と接触した状態)で設けられている。弾性部材19は、指で押したりつまんだりすることで容易に変形する柔らかい感触(ゼリーのような感触)のものであり、外力に対して体積が維持されるように変形するとともに、外力から解放されると元の形状に戻る性質を有する。本実施形態では、弾性部材19としてシリコンゴムが用いられている。
【0046】
なお、「外力に対して体積が維持されるように変形する性質」とは、例えば部分的に押圧されてその部分が凹んだ場合に、押圧されていない他の部分にその押圧力が伝わって膨らむことにより、全体として体積が維持される性質のことである。換言すれば、変形に伴う密度の変化が小さい性質である。したがって、一般的な弾性素材(例えばラテックスゴム等)は、外力に対して体積が維持されるように変形する性質を有する。一方、オープンセル型の発泡体は、外力に対して体積が維持されるように変形する性質を有しない。なお、同じ発泡体であっても、クローズドセル型の発泡体は、外力に対して体積が維持されるように変形する性質を有する。
【0047】
以上のように構成された作用力検出装置1では、弾性部材19に外力が作用すると、その外力が弾性部材19を介して操作部12に伝わることにより操作部12が微小に変位し、その微小な変位が検出デバイス10により検出される。具体的には、弾性部材19の外周面19aが押圧されると、その押圧位置(外周面19aの中心軸に対する向き)に応じて、操作部12に対してX軸方向及びY軸方向に作用する作用力が検出デバイス10により検出される。また、弾性部材19の上面19bが押圧されると、操作部12に対してZ軸方向に作用する作用力が検出デバイス10により検出される。また、弾性部材19が外周面19aの中心軸周りにねじられると、操作部12に対してZ軸周りに作用するモーメントが検出デバイス10により検出される。したがって、検出デバイス10は、操作部12に対して作用する作用力及びモーメント(操作部12の変位)に基づいて、弾性部材19の変形を検出することができる。
【0048】
以上詳述した第1実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(1A)第1実施形態によれば、検出デバイス10の操作部12の微小な変位に基づいて、弾性部材19の変形を検出することができる。このため、例えばユーザによる外部操作を入力する入力装置として(例えば従来のジョイスティックのような用途に)利用することができる。検出デバイス10の操作部12は、微小な変位を検出するものであり、操作部12を直接操作しても操作感が得られにくいが、第1実施形態によれば、弾性部材19の変形により良好な操作感を得ることができる。
【0049】
(1B)第1実施形態によれば、操作部12の微小な変位に基づいて弾性部材19の変形を検出するようにしているため、外部光の影響を受けにくくすることができる。すなわち、弾性部材19の変形を光を用いて検出する構成の場合、外部光の影響を受けにくくするための処置を講じる必要があるが、第1実施形態によれば、このような処置を講じる必要がないという利点がある。加えて、第1実施形態によれば、弾性部材19に用いられる弾性素材が光透過性の弾性素材に限定されないため、様々な弾性素材を選択することができる。
【0050】
(1C)検出デバイス10は、操作部12に作用する作用力として、X軸方向に作用する作用力、Y軸方向に作用する作用力、Z軸方向に作用する作用力、及びZ軸周りに作用するモーメント、の4自由度の作用力を検出する。このため、第1実施形態によれば、弾性部材19をX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向に変形させる操作と、弾性部材19をZ軸周りに捻る捻り操作と、を検出することができる。なお、弾性部材19の変形を光を用いて検出する構成の場合、捻り操作では発光部と受光部との位置関係の変化が少ないため、捻り操作を検出することが困難である。これに対し、第1実施形態によれば、操作部12の微小な変位を検出する構成であるため、捻り操作を精度よく検出することができる。
【0051】
[第2実施形態]
図8に示すように、第2実施形態の作用力検出装置2は、検出デバイス20と、弾性部材29と、を備える。第2実施形態は、基本的には第1実施形態と同様の構成であるが、
第2実施形態の弾性部材29は、第1実施形態の弾性部材19と比較して、円柱軸方向に長く形成されている点で、第1実施形態と相違する。また、第2実施形態は、検出デバイス20のハウジング25には、弾性部材29の円柱軸方向における一方の端部(この例では下部)を全周から覆う円筒状のカバー25aが形成されている点でも、第1実施形態と相違する。その他、第1実施形態と共通する構成については、同一符号を用い、説明を省略する。
【0052】
弾性部材29は、検出デバイス20の操作部12及び連結体14が下部に埋め込まれる形で設けられている。弾性部材29における下部(操作部12及び連結体14が埋め込まれた部分)は、その外周面29aがカバー25aにより覆われ、外部から押圧されないようにガードされている。つまり、外周面29aの一部(この例では下部)がカバー25aで覆われることにより、弾性部材29を両側から挟む挟持操作(例えば外周面29aを握る操作)が可能な押圧位置が外周面(押圧面)29aの一部(この例では上部)に限定されている。そして、操作部12及び連結体14は、カバー25aに覆われた位置(換言すれば、カバー25aの上端位置よりも低い位置)に配置されている。
【0053】
以上のように構成された作用力検出装置2では、弾性部材29に外力が作用すると、その外力が弾性部材29を介して操作部12に伝わることにより操作部12が変位し、その変位が検出デバイス20により検出される。特に、第2実施形態では、
図9に示すように、弾性部材29が外周面29aを挟持する(例えば握る)ように押圧されると、弾性部材19の上面29bが押圧された場合と同様、操作部12に対してZ軸方向に作用する作用力が検出デバイス10により検出される。
【0054】
具体的には、弾性部材29が外周面29aを挟持するように押圧されると、その押圧力でくびれ部29cが形成される。操作部12は、外周面29aにおいて想定される押圧位置(この例ではカバー25aよりも上方)での挟持操作により弾性部材29に形成されるくびれ部29cを避けた位置に設けられている。このため、挟持操作による押圧力は、操作部12に対して横方向から直接伝達されるのではなく、操作部12の上方に形成されるくびれ部29c側から下方向へ伝達される。その結果、外周面29aを挟持する操作が、Z軸方向に変形させる操作と同様に検出される。したがって、検出デバイス20の操作部12の変位に基づいて、挟持操作(例えば握り操作)も含めた弾性部材29の変形を検出することができる。
【0055】
以上詳述した第2実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果に加え、以下の効果が得られる。
(2A)第2実施形態によれば、弾性部材29の外周面29aを握る操作などの挟持操作を検出することができる。すなわち、弾性部材29の変形を光を用いて検出する構成の場合、発光部から受光部への光路を遮断するような変形を検出することができないため、挟持操作を検出することが困難である。これに対し、第2実施形態によれば、光路の遮断を考慮する必要が無く、挟持操作の検出を実現することができる。
【0056】
(2B)特に、第2実施形態では、操作部12は、外周面29aにおいて想定される押圧位置での挟持操作により弾性部材29に形成されるくびれ部29cを避けた位置に設けられる。このため、第2実施形態によれば、外周面29aを握る操作などの挟持操作を精度よく検出することができる。すなわち、弾性部材29が両側から挟むように押圧された場合に弾性部材29に形成されるくびれ部29cに操作部12が設けられている場合、くびれ部29cでは両側からの押圧力が打ち消されるため、操作部12が変位しにくい。これに対し、操作部12がくびれ部29cを避けた位置に設けられた第2実施形態の構成によれば、挟持操作による押圧力がくびれ部29c側から操作部12へ伝達されるため、操作部12に加わる押圧力の方向が安定し、操作部12が変位しやすくなる。したがって、
第2実施形態によれば、挟持操作を精度よく検出することができる。
【0057】
(2C)第2実施形態では、弾性部材29における外周面29aの一部を覆うことにより挟持操作が可能な押圧位置を限定するカバー25aが設けられ、操作部12は、カバー25aに覆われた位置に設けられている。このような第2実施形態によれば、弾性部材29の外周面29aにおいて、挟持操作が行われない部分を設けることができるため、操作部12がくびれ部29cに位置するような押圧位置で挟持操作が行われてしまうことを抑制することができる。
【0058】
(2D)第2実施形態によれば、弾性部材19をX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向に変形させる操作と、弾性部材19をZ軸周りに捻る捻り操作及び挟持操作と、を検出することができる。
【0059】
[第3実施形態]
図10に示すように、第3実施形態の作用力検出装置3は、基本的には第2実施形態と同様の構成であるが、振動子31を備える点で相違する。その他、第2実施形態と共通する構成については、同一符号を用い、説明を省略する。
【0060】
振動子31は、弾性部材29に作用するアクチュエータであり、この例では弾性部材29の内部であって、カバー25aに覆われた位置に設けられている。そして、振動子31は、外部からの通電により作動(振動)し、弾性部材29を振動させる。
【0061】
以上のように構成された作用力検出装置3では、弾性部材29に外力が作用すると、その外力が弾性部材29を介して操作部12に伝わることにより操作部12が変位し、その変位が検出デバイス20により検出される。特に、第3実施形態では、振動子31を作動させて弾性部材29を振動させることで、弾性部材29に手を触れているユーザに対し、弾性部材29の振動を触覚的に把握させることができる。
【0062】
以上詳述した第3実施形態によれば、第2実施形態と同様の効果に加え、以下の効果が得られる。
第3実施形態によれば、振動子31を作動させることで、弾性部材29を振動させることができる。このため、弾性部材29の振動に意味を持たせることで、弾性部材29に手を触れているユーザに対し、触覚的に情報を伝達することができる。例えば、作用力検出装置3の操作によりディスプレイに表示されたポインタを移動させる使用態様において、ポインタが所定の領域(例えばボタン上)に位置した場合に、弾性部材29に振動を与え、触覚的に把握させるといったことが可能となる。なお、弾性部材29の変形を光を用いて検出する構成の場合、発光部から受光部への光路を確保する必要があることから、弾性部材29の内部を加工したり、アクチュエータ等の機器を組み込んだりすることが困難である。これに対し、第2実施形態によれば、光路の確保を考慮する必要がないため、比較的自由度の高い形でアクチュエータ(この例では振動子31)を組み込むことができる。
【0063】
[第4実施形態]
図11に示すように、第4実施形態の作用力検出装置4は、基本的には第1実施形態と同様の構成であるが、エアバッグ(膨張体)41を備える点で相違する。その他、第1実施形態と共通する構成については、同一符号を用い、説明を省略する。
【0064】
エアバッグ41は、弾性部材19に作用するアクチュエータであり、この例では弾性部材19の内部であって、操作部12の上部に設けられている。そして、エアバッグ41は、図示しない外部の空気制御装置により空気が供給されることで膨張し、弾性部材19の外形を変化させる(膨張させる)一方、空気制御装置により空気が吸引されることで膨張
状態から収縮して元の状態に戻る。なお、エアバッグ41は、空気の供給路となる図示しないチューブを介して外部の空気制御装置と接続されている。
【0065】
以上のように構成された作用力検出装置4では、弾性部材19に外力が作用すると、その外力が弾性部材19を介して操作部12に伝わることにより操作部12が変位し、その変位が検出デバイス10により検出される。特に、第4実施形態では、エアバッグ41に空気を供給して弾性部材19を内部から膨張させることで、弾性部材19に手を触れているユーザに対し、弾性部材19の膨張を触覚的に把握させることができる。
【0066】
以上詳述した第4実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果に加え、以下の効果が得られる。
第4実施形態によれば、エアバッグ41に空気を供給して弾性部材19を内部から膨張させることができるため、弾性部材19に手を触れているユーザに対し、触覚的に情報を伝達することができる。なお、本実施形態では弾性部材19を膨張させるために空気を供給する構成を例示したが、これに限定されるものではなく、例えば水などの液体を供給してもよく、また、他の流体を供給してもよい。
【0067】
[他の実施形態]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されることなく、種々の形態を採り得ることは言うまでもない。
【0068】
(1)上記第2実施形態(
図8)及び第3実施形態(
図10)では、弾性部材29における外周面29aの一部を覆うことにより挟持操作が可能な押圧位置を限定するカバー25aが設けられ、操作部12は、カバー25aに覆われた位置に設けられている。これは、操作部12がくびれ部29cに位置するような押圧位置で挟持操作が行われてしまうことを抑制することで、挟持操作が顕著に検出されるようにする効果を得るためであるが、このような効果を得る構成は上記実施形態に限定されるものではない。
【0069】
例えば、カバー25aを設けず、外周面29aに押圧位置を示す表示(文字や図形等)を付してもよい。このようにすれば、外周面29aにおける押圧位置をユーザに視認させることができる。
【0070】
また、このような表示を付さない場合であっても、弾性部材29の形状に基づき想定される押圧されやすい位置(例えば中央部分)に基づき、その位置を避けるように操作部12を配置してもよい。例えば、上記第2実施形態及び第3実施形態で示した構成においても、弾性部材29の外周面29aの軸方向における中間位置よりも片寄った位置(上記実施形態では上下方向中間位置よりも下方位置)に操作部12が配置されている。このような構成によれば、カバー25aが設けられていないとしても、同様の効果が期待できる。
【0071】
ただし、上記第2実施形態及び第3実施形態のように、弾性部材29の一部(操作部12が内部に設けられた部分)がカバー25aなどで覆われた構成によれば、押圧位置を所望の位置に規制する効果を高くすることができる。
【0072】
(2)上記第3実施形態(
図10)では、上記第2実施形態(
図8)と同様、挟持操作を検出するために操作部12を片寄った位置(下方位置)に配置しているが、これに限定されるものではない。例えば、上記第1実施形態(
図2(A))と同様、操作部12を片寄っていない位置に配置しつつ、振動子31を設けてもよい。なお、振動子31は、弾性部材の外面に装着してもよい。
【0073】
これとは逆に、上記第4実施形態(
図11)では、上記第1実施形態(
図2(A))と
同様、操作部12を片寄っていない位置に配置しているが、これに限定されるものではない。例えば、上記第2実施形態(
図8)と同様、挟持操作を検出するために操作部12を片寄った位置(例えば下方位置)に配置しつつ、エアバッグ41を設けてもよい。なお、振動子31及びエアバッグ41の両方を設けてもよい。
【0074】
(3)上記実施形態では、円柱状の弾性部材19,29を例示したが、これに限定されるものではなく、例えば、より握りやすい形状や、直方体状や立方体状などとしてもよく、また、他の形状としてもよい。
【0075】
(4)上記実施形態では、弾性部材19に用いられる弾性素材としてシリコンゴムを例示したが、これに限定されるものではなく、例えば、ラテックスゴムやクローズドセル型の発泡体などを用いてもよく、また、他の弾性素材を用いてもよい。
【0076】
(5)上記第3実施形態(
図10)及び第4実施形態(
図11)では、弾性部材19,29に作用する(動きを付与する)アクチュエータとして振動子31及びエアバッグ41を例示したが、これに限定されるものではなく、他のアクチュエータを用いてもよい。また、弾性部材19,29の内部に発光体(例えばLED)を設け、ユーザが視認可能な程度に弾性部材19,29を内部から発光させるようにしてもよい。このような構成によれば、発光体の作動に意味を持たせることで、ユーザに対し、視覚的に情報を伝達することができる。
【0077】
(6)上記実施形態の検出デバイス10,20は、あくまでも一例であり、これに限定されるものではない。例えば、
図12に示すように、操作部12において、平板部12aの上面12a1に、平板部12aの直径方向に沿う形で、Z軸方向上方へ垂直に延びる形状(側面視I字形)の板部12cを形成してもよい。このような構成によれば、板部12cを有しない構成(上記実施形態の構成)と比較して、Z軸周りに作用するモーメントを検出しやすくすることができる。すなわち、この構成において、平板部12aには、Z軸に対して直交する平面(上面)12a1が形成されており、板部12cには、Z軸に対して平行な平面(側面)12c1,12c2が形成されている。つまり、平板部12aは、Z軸方向に作用する作用力を検出するのに適しており、板部12cは、Z軸周りに作用するモーメントを検出するのに適している。したがって、4自由度の作用力を精度よく検出することができる。なお、平板部12aの上面12a1が第1の平面の一例に相当し、板部12cの側面12c1,12c2が第2の平面の一例に相当する。
【0078】
一方、操作部12は、平板部12a及び軸12bを備える形状に限定されるものではなく、例えば平板部12aを有しない棒状の形状としてもよく、また、他の形状としてもよい。
【0079】
また、上記実施形態では、微小な変位を検出するための歪検出素子171e〜174hとして歪ゲージを用いているが、これに限定されるものではなく、例えば、静電容量センサを用いてもよく、また、他のセンサ(素子)を用いてもよい。
【0080】
(7)本発明の各構成要素は概念的なものであり、上記実施形態に限定されない。例えば、1つの構成要素が有する機能を複数の構成要素に分散させたり、複数の構成要素が有する機能を1つの構成要素に統合したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、同様の機能を有する公知の構成に置き換えてもよい。