(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記取付部は、前記ゴルフクラブヘッド本体の表面に形成された凹部の底面によって構成され、当該底面に前記マーカーが配置される、請求項1に記載のゴルフクラブヘッド。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係るゴルフクラブヘッド、これを用いたスイング分析システム、及びスイング計測方法の一実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0018】
本実施形態は、ゴルフクラブのスイングの分析を行うために、ゴルフクラブヘッドの位置や姿勢を算出する分析方法及びこれに用いられるゴルフクラブヘッドに関するものである。この分析方法は、光を反射する反射面を有するマーカーが固着されたゴルフクラブヘッドをカメラで撮像する工程(撮像工程)と、撮像されたマーカーに基づいてゴルフクラブヘッドの姿勢を検出する工程(計算工程)とを有する。まず、上記撮像工程及び計算工程について、簡単に説明する。
【0019】
<1.分析システムの概略構成>
図1には、撮像工程に用いられる分析システム10の全体構成図の一例が、
図2にはその正面図がそれぞれ示されている。この分析システム10は、ゴルフクラブ1のクラブヘッド(以下、単に「ヘッド」ということがある。)2が撮像される。ゴルフクラブ1のヘッド2は、それ自体では動かないが、ゴルファーMのスイングによって移動する。
【0020】
図1の実施形態では、右打ちのゴルファーMが示されている。ゴルファーMのスイングによって、ゴルフボール3は、
図1のアドレス姿勢にあるゴルファMの左向きに打ち出される。ただし、ゴルファーMは、スイングロボット等で代用されても良い。
【0021】
分析システム10は、例えば、基台12、ゴルフクラブ1のヘッド2を撮影するための第1カメラ14、ゴルフボール3を撮影するための第2カメラ16、各カメラ14、16を制御する制御装置18、及び各カメラ14、16が撮像した情報を記録する情報処理装置(算出装置)20を含んで構成されている。具体的には、制御装置18には、上述した第1カメラ14、第2カメラ16、後述する各種センサー26,27,28、ストロボ25,29及び情報処理装置20が接続されている。
【0022】
基台12は、板状であり、例えば、計測室の床面に置かれている。本実施形態の基台12には、ゴルファMが立ってアドレスする床板21が置かれている。床板21には、ゴルフボール3を置くためのティー23が設けられている。
【0023】
基台12には、上方にのびる支柱24が設けられている。支柱24の上部には、ゴルフクラブ1のヘッド2に向けて発光するストロボ25が設けられている。
【0024】
なお、説明の便宜上、
図1及び
図2に示されるように、分析システム10に、X軸、Y軸及びZ軸を有する直交座標が定義される。X軸は、地面に平行であり、かつ、打球前のボール3と目標方向とを結ぶ直線に平行である。Z軸は、鉛直方向である。Y軸は、X軸及びZにともに垂直である。
【0025】
基台12には、トリガーセンサー26が設けられている。トリガーセンサー26は、スイングをするゴルファMの前方(腹側)に設けられた投光器26aと、ゴルファMの後方(背中側)に設けられかつ投光器26aの光を受ける受光器26bとの組み合わせである。トリガーセンサー26は、ダウンスイング時のゴルフクラブ1の通過により、投光器26aからY軸方向に発せられる光が遮られるように位置合わせされている。
【0026】
基台12には、さらに第1センサー27が設けられている。第1センサー27は、スイングをするゴルファMの前方に設けられた投光器27aと、ゴルファMの後方に設けられかつ投光器27aの光を受ける受光器27bとを具えている。第1センサー27は、トリガーセンサー26よりもX軸方向において、スイング前方(打撃されたゴルフボール3の飛球方向)に設けられている。従って、ダウンスイング時、第1センサー27は、トリガーセンサー26よりもわずかに遅れてスイング中のゴルフクラブ1を検出する。
【0027】
基台12には、さらに第2センサー28が設けられている。第2センサー28も、スイングをするゴルファMの前方に設けられた投光器28aと、ゴルファMの後方に設けられかつ投光器28aの光を受ける受光器28bとを具えている。第2センサー28は、第1センサー27よりもX軸方向において、スイング前方に設けられている。従って、第2センサー28は、ダウンスイング時、第1センサー27よりもわずかに遅れてスイング中のゴルフクラブ1を検出する。
【0028】
第1カメラ14は、ゴルフクラブ1のヘッド2の上面部であるクラウン部を撮影可能なように、ゴルファMの上方に設けられている。
【0029】
第2カメラ16は、打ち出されたゴルフボール3を側方から撮影可能なように、ティー23よりゴルファMの前方、かつ、X軸方向において、スイング前方に設けられている。第2カメラ16の周囲には、ストロボ29が設けられている。
【0030】
情報処理装置20は、出力部としてのモニター、データ入力部としてのインターフェースボード、メモリ、CPU及びハードディスクを備えている。情報処理装置が、キーボード及びマウスを備えていてもよい。情報処理装置としては、汎用のコンピュータがそのまま用いられてもよい。
【0031】
ハードディスクは、プログラムを記億している。メモリは、書き換え可能とされており、ハードディスクから呼び出されたプログラムや各種データの格納領域や作業領域を構成している。CPUは、ハードディスクに記億されているプログラムを読み出し得る。CPUは、そのプログラムをメモリの作業領域に展開し得る。CPUは、そのプログラムに従って、各種の処理を実行し得る。例えば、このプログラムは、ヘッド画像に基づいて、ヘッドの位置及び姿勢を算出しうる。
【0032】
インターフェースボードには、ヘッド画像データが入力され得る。ヘッド画像データとボール画像データとこの2つの画像データの同期データとが入力されてもよい。これらの人カデータは、CPUに出力される。CPUは、各種の処理をする。この処理により、ヘッド2の姿勢及び位置が算出されうる。さらに、クラブ挙動値及びボール挙動値が算出されてもよい。これらの算出された計算値のうち、予め定められたデークがモニターに出力される。また、予め定められたデータがハードディスクに記憶される。
【0033】
<2.クラブヘッドの概要>
ここでは、分析システム10で用いられるクラブヘッド2の概要のみを説明し、詳しい説明は後述する。
図3はクラブヘッド2の正面図、
図4はその平面図をそれぞれ示している。ヘッド2は、ボールを打撃する面であるフェース2aと、このフェース2aに連なりヘッド上面部を構成するクラウン部2bとを含んでいる。
【0034】
クラブヘッド2には、マーカー30が設けられている。マーカー30は、光を反射する反射面を有しており、例えば、白色、銀色などの反射テープなどで構成することができる。ヘッド2には、マーカー30を取り付けるための複数の取付部が設けられており、各取付部にマーカーが取り付けられる。このとき、クラブヘッド2には、好ましくは1撮影フレーム内に3個以上のマーカー30が設けられているのが望ましい。マーカー30は、フェース3a以外の位置にも設けることができる。この実施形態では、4つのマーカー30a乃至30dが、ヘッド2のクラウン部2bに設けられている。
【0035】
<3.制御装置によるスイングの計測(撮像工程)>
制御装置18の作用は次の通りである。ゴルファMによってゴルフスイングが開始されると、制御装置18には、トリガーセンサー26がダウンスイング中のゴルフクラブ1の検出したこと示す検出信号が入力される。この検出信号に基づき、制御装置18は、第1カメラ14及び第2カメラ16に撮影を開始させる撮影開始信号を出力する。
【0036】
この撮影開始信号に基づき、第1カメラ14のシャッターが、所定時間(例えば1/30秒)開かれる。シャッターが開いている間、制御装置18には、第1センサー27及び第2センサー28がゴルフクラブ1のヘッド2又はシャフトを検出したことを示す検出信号が順次入力される。制御装置18は、第1センサー27からの検出信号に基づいて、ストロボ25を発光させる信号を出力する。その後、制御装置18は、第2センサー28からの検出信号に基づき、ストロボ29を発光させる信号を出力する。
【0037】
従って、シャッターが開いている間に、ストロボ25及びストロボ29が順次発光する。これにより、第1カメラ14には、第1センサー27で検出されたときのクラブヘッド2と、第センサー28で検出されたときのクラブヘッド2とが含まれる1枚の画像データを撮像しうる。従って、本実施形態では、クラブヘッド2は、1台のカメラで撮影される。また、第2カメラ29は、打撃されたボール3を撮影する。
【0038】
<4.情報処理装置によるゴルフクラブヘッドの位置及び姿勢の算出(計算工程)>
第1カメラ14及び第2カメラ16によって撮影した画像データは、情報処理装置20へと出力される。このデータを解析することで、情報提供装置20は、上述したプログラムを実行することで、クラブヘッド2の姿勢及び位置の少なくとも1つを算出する。算出されうるインパクト近傍でのデータ(以下、インパクトデータともいう)として、以下が例示される。
【0039】
[インパクトデータの例]
・ボールに対するヘッドの位置
・フェース面における打点
・ライ角
・ロフト角
・フェース角
・ヘッド軌道(ブロー角、進入角等)
上記計算工程は、例えば、次のステップa乃至dを含む。
【0040】
(a)得られたヘッド2の画像から各マーカー30を特定
(b)各マーカー30の三次元位置の算出
(c)上記三次元位置に基づき、ヘッド2の位置、姿勢等の計算
(d)計算結果の出力
但し、これらのステップに先立って、後述するカメラ定数を求めるためのキャリブレーションが行われるが、この点については後述する。以下、各ステップについて説明する。
[ステップa]
ステップaは、手動又は自動で行われる。ステップaが手動で行われる場合、ユーザーは、画像の中からマーカー30を肉眼で判別し、マーカー30の位置情報等を情報処理装置20に入力する。ステップaが自動で行われる場合、一般的には、情報処理装置20が、画像の各画素に対して、輝度情報等を利用して周知のエッジ抽出処理等を行う。これにより、画像の中からマーカー30が抽出される。
[ステップb]
ステップbでは、各マーカー30の三次元の座標が計算される。この計算方法の一例として、上で述べたDLT法が知られている。DLT法は、異なる方向から見た複数の画像を用いて特定の位置の三次元の空間座標を得る方法である。DLT法では、三次元座標が既知である点(コントロールポイント)の画像に基づき、その三次元座標が再構築される。
【0041】
図5には、実空間(Object space)にある点Pをカメラで撮影した場合において、実空間での座標(X,Y,Z)と、カメラのフィルム面上(Digitizing plane)の座標(U,V)との関係が示されている。点Oはカメラのレンズ中心点である。座標系X’Y’Z’は、点Oを原点とし、フィルム面上座標系UVとX’軸及びY’軸とが平行な座標系である。距離Lは、点Oから点PまでのZ’軸上の距離である。距離Fは、点Oから点Q(点Pの写像)までのZ’軸上の距離である。点(U,V)はZ’軸を含む直線とフィルム面との交点である。この場合、以下の説明及び式(F1)が成立する。
【0043】
上記式(F1)の11個のカメラ定数を求めるには、先ず、実空間座標(X,Y,Z)とフィルム面上座標(U,V)が既知である6点以上がカメラで撮影される。次に、各点の(X,Y,Z)と(U,V)を式(F1)に代入し、合計12個以上の方程式が設定される。そして、これらの方程式を最小二乗法によって解くことにより、11個のカメラ定数が求められる(キャリブレーション)。11個のカメラ定数が求まれば、実空間座標(X,Y,Z)が既知の点について、そのフィルム面上座標(U,V)を求めることができる。
【0044】
反対に、フィルム面上座標(U,V)から、実空間座標(X,Y,Z)を求めるには、カメラ定数が既知の2台以上のカメラを用いて同じ点を撮影し、得られた(U1,V1),(U2,V2)…を上式に代入することで4個以上の方程式を設定し、最小二乗法で(X,Y,Z)が求められる。
【0045】
上記の方法では、空間上の独立した1点の座標を求めるにはカメラが2台必要であり、1台のカメラ画像から、点の座標を求めることはできない。しかしながら、大きさのある物体に固定された複数点の座標については、各点間の位置関係(即ち、物体座標系における各点の座標)が既知であれば、その関係式が空間座標(X,Y,Z)を求めるための方程式に加わるので、複数点の座標を求めることができる。すなわち、1台のカメラ画像であっても、空間上の独立した1点の座標を求めることができる。
[ステップc]
物体座標系(クラブヘッド2の座標系)における各マーカー30の座標は、例えば、物体を三次元形状測定することで得られる。以下、物体の代表点の空間座標(X,Y,Z)と物体の姿勢(α,β,γ)とを未知数として解く場合について述べる。
【0047】
なお、上記式(F3)において、Ri(x)はRiのx成分、Ri(y)はRiのy成分、Ri(z)はRiのz成分をそれぞれ表している。
【0048】
未知数が6個でありかつ式の数が2n個である連立方程式(F3)は、ニュートンラフソン法(非線形連立方程式の解法)で解くことができる。これにより、6個の未知数、即ち、物体代表点の位置と物体の姿勢を求めることができる。なお、上記α、β及びγは、空間座標系から物体座標系への座標変換角度を示す。本実施形態では、空間座標系XYZを、そのZ軸回りにα°回転させて座標系Cs1が得られ、この座標系Cs1を、そのY軸回りにβ°回転させて座標系Cs2が得られ、この座標系Cs2を、そのX軸回りにγ°回転させて座標系Cs3が得られるとき、この座標系Cs3が、物体座標系に一致する。
【0049】
上述の2n個の連立方程式を式(F3)とする。式(F3)をニュートンラフソン法によって解く方法は、以下の通りである。
【0051】
以上の方法は、いわゆる勾配法の一例である。この勾配法は、例えば、上記特許文献3で用いられている遺伝的アルゴリズムと比較して計算が簡便である。このように、物体座標系における座標が既知である点同士の相対関係に基づいて、1つのヘッド画像から、そのヘッドの代表点の空間座標と、三次元姿勢(例えば、フェース角、ライ角など)とを算出することができる。そして、計算結果が出力される。
【0052】
ところで、上述した方法では、マーカー30が、計算の基準になるため、ヘッド2上でのマーカー30の位置が正確に特定されなければならない。特に、マーカー30は、上述したように、反射テープなどで構成されると、消耗しやすいため、取り外しが頻繁に行われる可能性がある。したがって、取り外しのたびに、マーカーの位置がずれると、計算を正確に行うことができない。そこで、本実施形態では、マーカー30の位置を一意的に決めるために、ヘッド2に取付部を設け、この取付部にマーカー30を取り付けるようにしている。以下、ヘッド2における取付部と、マーカー30について、さらに詳細に説明する。なお、本発明においては、ヘッド本体にマーカーが取付けられることで、ヘッドを構成しているが、ここでは、ヘッド本体に該当する部分を単にヘッドということがある。
【0053】
<5.ヘッドの取付部とマーカーの態様1>
図6は、態様1に係るアイアン型ゴルフクラブのヘッド2の平面図及び一部断面図である。これらの図に示すように、このヘッド2の表面には、円形の凹部201が形成されており、この凹部201の底面にマーカー30が貼り付けられる。この凹部201の底面が、マーカー30が取り付けられる取付部を構成する。マーカー30は、凹部201と同様に円形に形成され、底面が接着面として凹部201の底面に接着される。このとき、マーカー30と凹部201の底面との接着方法は、特には限定されないが、例えば、マーカー30の底面に両面テープを貼り付けて凹部201の底面と接着したり、あるいは接着剤などで貼り付けることもできる。
【0054】
マーカー30は、凹部201に確実に嵌め込まれるように、凹部201よりも小さい径であることが必要である。小さすぎれば画像上でマーカーとして識別することが困難となり、反対に大きすぎれば外観が損なわれスイングの妨げとなる。これらより、マーカー30の径D1は、例えば、3〜15mmであることが好ましく、5〜10mmであることがさらに好ましい。
【0055】
上述したように、ヘッド2におけるマーカー30の位置は、正確な計算を行うために、マーカー30を何度貼り直しても同じ位置にあるべきである。したがって、ヘッド2に凹部201を形成し、この凹部201にマーカー30を取り付けるようにすると、マーカー30の位置が常に一定となり、マーカー30がずれるのを防止することができる。また、マーカー30を凹部201に嵌めればよいため、位置決めしやすいという利点もある。但し、凹部201の中でマーカー30の位置が変わると、計算に影響を与えることから、凹部201の底面の面積と、マーカー30の接着面(底面)の面積の差ができるだけ小さいことが必要である。本願発明者は検討の結果、凹部201の底面の面積と、マーカー30の接着面の面積との差は、20mm
2以下であることが好ましく、10mm
2以下であることがさらに好ましいことを見出した。この点についてさらに詳細に説明すると、本願発明者は、計測時に本来のマーカーの位置と実際のマーカーの位置との誤差が0.4mm以下でなければ正しい計測ができないことを見出した。そして、この誤差を0.4mm以下とするためには、マーカーの貼り付けの際に生じる貼り付け誤差を小さくすることが必要であり、そのためには、凹部201の底面の面積と、マーカー30の接着面の面積との差をできるだけ小さく、上記のように設定することを見出した。なお、直径で換算すると、凹部201の底面の径D2とマーカーの直径D1との差が、1.84mm以内であることが好ましく、0.98mm以下であることがさらに好ましい。
【0056】
また、凹部201の深さは、特には限定されないが、マーカー30の厚みとの関係で決定することができる。すなわち、上述した撮像工程でマーカー30を確実に撮像するためには、凹部201の内壁面によってマーカー30の撮像が妨げられるのを防止する必要がある。したがって、上述した誤差を考慮して、マーカーの厚みY>凹部の深さX−0.4mmとすることが好ましい。
【0057】
凹部201の作成方法は、特には限定されず、種々の方法で行うことができる。例えば、
図6のようなアイアン型ゴルフクラブの場合には、機械加工により、凹部を形成することができる。また、上記説明はアイアン型ゴルフクラブであるが、ウッド型ゴルフクラブにも同様の凹部を形成することができる。この場合、機械加工により凹部を形成することもできるが、予め凹部を形成した鋳造により形成することができる。鋳造の方法も特には限定されないが、例えば、ロストワックス方などを適用することができる。
【0058】
<6.ヘッドの取付部とマーカーの態様2>
図7は、態様2に係るアイアン型ゴルフクラブのヘッド2の斜視図であり、
図7はその表面の断面図である。これらの図に示すように、このヘッド2の表面には、環状の溝部202が形成されており、この溝部202によって囲まれる円形領域203にマーカー30が貼り付けられる。円形領域203の径D3は、凹部201の底面の径と同じであり、この円形領域203がマーカー30が取り付けられる取付部を構成する。溝部202の形成方法は、特には限定されないが、凹部201と同様の方法で形成することができる。また、溝部202の深さは、マーカー30には影響を与えないため、特には限定されない。なお、ここで用いるマーカー30の構成も、上述したとおりである。
【0059】
この態様において、利用者が溝部202によって囲まれる円形領域203を視認することで、マーカー30を取り付ける際の位置決めを行うため、マーカー30の取付位置を一定とするためには、円形領域203の面積と、マーカー30の接着面(底面)の面積の差ができるだけ小さいことが必要である。すなわち、態様1と同様に、円形領域203の底面の面積と、マーカーの接着面の面積との差は、20mm
2以下であることが好ましく、10mm
2以下であることがさらに好ましい。
【0060】
<7.特徴>
以上のように、本実施形態によれば、ゴルフクラブヘッド2にマーカー30が取り付けられる取付部201、203を設けている。利用者は、取付部201、203を視認しながら、取付部201、203とマーカー30を位置合わせするように、マーカー30を取り付けるため、取付部201、203の面積とマーカー30の面積との差が小さいと、マーカー30がずれるのを防止することができる。特に、上述したように1つのカメラによる撮影に基づいて、ゴルフクラブヘッド2の位置及び姿勢の少なくとも1つが算出される解析システムでは、マーカー30のずれが解析に大きい影響を与える。この観点から、取付部201、203の面積とマーカーの面積との差は、20mm
2以下とされる。
【0061】
<8.変形例>
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。例えば、マーカー及び取付部は平面視円形に形成されているが、これを矩形状や多角形状にすることもできる。また、マーカーの平面形状と取付部の平面形状は同じまたは相似形であればよいが、厳密ではなく、マーカーが取付部に取付けられれば、これらの平面形状は特には限定されない。
【0062】
また、凹部201や円形領域203を形成する以外に、例えば、ヘッド2の表面をブラスト加工を施し、この加工領域を取付部とすることもできる。このようなブラスト加工を行うと、ヘッド2上の他の領域に比べて、取付部を視認でき、さらに、この加工領域の面積を上述した凹部などと同様にすることで、マーカー30のずれを防止することができる。その他、取付部が他の領域から視認できるのであれば、その構成は特には限定されず、例えば、着色によって取付部を形成することもできる。
【0063】
また、取付部の数及び位置は、特には限定されず、取付部の数は3以上あることが好ましい。また、取付部の位置については、クラブのフェース面のほか、カメラで撮影することが可能な位置であればよく、ゴルファーが邪魔になってカメラで撮影できないような位置は避けることが好ましい。
【実施例】
【0064】
以下、本発明の実施例について説明する。但し、本発明は、以下の実施例に限定されない。ここでは、本発明の効果を確認するために、
図6のようなアイアン型ゴルフクラブのヘッドに、マーカーを取り付けて、そのずれを確認した。すなわち、マーカーかを取付けたヘッドが、ヘッドの位置及び姿勢を算出するのに耐えうるか否かを検討した。検討の手順は以下の通りである。
【0065】
まず、以下のようなアイアン型ゴルフクラブヘッドを有するゴルフクラブを11本準備した(実施例1〜6及び比較例1〜3)。そして、各クラブのヘッドには、
図6及び
図7に示すように、マーカーを取り付けるための4つの取付部を設けた。各クラブのヘッドに取付けられるマーカーはすべて同じであり、平面視円形のテープで形成した。より詳細には、表面に銀色の反射面を形成し、底面には接着面として両面テープを貼り付けた。マーカーの直径は6.0mm、厚さは0.4mmである。一方、各クラブの取付部は、以下のように形成した。
【0066】
【表1】
【0067】
なお、各凹部の深さは、0.4mmとした。すなわち、マーカーの厚さと同じであるので、これによりマーカーの表面がクラブのフェース面とほぼ一致する。
【0068】
次に、被験者5名に、各ヘッドの取付部にマーカーを貼付してもらった。その後、マーカーが貼付されたヘッドを3次元計測し、マーカーの中心座標を求め、予め定めた位置座標、つまり取付部の中心座標との誤差(距離)の絶対値を算出した。結果は、以下の通りである。以下では、5名の被験者による誤差の平均を示している。
【0069】
【表2】
【0070】
ここで、判定について検討すると、上述した分析システムでは、撮影を行うカメラの画素数によって計測精度は異なるが、1画素当たりの撮影範囲が約0.4mm×0.4mmを超えると正確な計測ができない。この観点から、マーカーが本来貼り付けられるべき位置から、0.4mmより大きいずれが生じると、正確な計測ができないと判断した。したがって、上記判定では、誤差が0.4mm以下のものをA判定として正確な計測が行えうると判断した。一方、誤差が0.4mmより大きいものをB判定とし、正確な計測が行えないと判断した。したがって、実施例に示すように、取付部の面積とマーカーの面積との差が20mm
2より大きいと、利用者が正確なマーカーの位置決めを行うことができないことが分かった。