(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
1.実施の形態の概要
先ず、本願において開示される代表的な実施の形態について概要を説明する。代表的な実施の形態についての概要説明で括弧を付して参照する図面中の参照符号はそれが付された構成要素の概念に含まれるものを例示するに過ぎない。
【0014】
〔1〕<隣り合う表示ラインの複数個のラインバッファを用いて表示データを圧縮>
本発明の一実施の形態に係る表示制御装置(4)は、外部から表示データが供給される表示データインタフェース(21)と、前記表示データインタフェースから出力される表示ラインの表示データを一部のバッファ領域へ書き込む書込み処理と、書き込まれた複数表示ラインの表示データを他のバッファ領域から読み出す読み出し処理とが並列的に可能にされる、前記バッファ領域としての複数のラインバッファ(51〜54)と、前記ラインバッファから読み出された表示ラインデータを圧縮する圧縮部(27)と、前記圧縮部で圧縮された圧縮表示データを格納するフレームバッファメモリ(28)と、フレームバッファメモリから読み出された圧縮表示データをライン単位で読み出して複数表示ラインの表示データに伸張する伸張部(30)と、伸張された表示データを用いて表示装置の信号電極を駆動する駆動電圧を出力する駆動部(31,32)と、を有する。
【0015】
これによれば、表示データを圧縮してフレームバッファメモリに格納するだけでなく、圧縮する表示データがラインバッファに書き込まれているとき、これに並行してラインバッファから表示データを読み出して圧縮するから、外部から表示データを受け圧縮した表示データをフレームバッファメモリに書き込む処理と、フレームバッファメモリから圧縮表示データを読み出す読み出し処理とを、容易に表示タイミングに間に合わせることができるようになる。また、ラインバッファへの書き込みに並行する読み出しは複数表示ラインの表示データとされるから、圧縮及びフレームバッファメモリへの書き込みの処理、並びにフレームバッファメモリからの読み出し及び伸張の処理に時間的な余裕が生まれ、タイミングマージンが増す。
【0016】
〔2〕<4ライン分のラインバッファを2ラインづつ交互利用>
項1において、前記ラインバッファを4個備え、4個のラインバッファは、順番に表示データの書き込み対象にされ、隣り合う表示ラインの2個のラインバッファ単位で表示データの並列的な読み出し対象にされる(PS1)。
【0017】
これによれば、隣り合う表示ラインの表示データを用いたデータ圧縮を容易に行うことが可能になる。隣り合う表示ラインの表示データは画素が隣接するが故に画像圧縮のような場合に画質低下の抑制に好ましい。
【0018】
〔3〕<伸張された2ラインの一方の表示データを遅延バッファに蓄積>
項2において、前記伸張部は、伸張された2ラインの一方の表示データを駆動部に出力しているとき、他方の表示データを遅延バッファ(57)に蓄積し、前記遅延バッファに蓄積した表示データをその次に前記駆動部に出力する。
【0019】
これによれば、無駄な伸張動作を省くことができる。要するに、フレームバッファメモリからの圧縮表示データを1回読み出し、1回伸張して得た、2表示ライン分の表示データを表示タイミング上、直列的に用いて無駄にしなくて済む。
【0020】
〔4〕<ラインバッファからのデータ読み出しはデータ書込みよりも速い>
項3において、前記ラインバッファから表示データが読み出される速度は、前記表示データインタフェースから前記ラインバッファへデータが書込まれる速度よりも速くされる。
【0021】
これによれば、上記速度関係を満足すれば、書き込みと読み出し動作相互間で書き込み許可及び読み出し許可のようなハンドシェークによる制御を全く必要としない。
【0022】
〔5〕<タイミングジェネレータ>
項4において、水平走査期間毎に、その最初から所定クロックサイクル数分を第1サイクル(R)、残りを第2サイクル(W)とする。これを前提に、前記第2サイクルで前記蓄積バッファの表示データを前記駆動部に出力する(PS4)と共に、前記ラインバッファから表示データを読み出して圧縮部に供給し圧縮された圧縮表示データをフレームバッファメモリへ書き込む(PS1)処理と、書き込んだ圧縮表示データを次の第1サイクルでフレームバッファメモリから読み出してラインデータラッチ回路にラッチする(PS2)処理と、ラッチした圧縮表示データを次の第2サイクルで読み出して伸張部に供給し伸張された表示データを駆動部に出力すると共に前記蓄積バッファに書き込む(PS3)処理とをそれぞれ制御する、タイミングジェネレータ(36)を有する。
【0023】
これによれば、ラインバッファからフレームバッファメモリへの圧縮書込み及び蓄積バッファから駆動部への表示データ出力の処理と、フレームバッファメモリから圧縮表示データの読み出し及び圧縮表示データの伸張並びに伸張表示データの一方の駆動部への出力と他方の蓄積バッファへの退避の処理とを、夫々水平走査期間に同期して、交互に行うことによって、必要な表示制御をタイミング上容易に実現することができる。
【0024】
〔6〕<隣り合う表示ラインの複数個のラインバッファを用いて表示データを圧縮
本発明の別の実施の形態に係るデータ処理システム(1)は、プログラムを実行するマイクロコンピュータ(7)と、前記マイクロコンピュータから供給される表示データの表示制御を行う表示制御装置(4)と、前記表示制御装置から出力される駆動電圧に基づいて表示データを表示する表示装置(2)と、複数の駆動電極と複数の検出電極によって形成された複数の交差部を備え前記表示制御装置に重ねて配置されたタッチパネル(3)と、タッチパネルの前記駆動電極を駆動して検出電極から検出信号の検出を行なうタッチパネルコントローラ(5)と、を備える。前記表示制御装置は、外部から表示データが供給される表示データインタフェース(21)と、前記表示データインタフェースから出力される表示ラインの表示データを一部のバッファ領域へ書き込む書込み処理と、書き込まれた複数表示ラインの表示データを他のバッファ領域から読み出す読み出し処理とが並列的に可能にされる、前記バッファ領域としての複数のラインバッファ(51〜54)と、前記ラインバッファから読み出された表示ラインデータを圧縮する圧縮部(27)と、前記圧縮部で圧縮された圧縮表示データを格納するフレームバッファメモリ(28)と、フレームバッファメモリから読み出された圧縮表示データをライン単位で読み出して複数表示ラインの表示データに伸張する伸張部(30)と、伸張された表示データを用いて表示装置の信号電極を駆動する駆動電圧を出力する駆動部(31,32)と、を備える。
【0025】
これによれば、項1と同様に作用効果を奏し、更には、データ処理システムにおける表示制御の簡素化、システムコストの低減に寄与する。
【0026】
〔7〕<4ライン分のラインバッファを2ラインづつ交互利用>
項6において、前記ラインバッファを4個備え、4個のラインバッファは、順番に表示データの書き込み対象にされ、隣り合う表示ラインの2個のラインバッファ単位で表示データの並列的な読み出し対象にされる(PS1)。
【0027】
これによれば、項2と同様に作用効果を奏する。
【0028】
〔8〕<伸張された2ラインの一方の表示データを遅延バッファに蓄積>
項7において、前記伸張部は、伸張された2ラインの一方の表示データを駆動部に出力しているとき、他方の表示データを遅延バッファ(57)に蓄積し、前記遅延バッファに蓄積した表示データをその次に前記駆動部に出力する。
【0029】
これによれば、項3と同様の作用効果を奏する。
【0030】
〔9〕<ラインバッファからのデータ読み出しはデータ書込みよりも速い>
項8において、前記ラインバッファから表示データが読み出される速度は、前記表示データインタフェースから前記ラインバッファへデータが書込まれる速度よりも速くされる。
【0031】
これによれば、項4と同様の作用効果を奏する。
【0032】
〔10〕<タイミングジェネレータ>
項9において、水平走査期間毎に、その最初から所定クロックサイクル数分を第1サイクル(R)、残りを第2サイクル(W)とする。これを前提に、前記第2サイクルで前記蓄積バッファの表示データを前記駆動部に出力する(PS4)と共に、前記ラインバッファから表示データを読み出して圧縮部に供給し圧縮された圧縮表示データをフレームバッファメモリへ書き込む(PS1)処理と、書き込んだ圧縮表示データを次の第1サイクルでフレームバッファメモリから読み出してラインデータラッチ回路にラッチする(PS2)処理と、ラッチした圧縮表示データを次の第2サイクルで読み出して伸張部に供給し伸張された表示データを駆動部に出力すると共に前記蓄積バッファに書き込む(PS3)処理とをそれぞれ制御する、タイミングジェネレータを有する。
【0033】
これによれば、項5と同様の作用効果を奏する。
【0034】
〔11〕<携帯通信端末>
項6乃至10の何れかにおいて、データ処理システムは、前記マイクロコンピュータの制御を受けて高周波無線通信を行う高周波インタフェースを更に備え、携帯通信端末(1)として構成される。
【0035】
2.実施の形態の詳細
実施の形態について更に詳述する。
【0036】
≪データ処理システム≫
図1には通信携帯端末の全体的な構成が例示される。同図に示される通信携帯端末は携帯電話又はスマートフォンなどとされ、データ処理システムの一例である。
【0037】
通信携帯端末1は、表示装置としての液晶パネル(DP)2、入力装置としてのタッチパネル(TP)3、液晶コントローラドライバ(DPC)4、及びタッチパネルコントローラ(TPC)5を備える。タッチパネル3は、例えば、はマルチタッチ検出を可能にする相互容量方式のタッチパネルであって、複数の駆動電極と複数の検出電極によって形成された複数の交差部を備える。タッチパネルコントローラ5は駆動電極に順次駆動パルスを供給し、これによって検出電極から順次得られる信号に基づいて各交差部における容量結合状態の変動に応ずる検出データを得る。
【0038】
サブシステム用のマイクロプロセッサであるサブプロセッサ(SMPU)6はタッチパネル3の駆動を制御する。また、サブプロセッサ6は、タッチパネルコントローラ5が取得した検出データに対してディジタルフィルタ演算を行い、これによってノイズが除去されたデータに基づいて容量変動が生じた交差部の位置座標を演算する。要するに、交差部のどの位置で浮遊容量が変化したか、即ち、交差部のどの位置で指が近接したかを示すために、接触イベントが発生したときの位置座標を演算する。
【0039】
タッチパネル3は透過性(透光性)の電極や誘電体膜を用いて構成され、例えば液晶パネル2の表示面に重ねて配置される。
【0040】
ホストプロセッサ(HMPU)7は表示データを生成し、液晶コントローラドライバ4はホストプロセッサ7から受け取った表示データを液晶パネル2に表示するための表示制御を行う。ホストプロセッサ7は、接触イベントが発生したときの位置座標のデータをサブプロセッサ6から取得し、位置座標データと液晶コントローラドライバ4に与えて表示させた表示画像との関係から、タッチパネル3の操作による入力を解析したりする。
【0041】
ホストプロセッサ7には、高周波通信インタフェース8、画像処理ユニット9、マイクロホンやスピーカに接続される音声インタフェース10、メモリ11などが接続される。ホストプロセッサ7は高周波通信のベースバンド処理と共に、表示制御や入力制御などのアプリケーション処理を行うことによって、通信携帯端末としての制御機能を実現している。
【0042】
特に制限されるものでないが、上記液晶パネル2は、多数の表示画素がマトリックス状に配列されたドットマトリックス方式のパネルである。液晶パネル2は走査電極(ゲート線)と信号電極(ソース線)がマトリクス状に配置され、その交差部分には、TFT(Thin Film Transistor)スイッチが形成される。TFTスイッチのゲートには走査電極が接続され、ドレインには信号電極が接続される。TFTスイッチのソース側にはサブピクセルとなる液晶容量の液晶画素電極が接続され、その液晶容量の反対側の電極は共通電極になっている。信号電極には液晶コントローラドライバ4から出力される信号電圧が供給される。ゲート電極は例えばその配列順に液晶コントローラドライバ4から走査パルスが印加されて駆動される。
【0043】
液晶コントローラドライバ4は表示制御装置の一例であり、その内部動作タイミングとは非同期でホストプロセッサ7から供給される表示データを圧縮してフレームバッファメモリに書き込み、フレームバッファメモリに書き込まれた圧縮表示データを上記内部動作タイミングに同期して読み出して伸張し伸張した表示データを用いて表示タイミングに同期しながら、液晶パネル2の信号電極を駆動する制御を行う。本実施の形態では説明を省略するが、液晶コントローラドライバ4は、ワンセグTVやテレビ電話画像のように表示タイミングと共に供給された表示データを液晶パネル2に表示するビデオ表示モードによる表示制御をおこなってもよい。
【0044】
前記音声インタフェース10、ホストプロセッサ7、画像処理ユニット9、メモリ11、高周波通信インタフェース8、及びサブプロセッサはシステムオンチップの1チップの半導体装置として或いは複数チップから成る半導体装置として構成することが可能である。
【0045】
以下、液晶コントローラドライバ4による表示データの圧縮・伸張を伴う表示制御について詳述する。
【0046】
≪液晶コントローラドライバ≫
図2には液晶コントローラドライバ4の構成が例示される。ここでは液晶コントローラドライバ4は、ドットマトリックス型の液晶表示パネル2を駆動する。液晶コントローラドライバ4は、ドットマトリックス型の液晶表示パネルに表示する表示データをビットマップ方式で記憶するフレームバッファメモリ(FBMRY)28を有する。フレームバッファメモリ28は例えばSRAMによって構成される。
【0047】
液晶コントローラドライバ4は、外部のホストプロセッサ7からの指令に基づいて内部を制御するための制御部としてコマンドレジスタ(CMDR)22及びシーケンサとしてのパラメータレジスタ(PRMR)23を備える。また、外部からの発振信号もしくは外部端子に接続された振動子からの発振信号に基づいて基準クロックパルスを生成するパルスジェネレータ(CPG)38、このクロックパルスに基づいてチップ内部の種々の回路の動作タイミングを与えるためのタイミング信号を発生するタイミング発生回路(TG)36を備える。前記ホストプロセッサ7はコマンドデータバスCDBUSを介してコマンドデータインタフェース(CDIF)20に接続され、また、表示バスDSPBUSを介して表示インタフェース(DSPIF)21に接続される。コマンドデータインタフェース20は、ホストプロセッサ7からコマンドデータ及びその他の制御データを受け取る。
【0048】
表示インタフェース21はホストプロセッサから表示データを受け取る。例えば表示データは1画素がRGB夫々8ビットの計24ビットのデータとされる。受け取った表示データは複数のラインバッファを有するライトデータバッファ(WDB)26に一時的に格納され、格納された表示データは圧縮部(CMP)27で圧縮されてフレームバッファメモリ28に格納される。フレームバッファメモリ28への書き込みアドレスはパラメータレジスタ23から出力される制御データに従ってアドレスカウンタ(ADRCOUNT)25が生成する。
【0049】
フレームメモリ
28に書き込まれた圧縮表示データは表示ライン単位でラインラッチ回路(LNLT)29に読み出される。読み出しアドレスは同じくアドレスカウンタ25で生成される。ラ
インラッチ回路29にラッチされた圧縮表示データは伸張部30で伸張され、伸張された表示データは表示タイミングに同期してソースラッチ(SRLT)31にラッチされ、ラッチされた表示データに基づいて信号電極駆動回路(SDRV)32が階調電圧発生回路(GSVG)34で生成された階調電圧を選択して、液晶パネル2の信号電極に信号電圧S1〜Smを出力する。選択される階調電圧は液晶パネルのγ特性を補正するためのγ調整回路で補正されている。
【0050】
走査電極駆動回路(GDRV)35は液晶パネル2の走査電極に、液晶駆動レベル発生回路(LCDDLG)37で生成された走査電圧G1〜Giを順次印加して、走査駆動する。液晶駆動レベル発生回路37は複数の電源電圧PWRに基づいて駆動レベルを生成する。
【0051】
パラメータレジスタ23は、特に制限されないが、液晶コントローラドライバ4の動作を制御するための多数の制御情報が格納される記憶回路によって構成される。コマンドレジスタ22はパラメータレジスタ23から制御情報を参照するためのインデックス情報が書き込まれるレジスタであり、ホストプロセッサ7によりコマンドレジスタ22にセットされたインデックス情報に基づいてパラメータレジスタ23から制御情報が読み出される。インデックス情報はモードデータやコマンドデータとして位置付けられる。インデックス情報で参照される制御情報は、アドレスカウンタ25にセットされる初期値、タイミング発生回路36への起動イネーブル信号などとされる。タイミング発生回路36は与えられる起動イネーブル信号にしたがって表示制御などに必要な内部制御信号を液晶コントローラドライバ4の各部に供給する。
【0052】
これにより、液晶コントローラドライバ4は、ホストプロセッサ7が表示インタフェース21に供給した表示データをライトデーバッファ26に取り込んで圧縮し、フレームバッファメモリ28に順次書き込み、書き込んだデータを伸張して表示させる表示制御を、表示タイミングに同期して実行していく。以下、液晶コントローラドライバ4の内部クロックに非同期でホストプロセッサ7から入力した表示データをバッファ51〜54経由で圧縮して表示フレームに展開しながら内部クロックに同期して信号電極を駆動する表示制御動作につて詳述する。
【0053】
≪表示データをバッファ経由で圧縮する表示制御動作≫
図3には液晶ドライバコントローラ4の表示インタフェース21からソースラッチ31に至る表示データの処理経路の詳細が例示される。
【0054】
表示インタフェース21には、ホストプロセッサ7の動作クロックに同期して例えば1画素がRGB夫々8ビットの計24ビット単位で表示データが入力される。入力された表示データはライトデータバッファ256に供給される。
【0055】
ライトデータバッファ26は、例えばセレクタ50と4本のライトラインバッファ(WLM1〜WLM4)51〜54を有する。説明の便宜上、ライトラインバッファ51〜54をライトラインバッファWLM1〜WLM4とも表記する。セレクタ50はフレームバッファメモリ28の表示ラインの画素数毎(この例では24×1表示ラインの画素数に応ずるベータビット数毎)に表示データを書き込むライトラインバッファ51〜54を切り替えていく。ライトラインバッファ(WLM1〜WLM4)51〜54にはセレクタ50から入力された表示データが水平走査期間ごとに、書き込まれる。個々のデータの書き込みタイミングはホストプロセッサ7による水平走査期間ごとの表示データの供給タイミングに同期される。すなわち、ある水平走査期間においてライトラインバッファWLM1に1表示ラインの画素数に応ずる表示データが順次書き込みされ、これが完了されると、次の水平走査期間においてライトラインバッファWLM2に1表示ラインの画素数に応ずる次の表示データが順次書き込みされ、以下同様に、ライトラインバッファが順次切り替えられて表示データが書き込まれる。セレクタ50の選択制御や書き込み制御はタイミング発生回路36が行う。
【0056】
圧縮部27はセレクタ55と圧縮回路56を有する。セレクタ55は、ライトラインバッファWLM1、WLM2にそれぞれ1表示ライン分の表示データが格納されたとき、当該格納された表示データをライトラインバッファWLM1、WLM2から並列的に入力して圧縮回路56に与える。ライトラインバッファWLM1、WLM2から並列的に表示データが出力されているときでも他のライトラインバッファWLM3、WLM4への表示データの書き込みは継続される。同様にライトラインバッファWLM3、WLM4にそれぞれ1表示ライン分の表示データが格納されたときは、当該格納された表示データがライトラインバッファWLM3、WLM4から並列的に圧縮回路56に供給される。ライトラインバッファWLM3、WLM4から並列的に表示データが出力されているときでも他のライトラインバッファWLM1、WLM2への表示データの書き込みは継続される。圧縮回路56は並列的に入力された2表示ライン分の表示データを所定の圧縮アルゴリズムにしたがってデータ圧縮を行い、圧縮した表示データをフレームバッファメモリ28に書き込んでいく。例えば
図4のように、先ず(A)のように、偶数ラインアドレスにおける表示ラインの表示データをライトラインバッファWLM1に書き込み、次に(B)のように、奇数ラインアドレスにおける表示ラインの表示データをライトラインバッファWLM2に書き込み、そして(C)のように、ライトラインバッファWLM1、WLM2の表示データのそれぞれ4ピクセル単位で、合計8ピクセルのデータ(3×8×4ビット+3×8×4ビット=192ビット)を1/3の64ビットづつに圧縮する。2表示ラインのデータ毎に圧縮された圧縮表示データは2表示ラインに対応して1ラインのフレームバッファラインに書き込まれていく。図のD1,D2,D3,D4の夫々はライトラインバッファWLM1に格納された24ビットの画素データ、P1,P2,P3,P4の夫々はライトラインバッファWLM2に格納された24ビットの画素データを意味する。
【0057】
伸張部30は、伸張回路(TRRD)58、遅延バッファとしてのリードラインバッファ(RLM)57、及びセレクタ59を有する。伸張回路58は、フレームバッファメモリ28からライン単位でラインラッチ29に読み出された圧縮表示データを入力して、64ビット毎に2表示ラインの夫々の表示ラインにおける4画素96ビットづつのデータに伸張していく。伸張された偶数表示ラインの表示データはセレクタ59で選択されてソースラッチ31にラッチされ、先に信号電極の駆動電圧に変換される。伸張された奇数表示ラインの表示データはリードラインバッファ57に転送されてラッチされる。リードラインバッファ57にラッチされた表示データは、圧縮回路56で圧縮された圧縮表示データがフレームバッファメモリ28に書き込まれるのと並行してソースラッチ31にラッチされ、信号電極の駆動電圧に変換される。
【0058】
圧縮・伸張アルゴリズムは、特に制限されないが、画像符号やその他のアルゴリズムを用いることができる。ここでは例えば、隣接する縦と横の画素データの関係性を見て表示データ圧縮してデータを1/3に圧縮する方法を採用する。
【0059】
このように、
図3の矢印PS1で示されるように、ライトラインバッファ(51〜54)から読み出された表示データが圧縮回路56で圧縮されてフレームバッファメモリ28に書き込まれる処理にと、矢印PS4で示されるように、
リードラインバッファ57にラッチされた表示データがソースラッチ31に転送されて信号電極の駆動電圧に変換される処理とは、水平走査期間毎に並列的に行われる。また、矢印PS2で示されるように、フレームバッファメモリ28から圧縮表示データが読み出されてラインラッチ29に書き込まれる処理と、矢印PS3で示されるように、ラインラッチ29から出力された圧縮表示データを伸張して一方の表示データをソースレジスタ31に転送して表示させ他方の表示データをリードラインバッファ57に退避させる処理は、水平走査期間毎に直列的に行われる。
図3における表示データのバッファ書込み処理HSはホストプロセッサ7からの書き込みに応答する表示インタフェース21の動作クロック(DSICK)に同期して行われる。
図3のPS1〜PS4の処理は液晶コントローラドライバ4の表示制御用の内部クロック(OSCCK)に同期して行われる。双方の処理は非同期である。
【0060】
図5には表示データの入力系動作タイミングと表示系動作タイミングとが対比して例示される。双方の動作タイミングは上述の如く非同期である。ホストプロセッサ7は表示データを逐次表示インタフェース21に供給する。1表示ライン分(すなわち1水平走査期間(1H)分)の表示データをData1、Date2、Date3、…として図示してあり、そのデータ数は」1080RGB〜720RGBの規定値である。Wは書き込み動作を意味し、Rは読み出し動作を意味する。set1_StateはライトラインバッファWLM1,WLM2に対する処理、set2_StateはライトラインバッファWLM3,WLM4に対する処理を意味する。
【0061】
ライトラインバッファに対する表示データの書き込みはライトラインバッファ単位で1個づつ順番に行われる。ライトラインバッファに対する表示データの読み出しは2個のライトラインバッファを単位に行われ、書き込みに並行して行われる。
【0062】
表示系動作タイミングに示されたPS1〜PS4は
図3のPS1〜PS4に対応される。PS1において、Data1,2は表示データData1、Data2を圧縮してフレームバッファメモリ28に格納された圧縮表示データを意味する。PS2において、c,dはフレームバッファメモリ28から読み出されてラインラッチ29にラッチされた圧縮表示データを意味し、実際には圧縮表示データData1,2に対応されている。cは表示データData1に対応され、dは表示データDate2に対応される。PS3において、NL(c)はソースラッチ
31にラッチされた一方の伸張表示データ(表示データData1に対応)を意味し、リードラインバッファ57のデータdは退避された他方の伸張表示データ(表示データData2に対応)を意味する。その他のデータのサフィックス3,4、…及びe,f,gも上記同様に対応される。
【0063】
図5から明らかなように、表示系動作において、水平走査期間(1H期間)毎に、その最初から所定クロックサイクル数分を第1サイクル(リードサイクルR)、残りを第2サイクル(ライトサイクルW)としている。これを前提に、前記第2サイクル(ライトサイクルW)で前記リードラインバッファ57の表示データをソースラッチ
31に出力する(PS4)と共に、前記ライトラインバッファから表示データを読み出して圧縮部56に供給し圧縮された圧縮表示データをフレームバッファ28へ書き込む(PS1)処理と、書き込んだ圧縮表示データを次の第1サイクル(リードサイクルR)でフレームバッファメモリ28から読み出してラインデータラッチ29にラッチする(PS2)処理と、ラッチした圧縮表示データを次の第2サイクル(ライトサイクルW)で読み出して伸張部
30に供給し伸張された表示データをソースラッチ
31に出力すると共に前記リードラインバッファ
57に書き込む処理(PS3)とが夫々行われ、その制御はタイミング発生回路36によって行われる。
【0064】
上記実施の形態によれば以下の作用効果を得る。
【0065】
(1)表示データを圧縮してフレームバッファメモリ28に格納するだけでなく、圧縮する表示データがライトラインバッファに書き込まれているとき、これに並行してライトラインバッファから表示データを読み出して圧縮するから、外部から表示データを受け圧縮した表示データをフレームバッファメモリ28に書き込む処理と、フレームバッファメモリ28から圧縮表示データを読み出す読み出し処理とを、容易に表示タイミングに間に合わせることができるようになる。また、一つのライトラインバッファへの書き込みに並行する読み出しは複数表示ラインの表示データ(即ち複数個のライトラインバッファが保持する複数の表示データ)とされるから、圧縮及びフレームバッファメモリ28への書き込みの処理、並びにフレームバッファメモリ28からの読み出し及び伸張の処理に時間的な余裕が生まれ、タイミングマージンが増す。更には、通信携帯端末1における表示制御の簡素化、システムコストの低減に寄与する。
【0066】
(2)4ライン分のライトラインバッファを2ラインづつ交互利用するから、隣り合う表示ラインの表示データを用いたデータ圧縮を容易に行うことが可能になる。隣り合う表示ラインの表示データは画素が隣接するが故に画像圧縮のような場合に画質低下の抑制に好ましい。
【0067】
(3)前記伸張部30は、伸張された2ラインの一方の表示データをソースラッチ59に出力しているとき、他方の表示データをリードラインバッファ57に蓄積し、前記リードラインバッファ57に蓄積した表示データをその次に前記ソースラッチ59に出力するから、無駄な伸張動作を省くことができる。要するに、フレームバッファメモリ28からの圧縮表示データを1回読み出し、1回伸張して得た、2表示ライン分の表示データを表示タイミング上、直列的に用いて無駄にしなくて済む。
【0068】
(4)前記ラインバッファ51〜54から表示データが読み出される速度(
図5のリードサイクルRの動作速度)は、前記表示データインタフェース21から前記ラインバッファ51〜54へデータが書込まれる速度(
図5のライトサイクルWの速度)よりも速くされるから、書き込みと読み出し動作相互間で書き込み許可及び読み出し許可のようなハンドシェークによる制御を全く必要としない。
【0069】
(5)ライトラインバッファ51〜54からフレームバッファメモリ28への圧縮書込み及びリードラインバッファ57からソースラッチ59への表示データ出力の処理と、フレームバッファメモリ28から圧縮表示データの読み出し及び圧縮表示データの伸張、並びに伸張表示データの一方のデータに対するソースラッチへの出力と他方のデータに対するリードラインバッファ57への退避の処理とを、夫々水平走査期間に同期して、交互に行うことによって、必要な表示制御をタイミング的に容易に実現することができる。
【0070】
本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能であることは言うまでもない。圧縮・伸張アルゴリズムについては一切限定されず適宜のアルゴリズムを採用すればよい。ライトラインバッファの数は4個に限定されず2個以上であればよい。但し、上記実施の形態のように4個以上あれば、
図5に示されるように、1ラインづつライトラインバッファに表示ラインデータを書き込んでいくとき、読み出しを複数のライトラインバッファから並列的に行う事ができ、それによって圧縮、フレームバッファアクセス、及び伸張処理に比較的大きな動作マージンを確保することが容易になる。本発明は携帯電話やスマートフォンなどの通信携帯端末に適用する場合に限定されず、比較的大きなデータ処理パッド、パーソナルコンピュータなどのデータ処理システムにも広く適用することができる。また、本発明の表示制御装置はタッチパネルを備えたデータ処理システム以外のシステムにも適用可能である。