(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0011】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る半導体装置SM1を示す平面図である。
図2は、
図1に示す半導体装置SM1を示す断面図である。
図2(a)は、
図1におけるA−A'断面を示している。
図2(b)は、
図1におけるB−B'断面を示している。
本実施形態に係る半導体装置SM1は、半導体基板SB1と、ドレイン領域と、ベース領域BR1と、ソース領域と、外周ウェル領域OW1と、埋込電極BE1と、ゲート電極GE1と、ゲート配線GL1と、接地電極GR1と、を備えている。
【0012】
ドレイン領域は、半導体基板SB1の裏面側に設けられている。また、ドレイン領域は、第1導電型を有する。ベース領域BR1は、ドレイン領域上に設けられている。また、ベース領域BR1は、第1導電型とは異なる第2導電型を有する。ソース領域は、ベース領域BR1内に複数設けられている。また、ソース領域は、第1導電型を有する。外周ウェル領域OW1は、ベース領域BR1の外周端を覆うように半導体基板SB1に設けられている。また、外周ウェル領域OW1は、第2導電型を有しており、かつベース領域BR1よりも薄い不純物濃度を有する。
【0013】
埋込電極BE1は、平面視で外周ウェル領域OW1よりもベース領域BR1の内側に位置している。また、埋込電極BE1は、外周ウェル領域OW1と重ならないよう、半導体基板SB1の表面側に埋め込まれている。ゲート電極GE1は、平面視で埋込電極BE1よりもベース領域BR1の内側に位置する。また、ゲート電極GE1は、埋込電極BE1に電気的に接続されている。さらに、ゲート電極GE1は、ソース領域に隣接するよう、半導体基板SB1の表面側に複数埋め込まれている。ゲート配線GL1は、平面視で外周ウェル領域OW1の一部と重なるよう半導体基板SB1の表面上に設けられている。また、ゲート配線GL1は、コンタクトプラグCP1を介して埋込電極BE1と接続する。接地電極GR1は、半導体基板SB1の表面上に設けられている。また、接地電極GR1は、コンタクトプラグCP2を介して外周ウェル領域OW1のうち平面視でゲート配線GL1と重ならない部分と接続する。
本実施形態において、第1導電型とは、N型の導電型を指す。また、第2導電型とは、P型の導電型を指す。なお、半導体装置SM1に含まれる各構成について、本実施形態と反対の導電型を有するものとしてもよい。
【0014】
トランジスタを安定的に動作させるためには、外周ウェル領域に定電圧を与えることが好ましい。しかしながら、ベース領域の外周端は、ゲート配線と接続される埋込電極によって、接地電位が与えられている内側の領域と分離される。このため、外周ウェル領域は、埋込電極下の領域を覆ってベース領域の内側へ接続されるように設けられる場合がある。
この場合、埋込電極の下端における等電位線の歪みにより、外周ウェル領域のうち埋込電極下に位置する部分において耐圧が低下してしまうおそれがある。このため、ベース領域と半導体基板との接合部において耐圧を決定することが困難となる。
【0015】
本実施形態によれば、ベース領域BR1の外周端を覆う外周ウェル領域OW1は、埋込電極BE1と重ならないように設けられる。このため、埋込電極BE1の下端における等電位線の歪みに起因して外周ウェル領域OW1における耐圧が低下してしまうこと、を抑制できる。すなわち、外周ウェル領域OW1と半導体基板SB1とのPN接合部における耐圧を向上させることができる。これにより、ベース領域BR1と半導体基板SB1とのPN接合部において耐圧が決定すること可能となる。したがって、半導体装置SM1の設計を容易とすることができる。
また、外周ウェル領域OW1は、接地電極GR1と接続されている。このため、外周ウェル領域OW1に対し接地電位が与えられることとなる。これにより、トランジスタMT1を安定的に動作させることが可能となる。
このように、本実施形態によれば、設計が容易であり、かつ安定的な動作を実現することが可能な半導体装置を得ることができる。
【0016】
以下、本実施形態に係る半導体装置SM1の構成、および半導体装置SM1の製造方法について、詳細に説明する。
【0017】
まず、半導体装置SM1の構成について説明する。
半導体装置SM1は、半導体基板SB1に設けられたトランジスタMT1を備えている。トランジスタMT1は、縦型トランジスタであり、たとえばパワーMOSFETとして機能する。トランジスタMT1を有する半導体装置SM1は、たとえばIPD(Intelligent Power Device)であり、トランジスタMT1の他に制御回路を有している。半導体装置SM1は、たとえば自動車電装用IPDとして用いられる。
【0018】
半導体基板SB1は、たとえばシリコン基板である。本実施形態において、半導体基板SB1は、たとえばバルクのシリコン基板であるN型基板NS1と、N型基板NS1上に設けられたN型エピタキシャル層NE1と、により構成される。N型基板NS1およびN型エピタキシャル層NE1は、N型の導電型を有する。N型エピタキシャル層NE1は、たとえばN型基板NS1上にエピタキシャル成長法により形成される。なお、本実施形態においては、半導体基板SB1の裏面側にN型基板NS1が、半導体基板SB1の表面側にN型エピタキシャル層NE1が、それぞれ位置するものとする。
N型基板NS1は、たとえばN型エピタキシャル層NE1よりも不純物濃度が濃い。これにより、N型基板NS1を、トランジスタMT1のドレイン領域として機能させることができる。
【0019】
半導体基板SB1の表面側には、ベース領域BR1が設けられている。ベース領域BR1は、P型の導電型を有する。また、ベース領域BR1は、ドレイン領域として機能するN型基板NS1の上方に位置するよう、N型エピタキシャル層NE1内に設けられる。すなわち、ベース領域BR1は、N型基板NS1により構成されるドレイン領域上に設けられることとなる。なお、ベース領域BR1は、たとえばN型基板NS1と離間するように設けられる。
【0020】
ベース領域BR1内には、複数のN型領域NW1が設けられている。複数のN型領域NW1は、互いに離間するようにベース領域BR1内に配置される。また、複数のN型領域NW1は、N型の導電型を有する。N型領域NW1は、たとえばゲート電極GE1と隣接するように設けられる。このため、本実施形態において、N型領域NW1は、たとえばトランジスタMT1のソース領域として機能する。
ベース領域BR1内には、複数のP型領域PW1が設けられている。P型領域PW1は、P型の導電型を有する。P型領域PW1は、たとえばベース領域BR1よりも不純物濃度が濃い。また、ベース領域BR1と接続するコンタクトプラグCP3は、P型領域PW1を介してベース領域BR1に接続される。このため、ベース領域BR1とコンタクトプラグCP3とのコンタクト抵抗を低減することが可能となる。
【0021】
半導体基板SB1には、外周ウェル領域OW1が設けられている。外周ウェル領域OW1は、ベース領域BR1の外周端を覆うように半導体基板SB1の表面側に設けられる。外周ウェル領域OW1は、P型の導電型を有する。また、外周ウェル領域OW1は、ベース領域BR1よりも薄い不純物濃度を有する。
外周ウェル領域OW1は、ベース領域BR1の全周において、ベース領域BR1の外周端を覆うように設けられる。すなわち、ベース領域BR1は、外周ウェル領域OW1によって囲まれることとなる。このため、本実施形態において、外周ウェル領域OW1は、内側にベース領域BR1を有する枠状となるように形成される。このとき、半導体基板SB1のうちトランジスタMT1が設けられる素子形成領域が、外周ウェル領域OW1によって囲まれることとなる。
【0022】
ベース領域BR1をチャネルとして有するトランジスタMT1においては、設計を容易とする観点から、ベース領域BR1のうちトランジスタMT1を構成する部分と、半導体基板SB1と、のPN接合部において耐圧が決定されることが好ましい。なお、本実施形態において、ベース領域BR1のうちトランジスタMT1を構成する部分とは、ベース領域BR1のうちゲート電極GE1により挟まれた領域である。
本実施形態によれば、ベース領域BR1の外周端を覆うように、ベース領域BR1よりも不純物濃度が薄い外周ウェル領域OW1が設けられる。これにより、ベース領域BR1の外周端における耐圧を向上させることができる。すなわち、ベース領域BR1のうちトランジスタMT1を構成しない部分と、半導体基板SB1と、のPN接合部においてトランジスタMT1の耐圧が決定されてしまうことを抑制することができる。このため、ベース領域BR1のうちトランジスタMT1を構成する部分と、半導体基板SB1と、のPN接合部においてトランジスタMT1の耐圧を決定することが容易となる。これにより、半導体装置SM1の設計を容易とすることが可能となる。
【0023】
外周ウェル領域OW1は、たとえばベース領域BR1よりも深く形成される。本実施形態においては、たとえば外周ウェル領域OW1の不純物濃度のピーク位置がベース領域BR1の不純物濃度のピーク位置よりも深くなるように、外周ウェル領域OW1が形成される。この場合、外周ウェル領域OW1は、ベース領域BR1の端面を全て覆うように設けることとなる。これにより、ベース領域BR1の外周端における耐圧を十分に向上させることが可能となる。
なお、外周ウェル領域OW1の深さは、適宜調整することが可能である。外周ウェル領域OW1の下端が埋込電極BE1の下端よりも浅くなるよう、外周ウェル領域OW1を形成することもできる。なお、外周ウェル領域OW1の下端とは、外周ウェル領域OW1を構成するP型の不純物濃度と、N型エピタキシャル層NE1を構成するN型の不純物濃度と、が互いに等しい部分をさす。
【0024】
半導体基板SB1の表面側には、埋込電極BE1が埋め込まれている。埋込電極BE1は、平面視で外周ウェル領域OW1よりもベース領域BR1の内側に位置している。また、埋込電極BE1は、外周ウェル領域OW1と重ならないように設けられる。
本実施形態において、埋込電極BE1は、半導体基板SB1に設けられたトレンチTR1を埋め込むように設けられる。また、埋込電極BE1の側面および底面は、絶縁膜IL1によって覆われている。これにより、埋込電極BE1は、半導体基板SB1と電気的に分離することとなる。絶縁膜IL1は、トレンチTR1の内壁を覆うように設けられる。
【0025】
本実施形態によれば、埋込電極BE1は、外周ウェル領域OW1と重ならないように設けられる。この場合、埋込電極BE1の下端において発生する等電位線の歪みに起因して外周ウェル領域OW1の耐圧が低下してしまう、という問題が発生しない。このため、外周ウェル領域OW1の耐圧を向上させることができる。
また、本実施形態によれば、外周ウェル領域OW1における耐圧を向上できる。このため、ドレイン領域であるN型基板NS1とベース領域BR1との距離を短くした場合であっても、外周ウェル領域OW1と半導体基板SB1とのPN接合部において耐圧が決定されてしまうことを回避できる。このため、トランジスタMT1におけるオン抵抗を低減することも可能となる。
【0026】
図6は、
図1に示す半導体装置SM1を示す平面図である。
図6においては、埋込電極BE1、ゲート電極GE1、半導体基板SB1、および外周ウェル領域OW1の全体が示されている。なお、
図6中における破線は、外周ウェル領域OW1の内縁を示している。
本実施形態において、埋込電極BE1は、たとえば枠状に設けられた外周ウェル領域OW1の内側に、外周ウェル領域OW1と離間して設けられる。このため、埋込電極BE1は、外周ウェル領域OW1と重ならないように配置されることとなる。埋込電極BE1は、たとえば全ての領域において外周ウェル領域OW1と重ならないように配置される。
また、埋込電極BE1は、たとえば半導体基板SB1のうちトランジスタMT1が設けられる素子形成領域を囲む枠状となるように形成される。このため、枠状に設けられた埋込電極BE1の内側にはゲート電極GE1や、ソース領域を構成するN型領域NW1が位置することとなる。
また、埋込電極BE1は、たとえば埋込電極BE1の下端がベース領域BR1の下端よりも深くなるように設けられる。この場合、ベース領域BR1の外周端は、たとえば埋込電極BE1によってベース領域BR1の他の領域から分離されることとなる。なお、ベース領域BR1の下端とは、ベース領域BR1を構成するP型の不純物濃度と、N型エピタキシャル層NE1を構成するN型の不純物濃度と、が互いに等しい部分をさす。
【0027】
本実施形態において、埋込電極BE1は、たとえばゲート電極GE1よりも幅が広い。この幅とは、埋込電極BE1およびゲート電極GE1のそれぞれについて、延伸方向に対して垂直な方向における幅をさす。これにより、コンタクトプラグCP1に位置ずれが生じた場合であっても、コンタクトプラグCP1と埋込電極BE1とを確実に接続させることが可能となる。
【0028】
また、半導体基板SB1に形成されるトレンチについては、その幅が広い程、深さが深くなる傾向がある。このため、本実施形態においては、埋込電極BE1を埋め込むトレンチTR1の深さは、ゲート電極GE1を埋め込むトレンチTR2の深さよりも深くなる。すなわち、埋込電極BE1の下端は、ゲート電極GE1の下端よりも半導体基板SB1の裏面側に位置することとなる。
本実施形態においては、外周ウェル領域OW1は、埋込電極BE1と重ならないように設けられる。このため、埋込電極BE1が深いことに起因して外周ウェル領域OW1における耐圧が低下してしまう、という問題が生じることがない。したがって、外周ウェル領域OW1と半導体基板SB1とのPN接合部における耐圧の低下を抑制しつつ、埋込電極BE1とコンタクトプラグCP1との接続を確実なものとすることができる。
【0029】
半導体基板SB1の表面側には、複数のゲート電極GE1が埋め込まれている。複数のゲート電極GE1は、平面視で埋込電極BE1よりもベース領域BR1の内側に位置する。また、複数のゲート電極GE1は、それぞれがソース領域であるN型領域NW1と隣接するように設けられている。
本実施形態において、ゲート電極GE1は、半導体基板SB1に設けられたトレンチTR2を埋め込むように設けられる。また、ゲート電極GE1の側面および底面は、ゲート絶縁膜GI1によって覆われている。これにより、ゲート電極GE1は、半導体基板SB1と電気的に分離することとなる。ゲート絶縁膜GI1は、トレンチTR2の内壁を覆うように設けられる。
【0030】
本実施形態において、ゲート電極GE1は、たとえば枠状に設けられた埋込電極BE1の内側に位置するように形成される。また、ゲート電極GE1は、たとえば埋込電極BE1と接続するように設けられる。このため、ゲート電極GE1は、たとえば埋込電極BE1、および埋込電極BE1上に設けられたコンタクトプラグCP1を介して、外部端子と接続することとなる。
複数のゲート電極GE1は、たとえば互いに平行に配置される。また、各ゲート電極GE1は、それぞれの端部が埋込電極BE1と接続されるように形成される。本実施形態においては、たとえばゲート電極GE1の両端部が、枠状に設けられた埋込電極BE1のうちの互いに対向する2辺にそれぞれ接続するよう、各ゲート電極GE1が設けられる。
【0031】
N型領域NW1は、たとえば互いに平行に配置される複数のゲート電極GE1それぞれの側部に設けられる。本実施形態において、N型領域NW1は、たとえば二つの隣接するゲート電極GE1に挟まれる領域において、それぞれの側部に設けられる。このとき、たとえば二つの隣接するゲート電極GE1に挟まれる領域において、それぞれの側部に設けられたN型領域NW1に挟まれるようにP型領域PW1が設けられる。
【0032】
半導体基板SB1には、たとえば素子分離膜EI1が設けられている。トランジスタMT1は、たとえば素子分離膜EI1により他の素子から分離される。
素子分離膜EI1は、たとえばLOCOS(Local Oxidation of Silicon)膜である。素子分離膜EI1の少なくとも一部は、たとえば外周ウェル領域OW1の外縁と重なるように設けられる。
半導体基板SB1上には、たとえば層間絶縁膜II1が設けられている。層間絶縁膜II1は、ベース領域BR1、外周ウェル領域OW1、ゲート電極GE1および埋込電極BE1を覆うように半導体基板SB1上に設けられる。
【0033】
層間絶縁膜II1内には、たとえばコンタクトプラグCP1、コンタクトプラグCP2およびコンタクトプラグCP3が埋め込まれている。コンタクトプラグCP1、コンタクトプラグCP2およびコンタクトプラグCP3は、たとえばWにより構成される。
コンタクトプラグCP1は、たとえば埋込電極BE1に接続されるように層間絶縁膜II1を貫通して設けられる。また、層間絶縁膜II1には、複数のコンタクトプラグCP1が埋め込まれる。本実施形態において、複数のコンタクトプラグCP1は、たとえば枠状に設けられた埋込電極BE1に沿って、互いに等間隔に配置される。なお、枠状に設けられた埋込電極BE1のうちゲート電極GE1と接続する辺と、これに隣接する辺と、においてコンタクトプラグCP1が設けられる間隔が互いに異なっていてもよい。
コンタクトプラグCP2は、たとえば外周ウェル領域OW1に接続されるように層間絶縁膜II1を貫通して設けられる。本実施形態において、コンタクトプラグCP2は、たとえばベース領域BR1のうち埋込電極BE1の外側に位置する部分上に形成される。この場合、コンタクトプラグCP2は、ベース領域BR1のうち埋込電極BE1の外側に位置する部分を介して外周ウェル領域OW1に接続されることとなる。また、層間絶縁膜II1には、複数のコンタクトプラグCP2が設けられる。複数のコンタクトプラグCP2は、たとえば枠状に設けられた外周ウェル領域OW1に沿って互いに等間隔に配置される。
コンタクトプラグCP3は、たとえばベース領域BR1上に層間絶縁膜II1を貫通して設けられる。本実施形態において、コンタクトプラグCP3は、たとえばベース領域BR1のうち埋込電極BE1の内側に位置する部分上に形成される。また、層間絶縁膜II1には、複数のコンタクトプラグCP3が設けられる。複数のコンタクトプラグCP3のうち一部は、ベース領域BR1内に設けられたN型領域NW1に接続するように設けられる。また、複数のコンタクトプラグCP3のうち他は、ベース領域BR1内に設けられたP型領域PW1に接続するように設けられる。
【0034】
半導体基板SB1の表面上には、ゲート配線GL1が設けられている。ゲート配線GL1は、平面視で外周ウェル領域OW1の一部と重なるように設けられる。また、コンタクトプラグCP1を介して埋込電極BE1と接続する。本実施形態において、ゲート配線GL1は、層間絶縁膜II1上に設けられる。また、ゲート配線GL1は、たとえばAlにより構成される。
ゲート配線GL1は、上述のように外周ウェル領域OW1の一部と重なるように設けられる。このため、ゲート配線GL1は、たとえば外周ウェル領域OW1における電界を緩和するためのフィールドプレート電極として機能する。これにより、外周ウェル領域OW1における耐圧の向上を図ることができる。本実施形態においては、ゲート配線GL1は、枠状に設けられた外周ウェル領域OW1の外縁と重なるように設けられる。このため、特に外周ウェル領域OW1の外縁における耐圧の向上を実現することが可能となる。
【0035】
ゲート配線GL1は、外周ウェル領域OW1の外縁と重なるように形成される外側部OR1、および外側部OR1から埋込電極BE1に向けて延びる突出部PP1を有している。また、ゲート配線GL1は、突出部PP1においてコンタクトプラグCP1と接続する。
本実施形態においては、たとえばこのような構成により、接地電極GR1を外周ウェル領域OW1へ接続しつつ、ゲート配線GL1を介してゲート電極GE1へゲート電位を供給することが可能な半導体装置SM1を実現することができる。
【0036】
外側部OR1は、たとえばベース領域BR1を囲むように枠状に設けられている。このとき、全周において外周ウェル領域OW1の外縁と重なるように設けられる。また、外側部OR1は、たとえば外周ウェル領域OW1の内縁とは重ならないように設けられる。
ゲート配線GL1は、たとえば複数の突出部PP1を有する。このとき各突出部PP1は、それぞれ埋込電極BE1上に設けられたコンタクトプラグCP1に接続される。複数の突出部PP1は、たとえば互いに等間隔に配置される。
【0037】
半導体基板SB1の表面上には、接地電極GR1が設けられている。接地電極GR1は、コンタクトプラグCP2を介して外周ウェル領域OW1のうち平面視でゲート配線GL1と重ならない部分と接続するように設けられる。本実施形態においては、接地電極GR1は、たとえば層間絶縁膜II1上に設けられる。また、接地電極GR1は、たとえばAlにより構成される。接地電極GR1は、接地されている。
本実施形態において、接地電極GR1は、たとえばゲート配線GL1と同一の材料により構成される。このため、ゲート配線GL1および接地電極GR1は、たとえば層間絶縁膜II1上に同一工程により形成されることができる。
【0038】
接地電極GR1は、平面視で埋込電極BE1よりもベース領域BR1の内側に位置する内側部IR1、および内側部IR1から外周ウェル領域OW1に向けて延びる突出部PP2を有している。また、接地電極GR1は、突出部PP2においてコンタクトプラグCP2と接続する。本実施形態においては、このような構成により、ゲート配線GL1を埋込電極BE1へ接続しつつ、外周ウェル領域OW1へ接地電位を供給することが可能な半導体装置SM1を実現することができる。
【0039】
本実施形態において、内側部IR1は、たとえば枠状に設けられた埋込電極BE1に囲まれるように設けられる。このとき、内側部IR1と埋込電極BE1は、たとえば平面視で互いに離間するように配置される。
接地電極GR1は、複数の突出部PP2を有する。このとき、各突出部PP2は、それぞれ外周ウェル領域OW1に接続するコンタクトプラグCP2に接続される。複数の突出部PP2は、たとえば互いに等間隔に配置される。
本実施形態において、複数の突出部PP1と複数の突出部PP2は、少なくとも一部の領域において交互に位置するよう設けられる。これにより、複数の突出部PP1と複数の突出部PP2を、それぞれ等間隔に配置することができる。このため、埋込電極BE1に対しては十分なゲート電位を、外周ウェル領域OW1に対しては十分な接地電位を、それぞれ供給することが容易となる。なお、半導体装置SM1において、突出部PP1と突出部PP2が交互に配置されていない領域が含まれていてもよい。
【0040】
内側部IR1は、コンタクトプラグCP3を介してP型領域PW1およびN型領域NW1に接続している。すなわち、接地された内側部IR1は、トランジスタMT1のソース領域として機能するN型領域NW1に接続される。このため、内側部IR1は、トランジスタMT1のソース電極として機能することとなる。
なお、本実施形態においては、接地電極GR1と別個に、トランジスタMT1のソース電極が設けられていてもよい。
【0041】
半導体基板SB1の裏面上には、ドレイン電極DE1が設けられている。ドレイン電極DE1は、たとえばトランジスタMT1のドレイン領域として機能するN型基板NS1と接するように設けられる。
本実施形態において、トランジスタMT1は、たとえばゲート電極GE1と、ソース電極である接地電極GR1と、ドレイン電極DE1と、チャネルとなるベース領域BR1と、ソース領域となるN型領域NW1と、ドレイン領域となるN型基板NS1と、により構成される。このため、トランジスタMT1は、縦型トランジスタとして機能することとなる。
【0042】
図7は、半導体装置SM1を用いた電子装置EC1の回路構成を示す図である。電子装置EC1は、たとえば自動車に用いられる。このとき、電子装置EC1を構成する半導体装置SM1は、たとえばIPDとして機能することとなる。
電子装置EC1は、たとえば電源PS1から負荷LO1に供給される電力を制御する。負荷LO1は、たとえば自動車に搭載されるヘッドランプ等の電子部品である。また、電源PS1は、たとえば自動車に搭載されているバッテリーである。
【0043】
電子装置EC1は、たとえば半導体装置SM1と、回路基板の配線を介して半導体装置SM1に接続される第2半導体装置MC1と、を備えている。半導体装置SM1は、たとえば縦型トランジスタであるトランジスタMT1と、制御回路CC1と、を半導体基板SB1上に形成したものである。第2半導体装置MC1は、たとえばマイコンである。
電子装置EC1は、たとえば次のように電力を制御する。まず、第2半導体装置MC1は、制御回路CC1に制御信号を入力する。そして、制御回路CC1は、第2半導体装置MC1から入力された制御信号に従って、トランジスタMT1のゲート電極GE1に信号を入力する。すなわち、制御回路CC1は、トランジスタMT1を制御する。トランジスタMT1が制御されることにより、電源PS1からの電力が適宜負荷LO1に供給されることとなる。
【0044】
図8は、
図1に示す半導体装置SM1の第1変形例を示す断面図である。本変形例に係る半導体装置SM1においては、半導体基板SB1上にトランジスタMT1およびトランジスタMT2が設けられている。トランジスタMT2は、プレーナ型トランジスタであり、たとえば制御回路を構成する。
トランジスタMT2は、ゲート電極GE2と、ゲート絶縁膜GI2と、サイドウォールSW1と、ソース・ドレイン領域SD1と、エクステンション領域EX1と、を有している。ゲート絶縁膜GI2は、半導体基板SB1上に設けられている。ゲート電極GE2は、ゲート絶縁膜GI2を介して半導体基板SB1上に設けられている。サイドウォールSW1は、ゲート電極GE2およびゲート絶縁膜GI2の側面上に設けられている。トランジスタMT2は、たとえば層間絶縁膜II1によって覆われている。ソース・ドレイン領域SD1は、たとえばゲート電極GE2の両側部に位置するよう半導体基板SB1に設けられる。エクステンション領域EX1は、たとえば平面視でソース・ドレイン領域SD1とゲート電極GE2との間に位置するよう半導体基板SB1に設けられる。
【0045】
半導体基板SB1には、たとえばウェル領域WR1が設けられている。ウェル領域WR1は、たとえばP型の導電型を有する。本実施形態においては、ウェル領域WR1は、たとえばN型エピタキシャル層NE1内に形成される。ソース・ドレイン領域SD1およびエクステンション領域EX1は、たとえばウェル領域WR1内に形成される。
ウェル領域WR1は、たとえば外周ウェル領域OW1と同一工程により形成される。この場合、外周ウェル領域OW1とウェル領域WR1の深さは、たとえば互いに等しくなる。本実施形態においては、外周ウェル領域OW1の不純物濃度のピーク位置と、ウェル領域WR1の不純物濃度のピーク位置は、たとえば互いに等しくなる。
本実施形態において、外周ウェル領域OW1は、埋込電極BE1下に形成されない。すなわち、外周ウェル領域OW1の深さ位置は、埋込電極BE1の深さ位置によって限定されない。このため、ウェル領域WR1の深さに合わせて、外周ウェル領域OW1の深さを調整することが可能となる。
【0046】
図9は、
図1に示す半導体装置SM1の第2変形例を示す断面図である。
図9に示すように、コンタクトプラグCP1は、ゲート電極GE1と埋込電極BE1との交点に接続するように設けられていてもよい。
この場合、コンタクトプラグCP1をゲート電極GE1と埋込電極BE1との交点以外に接続するように設ける場合と比較して、ゲート電極GE1とゲート配線GL1との間における実質的な配線長を短くすることができる。したがって、ゲート電極GE1に対しゲート電位を供給する際における損失を低減することができる。
【0047】
次に、半導体装置SM1の製造方法を説明する。
図3〜5は、
図1に示す半導体装置SM1の製造方法を示す断面図である。
図3〜5は、特に
図1におけるA−A'断面に対応した部分を示している。
まず、
図3(a)に示すように、半導体基板SB1を準備する。半導体基板SB1は、N型基板NS1と、N型基板NS1上に設けられたN型エピタキシャル層NE1と、を含む。N型エピタキシャル層NE1は、たとえばエピタキシャル成長法によりN型基板NS1上に設けられる。次いで、半導体基板SB1上に素子分離膜EI1を形成する。素子分離膜EI1は、たとえばLOCOS法により形成される。
【0048】
次いで、半導体基板SB1に、P型の外周ウェル領域OW1を形成する。外周ウェル領域OW1は、裏面側にドレイン領域となるN型基板NS1を有する半導体基板SB1の表面側に形成される。また、外周ウェル領域OW1は、トランジスタMT1が形成される素子形成領域を囲むように設けられる。
外周ウェル領域OW1は、後述するベース領域BR1よりも不純物濃度が低くなるように形成される。外周ウェル領域OW1の不純物濃度は、たとえばイオン注入条件により適宜調整することが可能である。
【0049】
次に、
図3(b)に示すように、半導体基板SB1にトレンチTR1およびトレンチTR2を形成する。トレンチTR1およびトレンチTR2は、たとえば半導体基板SB1上に設けられたレジストパターンをマスクとして半導体基板SB1をエッチングすることにより形成される。本実施形態において、トレンチTR1およびトレンチTR2は、たとえばN型基板NS1まで到達しないよう、N型エピタキシャル層NE1内に形成される。また、トレンチTR1およびトレンチTR2は、外周ウェル領域OW1により囲まれた素子形成領域の内側に設けられる。
【0050】
トレンチTR1は、外周ウェル領域OW1と重ならないように設けられる。また、トレンチTR1は、たとえば枠状に形成される。
トレンチTR2は、トレンチTR1よりも素子形成領域の内側に位置するよう複数設けられる。また、複数のトレンチTR2は、たとえば枠状に設けられたトレンチTR1の内側に位置するように設けられる。このとき、トレンチTR2は、たとえば端部においてトレンチTR2と接続するように形成される。なお、トレンチTR2は、たとえばトレンチTR1よりも幅が広い。このとき、トレンチTR2の下端は、トレンチTR1の下端よりも半導体基板SB1の裏面側に位置することとなる。
【0051】
次に、
図4(a)に示すように、トレンチTR1内に埋込電極BE1を、トレンチTR2内にゲート電極GE1を、それぞれ埋め込む。これにより、外周ウェル領域OW1と重ならないよう素子形成領域の内側に位置する埋込電極BE1と、埋込電極BE1よりも素子形成領域の内側に位置する複数のゲート電極GE1が、半導体基板SB1の表面側に形成されることとなる。
埋込電極BE1およびゲート電極GE1は、たとえば次のように形成される。まず、トレンチTR1およびトレンチTR2の内壁上、および半導体基板SB1上に、絶縁膜を形成する。次いで、トレンチTR1およびトレンチTR2を埋め込むよう、上記絶縁膜上に導電膜を形成する。次いで、上記絶縁膜および上記導電膜のうち、トレンチTR1およびトレンチTR2外に位置する部分を除去する。これにより、トレンチTR1には、トレンチTR1の内壁を覆う絶縁膜IL1と、絶縁膜IL1上に設けられた埋込電極BE1と、が形成される。また、トレンチTR2には、トレンチTR2の内壁を覆うゲート絶縁膜GI1と、ゲート絶縁膜GI1上に設けられたゲート電極GE1と、が形成される。
【0052】
次に、
図4(b)に示すように、半導体基板SB1に、外周端が外周ウェル領域OW1により覆われるよう、ベース領域BR1を形成する。ベース領域BR1は、平面視で埋込電極BE1および複数のゲート電極GE1を内側に含むように形成される。また、ベース領域BR1は、外周ウェル領域OW1よりも濃い不純物濃度を有するように形成される。本実施形態において、ベース領域BR1は、たとえばN型エピタキシャル層NE1内に形成される。
外周ウェル領域OW1は、下端がゲート電極GE1および埋込電極BE1の下端よりも浅くなるように形成される。ベース領域BR1の不純物濃度および深さは、たとえばイオン注入条件により適宜調整することが可能である。
【0053】
次に、
図5(a)に示すように、ベース領域BR1内にP型領域PW1およびN型領域NW1を形成する。本実施形態において、P型領域PW1およびN型領域NW1が形成される順は、特に限定されない。
次に、
図5(b)に示すように、半導体基板SB1上に層間絶縁膜II1を形成する。層間絶縁膜II1は、たとえばCVD(Chemical Vapor Deposition)法等により形成される。
【0054】
次に、層間絶縁膜II1中に、埋込電極BE1と接続するコンタクトプラグCP1と、外周ウェル領域OW1に接続するコンタクトプラグCP2を形成する。コンタクトプラグCP1およびコンタクトプラグCP2は、層間絶縁膜II1に設けられたコンタクトホール内に導電材料を埋め込むことにより形成される。
本実施形態においては、たとえばコンタクトプラグCP1およびコンタクトプラグCP2と同時に、ベース領域BR1のうち埋込電極BE1の内側に位置する領域上にコンタクトプラグCP3が形成される。
【0055】
次に、層間絶縁膜II1上に、外周ウェル領域OW1の一部と重なり、かつコンタクトプラグCP1と接続するゲート配線GL1を形成する。また、ゲート配線GL1とともに、層間絶縁膜II1上に、コンタクトプラグCP2と接続する接地電極GR1を形成する。
本実施形態において、ゲート配線GL1および接地電極GR1は、たとえば次のように形成される。まず、層間絶縁膜II1の全面上に、導電膜を形成する。この導電膜は、たとえばAlにより構成される。次いで、上記導電膜を、レジストパターンをマスクとしてエッチングする。これにより、ゲート配線GL1および接地電極GR1が形成される。本実施形態によれば、ゲート配線GL1および接地電極GR1を同一工程により形成することができる。
その後、半導体基板SB1の裏面上に、ドレイン電極DE1を形成する。これにより、半導体基板SB1にトランジスタMT1が設けられた半導体装置SM1が形成される。
【0056】
次に、本実施形態の効果を説明する。
本実施形態によれば、ベース領域BR1の外周端を覆う外周ウェル領域OW1は、埋込電極BE1と重ならないように設けられる。このため、埋込電極BE1の下端における等電位線の集中に起因して、外周ウェル領域OW1における耐圧が低下してしまうことを抑制できる。すなわち、外周ウェル領域OW1と半導体基板SB1とのPN接合部における耐圧を向上させることができる。これにより、ベース領域BR1と半導体基板SB1とのPN接合部において耐圧が決定することできる。したがって、半導体装置SM1の設計を容易とすることができる。
また、外周ウェル領域OW1は、接地電極GR1と接続されている。このため、外周ウェル領域OW1に対し接地電位が与えられることとなる。これにより、トランジスタMT1を安定的に動作させることが可能となる。
このように、本実施形態によれば、設計が容易であり、かつ安定的な動作を実現することが可能な半導体装置を得ることができる。
【0057】
(第2の実施形態)
図10は、第2の実施形態に係る半導体装置SM2を示す断面図であり、第1の実施形態における
図2に対応している。
図10(a)は
図1におけるA−A'断面に対応する部分を、
図10(b)は
図1におけるB−B'断面に対応する部分を示している。
本実施形態に係る半導体装置SM2は、外周ウェル領域OW1の外縁と重なる素子分離膜EI1を有していない点を除いて、第1の実施形態と同様の構成を有する。
【0058】
図10に示すように、半導体装置SM2は、外周ウェル領域OW1の外縁と重なる素子分離膜EI1を有していない。本実施形態においては、たとえば半導体基板SB1の全面において素子分離膜EI1が設けられない。
このような構成を有する半導体装置SMの製造においては、素子分離膜EI1を形成する工程が不要となる。このため、製造工程数の削減を図ることができる。
また、素子分離膜EI1を形成するための熱処理が不要となる。このため、素子分離膜EI1を形成するための熱処理に起因して半導体基板SB1表面が汚染されてしまうことを抑制することができる。したがって、半導体装置の信頼性を向上させることができる。
【0059】
半導体装置SM2の製造方法は、素子分離膜EI1を形成する工程を有していない点を除いて、半導体装置SM1の製造方法と同様に行うことができる。
【0060】
本実施形態においても、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0061】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。