(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6034166
(24)【登録日】2016年11月4日
(45)【発行日】2016年11月30日
(54)【発明の名称】業務端末に表示される画面の選択保存装置
(51)【国際特許分類】
G06F 11/34 20060101AFI20161121BHJP
【FI】
G06F11/34 166
【請求項の数】7
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2012-264726(P2012-264726)
(22)【出願日】2012年12月3日
(65)【公開番号】特開2014-109955(P2014-109955A)
(43)【公開日】2014年6月12日
【審査請求日】2015年8月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076428
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康徳
(74)【代理人】
【識別番号】100112508
【弁理士】
【氏名又は名称】高柳 司郎
(74)【代理人】
【識別番号】100115071
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康弘
(74)【代理人】
【識別番号】100116894
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 秀二
(74)【代理人】
【識別番号】100130409
【弁理士】
【氏名又は名称】下山 治
(74)【代理人】
【識別番号】100134175
【弁理士】
【氏名又は名称】永川 行光
(74)【代理人】
【識別番号】100131886
【弁理士】
【氏名又は名称】坂本 隆志
(72)【発明者】
【氏名】樫原 俊太郎
(72)【発明者】
【氏名】林 通秋
(72)【発明者】
【氏名】宮澤 雅典
【審査官】
大塚 俊範
(56)【参考文献】
【文献】
特開2003−044320(JP,A)
【文献】
特開2003−280946(JP,A)
【文献】
特開2003−330761(JP,A)
【文献】
特開2008−097384(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 11/30−11/36
G06F 11/07
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
業務端末の入力手段に対して行われた操作を示す操作情報から、所定の操作が行われたか否かを監視する監視手段と、
前記所定の操作が行われたときに前記業務端末の表示手段に表示されていた画面を基準画面とし、前記表示手段に表示される画面が前記基準画面と比較して閾値以上変化したかを判定する判定手段と、
前記所定の操作が行われてから所定の時間内に前記判定手段が閾値以上変化したと判定すると、前記表示手段に表示されている画面を保存する保存手段と、
を備えていることを特徴とする選択保存装置。
【請求項2】
前記保存手段は、前記基準画面を保存することを特徴とする請求項1に記載の選択保存装置。
【請求項3】
前記監視手段が監視する所定の操作は、高優先度の操作と低優先度の操作に分類されており、
前記判定手段は、前記所定の操作が高優先度の操作であるか低優先度の操作であるかに拘らず前記所定の操作が行われたときに前記業務端末の表示手段に表示されていた画面を基準画面として前記判定を行い、
前記保存手段は、高優先度の操作が行われた場合、前記基準画面を保存し、低優先度の操作が行われた場合、前記基準画面を保存しないことを特徴とする請求項1に記載の選択保存装置。
【請求項4】
前記業務端末は、通信システムの監視及び制御を行うための端末であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の選択保存装置。
【請求項5】
前記選択保存装置は、前記業務端末と同じコンピュータ上に実現されていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の選択保存装置。
【請求項6】
前記選択保存装置は、前記業務端末とは別の装置であり、前記入力手段に対して行われた操作を示す操作情報と、前記表示手段に表示される画面に対応する画面情報を前記業務端末から受け取ることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の選択保存装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載の選択保存装置としてコンピュータを機能させることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、業務端末に表示される一連の画面の内の一部の画面を選択して保存する選択保存装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、通信システムの監視・制御システムにおいて、保守者は、コンピュータといった端末により、通信システムに対する各種設定を行い、また、これら端末により、通信システムに生じた障害を監視し、障害に応じた制御を実行する。
【0003】
ここで、例えば、通信システムの通信装置に対して行った制御により、通信装置が予想外の振る舞いをし、さらに、この予想外の振る舞いが通信システムの障害を引き起こす場合がある。この様な場合、その原因の解析のためには、監視・制御用の端末(以下、業務端末と呼ぶ。)において、各通信装置に対して過去にどの様な制御を行い、通信システムの各通信装置がどの様な状態のときに行ったどの様な制御により異常な振る舞いが生じたかを確認する必要がある。通信システム内の各通信装置には、業務端末から制御信号等を受け取った場合や、自装置が送受信する信号に異常を検出した場合には、ログを記録する機能があるが、これらログは、通信システム内において分散して配置されている通信装置に記録されるものであり、通信システム内の各装置からこれらログを収集して解析するには多くの時間が必要となる。
【0004】
ここで、例えば、業務端末に表示される画面を別に設けたカメラ等で記録することを考える。画面を記録しておくことで、予想外の事態が生じた場合でも、撮影した画面を時系列で調べれば、予想外の事態が生じるまでの制御内容や、そのときの通信システムの状態を把握することが可能になる。しかしながら、予想外の事態が生じることは稀であり、長期にわたる記録から、必要な画面を抜き出して解析することも非常に時間がかかる作業となる。
【0005】
ここで、特許文献1〜3は、記録した動画について、事前に登録した映像特性情報、音声情報又は字幕テキスト情報に基づき重要度を判定して、重要な部分の要約を作成する構成を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−201144号公報
【特許文献2】特開2002−149672号公報
【特許文献3】特開平11−331761号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、監視・制御用の端末といった各種の業務端末の画面を撮影した動画に対して、異常事象の原因に関係する画面を選択するための、映像特性情報、音声情報又は字幕テキスト情報を設定することは容易ではない。
【0008】
本発明は、後の解析のために、業務端末に表示される一連の画面の内の一部の画面を選択して保存する選択保存装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一側面によると、
選択保存装置は、業務端末の入力手段に対して行われた操作を示す操作情報から、所定の操作が行われたか否かを監視する監視手段と、前記所定の操作が行われたときに前記業務端末の表示手段に表示されていた画面を基準画面とし、前記表示手段に表示される画面が前記基準画面と比較して閾値以上変化したかを判定する判定手段と、
前記所定の操作が行われてから所定の時間内に前記判定手段が閾値以上変化したと判定すると、前記表示手段に表示されている画面を保存する保存手段と、を備えていることを特徴とす
る。
【発明の効果】
【0010】
業務端末に表示される一連の画面の内、後の解析に必要となる可能性の高い一部の画面を選択して保存することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】一実施形態による選択保存装置の例示的な構成図。
【
図2】一実施形態による選択保存装置の実装例を示す図。
【
図3】一実施形態による選択保存処理のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の例示的な実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の各図においては、実施形態の説明に必要ではない構成要素については図から省略する。なお、以下の実施形態においては、業務端末を通信システムの制御・監視端末とし、この端末に表示される一連の画面のうち、障害等の解析に必要と思われる画面を選択して保存する場合を例にして説明する。しかしながら、本発明は、通信システムの制御・監視に限定されず、電力、交通システムや、通信ネットワークを利用した各種業務システムの端末に表示される画面から、問題発生原因を解析するために必要と思われる画面を選択して保存することに適用できる。
【0013】
本実施形態による選択保存装置100の概略的な構成を
図1に示す。選択保存装置100のトリガ監視部11は、業務端末への入力部である、例えば、マウスやキーボードに対する特定の操作をトリガとし、このトリガの発生を監視する。トリガとする操作は、業務端末の操作対象、例えば、通信システムにおける通信装置に対する制御と、その制御を行うために業務端末の入力部であるマウスやキーボードに対して行う操作内容に基づき予め決定してトリガ監視部11に保存しておく。一例として、エンター(Enter)キーや、スペース(Space)キーの押下や、マウスの左クリック等をトリガとすることができる。なお、複数のキーを同時に押下されたことをトリガとすることもできる。
【0014】
なお、本実施形態においては、トリガを高優先と、低優先の2つに分類する。なお、高優先と低優先は、トリガと、そのトリガによる制御内容に応じて事前に決定する。例えば、エンター(Enter)キーが、それ以前に入力したコマンドの確定及び通信装置への送信を意味しているものとする。異常事象の発生は、通信装置に対して何らかのコマンドを発行したときに生じる可能性が高いため、この場合、例えば、エンター(Enter)キーを高優先とする。一方、スペース(Space)キーが、既に通信装置に送信したコマンドに対する当該通信装置からの、業務端末の表示部(ディスプレイ)に一度に表示しきれないレスポンスを先送りするために使用されるものとする。この場合には、スペース(Space)キーの押下そのものが異常事象の発生の原因となる確率は低いため、スペース(Space)キーを低優先とする。
【0015】
キャプチャ部13は、トリガ発生部11が高優先のトリガの発生を確認した場合、そのときに業務端末の表示部に表示されていた画面を取得して保存部14に保存する。判定部12は、トリガ発生部11がトリガの発生を確認した場合、その優先度に拘らず、トリガ発生時に業務端末の表示部に表示されていた画面を基準(以下、基準画面と呼ぶ。)とし、現在の画面の基準画面からの変化の割合を所定時間監視する。判定部12は、画面の変化が閾値以上となった場合、閾値以上となったときの画面を取得して保存部14に保存する。なお、画面の変化の割合とは、値が変化した画素数の割合とする。例えば、表示部の画素数をNとし、現在の画面のうち、基準画面から値が変化した画素がKである場合、変化の割合は(K×100/N)%である。選択保存装置100は、動作している間、上記処理を繰り返す。よって、高優先のトリガが生じた場合には、トリガが生じたときの画面は常に保存される。また、優先度に拘らず、トリガの発生時から所定時間内に、画面の内容が閾値以上変化した場合には、そのときの画面が保存される。一方、トリガが生じても、所定時間内の画面の変化が閾値未満である場合には、画面は保存されない。
【0016】
異常状態が発生すると、通常、業務端末の表示部に表示される内容は、大きく変わるため、この変化後の画面を取得することで、異常状態の解析を容易に行うことができる。また、異常状態を引き起こす可能性が高い高優先のトリガについては、そのトリガが生じたときの画面を常に保存する。この構成により異常状態の解析を容易に行うことができる。
【0017】
図2は、本実施形態による選択保存装置100の実装形態の例である。
図2(A)に示す様に、選択保存装置100は、業務端末1に実装することができる。より具体的には、業務端末1は、通常、コンピュータであり、当該コンピュータが実行するプログラムにより選択保存装置100を、業務端末1と同じコンピュータ上に実装することができる。また、
図2(B)に示す様に、選択保存装置100は、業務端末1とは異なる装置として実装することができる。この場合、選択保存装置100は、業務端末1から操作情報と、画面情報を受け取る。なお、操作情報とは、キーボードやマウス等の操作内容に関する情報であり、画面情報とは、業務端末1の表示部に表示している画面に対応する情報である。なお、いずれの形態においても選択保存装置100は、
図1に示す各機能ブロックとして動作するプログラムにより実現することができる。
【0018】
図3は、本実施形態による選択保存装置100が実行する処理を示すフローチャートである。トリガ発生部11は、S10でトリガの発生を監視する。トリガが発生すると、トリガ発生部11は、S11でその優先度を判定する。優先度が"高"である場合、キャプチャ部13は、トリガ発生時の画面を保存する。また、トリガの優先度に拘らず、S13において、判定部12は、トリガ発生時の画面からの画面の変化の割合が閾値以上であるかを判定する。閾値未満である場合、判定部12は、S14で所定時間が経過したかを判定し、所定時間が経過するまでS13及びS14の処理を繰り返す。選択保存装置100は、画面の変化が閾値以上となることなく所定時間が経過すると、処理をS10から繰り返す。一方、所定時間内に画面の変化が閾値以上になると、キャプチャ部13は、S15において、そのときの画面を保存する。
【0019】
なお、上記実施形態では、トリガを高優先と低優先に分けていた。しかしながら、優先度を設けない形態とすることもできる。この場合、トリガ発生時の画面については、常に、保存部14に保存する構成とすることも、保存しない構成とすることも可能である。