特許第6034173号(P6034173)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6034173
(24)【登録日】2016年11月4日
(45)【発行日】2016年11月30日
(54)【発明の名称】折畳み容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 6/18 20060101AFI20161121BHJP
   B65D 25/28 20060101ALI20161121BHJP
【FI】
   B65D6/18 D
   B65D25/28 103B
【請求項の数】4
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2012-274214(P2012-274214)
(22)【出願日】2012年12月17日
(65)【公開番号】特開2014-118179(P2014-118179A)
(43)【公開日】2014年6月30日
【審査請求日】2015年6月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】591006944
【氏名又は名称】三甲株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111095
【弁理士】
【氏名又は名称】川口 光男
(72)【発明者】
【氏名】籔田 貴志
(72)【発明者】
【氏名】中井 英嗣
【審査官】 西堀 宏之
(56)【参考文献】
【文献】 特表2009−501684(JP,A)
【文献】 特開2007−238169(JP,A)
【文献】 特開平05−246437(JP,A)
【文献】 特開2008−013194(JP,A)
【文献】 特表平06−508589(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 6/00−13/02
B65D 23/00−25/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
略矩形板状の底壁部と、前記底壁部の相対する一対の第1辺部に対応してそれぞれ設けられた第1側壁部と、前記底壁部の相対する一対の第2辺部に対応してそれぞれ設けられた第2側壁部と、前記第1側壁部及び前記第2側壁部の上辺部に沿って設けられた四角枠状の上枠とを備え、
前記第1側壁部は、前記底壁部の前記第1辺部に対して回動可能に連結される下壁部と、前記上枠に対して回動可能に連結される上壁部とを備え、前記下壁部の上辺部と前記上壁部の下辺部とが相対回動可能に連結され、前記上壁部の外面と前記下壁部の外面とを合わせるようにして折り畳むことができるよう構成され、
前記第2側壁部は、前記上枠に対して回動可能に連結され、折畳み容器の内側に押し込むようにして押圧することで、略水平に延在するまで回動可能に構成されてなる折畳み容器において、
前記第2側壁部に対し、当該第2側壁部に沿って延び、当該第2側壁部の外面側に並設される非使用姿勢と、前記非使用姿勢にある場合よりも前記第2側壁部から離間する部位が増える使用姿勢との間を変位可能なハンドルが設けられ
前記非使用姿勢にある前記ハンドルの前記使用姿勢側への変位の範囲を制限する範囲制限手段が設けられ、
前記ハンドルが前記範囲制限手段による制限を受けている状態であっても、前記ハンドルは、前記非使用姿勢から前記使用姿勢側に向けて所定量変位可能に構成されていることを特徴とする折畳み容器。
【請求項2】
記範囲制限手段によって前記使用姿勢側への変位が制限されている状態の前記ハンドルに対し、前記使用姿勢側に向けて規定量以上の力をかけることで、前記範囲制限手段による変位許容範囲を超えて前記ハンドルを前記使用姿勢側に変位可能に構成されていることを特徴とする請求項1に記載の折畳み容器。
【請求項3】
前記ハンドル、及び、前記ハンドルが設けられた側壁部のうち少なくとも一方には、前記非使用姿勢にあるハンドルと、当該ハンドルが設けられた前記側壁部との間に隙間を形成するための隙間形成手段が形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の折畳み容器。
【請求項4】
前記ハンドルは、作業者がグリップ可能な把持部と、前記把持部から交差する方向に延出する延出部と、前記延出部の先端部に設けられ、前記側壁部に対して回動可能に連結されるヒンジ部とを備え、
前記非使用姿勢にある前記ハンドルは、前記延出部が前記ヒンジ部から上方に向けて延びているとともに、前記非使用姿勢にある前記ハンドルの前記把持部は、前記側壁部の上辺部よりも下方に位置することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の折畳み容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品の運搬等に使用され、特に、側壁部に持ち手を有する折畳み容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、略矩形板状の底壁部と、底壁部の各側辺部から上方に延びる側壁部とを備えて上方に開口する箱型形状に組立可能に構成されるとともに、各側壁部を底壁部の上方に折り畳むことのできる折畳み容器が知られている。さらに、組立状態にある折畳み容器の持ち運び易さ等を向上させるべく、側壁部に対して「持ち手」を形成するといった技術がある(例えば、特許文献1、2等参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−72104号公報
【特許文献2】実開平5−75128号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1のように、側壁部に対し、その厚み方向に貫通する開口部を形成することによって持ち手を形成する場合には、当該開口部を介して塵や小動物等が容器内部に侵入してしまうことが懸念される。
【0005】
また、特許文献2のように、側壁部から外方にリブを突出させるとともに、その先端を下方に折返すことによって持ち手を形成したものもある。この場合、当該持ち手用のリブが側壁部の外面よりも外方に突出してしまうと、当該持ち手用のリブが運搬や保管に際して邪魔になったり、持ち手用のリブ自体が損傷し易くなったりしてしまうおそれがある。このため、かかる持ち手用のリブは、側壁部の厚みの範囲内に収めることが望ましい。しかしながら、その場合には、側壁部の厚みが薄い場合等において、リブの外方への突出長さも短くなり、指先の引っ掛かり具合が悪くなる等して、持ち手として上手く機能しないことが懸念される。特に、折畳み可能な折畳み容器に関して言えば、折り畳み時の高さを極力低く抑えるべく、側壁部の厚みを薄くすることが求められているため、かかる懸念がより一層顕著なものとなる。
【0006】
本発明は、上記例示した問題点等を解決するためになされたものであって、その目的は、持ち手を備えた折畳み容器において、開口部を形成することによる不具合を招くことなく、かつ、操作性に優れる折畳み容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下、上記目的等を解決するのに適した各手段につき項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する手段に特有の作用効果等を付記する。
【0008】
手段1.略矩形板状の底壁部と、前記底壁部の相対する一対の第1辺部に対応してそれぞれ設けられた第1側壁部と、前記底壁部の相対する一対の第2辺部に対応してそれぞれ設けられた第2側壁部と、前記第1側壁部及び前記第2側壁部の上辺部に沿って設けられた四角枠状の上枠とを備え、
前記第1側壁部は、前記底壁部の前記第1辺部に対して回動可能に連結される下壁部と、前記上枠に対して回動可能に連結される上壁部とを備え、前記下壁部の上辺部と前記上壁部の下辺部とが相対回動可能に連結され、前記上壁部の外面と前記下壁部の外面とを合わせるようにして折り畳むことができるよう構成され、
前記第2側壁部は、前記上枠に対して回動可能に連結され、折畳み容器の内側に押し込むようにして押圧することで、略水平に延在するまで回動可能に構成されてなる折畳み容器において、
前記第2側壁部に対し、当該第2側壁部に沿って延び、当該第2側壁部の外面側に並設される非使用姿勢と、前記非使用姿勢にある場合よりも前記第2側壁部から離間する部位が増える使用姿勢との間を変位可能なハンドルが設けられ
前記非使用姿勢にある前記ハンドルの前記使用姿勢側への変位の範囲を制限する範囲制限手段が設けられ、
前記ハンドルが前記範囲制限手段による制限を受けている状態であっても、前記ハンドルは、前記非使用姿勢から前記使用姿勢側に向けて所定量変位可能に構成されていることを特徴とする折畳み容器。
【0009】
手段1によれば、持ち手としてのハンドルを、第2側壁部の外面側に並設させる非使用姿勢とすることで、ハンドルが第2側壁部から極力外方に突出しないようにする(例えば、ハンドルを側壁部の厚み範囲内に収める)ことができる。このため、折畳み容器を箱型に組み立てた組立状態とし、かつ、ハンドルを使用しない状態において、ハンドルの存在によって保管スペースが余分に必要になったり、ハンドル自体が損傷し易くなったりするといった事態を防止することができる。さらに、折畳み容器を折り畳む場合においても、ハンドルが干渉して第2側壁部の折り畳み動作を阻害したり、折り畳み状態における折畳み容器の高さが増してしまったりするといった事態を防止することができる。
【0010】
また、ハンドルは、非使用姿勢にあるハンドルを、例えば、第2側壁部から外方に引き出して使用姿勢とすることで把持し易い形状となっていればよい。このため、側壁部の厚みが比較的薄く、ハンドルとしてもそれほど厚みを確保することができないといった条件下であっても、非使用姿勢としたハンドルを含めた側壁部の厚みに関して極力コンパクトに収納することを可能にしつつ、ハンドルを使用姿勢では把持し易い形状とすることができる。従って、ハンドルの持ち易さ(力の掛け易さ)、ひいては、ハンドルを握って折畳み容器を持った状態の安定化等を確保しつつ、第2側壁部の薄型化を図ることができる。そして、このように第2側壁部の薄型化を図ることで、折り畳み状態にある折畳み容器の高さを極力低くしたり、軽量化、省資源化、低コスト化等を図ったりすることができる。
【0011】
加えて、持ち手を形成するべく第2側壁部に対してその厚み方向に貫通する開口部を形成するといった必要がないことから、第2側壁部の開口部を介して、塵や小動物等の異物が容器内に侵入してしまうといった事態を確実に回避することができる。従って、折畳み容器に収容された物品の衛生管理等をより確実に行うことができる。
【0012】
また、折畳み容器を組み立てる際にも、ハンドルを持って側壁部を起こすことができ、組立て作業性の向上を図ることができる。さらに、折畳み容器の組立状態から、側壁部が意図せずに折り畳みの位置側に変位してしまったような場合には、ハンドルを引っ張って側壁部を立て直すことで、比較的容易に組立状態に戻すことができる。従って、折り畳みの位置側に変位してしまった側壁部を内面側から押圧して立て直すために、折畳み容器から内容物を取出したり、上側に積み重ねられた(段積みされた)折畳み容器がある場合に、上側の折畳み容器を下ろしたりしなければならないといった事態を回避することができる。
また、範囲制限手段が設けられることで、作業者がハンドルに対して力をかけていない状態のハンドルの姿勢を制限することができる。従って、折畳み容器を折り畳む際に、意図することなくハンドルが、側壁部の動作を阻害してしまうような姿勢に変位してしまい、折畳み容器を折り畳み難くなってしまうこと等を防止することができる。
さらに、ハンドルが前記範囲制限手段による制限を受けている状態であっても、ハンドルは、非使用姿勢から使用姿勢側に向けて所定量(所定角度)変位可能に構成されている。この場合、ハンドルが非使用姿勢から使用姿勢側に向けて所定量(所定角度)変位するまでの間は範囲制限手段による規制を受けることなく比較的自在に変位することとなる。このため、側壁部に沿って延びる非使用姿勢のハンドルを外方に向けて力をかけずに簡単に引っ張り出すことができる。従って、非使用姿勢にあるハンドルを使用姿勢側に引っ張り出す際の操作性の向上を図ることができる。
【0013】
手段2.記範囲制限手段によって前記使用姿勢側への変位が制限されている状態の前記ハンドルに対し、前記使用姿勢側に向けて規定量以上の力をかけることで、前記範囲制限手段による変位許容範囲を超えて前記ハンドルを前記使用姿勢側に変位可能に構成されていることを特徴とする手段1に記載の折畳み容器。
【0014】
手段2によれば、囲制限手段によってハンドルの変位が規制された状態からハンドルに対して使用姿勢側に向けて規定量以上の力を掛けることで、ハンドルをより大きく変位させることができる。従って、ハンドルをより柔軟に姿勢変化させることができ、ハンドルを握って折畳み容器を持ち運ぶ際の安定感等を向上させることができる。
【0016】
手段3.前記ハンドル、及び、前記ハンドルが設けられた側壁部のうち少なくとも一方には、前記非使用姿勢にあるハンドルと、当該ハンドルが設けられた前記側壁部との間に隙間を形成するための隙間形成手段が形成されていることを特徴とする手段1又は2に記載の折畳み容器。
【0017】
手段3によれば、非使用姿勢にあるハンドルと、ハンドルが設けられた側壁部との間に、作業者の指先等を侵入させる隙間を形成することができる。このため、非使用姿勢にあるハンドルに対してより指を掛け易くなり、非使用姿勢にあるハンドルを使用姿勢側に引き出したり、使用姿勢にあるハンドルを非使用姿勢に収めたりする際の作業性の向上を図ることができる。
【0018】
尚、隙間形成手段としては、例えば、ハンドルが設けられた側壁部の外面側において、非使用姿勢にあるハンドル(の把持部)に対応して形成された凹部や、非使用姿勢においてハンドルのうち側壁部の厚み方向に延びる面から側壁部側の面にかけて斜めに延びる傾斜部や、非使用姿勢にあるハンドルから側壁部側に部分的に突出する凸部等が挙げられる。
【0019】
手段4.前記ハンドルは、作業者がグリップ可能な把持部と、前記把持部から交差する方向に延出する延出部と、前記延出部の先端部に設けられ、前記側壁部に対して回動可能に連結されるヒンジ部とを備え、
前記非使用姿勢にある前記ハンドルは、前記延出部が前記ヒンジ部から上方に向けて延びているとともに、前記非使用姿勢にある前記ハンドルの前記把持部は、前記側壁部の上辺部よりも下方に位置することを特徴とする手段1乃至3のいずれかに記載の折畳み容器。
【0020】
手段4によれば、非使用姿勢にあるハンドルを若干外方に引っ張り出すことで、延出部がヒンジ部から上方かつ外方に傾斜して延びるような使用姿勢とすることができる。そして、かかる使用姿勢にあるハンドルの把持部を握って折畳み容器を持ち上げる場合には、手首や腕等によって、折畳み容器の側面のうち、ハンドルの把持部よりも上方に位置する部位をホールドすることができる。従って、折畳み容器をより安定した状態で持ち上げることができる。
【0021】
また、例えば、ハンドルの非使用姿勢において、延出部がヒンジ部から下方に延出する構成の場合、側壁部のうちヒンジ部よりも下方位置において非使用姿勢にあるハンドルを側壁部に並設させて収容するスペースを必要とする上、上記のようにハンドルを外方かつ上方に傾斜させた使用姿勢とするためには、ハンドルを90度以上回動させる必要がある。このため、非使用姿勢にあるハンドルの上下幅(高さ)に比して、折畳み容器の高さがそれほど高くない場合には、ハンドルを外方かつ上方に傾斜させるまで回動変位させると、把持部が折畳み容器の上部、或いは、上辺部よりも上方に位置してしまい、上記のように、折畳み容器の側面を手首等でホールドすることができなくなってしまう。
【0022】
この点、本手段4によれば、ハンドルが非使用姿勢にある場合に延出部がヒンジ部から上方に延出する構成となっているため、ハンドルのヒンジ部の高さ位置を側壁部の低い位置に設定する(側壁部の下辺部近傍でも可能)ことができ、それ程高さのない折畳み容器であっても、ハンドルを上方かつ外方に傾斜して延びる使用姿勢として、折畳み容器の側面を手首等でホールドしつつ、持ち運ぶことが可能になる。特に、折畳み容器を段積みした状態で持ち上げる場合には、最も下側に位置する折畳み容器の側壁部と、その上側に位置する折畳み容器の側壁部とにかけて、手首や腕を連続的に当ててホールドすることができるため、両折畳み容器間の左右方向における位置ずれ等をより確実に防止することができる。従って、持ち運び状態のより一層の安定化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】折畳み容器を上面側から見た斜視図である。
図2】折畳み容器を上面側から見た斜視図である。
図3】折畳み容器を下面側から見た斜視図である。
図4】折り畳み状態にある折畳み容器の斜視図である。
図5】折り畳み過程にある折畳み容器の斜視図である。
図6】短辺側側壁部の外面側斜視図である。
図7】短辺側側壁部の内面側斜視図である。
図8】ハンドルの斜視図である。
図9】ハンドルの斜視図である。
図10】短辺側側壁部等を示す断面図である。
図11】一部断面を含む短辺側側壁部等の斜視図である。
図12】一部断面を含む短辺側側壁部等の斜視図である。
図13】折り畳み過程にある折畳み容器の断面図である。
図14】蓋部材を被せた折畳み容器の斜視図である。
図15】蓋部材を被せて段積みした折畳み容器を示す斜視図である。
図16】蓋部材を被せて段積みした折畳み容器を示す側面図である。
図17】段積みされた折畳み容器の短辺側側壁部が折り畳み位置側に変位した場合を示す斜視図である。
図18】別の実施形態における折畳み容器の斜視図である。
図19】別の実施形態における折畳み容器の斜視図である。
図20】別の実施形態における短辺側側壁部等を示す断面図である。
図21】別の実施形態における短辺側側壁部等を示す断面図である。
図22】別の実施形態における折畳み容器に蓋部材を被せて段積みした状態を示す側面図である。
図23】別の実施形態における短辺側側壁部の外面側斜視図である。
図24】別の実施形態における短辺側側壁部の内面側斜視図である。
図25】別の実施形態におけるハンドルを示す斜視図である。
図26】別の実施形態におけるハンドルを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に、一実施形態について図面を参照して説明する。図1図3に示すように、折畳み容器1は、略矩形板状の底壁部2と、底壁部2の相対する一対の長辺部に対応してそれぞれ設けられた長辺側側壁部3と、底壁部2の相対する一対の短辺部に対応してそれぞれ設けられた短辺側側壁部4と、長辺側側壁部3及び短辺側側壁部4の上辺部に沿って設けられた四角枠状の上枠5とを備えている。本実施形態の折畳み容器1は、ポリプロピレンにより構成されている。
【0025】
また、長辺側側壁部3は、底壁部2の長辺部に対して回動可能に連結される下壁部11と、上枠5の長辺部に対して回動可能に連結される上壁部12とを備え、下壁部11の上辺部と上壁部12の下辺部とが相対回動可能に連結されている。本実施形態では、図5に示すように、上壁部12と下壁部11との連結部を折畳み容器1の内側に押し込むようにして押圧することで、上壁部12の外面と下壁部11の外面とを合わせるようにして長辺側側壁部3を折り畳むことができる。
【0026】
短辺側側壁部4は、上枠5の短辺部に対して回動可能に連結されている。本実施形態では、短辺側側壁部4を折畳み容器1の内側に押し込むようにして押圧することで、図5等に示すように、短辺側側壁部4を略水平に延在するまで回動可能になっている。また、短辺側側壁部4の横幅は、一対の長辺側側壁部3間の距離とほぼ同じであり、折畳み容器1の組立状態では一対の長辺側側壁部3の間に位置している上、短辺側側壁部4と上枠5との回転軸は、長辺側側壁部3(上壁部12)と上枠5との回転軸よりも上方に位置している。このため、組立状態にある折畳み容器1は、先ず、一対の短辺側側壁部4を折畳み容器1の内側に押圧して水平に延在するまで回動させてから、一対の長辺側側壁部3を折り曲げることで、折り畳むことができるようになっている(図4参照)。
【0027】
加えて、図5に示すように、各長辺側側壁部3の左右両側部には、内面側から突出する支持壁部13と、支持壁部13から長辺側側壁部3の横幅方向中央部側に突出する係合突起14とが設けられている。尚、本例では、支持壁部13は下壁部11及び上壁部12の両方に設けられているが、係合突起14は上壁部12に設けられた支持壁部13にのみ設けられている。一方、図6等に示すように、短辺側側壁部4には、折畳み容器1を箱型に組み立てた組立状態とした場合に、係合突起14が挿入される係合孔15が形成されている。かかる構成により、長辺側側壁部3の折畳み容器1内側への傾倒変位(内倒れ)、長辺側側壁部3の折畳み容器1外側への傾倒変位(外倒れ)、及び、短辺側側壁部4の外倒れが防止されるようになっている。尚、短辺側側壁部4の内倒れを防止する構成(例えば、長辺側側壁部3の内面から突出して短辺側側壁部4の内面と接触可能な弾性片)を設けてもよい。
【0028】
図1図4等に示すように、上枠5は、一対の長辺側側壁部3にそれぞれ連結される一対の長辺部(長辺側枠構成部17)と、一対の短辺側側壁部4にそれぞれ連結される一対の短辺部(短辺側枠構成部18)とを備え、上枠5の外寸は、底壁部2の外寸とほぼ等しくなっている。また、折畳み容器1の組立状態では、長辺側側壁部3及び短辺側側壁部4の内面と、上枠5の内周面とがほぼ面一となるように構成されている(図10参照)。加えて、長辺側側壁部3及び短辺側側壁部4は、折畳み容器1の組立状態であっても、上枠5や底壁部2の外周縁よりも外周側には突出しないように構成されている。さらに、折畳み容器1の折り畳み状態では、折り畳まれた長辺側側壁部3と、その上方に重なる短辺側側壁部4とが上枠5の内周側に収容されるとともに、底壁部2と上枠5とが上下に当接するように構成されている(図4参照)。
【0029】
図3等に示すように、底壁部2の下面側には、底壁部2のうち、折畳み容器1を平面視した場合に上枠5よりも内周側に位置する範囲から下方に突出する格子状の支持リブ19が設けられている。そして、折畳み容器1を床面に設置した場合には、支持リブ19の下縁部が床面に接地し、折畳み容器1が支持される構成となっている。また、折畳み容器1の上方に別の折畳み容器1を積み重ねた場合、上側の折畳み容器1の支持リブ19が、下側の折畳み容器1の上枠5の内周側に進入するとともに、上側の折畳み容器1の底壁部2の下面の外周部が、下側の折畳み容器1の上枠5の上面に支持されるようになっている。これにより、折畳み容器1同士を、水平方向への位置ずれを防止しつつ、上下に積み重ねる(段積みする)ことができるようになっている。
【0030】
さらに、図14に示すように、折畳み容器1には、折畳み容器1の開口部を閉鎖可能な付属の蓋部材7が設置可能となっている。図15図16に示すように、折畳み容器1に対して蓋部材7を被せることで、折畳み容器1に収容された物品への衛生管理を図りつつ、折畳み容器1同士を段積みできるように構成されている。本実施形態では、蓋部材7が被せられることで、折畳み容器1が略密閉状態とされる。尚、本実施形態の蓋部材7はポリプロピレンにより構成されている。
【0031】
加えて、本実施形態では、折畳み容器1が折り畳まれた状態において、短辺側側壁部4の内面(上側を向く面)と上枠5上面との間の上下方向における距離が、支持リブ19の突出長以上となっている。このため、折畳み容器1は、組み立てられた状態だけでなく、折り畳まれた状態でも、折畳み容器1同士を段積みすることができるようになっている。また、折り畳まれた折畳み容器1に蓋部材7を被せた状態で段積みすることも可能である。
【0032】
さて、図1図2等に示すように、各短辺側側壁部4には、短辺側側壁部4に沿って延び、短辺側側壁部4の外面側に並設される非使用姿勢と、当該短辺側側壁部4から外方に突出するようにして、当該短辺側側壁部4に対して交差する方向に延びる使用姿勢との間を変位可能なハンドル21が設けられている。図8図9に示すように、ハンドル21は、作業者がグリップ可能な把持部23と、把持部23の両端部からそれぞれ把持部23に対して略直交する方向に延出する一対の延出部24とを具備する略コ字状の取っ手部22と、一対の延出部24の各先端部から互いに近接するようにして取っ手部22の内側に向けて突出する一対のヒンジ部25とを備えている。尚、本実施形態のハンドル21はポリプロピレンにより構成されている。
【0033】
その一方で、図6に示すように、短辺側側壁部4の外面側には、各ヒンジ部25を回動可能に支持する軸受部27が設けられている。図1図10に示すように、本実施形態のハンドル21は、非使用姿勢にある場合において、延出部24がヒンジ部25から下方に延出するようになっている。また、非使用姿勢にあるハンドル21の把持部23を持って外方に引っ張ることで、ハンドル21は、図11図12に示すように、ヒンジ部25を中心に上方に向けて回動変位することとなる。
【0034】
また、図6に示すように、短辺側側壁部4の外面側には、一対のヒンジ部25の直上方において、ハンドル21が略水平に延在した使用姿勢とされた場合に、ハンドル21の上面に対して当接するストッパー部28が設けられている。これにより、本実施形態では、延出部24が短辺側側壁部4に対して略直交して延在する(略水平に延びる)位置まで変位可能に構成されている。さらに、本実施形態では、短辺側側壁部4の上辺部に設けられ、上枠5の短辺側枠構成部18に対して回動可能に連結される短辺側ヒンジ部29の直下方においてストッパー部28が設けられており、図11等に示すように、ストッパー部28の外面側は上枠5によって覆われている。すなわち、軸受部27は、短辺側側壁部4のうち軸受部27を設置し得る範囲の最も上側の部位に設置され、ストッパー部28を設けることによって、ハンドル21が上枠5に当接しないように構成されている。尚、図6図7に示すように、本実施形態の短辺側側壁部4は左右対称形状であり、一対の短辺側側壁部4は同一形状である。
【0035】
また、短辺側側壁部4の外面側は、その外周縁部よりも、ハンドル21が設けられる内周側の部位の方が凹んだような形状をなしており、図10に示すように、非使用姿勢にあるハンドル21の大部分が短辺側側壁部4の厚みの範囲内に収まるようになっている。また、非使用姿勢にあるハンドル21は、短辺側側壁部4から若干外方に突出してしまうものの、底壁部2や上枠5の外周面(折畳み容器1の側面)よりも内周側に収まるようになっている。つまり、ハンドル21を非使用姿勢とすれば、組立状態にある折畳み容器1を設置スペースの壁面に当接させたり、折畳み容器1同士を横並びにくっつけて設置したりした場合であっても、ハンドル21が壁面や隣接する折畳み容器1に当接しないようになっている。
【0036】
さらに、本実施形態の短辺側側壁部4の外面側には、非使用姿勢にあるハンドル21の把持部23に対応して、導入凹部31が形成されている。これにより、非使用姿勢にあるハンドル21の把持部23と、短辺側側壁部4との間に隙間が形成されることとなる。そして、導入凹部31に指先を挿入し、把持部23の奥面側(短辺側側壁部4との対向面)に指先を掛けることができるようになっている。特に、本実施形態の導入凹部31は、非使用姿勢にあるハンドル21の把持部23の下方位置から上方位置にかけて形成されており、かかる把持部23の下方及び上方のどちらからでも導入凹部31に指先を挿入できるようになっている(図10参照)。尚、導入凹部31の横幅は、ハンドルの一対の延出部24間の距離とほぼ同じとなっており、ハンドル21は、導入凹部31が一対の延出部24間に位置するように配置されている。
【0037】
加えて、図10に示すように、本実施形態の把持部23には、ハンドル21が非使用姿勢にある場合の下面から短辺側側壁部4側の面にかけて斜めに延びる傾斜部32が形成されている。このように、把持部23の下面に対して、折畳み容器1の内側(短辺側側壁部4側)に向けて上方に傾斜して延びる傾斜部32が形成されることにより、非使用姿勢にあるハンドル21の把持部23の下方から把持部23の奥面側により指先を掛け易くなっている。尚、本実施形態では、導入凹部31及び傾斜部32によって隙間形成手段が構成されている。
【0038】
また、図6図12等に示すように、短辺側側壁部4のうち、ハンドル21の延出部24の先端部(延出部24のヒンジ部25との連接部位)に対応する部位には、外方に突出する保持突起34が設けられている。これに対し、図8図9図12等に示すように、延出部24の先端部には、ハンドル21が非使用姿勢から外方に約48度程度回動変位した場合に、保持突起34の上面側に当接する保持片部35が設けられている。そして、図13に示すように、折畳み容器1を折り畳む場合に、短辺側側壁部4を跳ね上げて折り畳み位置側に変位させると、短辺側側壁部4の外面側に回動可能に取付けられたハンドル21は、自重によって短辺側側壁部4から垂下することとなるが、ハンドル21が短辺側側壁部4から約48度程度外側に回動変位した時点で、保持突起34と保持片部35とが当接し、ハンドル21のそれ以上の回動変位が規制されることとなる。
【0039】
さらに、保持突起34と、保持片部35とが当接した状態、すなわち、ハンドル21の使用姿勢側へのそれ以上の変位が制限されている状態において、ハンドル21に手を掛ける等して、使用姿勢側に向けて規定量以上の力をかけることで、保持片部35が弾性変形をしつつ保持突起34を乗り越えることとなる。これにより、図11に示すように、ハンドル21をストッパー部28に当接するまで変位させることができる。本実施形態では、保持突起34及び保持片部35が範囲制限手段を構成する。
【0040】
以上詳述したように、本実施形態によれば、持ち手としてのハンドル21を、短辺側側壁部4の外面側に並設させる非使用姿勢とすることで、ハンドル21が短辺側側壁部4から極力外方に突出しないようにする(本例では、ハンドル21を底壁部2及び上枠5の外周縁よりも内周側に収める)ことができる。このため、折畳み容器1を箱型に組み立てた組立状態とし、かつ、ハンドル21を使用しない状態において、ハンドル21の存在によって保管スペースが余分に必要になったり、ハンドル21自体が損傷し易くなったりするといった事態を防止することができる。さらに、折畳み容器1を折り畳む場合においても、ハンドル21が干渉して短辺側側壁部4の折り畳み動作を阻害したり、折り畳み状態における折畳み容器1の高さが増してしまったりするといった事態を防止することができる。
【0041】
また、ハンドル21は、非使用姿勢にあるハンドル21を短辺側側壁部4から外方に引き出して使用姿勢とすることで把持し易い形状となっていればよい。このため、短辺側側壁部4の厚みが比較的薄く、ハンドル21としてもそれほど厚みを確保することができないといった条件下であっても、非使用姿勢としたハンドル21を含めた短辺側側壁部4の厚みに関して極力コンパクトに収納することを可能にしつつ、ハンドル21を使用姿勢では把持し易い形状とすることができる。従って、ハンドル21の持ち易さ(力の掛け易さ)、ひいては、ハンドル21を握って折畳み容器1を持った状態の安定化等を確保しつつ、短辺側側壁部4の薄型化を図ることができる。そして、このように短辺側側壁部4等の薄型化を図ることで、折り畳み状態にある折畳み容器1の高さを極力低くしたり、軽量化、省資源化、低コスト化等を図ったりすることができる。
【0042】
さらに、ハンドル21が変位する構成であることから、力をかける向きによってハンドル21が追従的に変位することとなる。従って、ハンドル21に手等を掛けて、持ち上げるだけではなく、側方に引っ張る(引きずる)作業も比較的スムースに行うことができる。
【0043】
加えて、持ち手を形成するべく短辺側側壁部4等に対してその厚み方向に貫通する開口部を形成するといった必要がないことから、短辺側側壁部4等の開口部を介して、塵や小動物等の異物が折畳み容器1内に侵入してしまうといった事態を確実に回避することができる。従って、折畳み容器1に収容された物品の衛生管理等をより確実に行うことができる。
【0044】
また、折畳み容器1を組み立てる際にも、ハンドル21を持って短辺側側壁部4を引き起こすことができ、組立て作業性の向上を図ることができる。さらに、折畳み容器1の組立状態から、図17に示すように、短辺側側壁部4が意図せずに折り畳みの位置側に変位してしまったような場合には、ハンドル21を引っ張って短辺側側壁部4を立て直すことで、比較的容易に組立状態に戻すことができる。従って、折り畳みの位置側に変位してしまった短辺側側壁部4を内面側から押圧して立て直すために、蓋部材7を取外したり、折畳み容器1から内容物を取出したり、上側に積み重ねられた折畳み容器1がある場合に、上側の折畳み容器1を下ろしたりしなければならないといった事態を回避することができる。
【0045】
さらに、作業者がハンドル21に対して力をかけていない状態では、非使用姿勢にあるハンドル21が短辺側側壁部4に対して約48度程度外側に回動変位すると、短辺側側壁部4から外方に突出する保持突起34と、ハンドル21の延出部24先端に設けられた保持片部35とが当接して、それ以上のハンドル21の回動変位が規制されるようになっている。このため、作業者がハンドル21に対して力をかけていない状態のハンドル21の姿勢を制限することができる。従って、折畳み容器1を折り畳む際に、意図することなくハンドル21が短辺側側壁部4の動作を阻害してしまうような姿勢に変位してしまい、折畳み容器1を折り畳み難くなってしまうこと等を防止することができる。また、ハンドル21の回動変位が規制された状態からハンドル21に対して使用姿勢側に向けて規定量以上の力を掛けることで、ハンドル21をストッパー部28に当接するまで(短辺側側壁部4に対して約90度程度の角度をなす範囲まで)回動可能になる。従って、ハンドル21が外方かつ下方に向けて延びた姿勢になる範囲までしか回動変位しないような構成に比べ、ハンドル21をより柔軟に姿勢変化させることができ、ハンドル21を握って折畳み容器1を持ち運ぶ際の安定感等を向上させることができる。
【0046】
特に、本実施形態のハンドル21は、非使用姿勢で保持されるわけではなく、短辺側側壁部4に対する角度が、保持片部35と保持突起34とが当接することとなる約48度程度となるまでは、規制を受けることなく比較的自在に回動変位することとなる。このため、短辺側側壁部4に沿って延びる非使用姿勢のハンドル21を外方に向けて力をかけずに引っ張り出すことができる。従って、非使用姿勢にあるハンドル21を使用姿勢側に引っ張り出す際の操作性の向上を図ることができる。
【0047】
さらに、短辺側側壁部4の外面側には、非使用姿勢にあるハンドル21の把持部23に対応して、導入凹部31が形成されている。これにより、非使用姿勢にあるハンドル21の把持部23と、短辺側側壁部4との間に、作業者の指先等を侵入させることのできる隙間を形成することができる。このため、非使用姿勢にあるハンドル21の把持部23に対してより指を掛け易くなり、非使用姿勢にあるハンドル21を使用姿勢側に引き出したり、使用姿勢にあるハンドル21を非使用姿勢に収めたりする際の作業性の向上を図ることができる。特に、非使用姿勢にあるハンドル21の下面である把持部23のハンドル21外周側の面のうち短辺側側壁部4側の部位において傾斜部32が形成されているため、かかる作用効果がより一層顕著に奏されることとなる。
【0048】
尚、上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
【0049】
(a)上記実施形態では、折畳み容器1は、上枠5を備え、短辺側側壁部4を上方に跳ね上げるとともに、長辺側側壁部3の上下方向中間位置を内側に屈曲させて折り畳むことのできる跳ね上げ式の折畳み容器1に具体化されているが、上枠5がなく、長辺側側壁部3及び短辺側側壁部4の下辺部が底壁部2に対して回動可能に連結され、長辺側側壁部3及び短辺側側壁部4を底壁部2の上方に折り重ねるようにして折り畳むことのできる内倒式の折畳み容器に適用してもよい。当該構成を採用する場合、非使用姿勢にあるハンドル21は、当該ハンドル21が設けられる側壁部の厚み範囲内に収められるように構成されることが望ましい。この場合、折畳み容器1が組立て状態にある場合に、ハンドル21によって設置スペースが余分に必要となったり、ハンドル21を設けることに起因して折り畳み状態にある折畳み容器1の高さが高くなってしまったりするといった事態を回避することができる。
【0050】
また、上記実施形態では、一対の短辺側側壁部4にハンドル21が設けられているが、ハンドル21が設けられる側壁部やハンドル21の数については特に限定されるものではなく、少なくとも1つの側壁部に設けられていればよい。但し、相対する一対の側壁部にハンドル21を設けることで、ハンドル21を持って折畳み容器1を持ち上げることができ、持ち運び易さ等を向上させることができる。尚、ハンドル21の形状についても特に限定されるものではなく、例えば、取っ手部22が、把持部23と一対の延出部24との境目が分かり難いような略C字状に構成されてもよいし、取っ手部22の延出部24が一本で構成され、その先端に対して略直交する方向に延びる把持部23を備えたT字状の取っ手部22としてもよいし、ハンドル21側に軸孔が形成されるとともに、短辺側側壁部4側に当該軸孔に挿入される軸部が突出形成されるように構成してもよい。
【0051】
(b)上記実施形態では、折畳み容器1が折り畳み状態にある場合に、長辺側側壁部3と、短辺側側壁部4に設けられたハンドル21とが当接しないように構成されている(図4参照)が、例えば、長辺側側壁部3がより高く構成されたり、ハンドル21の横幅がより広く構成されたりする等して両者が当接するように(ハンドル21の下方に長辺側側壁部3が位置するように)構成してもよい。この場合、ハンドル21によって長辺側側壁部3の折り畳み動作が阻害されないように範囲制限手段(保持突起34及び保持片部35)を設けることとするのが望ましい。
【0052】
さらに、かかる構成を採用する場合、ハンドル21の一対の延出部24を把持部23側に向けて互いに近接させるようにして把持部23の長手方向中央部側に傾斜させることとしてもよい。この場合、上記実施形態のように、短辺側側壁部4が折り畳みの位置にある状態において、短辺側側壁部4から垂下するハンドル21の短辺側側壁部4や底壁部2に対する角度をある程度寝かせておく(例えば、45度程度とする)ことで、長辺側側壁部3を折り畳む際に、ハンドル21の延出部24が、下壁部11と上壁部12との連結部に摺接して、長辺側側壁部3が比較的スムースにハンドル21の下方に潜り込むように構成することができる。従って、折り畳み作業性の向上等を図ることができる。
【0053】
(c)上記実施形態では、ハンドル21を軸支する軸受部27は、短辺側側壁部4のうち軸受部27を形成し得る範囲の最も上部に形成され、非使用姿勢にあるハンドル21は、延出部24がヒンジ部25から下方に延びるように構成されているが、図18図21に示すように、非使用姿勢にあるハンドル21は、延出部24がヒンジ部25から上方に向けて延びるとともに、非使用姿勢にあるハンドル21の把持部23は、短辺側側壁部4の上辺部よりも下方に位置するように構成してもよい。
【0054】
この場合、非使用姿勢にあるハンドル21を若干外方に引っ張り出すことで、延出部24がヒンジ部25から上方かつ外方に傾斜して延びるような使用姿勢とすることができる。そして、かかる使用姿勢にあるハンドル21の把持部23を握って折畳み容器1を持ち上げる場合には、手首や腕等によって、折畳み容器1の側面のうち、ハンドル21の把持部23よりも上方に位置する部位(本態様例では上枠5の外周面)をホールドすることができる。従って、折畳み容器1をより安定した状態で持ち上げることができる。
【0055】
また、例えば、上記実施形態のように、ハンドル21の非使用姿勢において、延出部24がヒンジ部25から下方に延出する構成の場合、短辺側側壁部4のうちヒンジ部25よりも下方位置において非使用姿勢にあるハンドル21を短辺側側壁部4に並設させて収容するスペースを必要とする上、上記のようにハンドル21を外方かつ上方に傾斜させた使用姿勢とするためには、ハンドル21を90度以上回動させる必要がある。このため、非使用姿勢にあるハンドル21の上下幅(高さ)に比して、折畳み容器1の高さがそれほど高くない場合には、ハンドル21を外方かつ上方に傾斜させる使用姿勢まで回動変位させると、把持部23が折畳み容器1の上部、或いは、上辺部よりも上方に位置してしまい、上記のように、折畳み容器1の側面を手首等でホールドすることができなくなってしまう。
【0056】
この点、図18等に示す本態様例によれば、ハンドル21が非使用姿勢にある場合に延出部24がヒンジ部25から上方に延出する構成となっているため、ハンドル21のヒンジ部25の高さ位置を短辺側側壁部4の低い位置に設定する(短辺側側壁部4の下辺部近傍でも可能)ことができ、それ程高さのない折畳み容器1であっても、ハンドル21を上方かつ外方に傾斜して延びる使用姿勢として、折畳み容器1の側面を手首等でホールドしつつ、持ち運ぶことが可能になる。特に、図22に示すように、折畳み容器1を段積みした状態で持ち上げる場合には、最も下側に位置する折畳み容器1の短辺側側壁部4と、その上側に位置する折畳み容器1の短辺側側壁部4とにかけて、手首や腕を連続的に当ててホールドすることができるため、両折畳み容器1間の左右方向における位置ずれ等をより確実に防止することができる。従って、持ち運び状態のより一層の安定化を図ることができる。また、本態様例の構成を採用することで、ハンドル21の把持部23に対し斜め上方に向かう力をかけて折畳み容器1を運搬する際のハンドル21のヒンジ部25等への負担を軽減させることができる。
【0057】
尚、上記実施形態のように、非使用姿勢にあるハンドル21の延出部24がヒンジ部25からほぼ垂下する構成の場合には、ハンドル21を非使用姿勢で完全に保持する構成を採用しなくても、ハンドル21の非使用姿勢を維持し易い。
【0058】
(d)上記実施形態では、ハンドル21に力をかけていない状態において、短辺側側壁部4の傾倒に伴い、非使用姿勢にあるハンドル21が使用姿勢側に約48度程度までならば回動変位可能に構成され、さらには、保持片部35が保持突起34に当接することによって使用姿勢側への変位が規制された状態のハンドル21に手を掛けて使用姿勢側に力を掛けることで、延出部24が略水平(短辺側側壁部4に対して略直交する方向)に延びるまで回動変位可能に構成されているが、特にかかる構成に限定されるものではない。
【0059】
例えば、短辺側側壁部4の外面側において、非使用姿勢にあるハンドル21を係止する係止部を設けることとしてもよい。この場合、ハンドル21が非使用姿勢にて保持されることとなり、ハンドル21を使用しない状態において、意図することなくハンドル21が折畳み容器1の側面から外方に突出して、運搬や保管等の際に邪魔になったり、ハンドル21自体が損傷し易くなったりするといった事態をより確実に防止することができる。この場合、係止部が範囲制限手段を構成する。また、例えば、ハンドル21のヒンジ部25外周面と、ヒンジ部25を軸支する軸受部27とが常時圧接状態とされ、摩擦力により、ハンドル21を所望の姿勢で維持することができるように構成してもよい。この場合、圧接するハンドル21のヒンジ部25と、軸受部27とが範囲制限手段を構成する。尚、範囲制限手段を省略することも可能である。
【0060】
尚、上記(c)の態様例では、図20図24に示すように、短辺側側壁部4の軸受部27内周側に保持突起34が形成されるとともに、図20図21図25図26に示すように、かかる軸受部27に軸支されるハンドル21のヒンジ部25が延出部24の長手方向において幅広となる断面略楕円形状に形成されている。そして、図20に示すように、ハンドル21の非使用姿勢では、断面楕円形のヒンジ部25が保持突起34に圧接されて非使用姿勢で保持されるようになっている。また、非使用姿勢にあるハンドル21に対して外向きに規定量以上の力をかけることで、図21に示すように、ヒンジ部25が保持突起34を乗り越えることとなり、ハンドル21を使用姿勢へと変位させることができるようになっている。
【0061】
加えて、例えば、ハンドル21が90度以上回動可能に構成されてもよい。また、ハンドル21の把持部23をヒンジ部25、上枠5の下辺部、短辺側側壁部4の上辺部、或いは、上枠5の上辺部よりも上方に位置させることができるように構成してもよい。さらに、上記実施形態では、ハンドル21が回動変位するように構成されているが、スライド変位することで使用姿勢と非使用姿勢との間を変位可能に構成してもよい。例えば、ハンドル21を短辺側側壁部4の厚み方向に変位可能に構成し、短辺側側壁部4との間に隙間のできる使用位置と、それに比べて隙間の小さい非使用位置との間を変位可能に構成してもよい。また、例えば、ハンドル21を短辺側側壁部4に沿ってスライド可能に構成し、ハンドル21が短辺側側壁部4の面積の範囲内に収容される非使用姿勢と、少なくとも把持部23が折畳み容器1の側面から上方又は左右側方に突出する使用位置との間を変位可能に構成してもよい(例えば、ハンドル21が上記(C)の非使用姿勢にあるような格好のまま上下方向にスライド可能となるように構成してもよい)。
【0062】
但し、ハンドル21を上枠5よりも上方に突出させる場合(例えば、非使用姿勢にあるハンドル21を約180度回動させて、当該ハンドル21を短辺側側壁部4の高さ方向に沿って延びる姿勢とした場合)には、上枠5に凹部(切欠き部)を形成する必要があり、上枠5等の強度低下を招くおそれがあるため、ハンドル21の可動範囲は折畳み容器1の高さの範囲内とすることが望ましい。さらに、ハンドル21を、延出部24が短辺側側壁部4に沿ってヒンジ部25から下方に延びる姿勢と、延出部24が短辺側側壁部4に沿ってヒンジ部25から上方に延びる姿勢との間を回動変位可能に構成し、ハンドル21が短辺側側壁部4に沿って上下どちらに延びていても、ハンドル21が短辺側側壁部4の高さの範囲内に収まるような、比較的高さのある折畳み容器1に適用してもよい。
【0063】
(e)上記実施形態では、短辺側側壁部4の外面側のうち、非使用姿勢にあるハンドル21の把持部23に対応する部位に導入凹部31が形成されているが、延出部24に対応する部位に導入凹部31を形成してもよい。この場合、非使用姿勢にあるハンドル21の延出部24を摘まんでハンドル21をある程度使用姿勢側に引き出してから把持部23を掴むといった動作を行い易くなる。尚、延出部24及び把持部23の全体がすっぽりと収容されるように導入凹部31を形成してしまうと、非使用姿勢にあるハンドル21と短辺側側壁部4との間に隙間ができなくなってしまうため、導入凹部31はハンドル21の取っ手部22の一部に対応して設けることとする。
【0064】
さらに、上記実施形態の傾斜部32は、非使用姿勢にあるハンドル21の把持部23の下面側に形成されているが、かかる構成に代えて、又は、加えて、把持部23の上面側に形成されることとしてもよい。加えて、上記実施形態の傾斜部32は、把持部23の下面のうち短辺側側壁部4側の部位だけに形成されているが、全体的に容器内側に向けて上方傾斜するように構成してもよい。
【0065】
また、上記実施形態では、非使用姿勢にあるハンドル21へ指を掛けて使用姿勢側に引き出し易くするために、短辺側側壁部4に導入凹部31が形成されるとともに、ハンドル21の把持部23に傾斜部32が形成されているが、どちらか一方だけ設けることとしてもよいし、両方とも省略することも可能である。さらに、導入凹部31や傾斜部32に代えて、又は、加えて、非使用姿勢にあるハンドル21の取っ手部22の一部から短辺側側壁部4側に突出して該短辺側側壁部4と当接可能な凸部を設けることで、非使用姿勢にあるハンドル21と短辺側側壁部4との間に隙間を形成することとしてもよい。
【0066】
(f)上記実施形態では、折畳み容器1、及び、蓋部材7はポリプロピレンにより構成されているが、ポリエチレン、PET、ポリアミド等その他の樹脂材料により構成されることとしてもよい。また、ハンドル21の材料に関しても特に限定されるものではなく、例えば、それ程厚みがなくても十分な強度が得られるように金属材料で構成することも可能である。
【符号の説明】
【0067】
1…折畳み容器、2…底壁部、3…長辺側側壁部、4…短辺側側壁部、5…上枠、21…ハンドル、23…把持部、24…延出部、25…ヒンジ部、31…導入凹部、32…傾斜部、34…保持突起、35…保持片部。
図1
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