【実施例】
【0030】
先ず、実施例の構成について説明する。
【0031】
図1は、実施例の太陽電池モジュールの取付構造の概略構成を示している。
【0032】
この実施例の太陽電池モジュールの取付構造は、上面に複数の凸部2a,・・・が間隔をあけて設けられた平板状屋根2に太陽電池モジュール1を取り付けるためのものである。
【0033】
これら凸部2a,・・・は、詳細な図示は省略するが、平板状屋根2の野地板22の上に葺かれる屋根板21,・・・の端部間にできる目地を防水するために設けた目地カバーの部分で形成されている。
【0034】
そして、太陽電池モジュール1は、取付治具3A,3A,3B,3Bと、取付補助治具4A,・・・,4B・・・とによって支持されて平板状屋根2に取り付けられている。
【0035】
具体的には、
図2に示したように、取付治具3A,3A,3B,3Bは、太陽電池モジュール1の四隅近傍に設けられ、取付補助治具4A,・・・,4B・・・は、それより内側に設けられている。
【0036】
ここで、傾斜して取り付けられた太陽電池モジュール1の短尺側の取付治具3A,3Aの近傍に設けられた短尺側の取付補助治具4A,・・・は、太陽電池モジュール1の長手方向の枠材間に設けた長尺の補強基板5上に取り付けられている。
【0037】
なお、外側の2つの取付補助治具4A,4Aは、取付治具3Aの支持体としての取付片32の先端部を介して取り付けられており、残りの取付補助治具4A,4A,4Aは、同じものを用いることができるように、取付片32と略同じ厚さのスペーサーを介して取り付けられている。
【0038】
また、傾斜して取り付けられた太陽電池モジュール1の長尺側の取付治具3B,3Bの近傍に設けられた長尺側の取付補助治具4B,・・・も、太陽電池モジュール1の長手方向の枠材間に設けた長尺の補強基板5上に取り付けられている。
【0039】
なお、外側の2つの取付補助治具4B,4Bは、取付治具3Bの支持体としての取付片32の先端部を介して取り付けられており、残りの取付補助治具4B,4B,4Bは、同じものを用いることができるように、取付片32と略同じ厚さのスペーサーを介して取り付けられている。
【0040】
さらに、長尺側の取付補助治具4B,・・・の中間部の側面は、横揺れ防止用に断面略L字状の長尺の繋材6で連結されている。
【0041】
また、
図3に示したように、取付治具3A,3A,3B,3Bと、取付補助治具4A,・・・,4B・・・とは、平板状屋根2の支持材としての垂木23,・・・の略直上となるようになっている。
【0042】
次に、取付治具3A,3Bと、取付補助治具4A,4Bの詳細について説明する。
【0043】
先ず、短尺側の取付治具3Aは、
図4に示したように、平板状屋根2の目地カバー21aの部分で形成される凸部2aに取り付けられる挟持金具31と、この挟持金具31に下部を押し込む太陽電池モジュール1の支持体としての取付片32と、挟持金具31と取付片32の貫通孔314,322に装着されるボルト部33とを備えている。
【0044】
この挟持金具31には、
図5(a)及び
図5(b)に示したように、平板状屋根2の凸部2aを挟んで配置される一対の挟持部311,311と、一方の挟持部311の上縁から上方に延出されるとともに折り返されて他方の挟持部311の上縁に繋がる連結部312と、この連結部312の折返部312aの一部を開口したスリット状の挿込口313と、連結部312の対向する2面を貫通する貫通孔314とが設けられている。
【0045】
また、取付片32は、側面視略L字形に成形された金具で、垂直方向に延設される平板部が挿入部321となり、この挿入部321の上縁から斜め上方に向かって延設される平板部が太陽電池モジュール1を載置する台座部323となっている。
【0046】
この挿入部321には、挿込口313から挟持金具31内へ挿入した際、連結部312の貫通孔314と連通する位置に、貫通孔322が形成されている。
【0047】
すなわち、挟持金具31の連結部312の対向する2面と取付片32の挿入部321とを貫通する貫通孔314,322が形成される。
【0048】
また、台座部323には、上下方向に貫通する取付孔324,325,325が設けられており、太陽電池モジュール1の取り付けに利用される。
【0049】
すなわち、台座部323は、太陽電池モジュール1の設置角度に応じた角度に成形されており、取付孔324,325,325の下側から図示省略のボルトを螺合することにより、太陽電池モジュール1を下方から面で支持する。
【0050】
なお、先端側の取付孔324は、外側の短尺側の取付補助治具4Aの取り付けにも利用される。
【0051】
そして、ボルト部33は、連結部312の貫通孔314と取付片32の貫通孔322とに挿通されるボルト331と、このボルト331に螺着させるナット332とから構成されている。
【0052】
次に、長尺側の取付治具3Bは、
図6に示したように、短尺側の取付治具3Aと、支持体としての取付片32の部分が若干異なるのみである。
【0053】
すなわち、垂直方向に延設される平板部である挿入部321がより長く、この挿入部321の上縁から延設される平板部である太陽電池モジュール1を載置する台座部323が、斜め下方に向かっていることが異なる。
【0054】
次に、短尺側の取付補助治具4Aは、
図7(a)〜
図7(d)に示したように、フランジ部41,41とウェブ部42とから成る溝形鋼の柱状の本体部40を有する。
【0055】
ここで、本体部40の下端部には、ウェブ部42を延設した部分を略水平に折り曲げて下部エンドプレート43が形成されている。
【0056】
この下部エンドプレート43は、面で太陽電池モジュール1の荷重を伝達するように、フランジ部41,41に勝つようにされている。
【0057】
なお、下部エンドプレート43の折り曲げ部の両端には、折り曲げ易いように切欠が設けられている。
【0058】
さらに、下部エンドプレート43の下面には、ゴムパッキンなどの弾性体44が貼設されている。
【0059】
また、本体部40の上端部には、ウェブ部42を延設した部分を太陽電池モジュール1の設置角度に合わせて斜め上方に折り曲げた上部エンドプレート45が形成されている。
【0060】
この上部エンドプレート45は、太陽電池モジュール1の設置誤差等を吸収し易いように、あえてフランジ部41,41に勝つようにしていない。
【0061】
さらに、この上部エンドプレート45には、上下方向に貫通する取付孔451が設けられており、太陽電池モジュール1の下側から螺合されるボルトによる取り付けに利用される。
【0062】
なお、フランジ部41,41の上端部もこの上部エンドプレート45の傾斜角度に略合わせてカッティングされている。
【0063】
次に、長尺側の取付補助治具4Bは、
図8(a)〜
図8(d)に示したように、本体部40の部分が若干異なるのみである。
【0064】
すなわち、本体部40を構成するフランジ部41,41とウェブ部42がより長く、上部エンドプレートが、ウェブ部42を延設した部分を太陽電池モジュール1の設置角度に合わせて斜め下方に折り曲げて形成されていることが異なる。
【0065】
さらに、ウェブ部42には、繋材6をボルトなどで取り付けるための取付孔421が設けられていることも異なる。
【0066】
次に、実施例の作用効果について説明する。
【0067】
このような実施例の太陽電池モジュールの取付構造は、複数の凸部2a,・・・を有する平板状屋根2に太陽電池モジュール1を取り付けるための太陽電池モジュールの取付構造である。
【0068】
そして、平板状屋根2の凸部2aを挟持する挟持部311,311と、挟持部311,311を有する挟持金具31から立ち上がるように設けられた支持体としての取付片32とから成る取付治具3A,3Bと、溝形鋼から成る柱状の取付補助治具4A,4Bにより太陽電池モジュール1が支持され、平板状屋根2に取り付けられた構成とされている。
【0069】
上記した構成なので、取付補助治具4A,4Bにより、上方からの圧縮力に対して強くなるため、積雪地における積雪荷重に耐え得る構造強度を確保して太陽電池モジュール1を取り付けることができる。
【0070】
なお、取付治具3A,3Bによっては、太陽電池モジュール1の通常時の荷重に耐え得るのは勿論、風荷重による引張力に対しても強くなる。
【0071】
ここで、取付補助治具4A,4Bが複数用いられている。
【0072】
このため、想定される最大積雪量を考慮して、複数の取付補助治具4A,4Bを配置すれば、より確実に積雪荷重に耐え得る構造強度を確保することができる。
【0073】
また、複数の長尺側の取付補助治具4B,・・・間が繋材6で連結されている。
【0074】
このため、繋材6により、太陽電池モジュール1が横揺れし難くなる。
【0075】
さらに、平板状屋根2に接する取付補助治具4A,4Bの下端部の位置が、平板状屋根2の支持材としての垂木23のそれぞれ略直上である。
【0076】
このため、平板状屋根2の支持材としての垂木23の略直上の位置は強度が高いので、平板状屋根2を傷め難くすることができる。
【0077】
また、取付治具3A,3Bの挟持部311,311が挟持する平板状屋根2の凸部2a,・・・は、平板状屋根2を構成する屋根板21,21同士の端部間を防水するために設けた目地カバー21aの部分である。
【0078】
このため、屋根板21,21同士の端部間を防水するために設けた目地カバー21aの部分を、取付治具3A,3Bの挟持部311,311により挟持する凸部2aとして有効利用することができる。
【0079】
このような実施例の太陽電池モジュールの取付補助治具4A,4Bは、取付治具3A,3Bとともに用いられ、複数の凸部2aを有する平板状屋根2に太陽電池モジュール1を取り付けるための太陽電池モジュールの取付補助治具である。
【0080】
そして、上端部で太陽電池モジュール1を支持し、下端部で平板状屋根2に太陽電池モジュール1の荷重を伝達する、溝形鋼から成る柱状とされた構成とされている。
【0081】
上記した構成なので、上方からの圧縮力に対して強くなるため、積雪地における積雪荷重に耐え得る構造強度を確保して太陽電池モジュール1を取り付けることができる。
【0082】
ここで、取付補助治具4A,4Bの上端部は、支持する太陽電池モジュール1の傾斜と略同一な傾斜角度の上部エンドプレート45が設けられるように加工されている。
【0083】
このため、特別な別部材などを介さずに、取付補助治具4A,4Bの上端部に太陽電池モジュール1を容易に固定することができる。
【0084】
また、取付補助治具4A,4Bの下端部には、下部エンドプレート43を介して弾性体が設けられている。
【0085】
このため、ゴムパッキンなどの弾性体44により、取付補助治具4A,4Bの下端部が平板状屋根2の表面である屋根板21を傷つけずに済むうえに、電食を防止することができる。
【0086】
以上、図面を参照して、本発明を実施するための形態を実施例に基づいて詳述してきたが、具体的な構成は、この実施例に限らず、本発明の要旨を逸脱しない程度の設計的変更は、本発明に含まれる。
【0087】
例えば、上記した実施例では、平板状屋根2として凸部2a,・・・が目地カバー21a,・・・であるものに適用して実施したが、これに限定されず、複数の凸部を有する折板から成る平板状屋根などに適用して実施してもよい。
【0088】
また、上記した実施例では、取付補助治具4A,4Bの本体部40を溝形鋼として実施したが、これに限定されず、例えば、本体部40をH形鋼などとして実施してもよい。
【0089】
さらに、上記した実施例では、取付治具3A,3Bを用いて実施したが、これに限定されない。
【0090】
すなわち、取付治具は、平板状屋根2の凸部2aを挟持する挟持部とこれを支持する支持体を有するものであればよい。