(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記1つまたは複数の内部センサアレイが、前記炉心内の前記複数の異なる垂直位置の1つにそれぞれが対応する複数の温度センサを含む、温度センサアレイを含む、請求項1から3のいずれかに記載のシステム。
前記内部監視装置が、前記1つまたは複数の内部センサアレイによって取られた前記測定結果をデジタル化することによって前記内部測定データを生成するように構成された、第1のデータプロセッサをさらに含む、請求項1から6のいずれかに記載のシステム。
前記1つまたは複数の外部センサアレイの少なくとも1つが、炉心のガンマ線束および中性子束の少なくとも1つの測定を行うように構成された、請求項1から8のいずれかに記載のシステム。
前記外部監視装置が、いずれの外部電源とも独立に前記外部監視装置に電力供給するように構成された電源ユニットをさらに含む、請求項9から11のいずれかに記載のシステム。
前記外部監視装置が、前記外部測定データに基づいてアクティブモードとスタンバイモードの1つになるように前記外部監視装置の動作モードを制御するように構成されたコントローラをさらに含み、
前記外部監視装置は、スタンバイモードではアクティブモードよりも少ない電力を使用するように動作するように構成される、
請求項9から13のいずれかに記載のシステム。
前記受信器ステーションが、前記外部測定データと前記内部測定データの少なくとも1つに基づいて、クラッディング酸化、水位、クラッディング溶融、炉心再分布、核反応度keff、および温度の少なくとも1つを含む前記炉心内の条件を判定するように構成されたデータ処理ユニットを含む、請求項1から14のいずれかに記載のシステム。
【発明の概要】
【0003】
少なくとも1つの例示的実施形態によれば、原子炉内に含まれる炉心の状態を監視するためのシステムは、炉心の内側に配置された内部監視装置であって、炉心内の複数の異なる垂直領域のそれぞれにて炉心の条件の測定を行って内部測定データを生成するようにそれぞれが構成された1つまたは複数の内部センサアレイを含み、原子炉の1つまたは複数のデータ信号ラインに内部測定データを供給するように構成された、内部監視装置と、炉心の外側の原子炉構造体内に配置された外部監視装置であって、炉心内の複数の異なる垂直領域のそれぞれに対応する炉心の外側の位置にて炉心の条件の測定を行って外部測定データを生成するようにそれぞれが構成された1つまたは複数の外部センサアレイと、原子炉の外側の外部測定データを無線で送信するように構成された送信器とを含む、外部監視装置と、外部測定データおよび内部測定データを受信し、受信した外部および内部測定データに基づいて炉心の状態を判定するように構成された受信器ステーションとを含むことができる。
【0004】
少なくとも1つの例示的実施形態によれば、1つまたは複数の内部センサアレイは、炉心の温度および導電率の少なくとも1つの測定を行うようにそれぞれ構成される。
【0005】
少なくとも1つの例示的実施形態によれば、内部監視装置は、ステンレス鋼よりも高い融点を有する剛体材料から作製された第1の容器をさらに含む。
【0006】
少なくとも1つの例示的実施形態によれば、第1の容器は、タングステン、モリブデン、ニオブ、および炭化珪素の少なくとも1つからなる。
【0007】
少なくとも1つの例示的実施形態によれば、1つまたは複数の内部センサアレイは、炉心内の複数の異なる垂直位置の1つにそれぞれが対応する複数の温度センサを含む、温度センサアレイを含む。
【0008】
少なくとも1つの例示的実施形態によれば、1つまたは複数の内部センサアレイは、複数の導電率センサを含む導電率センサアレイを含み、複数の導電率センサのそれぞれは、第1の容器の外面まで延び、複数の導電率センサのそれぞれは、炉心内の複数の異なる垂直領域の1つに対応し、第1の容器は、複数の導電率センサのそれぞれの上を外に向かって延びた複数の突出部を含む。
【0009】
少なくとも1つの例示的実施形態によれば、内部監視装置は、炉心の移動式炉心内計装(traversing in−core probe:TIP)管の内側に配置される。
【0010】
少なくとも1つの例示的実施形態によれば、内部監視装置は、1つまたは複数の内部センサアレイによって取られた測定結果をデジタル化することによって内部測定データを生成するように構成された、第1のデータプロセッサをさらに含む。
【0011】
少なくとも1つの例示的実施形態によれば、内部監視装置は、内部監視装置の外部の電源から電力を受け取るように構成された電源ラインを含む。
【0012】
少なくとも1つの例示的実施形態によれば、1つまたは複数の外部センサアレイの少なくとも1つは、炉心のガンマ線束および中性子束の少なくとも1つの測定を行うように構成される。
【0013】
少なくとも1つの例示的実施形態によれば、外部監視装置は、ステンレス鋼、タングステン、モリブデン、ニオブ、および炭化珪素の少なくとも1つからなる第2の容器をさらに含む。
【0014】
少なくとも1つの例示的実施形態によれば、1つまたは複数の外部センサアレイは、複数の検出ユニットを含む検出ユニットアレイを含み、複数の検出ユニットのそれぞれはガンマ線束および中性子束の少なくとも1つを測定するように構成され、複数の検出ユニットのそれぞれは炉心内の複数の異なる垂直領域の1つに対応する。
【0015】
少なくとも1つの例示的実施形態によれば、外部監視装置は、いずれの外部電源とも独立に外部監視装置に電力供給するように構成された電源ユニットをさらに含む。
【0016】
少なくとも1つの例示的実施形態によれば、外部監視装置は原子炉の内側の表面に外部監視装置を取り付けるように構成された結合ユニットをさらに含み、結合ユニットは磁石、接着剤、およびボルト締め機構の少なくとも1つを含む。
【0017】
少なくとも1つの例示的実施形態によれば、外部監視装置は、外部測定データに基づいてアクティブモードとスタンバイモードの1つになるように外部監視装置の動作モードを制御するように構成されたコントローラをさらに含む。外部監視装置は、スタンバイモードではアクティブモードよりも少ない電力を使用するように動作するように構成される。
【0018】
少なくとも1つの例示的実施形態によれば、受信器ステーションは、外部測定データと内部測定データの少なくとも1つに基づいて、クラッディング酸化、水位、クラッディング溶融、炉心再分布、核反応度k
eff、および温度の少なくとも1つを含む炉心内の条件を判定するように構成されたデータ処理ユニットを含む。
【0019】
少なくとも1つの例示的実施形態によれば、炉心または原子炉を監視するための装置は、ステンレス鋼よりも高い融点を有する剛体材料から作製された容器であって、炉心の内部管の内側に収まるように構成された、第1の容器と、1つまたは複数のセンサアレイであって、1つまたは複数の感知アレイの少なくとも1つは、炉心内の複数の異なる垂直領域のそれぞれにて炉心の温度および導電率の少なくとも1つの測定を行って内部測定データを生成するように構成された、1つまたは複数のセンサアレイと、内部測定データを原子炉の信号ラインに転送するように構成された1つまたは複数の内部信号ラインとを含むことができる。
【0020】
少なくとも1つの例示的実施形態によれば、容器はタングステン、モリブデン、ニオブ、および炭化珪素の少なくとも1つからなる。
【0021】
少なくとも1つの例示的実施形態によれば、容器は炉心の移動式炉心内計装(TIP)管の内側に収まるように構成される。
【0022】
少なくとも1つの例示的実施形態によれば、1つまたは複数の内部センサアレイは、複数の導電率センサを含む導電率センサアレイを含み、複数の導電率センサのそれぞれは、第1の容器の外面まで延び、複数の導電率センサのそれぞれは、炉心内の複数の異なる垂直領域の1つに対応し、第1の容器は、複数の導電率センサのそれぞれの上を外に向かって延びた複数の突出部を含む。
【0023】
本明細書での非限定的な実施形態の様々な特徴および利点は、添付の図面と併せて詳細な説明を読むことによってより明らかになるであろう。添付の図面は例示のためのみに示され、特許請求の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。添付の図面は明示的な別段の記載がない限り、原寸に比例して描かれていると見なされるべきではない。明瞭にするために図面の様々な寸法は誇張されている場合がある。
【発明を実施するための形態】
【0025】
要素または層が、他の要素または層「上に(on)」にある、他の要素または層に「接続される(connected to)」、「結合される(coupled to)」、または他の要素または層を「覆う(covering)」というときは、直接他の要素または層上にある、直接他の要素または層に接続される、結合される、または直接他の要素または層を覆う場合もあり、あるいは介在する要素または層が存在する場合もある。これに対比して、要素が「直接」他の要素または層「上に(directly on)」ある、他の要素または層に「直接接続される(directly connected to)」または「直接結合される(directly coupled to)」というときは、介在する要素または層は存在しない。本明細書の全体にわたって同じ番号は同じ要素を指す。本明細書で用いられる「および/または」という用語は、関連する列挙された品目のいずれか、およびそれらの1つまたは複数のすべての組み合わせを含む。
【0026】
本明細書では第1、第2、第3などの用語は様々な要素、構成要素、領域、層、および/または区間を表すために用いられる場合があるが、これらの要素、構成要素、領域、層、および/または区間はこれらの用語によって限定されるべきでないことを理解されたい。これらの用語は1つの要素、構成要素、領域、層、または区間を、他の要素、構成要素、領域、層、または区間と区別するためにのみ用いられる。したがって以下で述べられる第1の要素、構成要素、領域、層、または区間は、例示的実施形態の教示から逸脱せずに第2の要素、構成要素、領域、層、または区間と呼ぶこともできる。
【0027】
本明細書では図に示されるような1つの要素または特徴の、他の(1つまたは複数の)要素または(1つまたは複数の)特徴との関係を述べるときに説明しやすくするために、空間的に相対的な用語(たとえば「の下(beneath)」、「より下(below)」、「下側(lower)」、「の上(above)」、「上側(upper)」など)を用いる場合がある。空間的に相対的な用語は、使用時または動作時には図に示される向きに加えて、装置の異なる向きを包含するものであることを理解されたい。たとえば図の装置が反転された場合は、他の要素または特徴「より下(below)」または「の下(beneath)」として記述された要素は、他の要素または特徴「の上(above)」に方向付けられることになる。したがって「より下(below)」という用語は、「の上(above)」および「より下(below)」の両方を包含し得る。装置は他の方向に向けられる(90度または他の向きに回転される)場合もあり、本明細書で用いられる空間的に相対的な記述はそれに従って解釈される。
【0028】
本明細書で用いられる用語は様々な実施形態を説明するためのみであり、例示的実施形態を限定するものではない。本明細書で用いられる単数形「a」、「an」、および「the」は文脈がそうでないことを明らかに示さない限り複数形も含む。さらに本明細書で用いられるときは、用語「含む(includes)、(including)」、「備える(comprises)および/または(comprising)」は、記載された特徴、整数値、ステップ、動作、要素、および/または構成要素の存在を指定するものであるが、1つまたは複数の他の特徴、整数値、ステップ、動作、要素、構成要素、および/またはそれらのグループの存在または追加を排除するものではないことが理解されよう。
【0029】
本明細書では例示的実施形態について、例示的実施形態の理想化された実施形態(および中間構造体)の概略図である断面図を参照して説明される。したがってたとえば製造技術および/または公差の結果として、図示の形状からのばらつきが予想されるべきである。したがって例示的実施形態は、本明細書に示される領域の形状に限定されると解釈されるべきではなく、たとえば製造の結果として生じる形状の偏差を含むものと解釈されるべきである。
【0030】
別段の規定がない限り本明細書で用いられるすべての用語(技術用語および科学用語を含む)は、例示的実施形態が属する技術分野における当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。さらに一般に用いられる辞書で定義されるものを含む用語は、該当する技術分野との関連におけるそれらの意味と一貫性のある意味を有するものと解釈されるべきであり、本明細書で明示的に規定されない限り、理想化されたまたは過度に形式的な意味に解釈されるべきではないことが理解されよう。
【0031】
図1は原子炉システム100を示す。原子炉システム100は、たとえば原子力発電所内に置かれる。原子炉システム100は、原子炉構造体110および受信器ステーション170を含む。
【0032】
原子炉構造体は、炉心140、原子炉容器150、およびドライウェル160を含む。少なくとも部分的に炉心140の内側に、内部監視装置120が配置される。内部監視装置120は、炉心140の状態を監視するための内部センサ122を含む。内部センサ122はたとえば、炉心140の計装管145の内側に配置することができ、炉心140の長さ方向の直線に延びることができる。内部センサ120は、電源ライン125を通じて外部電源に接続することができる。内部監視装置120は、検出した測定結果をデータライン126を通じて出力することができる。内部監視ユニット120については
図2を参照してより詳しく述べる。
【0033】
炉心140の外側には外部監視装置130が配置される。外部監視装置130は、炉心140の状態を監視するための外部センサアレイ132を含む。外部センサアレイ132は、炉心140の外側にアレイにて配置することができ、炉心140の長さに対応する線に沿って延びる。外部監視装置はさらに、外部監視装置130に電力を供給するための電源ユニット134、および外部監視装置130によって検出された測定結果を無線で送信するための送信ユニット136を含む。外部監視装置130はたとえば原子炉容器150上に、またはドライウェル160内の別の位置に配置することができる。外部監視ユニット130については、
図3を参照してより詳しく述べる。
【0034】
図1に示される例示的実施形態では、1つの内部監視装置120と1つの外部監視装置130だけが示される。簡単にするために1つの内部監視装置120と1つの外部監視装置130だけが示されるが、少なくとも1つの例示的実施形態によれば、任意の数の内部監視装置120を炉心140内に配置することができ、任意の数の外部監視装置130を炉心140の外側の原子炉構造体110内に配置することができる。原子炉構造体110については
図2を参照して以下でより詳しく述べる。
【0035】
内部監視装置120は、炉心140の内側の条件を測定することによって原子炉状態測定結果を生成するように構成される。たとえば内部監視装置は、炉心140の内側の水位および/または温度を測定することができる。外部監視装置130は、炉心140の外側から炉心140の内側の条件を測定することによって原子炉状態測定結果を生成するように構成される。たとえば外部監視装置130は、炉心140の外側の位置にて中性子束またはガンマ線束を測定することができる。内部監視装置120および外部監視装置130は共に炉心140の長さに対応する方向に延びるので、内部監視装置120および外部監視装置130は、炉心140内の異なる高さにある複数の異なる位置のそれぞれにて炉心140の状態を表す測定結果を生成することができる。
【0036】
内部監視装置120および外部監視装置130はそれぞれ、測定した炉心140の状態を表すデータを受信器ステーション170に送信するように構成され、受信器ステーション170ではプラント運転員は環境的および/または動作的な測定結果を精査することができる。たとえば、少なくとも1つの例示的実施形態によれば、内部監視装置120および外部監視装置130は、生成された原子炉状態測定結果をデジタル化することによって原子炉状態データを形成することができる。内部監視装置120は、デジタル化した原子炉状態データをデータライン126を通じて受信ステーション170に送ることができる。外部監視装置130は、たとえば受信ステーション170を含む、原子炉構造体の外側の1つまたは複数の場所で受信するために、デジタル化した原子炉状態データをたとえば低周波電波138を用いて放送することができる。
【0037】
さらに内部監視装置120および外部監視装置130はそれぞれ、正常および非正常動作条件時に動作するように構造化される。本明細書で用いられる正常動作条件とは、内部監視装置120および外部監視装置130によって生成された原子炉状態測定結果のいずれも、プラント運転員の選択に従って定められた閾値範囲の外側ではない動作条件を指す。本明細書で用いられる非正常動作条件とは、内部監視装置120および外部監視装置130によって生成された原子炉状態測定結果のいずれかがプラント運転員の選択に従って定められた閾値範囲の外側である条件を指す。非正常動作条件は、上昇した原子炉圧力または温度を含む過酷さの低い事象から、たとえば冷却材喪失事故(LOCA)を含む非常に過酷な事象までの範囲にわたるいくつかのプラント過渡状態のいずれかに関連付けることができる。
【0038】
内部監視装置120および外部監視装置130はそれぞれ、たとえばLOCAの間の条件を含む過酷な非正常動作条件に関連する、極度の大きさの熱、放射線、および/または物理的力に耐えるように構成される。したがって内部監視装置120および外部監視装置130はそれぞれ、原子炉事故時またはその後にも、原子炉構造体110内の環境条件を表すデータを生成し送信するように構成される。内部監視装置120および外部監視装置130の構造および動作については、
図2および
図3を参照して以下でより詳しく述べる。
【0039】
図1に戻ると受信器ステーション170は、外部監視装置130から無線で送信された環境データを受信するように構成された受信装置172を含む。受信装置はたとえば、低周波無線送信を受信することができる任意の装置とすることができる。少なくとも1つの例示的実施形態によれば、受信器ステーション170は、プラント運転員が原子炉構造体110内に含まれる1つまたは複数の監視装置のいずれかから受け取ったデータを見て操作することができるデータ表示/処理装置174を含むことができる。
【0040】
データ表示/処理装置174は、データプロセッサと、プロセッサによって実行されたときに表示/処理装置に測定データ解釈アプリケーションを実施させる命令を記憶したメモリとを含むことができる。測定データ解釈アプリケーションは、内部監視装置120および外部監視装置130から測定データを受け取り、受け取った測定データに1つまたは複数の関数を適用し、1つまたは複数の関数の出力に基づいて炉心140の内側の条件を判定することができる。たとえば測定データおよび1つまたは複数の関数に基づいて、測定データ解釈アプリケーションはたとえば、クラッディング酸化、水位、クラッディング溶融、炉心再分布、核反応度k
eff、および温度を含む、炉心140内の異なる条件を表す出力を発生することができる。測定データ解釈アプリケーションについては
図4を参照して以下でより詳しく述べる。データ表示/処理装置174はたとえば、パーソナルコンピュータ、またはモニタおよびキーボードを含む端末装置とすることができる。簡単にするために
図1には1つの受信ステーションだけが示されるが、原子炉システム100は、たとえば原子炉構造体110の外側の位置にそれぞれが配置され、外部監視装置130によって放送され内部監視装置120によって送信された環境データをそれぞれが受信することができる任意の数の受信ステーションを含むことができる。
【0041】
したがって少なくとも1つの例示的実施形態による原子炉システム100を用いて、運転員は、たとえば受信ステーション170を含む、原子炉構造体110の外側の場所にて、たとえばLOCAを含む原子炉事故時またはその後も、異なる高さに配置された炉心140の複数の領域に対して炉心140の状態に関する有用な情報を受け取ることができる。
【0042】
次に内部監視装置120の構造および動作について、
図2を参照して以下でより詳しく述べる。
【0043】
図2は、例示的実施形態による内部監視装置120をより詳しく示す図である。
図2を参照すると内部監視装置120は、内部センサ122、電源ライン125、データライン126、第1の容器127、および第1のデータプロセッサ230を含むことができる。内部センサ122は、プラント運転員の選択に従って炉心140内の任意のタイプの環境条件を検出するためのセンサを含むことができる。たとえばセンサ122は、導電率センサアレイ122Aおよび温度センサアレイ122Bを含むことができる。導電率センサアレイ122Aは、異なる高さでの炉心140の領域に対応する異なる高さに配置された第1から第3の導電率センサ220A〜220Cを含むことができる。温度センサアレイ122Bは、異なる高さでの炉心140の領域に対応する異なる高さに配置された第1から第3の温度センサ250A〜250Cを含むことができる。
【0044】
簡単にするために導電率センサアレイ122Aは3つの導電率センサ220A〜Cだけを含むように示されるが、例示的実施形態によれば、導電率センサアレイ122Aは、たとえば炉心140の高さに等しい距離に延びるように垂直に配置された任意の数の導電率センサを含むことができる。さらに、簡単にするために温度センサアレイ122Bは3つの温度センサ250A〜Cだけを含むように示されるが、例示的実施形態によれば、温度センサアレイ122Bは、たとえば炉心140の高さに等しい距離に延びるように垂直に配置された任意の数の温度センサを含むことができる。
【0045】
図1を参照して上述したように内部監視装置120は、炉心140の計装管145内に配置することができる。計装管はたとえば空の、または未使用の空間を含むステンレス鋼の管とすることができる。計装管はたとえば、後に炉心140から除去された器具類のためにもともと用いられていた管でもよい。もとの器具類が除去されても計装管145は残る。したがって炉心140内に新たな貫通部または空洞を形成することを必要とせずに、炉心140内に内部センサ120を設置することができる。計装管145はたとえば、たとえばステンレス鋼から作製された移動式炉心内計装(TIP)管とすることができる。
【0046】
第1の容器127は、計装管145より高い融点を有する剛体材料から形成することができ、極度の物理的力を受けている間に変形に耐えることができる。たとえば第1の容器127は、たとえばタングステン、モリブデン、ニオブ、またはたとえば炭化珪素を含むセラミックを含む、ステンレス鋼より大幅に高い融点を有する剛体材料から形成することができる。
【0047】
少なくとも1つの例示的実施形態によれば第1の容器127は、内部センサ122、電源ライン125、およびデータライン126を保持し少なくとも部分的に取り囲む。たとえば導電率センサアレイ122Aの第1から第3の導電率センサ220A〜Cはそれぞれ、第1の容器127の外面上に配置することができる。過酷事故時には計装管145の材料、たとえばステンレス鋼は溶融する場合がある。溶融したステンレス鋼は、第1から第3の導電率センサ220A〜Cを覆う場合がある。この金属被覆は、第1から第3の導電率センサの正しい動作を妨げ得る。したがって第1の容器127は、計装管145の溶融部分が第1から第3の導電率センサ220A〜Cを覆うのを防ぐために、第1から第3の導電率センサ220A〜Cが配置される場所の上に外向きに延びる、突出部240を含むことができる。
【0048】
第1から第3の導電率センサ220A〜Cはそれぞれ、炉心140の内側の水位を推測または判定するために用いることができる、導電率測定結果を生成することができる。第1から第3の導電率センサ220A〜Cは、任意の知られているタイプの導電率センサとすることができる。抵抗は導電率の逆数である。したがってたとえば導電率センサが完全に水中に浸された場合は、測定される電気抵抗は無視できる程度である。しかし導電率プローブが窒素、水蒸気などの非導電性の環境に置かれた場合は、測定される抵抗は、ゼロの水位を示す無限大に近付く。第1から第3の導電率センサ220A〜Cのうちの1つの正常な動作は、計装管145内でゼロの水位を示す高抵抗の読みを有することである。過酷な非正常条件時には計装管145内の水位はゼロでない場合がある。第1から第3の導電率センサ220A〜Cは、導電率センサライン210Aを通じて導電率測定結果を出力することができる。
【0049】
第1から第3の温度センサ250A〜Cは、任意の知られているタイプの温度センサとすることができる。たとえば第1から第3のセンサ250A〜Cは、それぞれが1700℃の温度の定格を有するB型熟電対のアレイとすることができる。上述のように第1から第3の温度センサ250A〜Cはそれぞれ炉心140内の異なる高さに配置される。したがって炉心140内の複数の垂直位置から取られた温度の読みに基づいて、炉心140の状態をより高い精度で判定することができる。第1から第3の温度センサ250A〜Cは、温度センサライン210Bを通じて温度測定結果を出力することができる。
【0050】
第1のデータプロセッサ230は、導電率センサライン210Aを通じて導電率センサアレイ122Aから導電率測定結果を受け取ることができる。データプロセッサ230はまた、温度センサライン210Bを通じて温度センサアレイ122Bから温度測定結果を受け取ることができる。
【0051】
第1のデータプロセッサ230は、内部センサ122から受け取った測定結果を処理し、処理した測定データをデータライン126を通じて出力する。たとえばデータプロセッサ230は、内部センサ122から受け取った導電率および温度測定結果を処理し、処理した測定データをデータライン126を通じてたとえば受信ステーション170を含む1つまたは複数の外部の場所に出力する。データプロセッサ230によって行われる処理は、たとえばアナログ−デジタル変換を含むことができる。少なくとも1つの例示的実施形態によればデータプロセッサ230は、アナログ−デジタル変換を行うことができるハードウェアおよび/またはソフトウェアを含む。たとえばデータプロセッサ230は、アナログの形で受け取ることができる内部センサ122から受け取った測定結果を、デジタルの形に変換するアナログ−デジタル変換機能を含むことができる。アナログ−デジタル変換機能はまた、異なるタイプのデジタルデータ(たとえば導電率、温度など)が一貫した体系化された形で表されるように、データが関連する測定のタイプに従って生成されたデジタルデータを体系化することができる。少なくとも1つの例示的実施形態によれば、第1のデータプロセッサ230が処理した測定データをそれを通して出力するデータライン126は、炉心140内に既にある従来型の器具類のための既存のデータラインでよい。したがって内部監視ユニット120のために原子炉構造体110の全体にわたって新しいデータラインを走らせることが不要となり得る。
【0052】
内部センサ122、および内部監視ユニット120のデータプロセッサ230はそれぞれ、電源ライン125に結合され、それから電力を受け取ることができる。少なくとも1つの例示的実施形態によれば電源ライン125は、炉心140内に既にある従来型の器具類のための既存の電源ラインでよい。したがって内部監視ユニット120のために原子炉構造体110の全体にわたって新しい電源ラインを走らせることが不要となり得る。
【0053】
内部センサ122の導電率センサアレイ122Aおよび温度センサアレイ122B、および第1のデータプロセッサ230に関して上述した動作および機能プロセスは、たとえば1つまたは複数のデジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)などを含むハードウェアを用いて実施することができる。
【0054】
図3は、例示的実施形態による外部監視装置130をより詳しく示す図である。
【0055】
図3を参照すると第1の監視装置130は、外部センサアレイ132、電源ユニット134、送信器136、第2のデータプロセッサ310、コントローラ320、第2の容器330、および結合ユニット340を含むことができる。
【0056】
少なくとも1つの例示的実施形態によれば第2の容器330は、外部センサアレイ132、電源ユニット134、送信器136、第2のデータプロセッサ310、およびコントローラ320を取り囲み保持する。第1の容器127と同様に第2の容器330は、比較的高い融点を有する任意の剛体材料から形成することができ、極度の物理的力を受けている間に変形に耐えることができる。たとえば第2の容器330は、ステンレス鋼、タングステン、モリブデン、ニオブ、またはたとえば炭化珪素を含むセラミックから形成することができる。
【0057】
結合ユニット340は、第2の容器330を、外部監視装置130によって監視される原子炉構造体110の表面に取り付ける。たとえば
図3に示される実施例では、外部監視装置130は、結合ユニット340を介して原子炉容器150に取り付けられる。結合ユニット340は、容器330と、外部監視装置130が装着される表面との間に安定な接続部を形成することができる任意の装置とすることができる。たとえば結合ユニット340は、磁石、接着剤、およびボルトの少なくとも1つを含むことができる。
【0058】
外部センサアレイ132は、第1から第3の検出ユニット132A〜Cを含む検出ユニットのアレイを含むことができる。簡単にするために外部センサアレイ132は、3つの検出ユニット132A〜Cだけを含むように
図3に示され説明されるが、例示的実施形態によれば外部センサアレイ132は、たとえば炉心140の高さに等しい距離に延びるように垂直に配置された任意の数の検出ユニットを含むことができる。第1から第3の検出ユニット132A〜Cは、プラント運転員の選択に従って炉心140の状態をプラント運転員が推測することを可能にし得る任意のタイプの環境条件を検出するように構成することができる。たとえば第1から第3の検出ユニット132A〜Cは、中性子束および/またはガンマ線束を測定することができるハードウェアおよび/またはソフトウェアを含むことができる。中性子束および/またはガンマ線束センサハードウェアは、センサの測定能力を炉心140の特定の軸方向の場所に制限するためのコリメータを含むことができる。
【0059】
図3に示されるように外部センサアレイ132は、第2のデータプロセッサ310に接続される。少なくとも1つの例示的実施形態によれば、外部センサアレイ132は、環境測定結果315を第2のデータプロセッサ310に送ることができる。
【0060】
図2に示された第1のデータプロセッサ230と同様に、第2のデータプロセッサ310は、受け取った測定結果を処理し、処理した測定データ317を出力する。たとえば第2のデータプロセッサ310は、外部センサアレイ132から受け取った環境測定結果315を処理することができる。
図2を参照して上述した第1のデータプロセッサ230と同様に、第2のデータプロセッサ310によって行われる処理は、たとえばアナログ−デジタル変換を含むことができる。しかし第2のデータプロセッサ310によって行われる処理はまた暗号化を含むことができる。少なくとも1つの例示的実施形態によれば、第2のデータプロセッサ310は、アナログ−デジタル変換を行うことができるハードウェアおよび/またはソフトウェアを含む。たとえば第2のデータプロセッサ310は、外部センサアレイ132からアナログの形で受け取ることができる環境測定結果315をデジタルの形に変換する、アナログ−デジタル変換機能を含むことができる。第1のデータプロセッサ230と同様に、第2のデータプロセッサ310のアナログ−デジタル変換機能はまた、異なるタイプのデジタルデータ(たとえば中性子束、ガンマ線束など)が一貫した体系化された形で表されるように、データが関連する測定のタイプに従って生成されたデジタルデータを体系化することができる。さらに少なくとも1つの例示的実施形態によれば、第2のデータプロセッサ310はまた、データ暗号化を行うことができるハードウェアおよび/またはソフトウェアを含むことができる。たとえば第2のデータプロセッサ310は、アナログ−デジタル変換機能によって生成されたデジタル測定データを暗号化する、暗号化機能を含むことができる。少なくとも1つの例示的実施形態によれば、測定データは、意図した受信者だけが測定データを読めることを確実にするのに役立つように暗号化することができる。意図した受信者には、たとえば
図1に示される受信ステーション170が含まれる。第2のデータプロセッサ310によって行われるアナログ−デジタル変換および暗号化機能は、それぞれアナログ−デジタル変換および暗号化の任意の知られている方法に従って行うことができる。第2のデータプロセッサ310は、処理した環境測定結果を測定データ317の形で送信器136に出力する。少なくとも1つの例示的実施形態によれば第2のデータプロセッサ310はまた、測定データ317をコントローラ320に出力することができる。
【0061】
送信器136は測定データ317を外部監視装置130から無線で外に向けて送信する。送信器136は無線信号138を用いて測定データ317を送信することができる。たとえば送信器136は、無線信号138として300Hzから300kHzの範囲の低周波(LF)または超低周波(ULF)無線信号を用いて測定データ317を送信することができる。送信器136はたとえば、低周波電波を用いてデータを送信することができる任意の知られている装置を含むことができる。低周波電波は、外部監視装置130が取り付けられた原子炉構造体の基礎構造を貫通するのに十分低い任意の電波でよい。
【0062】
電源ユニット134は、外部センサアレイ132、第2のデータプロセッサ310、送信器136、およびコントローラ320の動作のために必要な電力を供給する。少なくとも1つの例示的実施形態によれば電源ユニット134は、外部監視装置130の外部のいずれの電源からも独立に動作することができる。たとえば電源ユニット134は1つまたは複数の電池および/または燃料電池を含むことができる。
【0063】
少なくとも1つの例示的実施形態によれば、電源ユニット134の寿命を延ばすために、外部監視装置130内の1つまたは複数の要素は、スタンバイおよびアクティブの少なくとも2つの動作モードで動作することができる。動作モードはたとえばコントローラ320によって制御することができる。
【0064】
コントローラ320は、外部センサアレイ132、データプロセッサ310、送信器136、および電源ユニット134の1つまたは複数の動作モードを制御するように制御信号325を生成するためのハードウェアおよび/またはソフトウェアを含むことができる。動作モードは少なくとも、正常動作条件時の動作のためのスタンバイモードと、非正常動作条件時の動作のためのアクティブモードとを含むことができる。コントローラ320は、外部監視装置130が取り付けられた原子炉構造体がたとえばLOCAを含む非正常条件を受けているかどうかに基づいて、動作モードを選択することができる。たとえばコントローラ320は、第2のデータプロセッサ310から環境測定データ317を受け取り、測定データ317に基づいて非正常条件が存在するかどうかを判定することができる。次いでコントローラ320は、正常動作条件が存在する場合は動作モードをスタンバイに設定し、非正常動作条件が存在する場合は動作モードをアクティブに設定する。コントローラ320は、測定データ317を、コントローラ320内に内部的に記憶された閾値と比較することによって非正常条件が存在するかどうかを判定することができる。閾値はプラント運転員の選択に従って設定することができる。
【0065】
スタンバイモードではコントローラ320は、正常動作条件時に電力を節約するためにより少ない頻度でまたは間欠的に動作するように、外部監視装置130内の1つまたは複数の要素を制御することができる。アクティブモードではコントローラ320は、より頻繁にまたは連続して動作するように、外部監視装置130内の1つまたは複数の要素を制御することができる。したがってアクティブモードでは外部監視装置130は、緊急状態時に、
図1に示される受信ステーション170を含む外部の場所にてたとえばプラント運転員に、たとえば絶え間ないリアルタイム測定データを供給することができる。
【0066】
少なくとも1つの例示的実施形態によればスタンバイモードでは、たとえば第1から第3の検出ユニット132A〜Cを含む、外部検出アレイ132の検出ユニットは、たとえば1〜5分ごとに間欠的に動作して環境測定結果315を供給する。さらにデータプロセッサ310は、検出アレイ132の動作に対応して間欠的に動作することができる。さらにスタンバイモードではデータプロセッサは、データをコントローラ320のみに供給し、送信器136には供給せず、送信器136は全くデータを送信しないようにすることができる。さらにスタンバイモードでは電源ユニット134は、アクティブモードに比べて低い電力出力を生じるように構成することができる。
【0067】
少なくとも1つの例示的実施形態によればアクティブモードでは、たとえば第1から第3の検出ユニット132A〜Cを含む、外部検出アレイ132の検出ユニットは連続して動作して環境測定結果315を絶え間なく生成することができ、第2のデータプロセッサ310は連続して動作し、環境測定結果315を絶え間なく処理して測定データ317を生成することができる。さらにアクティブモードでは第2のデータプロセッサ310は、測定データ317を送信器136に供給することができ、送信器136は、たとえば低周波電波を用いて測定データを連続して送信することができる。さらにアクティブモードでは電源ユニット134は、スタンバイモードに比べて高い電力出力を生じるように構成することができる。
【0068】
したがってスタンバイおよびアクティブモードの動作を利用することによって、第1の外部監視装置は、独立電源を用いながら延長された期間、機能することができる。少なくとも1つの例示的実施形態によれば、外部センサアレイ132、第2のデータプロセッサ310、送信器136、コントローラ320、および電源ユニット134は、外部監視装置130によって監視される原子炉の燃料補給サイクルの長さの少なくとも1.5倍に等しいスタンバイ寿命をもたらすように構成される。
【0069】
外部センサアレイ130の第1から第3の検出ユニット132A〜C、第2のデータプロセッサ310、送信器136、コントローラ320、および電源ユニット134を含む検出ユニットに関して上述した動作および機能プロセスは、たとえば1つまたは複数のデジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)などを含むハードウェアを用いて実施することができる。次に、内部センサ120および外部センサ130によって生成された測定データを用いて炉心140の状態を判定する方法について、
図4を参照して以下でより詳しく述べる。
【0070】
図4は例示的実施形態による、測定データを用いて炉心の状態を判定するやり方を示す機能図である。
図4に示される動作は、たとえば
図1を参照して上述したデータ表示/処理装置174によって実行される測定データ解釈アプリケーションによって実施することができる。
【0071】
図4を参照すると、内部センサ122によって生成され、少なくとも1つの例示的実施形態により第1のデータプロセッサ230によって処理された温度測定データ23および導電率測定データ24は、内部測定データセット21として編集することができる。内部測定データセット21は、導電率センサアレイ122Aの導電率センサ220および温度センサアレイ122Bの温度センサ250が位置する炉心140の複数の異なる高さのそれぞれに対応する、温度測定データ23および導電率測定データ24を含む。
【0072】
外部センサ132によって生成され、少なくとも1つの例示的実施形態により第2のデータプロセッサ310によって処理されたガンマ線束測定データ25および中性子束測定データ26は、外部測定値セット22として編集することができる。内部測定値セット21と同様に、外部測定値セット22は、外部センサアレイ132の検出ユニットが位置する炉心140の複数の異なる高さのそれぞれに対応する、ガンマ線束測定データ25および中性子束測定データ26を含む。
【0073】
後処理機能28は、内部測定データセット21および外部測定データセット22に対して追加の操作を行う機能である。追加の操作は、プラント運転員の選択に従った任意のデータ処理機能を含むことができる。たとえば、温度測定データ23、導電率測定データ24、ガンマ線束測定データ25、および中性子束測定データ26のいずれかが暗号化されていれば、後処理機能28は暗号化された測定データを知られている方法に従って復号化することができる。
【0074】
測定データが後処理機能28によって処理された後に、測定データを用いて、たとえば知られている計算方法に従って炉心140の炉心状態33を判定することができる。たとえば比較関数を測定データに適用することができる。たとえばガンマ線束測定データ25にガンマ線束比較関数29を適用することができ、中性子束測定データ26に中性子束比較関数30を適用することができ、温度測定データ23に温度比較関数31を適用することができ、導電率測定データ24に導電率比較関数32を適用することができる。
【0075】
ガンマ線束比較関数29は、外部測定値セット22からの各ガンマ線束測定結果gamma
measuredを対応するガンマ線束閾値gamma
thresholdと比較することができる。閾値は、たとえばプラント運転員の選択に従って選ぶことができる。たとえばガンマ線束データ25内に含まれる測定結果が取られた炉心140の各高さに対して、対応するガンマ線束閾値gamma
thresholdがあり得る。ガンマ線束比較関数29は出力として、ガンマ線束測定結果gamma
measuredとガンマ線束閾値gamma
thresholdの比較に基づいて差分値を生成することができる。
【0076】
同様に中性子束比較関数30は、外部測定値セット22からの各中性子束測定結果neutron
measuredを対応する中性子束閾値neutron
thresholdと比較することができる。閾値は、たとえばプラント運転員の選択に従って選ぶことができる。たとえば中性子束データ26内に含まれる測定結果が取られた炉心140の各高さに対して、対応する閾値neutron
thresholdがあり得る。中性子束比較関数30は出力として、中性子束測定結果neutron
measuredと中性子束閾値neutron
thresholdの比較に基づいて差分値を生成することができる。
【0077】
さらに温度比較関数31は、内部測定値セット21からの各温度測定結果temp
measuredを対応する温度閾値temp
thresholdと比較することができる。閾値は、たとえばプラント運転員の選択に従って選ぶことができる。たとえば温度データ23内に含まれる測定結果が取られた炉心140の各高さに対して、対応する温度閾値temp
thresholdがあり得る。温度比較関数31は出力として、温度測定結果temp
measuredと温度閾値temp
thresholdの比較に基づいて差分値を生成することができる。
【0078】
同様に導電率比較関数32は、内部測定値セット21からの各導電率測定結果cond
measuredを対応する導電率閾値cond
thresholdと比較することができる。閾値は、たとえばプラント運転員の選択に従って選ぶことができる。たとえば導電率データ24内に含まれる測定結果が取られた炉心140の各高さに対して、対応する導電率閾値cond
thresholdがあり得る。導電率比較関数32は出力として、導電率測定結果cond
measuredと導電率閾値cond
thresholdの比較に基づいて差分値を生成することができる。
【0079】
炉心状態関数は、ガンマ線束比較関数29、中性子束比較関数30、温度比較関数31、および導電率比較関数32の出力を解釈して炉心140の内側の条件を判定することができる。判定される条件にはたとえば、クラッディング酸化、クラッディング溶融、炉心再分布、核反応度k
eff、炉心損傷のパーセンテージ、温度レベル、および炉心の内側の水位を含むことができる。
【0080】
したがって例示的実施形態によれば、監視される炉心の内側および外側の諸位置に配置された頑丈に構築された原子炉監視装置によって取られた測定結果を用いることによって、重大な原子炉事故に関連するもののような過酷な非正常条件時であっても、監視される炉心の状態に関する情報を得ることができる。炉心状態情報は、原子炉事故の検出、評価、および対処においてプラント運転員を補助することになる。
【0081】
本明細書ではいくつかの例示的実施形態が開示されたが、他の変形形態が可能であることを理解されたい。このような変形形態は本開示の趣旨および範囲から逸脱するものと見なされるべきではなく、当業者には明らかなすべてのこのような変更形態は添付の特許請求の範囲に含まれるものである。