(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、その
図7に示すように、ロードセルに接続されたロードセル用ケーブルは、アクチュエータの筐体外部に配線されて、モータケーシング内にまで引き出されている。そして、モータケーシング内で、エンコーダケーブルに接続されている。したがって、ロードセル用ケーブルの一部は、アクチュエータの筐体外部に露出する。ロードセルは、ロッドとともに進退移動するため、ロードセル用ケーブルを、筐体外部で撓ませる必要がある。結果的に、アクチュエータの設置スペースを、ロードセル用ケーブルの撓み分だけ広く確保する必要があった。
【0005】
本発明は、上述の事情の下になされたもので、ケーブルを有する電子デバイスがロッドの先端に取り付けられた場合でも、広い設置スペースを要しないアクチュエータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の目的を達成するために、本発明に係るアクチュエータは、
回転軸を備えるモータと、
前記回転軸とともに回転するネジ軸と、前記ネジ軸に螺合されたナットとを備え、前記ネジ軸の回転運動を、前記ナットの直線運動に変換する変換機構部と、
前記ナットに接続されることにより、前記ナットとともに直線運動する移動体と、
前記移動体を、移動可能に支持するレール部を備えたベース部材と、
前記移動体に取り付けられることで軸方向に直線運動し、電子デバイスが先端に設けられるロッドと、
前記電子デバイスに接続され、電源及び信号を伝送する第1ケーブルと、
を有し、
前記ロッドには、前記第1ケーブルが挿通される第1挿通部が形成されていることを特徴とする。
【0007】
前記ロッドは、
前記ネジ軸が挿入される挿入孔が形成されたロッド本体と、
前記挿入孔に嵌め込まれる嵌合部材と、
を有し、
前記第1挿通部は、前記ロッド本体の前記挿入孔の内周面と、前記嵌合部材の外周面とによって形成されていてもよい。
【0008】
前記嵌合部材は、前記ロッドの前記軸方向に沿って、外周に溝が形成された円筒形状に形成され、
前記溝は、前記第1挿通部の一部を構成してもよい。
【0009】
本発明に係るアクチュエータは、
前記第1ケーブルに接続され、電源及び信号を伝送する第2ケーブルを有し、
前記第2ケーブルは、一端が前記移動体に固定され、折り返されて、他端が前記ベース部材に固定されていてもよい。
【0010】
前記第2ケーブルは、フレキシブルプリント基板から構成されていてもよい。
【0011】
前記第2ケーブルは、帯状のフラットケーブルから構成されていてもよい。
【0012】
本発明に係るアクチュエータは、
前記第2ケーブルに接続され、電源及び信号を伝送する第3ケーブルを有し、
前記ベース部材には、前記第3ケーブルが挿通される第2挿通部が形成されていてもよい。
【0013】
前記第2挿通部は、前記ベース部材の壁部内に形成された孔であってもよい。
【0014】
本発明に係るアクチュエータは、
前記モータの前記回転軸の回転運動を前記ネジ軸に伝達するベルトと、前記ベルトを収納するベルト収容部と、を有する折り返しユニットを有し、
前記モータは、モータ本体と、前記モータ本体を収容するモータハウジングと、を備え、
前記第2挿通部に挿通された前記第3ケーブルの端部は、前記ベルト収容部内を通って、前記モータハウジング内に挿入されていてもよい。
【0015】
本発明に係るアクチュエータは、
前記ロッドの先端に設けられる前記電子デバイスを有し、
前記電子デバイスは、前記ロッドの先端が作業対象に押し付けられた場合に、荷重を検出するロードセルであってもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、電子デバイスに接続された第1ケーブルは、ロッドに形成された挿通部に挿通されることで、アクチュエータの筐体外部に配線されずに、アクチュエータ内部に配線することが可能になる。このため、電子デバイスがロッドの先端に取り付けられた場合でも、広い設置スペースの確保が不要になる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の第実施形態に係るアクチュエータ10について
図1〜
図20を参照しつつ説明する。なお、理解を容易にするため、XYZ座標を設定し、適宜参照する。
【0019】
アクチュエータ10は、
図1及び
図2に示すように、Y軸方向に進退移動するロッド11を有するロッド型アクチュエータである。また、このアクチュエータ10は、アクチュエータ本体10Aに対して、モータユニット20が折り返して取り付けられた折返しタイプのアクチュエータである。アクチュエータ10は、
図3に示すように、アクチュエータ本体10Aと、モータユニット20と、折返しユニット90と、ロードセル100とを有する。なお、本実施形態に係るアクチュエータ10は、ロードセル100を有するサーボプレス(電動プレス装置)である。
【0020】
ロードセル100は、
図4に示すように、ロッド11の先端に取り付けられている。ロードセル100は、ロードセル本体101と、フレーム102、103、104と、複数のボルト105、106とを有する。
【0021】
ロードセル本体101は、ロッド11の先端が作業対象に押し付けられた場合に、荷重を検出し、その荷重に応じた信号を出力するセンサである。ロードセル本体101からは、電源及び信号を伝送するためのロードセルケーブル101aが引き出されている。ロードセルケーブル101aの先端には、コネクタ101bが設けられている。
【0022】
フレーム102には、Y軸方向に貫通する貫通孔102aが形成されている。フレーム102の貫通孔には、ロードセル本体101が、+Y側から挿入される。貫通孔102aにロードセル本体101が挿入されると、ロードセル本体101の先端部(−Y側の端部)が、フレーム102から露出する(
図3参照。)。貫通孔102aにロードセル本体101が挿入されたフレーム102には、フレーム103が、複数のボルト105によって固定される。さらに、フレーム103には、フレーム104が、複数のボルト106によって固定される。フレーム104に形成された貫通孔に内周面には、雌ネジ部が形成されている。この雌ネジ部には、ロッド11の先端部(−Y側の先端部)の外周面に形成された雄ネジ部が螺合する。
【0023】
アクチュエータ10は、
図5に示すように、第1ケーブル110と、第2ケーブル120と、第3ケーブル130とを有する。第1ケーブル110、第2ケーブル120、及び第3ケーブル130は、ロードセル本体101が検出した荷重に応じた信号を伝送したり、ロードセル本体101に電源を供給したりするために用いられる。
【0024】
第1ケーブル110は、アクチュエータ本体10Aの内部に収納されている。第1ケーブル110の−Y側の端部及び+Y側の端部には、コネクタ111、112が設けられている。コネクタ111は、ロードセルケーブル101aのコネクタ101bに接続される。これにより、第1ケーブル110とロードセルケーブル101aとは電気的に接続される。
【0025】
第2ケーブル120は、第1ケーブル110と同様に、アクチュエータ本体10Aの内部に収納されている。第2ケーブル120は、本実施形態においては、フレキシブルプリント基板から構成されている。第2ケーブル120の両端部には、コネクタ変換用基板121、122が設けられている。コネクタ変換用基板121には、第1ケーブル110のコネクタ112が接続される。これにより、第2ケーブル120と第1ケーブル110とは電気的に接続される。また、第2ケーブル120は、折り返し部分123で折り返されて、コネクタ変換用基板122が、第3ケーブル130に接続される。
【0026】
第3ケーブル130は、アクチュエータ本体10Aの内部から、折返しユニット90の内部を通って、モータユニット20の内部に引き出されている。第3ケーブル130の両端部には、コネクタ131、132が設けられている。コネクタ131は、第2ケーブル120のコネクタ変換用基板122に接続される。これにより、第3ケーブル130と第2ケーブル120とは電気的に接続される。
【0027】
モータユニット20は、
図6に示すように、モータ本体21と、エンコーダと、モータ本体21及びエンコーダを収納、保護するモータハウジング22と、プーリ23と、アクチュエータケーブル24a、24bとを有する。
【0028】
モータ本体21は、例えば、サーボモータであり、出力軸21a(回転軸)、ロータ、ステータ、エンコーダ、減速器等を有している。モータ本体21には、電源から電力が供給される。モータ本体21に電力が供給されることによって、モータ本体21のロータが回転する。このロータの回転運動は、例えば、減速器によって所定の減速比で減速され、出力軸21aに出力される。出力軸21aは、ボールベアリング25によって、モータハウジング22に回転可能に支持されているため、出力軸21aは、モータ本体21のロータとともに回転する。
【0029】
プーリ23は、出力軸21aの先端(+Y側の端部)に取り付けられている。プーリ23は、例えば、外周面に複数の歯が形成されたタイミングプーリである。このプーリ23は、例えば、複数のねじ部材が径方向から挿入されることによって、モータ本体21の出力軸21aに対して回り止めされた状態で固定されている。このねじ部材により、プーリ23は、出力軸21aとともに回転する。
【0030】
アクチュエータケーブル24a、24bは、モータハウジング22から引き出されている。引き出されたアクチュエータケーブル24a、24bは、図示しないコントローラに接続される。コントローラは、ティーチングペンダントからの入力に基づいて、アクチュエータ10を制御する。コントローラは、例えば、CPU(Central Processing Unit)、主記憶部、補助記憶部等を含んで構成されている。
【0031】
アクチュエータケーブル24aは、例えば、モータケーブルであり、コントローラから、モータ本体21を制御するための信号を伝送するために用いられる。
【0032】
アクチュエータケーブル24bは、例えば、エンコーダケーブルであり、エンコーダからの検出信号を伝送するために用いられる。なお、このアクチュエータケーブル24bには、モータユニット20の内部に引き出された第3ケーブル130のコネクタ132が接続される。
【0033】
アクチュエータ本体10Aは、
図7及び
図8に示すように、上述したロッド11に加えて、ベース部材30と、カバー部材40と、スライド部50と、ボールネジ60と、フロントブラケット70と、ベアリングユニット80とを有している。
【0034】
ロッド11は、Y軸方向を長手方向とする円筒形状の部材である。ロッド11は、スライド部50に固定されることで、+Y方向及び−Y方向の双方向に移動する。ロッド11は、
図9及び
図10に示すように、ロッド本体12と、パイプ部材13(嵌合部材)とを有する。
【0035】
ロッド本体12は、内部に貫通孔12aが形成された略円筒形状の部材である。ロッド本体12は、例えば、ステンレス鋼からなる。ただし、ロッド本体12の素材は、任意であり、ステンレス鋼以外のものであってもよい。例えば、アルミニウムであってもよい。
【0036】
パイプ部材13は、内部に貫通孔が形成された略円筒形状の部材である。パイプ部材13は、
図10に示すように、その外径が、ロッド本体12の貫通孔12aの内径に同等になるように形勢されている。パイプ部材13は、例えば、ポリ塩化ビニル等の樹脂からなる。
図11に示すように、パイプ部材13の外周には、長手方向に沿って、溝13aが形成されている。
【0037】
パイプ部材13が、ロッド本体12の貫通孔12aに嵌め込まれると、
図9及び
図10に示すように、貫通孔12aの内周面と、パイプ部材13の溝13aとによって、挿通部14が形成される。この挿通部14には、第1ケーブル110が挿通される。
図12に示すように、第1ケーブル110の−Y側の端部に設けられたコネクタ111は、ロッド11から外部に引き出される。
【0038】
ベース部材30は、スライド部50をY軸方向に移動可能に支持する部材であり、アクチュエータ10の筐体の一部を構成する。ベース部材30は、
図13及び
図14に示すように、ベース部材30の本体部分と、レール部33R、33Lとを有する。ベース部材30の本体部分は、例えば、アルミニウムを押出成形することによって形成される。また、ベース部材30の断面(XZ断面)は、略U字状に形成されている。ベース部材30は、底板部31と、底板部31の+X側及び−X側の端部から上方(+Z方向)に延びるように形成された側壁部32R、32Lとを有する。
【0039】
側壁部32R、32Lの内側の面(側壁部32Rの−X側の面、側壁部32Lの+X側の面)には、凹部がそれぞれ形成されている。凹部には、Y軸方向を長手方向とする線状のレール部33R、33Lが取り付けられている。レール部33R、33Lは、例えば、鋼材からなる。レール部33Rの−X側の面及びレール部33Lの+X側の面には、溝部がそれぞれ形成されている。溝部の内面は、略湾曲面として構成されている。なお、本実施形態では、レール部33R、33Lは、ベース部材30を構成する一つの部品であり、ベース部材30の本体部分とは、別の部材として構成されているが、ベース部材30の本体部分に一体に形成されていてもよい。
【0040】
ベース部材30の底板部31には、2つの貫通孔34R、34Lが形成されている。貫通孔34R、34Lは、Y軸方向に貫通して形成されている。貫通孔34R、34Lは、ベース部材30の軽量化を図るために形成されている。また、ベース部材30には、
図13に示すように、上側(+Z側)に開口する開口部35が形成されている。開口部35によって、貫通孔34Rは、外部に通じている。開口部35は、側壁部32R近傍に形成されている。また、開口部35は、平面視で、略L字形状に形成されている。
【0041】
上述のように構成されたベース部材30の貫通孔34Rには、第3ケーブル130が挿通される。したがって、貫通孔34Rは、第3ケーブル130が挿通される挿通部として機能する。詳しくは、
図15に示すように、貫通孔34Rの+Y側から、第3ケーブル130のコネクタ131が挿入される。コネクタ131は、貫通孔34Rを通って、
図16Aに示すように、開口部35に引き出される。
【0042】
開口部35には、
図16Bに示すように、第2ケーブル120のコネクタ変換用基板122が、開口部35の一部を覆うように、上方から取り付けられる。コネクタ変換用基板122は、ネジ124によって、ベース部材30の表面に固定される。コネクタ131は、開口部35内で、コネクタ変換用基板122に接続される。
【0043】
カバー部材40は、
図8に示すように、スライド部50の上方を覆う部材であり、ベース部材30の上側(+Z側)に配置される。カバー部材40は、アクチュエータ10の筐体の一部を構成する。カバー部材40は、例えば、アルミニウムを押出成形することによって形成される
【0044】
スライド部50は、
図12に示すように、ロッド11とともに+Y方向及び−Y方向の双方向に移動する部材である。スライド部50は、
図14に示すように、複数の転動体Bを介して、ベース部材30のレール部33R、33Lに支持されている。転動体Bは、例えば、鋼材からなる。転動体Bが、ベース部材30のレール部33R、33Lを転動することにより、スライド部50は、ベース部材30に支持されつつ、+Y方向及び−Y方向の双方向に円滑に移動する。
【0045】
図12に示すように、スライド部50の上面(+Z側の面)には、第2ケーブル120のコネクタ変換用基板121が取り付けられている。コネクタ変換用基板121は、ネジ125によって、スライド部50に固定されている。
【0046】
スライド部50の内部には、第1ケーブル110を挿通する孔部51が形成されている。孔部51から、第1ケーブル110のコネクタ112が引き出されている。コネクタ112は、スライド部50の上面で、コネクタ変換用基板121に接続されている。
【0047】
図17は、ボールネジ軸61と第2ケーブル120との位置関係を説明するための図であり、
図12のD−D線の断面を一部簡略化して示した図である。
図17に示すように、第2ケーブル120は、ボールネジ軸61+X側に配置されている。詳しくは、第2ケーブル120のコネクタ変換用基板121は、スライド部50の上面の+X側に取り付けられている。また、第2ケーブル120のコネクタ変換用基板122は、ベース部材30の底板部31の上面の+X側に取り付けられている。これにより、スライド部50がY軸方向に移動する場合、第2ケーブル120の折り返し部分123が、ボールネジ軸61に干渉せずに、Y軸方向に移動する。
【0048】
ボールネジ60は、
図6及び
図7に示すように、ボールネジ軸61と、ボールネジナット62と、プーリ63とを有する。ボールネジ60は、ボールネジ軸61の回転運動を、ボールネジナット62の直線運動に変換する部材である。
【0049】
ボールネジ軸61は、外周面が螺旋状のボールねじ面として構成されたボールネジ軸本体61aと、ボールネジ軸本体の+Y側の端部に形成された小径部61bとから構成される。小径部61bには、ベアリングユニット80とプーリ63とが取り付けられる。
【0050】
ボールネジナット62は、ボールネジ軸本体61aの外周に配置されている。このボールネジナット62は、ボールネジ軸61に複数の転動体を介して嵌め込まれる。この転動体が転動することにより、ボールネジ軸61の回転運動が、ボールネジナット62の直線運動に円滑に変換される。また、ボールネジナット62は、スライド部50に形成された貫通孔の+Y側からは、挿入されて、ボルト等により固定される。
【0051】
プーリ63は、例えば、外周面に複数の歯が形成されたタイミングプーリである。このプーリ63は、例えば、複数のねじ部材が径方向から挿入されることによって、ボールネジ軸61の小径部61bに対して回り止め状態で固定されている。複数のネジ部材により、ボールネジ軸61は、プーリ63とともに回転する。
【0052】
フロントブラケット70は、ベース部材30及びカバー部材40の−Y側に固定される部材である。フロントブラケット70は、アクチュエータ10の筐体の一部を構成する。フロントブラケット70には、
図8に示すように、ロッド11を通すための貫通孔71が形成されており、この貫通孔71の内周面には、オイルレスベアリングが配置されている。オイルレスベアリングは、ロッド11をY軸方向に移動可能に支持する。また、フロントブラケット70には、Y軸方向に貫通するネジ用貫通孔が形成されている。ネジ用貫通孔は、貫通孔71の外周に沿って、8箇所、形成されている。ネジ用貫通孔には、フロントブラケット70を、ベース部材30及びカバー部材40に固定するためのボルト72が挿入される。ネジ用貫通孔に挿入されたボルト72は、ベース部材30及びカバー部材40のねじ穴に捻じ込まれる。これにより、フロントブラケット70は、ベース部材30及びカバー部材40に固定される。
【0053】
ベアリングユニット80は、
図6及び
図7に示すように、ベアリング81と、ベアリングハウジングと、ベアリング押え部とを有する。このベアリングユニット80は、ボールネジ軸61を挿入するための貫通孔が形成されており、この貫通孔の内周面には、ベアリング81が配置されている。ベアリング81は、例えば、円錐ころ軸受から構成される。ベアリング81は、貫通孔の−Y側から嵌め込まれ、ベアリング押え部によって押さえ込まれている。そして、ベアリング押え部は、ボルトによって、ベアリングハウジングに固定されている。ベアリング81によって、ボールネジ軸61は回転可能に支持される。
【0054】
折返しユニット90は、アクチュエータ本体10Aと、モータユニット20とを連結する部材である。折返しユニット90は、ベルト91と、ベルト91を収容するベルト収容部92とを有する。
【0055】
ベルト91は、モータユニット20のプーリ23と、ボールネジ60のプーリ63とに、張力がかかった状態に取り付けられる。これにより、プーリ23の回転運動は、ボールネジ60のプーリ63に伝達される。ベルト91は、例えば、プーリ23、63に形成された歯に係合する複数の歯が形成されたタイミングベルトである。
【0056】
ベルト収容部92は、
図3に示すように、略直方体形状に形成されたケースである。ベルト収容部92の−Y側の面92Aには、モータユニット20のモータハウジング22と、ベース部材30及びカバー部材40とが固定される。モータハウジング22、ベース部材30及びカバー部材40は、例えば、複数のボルトによって固定されている。また、ベルト収容部92の−Y側の面92Aには、取付け孔93、94が形成されている。
図6に示すように、取付け孔93には、モータユニット20のプーリ23が挿入される。また、取付け孔94には、ボールネジ60のプーリ63が挿入される。
【0057】
また、
図3に示すように、ベルト収容部92の面92Aには、第3ケーブル130を挿通するための挿通孔95、96が形成されている。第3ケーブル130のコネクタ132は、挿通孔95に挿入されて、ベルト収容部92の内部を通って、挿通孔96から引き出されている。
【0059】
先ず、モータユニット20のモータ本体21に電源が供給されることによって、
図18Aに示すように、モータ本体21の出力軸21aが、所定の回転方向に回転(正転)する。出力軸21aが回転すると、プーリ23も回転(正転)する。プーリ23が回転すると、ベルト91を介して、ボールネジ60のボールネジ軸61に固定されているプーリ63も、同じ方向に回転(正転)し、ボールネジ軸61も回転(正転)する。ボールネジ60は、ボールネジ軸61の回転運動を、ボールネジナット62の直線運動に変換する。
【0060】
このボールネジナット62の直線運動に伴って、スライド部50は、例えば、−Y方向に移動する。このとき、
図19A及び
図19Bに示すように、第2ケーブル120の折り返し部分123が−Y方向に移動しつつ、スライド部50は、−Y方向に移動する。
【0061】
また、第2ケーブル120の両端に設けられたコネクタ変換用基板121、122は、
図12及び
図20に示すように、ボールネジ60の+X側に配置されるように、スライド部50及びベース部材30に固定されている。このため、ボールネジ軸61に干渉せずに、第2ケーブル120の折り返し部分123が−Y方向に移動する。
【0062】
スライド部50が−Y方向に移動すると、ロッド11の先端に取り付けられたロードセル本体101が、作業対象であるワークWに押し付けられる。ロードセル本体101は、このときの荷重を検出し、その荷重に応じた信号を出力する。ロードセル本体101からの信号は、
図1及び
図5を参照するとわかるように、ロードセルケーブル101a、第1ケーブル110、第2ケーブル120、第3ケーブル130、及びアクチュエータケーブル24bを経由して、コントローラに出力される。
【0063】
続いて、
図18Bに示すように、モータ本体21の出力軸21aが、所定の回転方向とは逆方向に回転(逆転)すると、ベルト91を介して、ボールネジ軸61も回転(逆転)する。ボールネジ60が、ボールネジ軸61の回転運動を、ボールネジナット62の直線運動に変換する。ボールネジナット62の直線運動に伴って、
図19Cに示すように、第2ケーブル120の折り返し部分123も+Y方向に移動しつつ、スライド部50は、+Y方向に移動する。
【0064】
スライド部50が+Y方向に移動すると、
図18Bに示すように、ロッド11の先端に取り付けられたロードセル本体101が、作業対象であるワークWから離間する。
【0065】
モータ本体21の出力軸21aを、正転及び逆転させることにより、スライド部50は、+Y方向及び−Y方向の双方向に移動する。すなわち、スライド部50は、Y軸方向に往復運動する。
【0066】
以上、説明したように、本実施形態では、ロードセル100のロードセルケーブル101aに接続された第1ケーブル110は、ロッド11に形成された挿通部14に挿通される。これにより、第1ケーブル110は、アクチュエータ10の筐体(ベース部材30、カバー部材40、フロントブラケット70)外部に配線されずに、アクチュエータ10内部に配線することが可能になる。このため、ロッド11の先端にロードセル100が取り付けられた場合でも、アクチュエータ10を設置するための広い設置スペースの確保が不要になる。結果として、アクチュエータ10の設置作業が容易になる。
【0067】
また、第1ケーブル110をアクチュエータ10内部に配線することが可能になるため、アクチュエータ10全体をコンパクト化することができる。
【0068】
また、本実施形態では、挿通部14は、ロッド本体12の貫通孔12aの内周面と、パイプ部材13の溝13aとによって形成されている。このため、ロッド本体12の貫通孔12aに、パイプ部材13を嵌合するだけで、挿通部14が形成されるため、挿通部14の形成が容易になる。また、従来のロッド本体12を流用することが可能になる。結果として、製造コストを抑制することができる。
【0069】
また、本実施形態では、第2ケーブル120は、一端であるコネクタ変換用基板121がスライド部50に固定され、折り返されて、他端であるコネクタ変換用基板122がベース部材30に固定されている。これにより、第2ケーブル120は、アクチュエータ10の筐体外部に配線されずに、アクチュエータ10内部に配線することが可能になる。このため、ロッド11の先端にロードセル100が取り付けられた場合でも、アクチュエータ10を設置するための広い設置スペースの確保が不要になる。結果として、アクチュエータ10の設置作業が容易になる。
【0070】
例えば、従来のように、ケーブルが筐体外部に配線されている場合、ロードセル100は、ロッド11とともに進退移動するため、ケーブルを、筐体外部で撓ませる必要がある。しかしながら、本実施形態では、ベース部材30及びカバー部材40の内部で、第2ケーブル120は、折り返された状態で設けられている。このため、アクチュエータ10の設置スペースを、ケーブルの撓み分だけ広く確保する必要がなくなる。
【0071】
また、本実施形態では、第2ケーブル120は、フレキシブルプリント基板から構成され、ボールネジ軸61の+X側に配置されている。これにより、第2ケーブル120は、アクチュエータ10内部に配線した場合でも、第2ケーブル120の折り返し部分123がボールネジ軸61に干渉することなく、スライド部50が移動することができる。
【0072】
また、本実施形態では、第3ケーブル130は、ベース部材30に形成された貫通孔34Rに挿通されている。これにより、第3ケーブル130は、アクチュエータ10の筐体外部に配線されずに、アクチュエータ10内部に配線することが可能になる。このため、ロッド11の先端にロードセル100が取り付けられた場合でも、アクチュエータ10を設置するための広い設置スペースの確保が不要になる。結果として、アクチュエータ10の設置作業が容易になる。
【0073】
また、本実施形態では、貫通孔34Rは、ベース部材30の底板部31に形成された孔である。この貫通孔34Rは、ベース部材30の軽量化のための肉抜き部でもある。このため、第3ケーブル130を挿通するための孔を、別途、形成する必要がない。また、従来のベース部材30を流用することが可能になる。結果として、製造コストを抑制することができる。
【0074】
また、本実施形態では、第3ケーブル130は、ベルト収容部92内を通って、モータハウジング22内に挿入されている。これにより、第3ケーブル130は、アクチュエータ10の筐体外部に配線されずに、アクチュエータ10内部に配線することが可能になる。このため、ロッド11の先端にロードセル100が取り付けられた場合でも、アクチュエータ10を設置するための広い設置スペースの確保が不要になる。結果として、アクチュエータ10の設置作業が容易になる。
【0075】
また、従来のように、ケーブルが筐体外部に配線されている場合には、ケーブルを配線するためのケーブルベア(登録商標)等の特別な部材が、別途、必要になる場合がある。しかしながら、本実施形態では、第1ケーブル110、第2ケーブル120、及び第3ケーブル130は、ベース部材30及びカバー部材40等で構成される筐体内部に配線される。このため、従来のものとは異なり、ケーブルベア(登録商標)等の特別な配線用具が、不要になる。結果として、製造コストを抑制することができる。
【0076】
また、第1ケーブル110の端部には、コネクタ111が設けられている。このため、ロードセル100のロードセル本体101のロードセルケーブル101aに接続することが容易になる。結果として、アクチュエータ10の設置作業が容易になる。
【0077】
また、第1ケーブル110の端部には、コネクタ112が設けられている。このため、第2ケーブル120のコネクタ変換用基板121に接続することが容易になる。結果として、アクチュエータ10の設置作業が容易になる。
【0078】
また、第3ケーブル130の端部には、コネクタ131が設けられている。このため、第2ケーブル120のコネクタ変換用基板122に接続することが容易になる。結果として、アクチュエータ10の設置作業が容易になる。
【0079】
以上、本実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態等によって限定されるものではない。
【0080】
例えば、本実施形態では、パイプ部材13の溝13aが、ロッド本体12の貫通孔12aの内周面とともに、挿通部14を形成する。しかしながら、これに限られず、パイプ部材13の外周面が、ロッド本体12の貫通孔12aの内周面とともに、挿通部14を形成するものであれば、溝13a以外の形状であってもよい。例えば、
図21に示すように、溝13aの替わりに平坦面13bが形成されていてもよい。
【0081】
また、本実施形態では、挿通部14は、ロッド本体12の貫通孔12aの内周面と、パイプ部材13の溝13aとによって形成されている。しかしながら、これに限られない。例えば、挿通部14は、
図22に示すように、ロッド本体12に一体に形成されていてもよい。ただし、挿通部14の成形の容易さ及びコストの観点から、上記実施形態の構造の方が好ましい。
【0082】
また、本実施形態では、
図10に示すように、パイプ部材13には、1つの溝13aが形成されている。これにより、ロッド11には、1つの挿通部14が形成される。しかしながら、これに限らず、
図23に示すように、ロッド11に、2つの挿通部14が形成されていてもよい。また、ロッド11に、3つ以上の挿通部14が形成されていてもよい。これにより、複数のケーブルを、ロッド11の挿通部14に挿通することが可能になる。また、本実施形態では、溝13aが形成されたパイプ部材13は、ロッド本体12とは別体の部材であるため、パイプ部材13を交換することで、挿通部14の数を容易に設定することができる。
【0083】
また、本実施形態では、第2ケーブル120は、フレキシブルプリント基板から構成されている。しかしながら、これに限られない。第2ケーブル120は、帯状のフラットケーブルから構成されていてもよい。また、スライド部50の移動に伴って、ボールネジ軸61に干渉しないように、折り曲げられるケーブルであれば、フレキシブルプリント基板及びフラットケーブル以外のケーブルであってもよい。例えば小型のケーブルベア(登録商標)を使用しても良い。
【0084】
また、本実施形態では、ロッド11の先端には、電子デバイスとして、ロードセル100が取り付けられている。しかしながら、これに限られない。電子デバイスとして、例えば、ワークを把持する把持装置が取り付けられていてもよい。また、電子デバイスは、ケーブルを有するものであれば、ロードセル100、把持装置以外のものであってもよい。
【0085】
また、本実施形態に係るアクチュエータ10は、モータユニット20が、折返しユニット90を介して、折り返して取り付けられた折返しタイプのアクチュエータである。しかしながら、これに限られない。例えば、
図24に示すように、折返しユニット90を有さないアクチュエータ10であってもよい。
【0086】
本発明は、本発明の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施形態及び変形が可能とされるものである。上述した実施形態は、本発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。