【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的は、カプセル底部(3)と充填側(4)とを備えるカプセル本体(2)を有し、カプセル底部(3)と充填側(4)との間に、粉末、顆粒、または液体、特に、コーヒー顆粒または茶顆粒からなる飲料原料(101)を収容する空洞(100)が形成され、飲料原料(101)とカプセル底部(3)との間にフィルタ要素(7)が配置され、フィルタ要素(7)が開孔のフェルトおよび/または不織布を含む飲料製造用ポーションカプセル(1)であって、フェルトおよび/または不織布が、飲料原料(101)に対向する第1領域(200)で平均した第1孔寸法を有し且つ前記カプセル底部(3)に対向する第2領域(201)で平均した第2孔寸法を有し、第1孔寸法が、第2孔寸法よりも小さいことを特徴とする飲料製造用ポーションカプセルによって実現される。
【0009】
本発明の飲料製造用ポーションカプセルによると、先行技術と比べて、高圧のコーヒーメーカー(最大20バールの抽出圧)を使用してクレマのないフィルタコーヒーを製造することが初めて可能となる。
詳細には、高圧のポーションカプセル機によりクレマのないフィルタコーヒーを製造することも初めて可能となる。
これらの利点は、抽出液がフィルタ要素を通過する時点で既に膨張可能であり、結果としてフィルタ要素の下面で圧力が急激に損失しないことによって実現される。
そのため、コーヒーおよびコーヒーの惹き加減に応じて、泡の生成が、先行技術に比べて大幅に軽減されるか、または完全に防止される。
同時に、飲料原料に対向する面で孔寸法を小さくすることができ、結果として効果的なフィルタ処理が実現し、飲料の望ましくない汚濁等につながる微粒子がカプセルから飲料に吐き出されなくなる。
本発明で意味する飲料製造用ポーションカプセルは、密封されたポーションカプセルを含む。
つまり、飲料製造用ポーションカプセルに含まれるコーヒー粉末、スープ粉末、茶などの飲料粉末または食品粉末は、抽出過程の前には、実質的に香りが洩れない態様で環境から封止される。
フィルタ要素は、フェルトを形成するために相応に穿刺または絡合された1〜3枚の補助層を含んでいるのが好ましい。
本発明で意味する高圧ポーションカプセル機は、詳細には、最大20バールの圧力を作り出すことができるポーションカプセル機を含む。
このような高圧ポーションカプセル機では、たとえば、従来型のポーションカプセル、すなわち、本発明の特徴を備えないポーションカプセルを使用した場合には、エスプレッソやクレマを含むコーヒーも製造できる。
フィルタ要素は、階層化されていない不織布またはフェルト素材から形成することが可能である。
つまり、第1領域と第2領域との間には、明確に独立した層ではなく、漠然とした移行部が設けられる。
【0010】
本発明のさらなる実施例によると、フィルタ要素が補助層を含み、この補助層が飲料原料に対向する側とカプセル底部に対向する側とで絡合、繊維、繊維の太さ、および/または熱処理が異なっている。
したがって、孔寸法が異なる第1領域と第2領域とを含むフィルタ要素を、より簡素且つ低コストに作り出すことができる。
【0011】
本発明のさらなる実施例によると、フィルタ要素が第1フェルト層と第2フェルト層とを含み、第1フェルト層がフィルタ要素の飲料原料に対向する側に配置され、第2フェルト層がフィルタ要素のカプセル底部に対向する側に配置され、第1フェルト層が第1孔寸法を平均で有し、第2フェルト層が第2孔寸法を平均で有している。
2つの異なる孔寸法を有するフィルタ要素は、2つの異なるフェルト層を使用することにより、きわめて簡素な態様で有利に実現される。
これら2つのフェルト層は、緩く重ねられるか、または、相互に固定連結されるのが好ましい。
たとえば、2つのフェルト層は、相互に縫合、織り合わせ、接着接合、および/または溶接される。
【0012】
本発明のさらなる実施列によると、第1領域および/または第1フェルト層のフェルトが、平均した第1繊維直径を有する繊維から形成され、第2領域および/または第2フェルト層のフェルトが、平均した第2繊維直径を有する繊維から形成され、第1繊維直径が、第2繊維直径よりも平均で小さい。
繊維直径の違いを利用して、異なる孔寸法を簡素な態様で有利に実現できる。
【0013】
本発明のさらなる実施列によると、フェルトが、極細ポリエステル繊維などの極細プラスチック繊維から制作されたフェルト素材であり、詳細には、ランダム繊維フェルト素材および/または繊維性フェルト素材であるフェルト素材を含む。
このフェルトは、単位面積当たりの質量(坪量または基本重量とも呼ばれる)が、好ましくは、1平方メートル当たり40〜1600グラム、特に好ましくは、1平方メートル当たり200〜900グラム、さらに特に好ましくは、1平方メートル当たり約650グラムである。
代替として、さらに特に好ましくは、単位面積当たりの質量が、1平方メートル当たり約1150グラムのフェルトが用いられる。
このフェルトの厚さは、好ましくは、0.20〜5ミリメートル、特に好ましくは、1.5〜3.5ミリメートル、さらに特に好ましくは、約3.2ミリメートルである。
フェルトは、その通気性が100パスカルで、好ましくは、200〜3000l/(m
2s)、特に好ましくは、200〜1000l/(m
2s)、さらに特に好ましくは、約600l/(m
2s)になるように形成される。
このようなフェルト素材により、抽出効率、混合動作と流出動作、さらには閉塞抵抗(Verstopfungsresistenz)の点で最適な結果を実現し得ることが驚きと意外性をもって発見された。
【0014】
フェルトは、好ましくは、カプセル底部に可能な限り広い表面積を占めるように配置されている。
フェルトは、特に好ましくは、超音波等によりカプセル底部に固着される。
【0015】
本発明のさらなる主題または実施例によると、フィルタ要素は、フェルト構造を含む。
このフェルト構造は、詳細には、ニードルフェルト構造である。
さらに、このフィルタ要素は、少なくともフェルト構造と、詳細には、織物構造である補助構造とを含み、特に好ましくは、フェルト構造が少なくともその体積の一部に補助構造を含む。
フィルタ要素は、好ましくは、補助構造によって相互に分離された2つのフェルト構造を含む。
これら2つのフェルト構造の厚さは、同一でもよく、異なっていてもよい。
粉末または茶に対向するフェルト構造は、好ましくは、カプセル底部に対向するフェルト構造よりも薄いか、またはその逆である。
フェルト構造の表面は、バラ毛状の繊維等を固定するために、熱処理等の処理が施されるのが好ましい。
フェルト構造を有するフィルタ要素は、好ましくは、カプセル内にのみ挿入され、詳細には、カプセル底部の上にのみ挿入される。
穿孔時に、穿孔手段が、このフィルタ要素に入り込み得る。
好ましくは、1つ以上のフェルト構造と補助構造とを含む複数のフィルタ要素が、相互に連結された態様で、カプセル内に重ねて配置される。
【0016】
本発明のさらなる好ましい実施例によると、飲料製造用ポーションカプセルは、カプセル底部に流出開口部を有している。
そして、この流出開口部をカバーする封止フィルムまたは封止ホイルが、カプセル底部の外側に取り付けられている。
この封止フィルムまたは封止ホイルは、飲料製造用ポーションカプセルをポーションカプセル機に挿入する前に、利用者が取り外すことができ、詳細には引き剥がすことができる。
代替として、封止フィルムまたは封止ホイルを調合室内で穿孔手段により穿孔するか、または、抽出液を飲料製造用ポーションカプセル内に導入するときに封止フィルムまたは封止ホイルを破壊開口または剥離してもよい。
カプセル内部での圧力の上昇は、好ましくは、カプセル底部の流出開口部によって減少し、結果として、事実上クレマのないコーヒーを製造することができる。
詳細には、流出開口部は、カプセル底部の中央に配置され、最大直径が5〜15ミリメートル、好ましくは、10〜14ミリメートル、特に好ましくは、約12ミリメートルである。
封止フィルムまたは封止ホイルは、好ましくは、利用者が封止フィルムまたはホイルを手動で容易に取り外せるように、カプセル底部に固定結合されていない取り外し用タブを有する。
封止フィルムまたは封止ホイルは、好ましくは、カプセル底部に接着接合される。
【0017】
本発明のさらなる主題は、飲料の製造方法であって、飲料を製造するために、本発明の飲料製造用ポーションカプセルを用意する第1ステップと、飲料製造用ポーションカプセルを調合室に挿入する第2ステップと、飲料製造用ポーションカプセルに最大20バールの圧力で調製液を導入する第3ステップとを含む飲料の製造方法である。
飲料製造用ポーションカプセルは、抽出過程時にポーションカプセル内で圧力が、2〜14バール、好ましくは、4〜8バール、さらに好ましくは、6バールに高まるように形成されるのが好ましい。
【0018】
本発明のさらなる主題は、飲料製造用ポーションカプセルを使用して飲料を製造することであり、好ましくは、コーヒー飲料および/または茶飲料を製造することである。
【0019】
本発明の実施例を添付の図面に示し、以下で詳しく説明する。これらの図面は、単なる例示であり、本発明の全体的な概念を限定するものではない。