特許第6034382号(P6034382)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6034382陸上および空中用のハイブリッド運搬用ビークルの変形方法およびハイブリッド運搬用ビークル
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6034382
(24)【登録日】2016年11月4日
(45)【発行日】2016年11月30日
(54)【発明の名称】陸上および空中用のハイブリッド運搬用ビークルの変形方法およびハイブリッド運搬用ビークル
(51)【国際特許分類】
   B60F 5/02 20060101AFI20161121BHJP
   B64C 3/56 20060101ALI20161121BHJP
   B64C 25/54 20060101ALI20161121BHJP
   B64C 35/00 20060101ALI20161121BHJP
   B64C 37/00 20060101ALI20161121BHJP
【FI】
   B60F5/02
   B64C3/56
   B64C25/54
   B64C35/00
   B64C37/00
【請求項の数】10
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-528332(P2014-528332)
(86)(22)【出願日】2012年8月22日
(65)【公表番号】特表2014-527495(P2014-527495A)
(43)【公表日】2014年10月16日
(86)【国際出願番号】SK2012000010
(87)【国際公開番号】WO2013032409
(87)【国際公開日】20130307
【審査請求日】2015年7月15日
(31)【優先権主張番号】PP5039-2011
(32)【優先日】2011年8月30日
(33)【優先権主張国】SK
(31)【優先権主張番号】PUV5044-2011
(32)【優先日】2011年8月30日
(33)【優先権主張国】SK
(73)【特許権者】
【識別番号】514049678
【氏名又は名称】エアロモバイル, エス.アール.オー.
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】クレイン, シュテファン
【審査官】 川村 健一
(56)【参考文献】
【文献】 独国特許発明第10346189(DE,B3)
【文献】 米国特許第3056564(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60F 5/02
B64C 3/38 − 3/56
B64C 25/04
B64C 25/12
B64C 25/54
B64C 35/00 − 35/02
B64C 37/00 − 37/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
陸上および空中用のハイブリッド運搬用ビークルであって、前記ビークルは、本体と、キャビンと、引込可能翼と、シャーシと、前記ビークルの後方に位置するプロペラと被駆動車輪との間のトルク伝達の切替を伴う駆動ユニットとを含み、前記ビークルは、二輪または四輪自動車へ、または陸上または水上で離陸および着陸するための航空機への変形のための相互的変形機構を含み、
飛行位置からまたは飛行位置への前記翼(1)の翼引込および拡張のための1つまたは2つの第1の相互的変形機構は、前記本体(4)の中央に位置し、
各第1の相互的変形機構は、第1のアクチュエータと、前記翼(1)の引込および拡張のための垂直軸(2)とを含み、前記引込および拡張は、前記翼の軸が前記ビークルの長手方向軸に略直角である飛行位置と、前記翼の軸が前記ビークルの前記長手方向軸に略平行である引込位置との間で前記垂直軸の周囲において傾けることによって行われ、
前記翼のプラットフォーム外形を変化させるための2つの第2の相互的変形機構は、それぞれ、翼本体(1)内に別個に位置し、それぞれ、各翼(1)の後方部分を前記翼(1)の上部前方部分上に傾けるために、前記翼の水平軸(3)と、第2のアクチュエータとを含み、
前記被駆動車輪は、前輪であり、前記前輪の輪距を変化させるための第3のアクチュエータを含む第3の相互的変形機構は、前記本体(4)の前方に位置している、ビークル。
【請求項2】
前記本体(4)は、離陸および着陸のために仰角α=0〜40°だけ前記翼(1)を傾けるために、1つまたは2つの第4のアクチュエータを含む、請求項1に記載のビークル。
【請求項3】
前記本体(4)は、前記キャビン(6)の背後のポップアップ式補強カバー(7)を具備する、請求項1に記載のビークル。
【請求項4】
前記ポップアップ式補強カバー(7)は、第5のアクチュエータを具備する、請求項3に記載のビークル。
【請求項5】
前記アクチュエータは、電気式および/または気圧式および/または液圧式に制御される、請求項1に記載のビークル。
【請求項6】
前記前輪(5)は、空気力学的フェンダまたは中空フロートを具備する、請求項1に記載のビークル。
【請求項7】
請求項1〜6のうちのいずれか一項に記載のハイブリッドビークルを変形させる方法であって、前記方法は、
輪または四輪自動車を、陸上または水上で離陸および着陸するための航空機に変形させることであって、前記変形させることは、
前記第1の相互的変形機構を使用して、2つの垂直軸の周囲で、前記翼の軸が前記ビークルの前記長手方向軸に略平行である引込位置から、前記翼の軸が前記ビークルの前記長手方向軸に略直角である飛行位置まで両方の翼(1)全体を拡張させることと、
前記第2の相互的変形機構を使用して、前記翼(1)の上部前方部分から広げられた飛行位置に翼(1)の後方部分を拡張させることと、
前記第3の相互的変形機構を使用して、前記前輪の輪距を減少させることと
を含む、ことと、
輪または四輪自動車に航空機を相互的に変形させることであって、前記変形させることは、
前記第3の相互的変形機構を使用して、前記前輪の輪距を拡張させることと、
前記第2の相互的変形機構を使用して、前記広げられた飛行位置から前記翼(1)の上部前方部分上に前記翼(1)の前記後方部分を引込むことと、
前記第1の相互的変形機構を使用して、2つの垂直軸の周囲で、前記翼の軸が前記ビークルの前記長手方向軸に略直角である前記飛行位置から、前記翼の軸が前記ビークルの前記長手方向軸に略平行である前記引込位置まで両方の翼(1)を引込むことと
を含む、ことと
を含む、方法。
【請求項8】
前記本体(4)は、前記キャビン(6)の背後のポップアップ式補強カバー(7)を具備し、両方の翼(1)全体を拡張させることおよび前記翼(1)の前記後方部分を拡張させることの前に、前記補強カバー(7)を傾けることが実行される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記本体(4)は、前記キャビン(6)の背後のポップアップ式補強カバー(7)を具備し、前記翼(1)の前記後方部分を引込むことおよび両方の翼(1)全体を引込むことの前に、前記補強カバー(7)を傾けることが実行される、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
両方の翼(1)全体を拡張させることおよび前記翼(1)の前記後方部分を拡張させることの後で、前記翼(1)は、離陸および着陸のために仰角α=0〜40°だけ傾けられる、請求項7に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(技術解決策)
本発明は、水上で離陸および着陸することが可能であり、陸上での進行の間でも相互的に変形可能である、陸上および空中用のハイブリッド運搬用ビークルの新しい分類に関する。陸上用のハイブリッド運搬用ビークルをスターリング自動車へ、および空中用のハイブリッド運搬用ビークルをスターリング航空機へ変形する方法は、独自の方法で解明される。ハイブリッド運搬用ビークル構造、特に、その変形ノッド(nod)もまた、独自の方法で解明される。本発明は、自動車および航空機産業の分野に属する。
【背景技術】
【0002】
(技術の現在の状態)
現在、陸上用の標準的運搬用ビークル(自動車)および空中用の標準的運搬用ビークル(航空機)が、存在する。その構造は、概して、公知である。また、特殊運搬用ビークル(ホバークラフト)も存在するが、これらは、自動車にも航空機にも属さない。
【0003】
自動車ならびに航空機の特徴を具備する、別の分類の運搬用ビークルが、存在する。California州の企業「Moller International」は、3輪シャーシ上の自動車として設計されたVTOL(垂直離着陸)ビークルを開発している。長さ5.9mであり、その飛行速度は、600km/時で計算される。4つの垂直可傾式ジェットエンジンを具備する。この注目に値する運搬用ビークルの移動はまた、陸上では、水平に傾けられた4つのジェットエンジンによって提供される。本理由から、このビークルは3輪を有し、かつそのジェットエンジンの影響により、陸上でのその移動が一般道路交通内では不可能であるので、このビークルは、かなり障害がある自動車である。燃料消費および騒音も、非常に大きい。
【0004】
次の注目に値する運搬用ビークルの典型は、特許文献1に説明された「Terrafugia Transition」であり、これは、長さ5.7m、幅8.4m、および高さ2.1mの事実上2人乗り用の航空機であり、4輪シャーシおよび折畳可能翼を具備し、約20秒以内に、本ビークルは、2メールの幅の自動車に変形する。無鉛ガソリンによって動力を供給される、最大出力74kWのRotax912モータの動力は、陸上において前方車軸に伝達されるか、または空中において後方に埋め込まれたプロペラを回転させる。タンクが満タンの状態では、「Terrafugia Transition」は、740kmの距離を飛行することができ、陸上では、約120km/時、空中では、約190km/時の速度に達することができ、離陸および着陸のために、約500mの走路が必要である。運搬物とともに、その重量は、約250kgであり、乗員を除き、600kgである。本運搬用ビークルの不利点は、航空機から自動車へのその変形方法である。各翼は、2つの水平軸を中心としてアコーディオン形状に傾き、垂直位置に傾斜したままとどまる。自動車は、奇妙な形状をとり、垂直位置に折畳された翼により、かなり高さがある。横風の場合には、自動車は、道路交通内で不安定となる。前方車軸は、固定の輪距幅を有し、飛行の間、前輪は、出たままであり、気流に対する多大な抵抗を生じさせる。
【0005】
Slovakiaでは、スポーツカーの形状を有し、その自身のシャーシを使用して、道路上を進行可能である、さらに別の「Aeromobile」ハイブリッド運搬用ビークルが、陸上ならびに空中での移動のために開発された。その図面では、車の寸法も有する。後方には、2つの水平翼区域を有し、その間にプロペラを有する。また、前方には、2つの翼区域を有する。しかしながら、依然として、斬新な航空機の印象を与える。これは、変形不可能な運搬用ビークルである。その不利点は、後方に位置する2つの側面垂直区域を含み、その2つの側面垂直区域が上部の傾斜不可能翼を安定化するが、横風の場合には、車の安定性を低減させるという事実である。
【0006】
前述の事実は、自動車から航空機への迅速な相互的変形を保証する、陸上および空中での移動のためのそのようなハイブリッド運搬用ビークルの概念を生成する努力へとつながる。これらの相互的変形は、スターリング自動車ならびにスターリング航空機を生成する。
【0007】
本努力の結果は、以下に説明される発明であり、本発明は、陸上および空中用のハイブリッド運搬用ビークルの変形方法を解明する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】国際公開第2007/114877号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
(発明の内容)
前述の欠点は、本発明による陸上および空中用のハイブリッド運搬用ビークルの変形方法によって排除され、その原理は、陸上から離陸するためのスターリング航空機へのスターリング二輪または四輪自動車の変形が、自動車のアイドリング/静止ならびに走行/駆動の間に実行可能な一連の変形ステップを含むという事実を含む。これらは、以下の必要な変形ステップである。
【0010】
飛行位置に/飛行位置から翼を内方/外方に傾ける相互的変形機構を使用して、左右の前方翼全体を、それぞれ、その垂直軸の周囲において、運搬用ビークルの長手方向位置から傾けること。自動車の構成におけるハイブリッド運搬用ビークルは、両方の引込可能翼の軸が長手方向自動車軸とほぼ平行であるように、自動車本体の左右側に位置する左右の前方翼を有する。本変形ステップ後、翼の軸は、飛行位置において安定化される。すなわち、広げられた翼の軸は、長手方向自動車軸にほぼ垂直である。
【0011】
広げられた標準的な飛行位置に翼プラットフォーム外形を変化させる相互的変形機構を使用して、翼の上部前方部分から各翼(フラップ)の後方を傾けること。本変形ステップは、翼軸が、既に、飛行位置において安定化されているとき、すなわち、広げられた翼の軸が、長手方向自動車軸にほぼ垂直であるときに実行される。本変形ステップの前に、各翼は、依然として、広げられていない状態にあり、すなわち、翼フラップの後方は、翼の前方に対して上向きに傾けられている。
【0012】
このように、自動車は、航空機に変形され、飛行モードのために備える。駆動ユニット(共通駆動ユニットの場合)を切替後、前輪に伝達されているトルクは、係合解除され、本体の後方に位置するプロペラに向け直される。ハイブリッド駆動ユニットの場合、前輪に伝達されるトルクは、一方の駆動ユニットから係合解除され、他方の駆動ユニットから、トルクが、本体の後方に位置するプロペラに伝達される。ハイブリッド運搬用ビークルの本変形は、自動車を動作可能な航空機に変形させる。
【0013】
空力抵抗の減少のため、航空機離陸後、航空機がスターリング航空機となるように、変形の次のステップを提供することが有利である。これは、前輪輪距減少の変形ステップであり、このとき、車輪が、左右側から胴体に向かって軸方向に移動される。車輪は、流線型設計輪郭に空気力学的にはめこまれたカバーフェンダを具備し、航空機のある程度均一な前方部を生成する。
【0014】
本発明の別の基本的特徴は、スターリング自動車からスターリング航空機への変形の間、広げられた標準的な飛行位置に翼プラットフォーム外形を変化させる相互的変形機構を使用して、上部前方翼から各翼(フラップ)の後方を傾ける第2の変形ステップ後、離陸走路を大きく短縮させる次の変形ステップが含まれる、ハイブリッド運搬用ビークルのそのような変形方法が可能なことである。これは、仰角α=0〜40°だけ翼を離陸のために傾ける変形ステップである。航空機離陸後、翼の迎角α=0〜40°は、元の値に調節される。
【0015】
本発明の別の基本的特徴は、スターリング自動車から、水から離陸し、水に着陸するための、スターリング航空機(水陸両用機)への変形の間、ハイブリッド運搬用ビークルの変形方法が可能であることである。前輪がフロート内に埋め込まれることが条件である。
【0016】
本発明による陸上および空中用のハイブリッド運搬用ビークルの変形方法の原理はまた、スターリング二輪または四輪自動車への、陸上に着陸するためのスターリング航空機の相互的変形である。本変形方法は、航空機着陸後のみ実行可能な一連の変形ステップを含む。それらは、空中で迅速に実行される、前輪輪距を拡張させること、翼プラットフォーム外形を変化させる相互的変形機構を使用して、広げられた飛行位置から翼の上部前方まで各翼の後方を引込むこと、翼の引込/拡張のための相互的変形機構を使用して、垂直軸の周囲において、飛行位置から運搬用ビークルの長手方向位置まで翼を引込むこと等の必要な変形ステップである。
【0017】
本発明の別の基本的特徴は、スターリング航空機からスターリング自動車への変形の間、空中で迅速に実行される、前輪拡張の第1の変形ステップ後、着陸走路を大きく短縮させる次のステップが含まれる、ハイブリッド運搬用ビークルのそのような変形方法が可能なことである。これは、翼の仰角α=0〜40°だけ翼を着陸のために傾ける変形ステップである。航空機着陸後、翼の迎角α=0〜40°は、元の値に調節される。
【0018】
陸上および空中用のハイブリッド運搬用ビークルの変形方法において、付加的変形を含むことも可能であり、その最も不可欠なものは、飛行位置への翼の引出に先立って、およびスターリング自動車への相互的変形後の翼の引込に先立って、補強カバーを前方および後方に部分的に傾けることを含む。あまり不可欠ではない付加的変形ステップのうち、例えば、流線型設計位置への後方視野用ドアミラーの引込および拡張を含むことが可能である。
【0019】
陸上および空中用のハイブリッド運搬用ビークルは、本発明による前述の方法に基づき、必然的に、本体と、キャビンと、引込可能翼と、シャーシと、後方に位置するプロペラまたは前方被駆動車輪へのトルクの伝達の切替あるいは結合を伴う駆動ユニットとを含み、その原理は、基本変更形態では、スターリング二輪または四輪自動車へ、または陸上または水上で離着陸するためのスターリング航空機への変形のための相互的変形機構を含むという事実を含む。左右の前方翼を引込および拡張させる各第1の相互的変形機構は、本体の中央に位置し、飛行位置からハイブリッド運搬用ビークルの長手方向軸の位置へ、およびその逆への翼の引込および拡張のための垂直軸を含み、また、第1のアクチュエータを含む。翼の水平軸の周囲において、各翼プラットフォーム外形を変化させる第2の相互的変形機構が、翼本体内に位置し、第2のアクチュエータを含む。前輪輪距を変化させる第3の相互的変形機構は、本体の前方に位置し、第3のアクチュエータを含む。
【0020】
拡張変更形態では、陸上および空中用のハイブリッド運搬用ビークルの本体は、仰角α=0〜40°だけ翼を離着陸のために傾けるための1〜2つの第4のアクチュエータを含む。キャビンの背後において、本体は、ポップアップ式補強カバーを具備する。また、ポップアップ式補強カバーは、第5のアクチュエータを具備する。特定の実施形態では、第1から第5のアクチュエータは、電気式および/または気圧式および/または液圧式に制御される。
【0021】
水陸両用機変更形態における陸上および空中用のハイブリッド運搬用ビークルは、空気力学的中空フロートを具備するように適合された前輪肩部を有する。
【0022】
本発明による、陸上および空中用のハイブリッド運搬用ビークルの変形方法およびハイブリッド運搬用ビークル自体の利点は、一方の運搬用ビークル分類から他方の分類へのスターリング変形が生じ、その結果、スターリング自動車またはスターリング航空機になるという事実を含む。変形は、約20〜30秒かかる。本変形可能ハイブリッド運搬用ビークルは、スポーツ用自動車またはスポーツ用航空機の設計を有する。しかしながら、それは、5倍軽く、重量わずか400kgである。それは、主に、カーボンから作製される。それは、約130km/時の速度で離陸する。それは、約250km/時の飛行速度に達することができる。本変形可能ハイブリッド運搬用ビークルの利点は、運転者がその車庫内で車に乗り込む際の飛行自体のための準備が簡単なこと、および、運転の間、運転者が手配し得る、飛行のための必要な手続きが簡単なことである。空港または草地に到着後、運転者は、スターリング航空機へのスターリング自動車の変形を起動させる。これは、運転者が、ハイブリッド運搬用ビークルから出る必要なく実行される。
本発明は、例えば、以下を提供する。
(項目1)
陸上および空中用のハイブリッド運搬用ビークルの変形方法であって、前記方法は、
陸上または水上で離陸および着陸するためのスターリング航空機へのスターリング二輪または四輪自動車の変形は、
−飛行位置に/飛行位置から翼を内方/外方に傾ける相互的変形機構(1)を使用して、両方の翼(1)全体を、2つの垂直軸の周囲において、運搬用ビークルの長手方向位置から拡張させることと、
−広げられた飛行位置に翼プラットフォーム外形を変化させる相互的変形機構(1)を使用して、翼(1)の上部前方部分から翼(1)の後方部分を拡張させることと、
−前輪輪距(5)を減少させることと
を含む一方、スターリング二輪または四輪自動車へのスターリング航空機の相互的変形は、
−前輪輪距(5)を拡張させることと、
−前記翼プラットフォーム外形を変化させる相互的変形機構(1)を使用して、前記広げられた飛行位置から前記翼(1)の上部前方部分まで翼(1)の後方部分を引込むことと、
−翼を内方/外方に傾ける相互的変形機構(1)を使用して、両方の翼(1)を、2つの垂直軸の周囲において、飛行位置からハイブリッド運搬用ビークルの長手方向位置まで引込むことと
を含むことを特徴とする、方法
(項目2)
両方の翼(1)全体の拡張および翼(1)の後方部分の拡張の前に、補強カバー(7)を傾けることが実行されることを特徴とする、項目1に記載の陸上および空中用のハイブリッド運搬用ビークルの変形方法。
(項目3)
翼(1)の後方部分の引込および両方の翼(1)全体の引込の前に、補強カバー(7)を傾けることが実行されることを特徴とする、項目1に記載の陸上および空中用のハイブリッド運搬用ビークルの変形方法。
(項目4)
両方の翼(1)全体の拡張および翼(1)の後方部分の拡張後、翼の迎角α=0〜40°だけ翼(1)を離陸および着陸のために傾けることが続くことを特徴とする、項目1に記載の陸上および空中用のハイブリッド運搬用ビークルの変形方法。
(項目5)
陸上および空中用のハイブリッド運搬用ビークルであって、前記陸上および空中用のハイブリッド運搬用ビークルは、本体と、キャビンと、引込可能翼と、シャーシと、後方に位置するプロペラまたは前方被駆動車輪へのトルク伝達の切替を伴う駆動ユニットとを含み、前記陸上および空中用のハイブリッド運搬用ビークルは、スターリング二輪または四輪自動車へ、または陸上または水上で離陸および着陸するためのスターリング航空機への変形のための相互的変形機構を含み、翼引込/拡張(1)のための、含まれている1〜2つの第1の相互的変形機構は、前記本体(4)の中央に位置し、それぞれは、飛行位置から前記ハイブリッド運搬用ビークルの長手方向位置への前記翼引込/拡張(1)のための垂直軸(2)と、第1のアクチュエータとを含み、前記翼プラットフォーム外形変化のための、含まれている2つの第2の相互的変形機構は、前記翼本体(1)内に別個に位置し、それぞれは、前記翼プラットフォーム外形変化のための水平軸(3)と、前記第2のアクチュエータとを含む一方、各翼(1)の後方部分は、前記翼(1)の上部前方部分上で傾くことが可能であり、前記前輪輪距変化のための、含まれている第3の相互的変形機構(5)は、前記本体(4)の前方に位置し、前記第3のアクチュエータを含むことを特徴とする、陸上および空中用のハイブリッド運搬用ビークル。
(項目6)
前記本体(4)が、仰角α=0〜40°だけ前記翼(1)を離陸および着陸のために傾けるために、1〜2つの第4のアクチュエータを含むことを特徴とする、項目5に記載の陸上および空中用のハイブリッド運搬用ビークル。
(項目7)
前記キャビン(6)の背後には、ポップアップ式補強カバー(7)を具備する本体(4)があることを特徴とする、項目5および6に記載の陸上および空中用のハイブリッド運搬用ビークル。
(項目8)
前記ポップアップ式補強カバー(7)が、第5のアクチュエータを具備することを特徴とする、項目5および6に記載の陸上および空中用のハイブリッド運搬用ビークル。
(項目9)
前記第1から第5のアクチュエータが、電気式および/または気圧式および/または液圧式に制御されることを特徴とする、項目5から8のうちの少なくとも1項に記載の陸上および空中用のハイブリッド運搬用ビークル。
(項目10)
前輪(5)が、空気力学的フェンダまたは中空フロートを具備することを特徴とする、項目5に記載の陸上および空中用のハイブリッド運搬用ビークル。
【0023】
本発明は、図面上でさらに説明される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1図1は、スターリング自動車の変更形態における、ハイブリッド運搬用ビークルを図示する。
図2図2は、補強カバーの持ち上げを図示する。
図3図3は、翼の後方部分が折畳された、垂直軸の周囲における、ハイブリッド運搬用ビークルの長手方向位置からの両方の翼の拡張を図示する。
図4図4は、翼の上部前方部分から翼の後方部分が傾くことを図示する。
図5図5は、広げられた飛行位置へ翼の後方部分が完全に傾くことを図示する。
図6図6は、補強カバーの折り曲げを図示する。
図7図7は、翼の仰角だけ翼を離陸のために傾けることを図示する。
図8図8は、前輪輪距減少を図示する。
図9図9は、仰角を有しない翼が飛行のために傾くことと、スターリング航空機の変更形態におけるハイブリッド運搬用ビークルの生成とを図示する。
図10図10は、プロペラおよび車輪のための共通駆動ユニットを有するハイブリッド運搬用ビークルのロッド支持構造を図示する。
図11図11は、プロペラおよび車輪のためのハイブリッド駆動ユニットを有すハイブリッド運搬用ビークルのロッド支持構造を図示する。
【発明を実施するための形態】
【0025】
(実施例)
本発明の種々の実施形態は、技術的解決策の制限ではなく、例証目的のために提示されることを理解されたい。当業者は、日常以上の実験を使用せずに、本発明の特定の実施形態の多くの均等物を見出すか、または見出すことが可能であることを理解されたい。そのような均等物は、以下の特許請求の範囲の範囲内である。
【0026】
当業者にとって、最適なシステムを提示することは問題となり得ず、したがって、これらの特性は、詳細に解明されていない。
【0027】
(実施例1)
本発明の特定の実施形態の本実施例では、その最も単純な基本変更形態におけるハイブリッド運搬用ビークルが、説明される。変形の前に、ハイブリッド運搬用ビークルは、図1に図示される、スターリングスポーツ用自動車の特徴を有する。ハイブリッド運搬用ビークルは、本体4と、キャビン6と、引込可能翼1と、シャーシと、図10に図示されるように、後方に位置するプロペラ9または被駆動前輪5へのトルク伝達への切替または結合を伴う共通駆動ユニット8とを含む。基本変更形態では、陸上での離着陸のために、スターリング二輪自動車またはスターリング航空機への変形のための相互的変形機構を含む。左右の翼1のための引込−拡張のための2つの相互的変形機構が、本体4の中央に位置し、それぞれ、飛行位置からハイブリッド運搬用ビークルの長手方向軸の位置へ、およびその逆への翼1の引込−拡張のための垂直軸2を含む。左右の翼1のための引込−拡張のための2つの第1の相互的変形機構は、電気駆動を有する2つの第1のアクチュエータを含む。各翼プラットフォーム外形を変化させる第2の相互的変形機構1は、翼本体1内に位置し、電気駆動を有するアクチュエータを含み、翼の水平軸3の周囲において、翼1の上部部分から、広げられた飛行位置まで翼1の後方部分が傾くことを提供する。前輪5輪距変化の第3の相互的変形機構は、本体4の前方に位置し、電気駆動および摺動半軸を有する第3のアクチュエータを含む。ハイブリッド運搬用ビークルは、変形後、図9に図示される、スターリングスポーツ用航空機の特徴を有する。スターリングスポーツ用航空機の本体4は、キャビンカバー6を有するクリアな空気力学的形状を有する一方、本体4の中心部分から、広げられた左右の翼が、延在する。本体4のテーパ状後方部分は、後輪を具備するその端部において、横断する短い安定化傾斜区域になる。本体4の後方から、プッシャプロペラ9が、水平に延在する。被駆動車輪5は、本体4の前方に位置し、その輪距は、車輪フェンダ5が、本体4の側面前方要素に近接して位置するように、最小である。相互的変形後、再び、ハイブリッド運搬用ビークルは、図1に図示される、スターリングスポーツ用自動車の特徴を得る。スターリングスポーツ用自動車の本体4は、キャビンカバー6を有するクリアな空気力学的形状を有する一方、本体4の中心部分から、スターリングスポーツ用自動車の長手方向軸におけるその側面に沿って後ろ向きに、左右の翼1が引込まれる。被駆動車輪5は、本体4の前方に位置し、その輪距は、この時、最大であり、それによって、車輪フェンダ5が本体4の側面前方要素から引き出される。
【0028】
(実施例2)
本発明の特定の実施形態の本実施例では、改良された変更形態におけるハイブリッド運搬用ビークルがまた、説明される。ハイブリッド運搬用ビークルは、再び、変形に先立って、スターリングスポーツ用自動車の特徴を有し、その構造は、実施例1に十分に説明されている。さらに、本拡張変更形態では、陸上および空中用のハイブリッド運搬用ビークルの本体4は、離着陸のために、電気駆動を有する1〜2つの第4のアクチュエータを含み、図7および8に図示されるように、仰角α=30°だけ翼1が傾く。変形後、再び、スターリングスポーツ用航空機の特徴を有する。本構成は、離着陸走路を大きく短縮させる。
【0029】
(実施例3)
本発明の特定の実施形態の本実施例では、別の改良された変更形態におけるハイブリッド運搬用ビークルがまた、説明される。ハイブリッド運搬用ビークルは、再び、スターリングスポーツ用自動車の特性を有し、その構造は、実施例1に十分に説明されている。さらに、本拡張変更形態では、陸上および空中用のハイブリッド運搬用ビークルの本体4は、キャビン6の背後に、ポップアップ式補強カバー7を具備する。ポップアップ式補強カバー7が上下に傾くことは、図2から6に図示されるように、電気駆動を有する第5のアクチュエータによって提供される。
【0030】
(実施例4)
本発明の特定の実施形態の本実施例では、別の変更形態におけるハイブリッド運搬用ビークルがまた、説明される。ハイブリッド運搬用ビークルは、再び、変形に先立って、スターリングスポーツ用自動車の特徴を有し、その構造は、実施例1から3のうちの少なくとも1つに十分に説明されている。ハイブリッド運搬用ビークルは、変形後、スターリングスポーツ用水陸両用機の特徴を有する。構造は、前輪肩部5が、空気力学的中空フロートを具備するように適合される。これは、水上での水陸両用機の離着陸を可能にする。
【0031】
(実施例5)
本発明の特定の実施形態の本実施例では、別の変更形態における、ハイブリッド運搬用ビークルがまた、説明される。ハイブリッド運搬用ビークルは、再び、変形に先立って、スターリングスポーツ用自動車の特徴を有し、その構造は、実施例1から4の少なくとも1つに十分に説明されている。ハイブリッド運搬用ビークルは、変形後、スターリングスポーツ用航空機または水陸両用機の特徴を有する。構造は、アクチュエータが、気圧または液圧駆動を伴う変形例になり得るように適合される。別の変更形態は、ハイブリッド運搬用ビークルが四輪であるような変形例を構成することができる。別の変更形態は、ハイブリッド運搬用ビークルが、図11に図示されるように、ハイブリッド駆動を具備する変形例を構成することができる。例えば、これは、前輪5が、バッテリまたは電気発生器から給電される別個の電気モータによって駆動されることを意味する。プロペラ9は、結合および伝送伝動装置を介して、燃焼エンジンによって駆動される。
【0032】
(実施例6)
本発明の特定の実施形態の本実施例では、最も完璧な変更形態におけるハイブリッド運搬用ビークルがまた、説明される。再び、ハイブリッド運搬用ビークルは、航空機または水陸両用機からの変形後、スターリングスポーツ用自動車の特徴を有し、その構造は、概して、実施例1から5の少なくも1つに説明され、図1から11に図示される。
【0033】
本発明による、陸上から離陸するためのスターリング航空機へのスターリング二輪自動車の変形方法の機能性の実施例の説明が続き、図1には、スターリング自動車が、図示される。これは、自動車を運転している間にも実行される一連の変形ステップである。これは、図2に図示される、補強カバーを傾け、翼の完全な拡張のための空間を空けることを伴う。図3に図示される、飛行位置へ/飛行位置から翼を内方/外方に傾ける相互的変形機構を使用して、左右の前方翼全体を運搬用ビークルの長手方向位置から、それぞれ、その垂直軸の周囲において、傾けることが続く。図4および5に図示される、広げられた標準的な飛行位置に翼プラットフォーム外形を変化させる相互的変形機構を使用して、翼の上部前方部分から各翼(フラップ)の後方を傾けることが続く。図6に図示される、補強カバーがその元の位置に戻るように傾けることが続く。本体の後方に位置するプロペラへのトルクの伝達が続く。図7に図示される、離陸走路を短縮させるために、仰角α=0〜40°だけ翼を離陸のために傾けることが続く。航空機離陸後、空力抵抗の低下のため、車輪が左右側から胴体に向かって軸方向に移動されるとき、図8に図示される、前輪輪距の減少を提供することが有利である。航空機離陸後、翼の迎角α=0〜40°は、図9に図示される、元の値に調節される。ハイブリッド運搬用ビークルの本変形は、スターリング自動車をスターリング動作可能な航空機に変形させる。
【0034】
本発明による、陸上に着陸するために、スターリング二輪自動車へのスターリング航空機の相互的変形方法の機能性の実施例の説明が、続き、図9には、スターリング航空機が、図示される。これは、航空機の飛行の間にも実行される一連の変形ステップである。これは、車輪が、左右側から、胴体から離れるように軸方向に移動されるときの前輪輪距拡張である。着陸走路を短縮するために、翼の迎角α=0〜40°だけ翼を着陸のために傾けることが続く。補強カバーを傾け、翼の引込のための空間を空けることが続く。航空機着陸後、翼の迎角α=0〜40°は、元の値に調節される。翼プラットフォーム外形を変化させる相互的変形機構を使用して、翼の上部前方部分に各翼(フラップ)の後方を傾けることが続く。翼を内方/外方に傾ける相互的変形機構を使用して、左右の前方翼全体を飛行位置から運搬用ビークルの長手方向位置に、それぞれ、その垂直軸の周囲において傾けることが続く。補強カバーをその元の位置に戻るように傾けることが続く。前方被駆動車輪へのトルクの伝達が続く。ハイブリッド運搬用ビークルの本相互的変形は、スターリング航空機をスターリング動作可能な自動車に変形させる。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明による、陸上、水上、および空中用のハイブリッド運搬用ビークルの変形方法ならびにハイブリッド運搬用ビークルは、航空機および自動車産業において、その利用可能性を見出す。
図1
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図5
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図7
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図11