特許第6034401号(P6034401)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6034401アプリケーションのオープン・インスタンスの提供
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6034401
(24)【登録日】2016年11月4日
(45)【発行日】2016年11月30日
(54)【発明の名称】アプリケーションのオープン・インスタンスの提供
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/0488 20130101AFI20161121BHJP
   G06F 3/041 20060101ALI20161121BHJP
   G06F 13/00 20060101ALI20161121BHJP
【FI】
   G06F3/0488
   G06F3/041 550
   G06F13/00 650A
   G06F13/00 500D
【請求項の数】33
【全頁数】34
(21)【出願番号】特願2014-549371(P2014-549371)
(86)(22)【出願日】2011年12月28日
(65)【公表番号】特表2015-505402(P2015-505402A)
(43)【公表日】2015年2月19日
(86)【国際出願番号】EP2011074178
(87)【国際公開番号】WO2013097895
(87)【国際公開日】20130704
【審査請求日】2014年8月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】315002955
【氏名又は名称】ノキア テクノロジーズ オーユー
(74)【代理人】
【識別番号】100127188
【弁理士】
【氏名又は名称】川守田 光紀
(72)【発明者】
【氏名】マーティン ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ボロフスキー アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】オールドフィールド グレアム・フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】コリン リチャード・マイケル
【審査官】 原 秀人
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2011/0165841(US,A1)
【文献】 特開平11−095931(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0066643(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0081923(US,A1)
【文献】 特開2006−339835(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0284785(US,A1)
【文献】 特開2011−065518(JP,A)
【文献】 特開2010−262330(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/048
G06F 3/041
G06F 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つのプロセッサと;
コンピュータプログラムコードを含む少なくとも一つのメモリと;
を備える装置であって、前記コンピュータプログラムコードは、前記少なくとも一つのプロセッサに実行されると、前記装置に少なくとも:
ユーザ入力を受取ることと;
前記ユーザ入力に基づいて、第1のデバイスに第1のアプリケーションのオープン・インスタンスを、第2のデバイスにおける少なくとも関連するアプリケーションの対応するオープン・インスタンスとして提供すること、但し、前記少なくとも関連するアプリケーションの対応するオープン・インスタンスは、前記少なくとも関連するアプリケーション上で編集可能であるように提供される、前記提供することと;
を遂行させるように構成され、前記ユーザ入力は、前記第1のデバイスまたは前記第2のデバイスのタッチセンサ式領域上で検出される渦巻ジェスチャー、旋回(whirl)ジェスチャー、らせん状(spiral)ジェスチャー、弓状(arcuate)ジェスチャーの少なくとも1つを含む、装置。
【請求項2】
前記ユーザ入力は前記第1のデバイスまたは前記第2のデバイスで受取られる、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第1のアプリケーションのオープン・インスタンスが前記第1のデバイスのディスプレイから段階的に消去され、前記少なくとも関連するアプリケーションの対応するオープン・インスタンスが、前記ユーザ入力に基づいて前記第2のデバイスに段階的に表示されるように構成される、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記第1のデバイスまたは前記第2のデバイスで受取られたユーザ入力の向きと対応する向きに沿って、前記少なくとも関連するアプリケーションの対応するオープン・インスタンスが前記第2のデバイスに段階的に表示されるように構成される、請求項1から3の何れかに記載の装置。
【請求項5】
前記少なくとも関連するアプリケーションの対応するオープン・インスタンスの部分が、前記ユーザ入力の少なくとも1つの特性に基づいて前記第2のデバイスに段階的に表示されるように構成される、請求項1から4の何れかに記載の装置。
【請求項6】
前記第1のアプリケーションのオープン・インスタンスの部分が前記第1のデバイスのディスプレイから段階的に消去され、前記少なくとも関連するアプリケーションの対応するオープン・インスタンスの部分が、前記ユーザ入力の少なくとも1つの特性に基づいて、前記第2のデバイスに段階的に対応して表示されるように構成される、請求項1から5の何れかに記載の装置。
【請求項7】
前記ユーザ入力の特性は、前記ユーザ入力の向き,前記ユーザ入力の速さ,および前記ユーザ入力の反転を含む、請求項5または6に記載の装置。
【請求項8】
前記ユーザ入力の特性は、同一のアプリケーション/コンテンツがデバイス間を移動しているとユーザに知覚させるように、前記第1のデバイスにおける前記第1のアプリケーションのオープン・インスタンスの部分および前記第2のデバイスにおける前記少なくとも関連するアプリケーションの対応するオープン・インスタンスの部分を前記2つのデバイス間に配信させるように提供する、請求項5または6に記載の装置。
【請求項9】
前記第1のデバイスおよび前記第2のデバイスにおける各部分は、前記2つのデバイス間に配信される前記第1のアプリケーションのコンテンツの完全な表現に対応する、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記少なくとも関連するアプリケーションの対応するオープン・インスタンスが前記第2のデバイスに表示された後、前記第1のアプリケーションのオープン・インスタンスが前記第1のデバイスのディスプレイに表示されたままであるように構成される、請求項1から9の何れかに記載の装置。









【請求項11】
前記第1のデバイスにおける前記第1のアプリケーションと同一のデータコンテンツの1つ以上を、前記第2のデバイスにおける前記少なくとも関連するアプリケーションに提供することによって、対応するオープン・インスタンスを提供するように構成される、請求項1から10の何れかに記載の装置。
【請求項12】
前記データコンテンツは、テキスト,数値,フィールド,セル,画像コンテンツ,オーディオコンテンツ,ビデオコンテンツ,およびウェブページコンテンツの1つ以上を含む、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記第1のデバイスにおける前記第1のアプリケーションと同一の一時コンテンツの1つ以上を、前記第2のデバイスにおける前記少なくとも関連するアプリケーションに提供することによって、対応するオープン・インスタンスを提供するように構成される、請求項1から12の何れかに記載の装置。
【請求項14】
前記一時コンテンツは、ポインタの位置,カーソルの位置,ズーム率,ページ上の位置,ウィンドウサイズ,オーディオまたはビデオファイルの位置,ウィンドウのフォームファクター,ディスプレイ上のウィンドウの位置,ツールバー設定,およびハイライト要素の1つ以上を含む、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記第1および第2のデバイスにそれぞれ配置される1つ以上のメモリにアクセスすることによって、前記第1のアプリケーションおよび前記少なくとも関連するアプリケーションは、それぞれ前記第1および第2のデバイスで使用されるように提供される、請求項1から14の何れかに記載の装置。
【請求項16】
前記第1のアプリケーションおよび前記少なくとも関連するアプリケーションは、それぞれ前記第1および少なくとも関連するアプリケーションのオープン・インスタンスで提供される同等レベルの機能を提供する、請求項1から15の何れかに記載の装置。
【請求項17】
前記第1のアプリケーションおよび前記少なくとも関連するアプリケーションは、それぞれ前記第1および第2のデバイスの同一のオペレーティングシステムを用いて、それぞれ前記第1および少なくとも関連するアプリケーションのオープン・インスタンスで提供される同等レベルの機能を提供する、請求項1から15の何れかに記載の装置。
【請求項18】
前記第1のアプリケーションおよび前記少なくとも関連するアプリケーションは、それぞれ前記第1および第2のデバイスの異なるオペレーティングシステムを用いて、それぞれ前記第1および少なくとも関連するアプリケーションのオープン・インスタンスで提供される同等レベルの機能を提供する、請求項1から15の何れかに記載の装置。
【請求項19】
前記第1のアプリケーションおよび前記少なくとも関連するアプリケーションは、それぞれ前記第1および第2のデバイスの同一のオペレーティングシステムを用いて提供される等価アプリケーションである、請求項1から15の何れかに記載の装置。
【請求項20】
前記第1のアプリケーションおよび前記少なくとも関連するアプリケーションは、それぞれ前記第1および第2のデバイスの異なるオペレーティングシステムを用いて提供される等価アプリケーションである、請求項1から15の何れかに記載の装置。
【請求項21】
前記第1のアプリケーションおよび前記少なくとも関連するアプリケーションは、少なくとも1つのリモートサーバとの通信によってそれぞれ前記第1および第2のデバイスで使用されるように提供される、請求項1から20の何れかに記載の装置。
【請求項22】
前記第1のアプリケーションおよび前記少なくとも関連するアプリケーションは、少なくとも1つのリモートサーバとの通信によってそれぞれ前記第1および第2のデバイスで使用されるように提供される同一のアプリケーションである、請求項1から20の何れかに記載の装置。
【請求項23】
前記第1および第2のデバイスは、前記第1のアプリケーションおよび前記少なくとも関連するアプリケーションの機能を提供するために独立して動作可能である、請求項1から22の何れかに記載の装置。
【請求項24】
前記独立して動作可能なデバイスは、別のデバイスに接続しなくても使用可能である、請求項23に記載の装置。
【請求項25】
前記第1および第2のデバイスは、それぞれの機能を提供する複数のアプリケーションを独立に実行するように構成される、請求項1から24の何れかに記載の装置。
【請求項26】
前記第1のデバイスにおける前記第1のアプリケーションのオープン・インスタンスは、前記第2のデバイスに提供される前記少なくとも関連するアプリケーションの対応するオープン・インスタンスとは実質的に異なる外観を有する、請求項1から25の何れかに記載の装置。
【請求項27】
前記装置は携帯電子デバイス,ラップトップコンピュータ,携帯電話,スマートフォン,タブレットコンピュータ,携帯情報端末,デジタルカメラ,時計,非携帯電子デバイス,デスクトップコンピュータ,モニター,サーバ,またはこれらの1つ以上のためのモジュール/回路である、請求項1から26の何れかに記載の装置。
【請求項28】
前記第1のデバイスのディスプレイおよび前記第2のデバイスのディスプレイは各々、異なるディスプレイサイズ,異なるディスプレイ・フォームファクター,異なるディスプレイ解像度,および異なるディスプレイ・カラースキームの1つ以上を有し、前記装置は、前記第2のデバイスで前記対応するオープン・インスタンスを提供する際、前記異なる態様を考慮するように構成される、請求項1から27の何れかに記載の装置。
【請求項29】
前記第1および第2のデバイスは、通信可能に接続されるように構成され、前記接続は、赤外線接続,ブルートゥース接続,無線接続,無線タグ(RFID)接続,電話接続,物理的有線接続,ネットワーク接続,および手動の1つ以上の組合せによる、請求項1から28の何れかに記載の装置。
【請求項30】
前記第1のデバイスおよび前記第2のデバイス間の通信接続によって、前記第1のデバイスから前記第2のデバイスに提供される第1のアプリケーションの第1のオープン・インスタンスに前記一時コンテンツが関連付けられる、請求項29に記載の装置。
【請求項31】
装置の処理手段がプログラムコードを実行することにより、前記装置が遂行する方法であって、
ユーザ入力を受取ることと;
前記ユーザ入力に基づいて、第1のデバイスに第1のアプリケーションのオープン・インスタンスを、第2のデバイスにおける少なくとも関連するアプリケーションの対応するオープン・インスタンスとして提供すること、但し、前記少なくとも関連するアプリケーションの対応するオープン・インスタンスは、前記少なくとも関連するアプリケーション上で編集可能であるように提供される、前記提供することと;
を含み、ただし前記ユーザ入力は、前記第1のデバイスまたは前記第2のデバイスのタッチセンサ式領域上で検出される渦巻ジェスチャー、旋回(whirl)ジェスチャー、らせん状(spiral)ジェスチャー、弓状(arcuate)ジェスチャーの少なくとも1つを含む、方法。
【請求項32】
装置の処理手段に実行されると、前記装置に:
ユーザ入力を受取ることと;
前記ユーザ入力に基づいて、第1のデバイスに第1のアプリケーションのオープン・インスタンスを、第2のデバイスにおける少なくとも関連するアプリケーションの対応するオープン・インスタンスとして提供すること、但し、前記少なくとも関連するアプリケーションの対応するオープン・インスタンスは、前記少なくとも関連するアプリケーション上で編集可能であるように提供される、前記提供することと;
を少なくとも実行させるように構成されるコンピュータプログラムコードを含み、ただし前記ユーザ入力は、前記第1のデバイスまたは前記第2のデバイスのタッチセンサ式領域上で検出される渦巻ジェスチャー、旋回(whirl)ジェスチャー、らせん状(spiral)ジェスチャー、弓状(arcuate)ジェスチャーの少なくとも1つを含む、コンピュータプログラム。
【請求項33】
ユーザ入力を受取る手段と;
前記ユーザ入力に基づいて、第1のデバイスに第1のアプリケーションのオープン・インスタンスを、第2のデバイスにおける少なくとも関連するアプリケーションの対応するオープン・インスタンスとして提供する手段、但し、前記少なくとも関連するアプリケーションの対応するオープン・インスタンスは、前記少なくとも関連するアプリケーション上で編集可能であるように提供される、前記提供する手段と;
を備え、前記ユーザ入力は、前記第1のデバイスまたは前記第2のデバイスのタッチセンサ式領域上で検出される渦巻ジェスチャー、旋回(whirl)ジェスチャー、らせん状(spiral)ジェスチャー、弓状(arcuate)ジェスチャーの少なくとも1つを含む、装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示はユーザインタフェースの技術分野に関し、関連する方法,コンピュータプログラムおよび装置に関する。開示される特定の態様/実施形態は、いわゆる携帯電子デバイスといったポータブル電子デバイスに関する。こうした携帯電子デバイスは手で持って使用される(またはクレードルに置いたままで使用されてもよい)。こうした携帯電子デバイスはいわゆる携帯情報端末(PDA)や携帯電話,スマートフォン,タブレットPC等を含む。
【背景】
【0002】
電子機器および電子デバイスは通常、1つ以上のアプリケーションを実行するように構成される。同じアプリケーションが様々な装置/デバイスで、場合によっては同時に実行されることもある。実質的に同じ機能を有し、様々な装置/デバイスで実行できる、等価のアプリケーションも存在する。また、別のアプリケーションであって、その各々は一部の共通機能を互いに共有しつつ、他とは共通でない機能も有するアプリケーションも存在する。
【0003】
本願における公開済み文献または背景の列挙や議論は、こうした文献や背景が当該技術分野の状況の一部であること、または共通の一般知識であることとして必ずしも理解されなくてもよい。本開示の1つ以上の態様/実施形態がこうした背景にある課題の1つ以上を解決してもよく、そうでなくてもよい。
【摘要】
【0004】
第1の態様では、少なくとも一つのプロセッサと、コンピュータプログラムコードを含む少なくとも一つのメモリとを備える装置であって、前記少なくとも一つのメモリ及び前記コンピュータプログラムコードは、前記少なくとも一つのプロセッサを用いて、前記装置に少なくとも:ユーザ入力を受取ることと;前記ユーザ入力に基づいて、第1のデバイスに第1のアプリケーションのオープン・インスタンスを、第2のデバイスにおける少なくとも関連するアプリケーションの対応するオープン・インスタンスとして提供することを遂行させるように構成される装置が提供される。例えば、ユーザ入力は、第1のデバイスで開いているアプリケーションと同じ外観を持つオープン・インスタンスを第2のデバイスに表示させてもよい。
【0005】
前記ユーザ入力は、前記第1のデバイスで受取られてもよく、前記第2のデバイスで受取られてもよい。
【0006】
前記装置は、前記第1のアプリケーションのオープン・インスタンスが前記第1のデバイスのディスプレイから段階的に消去され、前記少なくとも関連するアプリケーションの対応するオープン・インスタンスが、前記ユーザ入力に基づいて前記第2のデバイスに段階的に表示されるように構成されてもよい。
【0007】
前記装置は、前記第1または前記第2のデバイスで受取られたユーザ入力の向きと対応する向きに沿って、前記少なくとも関連するアプリケーションの対応するオープン・インスタンスが前記第2のデバイスに段階的に表示されるように構成されてもよい。例えば、ユーザは(前記第1または前記第2のデバイスで)指を左から右へスライドし、アプリケーションが前記第1のデバイスの右側へスライドして消え、第2のデバイスのスクリーンに左側から現われてもよい。
【0008】
前記装置は、前記少なくとも関連するアプリケーションの対応するオープン・インスタンスの部分が、前記ユーザ入力の少なくとも1つの特性に基づいて前記第2のデバイスに段階的に表示されるように構成されてもよい。
【0009】
前記装置は、前記第1のアプリケーションのオープン・インスタンスの部分が前記第1のデバイスのディスプレイから段階的に消去され、前記少なくとも関連するアプリケーションの対応するオープン・インスタンスの部分が、前記ユーザ入力の少なくとも1つの特性に基づいて、前記第2のデバイスに段階的に対応して表示されるように構成されてもよい。
【0010】
前記ユーザ入力の特性は、前記ユーザ入力の向き,前記ユーザ入力の速さ,および前記ユーザ入力の反転を含んでもよい。例えば、ユーザがユーザ入力を与える速さは、アプリケーションが第1のデバイスから第2のデバイスに現われる出現遷移の速さに反映されてもよい。このような場合、特性は速度依存特性であると見做されてもよい。前記特性は、例えば、前記第1のデバイスに上向きの行われたユーザ入力によって、アプリケーションのオープン・インスタンスが前記第1のデバイスのスクリーンの上側に消えるように見せ、前記第2のデバイスのスクリーンの下側から対応するインスタンスが現われるような方向特性であってもよい。ユーザは、途中のユーザ入力の向きを反転させ、それに従ってアプリケーションのオープン・インスタンスも反転された入力の向きに合わせてもよい。換言すれば、ユーザはスライド入力として入力をし始めるが、気が変わって、アプリケーションのオープン・インスタンスを元のデバイスに戻すために、スライド入力の向きを反転することができる。
【0011】
前記ユーザ入力の特性は、同一のアプリケーション/コンテンツがデバイス間を移動しているとユーザに知覚させるように、前記第1のデバイスにおける前記第1のアプリケーションのオープン・インスタンスの部分および前記第2のデバイスにおける前記少なくとも関連するアプリケーションの対応するオープン・インスタンスの部分を前記2つのデバイス間に配信させるように提供してもよい。前記第1のデバイスおよび前記第2のデバイスにおける各部分は、前記2つのデバイス間に配信される前記第1のアプリケーションのコンテンツの完全な表現に対応してもよい。例えば、ユーザがデバイスのスクリーンの3分の1までスライドジェスチャーを行う場合、出現遷移は、少なくとも関連するアプリケーションの対応するオープン・インスタンスの3分の1まで移動される第1のアプリケーションのオープン・インスタンスでもよい。これにより、オープン・インスタンスの3分の2は第1のデバイスに表示されたままで、少なくとも関連するアプリケーションの対応するオープン・インスタンスの3分の1が第2のデバイスに表示される。全体として、第1のアプリケーションのコンテンツの全表示が2つのデバイスに配信され、2つのデバイスのディスプレイに跨がって表示される。
【0012】
前記装置は、前記少なくとも関連するアプリケーションの対応するオープン・インスタンスが前記第2のデバイスに表示された後、前記第1のアプリケーションのオープン・インスタンスが前記第1のデバイスのディスプレイに表示されたままであるように構成されてもよい。前記第2のアプリケーションが前記第2のデバイスに表示された後、前記第1のアプリケーションが前記第1のデバイスで開かれたままでもよい。ユーザがこの第1のアプリケーションとやり取りできてもよく、できなくてもよい。
【0013】
前記ユーザ入力は、前記第1のデバイスまたは前記第2のデバイスのタッチセンサ式領域へのスワイプを含み、前記スワイプは前記装置のタッチセンサ式領域の1つの端から開始されてもよい。すなわち、ユーザは、前記ユーザ入力を与えるために、デバイスの1つの(タッチセンサ式)スクリーンまたは領域の一方の端または端の外側から指(またはスタイラスやスクライバー等)をスライドすることができてもよい。
【0014】
前記ユーザ入力は、前記第1のデバイスまたは前記第2のデバイスのタッチセンサ式領域によって検出される渦巻ジェスチャーを含んでもよい。こうした渦巻ジェスチャーは、前記ユーザ入力を与えるために、(タッチセンサ式)スクリーンにユーザが例えば、らせん状(spiral)や弓状(arcuate),円状の動きで自分の指(またはスタイラスやスクライバー等)を動かすことによって、渦の効果を与えるものと見做されてもよい。
【0015】
前記ユーザ入力は、前記第1のデバイス,前記第2のデバイスまたは別のデバイスによって検出される音声入力を含んでもよい。ユーザは、「スマートフォンへ来い」といった「プル」型音声命令や、「デスクトップへ行け」といった「プッシュ」型音声命令を与えることができてもよい。ユーザは、こうした音声命令を前記第1のデバイスや前記第2のデバイスに与えることができてもよい。あるいは、前記第1および第2のデバイスの少なくとも1つと通信する、音声入力機能を有するマクロフォンや他の周辺装置等の別のデバイスに与えることができてもよい。
【0016】
前記ユーザ入力は、前記装置や前記第1のデバイス,前記第2のデバイスに関連するタッチセンサ式ディスプレイに行われるジェスチャーの1つ以上の組合せを含み、前記ジェスチャーはスライド,ディスプレイの1つの端からのスライド,タップ,マルチタップ,押下,フリック,ピンチジェスチャー,および渦巻ジェスチャーでもよい。
【0017】
前記ユーザ入力をペン型デバイス(wand),ポインティングスティック,タッチパッド,スタイラスとパッド,マウス,物理キーボード,バーチャルキーボード,ジョイスティック,リモートコントローラ,ボタン,マイクロフォン,モーション検出器,位置検出器,スクライバー,および加速度計を介して受取るように構成されてもよい。
【0018】
前記第1のデバイスにおける前記第1のアプリケーションと同一のデータコンテンツの1つ以上を、前記第2のデバイスにおける前記少なくとも関連するアプリケーションに提供することによって、対応するオープン・インスタンスを提供するように構成されてもよい。データコンテンツは永続的なデータであると見做されてもよく、こうしたコンテンツは通常保存され、アプリケーションが開かれる度に利用可能である。
【0019】
前記第1のデバイスにおける前記第1のアプリケーションと同一の一時コンテンツの1つ以上を、前記第2のデバイスにおける前記少なくとも関連するアプリケーションに提供することによって、対応するオープン・インスタンスを提供するように構成されてもよい。一時コンテンツは永続的でないコンテンツおよび/またはデータであると見做されてもよく、通常は保存されない(システム障害後のデータ復旧など特に例外的な状況を除いて)。こうした一時コンテンツはアプリケーションを開くインスタンス間で利用できなくてもよい。
【0020】
前記第1および第2のデバイスにそれぞれ配置される1つ以上のメモリにアクセスすることによって、前記第1のアプリケーションおよび前記少なくとも関連するアプリケーションは、それぞれ前記第1および第2のデバイスで使用されるように提供されてもよい。各デバイスは自身のメモリにアプリケーションを格納してもよい。
【0021】
前記第1のアプリケーションおよび前記少なくとも関連するアプリケーションは、それぞれ前記第1および少なくとも関連するアプリケーションのオープン・インスタンスで提供される同等レベルの機能を提供してもよい。これら2つのアプリケーションによって、共通のタスクを遂行できてもよい。例えば、両方のアプリケーションでテキスト編集ができてもよい。
【0022】
前記第1のアプリケーションおよび前記少なくとも関連するアプリケーションは、それぞれ前記第1および第2のデバイスの同一のオペレーティングシステムを用いて、それぞれ前記第1および少なくとも関連するアプリケーションのオープン・インスタンスで提供される同等レベルの機能を提供してもよい。前記第1のアプリケーションおよび前記少なくとも関連するアプリケーションは、それぞれ前記第1および第2のデバイスの異なるオペレーティングシステムを用いて、それぞれ前記第1および少なくとも関連するアプリケーションのオープン・インスタンスで提供される同等レベルの機能を提供してもよい。各デバイスは同一または異なるオペレーティングシステムを持ち、同等レベルの機能を有する利用可能なアプリケーションを持っていてよい。ここで、同一のタスクが何れかのアプリケーションで遂行されてもよい。
【0023】
前記第1のアプリケーションおよび前記少なくとも関連するアプリケーションは、それぞれ前記第1および第2のデバイスの同一のオペレーティングシステムを用いて提供される等価アプリケーションでもよい。前記第1のアプリケーションおよび前記少なくとも関連するアプリケーションは、それぞれ前記第1および第2のデバイスの異なるオペレーティングシステムを用いて提供される等価アプリケーションでもよい。各デバイスは同一または異なるオペレーティングシステムを持ち、利用可能な等価アプリケーションを持っていてよい。2つの等価アプリケーションは、例えば、別々の組織で作成された2つの文書処理パッケージであって、ユーザがどちらのアプリケーションを使用するために選択するかに関係なく、(ユーザインタフェースが異なっていても)同様の方法で同じタスクを遂行できるような、本質的に同一の機能を提供するものであってよい。
【0024】
前記第1のアプリケーションおよび前記少なくとも関連するアプリケーションは、少なくとも1つのリモートサーバとの通信によってそれぞれ前記第1および第2のデバイスで使用されるように提供されてもよい。したがって、前記第1および第2のデバイスは、それぞれ前記第1および前記少なくとも関連するアプリケーションの使用に備えるために、少なくとも1つのリモートサーバとの通信を要求してもよい。
【0025】
前記第1のアプリケーションおよび前記少なくとも関連するアプリケーションは、少なくとも1つのリモートサーバとの通信によってそれぞれ前記第1および第2のデバイスで使用されるように提供される同一のアプリケーションであってもよい。例えば、前記同一のアプリケーションは電子メールクライアントのアウトルックであって、リモートサーバに格納されており、前記第1および第2のデバイスは、アウトルック・アプリケーションを使用するために前記サーバと通信できてもよい。
【0026】
前記第1および第2のデバイスは、前記第1のアプリケーションおよび前記少なくとも関連するアプリケーションの機能を提供するために独立して動作可能でもよい。前記独立して動作可能なデバイスは、別のデバイスに接続しなくても使用可能でもよい。
【0027】
前記第1および第2のデバイスは、それぞれの機能を提供する複数のアプリケーションを独立に実行するように構成されてもよい。各デバイスは別々の機能を有して利用可能な別々のアプリケーションを備えてもよい。
【0028】
前記データコンテンツは、テキスト,数値,フィールド,セル,画像コンテンツ,オーディオコンテンツ,ビデオコンテンツ,およびウェブページコンテンツの1つ以上を含んでもよい。データコンテンツは、ウィンドウタイトルやボタン,アイコン,メニューなど特定のアプリケーションが提供するユーザインタフェース機能を含まない。こうした要素は、アプリケーションのシェルで利用できるものであり、ユーザが前記特定のアプリケーションの機能を利用できるようにする。
【0029】
前記一時コンテンツは、ポインタの位置,カーソルの位置,ズーム率,ページ上の位置,ウィンドウサイズ,オーディオまたはビデオファイルの位置,ウィンドウのフォームファクター,ディスプレイ上のウィンドウの位置,ツールバー設定,およびハイライト要素の1つ以上を含んでもよい。
【0030】
前記第1のデバイスに提供される(例えば、表示される)前記第1のアプリケーションのオープン・インスタンスは、前記第2のデバイスに表示される前記少なくとも関連するアプリケーションの対応するオープン・インスタンスとは実質的に異なる外観を持っていてよい。2つのアプリケーションは、同等レベルの機能を提供する場合でも外観が異なっていてよい。また、2つのアプリケーションが異なるオペレーティングシステムを持つデバイスで実行されたり、同一のソフトウェア/アプリケーションの異なるバージョンで実行されたりしても、前記アプリケーションの外観が異なっていてよい。
【0031】
前記装置は、携帯電子デバイスやラップトップコンピュータ,携帯電話,スマートフォン,タブレットコンピュータ,携帯情報端末,デジタルカメラ,時計,非携帯電子デバイス,デスクトップコンピュータ,モニター,サーバでもよく、または、こうした装置の1つ以上のためのモジュール/回路でもよい。
【0032】
前記第1のデバイスのディスプレイおよび前記第2のデバイスのディスプレイは各々、異なるディスプレイサイズ,異なるディスプレイ・フォームファクター,異なるディスプレイ解像度,および異なるディスプレイ・カラースキームの1つ以上を有し、前記装置は、前記第2のデバイスで前記対応するオープン・インスタンスを提供する際、前記異なる態様を考慮するように構成されもよい。
【0033】
前記第1および第2のデバイスは、通信可能に接続されるように構成され、前記接続は、赤外線接続,ブルートゥース接続,無線接続,無線タグ(RFID)接続,電話接続,物理的有線接続,ネットワーク接続,および手動の1つ以上の組合せでもよい。
【0034】
前記第1のデバイスおよび前記第2のデバイス間の通信接続によって、前記第1のデバイスから前記第2のデバイスに提供される第1のアプリケーションの第1のオープン・インスタンスに前記一時コンテンツが関連付けられてもよい。すなわち、デバイスから別のデバイスへのアプリケーションの見掛けの移動(「動き」の見え方)は、前述のように通信リンクを介してもよい。
【0035】
別の態様では、ユーザ入力を受取ることと;前記ユーザ入力に基づいて、第1のデバイスに第1のアプリケーションのオープン・インスタンスを、第2のデバイスにおける少なくとも関連するアプリケーションの対応するオープン・インスタンスとして提供することを含む方法が提供される。
【0036】
別の態様では、コンピュータ可読媒体であって、そこに格納されるコンピュータプログラムコードを含み、前記コンピュータ可読媒体および前記コンピュータプログラムコードは、少なくとも1つのプロセッサで実行されると:ユーザ入力を受取ることと;前記ユーザ入力に基づいて、第1のデバイスに第1のアプリケーションのオープン・インスタンスを、第2のデバイスにおける少なくとも関連するアプリケーションの対応するオープン・インスタンスとして提供することを少なくとも実行するように構成される、コンピュータ可読媒体が提供される。
【0037】
別の態様では、ユーザ入力を受取る手段と;前記ユーザ入力に基づいて、第1のデバイスに第1のアプリケーションのオープン・インスタンスを、第2のデバイスにおける少なくとも関連するアプリケーションの対応するオープン・インスタンスとして提供する手段を備える装置が提供される。
【0038】
本開示は、1つ以上の態様や実施形態,特徴を個別に、または様々な組合せで含んでいる。こうした事項は、その組合せや個別で具体的に(特許請求の範囲を含めて)記述されているかどうかを問わない。議論される機能の1つ以上を遂行するための対応する手段も、本開示の範囲内にある。
【0039】
開示される方法の1つ以上を実装するための対応するコンピュータプログラムも、本開示の範囲内にあり、記載される実施形態の1つ以上によって包含される。
【0040】
前述の摘要は、単なる例示的かつ非限定的事項であることが意図されている。
【図面の簡単な説明】
【0041】
本願は以下の添付図面を参照して説明される。ただし、これらは一例に過ぎない。
図1】本開示に従う例示的装置を示す。
図2】本開示に従う別の例示的装置を示す。
図3】本開示に従うさらに別の例示的装置を示す。
図4a-4b】別のオペレーションシステムおよび同じオペレーションシステムで実行中のアプリケーションを示す。
図5】サーバと通信する複数の装置/デバイスを示す。
図6a-6c】オープン・インスタンスであって、3台の別々の装置/デバイスを横断して移動される、地図のオープン・インスタンスを示す。
図6d-6f】オープン・インスタンスであって、3台の別々の装置/デバイスを横断して移動される、地図のオープン・インスタンスを示す。
図7a-7c】別のオープン・インスタンスであって、2台の別々の装置/デバイスを横断して移動される、テキストアプリケーションの別のオープン・インスタンスを示す。
図7d-7f】別のオープン・インスタンスであって、2台の別々の装置/デバイスを横断して移動される、テキストアプリケーションの別のオープン・インスタンスを示す。
図8a-8d】アプリケーションのオープン・インスタンスが特定の装置/デバイスから別の装置/デバイスへ移動できる様々な方法を示す。
図8e-8g】アプリケーションのオープン・インスタンスが特定の装置/デバイスから別の装置/デバイスへ移動できる様々な方法を示す。
図9】本開示の方法に従うフローチャートを示す。
図10】プログラムを提供するコンピュータ可読媒体を概略的に示す。
【0042】
【例示的態様/実施例の説明】
【0043】
電子機器/デバイスは通常、1つ以上のアプリケーションを実行するように構成される。同じアプリケーションが様々な装置/デバイスで、場合によっては同時に実行されることもある。例えばオフィスでは、同じ文書処理アプリケーションを同時に全てが実行する可能性のある複数のデスクトップコンピュータが存在し得る。アプリケーションはリモートサーバに格納され、様々な装置/デバイスによってアクセスされてもよい。あるいは、アプリケーションが各個人のデスクトップコンピュータで使用されるように、ローカルに格納されてもよい。
【0044】
別の場合では、実質的に同じ機能を有し、様々な装置/デバイスで実行できる、等価のアプリケーションも存在する。こうした等価アプリケーションは、例えば、文書処理アプリケーションであるマイクロソフト社のWordやWordPerfect,Open Office Writerでもよい。これら3つのアプリケーションは、実質的に同じ機能をユーザに提供するという点において等価であると見做せる。しかし実際には、これらは別々の文書処理アプリケーションである。
【0045】
また、別のアプリケーションであって、その各々は一部の共通機能を互いに共有しつつ、他とは共通でない機能も有するアプリケーションも存在する。例えば、スプレッドシート・アプリケーションとデータプロット・アプリケーションは共通機能を共有していると見做せる。これら2つのアプリケーションは一部の共通機能(例えば、表/セルフォーマットでデータをまとめられる機能)を共有しつつ、共通でない独自機能を備えていてもよい。例えば、スプレッドシート・アプリケーションによって、作成すべきテキストベースの報告書よりも高度なものを作成することができる。一方、データプロット・アプリケーションを使う場合は、ユーザはより高度な方法でデータをプロットできる。こうした機能は数学関数と統計解析を用いて実現されるが、スプレッドシート・アプリケーションではこうした機能を実現することはできないこともある。
【0046】
装置/デバイスが特定のアプリケーションのタスクを実行でき、2台以上を用いる場合は別のアプリケーションのタスクを実行できることは、ユーザにとっては有益である。例えば、ユーザはスプレッドシートでデータを与えられ、そのデータを使ってデータプロット・アプリケーションに洗練されたグラフを作成したいと考えてもよい。別の例として、ユーザが自分のスマートフォンで電子メールを受信し、その電子メールに対する返信をラップトップコンピュータやタブレットPCで作成したいと考えてもよい。スマートフォンから利用できるキーボードよりも大きいキーボードを使う方がタイプし易いとユーザが考えるかもしれないためである。また別の例として、ユーザが自分の携帯電話の内蔵カメラで写真を撮り、その写真画像をユーザのタブレットPCやラップトップコンピュータ,デスクトップコンピュータで画像編集アプリケーションを使って加工したいと考えてもよい。
【0047】
ユーザは、様々なデバイスで複数のアプリケーションにおけるタスクを実行できるだけでなく、現在開いているまたは実行中のタスクを特定のアプリケーションから別のアプリケーションへ転送する簡単で直感的な方法を持つこともできる利点があってもよい。こうした方法には、実行中のタスクを継続するために、特定のアプリケーションを閉じて別のアプリケーションを開くことが含まれてもよい。ただし、この実行中、転送によって一部の情報が失われる可能性も想定される。文書処理タスクを特定のアプリケーション/デバイスから別のアプリケーション/デバイスに移動する例において、転送中に失われ易い情報は、テキスト中のテキストカーソル(キャレット)の位置やズーム設定,表示中のページ番号,次の文字入力に利用可能なフォント設定(ボールド体やイタリック体,取消し線等)を含んでもよい。ビデオコンテンツを含むインターネットサイトを閲覧するタスクを転送する例において、タスクを特定のアプリケーション/デバイスから別のアプリケーション/デバイスに移動する際に失われる情報は、表示中のウェブページの位置やズーム率,ビデオの解像度,ビデオの中でユーザが観ていた位置(20秒から1分のクリップ等),オーディオ設定(音量等)を含んでもよい。こうしたデータ(一時コンテンツと呼ばれる)がタスク転送時に保持されれば、ユーザには有益となり得る。
【0048】
現在開いている(少なくとも1つのタスクを実行できる)アプリケーションのインスタンスを特定のデバイス/アプリケーションから別のデバイス/アプリケーションへ転送する比較的簡単で直感的な方法があれば、様々なデバイスを使用するユーザにとっても有益となり得る。例えば、第1のデバイスで第1のアプリケーションを閉じ、第2のデバイスで等価な第2のアプリケーションを開くことは、ユーザには煩わしいことだと想定される可能性がある。例えば、現在開いているアプリケーションのインスタンスを第2のデバイスに転送するために、そのユーザがデバイスのタッチセンサ式スクリーンでジェスチャーを行い、第2のアプリケーション/デバイスで同一のタスク/アプリケーションの作業を再開できれば、そのユーザは、アプリケーションで実行中のタスクをデバイス間で移動するよりスムーズで簡単な方法を体験できる。
【0049】
本開示の態様は、ユーザ入力を受取れる装置の特徴を提供し、そのユーザ入力に基づいて、第1のデバイスに第1のアプリケーションのオープン・インスタンスを、第2のデバイスにおける少なくとも関連するアプリケーションのオープン・インスタンスとして提供するものと見做されてもよい。こうして、前述で概説した利点の少なくとも一部が提供されてもよい。
【0050】
図1は、プロセッサ110とメモリ120,入力I,出力Oを備える装置100を示す。この実施形態では1つのプロセッサと1つのメモリしか図示されていないが、その他の実施形態では複数のプロセッサおよび/または複数のメモリ(同一または異なるプロセッサ/メモリのタイプ等)を利用してもよい。装置100は携帯電子デバイス用の特定用途向け集積回路(ASIC)でもよい。装置100はデバイス用モジュール、またはデバイス自体であって、プロセッサ110が汎用CPUおよびメモリ120が汎用メモリであってもよい。
【0051】
入力Iによって、追加コンポーネントから装置に100に信号を受信できる。出力Oによって、装置に100から追加コンポーネントに信号を提供できる。この実施形態では、入力Iと出力Oは装置100と追加コンポーネントを接続できる接続バスの一部である。プロセッサ110は、コンピュータプログラムコードの形式でメモリ120に格納される命令に従って、入力I経由で受信された情報を実行/処理する専用の汎用プロセッサである。こうした動作によってプロセッサ110から生成された出力信号は、出力Oを経由して追加コンポーネントに送り出される。
【0052】
メモリ120(単一メモリユニットでなくてもよい)は、コンピュータプログラムコードを格納するコンピュータ可読媒体(固体メモリやハードドライブ,ROM,RAM,フラッシュ,その他のメモリ等)である。このコンピュータプログラムコードは、自身がプロセッサ110で実行されるときプロセッサ110によって実行可能な命令を含む。メモリ120とプロセッサ110の間の内部接続は、メモリ120に格納されたコンピュータプログラムコードにプロセッサ110がアクセスできるように、プロセッサ110とメモリ120の間にアクティブ結合を提供するものと理解することができる。
【0053】
この実施形態では、入力Iと出力O,プロセッサ110,メモリ120は各コンポーネントI,O,110,120間で通信できるように内部で電気的に接続されている。この例では、こうしたコンポーネントが単体ASICとして互いに隣接して配置されている。こうしてコンポーネントI,O,110,120は、電子デバイスにインストールできるように、単体チップ/回路に集積させてもよい。他の実施形態では、コンポーネントの1つ以上または全部が(デバイス200,300等の携帯電子デバイス経由で、または「クラウド」経由等で)別々に配置されてもよく、および/または、別の機能を提供/サポートしてもよい。
【0054】
装置100の1つ以上の実施例は、図2に示すような別の装置用のコンポーネントとして使用することも可能である。図2は、装置100の機能を別々のコンポーネントを介して備える装置100の変形例を示す。他の実施例では、装置200が、携帯電話やPDA,オーディオ/ビデオプレーヤー等の装置用モジュールとして(任意選択できる破線の箱で示される)装置100を備えてもよい。こうしたモジュールや装置,デバイスは、適切に構成されたメモリとプロセッサを備えるだけでもよい。
【0055】
例示的装置/デバイス200は、液晶ディスプレイ(LCD)やe−lnk,タッチスクリーン・ユーザインタフェース等のディスプレイ240を備える。デバイス200は、アクセスデータを受取る,含む,および/またはその他の処理を行えるように構成される。例えば、デバイス200は、無線ネットワークおよび/またはポート(図示せず)に接続するアンテナ260と通信する通信ユニット250(受信機,送信機,および/または送受信機等)を備える。デバイス200は、データを格納するメモリ220を備える。データはアンテナ260やユーザインタフェース230経由で受信されてもよい。プロセッサ210はユーザインタフェース230やメモリ220,通信ユニット250からデータを受信してもよい。データはディスプレイデバイス240および/または装置に備わるその他の出力デバイスを介してデバイス200のユーザに出力されてもよい。プロセッサ210は、最新のユーザに関するデータをメモリ220に格納してもよい。デバイスは通信バス280を介して接続されるコンポーネントを備える。
【0056】
通信ユニット250は例えば、受信機,送信機,および/または送受信機であって、ネットワークとの物理的接続を受取るために、無線ネットワークおよび/またはポート(図示せず)に接続するアンテナ260と通信し、データが1種類以上のネットワークを介して受信されるようにしてもよい。通信(またはデータ)バス280は、メモリ(または格納媒体)220に格納されたコンピュータプログラムコードにプロセッサ210がアクセスできるように、プロセッサ210とメモリ220の間にアクティブ結合を提供してもよい。
【0057】
メモリ220は装置100のメモリ120と同様にコンピュータプログラムコードを含むが、その他のデータを含んでもよい。プロセッサ210はユーザインタフェース230やメモリ220,通信ユニット250からデータを受信してもよい。データ元に関係なく、こうしたデータはディスプレイデバイス240、および/または装置に備わるその他の出力デバイスを介してデバイス200のユーザに出力されてもよい。プロセッサ210は、最新のユーザに関するデータをメモリ220に格納してもよい。
【0058】
図3に示すデバイス/装置300は、電子デバイス(タブレットやパーソナルコンピュータを含む)や携帯電子デバイス,携帯電話,またはこうしたデバイス用のモジュールでもよい。装置100はデバイス300用のモジュールとしてや、デバイス300用プロセッサ/メモリ,デバイス300等のモジュール用プロセッサ/メモリとして提供されることもある。デバイス300はプロセッサ385と格納媒体390を備え、これらはデータバス380によって電気的に接続されている。データバス380は、コンピュータプログラムコードにプロセッサ385がアクセスできるように、プロセッサ380と格納媒体390の間にアクティブ結合を提供できる。
【0059】
図3の装置100は、データバス380を経由して装置100からの出力を受信したり、その出力をデバイス300に送信したりする入出力インタフェース370に電気的に接続される。インタフェース370は、装置100からユーザに情報を提供する(タッチセンサ式またはその他の)ディスプレイ375にデータバス380を介して接続されることもある。ディスプレイ375はデバイス300の一部でも、別々でもよい。デバイス300は、他のデバイスコンポーネントの動作を管理するためにそれらデバイスコンポーネントに信号を提供し、そこから信号を受信することによって、デバイス300だけでなく装置100を通常制御できるように構成される、プロセッサ385も備える。
【0060】
格納媒体390は、装置100の動作を遂行,制御,または可能にするように構成されるコンピュータコードを格納するように構成される。格納媒体390は、他のデバイスコンポーネント用の設定を格納するように構成されてもよい。プロセッサ385は、他のデバイスコンポーネントの動作管理を目的として、コンポーネント設定を読出すために格納媒体390にアクセスしてもよい。格納媒体390は、揮発性ランダムアクセスメモリ等の一時格納媒体でもよい。格納媒体390は、ハードディスクドライブやフラッシュメモリ,不揮発性ランダムアクセスメモリ等の永久格納媒体でもよい。格納媒体390は、同一または異なるメモリタイプの様々な組合せで構成されることもある。
【0061】
図4aおよび4bは、2台の装置(デバイス)を使用する例示的実施形態を示す。デバイスは、タブレットPC400等の携帯電子デバイスとデスクトップまたはラップトップコンピュータ430である。これらの実施例にあるデバイス400,430は、それぞれアプリケーション402,432,462を実行しており、スプレッドシート404,434,464のデータを操作できる。
【0062】
図4aはオペレーティングシステム"A"406を使用してアプリケーション402を実行中の第1のデバイス400を示す。アプリケーション402は、各アイコン408によって示されるような特定の機能(新規ワークシートやクリップボード,削除,印刷,送信など)を有するスプレッドシート404アプリケーションである。第2のデバイス430は異なるオペレーティングシステム"B"436を使用するが、第1のデバイス400で実行中のアプリケーションと等価のスプレッドシート434アプリケーションであるアプリケーション432を実行中である。第1のデバイス400および第2のデバイス430で実行中の2つのアプリケーション402,432が等価であることを表わしている各アイコン408,438によって示されるように、この2つのアプリケーション402,432で同一の特定機能が利用できる。
【0063】
第1および第2のアプリケーション402,432は共に、実質的に同一の機能を提供するため、これらは、それぞれ第1および第2のデバイス400,430の異なるオペレーティングシステム406,436を使用して提供される等価なアプリケーション402,432である。オペレーティングシステム"A"406,"B"436,または別のオペレーティングシステムの何れかを2つのデバイス400,430の両方で使用していて、こうした状況でも各デバイスで等価アプリケーションが実行されうることも理解されたい。
【0064】
第1および第2のアプリケーションが等価である(すなわち、両アプリケーションは実施的に同一の機能を提供する)か、同一であることに基づいて、第2のアプリケーション432は、第1のアプリケーション402に「少なくとも関連している」と見做されてもよい。2つのアプリケーションは、同一アプリケーションからの異なるインスタンスであるという点で、同一であってもよい。あるいは、こうしたアプリケーションがアプリケーションからの同一のインスタンスであって、第1のデバイス400から第2のデバイス430へ転送された単一インスタンスであるという点で、2つのアプリケーションが同一であってもよい。
【0065】
図4bに示す別の実施例を検討する。図4bも同じく、オペレーティングシステム"A"406を使用してアプリケーション402を実行中の第1のデバイス400を示す。アプリケーション402は、各アイコン408によって示されるような特定の機能を有するスプレッドシート404アプリケーションである。ただし、この場合、第2のデバイス430は同一のオペレーティングシステム"A"466を使用している。第2のデバイス430は、第1のデバイス400で実行中のアプリケーション402によって提供されるものと同等レベルの機能を有するアプリケーション462を実行中である。この実施例における同等レベルの機能とは、スプレッドシート464が第2のデバイス430で使用され、スプレッドシート404が第1のデバイス400で使用されることである。こうした共通機能は、同一の共通機能を有する任意のメニューオプション408,468であると見做されてもよい。例えば、アプリケーション462では新規ワークシートを開く機能やクリップボードの使用,削除,印刷,データ送信の機能が利用可能であって、こうした機能がアプリケーション402のアイコンベースのオプション408ではなくテキストベースのメニュー468でアクセスされてもよい。このように、メニューオプションは、アイコンベースのオプション408とテキストベースのメニューオプション468で示されるように、各アプリケーション402,462で表現が異なっていてもよい。
【0066】
ただし、第2のデバイス430で実行中のアプリケーション462は、第1のデバイス400で実行中のアプリケーション402に対して追加機能を有する。例えば、アプリケーション462は、スプレッドシート464の使用だけでなく、コマンドライン型入力470や別のメニュー/アイコン機能468を用いてユーザがデータを操作したり、データのグラフ表現472など様々な出力が可能であったりするデータ操作アプリケーションであってもよい。当然ながら、アプリケーション402も、財務報告書作成といった第2のアプリケーション462では利用できない機能が使えてもよい。この実施例では、第1のデバイス400に表示される第1のアプリケーション402のオープン・インスタンスは、第2のデバイス430で表示される少なくとも関連する(第2の)アプリケーション462の対応するオープン・インスタンスとは実質的に異なる外観を持つ。こうした外観は図4bで示され、第1のアプリケーション402に対して第2のアプリケーション462では異なっている。第2のアプリケーションでは、コマンドライン入力領域470やファイル/メニューオプション468,グラフ表示472等、様々な要素が表示されている。2つのアプリケーションからの2つのオープン・インスタンス間で外観が異なるような方法は他にも多数あることを理解されたい。こうした方法には、異なるカラースキームや異なるフォント,異なる表示サイズやフォームファクター,様式の異なるボタン/アイコン/メニューシステムを用いること等が挙げられるが、他にも多くの可能な要素が存在する。
【0067】
したがって、第1のアプリケーション402および少なくとも関連する第2のアプリケーション462は、この例では同一のオペレーティングシステム"A"406,466を使用して、第1および少なくとも関連するアプリケーション402,462の各オープン・インスタンスで提供される同等レベルの機能を提供する。2つのデバイス400,430が別々のオペレーティングシステムを使用していて、こうした状況でも各デバイスで同等レベルの機能を提供するアプリケーションが実行されうることも理解されたい。
【0068】
図4aおよび4bの第1および第2のデバイス400,430は独立して動作できる。すなわち、これらは、サーバ等の別のデバイスに接続しない単独デバイスとして使用でき、第1のアプリケーション402および少なくとも関連する(第2の)アプリケーション432,462の機能を提供できる。
【0069】
図5は、外部のリモートサーバと通信する複数の装置(デバイス)の例示的実施形態を示す。図示されているデバイスは2台のラップトップコンピュータ502,504とデジタルカメラ506,スマートフォン/携帯電話/PDA508,タブレットPC510を含む。任意数のデバイスがリモートサーバ512,514と通信してもよい。図中では、クラウド512として示されているが、物理的なサーバ514であってもよい。リモートサーバ512,514との通信516,518,520,522,524は、各デバイスとの双方向通信である。各デバイス502,504,506,508,510は、1つ以上のアプリケーションを実行することができる。
【0070】
関連するアプリケーションは、リモートサーバ512,524との通信516,518,520,522,524によって様々な個別のデバイス502,504,506,508,510で使用されてもよい。すなわち、画像処理アプリケーションがサーバ512,514から利用でき、この画像処理アプリケーションの様々なバージョンも利用可能で、各バージョンが特定のデバイスでの使用に適したものであってもよい。例えば、比較的多機能なバージョンがラップトップコンピュータやデスクトップコンピュータでの使用に適したもので、機能を減らしたバージョンが携帯電話やスマートフォンでの使用に適したもので、デジタルカメラでの使用に適した特定機能のバージョンが利用可能であってもよい。
【0071】
別の実施例として、同一のアプリケーションが、リモートサーバ512,524との通信516,518,520,522,524によって様々な個別のデバイス502,504,506,508,510で使用されてもよい。同一のアプリケーションは例えば、ミニゲームやテキストメッセージ・エディタ,ソーシャルメディア・アプリケーションであってもよい(他にも多くの可能性がある)。このように、アプリケーションは各デバイスにローカルな形で配置されないが、アプリケーションを実行するためにリモートサーバと通信する必要があってもよい。実施形態によっては、アプリケーションがデバイスとサーバ間で配信されるものと見做されることもある。この場合、各デバイス/サーバのアプリケーションの一部は、そのアプリケーションによって提供されるタスクを実行するために一緒に実行される必要がある。
【0072】
サーバは例えば、サーバから同一または関連するアプリケーションのダウンロードを可能にすることによって、そのアプリケーションを使用できるようにしてもよい。こうしてデバイスは、ダウンロード後サーバと更に通信しなくても、単独デバイスとして格納したアプリケーションを実行できる。デバイスは、アプリケーションの更新バージョンをダウンロードして格納するため等で、更にサーバと通信できてもよい。アプリケーションの提供は、リモートサーバにアプリケーションが格納されて実行されるように行われ、かつ、アプリケーションを提供されたデバイスがサーバで実行中のアプリケーションを使用するように行われてもよい。この場合、サーバとの通信が中断または終了すると、デバイスのユーザはアプリケーションを使用できなくなる可能性がある。他の実施例では、複数のリモートサーバがあり、1つ以上のデバイスと通信してもよい。
【0073】
図6aから6fは、3台の装置(デバイス)を使用する例示的実施形態を示す。デバイスは、タブレットPC600等の携帯電子デバイスとデスクトップまたはラップトップコンピュータ630,スマートフォン/携帯電話/PDA660である。これらの実施例におけるデバイス660,630,660はそれぞれ地図アプリケーションを実行できる。ユーザは、第1のデバイス600に第1の地図アプリケーションのオープン・インスタンスを提供するためにユーザ入力を与えることができる。このオープン・インスタンスは、第2のデバイス630における少なくとも関連する(地図)アプリケーションのオープン・インスタンスに対応する。この実施例では、ユーザは、第3のデバイス660における少なくとも関連する(地図)アプリケーションの対応するオープン・インスタンスとして、第2のデバイス630に第2の地図アプリケーションの第2のオープン・インスタンスを提供するためにユーザ入力を与えることもできる。これら3つのデバイス660,630,660は、独立して動作できる。例えば、タブレットPC600は、動作するために別のデバイスやインターネット,その他のネットワークへの接続が不要でもよい(ただし、こうした別のデバイスおよび/またはネットワークおよび/またはインターネットへの接続自体は可能であってもよい。こうした接続の可能性は、本願で記述する、対応するオープン・インスタンスの機能を提供するために有益でもある)。3つのデバイスはそれぞれ個別の機能を提供する複数のアプリケーションを実行できてもよく、地図アプリケーションを実行できることに限定されない。他の実施例では、車載ナビゲーションシステム等の特定のデバイスが、GPSナビゲーション/地図アプリケーション等の単一のアプリケーションだけを実行できる場合でもよい。
【0074】
図6aは、第1のアプリケーション602、この実施例では地図アプリケーションのオープン・インスタンスを表示するタブレットPC600である、第1のデバイスを示す。図6aでユーザは、表示された地図からユーザマーカ606を含む領域をズームイン608しようと決める。このユーザマーカは例えば、(デバイスがGPS測位機能を備える場合)ユーザの現在位置でもよい。別の実施例として、ユーザマーカ606は、友人の家やレストラン,目標物等の特定スポットを示すためにユーザによって手動で置かれたフラグでもよい。特定スポットは、予定行路の始点または終点としてユーザがマークしたものでもよい。こうしたマーカは地図上の一時標示子であり、地図アプリケーション602が閉じられるとき、(データコンテンツとして地図の詳細情報等の他のデータコンテンツと一緒に正式な形で最初に保存されない限り)こうしたマーカが失われることは想定できる。こうしたマーカは一時コンテンツと見做されてもよい。同様に、ズームされた領域も一時コンテンツとして見做されてもよい。その理由は、地図アプリケーションが閉じられると、地図アプリケーションを再び開く際に、特定のズームイン領域604が読出されず、ユーザが表示される領域604を再度ズームし直さなくてはならないことは想定できるからである。ズーム率やユーザマーカ等の一時データは、通常、アプリケーションが閉じられる際に保存されるデータとは考えられていない。すなわち、一時データは通常、オープンされるアプリケーションのインスタンス間で持続しない。
【0075】
一時データの他の例は次のものを含んでもよい:ディスプレイ上のマウスポインタの位置;テキスト領域におけるテキストカーソルの位置;テキスト文書やスプレッドシート,ウェブサイト,地図等で現在表示中のページの位置;ディスプレイのウィンドウサイズ;オーディオまたはビデオファイルの位置(2時間の映画における15分等);表示されるウィンドウや領域のフォームファクター(相対寸法);ディスプレイ上のウィンドウの位置(右上隅に表示されるウィンドウやディプレイスクリーン等);ツールバー設定(選択テキストのフォーマット(「ボールド体」や「イタリック体」,「取消し線」,「下線」等),テキスト位置合わせ(左揃え,中央揃え,右揃え),フォントスタイル(ポイントの大きさ,フォントの色,フォントタイプ)等);ハイライト要素(テキスト文書でハイライトされた文字列,スプレッドシートでハイライトされた1つまたは複数のセル,連絡先リストでハイライトされた連絡先等)。こうした一時コンテンツは通常、アプリケーションを正式に閉じた際に失われ、アプリケーションを再び開いたときにユーザが再度定義し直さなくてはならないと理解されよう。
【0076】
開いたアプリケーション602に表示される地図は、画像として表示される実際の地図要素(道路や橋,森林等)といった他の特徴も表示する。こうした地図要素はデータコンテンツを形成する。データコンテンツは、ユーザがアプリケーションを開く際にユーザが常に利用できるように持続するものと見做されてもよい。地図アプリケーション自体は、メニューやボタン/アイコン等の要素も表示してもよく、こうした要素はデータコンテンツとは見做されない。地図アプリケーションを開く度に、どの地図が開かれ見えているかに関係なく、または、実際には現在どの地図も見るために開かれていないとしても、地図要素とメニュー,ボタン,テキストがユーザに表示される、および/またはユーザが利用できる。また、地図アプリケーション毎にメニューおよび/またはボタン/アイコンが異なっていてもよく、その場合でも、同一のデータコンテンツ、すなわち、同一の地図とその地図要素をユーザが見ることができてもよい。
【0077】
データコンテンツの他の例は次のものを含む:テキスト(文書処理アプリケーションで作成した文書や電子メール,データベース,テキストベースメッセージ,連絡先リストに保存されたテキスト等);数値(スプレッドシートやデータベース/データパッケージ,連絡先リストに作成されたエントリ等);フィールド(データベースに作成されたエントリ,ウェブサイトのフィールドに入力されたテキスト等);セル(スプレッドシートのエントリ等);画像コンテンツ(写真や地図,絵画,プレゼンテーション用スライドコンテンツ,ゲームの画像等);オーディオコンテンツ(音楽や歌,音声記録,ゲームのサウンドトラック等);ビデオコンテンツ(ゲームから切り出されたビデオ,映画等);ウェブページコンテンツ(テキスト,画像,ハイパーリンク)。ここに列挙された例が排他的ではないことは理解されよう。また、一旦閉じたアプリケーションをまた開く際、こうしたデータコンテンツが通常、ユーザに表示される、および/または利用可能であることも理解されよう。
【0078】
図6bは、図6aに示した地図アプリケーション602で選択された、地図のズーム領域604であって、ユーザマーカ606を含む領域を示す。この段階では、デバイス630とデバイス660はそれぞれディスプレイ650,680に何のアプリケーションも開いていない。現時点でこうしたデバイスに地図アプリケーションが開かれていなくてもよい。また、地図アプリケーションが開かれていてもよい。ただし、地図アプリケーションは、実行中でも現時点で表示されないように「最小化」または隠されている。何れの場合でも、デバイス630,660は利用可能な地図アプリケーションを有する。デバイス630,660の地図アプリケーションはデバイス600の地図アプリケーションに少なくとも関連し、同一のアプリケーションでもよく(例えば、3つのデバイス600,630,660は全て同一の地図アプリケーションを備えていてもよい)、または、同等レベルの機能がある地図アプリケーションでもよい(例えば、デバイス600の地図アプリケーション602は特定の地図アプリケーションであって、デバイス630は別の地図アプリケーションを備え、デバイス660はまた別の地図アプリケーションを2種類備えてもよい。これらのアプリケーションは全て同等レベルの機能を有する)。
【0079】
この実施例では、デバイス600,630,660の各々に置かれたメモリにアクセスすることによって、それぞれのデバイスに地図アプリケーションが提供される。例えば、第1の地図アプリケーション602は第1のデバイス600に置かれた第1のメモリに配置され、第2の地図アプリケーション638は第2のデバイスに置かれた第2のメモリ(図示せず)に配置され、第3の地図アプリケーション668は第3のデバイスに置かれた第3のメモリ(図示せず)に配置される。
【0080】
図6cでは、ユーザ632がユーザ入力634を提供していて、その入力が第2のデバイスによって受取られている。この実施例では、ユーザはコンピュータ630のタッチセンサ式スクリーンにスライドジェスチャーを行っている。スライドジェスチャーの代わりに他のユーザ入力が使用されてもよい。適切なユーザ入力例の一部は、図8に関連して詳述される。
【0081】
図6dに示すように、このユーザ入力634に基づいて、第1のデバイス600の地図アプリケーション602のオープン・インスタンス(すなわち、地図アプリケーション602の中で開かれているインスタンス)が、第2のデバイス630の少なくとも関連する(地図)アプリケーションの対応するオープン・インスタンス638として提供される。すなわち、ユーザ入力634によって、第1のデバイス600で開いていた地図アプリケーション602は、地図アプリケーション638のオープン・インスタンス(すなわち、地図アプリケーション638の中で開かれているインスタンス)として第2のデバイス630に表示される。この実施例では、同一のデータコンテンツ(地物(map feature))と同一の一時コンテンツ(ズーム率やユーザマーカ636)は、第1のデバイス600の第1のアプリケーション602に提供された通りに第2のデバイス630にも提供される。
【0082】
図6cに示されるこの実施例では、ユーザが自分の指を左から右へ段階的に動かすと、第1のアプリケーション602のオープン・インスタンスは第1のデバイスのディスプレイから段階的に消去され、第2の(少なくとも関連する)アプリケーション638の対応するオープン・インスタンスは第2のデバイスに段階的に表示される。こうした段階的な消去/表示は、この実施例ではユーザ入力の方向に沿って行われる。すなわち、ユーザは指634を左から右へスライドしていて、アプリケーションのオープン・インスタンスが第1のデバイスの左側から第2のデバイスの右側へ出現遷移(apparent transition)する方向も、左から右への同一方向である。この実施例では、第1のアプリケーションのオープン・インスタンスが第1のデバイスから第2のデバイスへ実際に移動されるわけではないため、「出現遷移(apparent transition)」という用語が用いられる。一時コンテンツとデータコンテンツは、2つのデバイス600,630間で同期される。ユーザ入力前に第1のデバイスに見えていたのと同一の素性を示すアプリケーションをユーザに表示するために、第2のデバイスにおける第2のアプリケーションのオープン・インスタンスは、こうした一時コンテンツとデータコンテンツを使用するように構成される。この実施例では、(一時コンテンツとデータコンテンツを含む)ローカル状態は、第1のデバイスにある通りに第2のデバイスにも複製され、第1のアプリケーションのオープン・インスタンスが第2のアプリケーションのオープン・インスタンスとして転送された状況を与えていると見做されてもよい。
【0083】
この実施例では、フォームファクターの差異が説明されていると見られることもある。第1のデバイス600と第2のデバイス630のディスプレイのフォームファクターは異なるため、表示されるコンテンツのフォームファクターは変更される。その結果、デバイス600に表示される第1のアプリケーション602のオープン・インスタンスは、デバイス630に表示されるアプリケーションのオープン・インスタンスとして地図の同一領域(ズーム領域604)を表示するようになる。
【0084】
他の実施例では、開いて表示されるアプリケーションのフォームファクターは、ユーザアプリケーションの別のオープン・インスタンスを表示する際に保存されなくてもよく、表示されるデータに最適なフォームファクターが選択されてもよいことが理解されよう。例えば、ラップトップの横長モニターにおける大画面ディスプレイに表示されるビデオは、その後に縦長スクリーンを備える携帯電話で開かれる場合には、元の大画面用フォームファクターを維持してもよい。携帯電話でビデオを表示しない他の領域はブラック状態か他のオプションやテキストを含んでもよい。ディスプレイが横向きになるように携帯電話を回転することによって、動画もそれに応じて回転され、携帯電話の横長ディスプレイに横向きで表示されるようになってもよい。
【0085】
2つのデバイス600,630はフォームファクターだけでなくディスプレイサイズも異なる。第1のデバイスよりも大きい第2のデバイスのスクリーンを提供するために、第2のデバイスにおける第2のアプリケーションのオープン・インスタンスは、第1のデバイスにおける第1のアプリケーションのオープン・インスタンスと比較してリサイズされる。2つのデバイス600,630はディスプレイ解像度が異なっていてもよく、および/またはディスプレイのカラースキームが異なっていてもよい(例えば、デバイスの一方は白黒スクリーンを備え、他方のデバイスはカラースクリーンを備えていてもよい)。
【0086】
第1のデバイス600のディスプレイから段階的に消去され、第2のデバイス630のディスプレイに段階的に表示される地図の出現遷移は、ユーザ入力634の速度依存特性に基づいていてもよい。ユーザの行うスライドジェスチャー634が早いほど、出現遷移も相対的に早くなることが想定されてもよい。同様に、ユーザが比較的ゆっくりとしたスライドジェスチャー634を行えば、出現遷移も相対的に遅くなってもよい。また例えば、ユーザが、スライドジェスチャーを開始しても(ここで、出現遷移を行いたい意思を変えた場合)、ユーザ入力を反転し、アプリケーションのオープン・インスタンスを元のデバイスに戻すことが可能でもよい。
【0087】
ユーザアプリケーションのオープン・インスタンスの提供は、2つのデバイス間のみでの提供に限定されるものではない。図6eは、ユーザ662がユーザ入力664を提供していて、その入力が第3のデバイス660によって受取られている状況を示す。ここでも、ユーザは携帯電話/スマートフォン/PDA660 のタッチセンサ式スクリーンにスライドジェスチャー664を行っている(ただし、他のユーザ入力も可能である)。
【0088】
このユーザ入力664に基づいて、第2のデバイス630の地図アプリケーション638のオープン・インスタンスが、第2のデバイス660の少なくとも関連する(地図)アプリケーションの対応するオープン・インスタンス668として提供される。図6fに示すように、ユーザ入力664によって、第2のデバイス630で開いていた地図アプリケーション638は、地図アプリケーション668のオープン・インスタンスとして第3のデバイス660に表示される。この実施形態でも同様に、同一のデータコンテンツ(地物(map feature))と同一の一時コンテンツ(ズーム率やユーザマーカ636)は、第2のデバイス630の第2のアプリケーション638および第1のデバイス600の第1のアプリケーション602に提供された通りに第3のデバイス660にも提供される。この一時コンテンツは遷移中に保存されていたために、ユーザは再度ズームする必要がない。あるいは、ユーザ入力後に新しいユーザマーカ666を挿入できる。
【0089】
図6fに示す実施例では、地図アプリケーション668のオープン・インスタンスが第3のデバイス660に表示された後でも、第2のアプリケーション638の対応するオープン・インスタンスは第2のデバイス630に表示(640)されたままであることに留意されたい。この残存表示640は画像であって、第2のデバイス630に表示されたものが何であるかをユーザにリマインドするものでもよい。ただし、この表示は前述したような完全なやり取りを許容するものではない。他の実施例では、残存表示640は、実行中でユーザが完全なやり取りをすることができる第2のアプリケーション638でもよい。第1/第2のデバイスのアプリケーションは、その外観が第2/第3のデバイスに移動した後に閉じてもよいことが理解されよう。当然ながら、こうしたアプリケーションが開いたままで、ユーザがデバイスとやり取りして行われた変更に合わせて更新されたり、同期したりしてもよい。
【0090】
例えば、ユーザが第3のデバイス660で開いたアプリケーション668に入力して操作できる間、第2のデバイス630で開いたアプリケーション638にも入力して操作することができることが想定されてもよい。オープン・インスタンスが別のデバイスに提供されたとしても、当初のデバイスで開いて実行中のアプリケーションの能力を排除する必要なない。第2のデバイス630に行われた入力は、第2のデバイス630におけるアプリケーション638のオープン・インスタンスによって受信されてもよい。しかし、第2のデバイス630と第3のデバイス660でアプリケーションの遷移コンテンツが同期中であることは、第2のデバイス630でのこうした入力の影響が第3のデバイス660で実行中のアプリケーションに伝播されることを意味してもよい。この場合、こうしたデバイスの一方またはリモートサーバは、複数のデバイス間の同期を制御するコントローラとして動作できる。あるいは、複数のデバイスが協働して同期制御できる。
【0091】
前述の実施例において、ジェスチャーはプル動作を伴うジェスチャーであると見做され、対応するオープン・インスタンスでは、ジェスチャー入力を受取るデバイスから引かれているように見られる。当然ながら他の実施例では、こうした(ジェスチャー)入力がプッシュ動作を伴う、第1のデバイスからの入力であって、第2のデバイスの対応するオープン・インスタンスを提供するものであることもある。
【0092】
本願で記述したような少なくとも関連するアプリケーションのオープン・インスタンスの提供を可能にするために、2つのデバイスが共有ネットワーク(プライベートネットワーク等)を形成するように構成される場合もある。
【0093】
図7aから7fは、2台の装置(デバイス)を使用する別の例示的実施形態を示す。デバイスは、携帯電話やスマートフォン,PDA700等の携帯電子デバイスとタブレットPC750である。これらの実施例におけるデバイス700,750の各々はテキスト編集アプリケーションを実行でき、独立して動作できる(または、そうでなくてもよい)。すなわち、各デバイスは、動作するために別のデバイスやインターネット,その他のネットワークへの接続が不要でもよい(ただし、こうした別のデバイスおよび/またはネットワークおよび/またはインターネットへの接続自体は可能であってもよく、関連するアプリケーションの対応するオープン・インスタンスが利用するために必要であってもよい)。2つのデバイス700,750は、それぞれ個別の機能を提供する複数のアプリケーションを実行できてもよい。例えば、デバイス700は電話機能を有し、SMSやMMS,ビデオメッセージの送受信,電子メールの送受信,ゲームプレイ,ソーシャルメディアサイトおよびアプリケーションへのアクセスが可能でもよい。デバイス750は生産性アプリケーション(文書処理,スプレッドシート,データベース,プレゼンテーション用の各アプリケーション)と画像処理アプリケーションを実行でき、ゲームをプレイできてもよい。
【0094】
図7aは、第1のアプリケーション702、この実施例ではテキスト編集アプリケーションのオープン・インスタンスを表示する第1のデバイス700を示す。図7aで、ユーザは「Hello, this」というメッセージ704をタイプ706し始めたところである。このアプリケーションのオープン・インスタンスは、テキストカーソル708の一時コンテンツを含む。テキストカーソルはテキスト本文において次のテキスト入力が行われる位置を示す。ユーザは、比較的小さいキーボード710を備えるデバイス700でメッセージをタイプするよりも、ユーザのタブレットPC750でメッセージを作成しようと考えるかもしれない。図7aは、どのアプリケーションのオープン・インスタンスもデバイス750に表示されていない状態を示す。デバイス750には現在事項中のアプリケーションが存在しなくてもよい。あるいは、実行中のアプリケーション(テキスト編集アプリケーションを含んでいてもいなくてもよい)があり、最小化されていてスクリーンには見えていなくてもよい。何れの場合でも、デバイス700,750は利用可能なテキスト編集アプリケーションを有する。
【0095】
デバイス700,750のテキスト編集アプリケーションは少なくとも関連するものであって、同一のアプリケーションでもよく(例えば、両デバイス700,750はノートパッド型のテキスト編集アプリケーションを備えていてもよい)、または、同等レベルの機能があるテキスト編集アプリケーションでもよい(例えば、デバイス700のテキスト編集アプリケーション702はプレーンテキストを入力できる比較的基本的なテキスト編集アプリケーションであり、デバイス750はオープンオフィスライター等より洗練されたテキスト編集アプリケーションを備えてもよい)。デバイス750のようなデバイスでは、オープンオフィスライターだけでなくノートパッドやページ等、複数のテキスト編集アプリケーションを利用できることも想定できる。これら全てのアプリケーションは、テキストを編集するために利用できる同等レベルの機能を有する。この実施例では、デバイス700,750の各々に置かれたメモリにアクセスすることによって、それぞれのデバイスにテキスト編集アプリケーションが提供される。他の実施例では、複数のデバイスが要求したソフトウェアをリモートサーバやクラウドからアクセスしてもよい。
【0096】
図7bでは、ユーザ758がユーザ入力760を提供していて、その入力が第2のデバイス750によって受取られている。この実施例では、ユーザはタブレットPC750のタッチセンサ式スクリーンにスライドジェスチャーを行っている。スライドジェスチャーの代わりに他のユーザ入力が使用されてもよい。適切なユーザ入力例の一部は、図8に関連して詳述される。
【0097】
図7bおよび7cに示すように、このユーザ入力758に基づいて、第1のデバイス700のテキスト編集アプリケーション702のオープン・インスタンスが、第2のデバイス750の少なくとも関連する(テキスト編集)アプリケーションの対応するオープン・インスタンス752として提供される。すなわち、ユーザ入力758によって、第1のデバイス700で開いていたテキスト編集アプリケーション702のデータコンテンツと一時コンテンツは、第2のデバイス750におけるテキスト編集アプリケーション752のオープン・インスタンスに表示される。同一のデータコンテンツ(「Hello, this」というテキスト704,754)と同一の一時コンテンツ(「this」の「s」の後にあるテキストカーソル756)は、第1のデバイス700の第1のアプリケーション702に提供された通りに第2のデバイス750にも提供される。
【0098】
図7cは、第2のアプリケーションのオープン・インスタンスが第2のデバイス750で開かれた後、一時コンテンツ要素であるテキストカーソル756の位置が作成中のテキスト754の最後の位置に保存されていることを示す。このように、ユーザは、テキストファイルが最後に編集されたときにテキストカーソルがあった位置を見つけようと注意する必要がない。こうした一時コンテンツは保存されているからである。テキストカーソルは入力文字列の最後にある必要もない。例えば、ユーザが誤字の修正やテキストの一部を加えている途中で、文書の中間部分の編集を続けていることもある。これは、比較的長い文書を編集する場合には特に有用である。この場合、最後に見たページや最後に見たページ内の位置,最後の使用したフォント設定(ボールド体やイタリック体,大文字・小文字等)といった他の一時的な特性が保存されてもよいことは理解されよう。これにより、ユーザがテキストファイルを再び開く際に、こうした一時コンテンツを再度決定する必要がなくなるため、ユーザが第2のデバイスでテキストベースのメッセージの編集/作成を続ける助けとなることも理解されよう。
【0099】
図7bに示されるこの実施例では、第1のアプリケーション702のオープン・インスタンスは、第1のデバイスのディスプレイから段階的に消去され、第2のアプリケーション752の対応するオープン・インスタンスは第2のデバイスに段階的に表示される。こうした段階的な消去/表示は、ユーザ入力の方向に沿って行われる。すなわち、ユーザは指を左から右へスライドしていて、アプリケーションのオープン・インスタンスが第1のデバイス700の左側から第2のデバイス750の右側へ出現遷移する方向も、左から右への同一方向である。当然ながら、第1のデバイス700へのジェスチャー入力は特定キーの押下によって行われてもよい。あるいは、タッチ入力が可能である場合、ディスプレイを使用して行われてもよい。
【0100】
この実施例では、第2のデバイスにおける第2のアプリケーション752のオープン・インスタンス内で表示されるテキストはリサイズされ、表示フォントも2つのアプリケーション702,752で異なる。したがって、この実施例では、第2のアプリケーションのオープン・インスタンスが使用される際、データコンテンツの一部(「Hello, this」というテキスト)と一時コンテンツ(テキストカーソル756)は保存されているが、他のデータコンテンツ(フォントスタイルとフォントの大きさ)は第2のデバイス750の現プロパティの一部に合わせて変更されている。他の実施例では、第2のデバイスにおいて第2のアプリケーションのオープン・インスタンス内のデータと一時コンテンツを表示する際に、フォントスタイルとフォントの大きさが保存されていてもよい。保存されるデータコンテンツと一時コンテンツのプロパティ、および使用される特定のデバイスによって決定されるデータコンテンツと一時コンテンツのプロパティは、優先設定としてユーザが決定してもよい。
【0101】
第1のデバイス700のディスプレイから段階的に消去され、第2のデバイス750のディスプレイに段階的に表示されるテキスト編集アプリケーションの出現遷移は、ユーザ入力758の速度依存特性に基づいていてもよい。ユーザの行うスライドジェスチャー760が早いほど、出現遷移も相対的に早くなることが想定されてもよい。同様に、ユーザが比較的ゆっくりとしたスライドジェスチャー758を行えば、出現遷移も相対的に遅くなってもよい。出現遷移は、他の実施例では、その遷移を行うために提供されるユーザ入力の範囲に依存してもよい。例えば、第1のアプリケーションのオープン・インスタンスを第1のデバイスから段階的に消去し、少なくとも関連するアプリケーションの対応するオープン・インスタンスを第2のデバイスに段階的に表示するために、ユーザがスライド入力を始めてもよい。完全な入力(例えば、特定のデバイスのタッチセンサ式スクリーンの一方の端から反対側の端まで指をスライドすることでもよい)を行っている途中で、ユーザは考えを変え、外見上、第1のアプリケーションのオープン・インスタンスを第1のデバイスに戻すために、スライド入力の向きを反転してもよい。ユーザは、前後させるスライド入力を与えるように指を「揺り動かす」ことによって、アプリケーションのオープン・インスタンスの見掛けの動きも、この前後の「揺り動かし方」に合わせるようにすることが可能でもよい。
【0102】
図7dは、ユーザ766がタブレットPCの仮想キーボードを開いて、テキストメッセージを「Hello, this is a note to say…」と読めるまで作成を続けている状態を示す。ユーザは、例えば、タブレットPC750の仮想キーボード764の方がスマートフォン型デバイス700のもっと小さいキーボードよりもタイプし易ければ、別のデバイスでテキストメッセージを作成し続けたいと考えるであろう。しかしこの実施例では、ユーザは、この作成したテキストをSMSメッセージとして、ユーザのスマートフォン型デバイス700の連絡先リストに記憶された連絡先への送信を望んでいる。したがって、このユーザは、作成したメッセージ756を連絡先に送信するために、第1のデバイスに戻ってメッセージ756を開きたい。
【0103】
図7eは、ユーザ712がスライドユーザ入力714を再度与えている状況を示す。これによって、アプリケーション752(この場合、参照番号752は以前の実施例における第2のアプリケーションではなく、第1のアプリケーションを示す)のオープン・インスタンスは、デバイス750(この場合、参照番号750は以前の実施例における第2のデバイスではなく、第1のデバイスを示す)の右側から段階的に消去され、アプリケーション702(この場合、参照番号702は以前の実施例における第1のアプリケーションではなく、第2のアプリケーションを示す)の対応するオープン・インスタンスは、デバイス700(この場合、参照番号700は以前の実施例における第1のデバイスではなく、第2のデバイスを示す)の左側から段階的に表示される。こうした段階的な消去/表示は、ユーザ入力の方向に沿って行われる。すなわち、ユーザは指を右から左へスライドしていて、アプリケーション752のオープン・インスタンスが第1のデバイス750の右側から(デバイス750の左側700にある)第2のデバイス700へ出現遷移する方向も、右から左への同一方向である。当然ながら、対応するオープン・インスタンスは(図7eに示す、プル動作の実施形態とは逆に)第1のデバイス750から第2のデバイス700へ押し戻されることもある。
【0104】
図7fは、デバイス750で作成されたメッセージ716がデバイス700のアプリケーション702のオープン・インスタンスで利用可能である状態を示す。デバイス700は、例えば、SMS(と他の種類の)メッセージを送信できるような、他のデバイスが利用できない機能を持っていてもよい。したがって、ユーザは、メッセージを作成してそのメッセージを特定の連絡先に送信するタスクを別々のデバイスを使って遂行することができる。ここで、各デバイスはそれぞれ他のデバイスより優れた特別な利点を備えていてもよく、例えば、タブレットPC型デバイス750では大型キービード764でタイピングができ、スマートフォン型デバイス700では連絡先リスト700に記憶された連絡先にメッセージを送信できる。第1のデバイスにおける第1のアプリケーションのオープン・インスタンスを第2のデバイスにおける第2のアプリケーションの対応するオープン・インスタンスとして提供する装置の機能は、少なくとも関連するアプリケーションのオープン・インスタンスでデータコンテンツ(タイプされたテキスト等)と一時コンテンツ(テキストカーソル708,756の位置等)が利用可能であることを含む。こうして、ユーザは2つのデバイス間でよりスムーズでシームレスな遷移を体験することができる。
【0105】
他の実施例では、ユーザがタブレットPC型デバイス750で開いたアプリケーション752に入力して操作できる間、第1のデバイス700でまだ利用可能な、開いているアプリケーション702にも入力して操作することができることが想定されてもよい。図示されていないが、第2のデバイスで関連するアプリケーションが開かれて使われた後でも、テキスト編集アプリケーションが第1のデバイスで利用可能かつ動作可能なままであってもよい。
【0106】
デバイス700,750は、この実施例では異なるフォームファクターを有する。テキストがどちらのディスプレイで表示されるとしても左から右へ表示されるように、デバイスがテキストの行端を揃え直すことによって、このフォームファクターの違いが考慮されてもよい。例えば、デバイス700では「Hello, this is a」というテキストはディスプレイの1行に収まる(図7fを参照)。しかし、デバイス750では「Hello, this is a note to」までのテキストがディスプレイの1行に収まる(図7dを参照)。他の実施例では、同一のテキスト行端揃え(および可能であれば、フォントサイズやフォントスタイル,フォントの色など他の要素)がデバイスの特性に関係なくテキストを表示するアプリケーションのオープン・インスタンスの間で保存されるように、アプリケーションが構成されてもよい。
【0107】
図8aから8gは、2つの例示的デバイス800,850を示す。図8aから8gの各々は、第1のアプリケーションのオープン・インスタンスを第1のデバイス800から段階的に消去し、少なくとも関連するアプリケーションの対応するオープン・インスタンスを第2のデバイス850に段階的に表示する様々な方法を示す。当然ながら、対応するインスタンスは、特定のユーザ入力の段階的な特性に連動して段階的に提供されるのではなく、即座に提供されてもよい。したがって、例えば、第1のデバイスでキーを押下することによって、対応するオープン・インスタンスが第2のデバイスで即座に提供されてもよい。
【0108】
図8aは、ユーザ854が第2のデバイス850のスクリーン上の対角線方向に右上から左下へスライドジェスチャー856を行っている状況を示す。第1のアプリケーション802のオープン・インスタンスは、第1のデバイス800のディスプレイから段階的に消去され、少なくとも関連するアプリケーション852の対応するオープン・インスタンスは第2のデバイス850に段階的に表示される。他の実施例では、ユーザが左から右,右から左,斜め,上から下,下から上など任意の向きでスライドジェスチャーを行ってもよい。ユーザが行った入力の向きと対応する向きに沿って、少なくとも関連するアプリケーションのオープン・インスタンスは第2のデバイス850に段階的に表示される。他の実施形態では、この向きがユーザ入力の向きとは反対であってもよい。例えば、第1のデバイス(または第2のデバイス)に対する左から右への入力によって、対応するインスタンスが第2のデバイスで右から左へ表示されてもよい。ユーザ入力の向きは、使用するデバイスの相対位置の見え方に基づいてユーザが選択できる任意の向きとなり得る。したがって、第1のアプリケーションのオープン・インスタンスから少なくとも関連するアプリケーションの対応するオープン・インスタンスとして出現する遷移効果が特定の向きである場合、デバイスは他のデバイスに対する相対的な位置を知る必要がない。別の実施例として、ユーザが任意の向きにスライドジェスチャーを行う場合、気が変わって第1のアプリケーションのオープン・インスタンスを元の第1のデバイスに戻すために、スライドの向きを反転することが可能でもよい。ユーザはまた、スライドする指を前後に「揺り動かし」て、第1のアプリケーションと少なくとも関連するアプリケーションのオープン・インスタンスが2つのデバイス間で前後に揺り動かされていることを印象付けることができてもよい。
【0109】
図8aは、ユーザが第1のデバイス800のスクリーン上で「ピンチ(pinch)」ジェスチャー806を行っている状況を示す。第1のアプリケーション804のオープン・インスタンスは、第1のデバイス800のディスプレイから段階的に消去され、あたかも中心でつままれて表面から引き上げられる布と同じく、つまみ上げられたかのように見えてもよい。この実施例では、少なくとも関連するアプリケーション858のオープン・インスタンスは、デバイスのディスプレイの中心から引き出されたかのように860、第2のデバイス850に段階的に表示される。他の類似の遷移効果が実現されてもよい。例えば、ユーザはスクリーンの中心だけでなく、任意の場所でピンチすること(すなわち、第1のデバイス800のスクリーン上で2本の指または親指と別の指をスライドすること)ができてもよい。第2のデバイス850のスクリーンで見える効果は、第2のデバイスに表示されるアプリケーションのオープン・インスタンスが第2のデバイスのスクリーンの対応する位置から引き出されるものでもよい。
【0110】
図8aは、ユーザが第1のデバイス800のスクリーン上で「渦巻(swirl)」(「旋回(whirl)」とも呼ばれる)ジェスチャー810を行っている状況を示す。渦巻ジェスチャーは、ユーザがディスプレイのコンテンツを概念上「渦」のように回転させたり、「かき回し」たりするらせん状(spiral)あるいは弓状(arcuate)ジェスチャーであってもよい。第1のアプリケーション806のオープン・インスタンスは、第1のデバイス800のディスプレイから段階的に消去され、あたかも渦に巻き込まれた(stirred up)/旋回された(swirled)かのように、すなわち、渦の中へと向かうかのように見えてもよい。この実施例では、少なくとも関連するアプリケーション862のオープン・インスタンスは、デバイスのディスプレイの中心から渦が湧出す(unswirling)かのように864、第2のデバイス850に段階的に表示される。
【0111】
図8dは、ユーザ812が第1のデバイス800のスクリーンを、あたかも隣接するデバイス850へ押し出すかのように、右から左へスライドジェスチャー814を行っている状況を示す。第1のアプリケーション816のオープン・インスタンスは、第1のデバイス800のディスプレイから段階的に消去され、少なくとも関連するアプリケーション866の対応するオープン・インスタンスは第2のデバイス850に段階的に表示される。他の実施例では、ユーザが左から右,右から左,斜め,上から下,下から上など任意の向きでプッシュスライドジェスチャーを行ってもよい。ユーザが行った入力814の向きと対応する向きに沿って、少なくとも関連するアプリケーションのオープン・インスタンスは第2のデバイス850に段階的に表示される。
【0112】
図8aおよび8dに示す、ユーザのスライドジェスチャー856,814によって出される効果は、他の実施例では、ユーザ入力の別の組合せによって与えられてもよい。例えば、第2のデバイスにおけるアプリケーションのオープン・インスタンスを提供しようとするスライド操作を、同一のデバイスにおける別のホームスクリーンへ移動しようとするスライド操作等から区別するために、ユーザは、スクリーンの端から端までに亘って完全にスライド操作してもよい。あるいは、ディスプレイの一方の端の外側からディスプレイの中央までスライド操作することも可能である。こうしたジェスチャーは、アプリケーションを実行中のデバイスに備わるディスプレイの一方の端の外側から生じるスライド操作であるため、アプリケーションのユーザインタフェースの外側で行われるものと見做されてもよい。こうしたスライドジェスチャーは、タッチセンサ式スクリーンの周縁部の外側(例えば、デバイスの1つ以上の端)に配置されたタッチセンサによって検出されてもよく、こうした「エッジ」タッチセンサがスライドユーザ入力の開始を検出するのに用いられてもよい。別の実施例として、タッチセンサ式スクリーンがタッチセンサ式ディスプレイにおけるタッチセンサ領域の最外部で開始されたものとして検出するスライド/スワイプユーザ入力は、タッチセンサ領域の周縁部の外側から開始されたものとして外挿され、第2のデバイスにアプリケーションのオープン・インスタンスを提供するユーザ入力として認識されてもよい。
【0113】
他の実施例では、ユーザは、入力に対してユーザが意図する効果(第2のデバイスにアプリケーションのオープン・インスタンスを提供すること)をデバイスに示すために、押下してからスライドを開始するまで所定時間だけホールドするように要求されてもよい。他の可能な入力は例えば、タップ・アンド・スライドやプレス・アンド・スライド,フリック,プレス・アンド・フリック,マルチタップ・アンド・スライド,マルチフィンガー・スライドを含む。別の実施例では、加速度計および/またはジャイロスコープを備えるデバイス800によって、ユーザがデバイスを左から右の向きに(またはその逆向きに)傾けることによって入力を行えてもよい。こうした傾斜動作は、デバイスに対してユーザが別のデバイスに対応するアプリケーションを開きたいことを教える事前入力の後で行われてもよい。こうした入力以外の入力も可能であることは理解されよう。
【0114】
また、共有ネットワーク(プライベートネットワーク等)の形態によっては、2つのデバイス間で利用可能でなくてはならないことも理解されよう。これは、対応するオープン・インスタンスを提供するユーザ入力を受取る前に行われる。あるいは、こうした入力が受取られたと決定するときに起動されてもよい。例えば、特定のユーザ入力を検出した後、ユーザ入力を受取ったデバイスが、対応するオープン・インスタンスを提供できるようにネットワークの形成が可能なデバイスを探してもよい。こうしたネットワークは予め構成されてもよく、デバイスによってユーザは、少なくとも関連するアプリケーションの対応するオープン・インスタンスを提供するデバイスを識別/確認するように要求されてもよい。
【0115】
送信(第1の)デバイスおよび/または受信(ダ2の)デバイスは、ユーザが行うジェスチャー入力をプッシュ/プルすることによって識別されてもよい。ユーザ入力によってアプリケーションのオープン・インスタンスの提供に関わるデバイスを識別する他の実施例は、各デバイスの識別情報が既定されていることを含む。これは、メニュー設定を変更するユーザや、識別情報を既定するメーカーによって行われてもよい。別の実施例では、隣接するデバイスが互いの相対距離を決め、アプリケーションの(対応する)オープン・インスタンスの提供に関わってユーザとやり取りするデバイスから最も近くにあるデバイスを決定できてもよい。別の実施例では、隣接するデバイスが互いの相対位置を決定でき、ユーザが行った入力の向きが使用される他のデバイスを示してもよい。例えば、(受信デバイスの向きで行われたスワイプ等の)ユーザ入力が行われた向きによって他のデバイスが示されてもよい。別の実施例はプル(スライド)ユーザ入力の場合であって、(入力が行われている)送信デバイス以外の利用可能な全てのデバイスは、ユーザ入力を待機するスタンバイ状態にあってもよい。ユーザ入力は、(そのデバイスに向かってプルされる、開いているアプリケーションによって)少なくとも関連するアプリケーションの対応するオープン・インスタンスを開くようデバイスに命令する。
【0116】
図8eは、ユーザが「タブレットへ行け」という音声入力814を与えている状況を示す。音声入力は、第1のアプリケーション816のオープン・インスタンスが、第1のデバイス800のディスプレイから(段階的に)消去され、少なくとも関連するアプリケーション870の対応するオープン・インスタンスは第2のデバイス850に(段階的に)表示されるように命令する。この実施例では、デバイス800は音声認識が可能である。ユーザは自分のデバイスに「タブレット」や「私の電話」,「スクリーン2」等の名称を与えることができてもよい。こうして、ユーザの音声入力を受取るデバイス800は、データと一時コンテンツを含むアプリケーションのオープン・インスタンスを提供するように命令されているのがどのデバイスであるかが分かる。他の実施例では、ユーザは、「私の電話から切替えろ」や「デスクトップから取れ」という「プル」音声入力を与えられてもよい。こうした音声入力は、第1のアプリケーションのオープン・インスタンスが、第1のデバイス(電話機またはデスクトップ)のディスプレイから(段階的に)消去され、少なくとも関連するアプリケーションの対応するオープン・インスタンスは第2のデバイスに(段階的に)表示されるように命令する。
【0117】
図8fは、ユーザが第2のデバイス850のキーボードで利用可能なキー880を有する状況を示す。ユーザ878がこのキーを押下すると、第1のアプリケーション820のオープン・インスタンスが、第1のデバイス800のディスプレイ822から消去され、少なくとも関連するアプリケーション874の対応するオープン・インスタンスは第2のデバイス850に段階的に表示876されるように命令される。この実施例では、ユーザは、こうした目的のために特定のキー880またはキーの組合せを構成できてもよい。図8fに示すキー880が、アプリケーションのオープン・インスタンスから関連するアプリケーションの対応するオープン・インスタンスを別のデバイスに(段階的にまたは即座に)提供する目的で構成される既存のキーやキーの組合せの代表例であることは理解されよう。
【0118】
図8gは、ユーザが周辺装置、この場合はマウス888でスライドジェスチャー884を行っている状況を示す。ユーザは、例えば、関連するマウス888の物理的な動きと共に右/左クリックを行う、起動入力を用いて、第2のデバイス850のディスプレイの左から右へマウスポインタ886をスライドすることができる。こうして、第1のアプリケーション824のオープン・インスタンスは、第1のデバイス800のディスプレイ826から段階的に消去され、少なくとも関連するアプリケーション882の対応するオープン・インスタンスは、このマウス888を用いたユーザ入力によって第2のデバイス850に段階的に表示される。ユーザが行った入力884の向きと対応する向きに沿って、少なくとも関連するアプリケーション882のオープン・インスタンスは第2のデバイス850に段階的に表示される。マウスポインタ886は、スクリーンの任意の領域をスライドすることによって起動入力を行うことができてもよい。例えば、スクリーンの特定領域は、その領域での押下とスライド操作を入力として受取るように構成されてもよい。こうした入力は、第1のデバイス800からオープン・インスタンス824を消去826し、少なくとも関連するアプリケーション882の対応するオープン・インスタンスを開くものである。周辺装置からの入力は、例えば、ペン型デバイス(wand)やポインティングスティック,タッチパッド,スタイラスとパッド,ジョイスティック,リモートコントローラを介して行われてもよい。
【0119】
第1のアプリケーションが段階的に消去され、少なくとも関連するアプリケーションが段階的に表示されることによって、第1のアプリケーションのオープン・インスタンスが少なくとも関連するアプリケーションの対応するオープン・インスタンスとして提供される実施例では、この2つのアプリケーションの(一方のデバイスから他方のデバイスへ遷移する印象を与える)行程が一致していてもよい。こうした行程が一致していることは、例えば、ユーザ入力によって第1のアプリケーションの4分の1が消去されれば、少なくとも関連するアプリケーションのオープン・インスタンスのうち対応する4分の1が第2のデバイスに表示されることを意味する。同様に、第1のアプリケーションの3分の1が消去されると、少なくとも関連するアプリケーションの3分の1が第2のデバイスに表示される。出現遷移が起きる速さもまた、第1のデバイスで開いたアプリケーションが段階的に消去される速度が、第2のデバイスで少なくとも関連するアプリケーションが段階的に表示される速度と一致していることが要求される。この段階的な出現遷移は、様々な(例えば、図6aから6fの様な)ディスプレイのフォームファクターや大きさの違いを考慮することもできる。
【0120】
図9は、ユーザ入力を受取るステップ902と、そのユーザ入力に基づいて、第1のデバイスにおける第1のアプリケーションのオープン・インスタンスを、第2のデバイスにおける少なくとも関連するアプリケーションの対応するオープン・インスタンスとして提供するステップ904を示すフロー図を示す。この図は一目瞭然であろう。
【0121】
図10は、実施形態に従うプログラムを提供するコンピュータ/プロセッサ可読媒体1000を概略的に示す。この実施例では、コンピュータ/プロセッサ可読媒体はデジタル多用途ディスク(DVD)やコンパクトディスク(CD)等のディスクである。他の実施例では、コンピュータ可読媒体は、本発明の機能を遂行するようにプログラムされた任意の媒体でもよい。コンピュータプログラムコードは、複数の同種メモリまたは異種メモリの間で配信されてもよい。こうしたメモリはROMやRAM,フラッシュ,ハードディスク,固体メモリ等である。
【0122】
前述の実施形態で示した装置は、携帯電子デバイスやラップトップコンピュータ,携帯電話,スマートフォン,タブレットコンピュータ,携帯情報端末,デジタルカメラ,時計,非携帯電子デバイス,デスクトップコンピュータ,モニター,サーバでもよく、または、こうした装置の1つ以上のためのモジュール/回路でもよい。
【0123】
開示した態様/実施形態の1つ以上に従う携帯電子デバイス/装置は、次のうちの1つ以上の機能を提供してもよい:オーディオ/テキスト/ビデオ通信機能(例えば、電話通信,ビデオ通信,および/またはテキスト通信(ショートメッセージサービス(SMS)/マルチメディアメッセージサービス(MMS)/電子メール)の機能);インタラクティブ/非インタラクティブ表示機能(例えば、ウェブ閲覧,ナビゲーション,テレビ/番組表示の機能);音楽録音/再生機能(例えば、MP3や他のフォーマット,および/または(FM/AM)ラジオ放送の録音/再生);データのダウンロード/設定機能;画像録画機能(例えば、(内蔵の)デジタルカメラ);ゲーム機能。
【0124】
前述した任意の装置/デバイス/サーバ、および/または前述した装置/デバイス/サーバのうちのある特定のものに関する他の特徴は、所望する動作を遂行するように構成される装置によって提供されてもよい。ただし、こうした動作が可能である場合、例えば、電源が入れられているような場合に限る。このような場合、装置は、不可能な状態(例えば、電源が入っていない状態)で適切なソフトウェアをアクティブメモリにロードする必要がなく、可能な状態(例えば、電源が入れられた状態)のときだけ適切なソフトウェアをロードすればよい。装置はハードウェア回路および/またはファームウェアを備えてもよい。装置はメモリにロードされるソフトウェアを備えてもよい。こうしたソフトウェア/コンピュータプログラムは、同一のメモリ/プロセッサ/機能ユニット、および/または1つ以上のメモリ/プロセッサ/機能ユニットに記憶されていてもよい。
【0125】
実施形態によっては、前述の装置/デバイス/サーバのうちの特定のものは、所望する動作を遂行するように適切なソフトウェアで予めプログラムされていてもよい。ここで適切なソフトウェアは、例えば、ソフトウェアと関連機能を解除/有効化するためにユーザが「キー」をダウンロードすることによって利用可能になってもよい。こうした実施形態に関連する利点には、デバイスが追加機能を必要する場合、必要なデータダウンロードを減らせることが含まれる。これは、ユーザが有効化しない機能に関する予めプログラムされたソフトウェアを格納できるだけの十分な容量をデバイスが持っているとされる実施例では、有用となり得る。
【0126】
前述した任意の装置/回路/要素/プロセッサは、前述した機能以外の他の機能を備えていてもよく、こうした機能が同一の装置/回路/要素/プロセッサで遂行されてもよい。開示した態様の1つ以上は、関連するコンピュータプログラムの電子配置と、適切なキャリア(メモリ,信号等)に記憶されたコンピュータプログラム(送信元/送信途上で符号化されたものでもよい)を包含してもよい。
【0127】
本願で記載される「コンピュータ」は全て、1つ以上の個別のプロセッサ/処理要素を集めたものを含んでおり、こうしたプロセッサ/処理要素は、同一の回路基板や特定の回路基板における同一の領域/場所、または同一のデバイスに配置されてもよく、そうでなくてもよい。実施形態によっては、前述した任意のプロセッサの1つ以上は、複数のデバイスに分散されていてもよい。同一のまたは別々のプロセッサ/処理装置が本願に記載された機能の1つ以上を遂行してもよい。
【0128】
前述した任意のコンピュータおよび/またはプロセッサ、およびメモリ(ROM,CD−ROM等を含む)のあらゆる議論を参照することで、これらがコンピュータプロセッサや特定用途向け集積回路(ASIC),フィールドプログラマブル・ゲートアレイ(FPGA),および/または本発明の機能を遂行するようにプログラムされたその他のハードウェアコンポーネントを含んでもよい。
【0129】
本願において出願人は、本願に記述された個別の特徴の各々を分けて開示してきたが、こうした特徴を2つ以上組合せてそれらを拡張することは、当業者に共通の一般知識に照らせば本明細書全体に基づいて実行することが可能である。その際、こうした特徴またはその組合せが本願で開示された課題のどれを解決するかには関係なく、本願の特許請求の範囲を限定するものではない。本出願人は、開示した態様/実施形態が個別の特徴またはその組合せの何れかから成り得ることを示唆している。前述の記載に照らせば、本開示の範囲内で様々な変形が可能であることは、当業者には明白であろう。
【0130】
本願において、望ましい実施形態に適用されるような基本的で新規性を有する特徴が示されたり、記載されたり、指摘されたりしてきたが、記載したデバイスと方法の形態と細部において様々な削除や代用,変更を行うことは、当業者であれば本開示の精神を逸脱しない限り可能であることも理解されよう。例えば、実質的に同じ方法で同一の結果を達成するために、実質的に同じ機能を遂行するこうした要素および/または方法のステップの全ての組合せも本開示の範囲内であることは自明である。また、開示した任意の構造または実施形態に関連して示されたおよび/または記載された構造および/または要素および/または方法のステップは、適宜選択しうる一般的事項として、開示/記述/示唆したその他任意の構造または実施形態に組込まれてもよい。さらに、特許請求の範囲におけるミーンズ・プラス・ファンクションの節は、記載した機能を遂行するものとして本願で記載した構造を包含することを意図しており、構造的な等価物だけでなく等価な構造も包含するものである。釘と螺旋の場合、釘は木材部分を一緒に固定するために円柱面を備えているが、螺旋は木材部分を締付ける環境で螺旋面を備えているから、両者は構造的に等価ではない可能性がある。しかし、このような場合でも、釘と螺旋は等価な構造であるとしてよい。
図1
図2
図3
図4a-4b】
図5
図6a-6c】
図6d-6f】
図7a-7c】
図7d-7f】
図8a-8d】
図8e-8g】
図9
図10