【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の1つの目的は、運転者を支援するために舵取り感を改善する状況を作り出す方法を達成することである。
【0008】
この目的は、請求項1に定義された方法によって達成される。したがって、この目的は、
- 舵取り機構は、舵取り装置、少なくとも1つの地面係合部材、及び前記舵取り装置と前記少なくとも1つの地面係合部材との間の機械接続を含み、
−
前記舵取り機構内の所望の摩擦を表わす部分を含む所望の舵取り装置案内力を決定する段階と、
前記所望の舵取り装置案内力は前記舵取り機構内の前記所望の摩擦の少なくとも1つの所定の摩擦モデルによって決定され、前記摩擦モデルは、前記舵取り機構内の可撓性要素と前記舵取り装置との間の摩擦を表わし、前記可撓性要素が、舵取り軸のまわりの円周方向に相対変位するように構成され、前記変位が、前記舵取り機構の上側シャフトと下側シャフトの間に生成されるようになっており、
− 決定された舵取り装置案内力に基づいて所望の舵取り感を運転者に提供する段階とによって達成される。
【0009】
本発明は、特定の摩擦感が望ましいという洞察に基づく。詳しくは以下を参照されたい。所望の舵取り装置案内力は、名目上の所望の摩擦を表わすことが好ましい。前記用語「舵取り機構」は、名目上の舵取り機構でよい。
【0010】
決定された所望の舵取り装置案内力は、摩擦成分に加えて更に他の所望の舵取り特性などの、更に他の情報に基づいてもよい。したがって、決定された所望の舵取り装置案内力は、所望の力(トルク成分など)の和でよい。
【0011】
車両は、手動舵取り装置、少なくとも1対の地面係合部材、および手動舵取り装置と前記地面係合部材の間の機械接続を有する実際の舵取り機構を有することが好ましい。
【0012】
例示的実施形態によれば、方法は、所望の舵取り装置案内力に基づく最終舵取り装置案内力を手動操作舵取り装置に印加することによって、運転者に所望の舵取り感を提供する段階を含む。前記手動操作舵取り装置は、ステアリング・ホイールによって構成されることが好ましい。舵取り装置案内力に関する用語「最終」は、この場合、能動的に提供された舵取り装置案内力が、必ずしも決定された所望の舵取り装置案内力と等しくないことを定義する。例えば、方法は、運転中に実際の車両舵取り機構による舵取り装置への実際の力を決定し、決定された実際の力の値を決定された所望の舵取り装置案内力の値から減算することによって舵取り装置に印加される最終舵取り装置案内力の値を決定する段階を含む。
【0013】
実際の力は、ステアリング・ホイールに対する実際のトルクによって構成され、この実際のトルクは、舵取り機構内のねじり棒などの弾性要素を介して決定されることが好ましい。
【0014】
舵取りトルクは、舵取り機構内のねじり棒のねじれを測定することによって決定されることが好ましい。より正確には、第1の角度センサは、ねじり棒の第1端に配置され、第2の角度センサは、ねじり棒の第2の端(第1の端と反対側)に配置される。舵取りトルクは、ねじり棒の相対角度運動(ねじれ)とねじり棒の剛性に基づいて決定することができる。代替案によれば、1つ又はいくつかのひずみゲージが使用されてもよい。
【0015】
例示的実施形態によれば、方法は、少なくとも1つの地面係合部材を操縦するように構成された車両の舵取り機構内の摩擦の運転者舵取り感への影響を少なくとも抑制する段階を含む。
【0016】
舵取り機構内の摩擦の運転者舵取り感への影響の抑制は、いわゆる基準ジェネレータ機能または摩擦補償装置若しくは機能の他の既知の手段によって行われることが好ましい。
【0017】
舵取り機構内の摩擦の運転者舵取り感への影響の抑制は、舵取り装置案内力の適用と同時に行われることが好ましい。運転者舵取り感は、舵取り機構内の摩擦の影響から分離されることが好ましい。これにより、舵取り機構内の摩擦の影響は、完全に除去されることが好ましい。
【0018】
この実施形態は、電動パワーステアリング(EPAS)システムを使用するための状況を作り出す。特に、この方法は、舵取り装置と地面の間に機械接続があるが運転中に機械接続によって生じる固有の舵取り感がなくされるか少なくとも抑制されるステアリング・システムで適用可能である。
【0019】
例えば、実際の舵取り機構の固有機械摩擦は、製造公差、摩耗、温度、寿命などの様々な動作状況に依存する。したがって、機械接続の機械摩擦は、様々な個々の車両で異なり、時間の経過により変化する。したがって、この実施形態は、摩擦舵取り感からハードウェア(機械接続)を切り離すための状況を作り出す。換言すると、実施形態は、用途に依存しない(ハードウェアから独立した)摩擦舵取り感のための状況を作り出す。
【0020】
方法は、舵取り角などの車両状態に基づいて所望の舵取り装置案内力を決定する段階を含むことが好ましい。舵取り角は、ステアリング・ホイールの振れによって定義されることが好ましい。
【0021】
方法は、決定された舵取り装置案内力を舵取り機構に印加し、同時に機械式相互接続に起因する舵取り装置の乱れを少なくとも抑制する段階を含むことが好ましい。
【0022】
提供された舵取り装置案内力が、測定され、推定された所望の舵取り装置案内力と比較され、提供された舵取り装置案内力が、フィードバック・コントローラの使用によって、前記案内力の大きさを適応させることにより所望の舵取り装置案内力と実質的に同じになるように適応されることが好ましい。
【0023】
更に他の例示的実施形態によれば、方法は、舵取り装置案内力を、車両舵取り機構内の所望の摩擦の少なくとも1つの所定の摩擦モデルによって決定する段階を含む。方法は、アクチュエータによって舵取り装置案内力を舵取り機構に印加する段階を含むことが好ましい。
【0024】
更に他の例示的実施形態よれば、摩擦モデルは、舵取り機構内の可撓性要素と舵取り装置との間の摩擦を表わし、可撓性要素は、舵取り軸のまわりの円周方向に相対変位するように構成され、この変位は、舵取り機構の上側シャフトと下側シャフトの間に生成される。この実施形態は、この特別に定義された摩擦が舵取り感に有利であるという洞察に基づく。
【0025】
円周方向の変位は、上側シャフトと下側シャフト間に挟まれた可撓性要素(ねじり棒)のねじれにより、ステアリング・ホイールの回転に応じて上側シャフトと下側シャフトの間に生成される。
【0026】
上側舵取り柱の摩擦は、以下の事実により望ましい。
− 摩擦は、エネルギーを放散し、したがってシステムの減衰を高める(非線形的に)。
− 特定量の摩擦は、長いカーブで運転者トルクを減少させ、運転者は、言わば「腕を摩擦で休ませる」ことができる。
− 摩擦のない舵取りシステムは、純粋なばねとして経験される。
【0027】
更に他の例示的な実施形態によれば、摩擦モデルは、舵取り装置に舵取り装置案内力を印加するためのアクチュエータと舵取り機構内の可撓性要素との間の摩擦を表わしておらず、より正確に言うとステアリング・ホイールと可撓性装置の間の所望の量の摩擦を表わすように構成される。この実施形態は、この特に定義された摩擦だけが舵取り感に有利であるという洞察に基づく。
【0028】
したがって、電動式パワーステアリング・システムの摩擦は、次の2つの別個のカテゴリに区別される。
− ある程度望ましいねじり棒より上の摩擦。
− 制御と安定性の視点から望ましくない電気的アクチュエータとねじり棒の間の摩擦。
【0029】
本発明のその他の目的は、運転者を支援するために舵取り感を改善するための状況を作り出すシステムを達成することである。
【0030】
この目的は、請求項
9に定義された
システムによって達成される。したがって、この目的は、運転者に所望の舵取り感を提供することによって運転中に車両の運転者を支援するシステムによって達成され、このシステムは、
舵取り機構は、舵取り装置、少なくとも1つの地面係合部材、及び前記舵取り装置と前記少なくとも1つの地面係合部材との間の機械接続を含み、
前記舵取り機構内の所望の摩擦を表わす部分を含む所望の舵取り装置案内力を決定する手段と、
前記所望の舵取り装置案内力を決定する前記手段が、前記車両舵取り機構内の所望の摩擦の少なくとも1つの所定の摩擦モデルを含み、前記摩擦モデルが、前記舵取り機構内の可撓性要素と前記舵取り装置の間の摩擦を表わし、前記可撓性要素が、舵取り軸のまわりの円周方向に相対変位するように構成され、前記変位が、前記舵取り機構の上側シャフトと下側シャフトの間に生成されるようになっており、
決定された前記舵取り装置案内力に基づいて前記所望の舵取り感を前記運転者に提供する手段と
、を含むことを特徴とする。
【0031】
例示的実施形態によれば、システムは、少なくとも1つの地面係合部材を操縦するように構成された車両内の舵取り機構内の摩擦の運転者舵取り感への影響を抑制する手段を含む。
【0032】
更に他の例示的実施形態によれば、所望の舵取り装置案内力を決定する前記手段が、車両舵取り機構内の所望の摩擦の少なくとも1つの所定の摩擦モデルを含む。
【0033】
更に他の例示的実施形態によれば、摩擦モデルは、舵取り機構内の可撓性要素と舵取り装置の間の摩擦を表わし、可撓性要素は、舵取り軸のまわりの円周方向に相対変位するように構成され、この変位は、舵取り機構の上側シャフトと下側シャフトの間に生成される。
【0034】
更に他の例示的な実施形態とその利点は、以下の説明、図面および特許請求の範囲から明らかになる。